JP3030827U - 走行玩具用タイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】走行安定性を向上させて、しかも、路面への食
い付きを良好にして、スリップの発生を可及的に抑えて
高速走行を発揮させることができる走行玩具用タイヤを
提供する。 【解決手段】スポンジ成形板材ｃより打ち抜かれた筒状
の本体１からなり、該本体１の円周方向表部に対して複
数条の溝２を形成させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、走行安定性が良好で、かつ、路面への接地状態を向上させることが できる走行玩具用タイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、走行玩具用のタイヤは、軟質のスポンジ等による合成樹脂材により成形 されているものであって、路面に対してのその摩擦係数を大きくするために、で きるだけ軟らかな素材を用いて路面への食い付きを良好にさせることで、走行速 度の向上を図ることが試みられていた。

【０００３】 しかし、この軟質材によるタイヤは、カーブ走行に際して該タイヤの周部がそ の遠心力による重心移動で、摩擦抵抗が増大して過剰に摩耗するため、この周部 を硬質材により成形することでこれに対応している。（実公平６−４７５１５号 公報参照） したがって、この硬質部は、路面への食い付きが大きく低下するので、駆動モ ータが大容量化する走行玩具にあって、タイヤがスリップすることが多くて、十 分な車体スピードの発揮が期待できないものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は前記した問題点を解決するためになされたもので、スポンジ積層成形 板材より打ち抜かれた筒状の本体からなり、該本体の円周方向表部に対して複数 条の溝を形成させることにより、走行安定性を向上させて、しかも、路面への食 い付きを良好にして、スリップの発生を可及的に抑えて高速走行を発揮させるこ とができる走行玩具用タイヤを提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記した目的を達成するための本考案の手段は、 ホイールの外周へ嵌着させる走行玩具用タイヤにあって、 スポンジ成形板材より打ち抜かれた筒状の本体からなり、該本体の円周方向表 部に対して複数条の溝を形成させた走行玩具用タイヤの構成にある。

【０００６】 また、 同質材で少なくとも二種に色を変えた複数層からなるスポンジ積層成形板材よ り打ち抜かれて、円周方向へ帯状の複数模様が形成される筒状の本体からなり、 ホイールとタイヤとの間に両者を固定する止着部材を介在させた走行玩具用タイ ヤの構成にある。

【０００７】 更に、 同質材で色を変えた複数層からなるスポンジ積層成形板材より打ち抜かれて、 円周方向へ帯状の複数模様が形成される筒状の本体からなり、該本体の円周方向 表部に対して前記模様と平行する複数条の溝を形成させた走行玩具用タイヤの構 成にある。

【０００８】

【作用】

前記のように構成される本考案は以下に述べる作用を奏する。

【０００９】 タイヤにおける本体の円周方向においてその表部に対して、複数条の溝を形成 させることで、走行安定性を低下させることなく、路面への接地抵抗を減少させ て走行速度を向上させる。

【００１０】 同質材で少なくとも二種に色を変えた複数層からなるスポンジ積層成形板材よ り打ち抜いて筒状の本体を成形することで、円周方向へ帯状の複数模様が形成さ れるため、走行中の外観的意匠に優れる。

【００１１】

【実施例】

次に、本考案に関する走行玩具用タイヤの実施の一例を図面に基づいて説明す る。

【００１２】 図１〜図６においてＡは走行玩具用タイヤで、図示してない車体の車軸に取り 付けられたホイールｂの外周へ嵌着させるもので、比較的軟質でかつ弾性を有す るスポンジ成形板材ｃより打ち抜かれた、その内部にホイールｂに対応する空洞 部１ａを有する筒状の本体１からなる。

【００１３】 そして、第一の例にあっては、この本体１の円周方向において表部に対して、 連続した環状（不連続であってもかまわない。）の複数条の溝２が形成されてい る。

【００１４】 この例においてのタイヤＡの製造法は、図５に示すように、所定形状の成形型 ２内へＥＶＡ等の樹脂３を所定厚に、すなわち、タイヤＡ巾となる厚さに充填し て、慣用法の発泡成形を行なってスポンジ状の成形板材ｃを成形する。

