JP3032267B2 - 耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車排ガス装置、暖房器具、その他耐熱用
途に使用されるAl含有フェライト系ステンレス鋼に関す
る。
途に使用されるAl含有フェライト系ステンレス鋼に関す
る。
Al含有フェライト系ステンレス鋼は優れた耐高温酸化
特性を有し、ストーブのチムニー材などの暖房器具また
は電熱用材料として広く使用されてきた。
特性を有し、ストーブのチムニー材などの暖房器具また
は電熱用材料として広く使用されてきた。
最近では自動車の排ガス浄化装置の触媒コンバーター
用基材として使用する動きがある。従来、触媒コンバー
ターにはセラミックを基材としたものが使用されてきた
が、熱衝撃に弱く、また、熱容量が大きいため、触媒反
応温度まで昇温するのに時間がかかるなどの問題点があ
る。これに対して、セラミック基材の欠点を改善した金
属を基材としたメタリックコンバーターが注目されてい
る。この基材には板厚50μm程度の箔材が用いられる
が、箔材は異常酸化を発生しやすく、また、過酷な酸化
条件である排ガス雰囲気中で使用されるため、非常に優
れた耐高温酸化特性が要求されている。この点から、高
Cr高Al含有フェライト系ステンレス鋼が注目され、例え
ば200Cr−5Alをベースとして希土類、Yなどを添加した
フェライト系ステンレス鋼が使用されている。しかし、
これらの鋼でも十分な耐高温酸化特性が得られていると
はいえず、長時間使用すると、異常酸化が発生する。ま
た、エンジンの高出力化にともなって、排ガス温度が上
昇する傾向にあり、さらに、最近では、従来のコンバー
ターよりもエンジンにより近い場所に設置されるマニホ
ールドコンバーターが検討されており、これらは必然的
に排ガス温度が高く、ますます酸化条件が厳しくなる。
したがって、従来のメタリックコンバーター用鋼の耐高
温酸化特性では十分でなく、従来よりもさらに耐高温酸
化特性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼が必
要となってきた。
用基材として使用する動きがある。従来、触媒コンバー
ターにはセラミックを基材としたものが使用されてきた
が、熱衝撃に弱く、また、熱容量が大きいため、触媒反
応温度まで昇温するのに時間がかかるなどの問題点があ
る。これに対して、セラミック基材の欠点を改善した金
属を基材としたメタリックコンバーターが注目されてい
る。この基材には板厚50μm程度の箔材が用いられる
が、箔材は異常酸化を発生しやすく、また、過酷な酸化
条件である排ガス雰囲気中で使用されるため、非常に優
れた耐高温酸化特性が要求されている。この点から、高
Cr高Al含有フェライト系ステンレス鋼が注目され、例え
ば200Cr−5Alをベースとして希土類、Yなどを添加した
フェライト系ステンレス鋼が使用されている。しかし、
これらの鋼でも十分な耐高温酸化特性が得られていると
はいえず、長時間使用すると、異常酸化が発生する。ま
た、エンジンの高出力化にともなって、排ガス温度が上
昇する傾向にあり、さらに、最近では、従来のコンバー
ターよりもエンジンにより近い場所に設置されるマニホ
ールドコンバーターが検討されており、これらは必然的
に排ガス温度が高く、ますます酸化条件が厳しくなる。
したがって、従来のメタリックコンバーター用鋼の耐高
温酸化特性では十分でなく、従来よりもさらに耐高温酸
化特性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼が必
要となってきた。
この種の鋼としては既に特開昭63−76850、同63−453
51が知られている。然しながら、これらは1150℃で200
時間以内の酸化条件であり、この条件における耐酸化性
ではもはや十分とはいえなくなっている。
51が知られている。然しながら、これらは1150℃で200
時間以内の酸化条件であり、この条件における耐酸化性
ではもはや十分とはいえなくなっている。
高Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高温酸化特性
を改善するためには、Cr、Al、希土類元素、Yなどの添
加量を増加することが有効である。しかし希土類元素、
