JP3031812U

JP3031812U - 炭酸ガス発生材及び炭酸ガス添加水の製造装置

Info

Publication number: JP3031812U
Application number: JP1996005652U
Authority: JP
Inventors: 広田阪
Original assignee: Mitsubishi Chemical Corp; Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Chemical Corp; Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 1996-05-29
Filing date: 1996-05-29
Publication date: 1996-12-03
Anticipated expiration: 2002-05-29

Abstract

(57)【要約】【課題】家庭でも容易に炭酸ガス添加水を得る炭酸ガ
ス発生材及び炭酸ガス添加水の製造装置を提供する。【解決手段】酸と炭酸塩のいずれか一方を水溶液とし
て封入したカプセルと他方を固形とした錠剤とを、少な
くとも一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構成される
非透水性の袋体に収納してなる炭酸ガス発生材、及び、
炭酸ガス発生材と、水を収納しうる容器と、ガス分散板
を設けた棒状体であって、一方の端部に容器入口への掛
止具を備え、他方の先端部に炭酸ガス発生材を係止しう
る支持部を設けた棒状体とからなる炭酸ガス添加水の製
造装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、炭酸ガス発生材及びこの炭酸ガス発生材より発生する炭酸ガスを利用して炭酸ガス添加水を製造する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、安全でおいしい水を簡易に得る方法として、原水を活性炭や活性炭と中空糸膜と組み合わせた濾過材て濾過し浄水とする方法があり、また、これらの濾過材を備えた浄水器も知られているが、従来の方法では原水中の不純物のみを除去するものであり、浄水機能に加えおいしさを与える機能を備えた浄水器が求められている。一方、炭酸ガスを含む水が通常水よりよりおいしく感じられることは、一般に知られているていることであり、家庭でも炭酸ガス添加水を得る装置が特開昭６１−１９２３２７号公報、特開平４−２００６２３号公報等で提案されている。しかしながら、これらの提案の装置では、炭酸ガス源として炭酸ガスボンベを用い、ボンベより供給するガス圧を調節するための減圧弁を用いるため装置が高価なものになるという問題がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、家庭でも容易に炭酸ガス添加水を得るのに手軽に用いられる炭酸ガス発生材及び炭酸ガス添加水の製造装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、酸と炭酸塩のいずれか一方を水溶液として封入したカプセルと他方を固形とした錠剤とを、少なくとも一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構成される非透水性の袋体に収納してなる炭酸ガス発生材、

【０００５】及び、前記の炭酸ガス発生材と、水を収納しうる容器と、ガス分散板を設けた棒状体であって、一方の端部に容器入口への掛止具を備え、他方の先端部に炭酸ガス発生材を係止しうる支持部を設けた棒状体とからなる炭酸ガス添加水の製造装置、にある。

【０００６】

【考案の実施の形態】

図１に、本考案の炭酸ガス発生材の例の模式構成図を示す。図１中、１は少なくとも一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構成される袋体、２はカプセル、３は錠剤を示す。袋体１に収納されるカプセル２は、酸と炭酸塩のいずれか一方を水溶液としてカプセル内に封入したものであり、また、固形の錠剤３は、酸或いは炭酸塩のうちカプセル２に封入しなかった方の固形状の錠剤である。

【０００７】炭酸ガス発生材に用いる酸としては、通常常温で固体であるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、ピリドンカルボン酸、コハク酸、フマル酸等が挙げられるが、カプセル内に封入できる酢酸等も用いることができる。また、炭酸塩としては、常温で固体である重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。

【０００８】酸と炭酸塩のいずれか一方を水溶液として封入したカプセルは、カプセルの殻が外部からの力で破壊しうる素材で構成されていればよく、素材として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリサッカライド等が挙げられる。また、カプセルの形状は、通常のカプセル状のもの、球状のもの或いは袋状のものであってもよい。

