まず、本発明の一実施形態に係るカラープリンター1(画像形成装置)の全体の構成について図1を参照しながら説明する。以下、説明の便宜上、図1における紙面手前側をカラープリンター1の前側とする。
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2(装置本体)を備え、プリンター本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられる。
プリンター本体2の中央部には、中間転写ベルト5(像担持体)が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト5の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光部6が配置される。中間転写ベルト5の下側には、4個の画像形成部7がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられる。中間転写ベルト5の右端には、二次転写部8が設けられ、中間転写ベルト5の左端には、ベルトクリーニング部10が設けられる。二次転写部8は、中間転写ベルト5の右端側の一部と二次転写ローラー8aとで構成される。
各画像形成部7には、感光体ドラム11(正帯電単層型感光体)が回転可能に設けられており、感光体ドラム11の周囲には、帯電部12と、現像部13と、一次転写部14と、除電部15と、感光体クリーニング部16とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像部13の上方には、各画像形成部7と対応するトナーコンテナ17が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部7については後述する。
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路20が上下方向に設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には上記の二次転写部8が設けられ、搬送経路20の下流部には定着部22が設けられ、搬送経路20の下流端には排紙口23が設けられる。
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着部22の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電部12によって感光体ドラム11の表面が帯電された後、露光部6からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ17から供給されるトナーによって現像部13が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部14において中間転写ベルト5の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部7が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム11上に残留した電荷及びトナーは、除電部15及び感光体クリーニング部16によって除去される。
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部8へと搬送され、二次転写部8において、中間転写ベルト5上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着部22に進入し、この定着部22において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口23から排紙トレイ4上に排出される。
次に、図2を参照して、各画像形成部7について説明する。マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナーにそれぞれ対応する4つの画像形成部7は、同じ構成であるため、以下では、1つの画像形成部7(例えば、ブラックのトナーに対応する画像形成部7)について説明する。
画像形成部7において、感光体ドラム11は、前後方向に長形の円柱形状に形成され、電荷発生剤と電荷輸送剤とが同一層に含有された感光層を備える正帯電単層型感光体で構成される。感光体ドラム11を形成するための感光体塗布液は、例えば、電荷発生剤(無金属フタロシアニン)5質量部と、正孔輸送剤50質量部と、電子輸送剤35質量部と、結着樹脂(粘度平均分子量67000)100質量部とを、テトラヒドロフラン800質量部と共にボールミルにて50時間の間、混合分散することで調整される。そして、この塗布液を導電性基板上にディップコート法にて塗布し、その後100℃で40分間の間、熱風乾燥することによって得られる感光層膜厚36μm(直径30mm)の感光体を、感光体ドラム11として使用する。
