JP6543967B2 - 画像形成装置,画像形成方法,およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は,電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置,画像形成方法,およびプログラムに関する。さらに詳細には,画像形成装置における帯電制御に関するものである。
従来から,感光体上にトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置では,画質低下を防ぐための各種の制御が提案されている。例えば,特許文献1には,感光体の帯電特性の経時変化に対応するための構成として,あらかじめ帯電電圧と感光体の表面電位との関係から感光体の帯電特性の経時変化の程度を求め,経時変化の程度に応じて帯電電圧を変化させる構成が開示されている。
特開平02−87176号公報
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,感光体には,感光体の表面に達していない電荷である残留電荷が存在する。この残留電荷が,帯電装置によって帯電された感光体の表面の電荷の一部を相殺し,感光体の表面電位を目標電位よりも低くすることがある。この表面電位の低下が濃度差やかぶり等の画質低下の要因となる。特に連続してトナー像を形成する場合,露光後の残留電荷が多くなるため,画質低下の問題となる。
本発明は,前記した従来の装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置であって,残留電荷による感光体の表面電位の低下に起因する画質低下を抑制する技術を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,トナー像を形成する形成部であって,感光体と,前記感光体の表面を帯電する帯電装置と,前記感光体の表面に光を照射する露光装置と,前記感光体にトナーを供給するトナー供給装置と,前記感光体上のトナーを被転写材に転写させる転写装置と,を備える前記形成部と,記憶部と,制御部と,を備え,前記制御部は,前記形成部にてトナー像を形成させる形成処理と,前記形成処理中に前記転写装置によりトナーを転写された被転写材の枚数,前記形成処理中の前記感光体の回転数,前記形成処理中の前記帯電装置の帯電時間及び前記形成処理中の前記露光装置の露光時間のうち少なくとも1つを印刷量としてカウントするカウント処理と,前記帯電装置によって帯電させる前記感光体の目標表面電位に基づく基準帯電電圧と,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に基づく補正値と,の加算値に基づいて,前記帯電装置に用いられる帯電電圧を設定する設定処理と,を実行することを特徴としている。
印刷量が多いほど露光回数も多く,残留電荷が多くなる傾向にある。そして,残留電荷が多いほど,帯電装置によって帯電された電荷のうち残留電荷によってキャンセルされる電荷が多くなる。そのため,本明細書に開示される画像形成装置は,帯電装置によって帯電させる感光体の目標表面電位に基づく基準帯電電圧と,印刷量に基づく補正値との加算値に基づいて,帯電装置に用いられる帯電電圧を設定する。このような帯電電圧を用いることで,帯電後の感光体上の電荷の一部が残留電荷によってキャンセルされたとしても,感光体の表面電位を目標電位に保つことが期待できる。
また,前記制御部は,前記形成部が前記露光装置による光の照射を行っていない期間である非形成期間が所定時間を超えたことを条件に含むリセット条件を満たした場合に,前記印刷量をリセットするリセット処理を実行するとよい。残留電荷は非形成期間中に徐々に消滅していくことから,非形成期間が長くなった場合には,印刷量をリセットし,加算される補正値の絶対値を小さくすることで,形成部の稼働状況に応じて感光体の表面電位を目標電位に保つことが期待できる。なお,リセット条件は,非形成期間が所定時間を超えたことを含んでいればよく,他の条件を組み合わせてもよい。
また,前記制御部は,前記設定処理では,前記補正値として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に補正係数を乗算した値を用い,前記補正係数として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が所定値よりも小さい場合は第1の補正係数を用い,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が前記所定値よりも小さくない場合は,前記第1の補正係数よりも絶対値が小さい第2の補正係数を用いるとよい。印刷量が所定値を超えると,印刷量の増加に対する感光体の表面電位の低下幅が少なくなる傾向にある。そのため,印刷量が所定値を超えた後は,補正係数の絶対値を小さくして補正値の増加量を抑える方が好ましい。
また,前記制御部は,前記設定処理では,前記リセット処理が実行された後に前記帯電電圧を設定する場合,前記リセット処理が実行される前に用いた前回の前記第1の補正係数よりも絶対値が大きい値を,今回の前記第1の補正係数として用いるとよい。感光体の経時変化に伴って,同じ帯電電圧を用いたとしても,感光体の表面電位の絶対値が小さくなる傾向にある。そのため,印刷量がリセットされた後は,前回よりも,補正係数の絶対値を大きくする方が好ましい。
また,前記制御部は,前記設定処理では,前記リセット処理が実行された後に前記帯電電圧を設定する場合,前記リセット処理が実行される前に用いた前回の前記第2の補正係数よりも絶対値が大きい値を,今回の前記第2の補正係数として用いるとよい。感光体の経時変化に伴って,同じ帯電電圧を用いたとしても,感光体の表面電位の絶対値が小さくなる傾向にある。そのため,印刷量がリセットされた後は,前回よりも,補正係数の絶対値を大きくする方が好ましい。
