JP3028562U - オレフィン系樹脂製デスクマット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 傷が付きにくく、また、オレイン酸など人体
より分泌される高級脂肪酸が付着しても、膨潤して、波
打ち形状に変形しないオレフィン系樹脂製デスクマット
を提供する。 【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチ
レン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチ
ルメタクリレート共重合樹脂などのオレフィン系樹脂か
らなるシートの表面に、球状弾性ポリマーを含む紫外線
硬化型塗料による被膜を形成したオレフィン系樹脂製デ
スクマット。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、机やテーブルなどの表面に敷くオレフィン系樹脂製のデスクマット に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、デスクマットとして、可塑剤を含有する軟質塩化ビニル系樹脂シー トが主に使用されている。 しかし、上記の軟質塩化ビニル系樹脂シートは、可塑剤を含有しているため、 静電複写機、ファクシミリなどの複写紙の印字等に触れると、インキが軟質塩化 ビニル系樹脂シートの表面に移行してシート表面を汚染するとともに、複写紙に 印字された文字、図面などが読みにくくなるといった問題や、印字された複写紙 が軟質塩化ビニル系樹脂シート表面に付着するといった問題があった。

【０００３】 一方、近年では上記の軟質塩化ビニル系樹脂シートに代えて、オレフィン系樹 脂シートからなるシートをデスクマットとして用いることが提案されている。 このオレフィン系樹脂シートは、軟質塩化ビニル系樹脂シートのように、可塑 剤を含有させる必要がなく、上記の静電複写機、ファクシミリなどの複写紙の印 字等に触れてインキがシート表面に移行するといった問題は解決されるものの、 傷が付きやすく、使用しているうちに見栄えが悪くなるといった欠点を有するも のであった。

【０００４】 上記の課題を解決するための提案としては、特開平７−１３８４１４号が知ら れている。 この提案は、オレフィン系樹脂に対し、不飽和脂肪酸ビスアマイドを特定量添 加することにより、オレフィン系樹脂シートの傷付き防止性を長期にわたって持 続させようとするものである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、オレフィン系樹脂シートの傷付きを防止するということでは、上記 提案は十分に効果を発揮したが、オレフィン系樹脂の性質上、人体の皮脂腺から 分泌されるオレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ステアリン酸、リノレン酸 などの高級脂肪酸との親和性が高いため、上記のオレフィン系樹脂シートをデス クマットとして使用した場合に、手等から分泌される高級脂肪酸によってシート が膨潤してしまい、その結果シートが波打ったような形状に変形してしまうとい う新たな問題が生じた。

【０００６】 本考案は、上記の種々の課題を解決するためになされたものであって、傷付き 防止性に優れることは勿論のこと、長期間使用していても変形しないオレフィン 系樹脂製デスクマットを提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決する本考案のオレフィン系樹脂製デスクマットは、オレフィ ン系樹脂からなるシートの表面に、球状弾性ポリマー微粒子を含む紫外線硬化型 塗料による被膜を形成してなり、かつ球状弾性ポリマー微粒子の一部が紫外線硬 化型塗料による被膜より突出してなることを特徴とするものである。

【０００８】 オレフィン系樹脂としては、デスクマットとして使用可能なものであればいず れのものであっても使用できるが、特に好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重 合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−メチルアクリレ ート共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−メタ クリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−ブテン共重 合樹脂、エチレン−ペンテン共重合樹脂、エチレン−ヘキセン共重合樹脂、エチ レン−オクテン共重合樹脂から選ばれる一種以上の樹脂、あるいはポリプロピレ ン樹脂とエチレン−プロピレンゴムまたは水添スチレン−ブタジエンゴムなどの ゴム成分との混合物である。

【０００９】 上記のオレフィン系樹脂には、必要に応じて帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、 無機充填剤、着色剤などの各種添加剤を添加することもできる。 この各種添加剤の種類とその添加量は、特に限定されるものではなく、従来よ りこの種オレフィンシートに使用されている添加剤を従来同様の量だけ添加すれ ばよい。

