JP3491334B2 - 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法 - Google Patents
耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法Info
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性が高く、しかも、高温での耐酸化性に優れ、高温酸化
性雰囲気下で激しい繰り返し酸化を受けても優れた耐久
性を発揮する排ガス浄化用触媒コンバーター担体用Fe
−Cr−Al合金、およびこの合金を用いた排ガス浄化
用触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の製
造方法に関する。
燃料と空気を混合し燃焼させた時に生成するNO x 、C
O、HCなどの有害ガスを触媒反応により無害化するた
めに使用されている。自動車でも各種の形式の触媒コン
バータが用いられているが、その中で、排気抵抗が少な
い等の利点からFe−Cr−Al合金箔をハニカム形状
にしたものに触媒を担持させたものの採用が増加してい
る。
担体への適用に関しては、特開昭56−96726号公
報などが開示されている。この公報では耐酸化合金とし
てイットリウム(Y)を添加したFe−Cr−Al合金
(Cr:15〜25重量%、Al:3〜6重量%、Y:
0.3〜1.0重量%)を開示しているが、Yは希少金
属であるために高価であり、かつ供給量にも不安があ
り、一般の自動車に用いるのは経済性の点で困難であっ
た。
公報には、Cr:8〜25重量%、Al:3〜8重量
%、希土類元素(REM)を0.002〜0.06重量
%含有する合金が開示されている。これは耐酸化性改善
のためにYより安価な希土類元素(特に、CeおよびL
a)の添加によって、スケールの剥離を抑制した合金で
ある。同公報に開示される合金においては、希土類元素
は酸化皮膜の密着性改善の観点から添加されるが、希土
類元素は合金の熱間加工性を低下させるため、0.06
重量%以上を添加してはいけないとしている。この合金
は、前記特開昭56−96726号公報に開示される合
金に比較して安価ではあるものの、触媒コンバータ用の
箔とした際に、最も重要な特性である耐酸化性が劣ると
いう問題がある。
特にLa、NdおよびCeがFe−Cr−Al合金の耐
酸化性と熱間圧延性に及ぼす影響を詳細に検討した結
果、LaおよびNdを0.05重量%以上添加すれば耐
酸化性がY添加材に匹敵するほど向上すること、さら
に、前述の希土類元素添加による熱間圧延性低下の主な
原因はCeであり、Ceを積極的に除去すればよいこと
を見出して、特公平4−8502号公報でLaを添加し
たFe−Cr−Al合金を、特開昭63−7685号公
報でNdを添加したFe−Cr−Al合金を、それぞれ
開示した。また、特開平5−202449号公報では、
さらにLaとZrの複合添加によって耐酸化性が向上す
ることを開示した。
Al合金は、従来より知られているFe−Cr−Al合
金に比較して優れた耐酸化性を有するため、触媒コンバ
ーター用の担体材料等として広く利用されるようになっ
てきている。しかしながら、最近の自動車排ガス規制強
化に伴い、触媒コンバータをよりエンジンに近いところ
に設置することが要求され、コンバータがさらに厳しい
高温酸化条件下に曝されるようになっているため、さら
に耐酸化性が優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr
−Al合金の出現が望まれている。
示される成分においては、Al含有量を増加することに
よって、さらに耐酸化性を向上することが可能である。
しかしながら、本発明者らが通常のステンレス製造設備
での製造性を検討した結果、Laを添加したものにさら
にZrを複合添加した合金では、Al含有量が6重量%
を超えると、熱間圧延コイルの耳部(幅方向端部)に割
れが生じて、これが基点となって冷延時に素材コイルが
頻繁に破断し、歩留まりが著しく低下して経済的に不利
であることが明らかになった。また、特開平3−362
41号公報にはLa、CeとZr、Hfを複合添加した
Fe−Cr−Al合金が開示されているが、この合金で
も同様の問題が生じている。
−Cr−Al合金の耐酸化性に及ぼす合金元素の影響に
ついてさらに詳細に検討を続けた結果、Laの代わりに
Smを添加したものは熱間圧延性(熱間加工性)が良好
で熱延コイルの耳部の割れは発生せず、通常のステンレ
ス製造設備でも何の問題も無く製造できることを見出し
た。さらに、耐酸化性についても同様に詳細な検討を行
い、Sm、ZrおよびHfの複合添加によって、Fe−
Cr−Al合金の耐酸化性が著しく向上することを見出