Y等は非常に高価であり、また、高Al含有フェライト系
ステンレス鋼はスラブおよび熱延板の靭性が低く、製造
性に劣るという問題点がある。したがって、耐高温酸化
特性の観点から、Cr、Al、希土類元素およびY量等を多
くすると、原料費の増加のみならず、靭性劣化によって
製造性を悪化させ、製造不可もしくは歩留りの低下によ
る著しいコストの上昇をまねく。そのため、あまり添加
量を多くすることができず、耐高温酸化性を改善するこ
とが困難であるのが現状である。
を改善するためには、Cr、Al、希土類元素、Yなどの添
加量を増加することが有効である。しかし希土類元素、
Y等は非常に高価であり、また、高Al含有フェライト系
ステンレス鋼はスラブおよび熱延板の靭性が低く、製造
性に劣るという問題点がある。したがって、耐高温酸化
特性の観点から、Cr、Al、希土類元素およびY量等を多
くすると、原料費の増加のみならず、靭性劣化によって
製造性を悪化させ、製造不可もしくは歩留りの低下によ
る著しいコストの上昇をまねく。そのため、あまり添加
量を多くすることができず、耐高温酸化性を改善するこ
とが困難であるのが現状である。
以上の実情に鑑み、従来のメタリックコンバーター用
ステンレス鋼よりAlまたは希土類元素、Yの添加量を増
加させることなく、箔材料でも十分な耐高温酸化特性を
有し、異常酸化を起こさないフェライト系ステンレス鋼
が望まれている。
ステンレス鋼よりAlまたは希土類元素、Yの添加量を増
加させることなく、箔材料でも十分な耐高温酸化特性を
有し、異常酸化を起こさないフェライト系ステンレス鋼
が望まれている。
本発明は、メタリックコンバーター用フェライト系ス
テンレス鋼Fe−Cr−Al−REM、Y系鋼において、箔材料
でも表面に形成される。Al2O3が異常酸化を起すことな
く十分な耐高温酸化性と良好な高温強度を有するフェラ
イト系ステンレス鋼を提供することを目的とし、課題解
決に関し、異常酸化が発生する直前にMn系の酸化物が表
層酸化物Al2O3中に混入していることを認め、Mnが耐高
温酸化性に悪影響を及ぼすことを想到し、Mn量を0.25%
未満にすることによって耐高温酸化性が著しく改善さ
れ、さらに、V、TiおよびNbを添加することにより高温
強度の良好なフェライト系ステンレス鋼が得られること
を知見した。
テンレス鋼Fe−Cr−Al−REM、Y系鋼において、箔材料
でも表面に形成される。Al2O3が異常酸化を起すことな
く十分な耐高温酸化性と良好な高温強度を有するフェラ
イト系ステンレス鋼を提供することを目的とし、課題解
決に関し、異常酸化が発生する直前にMn系の酸化物が表
層酸化物Al2O3中に混入していることを認め、Mnが耐高
温酸化性に悪影響を及ぼすことを想到し、Mn量を0.25%
未満にすることによって耐高温酸化性が著しく改善さ
れ、さらに、V、TiおよびNbを添加することにより高温
強度の良好なフェライト系ステンレス鋼が得られること
を知見した。
上記目的は、C:0.03%以下、Si:0.25〜0.5%、Mn:0.2
5%未満、P:0.03%以下、S:0.001%未満、Cr:15〜25
%、N:0.03%以下、Al:3〜6%、REM、Yもしくはアル
カリ土類元素を1種または2種以上:0.01〜0.15%、N
b、VもしくはTiを1種または2種以上:0.05〜1%を含
有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるフェライト
系ステンレス鋼によって達成される。
5%未満、P:0.03%以下、S:0.001%未満、Cr:15〜25
%、N:0.03%以下、Al:3〜6%、REM、Yもしくはアル
カリ土類元素を1種または2種以上:0.01〜0.15%、N
b、VもしくはTiを1種または2種以上:0.05〜1%を含
有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるフェライト
系ステンレス鋼によって達成される。
つぎに本発明における鋼組成の限定理由を以下に説明
する。
する。
C:耐酸化性に対する影響としてC量が増すと異常酸化を
発生しやすくなる。また、高Al含有フェライト系ステン
レス鋼においてC量が高くなるとスラブまたはホットコ