【００１５】 次に、打ち抜き成形機４において、このスポンジ成形板材ｃをタイヤＡの外周 径および巾に合う円筒状に打ち抜いて基材ａを成形する。

【００１６】 そして、この基材ａの外周部あるいは両周端部に弧状・面取り加工を施すもの で、図５において支持筒５へ複数個の基材ａを並べてその空洞部１ａを挿嵌し、 これら基材ａ…の外周部へ一条または複数条（本実施例においては複数条）に凸 状刃物６を突設した切削部材７を対設させ、これら支持筒５と切削部材７とを互 いに噛み合うように逆回転させることで、基材ａの外周に所定深さ，巾の複数条 の溝２が形成され、また、外周部あるいは周端部には弧状部が形成されて、図３ や図５に示すようなタイヤＡが製造される。

【００１７】 なお、この溝２は、図３（ａ），（ｂ）に示すように、四条や五条に刻設され ることもあるもので、この本数および溝巾・深さ寸法は任意に設定できるもので あり、更に、その溝巾、深さも複数に形成される各溝２を異ならせて設けること もできる。

【００１８】 タイヤＡの表層部にこの溝２を設けることで、溝を有してないタイヤと同じタ イヤ巾であっても、路面に対する接地摩擦抵抗が少なくなって、その分の速度低 下が解消されて速く走行されるもので、所定のタイヤ巾を有することで走行安定 性は何ら損なわれない。

【００１９】 しかも、カーブ走行にあっては、その遠心力により側方への荷重が掛かって、 玩具車体が横移動する傾向があるが、この溝２におけるエッジ部の路面へのグリ ップ向上によりコーナー走行が安定する。

【００２０】 また、このタイヤＡは、ホイールｂの外周への嵌め合いにより嵌着されるもの で、走行中に生ずる遠心力等の偏荷重による軸方向（側方）への移動を防止する ために、ホイールｂとタイヤＡとの接合間に介在させた両面テープ等による止着 部材８によって固定するもので、ホイールｂの周面へあらかじめ二箇所あるいは 三箇所程度に、この両面テープ８片を貼着しておけば、タイヤＡの取り付けおよ び止め付けが容易かつ便利である。

【００２１】 また、この止着部材８は、コース状態や車体性能調整あるいは摩耗や損傷等に より、タイヤＡを適宜交換する必要があるため、これらホイールｂとタイヤＡと が分離できる程度の止着強度による。

【００２２】 第二の例において、図１，図２，図４および図６に示すタイヤＡは、その巾方 向に対して複層の構成であって、その成形原料となる材質が各層３ａ，３ｂ…に 対して同質材で、少なくとも二種あるいはそれ以上の種類に表示される色を変え た複数層からなるスポンジ積層成形板材ｃより打ち抜かれるもので、円周方向へ 帯状の複数模様ｄ１，ｄ２…が形成される筒状の本体１からなる。

【００２３】 このスポンジ積層成形板材ｃ（三層構成の場合を示す。）の製造法は、図６に 示すように、所定形状の成形型２内へ、まず、第一の色のＥＶＡ等の樹脂３ａを 所定厚充填し、この樹脂３ａ層の上部へ第二の色のＥＶＡ等の樹脂３ｂを所定厚 充填し、更に、前記充填した第一の色のＥＶＡ等の樹脂３ａと同様のものを所定 厚に、すなわち、タイヤＡの巾に見合う厚さとなるように充填して、慣用法の発 泡成形を行なうことで、各層３ａ，３ｂが一体接合されてスポンジ状の積層成形 板材ｃを成形する。

【００２４】 次に、打ち抜き成形機４において、このスポンジ積層成形板材ｃを、タイヤＡ の外周径に合う円筒状に打ち抜いて基材ａを成形するもので、このとき、打ち抜 き方向は、円周方向へ帯状の複数模様ｄ１，ｄ２…が形成されるように行なわれ る。

【００２５】 そして、この基材ａの外周部あるいは周端部に弧状加工を施すもので、同図に おいて支持筒５へ基材ａを並べてその空洞部ａ１を挿嵌し、これら基材ａ…の外 周部へ切削部材７を対設させ、これら支持筒５と切削部材７とを互いに噛み合う ように逆回転させることで、基材ａの外周部あるいは周端部には弧状部が形成さ れる。

