JP3033271B2 - 低電圧回転機の固定子巻線 - Google Patents

低電圧回転機の固定子巻線

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JP3033271B2
JP3033271B2 JP3229234A JP22923491A JP3033271B2 JP 3033271 B2 JP3033271 B2 JP 3033271B2 JP 3229234 A JP3229234 A JP 3229234A JP 22923491 A JP22923491 A JP 22923491A JP 3033271 B2 JP3033271 B2 JP 3033271B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、汎用誘導電動機
などの低電圧回転機における固定子巻線、ことに絶縁処
理工程を簡単化した固定子巻線の絶縁方式に関する。
【0002】
【従来の技術】電圧440V以下の低圧配電系統に連結
して使用される誘導電動機などの低電圧回転機は、その
固定子巻線の絶縁構造が、エナメル皮膜を有するマグネ
ットワイヤからなるコイルにワニス含浸処理した簡単な
絶縁方式が採用されている。コイルの巻線方法には自動
巻線機(自動インサ−タ)を用いて固定子鉄心の2つの
スロットにマグネットワイヤを1タ−ン宛巻線する(落
とし込む)自動インサ−タ方式と、マグネットワイヤを
複数タ−ン巻回し、そのスロットに挿入される部分に絶
縁テ−プを巻き付けて結束テ−ピング層を形成したコイ
ルをあらかじめ用意し、このコイルを固定子鉄心のスロ
ットに手作業で落とし込む手入方式とに大別される。
【0003】図6は自動インサ−タ方式による固定子巻
線の要部を示す断面図であり、固定子鉄心1に所定のピ
ッチで形成されたスロット1Aには、その内壁面に沿っ
て薄葉絶縁材からなるスロット絶縁層2が挿入され、特
定の2つのスロット1Aに跨がってスロット絶縁材2で
包囲されたスロット内に、コイル2つ分に相当するタ−
ン数のマグネットワイヤ5が、自動インサ−タにより1
タ−ン宛順次巻線(落とし込み)され、スロット1Aの
開口部にはフィルム基材のくさび4が挿入される、さら
に2つのコイルの図示しないコイルエンドのコイル間に
は相間絶縁材が挿入され、未含浸状態の固定子コイル
(白コイル)3が形成される。また、複数の白コイルの
巻線を終了した時点でコイル間の電気的接続作業,コイ
ルエンドの成形作業および結束作業が行われることによ
り未含浸の固定子巻線が形成される。さらに、未含浸の
固定子コイルには、滴下含浸法,浸漬含浸法,あるいは
真空含浸法などの含浸方法によりポリエステル系,ポリ
エステル変性エポキシ系,ポリイミド系などの溶剤系ワ
ニス,無溶剤系ワニスが含浸され、加熱処理されること
により、含浸ワニスの硬化物で各部材が相互に固着して
一体化した固定子巻線が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】低電圧回転機の従来の
固定子巻線においては、白コイルをワニス処理すること
により、マグネットワイヤの巻回間,スロット絶縁,く
さび,および固定子鉄心が含浸されたワニスの硬化物に
より相互に一体化され、所望の耐電圧特性,耐振動性,
耐熱性,および耐候性を有する絶縁信頼性の優れた固定
子巻線が得られるものである。したがって、ワニス処理
は低電圧回転機の巻線製造工程の重要な部分を占めてき
た。しかしながら、ワニス処理には環境保全設備を含む
大掛かりな設備を必要とし、かつその処理時間も長いた
め、低電圧回転機のコスト上昇や納期の長期化を招く欠
点がある。また、ワニス処理を必要としない固定子鉄心
の表面に付着したワニスが樹脂溜まりを形成して寸法精
度に悪影響を及ぼすため、ワニス処理工程の最終段階で
不要なワニスを取り除くワニス清掃工程を必要とし、こ
の工程にも多大な加工時間を要するばかりか、付着ワニ
スを機械的または化学的に除去するために作業環境が悪
化するという問題も発生する。
【0005】この発明の課題は、ワニス処理工程および
ワニス清掃工程を排除することにより、固定子巻線の製
造工程を簡素化でき、かつワニス処理したと同等の性能
を有する低電圧回転機の固定子巻線を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1の発明によれば、固定子鉄心に所定のピッ
チで形成されたスロット内にマグネットワイヤを複数タ
