JP3491334B2 - 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法 - Google Patents

耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法

Info

Publication number
JP3491334B2
JP3491334B2 JP10677094A JP10677094A JP3491334B2 JP 3491334 B2 JP3491334 B2 JP 3491334B2 JP 10677094 A JP10677094 A JP 10677094A JP 10677094 A JP10677094 A JP 10677094A JP 3491334 B2 JP3491334 B2 JP 3491334B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
oxidation resistance
less
weight
catalytic converter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP10677094A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07138710A (ja
Inventor
井 和 秀 石
野 雅 昭 河
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP10677094A priority Critical patent/JP3491334B2/ja
Publication of JPH07138710A publication Critical patent/JPH07138710A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3491334B2 publication Critical patent/JP3491334B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加工性、特に箔の製造
性が高く、しかも、高温での耐酸化性に優れ、高温酸化
性雰囲気下で激しい繰り返し酸化を受けても優れた耐久
性を発揮する排ガス浄化用触媒コンバーター担体用Fe
−Cr−Al合金、およびこの合金を用いた排ガス浄化
用触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排ガス浄化装置用触媒コンバーターは、
燃料と空気を混合し燃焼させた時に生成するN x 、C
O、HCなどの有害ガスを触媒反応により無害化するた
めに使用されている。自動車でも各種の形式の触媒コン
バータが用いられているが、その中で、排気抵抗が少な
い等の利点からFe−Cr−Al合金箔をハニカム形状
にしたものに触媒を担持させたものの採用が増加してい
る。
【0003】Fe−Cr−Al合金の触媒コンバーター
担体への適用に関しては、特開昭56−96726号公
報などが開示されている。この公報では耐酸化合金とし
てイットリウム(Y)を添加したFe−Cr−Al合金
(Cr:15〜25重量%、Al:3〜6重量%、Y:
0.3〜1.0重量%)を開示しているが、Yは希少金
属であるために高価であり、かつ供給量にも不安があ
り、一般の自動車に用いるのは経済性の点で困難であっ
た。
【0004】これに対し、特開昭58−177437号
公報には、Cr:8〜25重量%、Al:3〜8重量
%、希土類元素(REM)を0.002〜0.06重量
%含有する合金が開示されている。これは耐酸化性改善
のためにYより安価な希土類元素(特に、CeおよびL
a)の添加によって、スケールの剥離を抑制した合金で
ある。同公報に開示される合金においては、希土類元素
は酸化皮膜の密着性改善の観点から添加されるが、希土
類元素は合金の熱間加工性を低下させるため、0.06
重量%以上を添加してはいけないとしている。この合金
は、前記特開昭56−96726号公報に開示される合
金に比較して安価ではあるものの、触媒コンバータ用の
箔とした際に、最も重要な特性である耐酸化性が劣ると
いう問題がある。
【0005】これに対して、本発明者らは希土類元素、
特にLa、NdおよびCeがFe−Cr−Al合金の耐
酸化性と熱間圧延性に及ぼす影響を詳細に検討した結
果、LaおよびNdを0.05重量%以上添加すれば耐
酸化性がY添加材に匹敵するほど向上すること、さら
に、前述の希土類元素添加による熱間圧延性低下の主な
原因はCeであり、Ceを積極的に除去すればよいこと