【００１０】 オレフィン系樹脂に上記の各種添加剤を添加してなるオレフィン系樹脂組成物 は、押出法やカレンダー法などの従来より公知の方法にて０．５〜３．０ｍｍ程 度の厚さのシートに成形される。 なお、本考案のデスクマットは、単層からなるものであっても複数層からなる ものであってもよく、複数層からなる場合には、各層の組成が異なっていてもよ いし、同じであってもよい。また、複数層からなる本考案のデスクマットを得る ための手段としては、共押出法、ラミネート、熱プレス、公知の接着剤を用いて の接着など公知の方法が採用される。

【００１１】 上記のオレフィン系樹脂シートには、必要に応じて梨地、絹目などのエンボス 加工を施すこともできるし、表面にコロナ放電処理を施すこともできる。このコ ロナ放電処理によって、表面張力を４４〜５６ｄｙｎｅに調整することにより、 後記する紫外線硬化型塗料による被膜の密着性が向上する。

【００１２】 本発明のオレフィン系樹脂製デスクマットは、上記のようにして得られたオレ フィン系樹脂シートの表面に、球状弾性ポリマー微粒子を含む紫外線硬化型塗料 による被膜を形成してなるものである。この球状弾性ポリマー微粒子を含む紫外 線硬化型塗料による被膜は、片面にのみ形成してもよいし、両面に形成してもよ い。 この球状弾性ポリマー微粒子を含む紫外線硬化型塗料による被膜を形成するこ とにより、人体の皮脂腺から分泌される高級脂肪酸によってシートが膨潤するこ とが防止され、その結果シートが波打ったような形状に変形してしまうことが防 止されるのである。

【００１３】 勿論、球状弾性ポリマー微粒子を含まない紫外線硬化型塗料による被膜を形成 しても、高級脂肪酸によってシートが膨潤することを防止できるが、紫外線硬化 型塗料による被膜は硬すぎるために、シートを９０°程度に折り曲げただけでも 被膜にひび割れが発生し、傷付き防止性にも劣るものとなってしまう。 逆に、本考案のデスクマットの紫外線硬化型塗料による被膜は、球状弾性ポリ マー微粒子を含むために、シートを９０°程度に折り曲げても被膜にひび割れが 生じず、また傷付き防止性にも優れるのである。 また、上記した通り、紫外線硬化型塗料による被膜は硬いため、本考案のデス クマット上で文字等を書く場合にも、ペン先等が埋没することが防止され、従っ て筆記にも優れるものとなる。

【００１４】 球状弾性ポリマー微粒子の添加量は、紫外線硬化型塗料１００重量部に対し、 １５〜３５重量部とするのが望ましい。球状弾性ポリマー微粒子の添加量が少な すぎると上記の効果に劣るものとなり、また球状弾性ポリマー微粒子の添加量が 多すぎると、均一な被膜を形成するのが困難となる。

【００１５】 また、本考案のオレフィン系樹脂製デスクマットにおいては、球状弾性ポリマ ー微粒子が紫外線硬化型塗料による被膜より突出しているものであるが、それを 達成するためには、その５０％以上が、粒径１０〜２５μｍの範囲にあり、かつ 紫外線硬化型塗料による被膜の厚さが５〜２０μｍとするのが望ましい。 球状弾性ポリマー微粒子径が小さすぎたり、紫外線硬化型塗料による被膜の厚 さが厚すぎたりすると、球状弾性ポリマー微粒子が被膜中に埋没してしまい、球 状弾性ポリマー微粒子径が大きすぎたり、紫外線硬化型塗料による被膜が薄すぎ たりすると、デスクマット使用中に球状弾性ポリマー微粒子が被膜より脱落する という問題が生ずる。 なお、球状弾性ポリマー微粒子の分散状態によっては、被膜の厚さが部分的に 厚くなったり薄くなったりすることもあるが、その場合の被膜の厚さとは、部分 的に厚くなったり薄くなったりした部分以外の部分の被膜の厚さを指す。