した。また、これらのFe−Cr−Al合金で箔を製造
した後、この箔を適切な条件で焼鈍することによって、
さらに耐酸化性が改善できることを見出した。
されたものであり、従来のFe−Cr−Al合金より優
れた製造性、すなわち圧延性を有し、かつ耐酸化性が著
しく優れた触媒コンバーター用Fe−Cr−Al合金、
および、このFe−Cr−Al合金を用いた合金箔の製
造方法を供給することを目的とする。
化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al
合金は、熱間圧延の施されたFe−Cr−Al合金であ
って、C:0.02重量%以下、Si:1.0重量%以
下、Mn:1.0重量%以下、Cr:15重量%以上2
6重量%以下、Al:4.5重量%超8重量%以下、
N:0.02重量%以下、Sm:0.05重量%以上
0.3重量%以下、Zr:0.01重量%以上0.1重
量%以下、Hf:0.005重量%以上0.1重量%以
下、を含み、不可避的不純物以外のMoおよびWを含ま
ず、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−
Cr−Al合金を提供する。
コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金の別の態様
は、La、Ce、PrおよびNdの1種または2種以上
を合計で0.05重量%以下含有する。
ンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の製造方法
は、前記本発明の耐酸化性に優れた触媒コンバーター担
体用Fe−Cr−Al合金を圧延して合金箔とし、合金
箔への最終圧延後、窒素ガス、水素ガスおよび希ガスか
らなる群より選ばれる1種以上で、かつ酸素を1vol
%以下含有する雰囲気ガス中で、800℃以上1100
℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする耐酸化性に優
れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の
製造方法を提供する。
ター担体用Fe−Cr−Al合金(以下、Fe−Cr−
Al合金とする)の各成分の作用および限定理由を述べ
る。なお、本発明のFe−Cr−Al合金において、下
限がないものについては0重量%を含む。
させ、冷間圧延性を低下させる。また、耐酸化性も低下
させるので、極力低減させることが望ましい。同様に、
Nも過剰になると靱性を低下させ、冷間圧延性を低下さ
せると共に、Alと反応し粗大(〜30μm)なAlN
として析出すると、50μm厚程度の箔に圧延した場
合、穴開きの原因ともなるので、極力低減させることが
望ましい。よって、共に含有量は0.02重量%以下に
限定する。なお、NとCの含有量の合計は、好ましくは
0.03重量%以下である。
1.0重量%を超えると圧延性を低下させるので、含有
量を1.0重量%以下に限定した。なお、Siの含有量
は、好ましくは0.5重量%以下である。
添加された場合、鋼中に残存することがあるが、耐酸化
性および耐食性を劣化させるので少ない方がよい。その
ため、工業的および経済的な溶製技術を考慮して含有量
を1.0重量%以下に限定した。なお、Mnの含有量
は、好ましくは0.5重量%以下である。
とともに、Cr自体が耐酸化性を向上させる元素であ
る。ここで、Crの含有量が15重量%未満では耐酸化
性が確保できず、26重量%を越えると靱性および延性
が低下し、冷間圧延が困難となるので、含有量を15重
量%以上26重量%以下に限定した。なお、Crの含有
量は、好ましくは18重量%以上22重量%以下であ
る。
めに必要不可欠な元素である。Fe−Cr−Al合金の
高温耐酸化性は、酸化時にまずFeよりも酸化されやす
いAlが優先酸化され、合金表面に保護性の高いAl2
O3 酸化皮膜を形成することによりもたらされるため、
一般に合金中のAl含有量が高い方が耐酸化性に優れ
る。ここで、Alの含有量が4.5重量%未満では耐酸
化性が確保できず、好ましくは6.0重量%以上を含有
するのが良好である。一方、Alを含有すると鋼は急激
に脆くなり、Al含有量が8重量%を超えると冷間圧延
が困難となるので、4.5重量%超8.0重量%以下に
限定した。
めに必要不可欠な元素である。これは、Fe−Cr−A
l合金表面に高温で生成する酸化皮膜の密着性を向上さ
せると共に、酸化皮膜にFeイオンが混入することを防
いで、耐酸化性を向上させる。この効果は、従来知られ
ている他の希土類元素を同量程度添加した場合よりも著
しく大きい。ただし、Smの含有量が0.05重量%未
満では、急激な加熱冷却を受けると酸化皮膜が剥離して
しまい、厚さ20〜100μm程度の箔として使用した
