JP3028075U - 便器の便座や便蓋の開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 便座や便蓋を開成時には軽く開かしめ、全開
近くで急激に便座や便蓋を弾ね上げることがない上に、
便座や便蓋の開閉角度を所定の範囲内に制限し、閉成時
にはフリーストップ或はソフトに落下させることがで
き、全閉状態で浮きの生じないように構成した便器の便
座や便蓋の開閉装置を提供する。 【解決手段】 筒状のケース体と、このケース体の軸芯
方向に回転可能に取り付けられると共に、一端部に便座
や便蓋の取付部を固定させた回転シャフトと、この回転
シャフトを軸芯部に挿通させて前記ケース体内に摺動可
能に収装された前記回転シャフトと共に回転するスライ
ダー及びこのスライダーと対向する位置に設置されたカ
ム部材とから成るとカム機構と、前記スライダーと前記
回転シャフトとの間に前記スライダーを前記カム部材側
へ摺動附勢するために該回転シャフトに環巻きさせつつ
弾設したコンプレッションスプリングと、前記回転シャ
フトを前記ケース体内部で所定の回動角度の範囲におい
てのみ回動させるストッパー手段とで構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、とくに洋式便器に用いて好適な便器の便座や便蓋の開閉装置に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、洋式便器等の便器の便座や便蓋の開閉装置において、便座や便蓋を開く 際には軽く操作でき、閉じる際には急激に落下しないようにするために、便座や 便蓋を開成方向へ附勢させるトーションコイルスプリングを用いたものが公知で ある。

【０００３】

【考案が解決すべき課題】

一般にトーションスプリングのトルクは直線的に増減するので、緩やかなサイ カーブを描く便座や便蓋の回転モーメントと上手くマッチしないきらいがある上 に、トーションスプリングは便座や便蓋を閉じた状態で最大に巻き込まれた状態 になることから、閉じた便座や便蓋に浮きが生じ易い上に、開成時の全開位置近 くでトーションスプリングの弾力が勝って便座や便蓋を急激に弾ね上げて水タン クへ衝突させてしまう等の問題があった。この問題はトーションスプリングを用 いないでコンプレッションスプリングと摺動カムを組み合わせることによって解 消できる。しかし、トーションスプリングを用いるものは、開閉装置へ便座や便 蓋を取り付けた状態で該開閉装置を便器へ取り付ける際にも、開閉装置自体がト ーションスプリングの弾力により回転して所定の位置を保っているので、取付作 業が比較的に容易であるが、このトーションスプリングを用いないで上述したよ うにコンプレッションスプリングと摺動カムを組み合わせるようにすると、開閉 装置に取り付けた便座や便蓋が３６０°回転してしまうので、開閉装置を便器へ 取り付けにくいという問題が生じた。

【０００４】 この考案の目的は、便座や便蓋を開成時には軽く開かしめ、全開近くで急激に 便座や便蓋を弾ね上げることがない上に、便座や便蓋の開閉角度を所定の範囲内 に制限し、閉成時にはフリーストップ或はソフトに落下させることができ、全閉 状態で浮きの生じないように構成した便器の便座や便蓋の開閉装置を提供せんと するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するためにこの考案は、筒状のケース体と、このケース体 の軸芯方向に回転可能に取り付けられると共に、一端部に便座や便蓋の取付部を 固定させた回転シャフトと、この回転シャフトを軸芯部に挿通させて前記ケース 体内に摺動可能に収装された前記回転シャフトと共に回転するスライダー及びこ のスライダーと対向する位置に設置されたカム部材とから成るとカム機構と、前 記スライダーと前記回転シャフトとの間に前記スライダーを前記カム部材側へ摺 動附勢するために該回転シャフトに環巻きさせつつ弾設したコンプレッションス プリングと、前記回転シャフトを前記ケース体内部で所定の回動角度の範囲にお いてのみ回動するストッパー手段とで構成したものである。

【０００６】 その際にこの考案は、ストッパー手段を前記ケース体の内壁に突出させた凸部 と、前記回転シャフトに設けられ前記凸部の半径方向の両側より所定の回動角度 において当接する凹部とから構成することができる。

