JP3031080U - 騒音防止壁用吸音木材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 間伐材等の木材を活用して、自然景観に溶け
込め且つ交通騒音を軽減できる壁体に使用する吸音木材
を提供する。 【解決手段】 木材をその中芯を基準に上下対称一定幅
で水平面１ａ，１ｂに形成すると共に側面１ｃ，１ｄの
一方側に円錐型２ａの吸音穴２を長さ方向に等間隔置に
穿削し、且つ両端部１ｅ，１ｆに支柱に固定するための
連結部３を形成して構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、騒音の激しい高速道路の路側外などに立設する壁体の構造であり、 道路内においては壁面に騒音が吸収されて静に走行できるとともに、道路の周辺 へは騒音が遮断され静な環境が得られる騒音防止壁に使用する吸音木材の技術分 野に属する。

【０００２】

【従来の技術】

栃木県は今市、鹿沼、粟野、烏山等林業が大変盛んで、杉、檜の間抜材が多量 に発生している。その間抜材は建築材としては価値が低く、別用途の開拓が摸索 されている。 本考案は、間抜材を土木工事に利用すべく鋭意研究を重ね、地元栃木県には広 大な日光国立公園を擁することもあり、近年特に景観の維持保全も強く求められ ていることを意識し、自然のものである間抜材の丸太をできるだけ生かして利用 することができる壁体構造を研究開発してきた。 特に、現在では高速道路添に設けられた壁体においての利用技術の確立に取り 組んでいる。

【０００３】 これまでの高速道路等の路側に添って設けられた壁体については、コンクリ− ト地肌がそのまま露出した味気ないコンクリ−ト製や冷たい感じの金属製が多い 。そしてその目的とするところは、空間遮蔽、遮音が主目的となっていて、自然 景観や騒音対策については考慮が充分なされているとは言いがたい。また高速道 路の設置は人家を避けて自然の中を通過する部分が多く、その部分が国立公園内 であった場合には、コンクリ−ト製や金属製を用いたのではいかにも人工物（自 然とマッチしないもの）のような違和感が生じて折角の美しい自然景観が著しく 損われてしまう。 そこで、一部コンクリ−ト地肌に蔦類を付着させたり、その前面に樹木を植込 んだのする対策が各所になされている。しかし見る位置や角度でその地肌が見え 隠れするので誤魔化しの感は否めない。

【０００４】 また、コンクリ−ト壁面の場合には、壁厚が大きいものでは遮音性においては 優れた面があるが、その材質表面における吸音性が極めて乏しく、道路内での騒 音が軽減されない難点がある。また金属製のパネル板状の壁体の場合には、遮音 性、吸音性共に乏しい。また騒音対策のために貫通孔を多数設けてその中にテッ クス状の吸音材を挟み込んだサンドイッチパネルが提供されているが、これは設 計によっては遮音性及び吸音性ともに向上するものも可能ではあるが大変コスト 高になっていて、コストの割には性能が低い。また金属板は冷たい感触があり、 且つ薄いので遮蔽物としてり存在感の希薄な感じ与える。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記実情に鑑みてなされたもので、主として今まで利用価値のなかっ た間抜材を利用し、自然の木肌を積極的に化粧面にして自然景観に配慮しつつ、 遮音性、吸音性に優れ且つ施工能率の優れた存在感のある強固な壁体を構成する ための吸音機能を有する材料を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案は、木材をその中芯を基準に上下対称一定 幅で水平面１ａ，１ｂに形成すると共に側面１ｃ，１ｄの一方側又は両方側に吸 音穴２を穿削し、且つ両端部１ｅ，１ｆに支柱に固定するための連結部３を形成 して構成する吸音木材１である。

【０００７】 また、同長に切断した複数本の木材をその中芯を基準に上下対称一定幅で水平 面１ａ，１ｂに形成すると共に側面１ｃ，１ｄの一方側又は両方側に吸音穴２を 穿削し、且つ両端部１ｅ，１ｆに支柱に固定するための連結部３を形成してでき た各吸音木材１の前記水平面１ａ，１ｂ同士を上下に重ね合せると共にその両端 部１ｅ，１ｆ同士を揃えて連結金具６で結合して結合体Ｓを形成して構成するも のである。