イルの靭性が悪化するので上限を0.03%以下とする。
発生しやすくなる。また、高Al含有フェライト系ステン
レス鋼においてC量が高くなるとスラブまたはホットコ
イルの靭性が悪化するので上限を0.03%以下とする。
Si:Siは本系鋼を著しく硬質にし、靭性を劣化させるの
で、少ない方が良く、したがって0.5%以下とする。下
限を0.25%とする理由は、Si量が低すぎると高温強度が
低下するため、下限を0.25%とする。
で、少ない方が良く、したがって0.5%以下とする。下
限を0.25%とする理由は、Si量が低すぎると高温強度が
低下するため、下限を0.25%とする。
Mn:本発明鋼においてはMnの含有量が非常に重要な意味
を持つ。Mnは熱間加工性を改善する効果があるが、本発
明鋼の耐高温酸化特性に対して悪影響を及ぼし、低減さ
せることによって著しく耐高酸化特性が改善され、Cr、
Al、希土類元素およびYなどの添加量を従来より多くす
ることなく、耐高温酸化特性を改善することが可能であ
り、その効果は0.25%未満であると顕著である。したが
って、その範囲を0.25%未満とする。
を持つ。Mnは熱間加工性を改善する効果があるが、本発
明鋼の耐高温酸化特性に対して悪影響を及ぼし、低減さ
せることによって著しく耐高酸化特性が改善され、Cr、
Al、希土類元素およびYなどの添加量を従来より多くす
ることなく、耐高温酸化特性を改善することが可能であ
り、その効果は0.25%未満であると顕著である。したが
って、その範囲を0.25%未満とする。
P:耐高温酸化特性に悪影響を及ぼすために低いほうが好
ましく、また、熱延板の靭性に悪影響を及ぼすため0.03
%以下とする。
ましく、また、熱延板の靭性に悪影響を及ぼすため0.03
%以下とする。
S:希土類元素およびY、Caなどと結合し、介在物となっ
て鋼の表面性状を悪くする原因となるほか、耐高温酸化
特性に有効な希土類元素およびY、Caなどの有効量を低
減させる。この弊害は0.001%以上であると顕著であ
り、0.001%未満とすることによって著しく耐高温酸化
性が良好になる。したがって、本発明鋼においては0.00
1%未満とする。
て鋼の表面性状を悪くする原因となるほか、耐高温酸化
特性に有効な希土類元素およびY、Caなどの有効量を低
減させる。この弊害は0.001%以上であると顕著であ
り、0.001%未満とすることによって著しく耐高温酸化
性が良好になる。したがって、本発明鋼においては0.00
1%未満とする。
Cr:耐高温酸化特性を改善するために必要な基本元素で
あるが、その効果を発揮するためには15%以上の添加が
必要である。しかし、25%を超えて添加するとスラブお
よびホットコイルの靭性を劣化させ、製造性を劣化させ
るので上限を25%とする。
あるが、その効果を発揮するためには15%以上の添加が
必要である。しかし、25%を超えて添加するとスラブお
よびホットコイルの靭性を劣化させ、製造性を劣化させ
るので上限を25%とする。
N:本系鋼の靭性を低下させ、また、AlNを形成し、異常
酸化の起点になるので、0.003%以下とする。
酸化の起点になるので、0.003%以下とする。
Al:Crと同様に本発明鋼の耐高温酸化特性を維持させる
ために不可欠な元素である。表層にAl2O3を形成し、本
発明鋼の優れた耐高温酸化特性を付与する。本用途のよ
うな箔材料では異常酸化を発生しやすいため、十分なAl
2O3層を形成させるためには3%以上の添加を必要とす
る。しかし、6%を超えると、鋼のスラブおよびホット
コイルの靭性を劣化させるので上限を6%までとする。
ために不可欠な元素である。表層にAl2O3を形成し、本
発明鋼の優れた耐高温酸化特性を付与する。本用途のよ
うな箔材料では異常酸化を発生しやすいため、十分なAl
2O3層を形成させるためには3%以上の添加を必要とす
る。しかし、6%を超えると、鋼のスラブおよびホット
コイルの靭性を劣化させるので上限を6%までとする。
REM、Y、アルカリ土類元素:Fe−Cr−Al合金の耐高温酸
化特性を改善するために重要な元素である。本発明で形
成される酸化皮膜の保護性を著しく改善し、箔材料で発
生しやすい異常酸化を抑制し、また、酸化皮膜の密着性
を良好にする。0.01%未満ではその効果はなく、逆に、