【０００７】

【作用】

請求項１において、便座や便蓋に対する開閉操作に伴ない回転シャフトが回転 し、コンプレッションスプリングによりカム部材の方向へ摺動を附勢されている スライダーは、回転シャフトと共に回転しつつカム部材によってその摺動方向及 び摺動幅を規制されることにより、回転シャフトの回転トルクを制御する。また 、回転シャフトの回動範囲はストッパー手段によって制限される。

【０００８】 請求項２においては、ケース体の内壁に設けられた凸部に回転シャフトの半径 方向に設けた凹部が両側より当接して該回転シャフトの回転を制御する。

【０００９】

【実施例】

図面はこの考案の一実施例を示し、図１において、洋式便器等の便器１の後部 上面の略中央部には、左右の同軸方向に一対の取付穴２ａを設けた取付部材２が 同じく一対の取付ボルト２ｂを介して固着されるようになっており、各取付穴２ ａ，２ａ内に左右一対の開閉装置４，４の筒状を呈したケース体３，３が着脱自 在に挿入固定されるようになっている。この固定方法は、とくに図３に示したよ うにケース体３には下側に係止突起３ａが設けられており、この係止突起３ａを 取付穴２ａ内に設けた係止部２ｃへ係止させる構造となっている。

【００１０】 ケース体３は図１に示したように左右で一対であり、一方のものが便座用、他 方のものが便蓋用である。しかし、その内部構造は左右対称となるのみで同じあ るので、以下には図中左側の便座用の開閉装置４についてのみ説明する。

【００１１】 ケース体３内部にはその軸芯方向へ回転シャフト５が回転自在となるように収 装されている。この回転シャフト５はとくに図２乃至図５に示したように、左端 部から外周にケース体３の内周壁３ｂに接する例えばＯリングのようなシール部 材６を嵌着させた鍔部５ａと、外周にコンプレッションスプリング７を環巻きさ せた大径部５ｂと、スライダー８を摺動自在に軸挿させた断面楕円形状を呈した 小径部５ｃとから成り、この小径部５ｃをケース体３の内部に突設させた軸受壁 ３ｃに設けた軸受孔３ｄに軸受けさせている。上述したコンプレッションスプリ ング７は鍔部５ａとスライダー８との間に弾設され、スライダー８を一方向（図 中右方向）へ摺動附勢させている。また、このスライダー８は軸芯部に断面楕円 形状を呈した変形孔８ａを有し、この変形孔８ａに小径部５ｃを軸挿させること により回転シャフト５と共に回転する。さらに、スライダー８はとくに図６と図 ７に示したようにその外周部の対向位置に軸方向へ突出する突片８ｂ，８ｂを有 している。回転シャフト５の小径部５ｃの軸受孔３ｄを貫通した側は、変形孔９ ｄに該小径部５ｃを通して係止プレート９がワッシャー１０ａを介して取付ビス １０ｂで取り付けられており、これにより回転シャフト５は抜け出ないように軸 受壁３ｃへ係止されると共に、ケース体３の一側部に嵌着させたキャップ１１に より、外部から見えずかつ湿気や水気が内部へ侵入しないようにシールされてい る。このキャップ１１の外周に嵌着されている部材は例えばＯリングのようなシ ール部材１６である。係止プレート９は、回転シャフト５と共に回転し、図２と 図８に示したようにその外周の一部を切れ欠くことにより凹部９ａが設けられて いる。この凹部９ａ内部には、ケース体３の内壁より突出させた凸部３ｆを収納 させることによりストッパー手段１７が構成されている。

