JP3032650B2 - 複写機のプロセス制御安定化方法 - Google Patents

複写機のプロセス制御安定化方法

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JP3032650B2
JP3032650B2 JP4263557A JP26355792A JP3032650B2 JP 3032650 B2 JP3032650 B2 JP 3032650B2 JP 4263557 A JP4263557 A JP 4263557A JP 26355792 A JP26355792 A JP 26355792A JP 3032650 B2 JP3032650 B2 JP 3032650B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常に安定した画質を提
供するプロセス制御システムを有する電子写真装置、即
ち複写機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複写機において、感光体の残留電位は放
置時間と共に減少していく傾向がある。これは感光体の
感光層中の不純物準位にトラップされた光キャリアが時
間とともに解放されるためと考えられる。残留電位が減
少する速度は、時間と感光体温度とトラップ準位の関数
であると考えられる。即ち、感光体温度が高ければトラ
ップからキャリアが解放される確率が高くなり、残留電
位の減少速度も速くなるが、反対に低温の場合はトラッ
プからのキャリア解放確率が小さくなり、長時間放置し
ておいても残留電位が低下しないことがおこる。
【0003】上記残留電位の発生要因は、上述の説明か
らわかるように、感光層中のトラップであり、その密度
及び準位の深さと感光層の膜厚によって残留電位の大き
さが決定される。このような現象は、感光体材料の種類
が変わると多少の変化が認められるが、傾向的には同様
である。光キャリア発生層と光キャリア輸送層を積層し
て得られる機能分離型有機感光体では、光キャリア輸送
層の膜厚とトラップ密度で残留電位が決定される。また
セレン化ひ素感光体では、残留電位の発生には露光光の
波長依存性が認められるが、やはり感光層中のトラップ
密度とその準位の深さによって残留電位が決定される。
そして残留電位の変化は感光体表面電位の変化を発生さ
せる。例えばドラム状感光体の場合、上記表面電位の変
化は感光体の1回転目と2回転目の場合に最も大きく、
2回転目と3回転目でやや小さくなり以後どんどんその
差が少なくなっていく。
【0004】上記の現象を詳しく説明すると、次のよう
になる。即ち、電子写真方式複写機においては、感光性
を付与するために、暗中にて感光体に均一な帯電処理を
施す。この際、感光体が放置された後であるとその残留
電位が小さくなっており、このため一定の電荷量を付与
されて得られる表面電位はある値に定まる。次に感光体
の2回転目を考えると前記帯電工程前に感光体上に残っ
た表面電位を消去するために光除電が行われるが、この
あと前述の感光層中のトラップによって光キャリアが捕
えられ残留電位が発生する。即ち2回転目の帯電工程前
には1回転目と異なった残留電位が存在し、このうえに
一定電荷が付与されることになる。
【0005】従って、2回転目で得られる感光体の表面
電位は、1回転目の表面電位に残留電位を加えたものと
なる。同様のプロセスによって3回転目の表面電位も2
回転目の表面電位より高い値となるが、その差は1回転
目と2回転目よりも小さくなる。これは残留電位がどん
どん積み重なっていくのではなく、比較的に速い段階で
ある飽和値に収束するためである。この飽和値を決定す
る要素は、感光層のトラップ密度、トラップ準位、膜
厚、感光体温度などである。
【0006】上記のような感光体の種々の変動の中で、
1回転目と2回転目に亘って中間調の濃度補正手段とし
てドラム上にトナーパッチを作成しプロセス制御を行っ
た場合、作像されたトナー像は再現性の得られないもの
となってしまう。さらに、このような再現性のないトナ
ー像を光学センサーで読み取った場合、システム全体の
経時変化を現わしているとは言いがたく誤った結果に基
づいてプロセス制御されてしまうことになり、最適制御
から大きく外れてしまうために得られた画像は大変みに
くいものになってしまうことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の課題を緩和する
ために、例えばコピーボタン押下後の感光体ドラム若し
くはベルトの回転のうち最初の数回転を画像形成に使用
しない方法が考えられるが、この方法によれば上記理由
にもとずく感光体の表面電位の変化の影響を受けにくく
なるために一定の効果は得られるものの、反対に複写機
のファーストコピー時間を長くしてしまうという欠点を