−ン巻回して固定子コイルを形成する低電圧回転機の固
定子巻線において、スロットの内壁面に沿ってあらかじ
め挿入された自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層
と、その内側に自己融着性マグネットワイヤを自動イン
サ−タ方式により複数タ−ン巻回してなる固定子コイル
と、スロットの開口部を塞ぐよう挿入された自己融着性
薄葉材からなるくさびとを備え、自己融着性薄葉材が、
自己融着性接着層と、この自己融着性接着層を介して貼
着された分布形成された貫通孔を有する2枚の耐熱性フ
ィルム基材とから成り、加熱融着処理されて全体が一体
化される。
【0007】上記課題を解決するために、請求項2の発
明によれば、固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
て、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿入された自
己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層と、その内側に
自己融着性マグネットワイヤを自動インサータ方式によ
り複数ターン巻回してなる固定子コイルと、前記スロッ
トの開口部を塞ぐよう挿入された自己融着性薄葉材から
なるくさびとを備え、自己融着性薄葉材が、貫通孔を有
する2枚の耐熱性フィルム基材が自己融着性接着層によ
り貼着された3層構造の複合シートの耐熱フィルム基材
の両面にさらに自己融着性接着層を備え、加熱融着処理
されて全体が一体化される。
【0008】上記課題を解決するために、請求項3の発
明によれば、固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
ロット内にマグネットワイヤを複数タ−ン巻回して固定
子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
て、固定子コイルが自己融着性マグネットワイヤを複数
タ−ン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テ−ピング
層で結束され、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿
入された自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層の内
側に手入れ方式により挿入され、スロットの開口部を積
層材からなるくさびで塞ぐよう形成され、その場合に自
己融着性薄葉材が、自己融着性接着層と、この自己融着
性接着層を介して貼着された分布形成された貫通孔を有
する2枚の耐熱性フィルム基材とから成る。
【0009】上記課題を解決するために、請求項4の発
明によれば、固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
て、固定子コイルが自己融着性マグネットワイヤを複数
ターン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テーピング
層で結束され、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿
入された自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層の内
側に手入れ方式により挿入され、スロットの開口部を積
層材からなるくさびで塞ぐよう形成され、その場合に自
己融着性薄葉材が、貫通孔を有する2枚の耐熱性フィル
ム基材が自己融着性接着層により貼着された3層構造の
複合シートの耐熱フィルム基材の両面にさらに自己融着
性接着層を備えることを特徴とする低電圧回転機の固定
子巻線。
【0010】この発明の構成において、スロットの内壁
面に沿って自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁をあ
らかじめ挿入し、その内側に自己融着性マグネットワイ
ヤを例えば自動インサ−タ方式により複数タ−ン巻回し
てコイルを形成し、自己融着性薄葉材からなるくさびを
スロットの開口部を塞ぐよう挿入し、加熱融着処理して
全体を一体化するよう構成したことにより、加熱するこ
とにより粘着性を生じた自己融着性接着層が含浸ワニス
に代わる接着剤として機能し、加熱硬化した時点では各
部材相互の接触部が硬化した接着層により強固に結合さ