また,前記制御部は,前記形成部にてトナー像が形成される度に,前記印刷量の累積値である累積印刷量をカウントする累積カウント処理を実行し,前記設定処理では,前記累積カウント処理にてカウントされる前記累積印刷量が大きいほど,前記基準帯電電圧として,絶対値が大きい値を用いるとよい。新品時からトナー像を形成した数が多いほど,経時変化に伴う感光体の帯電特性の劣化が生じる。そのため,非形成期間によってリセットされる印刷量とは別に,印刷量の累積値である累積印刷量を用い,累積印刷量が大きいほど,基準表面電位の絶対値を大きい値とする方が好ましい。
また,前記制御部は,前記形成部にトナー像を形成させるジョブを受け付ける度に,前記設定処理を実行するとよい。ジョブ単位で帯電電圧を設定する方が,シート単位で帯電電圧を設定する場合と比較して,制御がシンプルである。
また,前記形成部は,前記感光体と接触し,前記感光体上のトナーを除去するクリーニング部材であって,前記感光体の回転に対してカウンター方向に当接されるブレードである前記クリーニング部材を備えるとよい。ブレードを感光体に接触させる構成では,摩擦熱が生じ易く,感光体内で電荷が生じ易い。そのため,残留電荷が多くなり易く,本発明が好適に作用する。
上記画像形成装置の機能を実現するための画像形成方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。
本発明によれば,電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置であって,残留電荷による感光体の表面電位の低下に起因する画質低下を抑制する技術が実現される。
実施の形態にかかるプリンタの概略構成を示す断面図である。 プリンタの感光体を示す説明図である。 プリンタの電気的構成を示すブロック図である。 感光体内部での電荷の移動を示す説明図である。 プリンタの枚数監視処理の手順を示すフローチャートである。 プリンタの印刷処理の手順を示すフローチャートである。 プリンタの帯電制御処理の手順を示すフローチャートである。 連続印刷枚数と感光体表面電位との関係を示すグラフである。 累積印刷枚数と感光体表面電位との関係を示すグラフである。
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像形成機能を備えたプリンタに本発明を適用したものである。
本形態のプリンタ100は,被転写材としてのシートに,電子写真方式によってカラー画像を形成するカラープリンタである。プリンタ100は,図1に示すように,トナー像を形成してシートに転写するプロセス部5と,プロセス部5を通ってシートを搬送する搬送ベルト7と,シート上の未定着のトナーを定着させる定着装置8とを備えている。さらに,プリンタ100は,トナー像転写前のシートを載置する給紙トレイ91と,画像形成後のシートを載置する排紙トレイ92とを備えている。
また,プリンタ100には,図1中に一点鎖線で示すように,略S字形状のシートの経路である搬送路11が設けられている。そして,プリンタ100は,搬送路11に沿ってシートを搬送するための給紙ローラ21と,レジストローラ22と,排紙ローラ23とを備えている。つまり,プリンタ100は,給紙トレイ91に収容されているシートの1枚を,給紙ローラ21,レジストローラ22,搬送ベルト7,排紙ローラ23等を用いて,搬送路11に沿って搬送させ,排紙トレイ92へ排出する。
また,プリンタ100のプロセス部5には,各色のトナー像を形成するための構成が設けられている。具体的に,図1に示すように,プロセス部5には,ブラック色のプロセス部50K,イエロー色のプロセス部50Y,マゼンタ色のプロセス部50M,シアン色のプロセス部50Cが,搬送ベルト7の進行方向に沿って,等間隔に並んで配置されている。なお,各色のプロセス部の並び順は,図1に示した例に限定するものではない。
ブラック色のプロセス部50Kは,図1に示すように,ドラム状の感光体51と,感光体51の周囲に配置された,帯電装置52と,現像装置54と,転写装置55と,クリーナ56とを有している。他色のプロセス部50C,50M,50Yはいずれも,トナーの色以外は,ブラック色のプロセス部50Kと同様の構成である。さらに,プロセス部5は,各色のプロセス部50Y,50M,50C,50Kに共通の構成として,露光装置53を有している。感光体51は,感光体の一例であり,帯電装置52は,帯電装置の一例であり,現像装置54は,トナー供給装置の一例であり,転写装置55は,転写装置の一例であり,クリーナ56は,接触部材の一例であり,露光装置53は,露光装置の一例である。
プリンタ100の感光体51は,図2に断面の一部を模式的に示すように,金属芯511と,金属芯511の周囲に形成された有機感光層512とを有している。つまり,図2中の下側に示した金属芯511は感光体51の中心部であり,図2中の上側に示した有機感光層512は感光体51の表面側の全周に設けられている。金属芯511は,例えば,アルミ製のパイプであり,電気的に接地されている。有機感光層512には,電荷発生剤513と電荷輸送剤514とが,分散している。
なお,本形態のプリンタ100では,有機感光層512として,例えば,ポリカーボネート類を基材として,フタロシアニン類を主成分とする電荷発生剤513と,アゾキノン類,アリールアミン類を主成分とする電荷輸送剤514とを含み,感光体51の径方向に厚さ30μmのものを用いている。なお,例示した材料は,これらに限定するものではなく,トナーの種類等に応じて適宜選択すればよい。有機感光層512についての詳細は後述する。
帯電装置52は,ワイヤとグリッドとを備えるスコロトロン方式の帯電器であり,放電によって感光体51の表面を帯電する。これにより,感光体51の表面がほぼ一様に電荷を帯びる。なお,以下では,帯電装置52のグリッドに印加するグリッド電圧を帯電電圧とする。また,帯電装置52のワイヤに流すワイヤ電流を帯電電流とする。また,感光体51の表面のうち,帯電装置52に向かい合っている範囲であって,帯電装置52と向かい合っている時点での帯電装置52の放電による電荷を受ける範囲を帯電範囲とする。帯電範囲は,感光体51の回転により,感光体51の表面上を移動する。