持っており、重要な仕様を低下させてしまうことにな
る。更には、1枚の複写画像を得るために要する感光体
の回転距離や現像剤の撹拌時間が長くなってしまうため
に、それぞれが受けるメカ的なストレスが増加するため
に、寿命が短くなってしまうこととなる。
【0008】詳述すると、1枚コピー当たりの感光体の
回転距離の増加はクリーナーブレードとの摩擦によっ
て、感光層の膜減りを早期に引き起こし、このために感
光体表面の電荷密度が増加し実写感度の低下を引き起こ
していた。またクリーナーブレードにとっても、同様の
理由によって、エッジ部の摩耗が早期に発生し、クリー
ニング不良などの画像欠陥を発生せしめ、結果としてそ
れぞれの寿命が所期の寿命まで全うしえないこととなっ
た。現像剤についていえば、やはり単位コピー枚数当た
りのメカ的ストレス(現像器内の撹拌ローラやドクター
ブレードによる現像剤のアタック)の増加によって、キ
ャリアのコート材剥がれやキャリアに対するスペントト
ナーの増加、トナーの小粒径化が引き起こされ、結果と
して現像特性の劣化、複写画像の画質劣化を引き起こし
ていた。これらの問題はシングルコピーを撮る確率が高
いほど、あるいはマルチコピーを撮る場合でも少量枚数
であるほど顕著となる特徴がある。
【0009】上記のように、感光体の残留電位は、感光
層のトラップ密度やトラップ準位や膜厚や感光体表面の
温度などによって決定される。コピーを撮るにつれて感
光体の膜厚が薄くなっていき、このために残留電位が減
少していく場合もある。この場合はコピーを撮っていく
につれて画像濃度の変化は緩和されて行く。しかしなが
ら、感光体の種類によっては膜厚の減少と共に感光層の
電気的劣化によってトラップ密度が増加する場合があ
り、この場合はコピーを撮っていくにつれて残留電位が
上昇するため、感光体ドラムの1回転目と2回転目の表
面電位差が顕著になって行く。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の複写機のプロセ
ス制御安定化方法は、上記のような課題を解決するた
め、感光体上のトナー像を検出してプロセス制御を行う
複写機において、除電ランプ位置を感光体の回転方向に
おける基準として感光体の1回転にわたってトナーパッ
チを作像する場合、トナーパッチを作像する1回転目の
帯電条件を所定のプログラムに従って変化させて異なる
プロセス条件によりトナーパッチを作像し、この複数の
トナーパッチを検出して得られた検出結果に基づいてプ
ロセス制御を行うことを特徴とするものである。さらに
は、複写機の待機時間を積算する手段を具備し、該手段
の信号に対応してプログラムを変化させることを特徴と
するものである。
【0011】また、感光体上のトナー像を検出してプロ
セス制御を行う複写機において、除電ランプ位置を感光
体の回転方向における基準として感光体の1回転にわた
ってトナーパッチを作像する場合、トナーパッチを作像
する1回転目の現像条件を所定のプログラムに従って変
化させて異なるプロセス条件によりトナーパッチを作像
し、この複数のトナーパッチを検出して得られた検出結
果に基づいてプロセス制御を行うことを特徴とするもの
である。さらには、複写機の通算回転数あるいは通算コ
ピー枚数を計数する手段を具備し、該手段の信号に対応
してプログラムを変化させることを特徴とするものであ
る。
【0012】更にまた、感光体上のトナー像を検出して
プロセス制御を行う複写機において、除電ランプ位置を
感光体の回転方向における基準として感光体の1回転に
わたってトナーパッチを作像する場合、トナーパッチを
作像する1回転目の除電条件を所定のプログラムに従っ
て変化させて異なるプロセス条件によりトナーパッチを
作像し、この複数のトナーパッチを検出して得られた検
出結果に基づいてプロセス制御を行うことを特徴とする
ものである。さらには、複写機の待機時間を積算する手
段を具備し、該手段の信号に対応してプログラムを変化
させることを特徴とするものである。
【0013】
【実施例】本発明の複写機のプロセス制御安定化方法を
図面と共に説明する。
【0014】図1は本発明を説明するための複写機の概
略断面図であり、符号1は感光体ドラムで、肉厚2m
m、直径100mm、長さ340mmのアルミニウム素
管上に電荷発生層を膜厚0.5μmに均一に塗布した
後、電荷輸送層を膜厚34μmとなるように均一に塗布
した有機半導体材料からなる。2は帯電器で、直径70
μmの白金ワイヤーからなる放電電極と、該放電電極を
取り囲むようにして成るステンレス製シールド電極およ
び板厚0.1mmのステンレス材をエッチング処理によ
って作成したスクリーングリッド電極を備えたスコロト
ロンチャージャである。該スクリーングリッド電極には
CPU16からの信号に基づいて出力可変となる高圧電