れて一体化した低電圧回転機の固定子巻線が得られるの
で、ワニス処理工程およびワニス清掃工程が不要にな
り、固定子巻線の製造工程の簡素化および作業環境の保
全が可能になるとともに、自動インサ−タ方式によりワ
ニス処理したと同等の耐電圧特性,耐振動性,耐熱性,
および耐候性を有する絶縁信頼性の優れた固定子巻線が
得られる。
【0011】また、自己融着性マグネットワイヤを複数
タ−ン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テ−ピング
層で結束した固定子コイルを、あらかじめスロットの内
壁面に沿って挿入された自己融着性薄葉材からなるスロ
ット絶縁層の内側に手入れ方式により挿入し、スロット
の開口部を積層材からなるくさびで塞ぐよう構成したこ
とにより、手入れ方式によってもワニス処理工程および
ワニス清掃工程が不要になり、固定子巻線の製造工程の
簡素化および作業環境の保全が可能になるとともに、ワ
ニス処理したと同等の耐電圧特性,耐振動性,耐熱性,
および耐候性を有する絶縁信頼性の優れた固定子巻線が
得られる。
【0012】その際、自己融着性薄葉材を、自己融着性
接着層と、この自己融着性接着層を介して貼着された貫
通孔を有する2枚の耐熱性フィルム基材との3層構造と
すれば、自己融着性接着層の露出面積が減少して滑り性
のよいスロット絶縁層,結束テ−ピング層が得られ、自
動インサ−タ方式,手入れ方式による巻線作業を容易化
できるとともに、貫通孔の外に滲み出した自己融着性接
着剤により部材相互を強固に接着することができる。
【0013】また、自己融着性接着層と、この自己融着
性接着層を介して貼着された多数の貫通孔を有する2枚
の耐熱性フィルム基材とからなる自己融着性薄葉材が、
貫通孔を有する2枚の耐熱性フィルム基材それぞれの表
面に形成された自己融着性接着層を有する多層構造とす
れば、絶縁信頼性および接着性の優れた自己融着性薄葉
材が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明を実施例に基づい
て説明する。図1はこの発明の実施例になる低電圧回転
機の自動インサ−タ方式による固定子コイルを示す断面
図である。図において、固定子鉄心1に所定のピッチで
形成されたスロット1Aには、その内壁面に沿って自己
融着性薄葉材からなるスロット絶縁層12が挿入され、
特定の2つのスロット1Aに跨がってスロット絶縁層1
2で包囲されたスロット内に、コイル2つ分に相当する
タ−ン数の自己融着性マグネットワイヤ15が、自動イ
ンサ−タにより1タ−ン宛順次巻線(落とし込み)さ
れ、スロット1Aの開口部には自己融着性薄葉材からな
るくさび14が挿入されることにより固定子コイル13
が形成される。さらに、2つのコイルの図示しないコイ
ルエンドのコイル間には相間絶縁材が挿入され、複数の
固定子コイルの巻線を終了した時点でコイル間の電気的
接続作業,コイルエンドの成形作業および結束作業が行
われ、これら全ての巻線工程を終了した時点で加熱融着
処理を施すことにより、自己融着性マグネットワイヤ表
面の自己融着皮膜,および自己融着性薄葉材の自己融着
性接着層が軟化して粘着性を生ずることにより、コイル
のタ−ン間,コイルとスロット絶縁層間,およびスロッ
ト絶縁層と鉄心間などの部材相互の接触面が融着し、加
熱融着処理を終了した時点では接着層が硬化して一体化
した固定子巻線が形成される。
【0015】このように構成された低電圧回転機の固定
子巻線においては、加熱することにより粘着性を生じた
自己融着性接着層が含浸ワニスに代わる接着剤として機
能し、加熱硬化した時点では各部材相互の接触部が硬化
した接着層により強固に結合され、一体化した低電圧回
転機の固定子巻線が得られるので、ワニス処理工程およ
びワニス清掃工程が不要になり、固定子巻線の製造工程
の簡素化および作業環境の保全が可能になるとともに、
自動インサ−タ方式によりワニス処理したと同等の耐電
圧特性,耐振動性,耐熱性,および耐候性を有する絶縁
信頼性の優れた固定子巻線が得られる。
【0016】図2はこの発明の異なる実施例になる手入
れ方式による固定子コイルを示す断面図である。手入れ
方式の場合、自己融着性マグネットワイヤ15を複数タ
−ン巻回したコイルのスロット挿入部分を、自己融着性
薄葉材からなる結束テ−ピング層22で結束した上下一
対の固定子コイル23を、あらかじめスロットの内壁面
に沿って挿入された自己融着性薄葉材からなるスロット
