JP3032247B2 - 微粉脱硫剤を燃焼排ガスに噴霧する脱硫法 - Google Patents

微粉脱硫剤を燃焼排ガスに噴霧する脱硫法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、燃焼排ガスから硫黄酸化物(以下SOxと称
することがある。)を除去する脱硫法に関するもので、
特に設備コストが簡単な微粉脱硫剤をボイラ火炉から煙
道に至る燃焼排ガス流路内に噴霧する脱硫法に関するも
のである。
[従来の技術] 火力発電用ボイラを対象にした脱硫装置は、石灰石−
石膏法と呼ばれている脱硫方式が主流である。この石灰
石−石膏法は微粉石灰石に水を加えてスラリー状にし、
このスラリーをボイラから発生する燃焼排ガスと接触さ
せることにより、亜硫酸ガスを吸収させ、副産物として
石膏を回収する湿式脱硫法である。また、乾式法の代表
例は、活性炭脱硫法である。
前記湿式法、乾式法、いずれの場合も脱硫性能は高い
が、設備が重装備となりイニシャルコストが高くなる問
題点がある。前者の石灰石−石膏法では、排水処理設
備、排ガスの再加熱処理設備等が必要になる。これに対
して、ボイラ火炉内に微粉脱硫剤を粉体で噴霧する脱硫
法が提案されている。この脱硫法は、装置が簡単であり
設備コストも少なくできるが、脱硫性能が低く特に排出
規制の厳しいわが国の火力発電用ボイラの燃焼排ガスの
脱硫方式としては採用されなかった。しかし、設備コス
トが低くなる点から注目され始め、改良が進められてき
た。また、微粉脱硫剤として、主に石灰石が用いられて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 前記ボイラ火炉内に微粉脱硫剤を噴霧する脱硫法にお
いて、石灰石をボイラの高温火炉部に噴霧したときの脱
硫反応は次のとおりである。まず、石灰石が高温下で分
解して生石灰を生成し、この生石灰がSOxおよびO2と反
応し、無水石膏を生成する。石灰石から生石灰を生成さ
せる反応を行わせる必要から石灰石を高温雰囲気に噴霧
する必要がある。しかし、噴霧する温度領域が高温過ぎ
ると、噴霧した石灰石がシンタリングし、脱硫反応活性
が低下する問題があるため、最適な噴霧箇所を選ぶ必要
がある。油焚きボイラでは、石炭火力ボイラに比べ火炉
内の温度が高く、火炉内に石灰石を噴霧できない。ま
た、石炭焚きボイラでは、燃焼する石炭種により、石炭
灰の溶融温度が異なり、しかも、脱硫剤として噴霧する
石灰石は、石炭灰の融点を下げる問題がある。従って、
石灰石の生石灰化反応と脱硫反応を効率よく行うには、
ボイラのどこへ石灰石を噴霧するか、石灰石の噴霧位置
が重要である。また、石炭焚きボイラでは、日間負荷変
化運転が行われるが、負荷変化するとボイラ火炉内の温
度分布が変化し、負荷に応じて噴霧位置を変える必要が
ある。
そこで、本発明の目的は、微粉脱硫剤を燃焼排ガス中
に噴霧する脱硫法において、石炭灰の溶融によるトラブ
ルのおそれをなくし、しかも、脱硫性能を高くすること
である。
[課題を解決するための手段] 本発明の上記目的は、次の構成により達成される。
すなわち、微粉脱硫剤を100℃から500℃の温度で熱処
理した後に、亜硫酸ガスあるいは亜硫酸カルシウムの酸
化促進剤を含浸させて得られる脱硫剤を排ガス温度が50
0℃から800℃領域の燃焼排ガス流路に噴霧して燃焼排ガ
ス中の硫黄酸化物を脱硫剤含有ダストとして捕集する微
粉脱硫剤を燃焼排ガスに噴霧する脱硫方法、 である。
微粉脱硫剤は、硫黄酸化物を固定する金属としては、
カルシウム、ナトリウム、マグネシウムを含むアルカリ
金属あるいはアルカリ土類金属を用いる。特に、カルシ
ウム、ナトリウム、マグネシウムの水酸化物あるいは水
和物は燃焼排ガス温度500℃から800℃の領域において、
脱硫性能が高められる。
一般的なカルシウム、ナトリウム、マグネシウムの水
酸化物あるいは水和物の代表例は水酸化カルシウム、水
酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム等である。とく
に、消石灰は、上記燃焼排ガス温度領域で、数秒の滞留
時間で燃焼排ガス中の硫黄酸化物を亜硫酸カルシウムに
固定できることが明らかになった。燃焼排ガスと消石灰
の脱硫反応は、燃焼排ガス温度が、600℃近傍の時に最
大値となる。他の水酸化物あるいは水和物についても微
粉として燃焼排ガスと接触して脱硫を行わせるには、水
酸化物あるいは水和物の分解温度よりさらに150℃から2
00℃高温の領域が最適である。このことから前述の水酸
化物あるいは水和物を500℃から800℃の燃焼排ガス温度
領域に噴霧することにより、装置が簡単となり、しかも
高脱硫率が達成できる。
前記脱硫法により生成する微粉脱硫剤に捕集された亜
硫酸塩は、捕集機の前流側に設置した酸化触媒により酸
化して硫酸塩にして捕集することもできる。微粉脱硫剤
は100℃から500℃の温度で熱処理した後に、亜硫酸ガス
あるいは亜硫酸カルシウムの酸化促進剤を含浸させたも
のを用いてもよい。
さらに、前記脱硫法において、微粉脱硫剤が同伴する
燃焼排ガス流路にアンモニアガスを供給すると、燃焼排
ガスに共存する窒素酸化物、硫黄酸化物はアンモニア化
合物として微粉脱硫剤に捕集されるので脱硫とともに脱
硝もできる。
[作用] 石炭の燃焼により発生する燃焼排ガス中の硫黄酸化物
は、500℃から800℃の温度領域に噴霧されたカルシウム
の水酸化物あるいは水和物と次の(1)〜(4)式のよ
うに反応し脱硫が行われる。
Ca(OH)2→CaO+H2O ・・・・・・・・(1) CaO+SO2→CaSO3 ・・・・・・・・(2) CaO+SO2+1/2SO2→CaSO4 (反応の一部) ・・・・(3) CaSO3+1/2O2→CaSO4 (反応の一部) ・・・・(4) また、ナトリウム、マグネシウムの水酸化物あるいは
水和物についても以下のように反応する。
2NaOH+SO2→Na2SO3+H2O ・・(5) Mg(OH)2+SO2→MgSO3+H2O ・・(6) 消石灰を使用する場合、600℃の燃焼排ガス温度での
高い脱硫率は、(1)、(2)式の反応が主であり、電
気集塵機で回収される副産物は亜硫酸カルシウムであ
る。
この亜硫酸カルシウムは硫酸カルシウムに酸化する必
要がある。
なお、(1)、(2)式の未反応CaOは燃焼排ガス煙
道内の400℃近傍以下の温度で、CaOとH2Oを反応させCa
(OH)2を生成させる。この新たに生成した消石灰は硫黄
酸化物と反応して反応式(7)に示すように、亜硫酸カ
ルシウムを生成する。
Ca(OH)2+SO2→CaSO3+H2O ・・・・・・(7) したがって、消石灰を噴霧する脱硫法は、燃焼排ガス
温度が500℃から800℃の高温で高い脱硫反応を行わせ、
さらに150℃から60℃の低温でも脱硫反応を行わせる二
段階法であり、高い脱硫率が得られる。
一方、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムの金属
塩の存在下に石炭灰を添加しスラリー化することによ
り、石炭灰からAl2O3,SiO2,Fe2O3が溶出し、多水分系
の水酸化物あるいは水和物を生成する。以下に消石灰を
用いたときの代表例的水酸化物あるいは水和物を示す。
Ca(OH)2+石炭灰 →3CaO・Al2O3・3CaSO4・m1H2O (8) Ca(OH)2+石炭灰 →3CaO・Fe2O3・3CaSO4・m2H2O (9) Ca(OH)2+石炭灰 →3CaO・SiO2・3CaSO4・m3H2O (10) 添加する金属塩がナトリウム、マグネシウムの場合も
(8)〜(10)式に示す生成物に類似した水酸化物ある
いは水和物が生成する。このような類似水酸化物あるい
は水和物の粒径は4μm以下の針状結晶が生成し、SO2