露光装置53は,レーザ露光方式の露光装置であり,帯電された感光体51の表面に画像データに基づいてレーザ光を照射する。これにより,感光体51の表面上に印刷データに基づいた静電潜像が形成される。露光についての詳細は後述する。
現像装置54は,トナーを収容しており,トナーを帯電させて,現像ローラ541に供給する。また,現像装置54は,現像ローラ541に所定の電圧を印加し,現像ローラ541の電位と感光体51上の静電潜像の電位との電位差を設けることで,帯電させたトナーを感光体51上の静電潜像に供給する。これにより,感光体51上にトナー像が形成される。転写装置55は,搬送ベルト7を挟んで感光体51と平行に配置されている。転写装置55は,転写電流が流されることで電気的に感光体51上のトナー像を引き寄せ,搬送ベルト7にて搬送中のシートに転写する。
クリーナ56は,クリーニングブレードであり,一端部が感光体51に接触して,転写後に感光体51上に残るトナーを掻き取ることで除去する。なお,クリーナ56は,感光体51の回転に対してカウンター方向に当接されている。例えば,図1では,感光体51は図中で時計回り方向に回転され,クリーナ56は,感光体51との接触箇所にて,感光体51の表面の進行方向に対して逆向きの成分を含む方向に押し当てられている。
なお,本形態のプリンタ100は,正帯電性の1成分トナーを使用して画像を形成する。つまり,印刷の実行時に,感光体51の表面は,帯電装置52にて正帯電される。次に,露光装置53にて感光体51の表面の一部が露光されることで,当該一部の電位が低下する。現像装置54に収容されているトナーは,現像装置54にて正極性に帯電され,感光体51の電位が低下した箇所に移動する。
また,印刷の実行時に,プリンタ100は,給紙トレイ91に載置されているシートを1枚ずつ取り出し,そのシートを搬送ベルト7上に搬送する。転写装置55は,転写電流によって負電位とされ,シートの搬送とタイミングを合わせて,感光体51上のトナーを引き寄せる。これにより,シートにトナー像が転写される。
カラー画像を印刷する場合には,プリンタ100は,プロセス部5にて,感光体51に形成された各色のトナー像を,シートに重ねて順次転写する。モノクロ画像を印刷する場合には,プリンタ100は,ブラック色のプロセス部50Kのみを動作させる。その後,プリンタ100は,トナー像が転写されたシートを定着装置8に搬送し,トナー像をそのシートに熱定着させる。そして,定着後のシートを排紙トレイ92に排出する。
続いて,プリンタ100の電気的構成について説明する。本形態のプリンタ100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34とを含むコントローラ30を備えている。また,プリンタ100は,プロセス部5と,ネットワークインターフェース37と,USBインターフェース38と,操作パネル40とを備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。なお,図1中のコントローラ30は,CPU31等,プリンタ100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にプリンタ100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。CPU31は,制御部の一例である。なお,コントローラ30が制御部であってもよい。NVRAM34は,記憶部の一例である。
ネットワークインターフェース37は,LANケーブル等を用いてネットワークを介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。USBインターフェース38は,USBケーブル等を介して接続された装置と通信を行うためのハードウェアである。また,操作パネル40は,ユーザに対する報知の表示と,ユーザによる指示入力の受け付けとを担うハードウェアである。操作パネル40は,例えば,液晶ディスプレイと,スタートキー,ストップキー,テンキー等から構成されるボタン群とを備える。
続いて,プリンタ100における帯電電圧の設定方法について説明する。本形態のプリンタ100において,帯電後で露光前の感光体51に表面電位が部分的に低下した箇所があると,低下した箇所の電位は,露光後の静電潜像の箇所の電位との差が小さい。その一方,帯電したトナーの帯電量にもばらつきがあるため,帯電量の大きなトナーは,表面電位が低下した箇所であって静電潜像ではない箇所へ移動する可能性がある。そして,感光体51の表面のうち,静電潜像以外の箇所にトナーが付着すると,例えば,一定幅の直線を形成したいにもかかわらず部分的に幅の広い直線となってしまうことがあり,画像品質の低下を招く可能性がある。そこで,画像品質の低下を抑制するためには,現像直前の位置における感光体51の表面電位が,ばらつきの少ない安定した電位となっていることが望まれる。
感光体51は,図2に示したように,電荷発生剤513と電荷輸送剤514とを含む有機感光層512を有している。電荷発生剤513は,光や熱等のエネルギーを受けて,プラス電荷とマイナス電荷とを発生させる。発生した電荷は,電荷輸送剤514によって運ばれ,有機感光層512の内部を移動する。つまり,感光体51の表面と金属芯511との間の電位差により,プラス電荷とマイナス電荷とは別々に分かれて,感光体51の中心側と表面側とにそれぞれ移動する。
例えば,感光体51の表面が金属芯511のレベルに対して正電位となっている状態では,図2に示したように,発生した電荷のうちの,マイナス電荷は感光体51の表面へ向かって移動し,プラス電荷は金属芯511へ向かって移動する。感光体51の表面電位が高いほど,マイナス電荷を引きつける力が大きく,マイナス電荷の移動速度は速い。そして,感光体51の表面にマイナス電荷が到達すると,感光体51の表面の正の電荷と結びついて電荷が相殺される。その結果,その箇所の電位が低下する。