場合には、必要な耐酸化性を確保することが困難であ
る。他方、含有量が0.3重量%を超えると、熱間圧延
中に割れや表面欠陥を生じ、製造が困難となるので、そ
の含有量を0.05重量%以上0.3重量%以下に限定
する。なお、Smの含有量は、好ましくは0.07重量
%以上0.2重量%以下である。
めに必要不可欠な元素である。Hfを含有することによ
り、酸化皮膜の生成速度が著しく抑制されて、耐酸化性
が向上する。ただし、Hfの含有量が0.005重量%
未満ではその効果が表れず、他方、0.1重量%を超え
て含有されても、Fe−Cr−Al合金の耐酸化性はそ
れ以上向上しないばかりか、介在物が増えて箔の製造が
困難になり、また、Hf自体が非常に高価な元素である
ので、経済的に不利となるので、その含有量を0.00
5重量%以上0.1重量%以下に限定する。なお、Hf
の含有量は好ましくは0.01重量%以上0.07重量
%以下である。
様において合金の耐酸化性を向上させるために必要不可
欠な元素である。前述のように、本発明においては、H
fおよびSmを含有することによって耐酸化性が大きく
向上しているが、鋼中にCやNが存在すると、Hfは容
易にこれらの元素と結合して、耐酸化性向上効果を示さ
なくなる。これを防止するためには、CやNの濃度を極
力低減する必要があるが、製鋼技術上完全な除去は不可
能であり、また、極限までの低減は製造コスト的にも不
利である。これに対して、Zrを添加することによっ
て、CやNはZrとも結合するのでCやNと結合するH
fを大幅に低減することができる。そのため、ZrとH
fとを複合添加することによって、Hf単独で添加した
場合に比べ、非常に優れた耐酸化性を得ることができ
る。しかしながら、その含有量が0.01重量%未満で
は耐酸化性向上への効果を得ることができず、他方、
0.1重量%を超えて含有されると、酸化速度が大きく
なりすぎて、逆に耐酸化性を低下してしまうため、その
含有量を0.01重量%以上0.1重量%以下に限定す
る。なお、Zrの含有量は、好ましくは0.02重量%
以上0.07重量%以下である。
素であるが、添加したものの一部は合金中のP、Sや溶
存酸素を結合して、耐酸化性向上に寄与しない。これに
対し、Smと共にLa、Ce、PrおよびNdの一種あ
るいは二種以上を添加して、P等とこれらとを結合させ
ることによって、P等に固定されるSmを低減して、S
mによる耐酸化性向上の効果をより良好に発揮すること
ができる。しかも、La、PrおよびNdは、Smと比
較するとその効果は劣るものの、同様に耐酸化性向上効
果を有する。そのため、必要に応じてこれらの元素を含
有することによって、より耐酸化性に優れた合金を得る
ことができる。しかしながら、これらの一種以上の添加
量が増加すると、熱間加工性が低下し鉄塊が割れたり表
面欠陥が生じ易く、また、合金の靭性が低下して経済的
な圧延が困難になってしまうので、これらの元素を含有
する場合には、その含有量は0.05重量%以下とす
る。
いて、La、Ce、PrおよびNdを含有する場合に
は、Smが0.2重量%を超えて含有されると、熱間圧
延中に耳部の割れ(耳割れ)や表面結果を生じ易くなっ
てしまう。そのため、この場合には、Smの含有量を
0.2重量%以下とするのが好ましい。
合金は、公知の手段によって圧延され、触媒コンバータ
ー担体用の合金箔として使用される。ここで、本発明の
Fe−Cr−Al合金箔の製造方法(以下、本発明の製
造方法とする)は、前述の本発明のFe−Cr−Al合
金を公知の方法で圧延して合金箔への最終圧延後、窒素
ガス、水素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる1
種以上で、かつ酸素を1vol%以下の含有する雰囲気
ガス中で、800℃以上1100℃以下の温度で焼鈍す
るものである。このような本発明の製造方法は、本発明
のFe−Cr−Al合金からなる合金箔を、低酸素雰囲
気下で所定の温度範囲で焼鈍することによって、合金箔
の表面に耐酸化性に富んだ酸化皮膜を生成することがで
き、その後高温酸化を受けても、酸化速度が著しく低
く、より優れた耐酸化性を有する触媒コンバータ担体用
合金箔を実現することができる。
合金箔とする方法には特に限定はなく、公知の圧延方法
がすべて利用可能である。なお、本発明のFe−Cr−
Al合金を触媒コンバーター担体用の箔とする際には、
その厚さを20μm以上100μm以下とするのが好ま
しい。
ては、薄い箔を用いたほうが触媒コンバータの圧損が少
なくなり、エンジン出力低下の防止や燃費向上に有利で
ある。また、触媒コンバータの熱容量が小さくなるた
め、エンジンの始動直後から良好な触媒浄化作用を得ら
れ、しかも、コンバータ自体の軽量化等の点でも、箔は
薄い方が有利である。これらの特性を良好に得るために