源17が接続されている。3は原稿台上の原稿を照明し
反射光を感光体ドラム1上に結像させるための光学系で
ある。4は感光体ドラム1上に形成された静電潜像をト
ナーによって顕像化するための現像器である。5は感光
体ドラム1上にトナー像を転写紙6に転写する転写器で
ある。該転写器5で転写紙6に転写されたトナー像は、
定着器7によって加熱固定され、該転写紙6は機外へと
排出される。8は帯電工程前に感光体ドラム1上に残っ
た表面電位を消去するための除電ランプを有する除電器
である。9は複写機内の温度を検知するための温度検知
手段でサーミスタを用いている。10は標準白色板で、
この像を感光体ドラム1上に焼き付け、現像器4で顕像
化してトナー像を形成し、光センサー11によって標準
白色板10の濃度を検出するようになっている。光セン
サー11は発光部に波長890nmの赤外線発光ダイオ
ードを用い、この赤外線レーザを感光体ドラム1に照射
し、反射光をフォトトランジスタで受光するようになっ
ている。
【0015】上記サーミスタ9および光センサー11の
出力は、それぞれ増幅器12,13によって増幅され、
A/D変換器14,15を介した後、CPU16に入力
されるようになっている。該CPU16はプロセスコン
トロールのためこれらの入力情報に従って、最適なプロ
セス制御が行えるように、帯電器2の電源17、現像器
4の現像バイアス電源18、除電器8の電源19あるい
はコピーランプ駆動回路20を介してコピーランプ電圧
等を制御し、あるいはまたトナー補給駆動装置21を制
御できるようになっている。また、感光体ドラム1の回
転数を正確に計算すべく図示しない感光体ドラム1の駆
動モータに付属するロータリーエンコーダからの発生パ
ルスをCPU16に供給し、この情報に従って帯電器
2,現像器4及び除電器8等の出力を制御できるように
なっている。尚、22はクリーナユニット、23は剥離
除電器、24は転写前除電器、25は原稿載置台であ
る。
【0016】本発明は、上記のような複写機において、
複写プロセスの最適制御システムを採用して常に安定し
た画質を提供するもので、以下に3実施例について詳細
に説明する。
【0017】(実施例1) (1)上記のような複写機を用いて、コピーボタン押下
後の感光ドラム1の表面電位(V)の変化を縦軸とし、
ドラム回転数(回)を横軸として表わした電位特性が図
2である。尚、環境条件は室温25℃,湿度50%の標
準条件であり、感光体ドラム1の放置時間は約60秒で
あった。表面電位の測定は現像器のマグローラの位置に
市販の表面電位計を取り付けることによって測定した。
図から分かるように1回転目、2回転目、3回転目・・
・と表面電位が上昇し比較的早い速度で収束しているこ
とが分かる。
【0018】(2)除電器8の除電ランプ位置を基準に
感光体ドラム1の回転数を感光体ドラム駆動モータ付属
のロータリーエンコーダからのパルス数をカウントし、
この情報に基づいて帯電器8に印加されるスクリーング
リッド電圧(V)を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横
軸として表わした図3に示す関係で変化するように制御
プログラムを作成し、上記(1)と同様に、コピーボタ
ン押下後の感光体ドラム1の表面電位(V)の変化を、
ドラム回転数(回)について表わした特性が図4であ
る。このようにすることによって、感光体ドラム1の1
回転目の表面電位は飽和したときの電位と変わらない値
となる。
【0019】(3)つぎに感光体ドラム1の放置時間と
表面電位の安定性の関係を調べるために、複写終了後か
ら時間計測を開始し、3分後に連続マルチの電位測定を
行った結果が、表面電位(V)の変化を縦軸とし、ドラ
ム回転数(回)を横軸として表わした図5の特性であ
る。上記(1)同様に、ドラム1回転目、2回転目と回
転毎に感光体ドラム1の表面電位が上昇していることが
分かる。
【0020】また、図6では、一定時間毎に連続マルチ
の電位測定を行い、この時の感光体ドラム1の1回転目
の表面電位と表面電位が安定(飽和)したときの表面電
位差(V)を縦軸とし、放置時間(分)を横軸として、
放置時間依存性を調べた特性である。
【0021】このような放置時間依存性を示す原因とし
ては、感光層のトラップ位から光キャリアが解放され
る確率が時間依存性を持っているためと考えられる。す
なわち、長時間の放置においては解放される総量がおお
きいために低い残留電位を示すようになり、図3で設定
した除電条件の制御を上回って感光体ドラム1の表面電
位の変化が大きくなってしまうためである。
【0022】(4)つぎに感光体ドラム1が放置される
時間を計数し、これをもとに補正係数を縦軸とし、放置
時間(分)を横軸として表わした図7に示す関係の放置
時間補正係数を、図3に示すドラム回転数(回)対スク