【０００８】 さらに、前記吸音木材１の中間部位に基礎Ｇに立設した縦鉄筋８を貫通させる 貫通縦孔７を設けて成るものである。

【０００９】 さらにまた、前記吸音木材１の吸音穴２を、円錐型２ａ、円筒型２ｂ、立方体 型又は吸音木材１の長さ方向に長い溝状の孔２ｃとするものである。

【００１０】 またさらに、前記吸音木材１の吸音穴２が、吸音木材１の長さ方向に等間隔置 に列設するか又は側面全面に相互に等間隔置きに配設して成るものである。

【００１１】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態を以下図で説明する。 本考案は、図１に示すように、１．８ｍに切断した杉の間伐丸太木材をその中 芯を基準に上下方向に５ｃｍ幅で上下に水平面１ａ，１ｂに形成する。 そして、そして自然の丸太面である木材の側面１ｃ，１ｄの一方側に吸音穴２ を穿削し、その裏面１ｄは自然の丸太面をそのままにしておく。 また両端部１ｅ，１ｆに支柱に固定するための連結部３を形成して一本の吸音 木材１ができ上がる。

【００１２】 また、上記吸音木材１を複数重ね合わせてユニット化することができ、その態 様として、図３に示すように、１．８ｍに切断した杉の間伐丸太木材の三本をそ れぞれその中芯を基準に上下方向に５ｃｍ幅で上下に水平面１ａ，１ｂに形成す る。 そして自然の丸太面である一方の側面１ｃに円錐型の吸音穴２を穿削し、その 裏面１ｄは自然の丸太面をそのままにしておく。 また、その木材の両端部１ｅ，１ｆに連結部３を形成した１０ｃｍ幅単体の吸 音木材１をその両端部１ｅ，１ｆ同士を揃えて連結金具６で固定し、三本一組で １．８ｍ長さで３０ｃｍ幅の吸音木材１の結合体Ｓができ上がる。

【００１３】 前記結合体Ｓの製作に使用する連結金具６は各種の形状のもの（図２の（ロ） （ハ）（ニ）及び（ホ）に示す）があり、それらの取り付けは、例えば、鉄板を 同方向に直角に折曲げコ字型にし、適宜板幅の中央に釘孔９を設けた連結金具６ ａを、図２の（イ）に示すように、吸音木材１を縦にその両端部１ｅ，１ｆに設 けた臍先端同士を積み重ね、その先端面を覆うように填めて釘孔９で先端部に釘 Ｎ止めして結束一体化して製作することができる。 他の形状の連結金具６は、先端と側面（図２の（ロ）に示す連結金具６ｂ）、 先端と一側面（図２の（ハ）に示す連結金具６ｃ）、先端のみ（図２の（ニ）に 示す連結金具６ｄ）、側面のみ（図２の（ホ）に示す連結金具６ｅ）にそれぞれ 使用する。

【００１４】 前記吸音木材１の吸音穴２は、図１に示すように、円錐型２ａ、円筒型３ｂ、 立方体型又は吸音木材１の長さ方向に長い溝状の孔２ｃとすることができる。 そして、それら吸音穴２を吸音木材１に長さ方向に等間隔置に列設（図３の（ イ），（ロ）に示す）するか又は側面全面に相互に等間隔置きに配設（図３の（ ハ）に示す）する。

【００１５】 また、吸音木材１の吸音穴２は騒音源が両側にある中央分離帯などに設ける場 合には、図１の（ロ）に示すように、表裏両方の側面１ｃ，１ｄに設ける態様も できる。 この吸音穴２は、できるだけ多くまた深くすると音（振動）エネルギ−の吸収 効果は大きくなる。しかし、吸音穴２に替えて貫通孔にすると、壁体背後に騒音 が筒抜けとなるので好ましくない。 また前記吸音木材１の化粧面は、樹皮をそのままにした方が音エネルギ−の吸 収率は高くなる。また凹凸に形成する場合にはその形状によっては音エネルギ− の吸収率を大幅に向上させることもできる。