絶縁層12の内側に手入れ方式により挿入し、開口部の
大きいスロット1Bのくさび溝にFRP等の積層材から
なるくさび9を挿入して開口部を塞ぎ、加熱融着処理す
ることにより、手入れ方式によってもワニス処理工程お
よびワニス清掃工程が不要になり、固定子巻線の製造工
程の簡素化および作業環境の保全が可能になるととも
に、ワニス処理したと同等の耐電圧特性,耐振動性,耐
熱性,および耐候性を有する絶縁信頼性の優れた固定子
巻線が得られる。なお、図では2つの固定子コイル23
を上側からコ字状に覆う自己融着性薄葉材からなるくさ
び24が設けられ、手入れ作業時およびくさび9の挿入
時にコイルが損傷することを防止するとともに、コイル
相間絶縁を強化するよう構成される。
【0017】図3はこの発明における自己融着性薄葉材
の構成を示す断面図であり、貫通孔44が分布して形成
された2枚の耐熱性フィルム基材42A,42Bが、自
己融着性接着層43により貼着された3層構造の複合シ
−トまたは複合テ−プとして自己融着性薄葉材41が形
成されており、自己融着性接着層43の露出面積が減少
することにより、自己融着性薄葉材41の滑り性が向上
するので、自動インサ−タ方式におけるスロット絶縁層
12として使用することにより、自己融着性マグネット
ワイヤの巻線作業を効率よく実施できる利点が得られる
とともに、加熱融着処理により流動性を生じた自己融着
性接着層が貫通孔44を介して被着面に広がることによ
り接着作用が得られる。また、この自己融着性薄葉材4
1を手入れ方式におけるスロット絶縁層12および結束
テ−ピング層22に用いても同様の作用効果が得られ
る。
【0018】図4はこの発明における異なる自己融着性
薄葉材の構成を示す断面図であり、貫通孔44が分布し
て形成された2枚の耐熱性フィルム基材42A,42B
が、自己融着性接着層43により貼着された3層構造の
複合シ−トが、耐熱性フィルム基材の両面にさらに自己
融着性接着層53A,53Bを備え、5層構造の複合シ
−トまたは複合テ−プからなる自己融着性薄葉材51を
形成した点が前述の自己融着性薄葉材と異なっている。
自己融着性薄葉材をこのように構成することにより、機
械的,電気的に強固なスロット絶縁層,自己融着性くさ
びを形成できるので、例えば440Vクラスの低電圧回
転機や耐湿性を要求される低電圧回転機のスロット絶縁
層またはくさび材として使用することにより、信頼性の
高い固定子巻線を得ることができる。
【0019】図5は実施例になる供試三相誘導電動機の
絶縁性能評価試験結果を従来の電動機のそれと比較して
示す特性線図であり、絶縁性能評価試験方法は、IEE
E規格117に規定された絶縁性能評価試験方法に準拠
した。すなわち、供試電動機に200°C における強制
加熱劣化処理2日,加速度5Gの強制振動劣化処理1時
間,および相対湿度95%中での吸湿処理2日を強制劣
化試験サイクルとし、1サイクル毎に2000Vの耐電
圧試験を行う方法とした。なお、耐機械力を過酷に評価
するため、加振条件を規格の1.5Gより高い5Gとす
るとともに、適宜残存破壊電圧を求め、図の縦軸に表示
した。また、供試電動機はいずれも定挌電圧200Vの
汎用三相誘導電動機であり、図1に示す自動インサ−タ
方式の固定子巻線を実施例1,図2に示す手入れ方式の
固定子巻線を実施例2,図6に示す従来の自動インサ−
タ方式になる固定子巻線を比較例1,および比較例1に
おいてワニス処理を省略した固定子巻線を比較例2とし
た。
【0020】図において、比較例1は16サイクルにお
よぶ評価試験後もほぼ85%の残存破壊電圧を保持する
のに対して、比較例2は僅か2サイクルの試験で残存破
壊電圧が20%程度にまで低下してしまい、従来の技術
ではワニス処理が固定子巻線の機械的,熱的,および電
気的性能を維持する上で極めて重要な工程であることを
示している。一方、実施例1および実施例2は、16サ
イクルの評価試験後も90%以上の残存破壊電圧を示し
ており、この発明の実施例になる固定子巻線がワニス処
理を省略しても機械的,熱的,電気的性能の安定性はも
とより、耐湿性能においても従来のワニス処理した固定
子巻線を越える優れた性能を有することが実証された。
【0021】
【発明の効果】この発明は前述のように、スロットの内
壁面に沿って自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁を
あらかじめ挿入し、その内側に自己融着性マグネットワ
イヤを自動インサ−タ方式により複数タ−ン巻回してコ