0.15%を超えて添加すると、熱間加工性および靭性を悪
くし、製造が困難になるほか、介在物となり、表面性状
を悪くする原因になりやすいので0.01%〜0.15%の範囲
とする。
化特性を改善するために重要な元素である。本発明で形
成される酸化皮膜の保護性を著しく改善し、箔材料で発
生しやすい異常酸化を抑制し、また、酸化皮膜の密着性
を良好にする。0.01%未満ではその効果はなく、逆に、
0.15%を超えて添加すると、熱間加工性および靭性を悪
くし、製造が困難になるほか、介在物となり、表面性状
を悪くする原因になりやすいので0.01%〜0.15%の範囲
とする。
Nb、V、Ti:本発明鋼において、V、Ti、Nbを適量添加
すると鋼中のCまたはNと結合して、鋼の靭性を著しく
改善する効果がある。また、本発明の用途では冷熱サイ
クルを受けるため、材料が変形しやすく、したがって、
高温強度に優れていることが必要である。高温強度を改
善するためにはこれらの元素を添加することが非常に有
効であり、その効果を得るためには0.05%以上添加する
ことが必要である。逆に、必要以上に添加すると、鋼を
硬質にするため、最高1%までとする。
すると鋼中のCまたはNと結合して、鋼の靭性を著しく
改善する効果がある。また、本発明の用途では冷熱サイ
クルを受けるため、材料が変形しやすく、したがって、
高温強度に優れていることが必要である。高温強度を改
善するためにはこれらの元素を添加することが非常に有
効であり、その効果を得るためには0.05%以上添加する
ことが必要である。逆に、必要以上に添加すると、鋼を
硬質にするため、最高1%までとする。
以下に本発明を具体的に説明する。
高Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高温酸化性は
表面に形成される。Al2O3によって付与されることが知
られている。このAl2O3層を安定にするためには、Cr含
有量を多くすることが有効であることも知られている。
しかし、単なるFe−Cr−Al合金では、形成された酸化皮
膜の密着性が良くなく、冷却中に酸化皮膜が剥離しやす
いという欠点があり、本用途のような、厳しい酸化条件
下で使用される場合、異常酸化を発生しやすい。そこ
で、第1表に示す成分の板厚50μmの鋼を用いて、1150
℃で酸化試験を行い、異常酸化発生時間に及ぼす微量添
加元素の影響について検討した。その結果をあわせて第
1表に示す。この結果より、REM、CaまたはYを添加す
ることによって、異常酸化が発生するまでの時間が延長
されており、これらの元素が耐高温酸化特性の改善に有
効であることがわかる。
表面に形成される。Al2O3によって付与されることが知
られている。このAl2O3層を安定にするためには、Cr含
有量を多くすることが有効であることも知られている。
しかし、単なるFe−Cr−Al合金では、形成された酸化皮
膜の密着性が良くなく、冷却中に酸化皮膜が剥離しやす
いという欠点があり、本用途のような、厳しい酸化条件
下で使用される場合、異常酸化を発生しやすい。そこ
で、第1表に示す成分の板厚50μmの鋼を用いて、1150
℃で酸化試験を行い、異常酸化発生時間に及ぼす微量添
加元素の影響について検討した。その結果をあわせて第
1表に示す。この結果より、REM、CaまたはYを添加す
ることによって、異常酸化が発生するまでの時間が延長
されており、これらの元素が耐高温酸化特性の改善に有
効であることがわかる。
しかし、前述のように、高Alが含有フェライト系ステ
ンレス鋼の使用環境はますます厳しくなっており、第1
表のような鋼では十分な耐高温酸化特性を有していると
はいえない。
ンレス鋼の使用環境はますます厳しくなっており、第1
表のような鋼では十分な耐高温酸化特性を有していると
はいえない。
そこで、第2表に示した成分のように、耐高温酸化特
性を改善するために有効であるAl、Yまたは希土類元素
等の含有量を多くした鋼について30kg真空溶解を行っ
た。しかし、鋼塊を熱間鍛造するときに割れが生じ、以
後の工程を進めることが不可能であった。したがって、
耐高温酸化特性を改善することを目的として、Al、Yま
たは希土類元素等の添加量を多くすることは、製造性の
観点から困難であることがわかった。