は、触媒コンバーター担体用の箔は100μm以下であ
ることが望ましい。しかしながら、箔の耐酸化性は薄く
なるに従って低下し、20μm未満では、本発明のFe
−Cr−Al合金をもってしても必要にして十分な耐酸
化性を確保することは困難であり、しかも、強度が低下
して触媒コンバータが使用中に変形し易くなってしま
う。また、これ以上の薄さでは、冷間圧延が困難になっ
て大量生産にも問題が生じる場合がある。
して最終圧延を終えて得られた合金箔を、所定の雰囲気
ガス下で、所定の温度範囲で焼鈍する。雰囲気ガスは窒
素ガス、水素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる
1種以上を基本とする。特に、容易に酸素濃度を下げら
れる等の点で、水素ガスを含むガスが好ましい。なお、
合金箔の表面にAlNが生成すると耐酸化性が低下して
しまうので、窒素(N)を含む雰囲気中では、露点を−
60℃以上にするのが好ましい。
酸素を1vol%以下の含有する低酸素雰囲気である。
酸素濃度が1vol%を超えると、生成する酸化皮膜中
のCrやFe濃度が上がってしまい、耐酸化性が向上し
ない。
の合金箔を、このような雰囲気ガス中で、800℃以上
1100℃以下の温度で焼鈍する。焼鈍温度が800℃
未満では、生成する酸化皮膜が薄く、耐酸化性向上の効
果が表れない。逆に、焼鈍温度が1100℃を超える
と、本発明のFe−Cr−Al合金の強度が著しく低下
し、通常の設備で焼鈍を行うことができない。焼鈍温度
は、好ましくは、850〜1000℃である。なお、焼
鈍時間には特に限定はなく、1秒以上行えばよい。ただ
し、焼鈍時間が1時間を超えると、酸化皮膜が厚くなり
すぎて、触媒コンバータ製造におけるコルゲート加工時
に加工用歯車の摩擦が大きく摩耗が大くなってしまい、
頻繁に加工用歯車を交換する必要が生じてしまうので好
ましくない。なお、焼鈍時間は、通常、1秒〜60秒程
度である。
明する。 (実施例1) 表1に発明例(発明鋼)の、表2に比較例(比較鋼)の
化学組成および特性試験結果を示す。これらの素材は、
10kgの真空溶解炉によって溶製造塊した後、120
0℃に加熱して板厚3mmまでの熱間圧延を行った。ここ
で比較例のうちSm含有量が0.35重量%と高いB−
1およびNd含有量が0.075重量%と高い(不可避
的不純物量を超えて添加した)B−2は、熱間圧延中に
鋼塊が割れて圧延板を得ることができなかったのでその
後の試験は行なっていない。同様に、Al含有量が6重
量%以上でLaを0.05重量%を超えて含有する(不
可避的不純物量を超えて添加した)B−3およびB−4
は、耳割れがひどかったので以降の試験は行わなかっ
た。
ここで、比較例中C含有量が0.022重量%と高かっ
たB−5、Si含有量が1.46重量%と高かったB−
6、Cr含有量が27.1重量%と高かったB−7、お
よびアルミニウム含有量が8.6重量%と高かったB−
8は、冷間圧延中に板が割れてしまい、その後の試験は
行わなかった。その他の合金は、冷間圧延と焼鈍とを繰
り返して板厚50μmの箔とした。ここで、本発明中A
−2およびA−7以外は6重量%以上のAlを含有する
ものであるが、これらの熱延板には耳割れはなく、冷間
圧延中にも板割れが起こらず、本発明合金の製造性(圧
延性)が優れていることが示されている。
いて、幅20mm、長さ30mmの試験片を採取して120
0℃の大気中で酸化し耐酸化性を評価した。試験および
評価方法は下記のとおりである。
し、重量変化測定と外観観察する方法を用い、試験片に
Breakaway 酸化(ブレークアウエイ酸化=酸化皮膜の保
護性が失われ、急激な重量増加を示す異常酸化)が発生
した時間から24時間を引いた時間を箔の酸化寿命とし
て評価した。本発明のFe−Cr−Al合金では、健在
な酸化皮膜は灰色か緑色であるが、Breakaway 酸化では
黒色の酸化皮膜が生じる。この黒色の酸化皮膜は、非常
に脆く、また板厚方向に貫通しているので、この酸化皮
膜が生成すると、触媒コンバータ自体が破壊してしま
う。そのため、Breakaway 酸化が発生するまでの時間を
箔の寿命とすることができる。本試験では、25mm2 以
上の面積で黒色の酸化皮膜が生成した時をBreakaway酸
化の発生とした。表1および表2に示されるように、比
較例の酸化寿命が最長でも264時間であるのに対し、
発明例においてはいずれも312時間以上で、特にアル
ミニウム含有量が6重量%以上のものは、384時間以
上の優れた耐酸化性を示しており、本発明合金が製造性
と耐酸化性に優れているのは明らかである。
延性および冷間圧延性の評価も併記する。 熱間圧延性 前述の1200℃に加熱して板厚3mmまでの熱間圧延を
行なった際に、 ○:熱間圧延板に長さ5mm以上の耳割れや表面欠陥がな