また,本形態のプリンタ100は,前述したように,正帯電性のトナーを使用するため,帯電装置52は感光体51の表面を正極性に帯電させる。露光時には,露光装置53から発生されるレーザ光のエネルギーによって,有機感光層512に電荷が発生する。帯電によって感光体51の表面は正電位となっているので,発生した電荷のうちのマイナス電荷が,感光体51の表面に引き寄せられて,その箇所の感光体51の表面電位を低下させる。これにより,感光体51の表面に静電潜像が形成される。そして,現像装置54は,正帯電させたトナーにて,電位が低下した静電潜像の部分を現像する。
本形態のプリンタ100では,前述したように,感光体51の表面にクリーナ56が接触している。特に,本形態のプリンタ100は,クリーナ56として接触タイプのブレード部材を使用し,クリーナ56を感光体51の表面に圧接している。そのため,感光体51とクリーナ56との接触箇所にて摩擦熱が発生する。そして,図4(A)に示すように,この摩擦熱のエネルギーを受けて,感光体51の有機感光層512内で電荷が発生する場合がある。
クリーナ56との接触箇所にて発生した電荷も,前述した露光によるものと同様に移動する。つまり,図4(B)に示すように,発生した電荷のうちのマイナス電荷は,正帯電している感光体51の表面側に向かって移動する。さらに,感光体51の表面に到達したマイナス電荷は,図4(B)中に破線で囲んで示すように,感光体表面のプラス電荷と結びついて当該プラス電荷を相殺し,その部分の感光体51の電位を低下させる。プリンタ100では,有機感光層512の層内で発生し,感光体の表面等に達していない残留電荷のうち,マイナス電荷が感光体51の電位低下の一因となっている。以下では,感光体51の内部に残留する残留電荷のうち,帯電極性と逆極性の電荷を,単に,「残留電荷」とする。
この残留電荷による感光体51の表面電位の相殺が,帯電後で現像前の位置で発生すると,印刷濃度に影響を与える可能性がある。例えば,図4(C)に示すように,帯電後の位置で,残留電荷が感光体51の表面に到達した場合,その箇所の感光体51の電位が低下する。なお,この図4に示した部分の感光体51は,回転により図中で右方向へ移動している。帯電範囲で残留電荷が多い場合には,帯電後に感光体51の表面に到達する残留電荷が多い可能性が高い。本形態のプリンタ100は,帯電後に残留電荷によって相殺されても,感光体51の表面電位が所定の目標表面電位以上となるように,帯電電圧を制御する。
なお,プリンタ100におけるクリーナ56と感光体51との接触箇所は,転写後であって帯電前の位置である。そのため,クリーナ56の摩擦熱によって発生した電荷のうちのマイナス極性の電荷は,帯電範囲で残留電荷となる可能性がある。特に,電荷の発生量が多かったり,発生後のマイナス電荷の移動速度が遅かったりすると,帯電範囲で残留電荷が多くなる可能性が高い。
プリンタ100では,連続して印刷することにより,感光体51の内部の残留電荷の量が増加する。これは,露光やクリーナ56等にて電荷の発生が連続しておきるため,電荷の発生量が,感光体51の表面等に移動して相殺される量よりも多いためであると推測される。その結果として,帯電後における,残留電荷による感光体51の表面電位の低下幅が大きくなっている。そのため,プリンタ100では,印刷量をカウントし,印刷量に基づいて帯電電圧を補正する。
印刷量は,例えば,感光体51の回転数,帯電装置52の帯電時間及び露光装置53の露光時間のうち少なくとも1つ,または,これらに換算できる数である。本形態では,印刷量として,A4サイズのシートへの印刷枚数を使用する。例えば,感光体51の回転数は,A4サイズのシートへの印刷枚数に基づいて算出することができる。
具体的に,プリンタ100の帯電電圧は,新品基準帯電電圧と補正値との加算値に基づいて取得される。新品基準帯電電圧は,例えば,新品の感光体51を目標表面電位に帯電するための帯電電圧である。プリンタ100は,装置内の温度や湿度,印刷設定等に基づいて,新品基準帯電電圧を決定する。以下では,新品基準帯電電圧をV0とする。なお,前述したように,本形態のプリンタ100では,帯電電圧は正値であり,帯電電圧を補正する各補正値も正値である。
一方,補正値は,印刷量に依存する値である。本形態のプリンタ100は,印刷量として,連続印刷枚数m1と感光体51の新品からの累積印刷枚数m2とをカウントし,両カウント値をNVRAM34に記憶する。本形態では,前回の印刷からの経過時間が所定期間以内である印刷を連続印刷とし,連続印刷にて印刷した枚数を連続印刷枚数m1とする。プリンタ100は,記憶している連続印刷枚数m1または累積印刷枚数m2が多いほど,補正値を大きい値とする。
続いて,前述した各印刷枚数に応じた帯電制御を行うプリンタ100の動作を実現する枚数監視処理の手順について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。この枚数監視処理は,プリンタ100の電源オンを契機にCPU31によって実行される。
枚数監視処理では,プリンタ100は,まず,印刷停止期間をクリアする(S101)。印刷停止期間は,印刷を実行していない期間である。印刷停止期間については,後述する。さらに,プリンタ100は,連続印刷枚数m1をクリアする(S102)。プリンタ100では,電源オフの期間を取得していないので,電源オン時には,それまでの印刷停止期間を取得できない。プリンタ100は,S102では,電源オフの期間が所定期間を超えていると見なして印刷量をリセットする。S102は,リセット処理の一例である。なお,連続印刷枚数m1は,RAM33に記憶してもよく,その場合はS102を省略する。
そして,プリンタ100は,電源オフの指示を受け付けたか否かを判断する(S103)。プリンタ100は,電源オフの指示を受け付けたと判断したことに応じて(S103:YES),枚数監視処理を終了する。