を見出して、特公平4−8502号公報でLaを添加し
たFe−Cr−Al合金を、特開昭63−7685号公
報でNdを添加したFe−Cr−Al合金を、それぞれ
開示した。また、特開平5−202449号公報では、
さらにLaとZrの複合添加によって耐酸化性が向上す
ることを開示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらのFe−Cr−
Al合金は、従来より知られているFe−Cr−Al合
金に比較して優れた耐酸化性を有するため、触媒コンバ
ーター用の担体材料等として広く利用されるようになっ
てきている。しかしながら、最近の自動車排ガス規制強
化に伴い、触媒コンバータをよりエンジンに近いところ
に設置することが要求され、コンバータがさらに厳しい
高温酸化条件に曝されるようになっているため、さら
に耐酸化性が優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr
−Al合金の出現が望まれている。
【0007】前述の特開平5−202449号公報に開
示される成分においては、Al含有量を増加することに
よって、さらに耐酸化性を向上することが可能である。
しかしながら、本発明者らが通常のステンレス製造設備
での製造性を検討した結果、Laを添加したものにさら
にZrを複合添加した合金では、Al含有量が6重量%
を超えると、熱間圧延コイルの耳部(幅方向端部)に割
れが生じて、これが基点となって冷延時に素材コイルが
頻繁に破断し、歩留まりが著しく低下して経済的に不利
であることが明らかになった。また、特開平3−362
41号公報にはLa、CeとZr、Hfを複合添加した
Fe−Cr−Al合金が開示されているが、この合金で
も同様の問題が生じている。
【0008】このような問題に対し、本発明者らはFe
−Cr−Al合金の耐酸化性に及ぼす合金元素の影響に
ついてさらに詳細に検討を続けた結果、Laの代わりに
Smを添加したものは熱間圧延性(熱間加工性)が良好
で熱延コイルの耳部の割れは発生せず、通常のステンレ
ス製造設備でも何の問題も無く製造できることを見出し
た。さらに、耐酸化性についても同様に詳細な検討を行
い、Sm、ZrおよびHfの複合添加によって、Fe−
Cr−Al合金の耐酸化性が著しく向上することを見出
した。また、これらのFe−Cr−Al合金で箔を製造
した後、この箔を適切な条件で焼鈍することによって、
さらに耐酸化性が改善できることを見出した。
【0009】本発明は、上記知見を得ることによって成
されたものであり、従来のFe−Cr−Al合金より優
れた製造性、すなわち圧延性を有し、かつ耐酸化性が著
しく優れた触媒コンバーター用Fe−Cr−Al合金、
および、このFe−Cr−Al合金を用いた合金箔の製
造方法を供給することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の耐酸
化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al
合金は、熱間圧延の施されたFe−Cr−Al合金であ
って、C:0.02重量%以下、Si:1.0重量%以
下、Mn:1.0重量%以下、Cr:15重量%以上2
6重量%以下、Al:4.5重量%超8重量%以下、
N:0.02重量%以下、Sm:0.05重量%以上
0.3重量%以下、Zr:0.01重量%以上0.1重
量%以下、Hf:0.005重量%以上0.1重量%以
下、を含み、不可避的不純物以外のMoおよびWを含ま
ず、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−
Cr−Al合金を提供する。
【0011】また、前記本発明の耐酸化性に優れた触媒
コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金の別の態様
は、La、Ce、PrおよびNdの1種または2種以上
を合計で0.05重量%以下含有する。
【0012】さらに、本発明の耐酸化性に優れた触媒コ
ンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の製造方法
は、前記本発明の耐酸化性に優れた触媒コンバーター担
体用Fe−Cr−Al合金を圧延して合金箔とし、合金
箔への最終圧延後、窒素ガス、水素ガスおよび希ガスか
らなる群より選ばれる1種以上で、かつ酸素を1vol
%以下含有する雰囲気ガス中で、800℃以上1100
℃以下の温度で焼鈍することを特徴とする耐酸化性に優
れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金箔の
製造方法を提供する。