【００１６】

【使用法】

以上の吸音木材１を用いて騒音防止壁体を組み立てる手順を以下説明する。 まず、前記吸音木材１又は吸音木材１の結合体Ｓを、壁面面積に応じて必要枚 数分あらかじめ製作しておく。 そして、図３に示すように、設置場所の基礎Ｇに前記吸音木材１の長さよりも 少し長い間隔を置いて金属支柱４を立設し、それらの金属支柱４，４間に前記吸 音木材１を吸音穴２を騒音源に向けて配設すると共にその吸音木材１の両端部１ ｅ，１ｆの連結部３を前記金属支柱４に接続しつつ上下密着させて積み上げて騒 音防止壁体ができあがる。

【００１７】 前記騒音防止壁に使用される金属支柱については、図４の（イ）、（ロ）、（ ハ）、（ニ）、（ホ）及び（ヘ）に示すように、断面Ｈ型（図４の（イ）、（ロ ）金属支柱４ａ）、断面Ｔ型（図４の（ハ）、（ニ）の金属支柱４ｂ）又はパイ プ（図４の（ホ）が角パイプ金属支柱４ｃ、（ヘ）が丸パイプ４ｄ）が使用でき る。 そして、前記金属支柱４に固定する吸音木材１の両端部１ｅ，１ｆは、前記金 属支柱４の形状に対応する形状の連結部３に形成する。

【００１８】 前記金属支柱４に対する接続は、図４の（イ）、（ロ）、（ハ）、（ホ）及び （ヘ）に示すように、前記吸音木材１をその両端部１ｅ，１ｆが金属支柱４に嵌 合状態とすると共に各金属支柱４，４間に落とし込みつつ積み上げる形態が可能 である。 なお、図４の（ホ）及び（ヘ）に示す態様の場合には連結補助金具１０を用い 、、例えば図４の（ホ）では角型連結補助金具１０ａを、図４の（ヘ）では丸型 連結補助金具１０ｂを用いて吸音木材１の両端部１ｅ，１ｆの連結部３が金属支 柱４に嵌合状態に連結できるようにする。 また、図４の（ニ）に示すように、前記吸音木材１の両端部１ｅ，１ｆの連結 部３を、金属支柱４に対して直接にボルト５で固定するものも可能である。 前記金属支柱４への吸音木材１の連結の仕方によっては、図４の（ト）、（ハ ）及び（ニ）に示すように、表面に金属支柱４を露出しない方法もある。

【００１９】 また、図３に示すように、前記吸音木材１の中間部位に３０ｍｍ径の貫通縦孔 ７を設け、この貫通縦孔７に基礎Ｇの金属支柱４間中央に立設した２２ｍｍ径の 縦鉄筋８を貫通させつつ積み上げる態様が可能である。 その縦鉄筋８の長さは結合体Ｓの幅３０ｃｍに合せて基礎Ｇ上に３０ｃｍの整 数倍になる長さにする。 この縦鉄筋８については、結合体Ｓの幅と同じ長さのものを連結式にすること も可能である。

【００２０】

【考案の作用並びに効果】

本考案は上記構成であり、構成する吸音木材１に設けられた騒音源に向けた吸 音穴２がポ−ラスな木材細胞組織で囲われる形態となっているので、発生した音 が吸音穴２に入るとその組織に音（振動）エネルギ−が吸収減衰させされて静か になる。また吸音木材１の表面においても木材細胞組織が剥き出しの状態なので 、発生した音が表面細胞内に入って振動エネルギ−が吸収されて静かになる。 吸音木材１に丸太木材を用いれば、音が丸太木材の丸面によって上下に分散反 射される。

【００２１】 吸音木材１を数本用いた結合体Ｓとするものでは、木材がバラバラではなく、 一体物として縦鉄筋７へ貫挿させて串刺し状態に施工することによって高能率で 簡単且つ確実に壁体が形成ができる。 その吸音木材１の施工において、前記吸音木材１の両端部１ｅ，１ｆの連結部 ３を、金属支柱４に落とし込み結合により簡単に連結でき、またその連結部３を 金属支柱４に対してボルト５で固定して連結することもできる。