【００１６】 この球状弾性ポリマー微粒子として好ましくは、ウレタン系樹脂、アクリル系 樹脂、ウレタン−アクリル系共重合樹脂である。 球状弾性ポリマー微粒子として、例えばシリコン系樹脂なども使用できるが、 この場合、被膜から脱落しやすい。 また、紫外線硬化型塗料についても、アクリル系、ウレタン系あるいはウレタ ン−アクリル系であるのが望ましい。

【００１７】

【考案の実施の形態】

以下、図面に基づき本考案のオレフィン系樹脂製デスクマットについて、更に 詳細に説明する。 図１は、本考案のオレフィン系樹脂製デスクマットの一実施例を示す断面図で あり、図中の符号１は本考案のデスクマット、１１はオレフィン系樹脂シート、 ２は紫外線硬化型塗料による被膜、２１は球状弾性ポリマーである。

【００１８】 本実施例では、オレフィン系樹脂シート１１として、エチレン−メチルアクリ レート１００重量部に対し、帯電防止剤０．１重量部添加した樹脂組成物を、Ｔ ダイ押出機にて、１．８ｍｍ厚さのシートに成形し、表面に梨地のエンボス加工 を施したものである。

【００１９】 このオレフィン系樹脂シート１１の表面には、アクリル系の紫外線硬化型塗料 による被膜２が形成されている。 また、この紫外線硬化型塗料には、粒径が４〜２５μｍのアクリル系樹脂から なる球状弾性ポリマー２１（粒径が１０〜２５μｍのものを６０％含有）が、紫 外線硬化型塗料１００重量部に対して２５重量部添加されている。

【００２０】 この紫外線硬化型塗料による被膜２の形成は、まず、上記のオレフィン系樹脂 シート１１の表面にコロナ放電処理を施して、表面張力を４４〜５６ｄｙｎｅに 調整した後、コロナ放電処理面に上記のアクリル系樹脂からなる球状弾性ポリマ ー２１を分散させたアクリル系の紫外線硬化型塗料を、２００メッシュのポリエ ステルモノフィラメントスクリーンで、目付量が１５ｇ／ｍ² となるように塗布 し、次いで、４ｋＷのメタルハイドロランプ２本を用いて、紫外線照射し、紫外 線硬化型塗料を硬化させることによってなされたものである。なお、このときの 被膜２の厚さＨは１５μｍであった。

【００２１】 上記のようにして得られた本考案のデスクマット１は、被膜２を形成した側の 面を爪で強く擦っても、傷がつかず、筆記性にも優れたものであった。 また、被膜２を形成した側の面にオレイン酸を塗布しても、膨潤することがな く、波打ち形状に変形することもなかった。 さらに、デスクマット１を９０°に折り曲げても、被膜２にひび割れ等は発生 しなかった。

【００２２】 図２に示す例は、オレフィン系樹脂シート１１の両面に図１に示す例と同様の 紫外線硬化型塗料による被膜２、２’を形成したものである。 この例であっても、図１に示す例と同様の効果を有するデスクマット１が得ら れた。

【００２３】 図３は、図１に示す例における紫外線硬化型塗料による被膜２の部分拡大断面 図である。 図１に示す例では、被膜の厚さＨを１５μｍとし、また粒径が１０〜２５μｍ のアクリル系樹脂からなる球状弾性ポリマー微粒子２１が６０％含有されている ので、球状弾性ポリマー微粒子２１の一部が、被膜２の表面より露出した状態と なっている。