リーングリッド電圧(V)に乗じるようにして制御する
プログラムを作成し、上記(3)と同様の試験を行っ
た。この制御プログラムでは放置時間が長いときは、帯
電条件のドラム回転毎の変化をより大きくするようにし
たものである。こうすることによって得られた感光体ド
ラム1の表面電位(V)を縦軸とし、ドラム回転数
(回)を横軸とした関係が図8であり、放置時間の変化
にも拘わらず1回転目における表面電位は安定したもの
となる。
【0023】(5)つぎに通常プロセス制御は、中間調
濃度域あるいはカブリ域の両方の補正を行うが、ここで
は中間調濃度でプロセス制御を行った場合について記
す。中間調濃度を確保できるグリッド電圧値を用いて3
個のトナーパッチを感光体ドラムの上に作像する。そし
て、光センサー11でトナー濃度を検出して得られたセ
ンサー出力値と帯電器2のグリッド電圧との関係を調べ
るという方法を採る。図9に示すように、縦軸に光セン
サー11の出力値を表わし、横軸に帯電器2のグリッド
電圧(V)を表わして、得られた点A,B及びCの3点
を直線で結び画像濃度が0.9程度となるセンサー出力
値(基準値とする)と交わった所のグリッド電圧の値を
初期値とし、この初期値は−400Vとなる。この正確
な初期値を知ることによって、例えば感光体ドラム1あ
るいは現像剤の使い込みにより特性変化が生じた時にプ
ロセス制御を行った場合、この初期値となるグリッド電
圧にフィードバックすることによって、常に初期値と変
わらない安定した画像を得ることが可能となる。
【0024】(6)つぎに上記初期値を得るために、従
来方式でプロセス制御を行った中間調濃度特性は、図1
0に示す通りで、感光体ドラム1上に中間調濃度を得る
ためにグリッド電圧を−300V,−350V,−40
0Vと変化させ、現像バイアス電圧を−200Vで一定
とし、ドラム1回転目で2個のトナーパッチを作像し、
2回転目で1個のトナーパッチを作像した。そして、こ
れら3点(a,b,c)から得られたグリッド電圧の初
期値は−360Vとなる。しかしこれらの結果では、感
光体ドラム1回転目と2回転目で表面電位に差があり、
同じ条件でのプロセス制御がなされていないために正確
な初期値が得られていない。本来、感光体ドラム1回転
目と2回転目で表面電位に差がなければc’点の所とな
り初期値は−390Vとなる。そのため従来方式では基
準値となる正確なグリッド電圧値を知ることができな
い。
【0025】しかし、本発明の方法を用いた場合、上記
(4)に従って帯電条件を設定することによって、感光
体ドラムの表面電位は、ドラム1回転目と2回転目で常
に一定の値とすることができるため同一条件でのプロセ
ス制御が可能となる。そのため、図11の中間調濃度補
正特性図では3点(d,e,f)をほぼ直線で結ぶこと
ができ、帯電器2の正確なグリッド電圧の初期値を知る
ことができ、安定したプロセス制御が可能となる。
【0026】(実施例2) (1)上記のような複写機を用いて、実施例1と同様
に、コピーボタン押下後の感光体ドラム1の表面電位
(V)の変化を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横軸と
して表した電位特性が図2である。尚、環境条件は室温
25℃、湿度50%の標準条件であり、1万枚のコピー
を行った感光体ドラム1の電位特性である。表面電位の
測定は現像器のマグローラの位置に市販の表面電位計を
取り付けることによって測定した。図から分かるように
1回転目、2回転目、3回転目・・・と表面電位が上昇
し比較的早い速度で収束していることが分かる。
【0027】(2)除電器8の除電ランプ位置を基準に
感光体ドラム1の回転数を感光体ドラムの駆動モータ付
属のロータリーエンコーダからのパルス数をカウント
し、この情報に基づいて現像器4の現像スリーブに印加
される現像バイアス電圧(V)を縦軸とし、ドラム回転
数(回)を横軸として表わした図12に示す関係で変化
するように制御プログラムを作成し、上記(1)と同様
に、コピーボタン押下後の複写画像の濃度の変化を、ド
ラム回転数(回)について表わした特性が図13であ
る。このようにすることによって、感光体ドラム1の1
回転目の画像濃度は飽和したときの画像濃度とかわから
ない値となる。
【0028】(3)つぎに通算20万枚のコピーを行う
ことによって感光体層が膜減りをおこし、その膜厚が2
5μmにまで減少した感光体ドラム1を用いて図13と
同様の複写画像の濃度の変化を検討した結果が、画像濃
度の変化を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横軸として
表わした特性が図14である。この図から分かるように
20万枚のコピーを施した感光体ドラム1においては、
上記(2)で実施した本発明の方法の効果は十分でな