帯電部12は、筐体30と、帯電ローラー31と、ブラシローラー32と、を備える。筐体30は、前後方向に長形の箱型形状に形成され、上端に開口30aを有していて、開口30aを感光体ドラム11の下側に対向させて配置される。帯電ローラー31は、前後方向に長形の円柱形状に形成され、エピクロルヒドリンゴムを主成分とするゴムの帯電層31bを回転軸31aの外周面に積層して構成され、直径12mmを有する。帯電ローラー31は、筐体30の内部で開口30a付近に回転可能に設けられ、周面の一部が開口30aから外部に露出して感光体ドラム11に接触している。ブラシローラー32は、前後方向に長形の円柱形状の回転軸32aの外周面上に複数のブラシ32bを設けて構成される。ブラシローラー32は、帯電ローラー31よりも筐体30の内側で回転可能に設けられ、外周の一部でブラシ32bの先端が帯電ローラー31に接触するように配置される。
現像部13は、筐体33と、第1撹拌スクリュー34と、第2撹拌スクリュー35と、磁気ローラー36と、現像ローラー37と、現像剤規制ブレード38と、を備える。筐体33は、前後方向に長形の箱型形状に形成され、右端の上部に開口33aを有していて、開口33aを感光体ドラム11の左側に対向させて配置される。筐体33の内側底面には前後方向に延びる隔壁33bが立設されている。第1撹拌スクリュー34及び第2撹拌スクリュー35は、前後方向に長形の回転軸34a及び35aをそれぞれ有するスクリューであり、筐体33の内側下部で隔壁33bを挟んで左右両側に回転可能に設けられる。磁気ローラー36は、前後方向に長形の円柱形状に形成され、筐体33の内側で第2撹拌スクリュー35の上方に回転可能に設けられる。現像ローラー37は、前後方向に長形の円柱形状に形成され、筐体33の内側で磁気ローラー36の上側に接触しつつ回転可能に設けられ、周面の一部が開口33aから外部に露出して感光体ドラム11に接触している。現像剤規制ブレード38は、前後方向に長形の板状に形成され、筐体33の開口33aの下縁部に取り付けられ、一端が磁気ローラー36の外周面に当接している。
一次転写部14は、中間転写ベルト5の一部と一次転写ローラー14aとで構成される。一次転写ローラー14aは、前後方向に長形の円柱形状に形成され、感光体ドラム11の上方で中間転写ベルト5の内周面に接触しつつ回転可能に設けられる。
除電部15は、取付部材40と、除電ランプ41と、を備える。取付部材40は、前後方向に長形の板状に形成され、下記の感光体クリーニング部16の筐体42の上面に取り付けられる。除電ランプ41は、複数(例えば、12個)のLEDチップを前後方向に等間隔に並べて、発光方向が感光体ドラム11側となるように取付部材40に取り付けて構成される。除電ランプ41は、複数のLEDチップによる除電光が、感光体ドラム11の長手方向(前後方向)に均一に照射されて、感光体面光量が2〜10μJ/cm2を満たすように構成される。
感光体クリーニング部16は、筐体42と、クリーニングブレード43と、回収ローラー44と、を備える。筐体42は、前後方向に長形の箱型形状に形成され、左端に開口42aを有していて、開口42aを感光体ドラム11の右側に対向させて配置される。クリーニングブレード43は、前後方向に長形の板状に形成され、筐体42の開口42aの下縁部に取り付けられ、一端が感光体ドラム11の外周面に当接している。回収ローラー43は、前後方向に長形の円柱形状に形成され、筐体42の内部で回転可能に設けられる。
次に、プリンター1の制御システムについて図3を参照して説明する。
プリンター1には、CPU等で構成される制御部50が設けられ、制御部50は、ROMやRAM等からなる記憶部51に接続される。制御部50は、記憶部51に格納された制御プログラムや制御用データに基づいてプリンター1の各部(露光部6、二次転写ローラー8a、ベルトクリーニング部10、感光体ドラム11、帯電部12、現像部13、一次転写ローラー14a、除電部15、感光体クリーニング部16、給紙部21、定着部22等)を制御するように構成される。
例えば、制御部50は、ドラム駆動部52、帯電制御部53、現像制御部54、除電制御部55、温度センサー56等に接続される。なお、帯電制御部53、現像制御部54及び除電制御部55は、記憶部51に記憶される制御プログラムで構成されていても良い。温度センサー56は、プリンター本体2の機内温度Tを検知するものである。
記憶部51は、下記のように除電制御部55で使用される温度閾値Ta、Tb、Tcと、遅延期間ta、tb、tcとを予め記憶しておく。
ドラム駆動部52は、制御部50によって制御されて感光体ドラム11を回転駆動させるドラムモーター等で構成される。
帯電制御部53は、帯電部12による感光体ドラム11の帯電を制御する。例えば、帯電制御部53は、帯電部12を作動させる際には、帯電バイアス電源(図示せず)から帯電ローラー31へと所定の直流電圧(帯電バイアス)を印加させると共に、駆動モーター(図示せず)に帯電ローラー31及びブラシローラー32を回転駆動させる。ここで、帯電制御部53は、上記の画像形成動作の際には、画像形成に適した直流電圧(例えば、520V)を帯電ローラー31へと印加して感光体ドラム11を帯電する通常帯電を行うように帯電部12を制御する。