【００２６】 また、このタイヤＡには、図１および図２に示すような、円周方向へ二色（二 色によるサンドイッチ状）からなる帯状の複数模様ｄ１，ｄ２が形成された、あ るいは、図４（ａ）に示すように三色模様ｄ１，ｄ２，ｄ３に、更には、図４に 示すような八色模様ｄ１〜ｄ８に形成されたタイヤＡが製造されるもので、この 色の種類や色数またはそれぞれの層の厚みは任意に設定し得る。

【００２７】 この同質のスポンジ材による複層構成の本体１の形成は、タイヤＡの表部の硬 度あるいは軟度が均一になって、タイヤＡの巾方向全面には、一律の路面への接 地力が得られて、直線コース走行はもちろんのこと、カーブ走行にあっても車体 は横滑り等を起こすことなく安定的な走行がなされる。

【００２８】 また、この複層構成にあって、各層の色をそれぞれ異ならせることにより、走 行中の外観的意匠に優れて体裁が良好となる。

【００２９】 なお、この複層構成のタイヤＡに対して、図３（ａ）に示すような、溝２を形 成することができることはもちろんのことで、この複層構成との相乗効果により 一層の路面への食い付きが良くなるもので、その構成は、前記した第一の例の場 合と同様である。

【００３０】

【考案の効果】

前述したように本考案の走行玩具用タイヤは、本体の円周方向表部に対して複 数条の溝を形成させてあるので、路面への接地抵抗を可及的に減少させて、走行 安定性を損なうことなく高速度の走行を得ることができる。

【００３１】 また、この溝は、横方向への偏荷重に対しても、路面への食い付きが良好とな って安定走行が行なえる。

【００３２】 二種以上の同質材による積層板材から打ち抜きによって本体を成形するため、 その表面がカラフルとなって外観的な体裁が良好となり、しかも、これら同質材 の複層構造は、そのタイヤ面が一律の性状を有しているので、直線はもちろんの ことカーブ走行であっても路面へのグリッブ性能が低下することがなく、車体ス リップが少ない。 等の格別な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に関する走行玩具用タイヤの第一の実施
例を示す斜視図である。

【図２】図１における縦断正面図である。

【図３】本考案に関する走行玩具用タイヤの第二実施例
の各例を示す正面図である。

【図４】図１における他の実施の各例を示す正面図であ
る。

【図５】図３に示す溝付きタイヤの製造工程を示す説明
図である。

【図６】図１に示す複層タイヤの製造工程を示す説明図
である。

【符号の説明】

Ａ 走行玩具用タイヤ ｂ ホイール ｃ スポンジ成形板材 １ 本体 ２ 溝 ｄ１… 層 ８ 止着部材

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホイールの外周へ嵌着させる走行玩具用
   タイヤにあって、スポンジ成形板材より打ち抜かれた筒
   状の本体からなり、該本体の円周方向表部に対して複数
   条の溝を形成させたことを特徴とする走行玩具用タイ
   ヤ。
2. 【請求項２】 ホイールの外周へ嵌着させる走行玩具用
   タイヤにあって、同質材で少なくとも二種に色を変えた
   複数層からなるスポンジ積層成形板材より打ち抜かれ
   て、円周方向へ帯状の複数模様が形成される筒状の本体
   からなることを特徴とする走行玩具用タイヤ。
3. 【請求項３】 ホイールの外周へ嵌着させる走行玩具用
   タイヤにあって、同質材で少なくとも二種に色を変えた
   複数層からなるスポンジ積層成形板材より打ち抜かれ
   て、円周方向へ帯状の複数模様が形成される筒状の本体
   からなり、ホイールとタイヤとの間に両者を固定する止
   着部材を介在させたことを特徴とする走行玩具用タイ
   ヤ。
4. 【請求項４】 ホイールの外周へ嵌着させる走行玩具用
   タイヤにあって、同質材で色を変えた複数層からなるス
   ポンジ積層成形板材より打ち抜かれて、円周方向へ帯状
   の複数模様が形成される筒状の本体からなり、該本体の
   円周方向表部に対して前記模様と平行する複数条の溝を
   形成させたことを特徴とする走行玩具用タイヤ。