く、上記(1)と同様に感光体ドラム1の1回転目と3
回転目以降で濃度差が発生していることが分かる。
【0029】また、図15では通算コピー枚数の各段階
での電位変化のうち、感光体ドラム1の1回転目の表面
電位と、表面電位が安定(飽和)したときの表面電位差
(V)を縦軸とし、そのときの通算コピー枚数(100
0枚)を横軸とすることによって、そのコピー枚数によ
る依存性を調べた特性である。
【0030】このようなコピー枚数による電位変化を示
す原因としては、感光層のトラップ準位から光キャリア
が解放される確率が膜厚依存性とトラップ密度依存性を
持っているためと考えられる。すなわち、コピーを撮る
につれて感光層の膜厚が減少するとともに、トラップ密
度が増加するために、いずれか影響の大きいほうに残留
電位が支配されるためと考えられる。本実施例2におい
ては、後者即ちトラップ密度の増加のほうが影響が大き
いため残留電位はコピー枚数につれて上昇したり、この
残留電位のために図12で設定した現像条件の制御を上
回って感光体ドラム1上に画像濃度差が発生する。
【0031】(4)つぎに感光体ドラム1の通算コピー
枚数をもとに補正係数を縦軸とし、通算コピー枚数(1
000枚)を横軸として表わした図16に示す関係の通
算コピー枚数補正係数を、図12に示すドラム回転数
(回)対現像バイアス電圧(V)に乗じるようにして制
御する制御プログラムを作成し、上記(3)と同様の試
験を行った。この制御プログラムでは通算コピー枚数が
増加するにつれて、現像条件のドラム回転毎の変化をよ
り大きくするようにしたものである。こうすることによ
って得られた画像濃度を縦軸とし、ドラム回転数(回)
を横軸とした関係が図17であり、コピー枚数による感
光体の変化にも拘わらず1回転目における画像濃度は安
定したものとなる。
【0032】(5)つぎに通常プロセス制御は、中間調
濃度域あるいはカブリ域の両方の補正を行うがここでは
中間調濃度域でプロセス制御を行った場合について記
す。中間調濃度を確保できる帯電器2グリッド電圧を用
いて3個のトナーパッチを感光体ドラム1上に作像す
る。そして上記実施例1と同様に、光センサー11でト
ナー濃度を検出して得られたセンサー出力値と現像器4
のグリッド電圧との関係を調べるという方法を採る。図
9に示すように、縦軸に光センサー11の出力値を表わ
し、横軸に帯電器2のグリッド電圧(V)を表わして得
られた点A,B及びCの3点を直線で結び画像濃度が
0.9程度となるセンサー出力値(基準値とする)と交
わった所のグリッド電圧の値を初期値とし、この初期値
は−400Vとなる。この正確な初期値を知ることによ
って、例えば感光体ドラム1あるいは現像剤の使い込み
により特性変化が生じた時にプロセス制御を行った場
合、この初期値となるグリッド電圧にフィードバックす
ることによって、常に初期と変わらない安定した画像を
得ることが可能となる。
【0033】(6)つぎに上記初期値を得るために、従
来方式でプロセス制御を行った中間濃度特性は、図10
に示す通りで、感光体ドラム1上に中間調濃度を得るた
めにグリッド電圧を−300V,−350,−400V
と変化させ、現像バイアスを−200Vで一定とし、ド
ラム1回転目で2個のトナーパッチを作像し、2回転目
で1個のトナーパッチを作像した。そして、これら3点
(a,b,c)から得られた初期値(グリッド電圧)は
−360Vとなる。しかしこれらの結果では、感光体ド
ラムの1回転目と2回転目で表面電位に差があり、同じ
条件でのプロセス制御がなされていないために正確な初
期値が得られていない。本来、感光体ドラムの1回転目
と2回転目で表面電位に差がなければc’点の所となり
初期値は−390Vとなる。そのため従来方式では基準
値となる正確なグリッド電圧値を知ることができない。
【0034】しかし、本発明の方法を用いた場合、上記
(4)に従って現像条件を設定することによって、感光
体ドラム1の1回転目でプロセス制御を行うため、図1
1の中間調濃度補正特性正図では3点(d.e,f)を
ほぼ直線で結ぶことができ、さらに通算コピー枚数を計
数する手段を具備し、その信号に対して現像スリーブに
印加される現像バイアス電圧を変化させるために帯電器
2の正確なグリッド電圧の初期値を知ることができ、安
定したプロセス制御が可能となる。
【0035】(実施例3) (1)上記のような複写機を用いて、実施例1及び2と
同様に、コピーボタン押下後の感光体ドラム1の表面電
位(V)の変化を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横軸
として表わした電位特性が図2である。尚、環境条件は
室温25℃、湿度50%の標準条件であり、感光体ドラ
ム1の放置時間は約60秒であった。表面電位の測定は
現像器のマグローラの位置に市販の表面電位計を取り付