【0013】
【作用】以下、本発明の耐酸化性に優れた触媒コンバー
ター担体用Fe−Cr−Al合金(以下、Fe−Cr−
Al合金とする)の各成分の作用および限定理由を述べ
る。なお、本発明のFe−Cr−Al合金において、下
限がないものについては0重量%を含む。
【0014】CおよびN:Cは過剰になると靱性を低下
させ、冷間圧延性を低下させる。また、耐酸化性も低下
させるので、極力低減させることが望ましい。同様に、
Nも過剰になると靱性を低下させ、冷間圧延性を低下さ
せると共に、Alと反応し粗大(〜30μm)なAlN
として析出すると、50μm厚程度の箔に圧延した場
合、穴開きの原因ともなるので、極力低減させることが
望ましい。よって、共に含有量は0.02重量%以下に
限定する。なお、NとCの含有量の合計は、好ましくは
0.03重量%以下である。
【0015】Si:Siは耐酸化性向上元素であるが、
1.0重量%を超えると圧延性を低下させるので、含有
量を1.0重量%以下に限定した。なお、Siの含有量
は、好ましくは0.5重量%以下である。
【0016】Mn:MnはAl脱酸の予備脱酸剤として
添加された場合、鋼中に残存することがあるが、耐酸化
性および耐食性を劣化させるので少ない方がよい。その
ため、工業的および経済的な溶製技術を考慮して含有量
を1.0重量%以下に限定した。なお、Mnの含有量
は、好ましくは0.5重量%以下である。
【0017】Cr:CrはAlの耐酸化性を向上させる
とともに、Cr自体が耐酸化性を向上させる元素であ
る。ここで、Crの含有量が15重量%未満では耐酸化
性が確保できず、26重量%を越えると靱性および延性
が低下し、冷間圧延が困難となるので、含有量を15重
量%以上26重量%以下に限定した。なお、Crの含有
量は、好ましくは18重量%以上22重量%以下であ
る。
【0018】Al:Alは、合金が耐酸化性を有するた
めに必要不可欠な元素である。Fe−Cr−Al合金の
高温耐酸化性は、酸化時にまずFeよりも酸化されやす
いAlが優先酸化され、合金表面に保護性の高いAl2
3 酸化皮膜を形成することによりもたらされるため、
一般に合金中のAl含有量が高い方が耐酸化性に優れ
る。ここで、Alの含有量が4.5重量%未満では耐酸
化性が確保できず、好ましくは6.0重量%以上を含有
するのが良好である。一方、Alを含有すると鋼は急激
に脆くなり、Al含有量が8重量%を超えると冷間圧延
が困難となるので、4.5重量%超8.0重量%以下に
限定した。
【0019】Sm: Smは本発明において、合金の耐酸化性を向上させるた
めに必要不可欠な元素である。これは、Fe−Cr−A
l合金表面に高温で生成する酸化皮膜の密着性を向上さ
せると共に、酸化皮膜にFeイオンが混入することを防
いで、耐酸化性を向上させる。この効果は、従来知られ
ている他の希土類元素を同量程度添加した場合よりも著
しく大きい。ただし、Smの含有量が0.05重量%未
満では、急激な加熱冷却を受けると酸化皮膜が剥離して
しまい、厚さ20〜100μm程度の箔として使用した
場合には、必要な耐酸化性を確保することが困難であ
る。他方、含有量が0.3重量%を超えると、熱間圧延
中に割れや表面欠陥を生じ、製造が困難となるので、そ
の含有量を0.05重量%以上0.3重量%以下に限定
する。なお、Smの含有量は、好ましくは0.07重量
%以上0.2重量%以下である。
【0020】Hf: Hfは本発明において、合金の耐酸化性を向上させるた
めに必要不可欠な元素である。Hfを含有することによ
り、酸化皮膜の生成速度が著しく抑制されて、耐酸化性
が向上する。ただし、Hfの含有量が0.005重量%
未満ではその効果が表れず、他方、0.1重量%を超え
て含有されても、Fe−Cr−Al合金の耐酸化性はそ
れ以上向上しないばかりか、介在物が増えて箔の製造が
困難になり、また、Hf自体が非常に高価な元素である
ので、経済的に不利となるので、その含有量を0.00
重量%以上0.1重量%以下に限定する。なお、Hf
の含有量は好ましくは0.01重量%以上0.07重量
%以下である。
【0021】Zr:Zrは、SmおよびHfと共に本態
様において合金の耐酸化性を向上させるために必要不可
欠な元素である。前述のように、本発明においては、H
fおよびSmを含有することによって耐酸化性が大きく
向上しているが、鋼中にCやNが存在すると、Hfは容
易にこれらの元素と結合して、耐酸化性向上効果を示さ
なくなる。これを防止するためには、CやNの濃度を極
力低減する必要があるが、製鋼技術上完全な除去は不可
能であり、また、極限までの低減は製造コスト的にも不
利である。これに対して、Zrを添加することによっ
て、CやNはZrとも結合するのでCやNと結合するH