イルを形成し、自己融着性薄葉材からなるくさびをスロ
ットの開口部を塞ぐよう挿入し、加熱融着処理して全体
を一体化するよう構成した。その結果、加熱することに
より粘着性を生じた自己融着性接着層が含浸ワニスに代
わる接着剤として機能し、加熱硬化した時点では各部材
相互の接触部が硬化した接着層により強固に結合されて
一体化し、従来の固定子巻線を越える耐電圧性能,耐振
動性能,耐熱性性能,および耐候性を有する絶縁信頼性
の優れた固定子巻線が得られるので、従来技術で不可欠
であったワニス処理工程およびワニス除去工程が不要に
なる。したがって、従来の技術で問題となった作業環境
への悪影響が無く,簡素化,省時間化された自動インサ
−タ方式の製造工程により、絶縁信頼性に優れた低電圧
回転機の固定子巻線を経済的に有利に提供することがで
きる。さらに、製造時間の低減により納期を短縮できる
利点が得られる。
【0022】また、自己融着性マグネットワイヤを複数
タ−ン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テ−ピング
層で結束した固定子コイルを、あらかじめスロットの内
壁面に沿って挿入された自己融着性薄葉材からなるスロ
ット絶縁層の内側に手入れ方式により挿入し、スロット
の開口部を積層材からなるくさびで塞ぐよう構成して
も、前述の実施例と同様の作用効果を有する低電圧回転
機の固定子巻線を、手入れ方式により容易に得ることが
できる。
【0023】その際に、自己融着性薄葉材を、自己融着
性接着層と、この自己融着性接着層を介して貼着された
分布形成された貫通孔を有する2枚の耐熱性フィルム基
材との3層構造とすれば、自己融着性接着層の露出面積
が減少して滑り性のよいスロット絶縁層,結束テ−ピン
グ層が得られ、自動インサ−タ方式,手入れ方式による
巻線作業を容易化できるとともに、自己融着性接着層が
貫通孔を介して外部に流出して部材相互を接着するの
で、一体化した低電圧回転機の固定子巻線を提供するこ
とができる。
【0024】また、自己融着性接着層と、この自己融着
性接着層を介して貼着された貫通孔を有する2枚の耐熱
性フィルム基材とからなる自己融着性薄葉材が、貫通孔
を有する2枚の耐熱性フィルム基材それぞれの表面に形
成された自己融着性接着層を有する多層構造とすれば、
絶縁信頼性および接着性の優れた自己融着性薄葉材が得
られるので、このように構成された自己融着性薄葉材を
層間絶縁を兼ねた自己融着性くさび,スロット絶縁層な
どとして使用することにより、機械的,熱的,電気的性
能およびその耐環境性が特に優れた高い信頼性を有する
固定子巻線を備えた低電圧回転機を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例になる低電圧回転機の自動イ
ンサ−タ方式による固定子コイルを示す断面図
【図2】この発明の異なる実施例になる手入れ方式によ
る固定子コイルを示す断面図
【図3】この発明における自己融着性薄葉材の構成を示
す断面図
【図4】この発明における異なる自己融着性薄葉材の構
成を示す断面図
【図5】実施例になる供試三相誘導電動機の絶縁性能評
価試験結果を従来の電動機のそれと比較して示す特性線
【図6】自動インサ−タ方式による固定子巻線の要部を
示す断面図
【符号の説明】
1 固定子鉄心 1A スロット 1B スロット 2 スロット絶縁層 3 固定子コイル 4 くさび 5 マグネットワイヤ 9 くさび(積層材) 12 スロット絶縁層(自己融着性薄葉材) 13 固定子コイル 14 くさび(自己融着性薄葉材) 15 自己融着性マグネットワイヤ 22 結束テ−ピング層(自己融着性薄葉材) 23 固定子コイル 24 くさび(自己融着性薄葉材) 41 自己融着性薄葉材 42 耐熱性フィルム基材 43 自己融着性接着層 44 貫通孔 51 自己融着性薄葉材 53 自己融着性接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 15/10 - 15/12 H01B 17/60 H02K 3/30 - 3/52 H01F 41/12 B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
    ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
    子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