けることによって測定した。図から分かるように1回転
目、2回転目、3回転目・・・と表面電位が上昇し比較
的早い速度で収束していることが分かる。
【0036】(2)除電器8の除電ランプ位置を基準に
感光体ドラム1の回転数を感光体ドラム駆動モータ付属
のロータリーエンコーダからのパルス数をカウントし、
この情報に基づいて除電器8に印加される除電ランプ電
圧(V)を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横軸として
表わした図18に示す関係で変化するように制御プログ
ラムを作成し、上記(1)と同様に、コピーボタン押下
後の感光体ドラム1の表面電位(V)の変化を、ドラム
回転数(回)について表わした特性が図19である。こ
のようにすることによって、感光体ドラム1の1回転目
の表面電位と飽和したときの電位と変わらない値とな
る。
【0037】(3)つぎに感光体ドラム1の放置時間と
表面電位の安定性の関係を調べるために、複写終了後か
ら時間計測を開始し、3分後に連続マルチの電位測定を
行った結果が、表面電位(V)の変化を縦軸とし、ドラ
ム回転数(回)を横軸として表わした図20の特性であ
る。上記(1)と同様に、ドラムの1回転目、2回転目
と回転毎に感光体ドラム1の表面電位が上昇しているこ
とが分かる。また、図21では一定時間毎に連続マルチ
の電位測定を行い、この時の感光体ドラム1の1回転目
の表面電位と表面電位が安定(飽和)したときの表面電
位差(V)を縦軸とし、放置時間を横軸として放置時間
依存性を調べた特性である。
【0038】このような放置時間依存性を示す原因とし
ては、感光層のトラップ準位から光キャリアが解放され
る確率が時間依存性を持っているためと考えられる。す
なわち、長時間の放置においては解放される総量が大き
いために低い残留電位を示すようになり、図18で設定
した除電条件の制御を上回って感光体ドラム1の表面電
位の変化が大きくなってしまうためである。
【0039】(4)つぎに感光体ドラム1が放置される
時間を計数し、これをもとに補正係数を縦軸とし、放置
時間(分)を横軸として表わした図22に示す関係の放
置時間補正係数を図18に示すドラム回転数(回)対除
電ランプ電圧(V)に乗じるようにして制御プログラム
を作成し、上記(3)と同様の試験を行った。この制御
プログラムでは放置時間が長いときは、除電条件のドラ
ム回転毎の変化をより大きくするようにしたものであ
る。こうすることによって得られた感光体ドラム1の表
面電位(V)を縦軸とし、ドラム回転数(回)を横軸と
した関係が図23であり、放置時間の変化にも拘わらず
1回転目における表面電位は安定したものとなる。
【0040】(5)つぎに通常プロセス制御は、中間調
濃度域あるいはカブリ域の両方の補正を行うがここでは
中間調濃度でプロセス制御を行った場合について記す。
中間調濃度を確保できるグリッド電圧値を用いて3個の
トナーパッチを感光体上に作像する。そして、光センサ
ー11でトナー濃度を検出して得られたセンサー出力値
と帯電器2のグリッド電圧との関係を調べるという方法
を採る。図9に示すように縦軸に光センサー11の出力
値を表わし、横軸に帯電器2のグリッド電圧(V)を表
わして、得られた点A,B及びCの3点を直線で結び画
像濃度が0.9程度となるセンサー出力値(基準値とす
る)と交わった所のグリッド電圧の値を初期値とし、こ
の初期値は−400Vとなる。この正確な初期値を知る
ことによって、例えば感光体ドラム1あるいは現像剤の
使い込みによる特性変化が生じた時にプロセス制御を行
った場合、この初期値となるグリッド電圧にフィードバ
ックすることによって、常に初期値と変わらない安定し
た画像を得ることが可能となる。
【0041】(6)つぎに上記初期値を得るために、従
来方式でプロセス制御を行った中間調濃度特性は、図1
0に示す通りで、感光体ドラム1上に中間調濃度を得る
ためにグリッド電圧を−300V,−350V,−40
0Vと変化させ、現像バイアス電圧を−200Vで一定
とし、ドラム1回転目で2個のトナーパッチを作像し、
2回転目で1個のトナーパッチを作動した。そして、こ
れら3点(a,b,c)から得られたグリッド電圧の初
期値は−360Vとなる。しかしこれらの結果では、感
光体ドラムの1回転目と2回転目で表面電位に差があ
り、同じ条件でのプロセス制御がなされていないために
正確な初期値が得られていない。本来、感光体ドラムの
1回転目と2回転目で表面電位に差がなければc’点の
所となり初期値は−390Vとなる。そのため従来方式
では基準値となる正確なグリッド電圧値を知ることがで
きない。
【0042】しかし、本発明の方法を用いた場合、上記
(4)に従って除電条件を設定することによって、感光
体ドラムの表面電位は、ドラムの1回転目と2回転目で