fを大幅に低減することができる。そのため、ZrとH
fとを複合添加することによって、Hf単独で添加した
場合に比べ、非常に優れた耐酸化性を得ることができ
る。しかしながら、その含有量が0.01重量%未満で
は耐酸化性向上への効果を得ることができず、他方、
0.1重量%を超えて含有されると、酸化速度が大きく
なりすぎて、逆に耐酸化性を低下してしまうため、その
含有量を0.01重量%以上0.1重量%以下に限定す
る。なお、Zrの含有量は、好ましくは0.02重量%
以上0.07重量%以下である。
【0022】La、Ce、Pr、Nd:Smは高価な元
素であるが、添加したものの一部は合金中のP、Sや溶
存酸素を結合して、耐酸化性向上に寄与しない。これに
対し、Smと共にLa、Ce、PrおよびNdの一種あ
るいは二種以上を添加して、P等とこれらとを結合させ
ることによって、P等に固定されるSmを低減して、S
mによる耐酸化性向上の効果をより良好に発揮すること
ができる。しかも、La、PrおよびNdは、Smと比
較するとその効果は劣るものの、同様に耐酸化性向上効
果を有する。そのため、必要に応じてこれらの元素を含
有することによって、より耐酸化性に優れた合金を得る
ことができる。しかしながら、これらの一種以上の添加
量が増加すると、熱間加工性が低下し鉄塊が割れたり表
面欠陥が生じ易く、また、合金の靭性が低下して経済的
な圧延が困難になってしまうので、これらの元素を含有
する場合には、その含有量は0.05重量%以下とす
る。
【0023】なお、本発明のFe−Cr−Al合金にお
いて、La、Ce、PrおよびNdを含有する場合に
は、Smが0.2重量%を超えて含有されると、熱間圧
延中に耳部の割れ(耳割れ)や表面結果を生じ易くなっ
てしまう。そのため、この場合には、Smの含有量を
0.2重量%以下とするのが好ましい。
【0024】前述のように、本発明のFe−Cr−Al
合金は、公知の手段によって圧延され、触媒コンバータ
ー担体用の合金箔として使用される。ここで、本発明の
Fe−Cr−Al合金箔の製造方法(以下、本発明の製
造方法とする)は、前述の本発明のFe−Cr−Al合
金を公知の方法で圧延して合金箔への最終圧延後、窒素
ガス、水素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる1
種以上で、かつ酸素を1vol%以下の含有する雰囲気
ガス中で、800℃以上1100℃以下の温度で焼鈍す
るものである。このような本発明の製造方法は、本発明
のFe−Cr−Al合金からなる合金箔を、低酸素雰囲
気下で所定の温度範囲で焼鈍することによって、合金箔
の表面に耐酸化性に富んだ酸化皮膜を生成することがで
き、その後高温酸化を受けても、酸化速度が著しく低
く、より優れた耐酸化性を有する触媒コンバータ担体用
合金箔を実現することができる。
【0025】本発明のFe−Cr−Al合金を圧延して
合金箔とする方法には特に限定はなく、公知の圧延方法
がすべて利用可能である。なお、本発明のFe−Cr−
Al合金を触媒コンバーター担体用の箔とする際には、
その厚さを20μm以上100μm以下とするのが好ま
しい。
【0026】排ガス浄化用の触媒コンバーター担体とし
ては、薄い箔を用いたほうが触媒コンバータの圧損が少
なくなり、エンジン出力低下の防止や燃費向上に有利で
ある。また、触媒コンバータの熱容量が小さくなるた
め、エンジンの始動直後から良好な触媒浄化作用を得ら
れ、しかも、コンバータ自体の軽量化等の点でも、箔は
薄い方が有利である。これらの特性を良好に得るために
は、触媒コンバーター担体用の箔は100μm以下であ
ることが望ましい。しかしながら、箔の耐酸化性は薄く
なるに従って低下し、20μm未満では、本発明のFe
−Cr−Al合金をもってしても必要にして十分な耐酸
化性を確保することは困難であり、しかも、強度が低下
して触媒コンバータが使用中に変形し易くなってしま
う。また、これ以上の薄さでは、冷間圧延が困難になっ
て大量生産にも問題が生じる場合がある。
【0027】本発明の製造方法においては、このように
して最終圧延を終えて得られた合金箔を、所定の雰囲気
ガス下で、所定の温度範囲で焼鈍する。雰囲気ガスは窒
素ガス、水素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる
1種以上を基本とする。特に、容易に酸素濃度を下げら
れる等の点で、水素ガスを含むガスが好ましい。なお、
合金箔の表面にAlNが生成すると耐酸化性が低下して
しまうので、窒素(N)を含む雰囲気中では、露点を−
60℃以上にするのが好ましい。
【0028】雰囲気ガスは、これらのガスを基本として