電源オフを受け付けていないと判断したことに応じて(S103:NO),プリンタ100は,印刷ジョブを受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷ジョブを受け付けたと判断したことに応じて(S105:YES),プリンタ100は,印刷停止期間をクリアする(S107)。さらに,プリンタ100は,印刷処理を実行する(S108)。
次に,枚数監視処理のS108にて実行される印刷処理の手順について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷処理では,プリンタ100は,まず,定着装置8のウォームアップおよび各部の印刷準備動作を開始する(S201)。さらに,プリンタ100は,帯電装置52に印加する帯電電圧を決定するための帯電制御処理を実行する(S202)。帯電制御処理は,設定ステップ及び設定処理の一例である。
次に,印刷処理のS202にてプリンタ100の帯電電圧を決定する帯電制御処理の手順について,図7のフローチャートを参照しつつ説明する。帯電制御処理では,プリンタ100は,まず,新品の感光体51に適用される帯電電圧である新品基準帯電電圧V0を取得する(S301)。プリンタ100は,例えば,目標表面電位,装置内の温度や湿度,印刷設定等に基づいて,新品基準帯電電圧V0を決定する。
そして,プリンタ100は,NVRAM34から,連続印刷枚数m1と累積印刷枚数m2とを読み出す(S303)。連続印刷枚数m1は,前述したように,所定期間以上の時間間隔を空けずにほぼ連続してこの時点までに印刷された印刷枚数である。累積印刷枚数m2は,感光体51を用いて,新品時からこの時点までに印刷された累積の印刷枚数である。プリンタ100は,感光体51が新品に交換された場合,累積印刷枚数m2をリセットする。連続印刷枚数m1は,印刷量の一例である。累積印刷枚数m2は,累積印刷量の一例である。
プリンタ100にて,帯電装置52での帯電電圧を所定の帯電電圧として,印刷を行った場合の感光体51の表面電位は,連続印刷枚数m1や累積印刷枚数m2の増加につれて次第に低下する。しかし,表面電位は,枚数の増加に対して直線的に低下するわけではない。例えば,図8に示すように,連続印刷枚数m1が所定枚数Qを超えると,所定枚数Qまでの場合よりも,印刷枚数の増加に対する表面電位の低下幅が減少する。所定枚数Qは,所定量の印刷量の一例である。
図8は,2000枚の印字を連続して行った場合の,印刷枚数に対する感光体51の表面電位の測定結果の例を示すグラフである。同様の実験を繰り返すことで,プリンタ100では,連続印刷の開始後,500〜1000枚の印刷後に,印刷枚数の増加に対する表面電位の低下幅が減少することがわかった。具体的に,帯電後の感光体51の表面電位は,図8に示すように,連続印刷枚数m1が所定枚数Q未満では直線L1,連続印刷枚数m1が所定枚数Qを超えると直線L2に沿って低下する。直線L2は,直線L1よりも傾きの絶対値が小さい直線である。
なお,連続印刷枚数m1の増加に対する表面電位の増加量の傾きが変化する原因として,例えば,オゾンの影響の可能性がある。電子写真方式のプリンタ100にて印刷を実行すると,プリンタ100の内部でオゾンが発生する。オゾンは,分解しやすい不安定な分子であり,酸素と酸素イオンとに分解する。そして,発生した酸素イオンは,強酸性であるため,感光体51の表面近くに位置する電荷輸送剤514を化学劣化させ,電荷輸送剤514の輸送機能を低下させる。一方,酸素イオンによる化学劣化は,感光体51の表面近くにしか及ばず,表面近くに位置する電荷輸送剤514のほとんどが化学劣化した後は,輸送機能の低下の程度は小さくなると推測される。そのため,ある程度以上連続して印刷すると,オゾンによる感光体51の表面電位の低下幅は小さくなると推測される。なお,所定枚数Qの値は,感光体51の材質やサイズによって適宜選択される。
また,プリンタ100では,印刷を実行しない期間である印刷停止期間を所定期間以上設けることで,帯電装置52での帯電電圧を所定の帯電電圧とした場合の感光体51の表面電位は,印刷停止前よりも大きくなる。例えば,図9に示すように,連続印刷と所定期間の印刷停止とを繰り返すと,連続印刷中には感光体51の表面電位は低下し続け,印刷停止期間の後には停止前よりも回復する。図9は,連続した2000枚の印字と,10時間以上の印刷停止期間とを繰り返した場合の,累積印刷枚数m2に対する感光体51の表面電位の測定結果の例を示すグラフである。
これは,新たな残留電荷が発生しない印刷停止期間中に,感光体51の内部の残留電荷の多くが,感光体51の表面に移動して表面電荷と相殺されることにより,感光体51の内部の残留電荷が少なくなるためであると推測される。印刷停止期間は,帯電装置52による帯電処理を行っていない期間であり,露光装置53による光の照射を行っていない期間である。印刷停止期間は,非形成期間の一例であり,所定期間は,所定時間の一例である。
しかし,印刷停止期間の後の最初の印刷における感光体51の表面電位は,累積印刷枚数m2に応じて低下する。これは,帯電処理を繰り返すことで,感光体51の帯電性能が低下するためであると推測される。具体的に,図9に示すように,累積印刷枚数m2に対する印刷停止期間後の感光体51の表面電位は,直線L3に沿って低下する。図9の例と同様の実験を繰り返すことで,例えば,印刷停止期間が5時間程度の所定期間以上であれば,完全に回復するまでには至らないまでも,ほぼ直線L3の位置まで回復することが分かった。一方,10分程度の印刷停止でも,ある程度は回復することも分かった。
さらに,図9に示すように,所定時間以上の印刷を停止した後,連続印刷を開始してからの印刷枚数の増加に対する表面電位の低下幅は,累積印刷枚数m2に応じて次第に大きくなる。つまり,前述した直線L1と直線L2との傾きは,固定値ではなく,累積印刷枚数m2に応じて次第に大きくなる。これは,累積印刷枚数m2が多くなるにつれて,感光体51が,その内部に残留電荷が多くなるからであると推測される。