【０００９】また、カプセルに封入しなかった方の酸または炭酸塩は、その状態が固形であっても粉末状であると、これらの炭酸ガス発生材を反応せしめて炭酸ガスを発生させる際の固形物の接触面積が大きく、酸と炭酸塩との反応速度が速くなりすぎ、発生する炭酸ガスを十分水中に溶解させることが困難である。酸または炭酸塩の錠剤化は、加圧成型等により行う。錠剤化するに際しては、成型助剤として賦型剤、崩壊剤、滑沢剤等を添加して錠剤化することにより、炭酸ガス発生材での酸と炭酸塩の反応時間を任意に調節することができ、所望のガス濃度の炭酸ガス添加水を作ることができる。

【００１０】酸または炭酸塩の一方を水溶液として封入したカプセルと他方を固形とした錠剤とを収納する袋体は、非透水性の素材で構成されるが、少なくともその一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構成されることが必要であり、ガス透過性疎水性多孔質膜は、袋体内で発生させた炭酸ガスを多孔質膜の微細孔を通して微細気泡として炭酸ガスを添加させる水中に放出させる。

【００１１】ガス透過性疎水性多孔質膜としては、炭酸ガスを微粒子気泡とし効率よく放出せしめうる孔径０．０１〜１μｍの微細孔を有するポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン多孔質膜等であることが好ましい。袋体が透水性であると、発生させた炭酸ガスが急速に水中に放出されるだけでなく、得られる炭酸ガス添加水が炭酸ガス発生材を構成する酸または炭酸塩で汚染され、その水質を変えるので好ましくない。袋体におけるガス透過性疎水性多孔質膜の構成面積は、酸及び炭酸塩の使用量、炭酸ガス発生持続時間等により適宜決定される。

【００１２】本考案の炭酸ガス発生材によれば、炭酸ガス発生材のカプセルを破壊し、袋体内で酸と炭酸塩との接触反応により発させた炭酸ガスを、炭酸ガス発生材の袋体を構成するガス透過性疎水性多孔質膜を介して水に溶解させて炭酸ガス添加水を容易に製造することができる。この炭酸ガス添加水の製造においては、炭酸ガス発生材を構成するカプセルは、袋体内で破壊し酸と炭酸塩とを水系で反応させ、発生した炭酸ガスを、袋体を構成するガス透過性疎水性多孔質膜の微細孔を通じて水に供給するが、本考案の炭酸ガス発生材は、炭酸ガスの発生に持続性があることから、かなり長時間にわたって炭酸ガス添加水を手軽に製造することができる。

【００１３】本考案の炭酸ガス発生材は、袋体内で炭酸ガスを発生させたとき、水中で袋体に浮力が生じ、炭酸ガスを発生する袋体が水に浮かび水への炭酸ガス添加機能が低下し易くなるので、炭酸ガス発生材を碇止状態、抑止状態等の浮上阻止状態に、炭酸ガス発生材が水中に沈下保持させる手段を備えることが好ましい。炭酸ガス発生材を水中に沈下させて保持させる手段としては、任意の手段が用いられ、例えば、炭酸ガス発生材の袋体内に重りを入れる、炭酸ガス発生材に重りを付ける等の手段が用いられる。

【００１４】また、本考案の炭酸ガス発生材の使用に際しては、炭酸ガス発生材をさらに重りを入れたネット袋に入れる、炭酸ガス発生材に重りを載せる、棒状体の先端部に炭酸ガス発生材を固定する、棒状体の先端部に炭酸ガス発生材の浮上阻止板を設ける、容器の底部に設けた係留具で係止する等の方法を用いてもよい。重り、棒状体または係留具には、炭酸ガス添加水の飲用に無害なガラス、ステンレススチール等の材質を用いる。

【００１５】図２に本考案の炭酸ガス発生材を用いて炭酸ガス添加水を製造する場合の例の概念図を示す。図２中、４は容器、５は炭酸ガス発生材、６は炭酸ガス微細気泡、７は重りを示す。