酸素を1vol%以下の含有する低酸素雰囲気である。
酸素濃度が1vol%を超えると、生成する酸化皮膜中
のCrやFe濃度が上がってしまい、耐酸化性が向上し
ない。
【0029】本発明の製造方法においては、最終圧延後
の合金箔を、このような雰囲気ガス中で、800℃以上
1100℃以下の温度で焼鈍する。焼鈍温度が800℃
未満では、生成する酸化皮膜が薄く、耐酸化性向上の効
果が表れない。逆に、焼鈍温度が1100℃を超える
と、本発明のFe−Cr−Al合金の強度が著しく低下
し、通常の設備で焼鈍を行うことができない。焼鈍温度
は、好ましくは、850〜1000℃である。なお、焼
鈍時間には特に限定はなく、1秒以上行えばよい。ただ
し、焼鈍時間が1時間を超えると、酸化皮膜が厚くなり
すぎて、触媒コンバータ製造におけるコルゲート加工時
に加工用歯車の摩擦が大きく摩耗が大くなってしまい、
頻繁に加工用歯車を交換する必要が生じてしまうので好
ましくない。なお、焼鈍時間は、通常、1秒〜60秒程
度である。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1) 表1に発明例(発明鋼)の、表2に比較例(比較鋼)の
化学組成および特性試験結果を示す。これらの素材は、
10kgの真空溶解炉によって溶製造塊した後、120
0℃に加熱して板厚3mmまでの熱間圧延を行った。ここ
で比較例のうちSm含有量が0.35重量%と高いB−
1およびNd含有量が0.075重量%と高い(不可避
的不純物量を超えて添加した)B−2は、熱間圧延中に
鋼塊が割れて圧延板を得ることができなかったのでその
後の試験は行なっていない。同様に、Al含有量が6重
量%以上でLaを0.05重量%を超えて含有する(不
可避的不純物量を超えて添加した)B−3およびB−4
は、耳割れがひどかったので以降の試験は行わなかっ
た。
【0031】さらに、脱スケール後冷間圧延を行った。
ここで、比較例中C含有量が0.022重量%と高かっ
たB−5、Si含有量が1.46重量%と高かったB−
6、Cr含有量が27.1重量%と高かったB−7、お
よびアルミニウム含有量が8.6重量%と高かったB−
8は、冷間圧延中に板が割れてしまい、その後の試験は
行わなかった。その他の合金は、冷間圧延と焼鈍とを繰
り返して板厚50μmの箔とした。ここで、本発明中A
−2およびA−7以外は6重量%以上のAlを含有する
ものであるが、これらの熱延板には耳割れはなく、冷間
圧延中にも板割れが起こらず、本発明合金の製造性(圧
延性)が優れていることが示されている。
【0032】こうして作製した板厚50μmの試料につ
いて、幅20mm、長さ30mmの試験片を採取して120
0℃の大気中で酸化し耐酸化性を評価した。試験および
評価方法は下記のとおりである。
【0033】酸化試験は24時間おきに試験片を取り出
し、重量変化測定と外観観察する方法を用い、試験片に
Breakaway 酸化(ブレークアウエイ酸化=酸化皮膜の保
護性が失われ、急激な重量増加を示す異常酸化)が発生
した時間から24時間を引いた時間を箔の酸化寿命とし
て評価した。本発明のFe−Cr−Al合金では、健在
な酸化皮膜は灰色か緑色であるが、Breakaway 酸化では
黒色の酸化皮膜が生じる。この黒色の酸化皮膜は、非常
に脆く、また板厚方向に貫通しているので、この酸化皮
膜が生成すると、触媒コンバータ自体が破壊してしま
う。そのため、Breakaway 酸化が発生するまでの時間を
箔の寿命とすることができる。本試験では、25mm2
上の面積で黒色の酸化皮膜が生成した時をBreakaway酸
化の発生とした。表1および表2に示されるように、比
較例の酸化寿命が最長でも264時間であるのに対し、
発明例においてはいずれも312時間以上で、特にアル
ミニウム含有量が6重量%以上のものは、384時間以
上の優れた耐酸化性を示しており、本発明合金が製造性
と耐酸化性に優れているのは明らかである。
【0034】また、表1および表2には、前述の熱間圧
延性および冷間圧延性の評価も併記する。 熱間圧延性 前述の1200℃に加熱して板厚3mmまでの熱間圧延を
行なった際に、 ○:熱間圧延板に長さ5mm以上の耳割れや表面欠陥がな
かったもの ×:熱間圧延中に鋼塊が割れて板ができなかったもの
や、熱間圧延板に長さ5mm以上の耳割れや表面欠陥が生
じたもの 冷間圧延性 前述の冷間圧延中に、 ○:長さ10mm以上の割れが発生しなかったもの ×:冷間圧延中に板が割れて圧延を中止したものや、冷
延後の板に長さ10mm以上の割れが発生したもの
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】(実施例2)前記実施例1で作製したA−