前述した測定結果を踏まえ,プリンタ100では,直線L1の傾きの絶対値を係数k1,直線L2の傾きの絶対値を係数k2,直線L3の傾きの絶対値を係数k3とする。ただし,前述したように,係数k1は係数k2よりも大きく,また,係数k1と係数k2とは,累積印刷枚数m2に応じて変化し,いずれも,累積印刷枚数m2が多いほど大きい値である。図9に示すように,例えば,印刷停止期間の前後の連続印刷を比較すると,前回の連続印刷での係数k1よりも,今回の連続印刷での係数k1の方が大きい。また,前回の連続印刷での係数k2よりも,今回の連続印刷での係数k2の方が大きい。一方,係数k3は,感光体51の種類等に応じた固定値であり,予めROM32に記憶されている。
プリンタ100では,連続印刷枚数m1と累積印刷枚数m2とから,表面電位の低下を補う補正値を算出し,算出結果に基づいて,印加する帯電電圧を決定する。つまり,プリンタ100は,前述した表面電位の低下を補うために,低下幅に見合うだけ絶対値の大きい帯電電圧を印加する。
そこで,帯電制御処理では,プリンタ100は,S303にて読み出した連続印刷枚数m1と累積印刷枚数m2とを使用して,新品基準帯電電圧V0を補正するための各種の補正値を求める。まず,プリンタ100は,以下の(式1)によって,第1補正値α1を取得する(S304)。
α1 = k3×(m2−m1) … (式1)
第1補正値α1は,今回の連続印刷の開始時における補正値である。(式1)中の(m2−m1)は,今回の連続印刷の開始時における累積印刷枚数である。
そして,プリンタ100は,S301にて取得した新品基準帯電電圧V0に,S304にて取得した第1補正値α1を加算して,基準帯電電圧V1を取得する(S305)。基準帯電電圧V1は,今回の連続印刷の開始時における基準帯電電圧であり,例えば,夜間停止していたプリンタ100の電源オン時の基準帯電電圧である。なお,(m2−m1)は0以上であるので,基準帯電電圧V1は,新品基準帯電電圧V0以上であり,累積印刷枚数m2が多いほど大きい値である。
次に,プリンタ100は,今回の連続印刷を開始してからの補正値である第2補正値α2を取得する。そのために,プリンタ100は,連続印刷枚数m1が所定枚数Qを超えているか否かを判断する(S306)。前述したように,連続印刷枚数m1が所定枚数Qを超えているか否かによって,表面電位の変化の度合が異なるからである。
プリンタ100は,連続印刷枚数m1が所定枚数Q以下であると判断したことに応じて(S306:NO),以下の(式2)によって第2補正値α2を取得する(S307)。
α2 = k1×m1 … (式2)
つまり,第2補正値α2は,連続印刷枚数m1に係数k1を乗算した値である。この(式2)にて,係数k1は,第1の補正係数の一例である。
一方,プリンタ100は,連続印刷枚数m1が所定枚数Qを超えていると判断したことに応じて(S306:YES),以下の(式3)によって第3補正値α3を取得する(S308)。
α3 = (k1×Q) + (k2×(m1−Q)) … (式3)
つまり,第3補正値α3は,連続印刷枚数m1が所定枚数Qの時点における第2補正値α2に,それ以降の印刷枚数に係数k2を乗算した補正値を加えた値である。この(式3)にて,係数k2は,第2の補正係数の一例である。
そして,プリンタ100は,基準帯電電圧V1に,S307にて取得した第2補正値α2またはS308にて取得した第3補正値α3のいずれか一方を加算して,補正後の帯電電圧を取得し(S310),帯電制御処理を終了する。
図6の印刷処理に戻り,プリンタ100は,ウォームアップが完了したか否かを判断する(S203)。ここで,ウォームアップの完了は,定着装置8が所定の温度に到達したか否かにより判断する。ウォームアップが完了していないと判断した場合(S203:NO),プリンタ100は,ウォームアップを継続する。一方,ウォームアップが完了したと判断したことに応じて(S203:YES),プリンタ100は,S202の帯電制御処理にて決定した帯電電圧を帯電装置52のグリッドに印加する(S205)。そして,プリンタ100は,1枚の印刷を実行する(S206)。S206は,形成処理の一例である。
そして,プリンタ100は,連続印刷枚数m1をカウントアップする(S207)。S207は,カウント処理の一例である。さらに,プリンタ100は,累積印刷枚数m2をカウントアップする(S208)。S208は,累積カウント処理の一例である。そして,プリンタ100は,S207とS208にてカウントアップした連続印刷枚数m1と累積印刷枚数m2とを,NVRAM34に記憶する(S209)。
そして,プリンタ100は,受け付けた印刷ジョブの印刷が終了したか否かを判断する(S211)。終了していないと判断したことに応じて(S211:NO),プリンタ100は,S206に戻り,同じ帯電電圧を用いてさらに1枚印刷する。なお,プリンタ100は,印刷の進行状況や用紙の搬送状況に応じて,必要な期間のみ帯電電圧を印加する。そして,印刷ジョブが終了したと判断したことに応じて(S211:YES),プリンタ100は,印刷処理を終了する。
図5の枚数監視処理に戻り,プリンタ100は,印刷停止期間のカウントをスタートする(S109)。さらに,S103に戻って,プリンタ100は,電源オフの入力を受け付けたか否かを判断する。そして,電源オフの入力を受け付けていないと判断したことに応じて(S103:NO),プリンタ100は,印刷ジョブを受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷ジョブを受け付けていないと判断したことに応じて(S105:NO),プリンタ100は,S109にて計時を開始したカウンタに基づいて,印刷停止期間が所定期間を超えたか否かを判断する(S111)。
印刷停止期間が所定期間を超えたと判断したことに応じて(S111:YES),プリンタ100は,連続印刷枚数m1をクリアする(S112)。S112は,リセット処理の一例である。そして,プリンタ100は,S103に戻って,電源オフの入力を受け付けたか否かを判断する。一方,印刷停止期間が所定期間を超えていないと判断したことに応じて(S111:NO),プリンタ100は,S103に戻って,電源オフの入力を受け付けたか否かを判断する。