との接触面積を高め、高脱硫率が得られる。(8)〜
(10)式の水酸化物あるいは水和物は12〜32結晶水を持
ち、燃焼排ガス温度が500℃から800℃の領域に微粒化し
て噴霧するとSO2吸着に有効な細孔が発達し、脱硫性能
を高めることができる。
前述したように消石灰を用いる場合において、燃焼排
ガス温度500℃から800℃で一旦生石灰(CaO)化した脱
硫剤は60℃から150℃の低温領域では、Ca(OH)2の水和反
応が進行し、直接SO2との反応による(7)式の脱硫反
応が起こる。
燃焼排ガス温度800℃〜60℃での脱硫反応に伴う副産
物は、亜硫酸カルシウムであり、電気集塵機で回収後に
硫酸カルシウムに酸化し安定化される。
[実施例] 以下に本発明の一実施例を第1図に示す。第1図にお
いて、石炭火力発電ボイラ1には微粉石炭2が供給さ
れ、空気3により燃焼される。微粉脱硫剤4は搬送機5
を経て、流路9により導入する空気と共に流路6からボ
イラ1に噴霧される。ボイラ火炉内では第2図のように
高温燃焼排ガスは第一熱交換器7、第二熱交換器8で冷
却される。ボイラ形式にもよるが、バーナ近傍の温度15
00℃から1600℃の燃焼排ガスは、第一熱交換器7で冷却
され、燃焼排ガス温度は700℃から900℃になる。微粉脱
硫剤は、第一熱交換器7の出口の燃焼排ガス流路に噴霧
することにより、本発明法による高脱硫性能が達成でき
る。燃焼排ガス10は第二熱交換器8で400℃近傍に冷却
される。冷却排ガス10は第1図に示すように流路11から
空気予熱器12で冷却され、燃焼排ガス流路13から脱硫塔
14に導かれる。微粉脱硫剤は空気予熱器12の出口温度領
域から脱硫剤中の未反応CaOがCa(OH)2に消化反応し、直
接SO2との反応により、脱硫反応が起こり、CaSO3を生成
する。脱硫塔14では、CaOの消化反応を進めるために、
水を流路15から積極的に噴霧供給する。燃焼排ガス中の
石炭灰と微粉脱硫剤は流路16から電気集塵機17に導入さ
れ回収される。処理された燃焼排ガスは煙突18から排出
される。流路15から供給する水を流路9から供給するこ
とも可能であり、このとき、水はスプレイで微粒化して
供給するか水蒸気として供給する。また、微粉脱硫剤の
供給を流路6から全量供給する代わりに、脱硫塔14に分
割供給することも可能である。
燃焼排ガス中の硫黄酸化物を捕集した脱硫剤を電気集
塵機17で回収し、回収ダストを水に浸漬させ、その上澄
み液を、流路15から再び燃焼排ガス系に供給してもよ
い。
微粉脱硫剤を噴霧する脱硫法について、脱硫特性を把
握するために、第3図に示す実験装置で検討した。セラ
ミックス反応管25には1mmピッチでカンタル電熱線26を
巻き、反応管25内の温度を調整した。第3図の反応管は
内径13mmのセラミックス管(有効部長さ1200mm)により
検討した。微粉脱硫剤27は、フィーダ28から分散器29を
経て反応管25に気流搬送した。反応ガス31はキャリヤー
ガス30と混合し、反応管25に脱硫剤27と並流で供給し、
脱硫反応を行わせた。
反応管25の出口では、処理ガス33と脱硫剤32を分離
し、ガスの一部はSO2、NO、CO2、O2分析計に導き濃度を
測定した。
第4図の実施例は、本発明の効果を表す典型的な実験
結果を示す。第4図の記号□△○印は、消石灰の温度依
存性を示し、Ca/Sはぞぞれ1.5、2.0、2.7の結果であ
る。一方、●▲■▼は石灰石の脱硫反応の温度依存性を
示し、石灰石の粒径を変化した結果を示す。石灰石の平
均粒径は3.3μm、7.8μm、10.1μm、10.6μm、のも
のが、それぞれ符号●、▲、■、▼に対応する。模擬燃
焼排ガス組成中の亜硫酸ガス濃度は1500ppm、O26%、C
O210%、H2O5%とした。
石灰石を用いたときは、1000℃近傍で脱硫性能が最も
高くなり、それ以上反応温度が高くなると脱硫性能は低
下した。1000℃の時の有効反応ゾーンでの滞留時間は0.