【００１６】炭酸ガス添加水の炭酸ガス濃度は、酸と炭酸塩との使用量により適宜調節することができる。例えば、酸としてクエン酸を用い、炭酸塩として重炭酸ナトリウムを用い、２リットルの水を炭酸ガス濃度１００ｐｐｍの炭酸ガス添加水とする場合、クエン酸、重炭酸ナトリウムの必要量は、次の反応式より導くことができる。Ｃ₃Ｈ₄（ＯＨ）（ＣＯＯＨ）₃＋３ＮａＨＣＯ₃ →Ｃ₃Ｈ₅Ｏ（ＣＯＯＮａ）₃＋３Ｈ₂Ｏ＋３ＣＯ₂

【００１７】２リットルの水の炭酸ガス濃度を１００ｐｐｍ増加させるに必要な炭酸ガス量は２００ｍｇであり、クエン酸、重炭酸ナトリウムの必要量は、前記反応式よりそれぞれ２８８ｍｇ、３７８ｍｇである。しかしながら、用いるクエン酸及び重炭酸ナトリウムの量は、それらの形態等により見かけ上の使用量が異なるので適宜使用量を調整し、重炭酸ナトリウムを十分に反応させせるためにクエン酸を２割程度過剰に用いることが好ましい。

【００１８】本考案の炭酸ガス発生材は、袋体内で発生させた炭酸ガスを、袋体のガス透過性疎水性多孔質膜の微細孔を通して微細気泡として素中に放出させるため、水に容易に溶解させることができるので、炭酸ガスの良好な添加、溶解性能を備えた炭酸ガス添加水の製造装置とすることができ、本考案は、また炭酸ガス添加水の製造装置にある。

【００１９】本考案の前記炭酸ガス発生材を用いた炭酸ガス添加水の製造装置は、炭酸ガス発生材と、水を収納しうる容器と、ガス分散板を設けた棒状体であって、一方の端部に容器入口への掛止具を備え、他方の先端部に炭酸ガス発生材を係止しうる支持部を設けた棒状体とからなる。

【００２０】図３に本考案の炭酸ガス添加水の製造装置の例の構成図を示す。図３中、４は容器、５は炭酸ガス発生材、８は蓋状の掛止具、９は棒状体、１０はガス分散板を表す。

【００２１】水を収納しうる容器４としては、特に制限はなく、開放容器でもよいが、密閉可能な容器であるときは、空気中への炭酸ガスの放散速度を抑止することができ、さらに容器が密閉可能でかつ耐圧性容器であるときは、大気圧での水の飽和炭酸ガス濃度以上の炭酸ガス添加水を得ることができ、また容器の安全確保の面から安全弁を備えた構造のものとすることが好ましい。

【００２２】炭酸ガスの放散器となる棒状体９は、その一方の端部に容器４への掛止具８を備え、他方の先端部に前記炭酸ガス発生材５を係止しうる支持部を備える。掛止具８は、容器入口全体に架け渡す蓋状のものであってもよいし、容器に掛けるフック形式のもの等であってもよい。また、棒状体９には、一つまたは複数のガス分散板１０を設け、発生する炭酸ガスの微細気泡の水中滞在時間を長くし、水への接触溶解機会を増加させる。

【００２３】

【実施例】

以下、本考案を実施例により具体的に説明する。

【００２４】（実施例１）タテ５０ｍｍ、ヨコ７０ｍｍのポリエチレン製袋の一部をタテ３０ｍｍ、ヨコ５０ｍｍの大きさに切り欠き、この開口部に孔径０．２μｍの微細孔を有する疎水性多孔質膜をアクリル系接着剤で貼着して袋体とした。クエン酸２９０ｍｇを水２ミリリットルに溶解した水溶液をタテ２０ｍｍ、ヨコ２０ｍｍのポリエチレン製袋に封入して作製したカプセルと、重炭酸ナトリウム４５０ｍｇと成型助剤としてアルミン酸ナトリウム８０ｍｇとの混合物を加圧成型してなる錠剤とを、前記袋体に入れて袋体の口を封止して炭酸ガス発生材を作製した。