以上,詳細に説明したように,本形態のプリンタ100は,印刷枚数をカウントしてNVRAM34に記憶する。そして,感光体51の目標電位に基づく基準帯電電圧と,カウントする印刷枚数に基づく補正値との加算値に基づいて,帯電電圧を設定する。印刷枚数に基づく補正値を加算することで,感光体51の内部に存在すると推測される残留電荷の量に応じた帯電電圧が設定される。従って,残留電荷が帯電後に感光体51の表面に到達して,感光体51の表面電位が下がったとしても,十分な表面電位の確保が期待できる。従って,画質低下の抑制が期待できる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタに限らず,複写機,スキャナ,FAX等,電子写真方式の画像形成機能を備えるものであれば適用可能である。また,カラープリンタに限らず,モノクロ専用のプリンタに適用することもできる。
また,帯電電圧は,基準帯電電圧に補正値を加算した値に基づいて設定されればよく,その値そのものの他,例えば,環境や印刷設定等の要因に基づく他の補正値をさらに加算した値であってもよい。また,本形態にて用いた数値は,いずれも一例であり,これに限らない。感光体51の種類,トナーの種類等に応じて適宜選択すればよい。
また,新品基準帯電電圧は,プロセス部5の各色で一律の値であってもよいし,色ごとに異なる値であってもよい。また,印刷量は,印刷枚数に限らず,1回のトナー像の形成で固定値が加算されるデータであってもよいし,環境や紙種に応じて加算されるポイントが異なるデータであってもよい。また,本形態では,係数k1,k2,k3を使用して補正値を算出するとしたが,これら全てを使用するものに限らない。例えば,係数k1と係数k2とは,共通の係数としてもよい。
また,本形態では,正帯電性のトナーを使用するプリンタ100について説明したが,負帯電性のトナーを使用するプリンタに適用することもできる。その場合には,帯電極性や残留電荷の極性が本形態とは逆極性となる。そのため,帯電電圧を補正する各補正値も,本形態の値に対して正負を逆にした値となる。
また,本形態では,電源オフの期間を取得しないとしたが,取得してもよい。例えば,電源オフ時に時刻を記憶するプリンタでは,電源オン時に電源オフの期間を取得可能である。その場合には,一律にクリアするS102に代えて,電源オフの期間に応じて,印刷量をクリアするか否かを判断する処理とすればよい。
また,本形態では,残留電荷の量に応じて,帯電装置52のグリッド電圧を制御するとしたが,ワイヤ電流の制御によってもよい。つまり,帯電範囲に残留電荷が多いと判断される場合,グリッド電圧を大きくする代わりに,ワイヤ電流を大きくしてもよい。また,本発明は,スコロトロン方式の帯電装置に限らず,コロトロン方式の帯電装置や帯電ローラ,帯電ブラシ等による接触帯電方式の帯電装置にも適用可能である。
また,本形態のプリンタ100では,感光体51として,電荷発生剤513と電荷輸送剤514とを含む有機感光層512の1層構造のものとしたが,これに限らない。例えば,金属芯511の側から,電荷発生剤513を含まず電荷輸送材514を含む輸送層と,電荷発生剤513と電荷輸送剤514とを含む発生層と,を有する2層構造のものであってもよい。また,例えば,さらに表面層等を含む3層以上の構造であってもよい。
また,接触部材は,ブレード状のクリーナ56に限らない。ただし,クリーナ56がブレード部材であると,ローラ部材やブラシ部材によるクリーナを有するプリンタに比較して,電荷が発生しやすく,帯電範囲での残留電荷が多い傾向にある。従って,ブレード部材によるクリーナ56を有するプリンタ100では,本発明が特に有用である。
また,ジョブの実行中にも帯電電圧を制御してもよい。例えば,ジョブの実行中に装置内の温度が所定の範囲を超えて高くなったら,帯電電圧を低下させるとしてもよい。また,例えば,1枚の印刷ごとに帯電制御処理を実行してもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
31 CPU
34 NVRAM
51 感光体
52 帯電装置
53 露光装置
54 現像装置
55 転写装置
56 クリーナ
100 プリンタ

Claims (9)

  1. トナー像を形成する形成部であって,
    感光体と,
    前記感光体の表面を帯電する帯電装置と,
    前記感光体の表面に光を照射する露光装置と,
    前記感光体にトナーを供給するトナー供給装置と,
    前記感光体上のトナーを被転写材に転写させる転写装置と,
    を備える前記形成部と,
    記憶部と,
    制御部と,
    を備え,
    前記制御部は,
    前記形成部にてトナー像を形成させる形成処理と,
    前記形成処理中に前記転写装置によりトナーを転写された被転写材の枚数,前記形成処理中の前記感光体の回転数,前記形成処理中の前記帯電装置の帯電時間及び前記形成処理中の前記露光装置の露光時間のうち少なくとも1つを印刷量としてカウントするカウント処理と,
    前記帯電装置によって帯電させる前記感光体の目標表面電位に基づく基準帯電電圧と,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に基づく補正値と,の加算値に基づいて,前記帯電装置に用いられる帯電電圧を設定する設定処理と,
    を実行し,
    前記設定処理では,
    前記補正値として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に補正係数を乗算した値を用い,
    前記補正係数として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が所定値よりも小さい場合は第1の補正係数を用い,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が前記所定値よりも小さくない場合は,前記第1の補正係数よりも絶対値が小さい第2の補正係数を用いる,