一方、帯電制御部53は、画像形成動作が実行される前に、所定の予備帯電期間の間、直流電圧を帯電ローラー31へと印加して感光体ドラム11を帯電する予備帯電を行うように帯電部12を制御する。なお、帯電制御部53は、通常帯電の際に帯電ローラー31へと印加する直流電圧(通常帯電電圧)と同じ直流電圧(予備帯電電圧)を、予備帯電の際に帯電ローラー31へと印加してもよいが、予備帯電電圧を通常帯電電圧よりも小さく設定してもよい。帯電制御部53は、予備帯電期間t1として、下記の除電制御部55で設定される遅延期間t2及び予備除電期間t3の変動に拘らず、最小期間tminを下回らないように設定してよい。遅延期間t2=0の場合には、予備帯電期間t1=予備除電期間t3=tminとなり、遅延期間t2=tminの場合には、予備帯電期間t1=遅延期間t2でかつ予備除電期間t3=0となる。
現像制御部54は、現像部13による感光体ドラム11上の静電潜像のトナー像への現像を制御する。例えば、現像制御部54は、現像部13を作動させる際には、現像バイアス電源(図示せず)から磁気ローラー36や現像ローラー37へと所定の現像バイアスを印加させると共に、駆動モーター(図示せず)に第1撹拌スクリュー34、第2撹拌スクリュー35、磁気ローラー36及び現像ローラー37を回転駆動させる。
除電制御部55は、除電部15による感光体ドラム11の除電を制御する。例えば、除電制御部55は、除電部15を作動させる際には、除電ランプ41を点灯させる。ここで、除電制御部55は、上記の画像形成動作の際には、感光体ドラム11の回転や帯電部12の作動に同期して除電ランプ41を点灯することで、帯電部12の通常帯電により感光体ドラム11の表面に印加された電荷であってトナー像形成後に感光体ドラム11の表面上に残留した電荷を除電する通常除電を行うように除電部15を制御する。
一方、除電制御部55は、画像形成動作が実行される前に、所定の予備除電期間t3の間、除電ランプ41を点灯することで、帯電部12の予備帯電により感光体ドラム11の表面に印加された電荷を除電する予備除電を行うように除電部15を制御する。除電制御部55は、このような予備除電について、予備帯電の開始から予備除電の開始までの遅延期間t2を設けていて、遅延期間t2の経過後、画像形成動作が実行されるまでの予備除電期間t3の間、除電部15に予備除電を行わせる。
除電制御部55は、予備除電期間t3として、感光体ドラム11を最低でも1回転させる時間よりも長い時間を設定する。これは、感光体ドラム11が露光部6による露光プロセス等の履歴を受けると、最大で感光体ドラム11の1回転分に相当する履歴があるので、感光体ドラム11の表面の電位ムラを打ち消すためである。
また、除電制御部55は、温度センサー56で検知されたプリンター本体2の機内温度Tに応じて遅延期間t2を設定し、例えば、機内温度Tが低いほど遅延期間t2を長く設定する。遅延期間t2は、1〜2秒(感光体ドラム11の2〜4回転分)でよい。
例えば、除電制御部55は、図4に示すように、Ta>Tb>Tcの関係にある温度閾値Ta、Tb、Tcを予め定めると共に、ta>tb>tcの関係にある遅延期間ta、tb、tcを予め定める。そして、除電制御部55は、機内温度T≧Taの場合には遅延期間t2=0に設定し、Ta>機内温度T≧Tbの場合には遅延期間t2=taに設定し、Tb>機内温度T≧Tcの場合には遅延期間t2=tbに設定し、Tc>機内温度Tの場合には遅延期間t2=tcに設定する。例えば、温度閾値Ta、Tb、Tcは、それぞれ15℃、10℃、5℃に定められ、遅延期間ta、tb、tcは、それぞれ0.51sec(感光体ドラム11の1回転分)、1.02sec(感光体ドラム11の2回転分)、1.53sec(感光体ドラム11の3回転分)に定められ、最小の予備帯電期間tminは1.53secに定められる。
例として、機内温度Tが15℃以上の場合には、遅延期間t2=0であるので、予備帯電の際にドラム駆動部52が感光体ドラム11を3回転させる間、除電制御部55は除電ランプ41を点灯させて予備除電を行う。機内温度Tが10℃以上15℃未満の場合には、遅延期間t2=0.51sec(感光体ドラム11の1回転分)であるので、予備帯電の際に感光体ドラム11が1回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を消灯し、感光体ドラム11が2〜3回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を点灯させて予備除電を行う。機内温度Tが5℃以上10℃未満の場合には、遅延期間t2=1.02sec(感光体ドラム11の2回転分)であるので、予備帯電の際に感光体ドラム11が1〜2回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を消灯し、感光体ドラム11が3回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を点灯させて予備除電を行う。機内温度Tが5℃未満の場合には、遅延期間t2=1.53sec(感光体ドラム11の3回転分)であるので、予備帯電の際に感光体ドラム11が1〜3回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を消灯し、感光体ドラム11が4回転目の間には、除電制御部55は除電ランプ41を点灯させて予備除電を行う。