【００１２】 したがって、回転シャフト５と共に回転する係止プレート９は、この凸部３ｆ の両側より凹部９ａの第１当接部９ｂと第２当接部９ｃが当接して、回転シャフ ト５の回転角度を一定の範囲に制限することになる。そして、この回動範囲は、 とくに図８に示したように、回転シャフト５へ取り付ける例えば便座１８や図示 してない便蓋の実使用回転角度である０°〜１１０°に対してそれぞれ１０°ず つ余分となるように設計し、余裕をもたせてある。尚、このストッパー手段１７ は他にも例えばケース体３の内壁より所定間隔を空けて突設させる一対の凸部と 、この一対の凸部に当接させるべく回転シャフト５、或はこの回転シャフト５に 固定させる凸部によって構成することが可能である。さらに、設計上の事情が許 せば、係止プレート９は回転シャフト５にフランジ部を一体に形成することによ ってこれに代えることができる。

【００１３】 軸受壁３ｃの内側には、とくに図６と図７に示したように、外周の対向位置に 軸方向へ突出する一対のカム部１２ａ，１２ａを有するカム部材１２が、４個の 突起１２ｂ・・を軸受壁３ｃに設けた係止穴３ｅへ圧入することによって取り付 けられており、軸芯部に設けた透孔１２ｃに回転シャフト５の小径部５ｃを回転 自在に挿通させると共に、カム部１２ａ，１２ａをスライダー８の突片８ｂ，８ ｂと対向接触させている。

【００１４】 したがって、先に説明しまた図１と図３に示したように、回転シャフト５の一 端部より軸芯方向に設けた変形取付穴５ｄに圧入した取付ピン１３に便座の取付 部１４は固定されているが、便蓋の取付部１５は回転自在に軸受けされている。 充分に図示はしていないが、もう一方の開閉装置４の回転シャフト５には、便座 の取付部１４は回転自在に軸受けされ、便蓋の取付部１５は固定される。

【００１５】 図４と図１８は便座１８を閉じた状態を示し、この状態において、スライダー ８はその突片８ｂ，８ｂをカム部材１２のカム部１２ａ，１２ａの頂部の若干上 り勾配が緩やかになった部分と接触させている。この状態において、とくに図８ に示したように、ストッパー手段１７の凸部３ｆは、凹部９ａの第１当接部９ｂ には当接していず、約１０°の余裕がある。そして、図１０に示したように便座 の重量を若干下回るトルクを創出するコンプレッションスプリング７は最も圧縮 された状態から若干元に戻った状態にある。この状態から主として男性の小用の ために便座１８を開くと、図１と図３に示したように取付ピン１３を介して回転 シャフト５が反時計方向へ回転し、この回転に伴ってスライダー８の突片８ｂ， ８ｂはカム部１２ａ，１２ａの斜面を滑って谷部１２ｄに向けて移動して行く。 この時に回転シャフト５はスライダー８がカム部材１２を介して反時計方向へ回 転しようとする回転トルクを受けるので、便座はその重量を本来の形で感じさせ ることなく比較的に軽く開かれる。

【００１６】 便座が８０°まで開かれると、スライダー８の突片８ｂ，８ｂは図９に示した カム部１２ａの小隆起部１２ｅ，１２ｅと接触し、それ以上の開成角度において はコンプレッションスプリング７を圧縮する方向へ押し戻されるので、開成方向 への回転を制止する力を受け、その回転トルクは図１０に示したように便座の回 転モーメント曲線を上回ることになる。したがって、便座は急激に弾ね上がって ロータンクへ衝突して大きな衝撃音を立てることがない。このようにして１１０ °の開成角度に達すると、スライダー８の突片８ｂ，８ｂはカム部１２ａ，１２ ａの急激な傾斜に当接する。この全開状態において、とくに図８に示したように 、ストッパー手段１７の凸部３ｆは凹部９ａの第２当接部９ｃには当接しておら ず、約１０°の余裕がある。

【００１７】 全開状態にある便座を閉じると、回転シャフト５と共に回転するスライダー８ の突片８ｂ，８ｂはカム部１２ａ，１２ａの傾斜部をコンプレッションスプリン グ７の弾力に抗して登ることになり、その時に創出される回転トルクは図１０に 示したように便座の回転モーメント曲線と略一致することになるので、便座の急 激な加速度のつく落下を防止することができる。