【００２５】この炭酸ガス発生材にステンレススチールの重りを糸で取り付け、炭酸ガス発生材のカプセルを手で潰して直ちに、図２に示すように、２リットルの水の入った容器の水中に投下した。炭酸ガス発生材からの炭酸ガスの発生が３０分間継続することが目視され、水への炭酸ガス発生材投入６０分後の水中の炭酸ガス濃度を測定したところ、炭酸ガス濃度は７０ｐｐｍであった。

【００２６】（実施例２）実施例１で作製した炭酸ガス発生材をそのカプセルを潰して直ちに、図３に示すように、蓋となる掛止具に取り付けたガス分散板を設けた棒状体の先端部の支持部で挟持して、２リットルの水の入った容器の底部に浸漬した。炭酸ガス発生材からの炭酸ガスの発生が３０分間継続することが目視され、水への炭酸ガス発生材投入６０分後の水中の炭酸ガス濃度を測定したところ、炭酸ガス濃度は９５ｐｐｍであった。

【００２７】（実施例３）実施例１と同様にして作製した炭酸ガス発生材に重りを付けることなく、そのカプセルを潰して直ちに２リットルの水の入った透明容器に投入し、さらに容器の入口を密封した。炭酸ガス発生材は水面に浮いたが、水への炭酸ガス発生材投入６０分後の水中の炭酸ガス濃度を測定したところ、炭酸ガス濃度は９０ｐｐｍであった。

【００２８】（比較例１）実施例１で作製した炭酸ガス発生材に重りを付けることなく、そのカプセルを潰して直ちに２リットルの水の入った容器に投入したところ、炭酸ガス発生材は水面に浮き、炭酸ガス発生材からの水中への炭酸ガスの発生は確認できず、水への炭酸ガス発生材投入６０分後の水中の炭酸ガス濃度の測定では、炭酸ガス濃度は僅かに２ｐｐｍであった。

【００２９】

【考案の効果】

本考案による炭酸ガス発生材を用いることにより、家庭でも容易に微炭酸ガス添加水から発泡炭酸ガス添加水まで任意の炭酸ガス濃度の炭酸ガス添加水を得ることができ、また、本考案による炭酸ガス添加水の製造装置浄水器によれば容易に炭酸ガス添加水を製造することができ、また炭酸ガスの添加される水に浄水器よる浄水を用いるならば、炭酸ガス添加水を得るときは、簡易な装置でありながら安全でよりおいしい水を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の炭酸ガス発生材の例の模式構成図であ
る。

【図２】本考案の炭酸ガス発生材を用いて炭酸ガス添加
水を製造する例の概念図である。

【図３】本考案の炭酸ガス添加水の製造装置の例の構成
図である。

【符号の説明】

１少なくとも一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構
成される袋体２カプセル３錠剤４容器５炭酸ガス発生材６炭酸ガス微細気泡７重り８蓋状掛止具９棒状体１０ガス分散板

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】酸と炭酸塩のいずれか一方を水溶液とし
て封入したカプセルと他方を固形とした錠剤とを、少な
くとも一部がガス透過性疎水性多孔質膜にて構成される
非透水性の袋体に収納してなる炭酸ガス発生材。
【請求項２】請求項１記載の炭酸ガス発生材が水中に
沈下させて保持させる手段を備えた請求項１記載の炭酸
ガス発生材。
【請求項３】請求項１記載の炭酸ガス発生材と、水を
収納しうる容器と、ガス分散板を設けた棒状体であっ
て、一方の端部に容器入口への掛止具を備え、他方の先
端部に炭酸ガス発生材を係止しうる支持部を設けた棒状
体とからなる炭酸ガス添加水の製造装置。
【請求項４】容器が密封可能な容器である請求項３記
載の炭酸ガス添加水の製造装置。