次に、このような構成を備えたカラープリンター1において、画像形成前に予備帯電及び予備除電を行う動作について、図5のフローチャート及び図6のタイミングチャートを参照しながら説明する。
先ず、カラープリンター1の制御部50は、カラープリンター1に備わる操作部(図示せず)やカラープリンター1に接続されたコンピューター等から印刷ジョブ命令を受け取る(図5のステップS1、図6の時刻T1)。
ここで、制御部50は、温度センサー56で検知されたプリンター本体2の機内温度Tを取得し(ステップS2)、除電制御部55は、機内温度Tに基づいて予備除電の遅延期間t2を算出する(ステップS3)。
そして、制御部50は、感光体ドラム11の予備帯電を開始するように各部を制御して、ドラム駆動部52が感光体ドラム11を回転駆動すると共に、帯電制御部53が帯電部12に感光体ドラム11の表面の予備帯電を行わせる(図5のステップS4、図6の時刻T1)。この予備帯電の段階では、現像制御部54は、現像部13の作動を未だ開始せず、即ち、磁気ローラー36や現像ローラー37への現像バイアスの印加を開始しない。また、除電制御部55は、予備帯電の開始から遅延期間t2が経過するまでは、予備除電を行わないので、タイマー(図示せず)を用いて予備帯電の開始から遅延期間t2が経過したか否かを監視する(図5のステップS5)。
そして、予備帯電の開始から遅延期間t2が経過すると(図5のステップS5:YES)、除電制御部55は、除電部15に感光体ドラム11の表面の予備除電を行わせる(図5のステップS6、図6の時刻T2)。ここで、除電制御部55は、遅延期間t2の経過後、画像形成動作が実行されるまでの予備除電期間t3の間、予備除電を行うように除電部15を制御する。
遅延期間t2が経過した後で予備除電期間t3が経過し、即ち、予備帯電の開始から予備帯電期間t1が経過すると(図5のステップS7:Yes、図6の時刻T3)、予備帯電及び予備除電を終了して(図5のステップS8)、画像形成動作に移行する(図5のステップS9)。画像形成動作では、ドラム駆動部52が感光体ドラム11の回転駆動を継続しつつ、帯電制御部53が帯電部12に通常帯電を行わせ、除電制御部55が除電部15に通常除電を行わせる。このとき、現像制御部54も、現像部13の作動を開始して、磁気ローラー36や現像ローラー37への現像バイアスの印加を開始する。
本実施形態によれば、上述のように、カラープリンター1は、回転可能に設けられた感光体ドラム11(正帯電単層型感光体)と、帯電部12と、除電部15と、帯電制御部53と、除電制御部55と、を備える。帯電部12は、感光体ドラム11に直流電圧を印加して感光体ドラム11の表面を帯電する導電性の帯電ローラー31を備える。除電部15は、感光体ドラム11の表面電位を除電する。帯電制御部53は、帯電部12による感光体ドラム11の帯電を制御する。除電制御部55は、除電部15による感光体ドラム11の除電を制御する。また、帯電制御部53は、感光体ドラム11を用いた画像形成動作が実行される前に、所定の予備帯電期間t1の間、感光体ドラム11を帯電する予備帯電を行うように帯電部12を制御する。除電制御部55は、予備帯電によって帯電された感光体ドラム11を除電する予備除電として、予備帯電の開始から予備除電の開始までの遅延期間t2を設け、遅延期間t2の経過後、画像形成動作が実行されるまでの予備除電期間t3の間、予備除電を行うように除電部15を制御する。
このように、予備帯電の開始時点で予備除電の遅延期間t2を設けることにより、除電部15を停止して除電ランプ41を消灯させるので、感光体ドラム11内に滞留するトラップキャリアが発生せず、通常の画像形成時に比べて、低温環境でも感光体ドラム11の帯電能が改善される。このように、感光体ドラム11の帯電能が低下しないため、帯電ローラー31への印加電圧を必要以上に上げることなく、帯電立ち上がり時間を短縮することができ、感光体ドラム11の所望の表面電位を短時間で得ることが可能となる。このため、帯電ローラー31からの放電による感光体ドラム11の膜削れを回避して寿命を延ばすことができる。
また、帯電ローラー31の直径を大きくしたり、放電領域を拡大したり、画像形成部7(感光体ドラム11)の回転速度を落として帯電時間を延ばしたりする必要がなく、カラープリンター1の小型化や高速化を妨げることがない。