常に一定の値とすることができるため、同一条件でのプ
ロセス制御が可能となる。そのため、図11の中間調濃
度補正特性では、3点(d,e,f)をほぼ直線で結ぶ
ことができ、帯電器2の正確なグリッド電圧の初期値を
知ることができ、安定したプロセス制御が可能となる。
【0043】
【発明の効果】本発明の複写機のプロセス制御安定化方
法は、叙上のような構成であるから、感光体の残留電位
の変化に起因する表面電位のコピーボタン押下後、トナ
ーパッチを作像する感光体の1回転目により高い表面電
位が得られるように、帯電条件を設定することによって
感光体上の表面電位は飽和した時と同じ値が得られ、感
光体の1回転にわたってトナーパッチを作像した場合に
おいても常に安定したプロセス制御が得られる。しか
も、除電ランプ位置を感光体の回転方向における基準と
して感光体の1回転にわたってトナーパッチを作像する
ので、除電ランプにより除電を行っていない部分と行っ
た部分の境界部分における残留電位の違いによるトナー
パッチの濃度変化が生じたトナーパッチが作像されるの
を確実に防止することができる。さらには、複写機の待
機時間を計数し、その信号に対応して前記帯電条件の1
回転目の変化割合を変えることによって、感光体の放置
時間依存性をも補償し、最適なプロセス制御が可能とな
る。
【0044】また、トナーパッチを作像する感光体の1
回転目により高い表面電位が得られるように、現像条件
を設定することによって感光体上の画像濃度は、同じ値
が得られ感光体の1回転にわたってトナーパッチを作像
した場合においても常に安定したプロセス制御が得られ
る。しかも、除電ランプ位置を感光体の回転方向におけ
る基準として感光体の1回転にわたってトナーパッチを
作像するので、除電ランプにより除電を行っていない部
分と行った部分の境界部分における残留電位の違いによ
るトナーパッチの濃度変化が生じたトナーパッチが作像
されるのを確実に防止することができる。さらには、複
写機の通算回転数や通算コピー枚数を計数する手段を備
え、その信号に対応して前記現像条件の1回転目の変化
割合を変えることによって、感光体の放置時間依存性を
も補償し、最適なプロセス制御が可能となる。
【0045】更にまた、トナーパッチを作像する感光体
の1回転目により高い表面電位が得られるように、除電
条件を設定することによって感光体上の表面電位は飽和
した時と同じ値が得られ、感光体の1回転にわたってト
ナーパッチを作像した場合においても常に安定したプロ
セス制御が得られる。しかも、除電ランプ位置を感光体
の回転方向における基準として感光体の1回転にわたっ
てトナーパッチを作像するので、除電ランプにより除電
を行っていない部分と行った部分の境界部分における残
留電位の違いによるトナーパッチの濃度変化が生じたト
ナーパッチが作像されるのを確実に防止することができ
る。さらには、複写機の待機時間を計数し、その信号に
対応して前記除電条件の1回転目の変化割合を変えるこ
とによって、感光体の放置時間依存性をも補償し、最適
なプロセス制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロセス制御安定化方法が実施さ
れる電子写真複写機の概略断面図である。
【図2】感光体ドラムを4回転させた場合の1回転目乃
至4回転目での表面電位を示す特性図である。
【図3】図2に示す表面電位の変化をキャンセルするた
めに帯電器に印加するスクリーングリッド電圧特性図で
ある。
【図4】図3に示す制御を行った場合の表面電位の変化
を示す特性図である。
【図5】複写終了後から或は一定時間後における連続複
写での表面電位を示す特性図である。
【図6】一定の放置時間毎に連続複写での1回転目の表
面電位と表面電位が安定したときの表面電位との電位差
特性図である。
【図7】図6に示す特性をキャンセルするための放置時
間補正係数特性図である。
【図8】図7に示す補正係数を図3に示すグリッド電圧
に乗じ、制御を行った場合の表面電位の変化を示す特性
図である。
【図9】トナーパッチ作動ステップにおいて、基準とな
るグリッド電圧を求める手法を説明する図である。
【図10】従来のプロセス制御方法による基準となるグ
リッド電圧を求める手法を説明する図である。
【図11】本発明の実施例によって基準となるグリッド
電圧を求める手法について説明する図である。
【図12】図2に示す表面電位の変化をキャンセルする
ために現像器に印加する現像バイアス電圧特性図であ
る。
【図13】図12に示す制御を行った場合の画像濃度の
変化を示す特性図である。
【図14】多数のコピーを施した感光体で図12に示す
制御を行った場合の画像濃度の変化を示す特性図であ
る。
【図15】通算コピー枚数の各段階毎に連続複写での1
回転目の表面電位と、表面電位が安定したときの表面電