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載する画像形成装置において,
    前記制御部は,
    前記形成部が前記露光装置による光の照射を行っていない期間である非形成期間が所定時間を超えたことを条件に含むリセット条件を満たした場合に,前記印刷量をリセットするリセット処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項2に記載する画像形成装置において,
    前記制御部は,
    前記設定処理では,前記リセット処理が実行された後に前記帯電電圧を設定する場合,前記リセット処理が実行される前に用いた前回の前記第1の補正係数よりも絶対値が大きい値を,今回の前記第1の補正係数として用いることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載する画像形成装置において,
    前記制御部は,
    前記設定処理では,前記リセット処理が実行された後に前記帯電電圧を設定する場合,前記リセット処理が実行される前に用いた前回の前記第2の補正係数よりも絶対値が大きい値を,今回の前記第2の補正係数として用いることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
    前記制御部は,
    前記形成部にてトナー像が形成される度に,前記印刷量の累積値である累積印刷量をカウントする累積カウント処理を実行し,
    前記設定処理では,前記累積カウント処理にてカウントされる前記累積印刷量が大きいほど,前記基準帯電電圧として,絶対値が大きい値を用いることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
    前記制御部は,
    前記形成部にトナー像を形成させるジョブを受け付ける度に,前記設定処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
    前記形成部は,
    前記感光体と接触し,前記感光体上のトナーを除去するクリーニング部材であって,前記感光体の回転に対してカウンター方向に当接されるブレードである前記クリーニング部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
  8. トナー像を形成する形成部であって,
    感光体と,
    前記感光体の表面を帯電する帯電装置と,
    前記感光体の表面に光を照射する露光装置と,
    前記感光体にトナーを供給するトナー供給装置と,
    前記感光体上のトナーを被転写材に転写させる転写装置と,
    を備える前記形成部と,
    記憶部と,
    を備える画像形成装置の画像形成方法であって,
    前記形成部にてトナー像が形成される度に,前記感光体の回転数,前記帯電装置の帯電時間及び前記露光装置の露光時間のうち少なくとも1つを印刷量としてカウントするカウントステップと,
    前記カウントステップにてカウントされる前記印刷量を,前記記憶部に記憶する記憶ステップと,
    前記帯電装置によって帯電させる前記感光体の目標表面電位に基づく基準帯電電圧と,前記カウントステップにてカウントされる前記印刷量に基づく補正値と,の加算値に基づいて,前記帯電装置に用いられる帯電電圧を設定する設定ステップと,
    を含み,
    前記設定ステップでは,
    前記補正値として,前記カウントステップにてカウントされる前記印刷量に補正係数を乗算した値を用い,
    前記補正係数として,前記カウントステップにてカウントされる前記印刷量が所定値よりも小さい場合は第1の補正係数を用い,前記カウントステップにてカウントされる前記印刷量が前記所定値よりも小さくない場合は,前記第1の補正係数よりも絶対値が小さい第2の補正係数を用いる,
    ことを特徴とする画像形成方法。
  9. トナー像を形成する形成部であって,
    感光体と,
    前記感光体の表面を帯電する帯電装置と,
    前記感光体の表面に光を照射する露光装置と,
    前記感光体にトナーを供給するトナー供給装置と,
    前記感光体上のトナーを被転写材に転写させる転写装置と,
    を備える前記形成部と,
    記憶部と,
    を備える画像形成装置に,
    前記形成部にてトナー像を形成させる形成処理と,
    前記形成処理中に前記転写装置によりトナーを転写された被転写材の枚数,前記形成処理中の前記感光体の回転数,前記形成処理中の前記帯電装置の帯電時間及び前記形成処理中の前記露光装置の露光時間のうち少なくとも1つを印刷量としてカウントするカウント処理と,
    前記帯電装置によって帯電させる前記感光体の目標表面電位に基づく基準帯電電圧と,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に基づく補正値と,の加算値に基づいて,前記帯電装置に用いられる帯電電圧を設定する設定処理と,
    を実行させ,
    前記設定処理では,
    前記補正値として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量に補正係数を乗算した値を用い,
    前記補正係数として,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が所定値よりも小さい場合は第1の補正係数を用い,前記カウント処理にてカウントされる前記印刷量が前記所定値よりも小さくない場合は,前記第1の補正係数よりも絶対値が小さい第2の補正係数を用いる,
    ることを特徴とするプログラム。
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