1およびA−5の合金箔を、表3に示される条件で焼鈍
を行った後、前記実施例1と同様の方法で酸化試験を行
い、耐酸化性を評価した。表3に示されるように、焼鈍
温度が750℃と低い比較例1、酸素を1.5vol%
含有する雰囲気で焼鈍を行った比較例2、および大気中
で焼鈍を行った比較例3の酸化寿命は、前述の実施例1
の試料に比して大きく酸化寿命が変化することはなかっ
た。これに対し、本発明の合金箔の製造方法を適用した
発明例1〜5は、前述の実施例1の発明鋼A−1および
A−5に比して、大幅に酸化寿命が伸びている。以上の
結果より、本発明の合金箔の製造方法が、耐酸化性の向
上に有効であるのは明らかである。
【0038】
【0039】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のF
e−Cr−Al合金は、従来技術によるFe−Cr−A
l合金に比して著しく耐酸化性および生産性に優れてお
り、従来の合金では適用が難しかったエンジン近傍(エ
キゾーストマニホールド付近)を初めとした、耐高温酸
化性の要求される自動車排ガス浄化触媒コンバーター用
材料として好適であり、自動車の公害対策上のメリット
は大きい。また、他の過酷な繰返し酸化を受ける用途に
対しても有用である。さらに、本発明の合金箔の製造方
法によれば、このように優れた特性を有する本発明のF
e−Cr−Al合金の耐酸化性を、より一層優れたもの
にすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱間圧延の施されたFe−Cr−Al合金
    であって、 C:0.02重量%以下、Si:1.0重量%以下、 Mn:1.0重量%以下、Cr:15重量%以上26重
    量%以下、 Al:4.5重量%超8重量%以下、 N:0.02重量%以下、 Sm:0.05重量%以上0.3重量%以下、 Zr:0.01重量%以上0.1重量%以下、 Hf:0.005重量%以上0.1重量%以下、 を含み、不可避的不純物以外のMoおよびWを含まず、
    残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とす
    る耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr
    −Al合金。
  2. 【請求項2】La、Ce、PrおよびNdの1種または
    2種以上を合計で0.05重量%以下含有する請求項1
    に記載の耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe
    −Cr−Al合金。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の耐酸化性に優れ
    た触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金を圧延
    して合金箔とし、合金箔への最終圧延後、窒素ガス、水
    素ガスおよび希ガスからなる群より選ばれる1種以上
    で、かつ酸素を1vol%以下含有する雰囲気ガス中
    で、800℃以上1100℃以下の温度で焼鈍すること
    を特徴とする耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用
    Fe−Cr−Al合金箔の製造方法。
JP10677094A 1993-05-20 1994-05-20 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法 Expired - Lifetime JP3491334B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10677094A JP3491334B2 (ja) 1993-05-20 1994-05-20 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11833693 1993-05-20
JP5-118336 1993-05-20
JP5-228770 1993-09-14
JP22877093 1993-09-14
JP10677094A JP3491334B2 (ja) 1993-05-20 1994-05-20 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07138710A JPH07138710A (ja) 1995-05-30
JP3491334B2 true JP3491334B2 (ja) 2004-01-26