性を改善するために有効であるAl、Yまたは希土類元素
等の含有量を多くした鋼について30kg真空溶解を行っ
た。しかし、鋼塊を熱間鍛造するときに割れが生じ、以
後の工程を進めることが不可能であった。したがって、
耐高温酸化特性を改善することを目的として、Al、Yま
たは希土類元素等の添加量を多くすることは、製造性の
観点から困難であることがわかった。
そこで、本発明者らはAl、Yまたは希土類元素等の添
加量を従来より、多くせずとも、十分に製造可能である
成分範囲内で、従来鋼よりも耐高温酸化特性に優れた鋼
を開発すべく、種々の検討を行った。その結果、異常酸
化が発生する直前に、Mn系の酸化物が表層酸化物のAl2O
3中に混入していることが認められることから、Mnが耐
高温酸化性に悪影響を及ぼしていると考えられた。そこ
で、第3表に示す成分の板厚50μmの供試材を用いて11
50℃で酸化試験を行い、異常酸化発生時間に及ぼすMn含
有量の影響を調べた。その結果を図に示す。この図よ
り、Mn量を低減することによって、異常酸化が発生する
時間が長時間側に移行しており、著しく耐高温酸化特性
が改善され、とくに、0.25%未満にすることによってそ
の効果は著しくなることがわかる。したがって、Fe−Cr
−Al−希土類、Y系鋼の表面に形成されるAl2O3の皮膜
はMnを低減させることによって、酸化に対する保護性が
さらに良好になり、これによって、従来よりも、耐高温
酸化性が著しく改善された鋼が得られる。
加量を従来より、多くせずとも、十分に製造可能である
成分範囲内で、従来鋼よりも耐高温酸化特性に優れた鋼
を開発すべく、種々の検討を行った。その結果、異常酸
化が発生する直前に、Mn系の酸化物が表層酸化物のAl2O
3中に混入していることが認められることから、Mnが耐
高温酸化性に悪影響を及ぼしていると考えられた。そこ
で、第3表に示す成分の板厚50μmの供試材を用いて11
50℃で酸化試験を行い、異常酸化発生時間に及ぼすMn含
有量の影響を調べた。その結果を図に示す。この図よ
り、Mn量を低減することによって、異常酸化が発生する
時間が長時間側に移行しており、著しく耐高温酸化特性
が改善され、とくに、0.25%未満にすることによってそ
の効果は著しくなることがわかる。したがって、Fe−Cr
−Al−希土類、Y系鋼の表面に形成されるAl2O3の皮膜
はMnを低減させることによって、酸化に対する保護性が
さらに良好になり、これによって、従来よりも、耐高温
酸化性が著しく改善された鋼が得られる。
また、第3表に示す板厚50μmの鋼についてメタリッ
クコンバーターの形状に加工し、900℃と200℃にそれぞ
れ30分間保持する試験を100サイクル繰返す試験を行
い、変形の有無について調べた結果をあわせて第3表に
示す。この結果より、Ti、VおよびNbを添加することに
よって、冷熱サイクルによる変形がなくなり、高温強度
が良好な鋼が得られることがわかった。
クコンバーターの形状に加工し、900℃と200℃にそれぞ
れ30分間保持する試験を100サイクル繰返す試験を行
い、変形の有無について調べた結果をあわせて第3表に
示す。この結果より、Ti、VおよびNbを添加することに
よって、冷熱サイクルによる変形がなくなり、高温強度
が良好な鋼が得られることがわかった。
以上のように、箔材料の耐高温酸化特性の点から、種
々の検討を行った結果、Mn量を低減した高Al含有フェラ
イト系ステンレス鋼によって、Al、Yまたは希土類元素
等を従来よりも、多量に添加せずとも、従来鋼よりも非
常に優れた耐高温酸化特性を有し、また、さらにTi、
V、Nbを添加することにより、十分な高温強度を有する
鋼の提供が可能になった。
々の検討を行った結果、Mn量を低減した高Al含有フェラ
イト系ステンレス鋼によって、Al、Yまたは希土類元素
等を従来よりも、多量に添加せずとも、従来鋼よりも非
常に優れた耐高温酸化特性を有し、また、さらにTi、
V、Nbを添加することにより、十分な高温強度を有する
鋼の提供が可能になった。
第4表に示す鋼を30kg真空溶解し、鍛造、切削、熱延
を行った後、焼鈍および冷間圧延を繰り返して、50μm
厚の板材を製造した。この供試材について1150℃で酸化
試験を行い、異常酸化が発生した時間を第4表にあわせ