【００２４】 図４は、図１に示す例において、被膜の厚さＨを３０μｍとなるようにした場 合の、紫外線硬化型塗料による被膜２を部分拡大断面図である。 被膜の厚さＨを３０μｍとした場合には、アクリル系樹脂からなる球状弾性ポ リマー２１の殆どが、被膜２に埋没した状態となっている。 このような状態となったデスクマットは、９０°程度に折り曲げると被膜にひ び割れが発生し、傷付き防止性にも劣るものであった。

【００２５】

【考案の効果】

以上詳述したとおり、本考案のデスクマットは、球状弾性ポリマーを有する紫 外線硬化型塗料による被膜を形成しているために、オレイン酸などの人体の皮脂 腺から分泌される高級脂肪酸によって、波打ったような形状に変形することがな く、傷付き防止性にも優れるものである。 また、適度な硬さとクッション性を備えているため、筆記性にも優れるもので ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のデスクマットの一実施例を示す断面図
である。

【図２】本考案のデスクマットの他の一実施例を示す断
面図である。

【図３】図１に示すデスクマットの、紫外線硬化型塗料
による被膜の部分拡大断面図である。

【図４】球状弾性ポリマー微粒子が被膜表面に露出しな
い例を示す、紫外線硬化型塗料による被膜の部分拡大断
面図である。

【符号の説明】

１・・・デスクマット １１・・・オレフィン系樹脂製シート ２・・・紫外線硬化型塗料による被膜 ２１・・・球状弾性ポリマー微粒子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｄ 7/12 ＰＳＭ Ｃ０９Ｄ 7/12 ＰＳＭ 133/06 ＰＦＸ 133/06 ＰＦＸ 175/00 ＰＨＸ 175/00 ＰＨＸ

Claims (8)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 オレフィン系樹脂からなるシートの表面
   に、球状弾性ポリマー微粒子を含む紫外線硬化型塗料に
   よる被膜を形成してなるオレフィン系樹脂製デスクマッ
   トであって、球状弾性ポリマー微粒子の一部が紫外線硬
   化型塗料による被膜より突出してなるオレフィン系樹脂
   製デスクマット。
2. 【請求項２】 オレフィン系樹脂が、エチレン−酢酸ビ
   ニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合
   樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合樹脂、エチ
   レン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−メ
   タクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹
   脂、エチレン−ブテン共重合樹脂、エチレン−ペンテン
   共重合樹脂、エチレン−ヘキセン共重合樹脂、エチレン
   −オクテン共重合樹脂から選ばれる一種以上の樹脂であ
   る請求項１記載のオレフィン系樹脂製デスクマット。
3. 【請求項３】 オレフィン系樹脂が、ポリプロピレン樹
   脂とゴム成分の混合物である請求項１または２記載のオ
   レフィン系樹脂製デスクマット。
4. 【請求項４】 ゴム成分が、エチレン−プロピレンゴム
   または水添スチレン−ブタジエンゴムである請求項３記
   載のオレフィン系樹脂製デスクマット。
5. 【請求項５】 球状弾性ポリマー微粒子の添加量が、紫
   外線硬化型塗料１００重量部に対し、１５〜３５重量部
   である請求項１〜４いずれか１項記載のオレフィン系樹
   脂製デスクマット。
6. 【請求項６】 球状弾性ポリマー微粒子の５０％以上
   が、粒径１０〜２５μｍであり、かつ紫外線硬化型塗料
   による被膜の厚さが５〜２０μｍである請求項１〜５い
   ずれか１項記載のオレフィン系樹脂製デスクマット。
7. 【請求項７】 球状弾性ポリマーが、ウレタン系樹脂ま
   たは／およびアクリル系樹脂からなる請求項１〜６いず
   れか１項記載のオレフィン系樹脂製デスクマット。
8. 【請求項８】 紫外線硬化型塗料が、アクリル系、ウレ
   タン系あるいはウレタン−アクリル系である請求項１〜
   ７いずれか１項記載のオレフィン系樹脂製デスクマッ
   ト。