9秒から1.2秒であった。一方、消石灰を脱硫剤として用
いたときには、1000℃から反応温度が低下すると800℃
までは僅か脱硫性能が下がるが、800℃以下に温度が低
下すると脱硫性能は高くなり始め、反応温度が600℃で
最大値を示す。反応温度が600℃より低下すると脱硫性
能は低下した。消石灰の実験時の有効反応領域の滞留時
間は各反応温度で若干異なるが0.9秒から1.54秒であっ
た。反応温度600℃での滞留時間を検討した結果を第5
図に示す。滞留時間は0.7秒から2.7秒に変化させた。脱
硫性能は0.9秒までは滞留時間を長くする程高くなる
が、それ以上長くしても脱硫性能はあまり影響しなくな
る。この結果は、第2図に示した第一熱交換器7出口か
ら反応有効部である700℃から900℃近傍での滞留時間は
0.8秒から1秒がとれるので本発明を適用できる。各反
応温度に対して得られる反応後の脱硫剤のX線回折結果
を第6図、第7図に示す。第6図は反応温度1000℃で行
った脱硫反応後の脱硫剤、石灰石のX線回折結果を示
す。硫黄酸化物は硫酸カルシウムとして固定されている
が、第7図の消石灰を600℃の反応温度で脱硫を行った
副生物中の硫黄酸化物は亜硫酸カルシウムであった。
第8図の実施例は、本発明の効果を検証するために微
粉炭50kg/hを燃焼する堅型燃焼炉による脱硫実験結果を
示す。燃焼炉は本体40に微粉炭供給バーナ41と、脱硫剤
供給系42、43、燃焼排ガス分析系44から成る。脱硫実験
は硫黄含有率0.38%の石炭を空気過剰率1.1から1.15で
燃焼させたときの脱硫試験結果である。粒径325μm以
下のものが95%以上で含まれる石灰石を空気により、燃
焼炉内に噴霧した場合と、平均粒径10.2μmの消石灰を
燃焼炉内に噴霧したときの脱硫性能を比較検討した。
第9図の実施例は、Ca/Sと脱硫率の関係を石灰石と消
石灰の微粉脱硫剤についての脱硫率を示す。石灰石(○
印)に比較し、消石灰(△印)を比較すると、同じCa/S
でも消石灰の脱硫率が高くできた。石灰石を燃焼炉内へ
供給した位置での平均燃焼排ガス温度は、1000℃から11
00℃であった。また、消石灰を燃焼炉内の燃焼排ガス温
度が700℃から900℃の温度領域に噴霧した。石灰石およ
び消石灰を供給した位置から燃焼排ガスのサンプル位置
までの燃焼排ガスの滞留時間は0.8から1.3秒であった。
また、第3図の反応管25で消石灰および石灰石のそれ
ぞれの脱硫反応が最適となる条件で脱硫実験を行い、そ
の時の脱硫剤サンプルを採取し、その脱硫剤サンプルに
よる本脱硫プロセスの低温領域を模擬した脱硫実験を行
った。
消石灰、石灰石の脱硫剤サンプルは、石炭灰にそれぞ
れ10%均一混合したものを用いた。
実験は、50mmΦで、長さ2.5mの反応管内に前述の脱硫
剤サンプルを噴霧させ、脱硫反応が活発に起こる低温領
域150℃から65℃を模擬して実験を行った。滞留時間は
8〜10秒で行った。排ガス中のSO2濃度は750ppm、NOは3
50ppm、CO210%としH2Oは反応管出口の排ガス温度が65
℃になるように水分を調整した。第10図は、脱硫剤とし
て、石灰石(○)と消石灰(△)の脱硫剤サンプルにつ
いてCa/Sと脱硫率を示す。Ca/Sは脱硫サンプル中の未反
応CaOの分析値と噴霧供給量と、供給するSO2濃度、ガス
量から算出したもので、それぞれのモル比で表した。同
一Ca/Sでも石灰石の脱硫サンプルより消石灰の脱硫サン
プルが脱硫性能を高くできる効果があることが明らかに
なった。
したがって、消石灰を燃焼排ガス温度500℃から800℃
の領域に噴霧させることにより、同じCa/Sでも石灰石よ
り脱硫性能が高くできる効果がある。これによって、燃
焼排ガス温度が800℃から65℃までの領域における脱硫
性能は、Ca/S=2に対して石灰石を用いる噴霧脱硫法で
は59.8%であるのに対して、消石灰を用いる噴霧脱硫法
では83.2%になる。
なお、消石灰を燃焼排ガスの温度が500℃から800℃の
領域に噴霧する脱硫法では、副生物の大部分は亜硫酸カ
ルシウムであり、電気集塵機で回収したものは、酸化処
理して硫酸カルシウムとする。
このために集塵機中あるいは、燃焼排ガス中の亜硫酸
ガスをSO3に酸化処理することにより、硫酸カルシウム
として電気集塵機で回収することができる。また、消石
灰に酸化促進剤を含浸させたものを500℃から800℃の燃
焼排ガス温度領域に噴霧することにより、硫酸カルシウ
ムにして回収することができる。酸化促進剤としては、
バナジウム塩、酸化鉄、酸化マンガン等を数ppm消石灰
に含浸させることが有効である。更に酸化促進剤を含浸