更に、所望の帯電バイアスを迅速に得ることができるので、予備帯電期間t1そのものを短縮することができる。これにより、低温環境でも予備帯電の長期化に起因する帯電ローラー31や感光体ドラム11の破損等のおそれがなくなり、低温環境で使用するユーザーに対して製品寿命を保証できるようになる。
従って、正帯電単層型の感光体ドラム11と帯電ローラー31とを備えた構成において、低温環境下での感光体ドラム11及び帯電ローラー31の帯電能低下を防止することができ、かぶり等の画像不良を回避することができる。
また、除電制御部55は、予備帯電期間t1において、遅延期間t2では除電部15を停止する一方、予備除電期間t3では除電部15を作動させればよいので、除電ランプ41を単純なON/OFF制御する簡易な構成を採用することができる。このような構成では、CPU(制御部50)からの信号に応じて除電ランプ41の点灯・消灯のスイッチ切り替えを行えるように回路設計すればよいため、除電ランプ41の強弱、つまり除電部15への入力電圧を可変するような複雑な回路設計は必要としない。
上記のような本実施形態のカラープリンター1の実施例として、このカラープリンター1を外気温度10.0℃の環境に4時間放置した後、印刷ジョブを開始してからの感光体ドラム11の表面電位の時間推移を測定した結果を図7のグラフに示す。なお、この実施例では、印刷ジョブに対応する画像形成時の感光体ドラム11の表面電位の最適な値を520Vに設定し、それに合わせて帯電部12、現像部13、一次転写部14の各バイアス値を設定する。また、この実施例では、感光体ドラム11と現像ローラー37との接触位置に、感光体ドラム11の表面電位を測定する表面電位センサーを設置した。
カラープリンター1の4時間放置後では、温度センサー56によってプリンター本体2の機内温度Tとして9℃が検知された。そのため、除電制御部55は、図7に示すような機内温度Tと遅延期間t2との関係から、感光体ドラム11の2回転分の遅延時間tb=1.02secを得られた。このような除電部15の遅延時間tbを設けた場合の感光体ドラム11の表面電位の時間推移を、図7において実線で示す。除電制御部55は、図7に示すように、予備帯電期間t1において、感光体ドラム11の2回転分だけ予備除電を停止して除電部15の除電ランプ41をOFFにした後、感光体ドラム11の1回転分だけ予備除電を実行して除電部15の除電ランプ41をONにする。この条件の下で感光体ドラム11を3回転させたとき(1.53sec経過後)、感光体ドラム11の表面電位は略520Vに達し、画像形成が可能な状態となった。
なお、除電部15の遅延時間tbを設けない場合の感光体ドラム11の表面電位の時間推移を、図7において二点鎖線で示す。図7の二点鎖線で示すように、除電部15の遅延時間tbを設けない場合には、感光体ドラム11の表面電位が目標とする表面電位500V程度に達するまでに、感光体ドラム11を5回転させる必要がある。従って、本実施形態のカラープリンター1によれば、感光体ドラム11の2回転分の駆動距離を削減できる効果が得られることが分かる。
また、本実施形態によれば、除電制御部55は、予備帯電において感光体ドラム11を1回転させる時間よりも長く予備除電期間t3を設定する。これにより、予備帯電の際に帯電部12が感光体ドラム11に帯電した電荷を確実に除電することができる。
更に、本実施形態によれば、カラープリンター1は、感光体ドラム11、帯電部12及び除電部15を収容するプリンター本体2(装置本体)と、プリンター本体2の機内温度Tを検知する温度センサー56と、を更に備える。そして、除電制御部55は、機内温度Tに基づいて遅延期間t2及び予備除電期間t3を設定する。これにより、環境に適応した予備除電を実現することができる。
また、本実施形態によれば、除電制御部55は、機内温度Tが低くなるほど遅延期間t2を長く設定する。これにより、低温環境で生じ易い感光体ドラム11や帯電ローラー31の帯電能の低下を確実に防止すると共に、帯電能の高い通常環境では、予備除電期間t3を長くして除電部15が予備除電を行うので、感光体ドラム11の表面電位が必要以上に上昇することを防止することができる。そのため、現像部13が、不要なキャリアや逆帯電トナーを帯電することはない。
本実施形態では、除電制御部55が温度閾値Ta、Tb、Tcを予め定めると共に、遅延期間ta、tb、tcを予め定めて、プリンター本体2の機内温度Tをステップ状(段階的)に判定して遅延期間t2を決定する手法を説明したが、遅延期間t2の決定手法はこれに限定されない。例えば、他の実施形態では、除電制御部55は、より細かい温度閾値を予め定めると共に、各温度閾値に対応する遅延期間を予め定めて、より細かく遅延期間を設定してもよい。あるいは、他の実施形態では、除電制御部55は、遅延期間t2が機内温度Tに反比例する数式を用いて、機内温度Tに基づいて遅延期間t2を決定してもよい。
本実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。