【００１８】 次に、コンプレッションスプリング７の弾力は先に説明したように便座の重量 を若干下回るように構成されており、便座の約１５°の閉成角度で最大に圧縮さ れた後、カム部１２ａ，１２ａの作用により若干元に戻るので、開閉装置４のト ルク曲線は図１０に示したように便座の回転モーメント曲線を若干下回ることに なり、閉じた便座に浮き現象が生ずることがない。

【００１９】

【考案の効果】

この考案は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。

【００２０】 請求項１のように構成すると、便座や便蓋の回転モーメント曲線に近いトルク 曲線を描くことのできるコンプレッションスプリングを用いたので、無理のない スムースな操作感覚を操作者に与えることができ、かつこのコンプレッションス プリングにより回転シャフトと共に回転しつつ一方向へ摺動附勢されているスラ イダーと、このスライダーと対向接触するカム部材とにより、簡単な構成で、便 座や便蓋を全閉成位置で浮き現象を生じさせることなく完全に閉じさせ、中間開 成角度では、急激な落下を防止し、さらに全開位置近くで急激に弾ね上げること のないトルク曲線を創出することができるものである。その上、開閉装置を便器 へ取り付ける際においては、便座と共に回動する回転シャフトの回動がストッパ ー手段によって所定の回動範囲に制限されるので、回転シャフトに取り付けた便 座や便蓋が不必要に回転してしまうことがなく、取付作業が容易となるという効 果を奏し得る。

【００２１】 請求項２のように構成すると、凸部を回転シャフト側に設ける場合と違ってケ ース体側に凹部や凸部を設ける必要がないので、設計が簡単になるという効果を 奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る開閉装置の使用態様を説明する
分解斜視図である。

【図２】この考案に係る開閉装置の分解斜視図である。

【図３】この考案に係る開閉装置の正面断面図である。

【図４】この考案に係る開閉装置を用いて便座や便蓋を
閉じた状態を説明するための断面図である。

【図５】図３において便座や便蓋を９０°まで開いた状
態を説明するための説明図である。

【図６・図７】スライダーとカム部材のそれぞれ方向を
変えて見た斜視図である。

【図８】ストッパー手段の構成と動作を説明するための
説明図である。

【図９】カム部材のカム部の形状を表わす展開図であ
る。

【図１０】この考案に係る開閉装置と便座の開閉時にお
けるそれぞれのモーメント曲線図である。

【符号の説明】

Ａ 便座 １ 便器 ２ 取付部材 ２ａ 取付穴 ２ｃ 係止凹部 ３ ケース体 ３ａ 係止突起 ３ｅ 凸部 ４ 開閉装置 ５ 回転シャフト ７ コンプレッションスプリング ８ スライダー ８ｂ 突片 ９ 係止プレート ９ａ 凹部 １２ カム部材 １２ａ カム部 １３ 取付ピン １４ 取付部（便座） １５ 取付部（便蓋） １７ ストッパー手段 １８ 便座

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【手続補正書】

【提出日】平成８年３月１１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項２

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 筒状のケース体と、このケース体の軸芯
   方向に回転可能に取り付けられると共に、一端部に便座
   や便蓋の取付部を固定させた回転シャフトと、この回転
   シャフトを軸芯部に挿通させて前記ケース体内に摺動可
   能に収装された前記回転シャフトと共に回転するスライ
   ダー及びこのスライダーと対向する位置に設置されたカ
   ム部材とから成るとカム機構と、前記スライダーと前記
   回転シャフトとの間に前記スライダーを前記カム部材側
   へ摺動附勢するために該回転シャフトに環巻きさせつつ
   弾設したコンプレッションスプリングと、前記回転シャ
   フトを前記ケース体内部で所定の回動角度の範囲におい
   てのみ回動させるストッパー手段とで構成したことを特
   徴とする、便器の便座や便蓋の開閉装置。
2. 【請求項２】 ストッパー手段を、前記ケース体の内壁
   に突出させた凸部と、前記回転シャフトに設けられ前記
   凸部の半径方向の両側より所定の回動角度において当接
   する凹部とから構成したことを特徴とする、便器の便座
   や便蓋等の開閉装置。