【００２２】 さらに、従来の壁体構造が、コンクリ−ト製や金属製が多く、プライバシ−保 護の観点から空間を遮蔽すること主目的で、持つている材質の外観によって自然 景観が損われたり、また空間を遮蔽することで結果として遮音性を合せ持つ面も あるが吸音性が不充分で道路内外での騒音が軽減されないなどの難点があるのに 対して、本考案は、自然の木肌を生かし自然に溶け込み景観を損うことなく、ま た遮音性、吸音性にも優れ、木材特有の存在感のある強固な壁体となる。

【００２３】 また高速道路における安全面においても、木材の方がコンクリ−ト製や金属製 よりも弾力性や表面の柔らかさに優れているので、交通事故が発生しても壁面衝 撃が緩和されて、場合によっては重大事故になるのを防げる利点もある。 また、特に吸音木材１の結合体化と吸音木材１の金属支柱４間の落し込みによ って壁体が容易に施工できるのみならず、目違いの少ない高い仕上精度が得られ 、また施工効率の大幅な向上が可能となる。 さらに、吸音木材１が事故などで破損した場合や白蟻や風雨などで劣化した場 合などには、その部分の金属支柱４を外して入替えれば良く、それらの補修及び 改修工事を容易に行うことができる。 本考案によって、観光地の自然景観を守るとともに、全国各地の大量に発生す る杉、檜等の間抜材の利用分野が広がり各地の地場産業の発展にも大きく寄与す ることが期待される。

【図面の簡単な説明】

【図１】（イ）から（ニ）は、本考案の各種態様を示す
各縦断斜視図。

【図２】（イ）から（ホ）は、連結金具の各種態様を示
す各斜視図。

【図３】本考案の使用状態を示す斜視図。

【図４】（イ）から（ヘ）は、金属支柱に応じた連結部
の各種態様を示す各斜視図。

【符号の説明】

１ 吸音木材 １ａ 吸音木材の上面 １ｂ 吸音木材の下面 １ｃ 吸音木材の一方側の側面 １ｄ 吸音木材の他方側の側面 １ｅ 吸音木材の端部 １ｆ 吸音木材の端部 ２ 吸音穴 ３ 連結部 ４ 金属支柱 ５ ボルト ６ 連結金具 ７ 縦鉄筋 ８ 貫通縦孔 ９ 釘孔 １０ 連結補助金具 １０ａ 角型連結補助金具 １０ｂ 丸型連結補助金具 Ｓ 結合体 Ｎ 釘 Ｇ 基礎面

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 木材をその中芯を基準に上下対称一定幅
   で水平面（１ａ），（１ｂ）に形成すると共に側面（１
   ｃ），（１ｄ）の一方側又は両方側に吸音穴（２）を穿
   削し、且つ両端部（１ｅ），（１ｆ）に支柱に固定する
   ための連結部（３）を形成して成る騒音防止壁用吸音木
   材（１）。
2. 【請求項２】 同長に切断した複数本の木材をその中芯
   を基準に上下対称一定幅で水平面（１ａ），（１ｂ）に
   形成すると共に側面（１ｃ），（１ｄ）の一方側又は両
   方側に吸音穴（２）を穿削し、且つ両端部（１ｅ），
   （１ｆ）に支柱に固定するための連結部（３）を形成し
   てできた各吸音木材（１）の前記水平面（１ａ），（１
   ｂ）同士を上下に重ね合せると共にその両端部（１
   ｅ），（１ｆ）同士を揃えて連結金具（６）で結合して
   結合体Ｓを形成して成る騒音防止壁用吸音木材。
3. 【請求項３】 吸音木材（１）の中間部位に基礎Ｇに立
   設した縦鉄筋（８）を貫通させる貫通縦孔（７）を設け
   て成る請求項１又は２の騒音防止壁用吸音木材。
4. 【請求項４】 吸音木材（１）の吸音穴（２）が、円錐
   型（２ａ）、円筒型（２ｂ）、立方体型又は吸音木材
   （１）の長さ方向に長い溝状の孔（２ｃ）である請求項
   １乃至３のうちいずれか一項記載の騒音防止壁用吸音木
   材。
5. 【請求項５】 吸音木材（１）の吸音穴（２）が、吸音
   木材（１）の長さ方向に等間隔置に列設するか又は側面
   全面に相互に等間隔置きに配設して成る請求項１乃至４
   のうちいずれか一項記載の騒音防止壁用吸音木材。