かったもの ×:熱間圧延中に鋼塊が割れて板ができなかったもの
や、熱間圧延板に長さ5mm以上の耳割れや表面欠陥が生
じたもの 冷間圧延性 前述の冷間圧延中に、 ○:長さ10mm以上の割れが発生しなかったもの ×:冷間圧延中に板が割れて圧延を中止したものや、冷
延後の板に長さ10mm以上の割れが発生したもの
1およびA−5の合金箔を、表3に示される条件で焼鈍
を行った後、前記実施例1と同様の方法で酸化試験を行
い、耐酸化性を評価した。表3に示されるように、焼鈍
温度が750℃と低い比較例1、酸素を1.5vol%
含有する雰囲気で焼鈍を行った比較例2、および大気中
で焼鈍を行った比較例3の酸化寿命は、前述の実施例1
の試料に比して大きく酸化寿命が変化することはなかっ
た。これに対し、本発明の合金箔の製造方法を適用した
発明例1〜5は、前述の実施例1の発明鋼A−1および
A−5に比して、大幅に酸化寿命が伸びている。以上の
結果より、本発明の合金箔の製造方法が、耐酸化性の向
上に有効であるのは明らかである。
e−Cr−Al合金は、従来技術によるFe−Cr−A
l合金に比して著しく耐酸化性および生産性に優れてお
り、従来の合金では適用が難しかったエンジン近傍(エ
キゾーストマニホールド付近)を初めとした、耐高温酸
化性の要求される自動車排ガス浄化触媒コンバーター用
材料として好適であり、自動車の公害対策上のメリット
は大きい。また、他の過酷な繰返し酸化を受ける用途に
対しても有用である。さらに、本発明の合金箔の製造方
法によれば、このように優れた特性を有する本発明のF
e−Cr−Al合金の耐酸化性を、より一層優れたもの
にすることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】熱間圧延の施されたFe−Cr−Al合金
であって、 C:0.02重量%以下、Si:1.0重量%以下、 Mn:1.0重量%以下、Cr:15重量%以上26重
量%以下、 Al:4.5重量%超8重量%以下、 N:0.02重量%以下、 Sm:0.05重量%以上0.3重量%以下、 Zr:0.01重量%以上0.1重量%以下、 Hf:0.005重量%以上0.1重量%以下、 を含み、不可避的不純物以外のMoおよびWを含まず、
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
る耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr
−Al合金。 - 【請求項2】La、Ce、PrおよびNdの1種または
2種以上を合計で0.05重量%以下含有する請求項1
に記載の耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe
−Cr−Al合金。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の耐酸化性に優れ
た触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金を圧延
して合金箔とし、合金箔への最終圧延後、窒素ガス、水
素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる1種以上
で、かつ酸素を1vol%以下含有する雰囲気ガス中
で、800℃以上1100℃以下の温度で焼鈍すること
を特徴とする耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用
Fe−Cr−Al合金箔の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5-118336 | 1993-05-20 | ||
JP5-228770 | 1993-09-14 | ||
JP22877093 | 1993-09-14 | ||
JP10677094A JP3491334B2 (ja) | 1993-05-20 | 1994-05-20 | 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法 |
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CN115404413B (zh) * | 2022-08-22 | 2023-11-28 | 北京首钢吉泰安新材料有限公司 | 一种铁铬铝合金及其制备方法、电热元件 |
-
1994
- 1994-05-20 JP JP10677094A patent/JP3491334B2/ja not_active Expired - Lifetime
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