て示す。この結果より、本発明鋼は比較鋼に対して、異
常酸化が発生する時間が著しく長時間側に移行してお
り、耐高温酸化特性が改善されていることがわかる。
を行った後、焼鈍および冷間圧延を繰り返して、50μm
厚の板材を製造した。この供試材について1150℃で酸化
試験を行い、異常酸化が発生した時間を第4表にあわせ
て示す。この結果より、本発明鋼は比較鋼に対して、異
常酸化が発生する時間が著しく長時間側に移行してお
り、耐高温酸化特性が改善されていることがわかる。
〔発明の効果〕 以上の実験結果が示すように、Mn量を低減した本発明
鋼によって、Cr、Alおよび希土類元素Y等を従来より多
量に添加せずとも従来鋼よりも非常に優れた耐高温酸化
特性を有し、さらに、Ti、V、Nbを添加することによっ
て十分な高温強度を有する鋼を提供することができる。
鋼によって、Cr、Alおよび希土類元素Y等を従来より多
量に添加せずとも従来鋼よりも非常に優れた耐高温酸化
特性を有し、さらに、Ti、V、Nbを添加することによっ
て十分な高温強度を有する鋼を提供することができる。
図は第3表に示す板厚50μmの各供試材について1150℃
の大気中で酸化試験を行い、異常酸化が発生する時間と
Mn量の関係を示すグラフである。
の大気中で酸化試験を行い、異常酸化が発生する時間と
Mn量の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/18
Claims (1)
- 【請求項1】C:0.03%以下 Si:0.25〜0.5% Mn:0.25%未満 P:0.03%以下 S:0.001%未満 Cr:15〜25% N:0.03%以下 Al:3〜6% REM、Yもしくはアルカリ土類元素を1種または2種以
上:0.01〜0.15% Nb、VもしくはTiを1種または2種以上:0.05〜1% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるフェラ
イト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2270520A JP3032267B2 (ja) | 1990-10-11 | 1990-10-11 | 耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2270520A JP3032267B2 (ja) | 1990-10-11 | 1990-10-11 | 耐高温酸化性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04147944A JPH04147944A (ja) | 1992-05-21 |
JP3032267B2 true JP3032267B2 (ja) | 2000-04-10 |
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ID=17487371
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|
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---|---|---|---|---|
JP3886785B2 (ja) | 2001-11-22 | 2007-02-28 | 日新製鋼株式会社 | 石油系燃料改質器用フェライト系ステンレス鋼 |
JP3958280B2 (ja) * | 2003-02-28 | 2007-08-15 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 重量検知センサー基板用高Al含有フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法並びに重量検知センサー |
-
1990
- 1990-10-11 JP JP2270520A patent/JP3032267B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH04147944A (ja) | 1992-05-21 |
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