位との電位差特性図である。
【図16】図15に示す特性をキャンセルするための通
算コピー枚数補正係数特性図である。
【図17】図16に示す補正係数を図12に示す現像バ
イアス電圧に乗じ、制御を行った場合の画像濃度の変化
を示す特性図である。
【図18】図2に示す表面電位の変化をキャンセルする
ために除電器に印加する除電ランプ電圧特性図である。
【図19】図18に示す制御を行った場合の表面電位の
変化を示す特性図である。
【図20】複写終了後から或る一定時間後における連続
複写での表面電位を示す特性図である。
【図21】一定の放置時間毎に連続複写での1回転目の
表面電位と表面電位が安定したときの表面電位との電位
差特性図である。
【図22】図21に示す特性をキャンセルするための放
置時間補正係数特性図である。
【図23】図22に示す補正係数を図18に示す除電ラ
ンプ電圧に乗じ、制御を行った場合の表面電位の変化を
示す特性図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 帯電器 4 現像器 5 転写器 8 除電器 9 サーミスタ 11 光センサー 12,13 増巾器 14,15 A/D変換器 16 CPU 17 帯電器2の電源 18 現像器4の現像バイアス電源 19 除電器8の電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 邦夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−202459(JP,A) 特開 平1−253767(JP,A) 特開 平4−165371(JP,A) 特開 平5−94073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/00 303 G03G 15/02 102 G03G 15/06 101 G03G 15/08 115

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光体上のトナー像を検出してプロセス
    制御を行う複写機において、除電ランプ位置を感光体の
    回転方向における基準として感光体の1回転にわたって
    トナーパッチを作像する場合、トナーパッチを作像する
    1回転目の帯電条件を所定のプログラムに従って変化さ
    せて異なるプロセス条件によりトナーパッチを作像し、
    この複数のトナーパッチを検出して得られた検出結果に
    基づいてプロセス制御を行うことを特徴とする複写機の
    プロセス制御安定化方法。
  2. 【請求項2】 複写機の待機時間を積算する手段を具備
    し、該手段の信号に対応してプログラムを変化させるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の複写機のプロセス制
    御安定化方法。
  3. 【請求項3】 感光体上のトナー像を検出してプロセス
    制御を行う複写機において、除電ランプ位置を感光体の
    回転方向における基準として感光体の1回転にわたって
    トナーパッチを作像する場合、トナーパッチを作像する
    1回転目の現像条件を所定のプログラムに従って変化さ
    せて異なるプロセス条件によりトナーパッチを作像し、
    この複数のトナーパッチを検出して得られた検出結果に
    基づいてプロセス制御を行うことを特徴とする複写機の
    プロセス制御安定化方法。
  4. 【請求項4】 複写機の通算回転数あるいは通算コピー
    枚数を計数する手段を具備し、該手段の信号に対応して
    プログラムを変化させることを特徴とする、請求項3に
    記載の複写機のプロセス制御安定化方法。
  5. 【請求項5】 感光体上のトナー像を検出してプロセス
    制御を行う複写機において、除電ランプ位置を感光体の
    回転方向における基準として感光体の1回転にわたって
    トナーパッチを作像する場合、トナーパッチを作像する
    1回転目の除電条件を所定のプログラムに従って変化さ
    せて異なるプロセス条件によりトナーパッチを作像し、
    この複数のトナーパッチを検出して得られた検出結果に
    基づいてプロセス制御を行うことを特徴とする複写機の
    プロセス制御安定化方法。
  6. 【請求項6】 複写機の待機時間を積算する手段を具備
    し、該手段の信号に対応してプログラムを変化させるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の複写機のプロセス制
    御安定化方法。
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