させるのに、温度100℃から500℃で加熱処理することに
より細孔を発達させてから行うことが有効である。
また、燃焼排ガス温度が500℃から800℃の温度領域の
低温領域にアンモニアガスを噴霧することにより、硫黄
酸化物の一部を硫安として捕集すると同時に窒素酸化物
を亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウムとして捕集するこ
とができる。
[発明の効果] 本発明の微粉脱硫剤をボイラ火炉から煙道の燃焼排ガ
ス温度が500℃から800℃領域の燃焼排ガス流路に噴霧す
る脱硫法は、石灰石を使用するボイラ火炉内に噴霧する
脱硫法に比べて、噴霧温度領域が低温であり、ボイラ火
炉内での脱硫剤の溶融による伝熱管へ弊害を無くすこと
ができる。また、そのためにボイラの熱交換器の効率を
高く維持できる。更に、石灰石をボイラ火炉に噴霧する
方法に比べ脱硫性能を高くできる効果がある。
さらに、微粉脱硫剤に酸化促進剤を含浸させたものを
噴霧することにより、あるいは微粉脱硫剤に捕集された
亜硫酸塩を酸化処理することで排ガス中の硫黄酸化物は
硫酸カルシウムとして回収することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の微粉脱硫剤を噴霧する脱硫プロセスを
示す図、第2図は本脱硫剤の噴霧位置の代表例を示す
図、第3図はボイラ火炉内を模擬した基礎実験装置の概
略図、第4図は本発明の脱硫剤として消石灰を用いたと
きの脱硫性能に及ぼす燃焼排ガス温度依存性を示す図、
第5図は消石灰について温度600℃での滞留時間と脱硫
性能との関係を示す図、第6図、7図は副生物のX線回
折図、第8図は微粉炭燃焼炉による脱硫実験装置図、第
9図は消石灰と石灰石の脱硫性能比較図、第10図は温度
領域150〜65℃での本発明法と石灰石火炉内吹き込み法
の脱硫性能の比較結果を示す図である。 1…ボイラ火炉、2…微粉石灰、3…燃焼用空気、4…
微粉脱硫剤、5…搬送機、6…脱硫剤噴霧流路、7…第
一熱交換器、9…噴霧空気流路、12…空気予熱器、14…
脱硫塔、15…水供給流路、17…電気集塵機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮寺 博 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 斎藤 一一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 楢戸 清 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 西村 士 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社呉工場内 (56)参考文献 特開 昭61−287420(JP,A) 特開 昭61−287419(JP,A) 特開 昭60−51532(JP,A) 特開 昭56−62521(JP,A) 特開 昭54−102285(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/50,53/81,53/14 F23J 15/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微粉脱硫剤を100℃から500℃の温度で熱処
    理した後に、亜硫酸ガスあるいは亜硫酸カルシウムの酸
    化促進剤を含浸させて得られる脱硫剤を排ガス温度が50
    0℃から800℃領域の燃焼排ガス流路に噴霧して燃焼排ガ
    ス中の硫黄酸化物を脱硫剤含有ダストとして捕集するこ
    とを特徴とする微粉脱硫剤を燃焼排ガスに噴霧する脱硫
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の脱硫方法により燃焼排ガス
    中の硫黄酸化物を捕集した微粉脱硫剤含有ダストを捕集
    して回収し、回収したダストを水に浸漬させ、その上澄
    み液を、微粉脱硫剤を噴霧する位置の後流側の燃焼排ガ
    ス流路に噴霧することを特徴とする微粉脱硫剤を燃焼排
    ガスに噴霧する脱硫方法。
  3. 【請求項3】微粉脱硫剤を100℃から500℃の温度で熱処
    理した後に、亜硫酸ガスあるいは亜硫酸カルシウムの酸
    化促進剤を含浸させて得られる亜硫酸含有排ガスの浄化
    用微粉脱硫剤。
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