    て、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿入された自
    己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層と、その内側に
    自己融着性マグネットワイヤを自動インサータ方式によ
    り複数ターン巻回してなる固定子コイルと、スロットの
    開口部を塞ぐよう挿入された自己融着性薄葉材からなる
    くさびとを備え、自己融着性薄葉材が、自己融着性接着
    層と、この自己融着性接着層を介して貼着された分布形
    成された貫通孔を有する2枚の耐熱性フィルム基材とか
    ら成り、加熱融着処理されて全体が一体化されることを
    特徴とする低電圧回転機の固定子巻線。
  2. 【請求項2】固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
    ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
    子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
    て、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿入された自
    己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層と、その内側に
    自己融着性マグネットワイヤを自動インサータ方式によ
    り複数ターン巻回してなる固定子コイルと、スロットの
    開口部を塞ぐよう挿入された自己融着性薄葉材からなる
    くさびとを備え、自己融着性薄葉材が、貫通孔を有する
    2枚の耐熱性フィルム基材が自 己融着性接着層により貼
    着された3層構造の複合シートの耐熱フィルム基材 の両
    面にさらに自己融着性接着層を備え、加熱融着処理され
    て全体が一体化されることを特徴とする低電圧回転機の
    固定子巻線。
  3. 【請求項3】固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
    ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
    子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
    て、固定子コイルが自己融着性マグネットワイヤを複数
    ターン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テーピング
    層で結束され、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿
    入された自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層の内
    側に手入れ方式により挿入され、スロットの開口部を積
    層材からなるくさびで塞ぐよう形成され、その場合に自
    己融着性薄葉材が、自己融着性接着層と、この自己融着
    性接着層を介して貼着された分布形成された貫通孔を有
    する2枚の耐熱性フィルム基材とから成ることを特徴と
    する低電圧回転機の固定子巻線。
  4. 【請求項4】固定子鉄心に所定のピッチで形成されたス
    ロット内にマグネットワイヤを複数ターン巻回して固定
    子コイルを形成する低電圧回転機の固定子巻線におい
    て、固定子コイルが自己融着性マグネットワイヤを複数
    ターン巻回し自己融着性薄葉材からなる結束テーピング
    層で結束され、スロットの内壁面に沿ってあらかじめ挿
    入された自己融着性薄葉材からなるスロット絶縁層の内
    側に手入れ方式により挿入され、スロットの開口部を積
    層材からなるくさびで塞ぐよう形成され、その場合に
    己融着性薄葉材が、貫通孔 を有する2枚の耐熱性フィル
    ム基材が自己融着性接着層により貼着された3 層構造の
    複合シートの耐熱フィルム基材の両面にさらに自己融着
    性接着層を 備えることを特徴とする低電圧回転機の固定
    子巻線。
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