Family

ID=27310822

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10677094A Expired - Lifetime JP3491334B2 (ja) 1993-05-20 1994-05-20 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3491334B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4604446B2 (ja) * 2000-06-30 2011-01-05 Jfeスチール株式会社 Fe−Cr−Al系合金箔及びその製造方法
JP5245454B2 (ja) * 2008-02-27 2013-07-24 Jfeスチール株式会社 エッチングしやすいステンレス箔
CN115404413B (zh) * 2022-08-22 2023-11-28 北京首钢吉泰安新材料有限公司 一种铁铬铝合金及其制备方法、电热元件

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07138710A (ja) 1995-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4414023A (en) Iron-chromium-aluminum alloy and article and method therefor
JP3903855B2 (ja) 室温で軟質かつ耐高温酸化性に優れたフェライト系ステンレス鋼
EP2554700B1 (en) Stainless steel foil and catalyst carrier for exhaust gas purification device using the foil
JPH10140296A (ja) 熱間加工性に優れるAl含有オーステナイト系ステンレス鋼
US5045404A (en) Heat-resistant stainless steel foil for catalyst-carrier of combustion exhaust gas purifiers
JP3247162B2 (ja) 耐酸化性に優れたFe−Cr−Al系合金およびその箔
EP0625585B1 (en) Fe-Cr-Al alloy foil having high oxidation resistance for a substrate of a catalytic converter and method of manufacturing same
EP0646657B1 (en) Ferritic stainless steel excellent in oxidation resistance
EP3527683B1 (en) Stainless steel sheet and stainless steel foil
EP0429793B1 (en) Heat-resistant stainless steel foil for catalyst-carrier of combustion exhaust gas purifiers
JP3491334B2 (ja) 耐酸化性に優れた触媒コンバーター担体用Fe−Cr−Al合金およびこれを用いた合金箔の製造方法
JP3200160B2 (ja) 耐酸化性および耐高温脆化性に優れたFe−Cr−Al合金、それを用いた触媒担体ならびに合金箔の製造方法
KR100196984B1 (ko) 우수한 내고온산화특성과 인성을 갖는 al함유 페라이트계 스테인레스 강
JPH06212363A (ja) 高温耐酸化性および高温耐久性に優れたFe−Cr−Al系合金鋼
JP4259151B2 (ja) 耐熱材料
JP3320831B2 (ja) 高温強度および耐酸化性に優れたFe−Cr−Al合金
JPH0953156A (ja) 電熱触媒用Fe−Cr−Al合金箔
JPH06220587A (ja) 耐酸化性に優れ、電気抵抗減少率の小さいFe−Cr−Al系合金
JP4222217B2 (ja) 耐変形性に優れる排ガス浄化システム用鋼材。
JP3351837B2 (ja) 製造性及び耐高温酸化性に優れたAl含有フェライト系ステンレス鋼
JPH07316746A (ja) 触媒メタル担体
JP2571895B2 (ja) 耐酸化性,靱性および熱間加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼
JP3301845B2 (ja) 高Al含有フェライト系ステンレス鋼を基材とするマニホルドコンバータ
JPH01255648A (ja) 耐酸化性、耐高温脆化性に優れたFe−Cr−Al系合金
JP2019173115A (ja) 耐高温塩害特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板及び自動車排気系部品

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031014

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071114

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081114

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091114

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101114

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121114

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131114

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term