JP3027766U - 食品成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形食品の形状を安定させ、複雑な成形型が
採用でき、ピストン状の可動部を必要とせず、成形食品
を成形用凹部から取り出せ、成形食品が立体的で複雑な
形状であっても形崩れすることなく取り出す技術の提
供。 【解決手段】 練り原料押出装置１からの練り原料Ａを
成形練り製品ａに成形して排出する成形ドラム装置２を
備え、回転ドラム２０の外周に成形部材２１が設けら
れ、成形部材に回転ドラムの外周面に面して成形用凹部
２１ａが形成され、成形部材の背後に空気導入室２４が
形成され、空気導入室から成形用凹部の内面に連通する
多数の小孔２１ｂが成形部材に形成され、空気導入室に
接続された空気供給装置２３が設けられ、回転ドラムの
回転により成形用凹部が成形練り製品の排出位置に位置
したとき空気導入室に空気が供給される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、食品原料を所定形状の成形食品に成形するために用いられる食品成 形装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の食品成形装置は、食品原料押出機からの食品原料を所定形状の成形食品 に成形したのち排出する成形ドラム装置を備えており、この成形ドラム装置に設 けられた回転ドラムに成形食品の成形穴が形成され、この成形穴の内底部に往復 動するピストンが設けられたものとなっていた。

【０００３】 従って、ピストンを成形穴内に後退させた状態で、この成形穴内に食品原料押 出機からの食品原料を充填して所定形状の成形食品に成形し、次に、回転ドラム の回転により成形穴が成形食品の排出位置に位置したときに同期してピストンを 進出させることによって、成形穴から成形食品を取り出すものであった。

【０００４】 又、成形食品がピストンから剥離しにくい場合もあるので、回転ドラムの外周 面にピアノ線を沿わせておき、ピストン面がこのピアノ線を通過するときに成形 食品をそぎ落すようにしていた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このように、上記した従来の食品成形装置にあっては、成形食品の成形及び排 出がピストンの往復動という機械的な動作によって行われる。このため、可動部 が多くなって大変複雑な構造になっているし、ピストンと成形穴を円筒状以外の 形状に製作するのは非常に困難なため、成形食品の形状が単純な形状に制約され てしまう。

【０００６】 又、形状が単純であったとしても、排出時にピストンの圧力で成形食品が形崩 れしやすく、特に、成形食品が半球形等の立体的な形状である場合には形が潰れ やすいうえ、剥離のためにピアノ線を用いることもできず、現状では単純で、平 面的な形状のものにしか使用できないという問題があった。

【０００７】 又、機械的に動作するピストンを用いているため、故障等のトラブルが発生し やすいという問題もあった。

【０００８】 本考案は、上述のような従来の問題点を解決するために成されたもので、小孔 が多数貫通した状態に加工された部材で形成した成形部材に成形用凹部を形成す ることによって、複雑な可動部を必要とせず、さまざまな成形形状を採用でき、 又、成形部材を通して成形食品に流体圧を作用させることによって、成形食品が 立体的で複雑な形状であっても形崩れすることなく、成形用凹部から取り出すこ とができるようにした食品成形装置を提供することを課題としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案の食品成形装置は、食品原料押出装置と 、この食品原料押出機からの食品原料を所定形状の成形食品に成形したのち排出 する成形ドラム装置を備え、この成形ドラム装置に設けられた回転ドラムの外周 が前記食品原料押出装置の原料充填口に臨んで配設されている食品成形装置にお いて、前記回転ドラムの外周に成形部材が設けられ、この成形部材には回転ドラ ムの外周面に面して成形食品の形状に対応した成形用凹部が形成され、前記成形 部材の背後に流体導入室が形成されると共に、この流体導入室から成形用凹部の 内面に連通する多数の小孔が前記成形部材に形成され、前記回転ドラムの内部に 流体供給装置が設けられ、この流体供給装置は前記流体導入室に接続され、回転 ドラムの回転により前記成形用凹部が成形食品の排出位置に位置したときに同期 して流体供給装置から流体導入室に流体が供給される。

【００１０】 上記構成の食品成形装置では、回転ドラムの外周に設けられた成形部材に、成 形食品の形状に対応した成形用凹部が回転ドラムの外周面に面して設けられてい る。そして、食品原料押出機からの食品原料は、回転ドラムの回転に伴って前記 成形用凹部に充填され、成形食品に成形される。

【００１１】 次に、回転ドラムの回転に伴い成形用凹部が成形食品の排出位置に位置したと きに、成形用凹部から成形食品が取り出される。この場合、成形用凹部が成形食 品の排出位置に位置したときに同期して、回転ドラムの内部に設けられた流体供 給装置から流体導入室に流体が供給される。この流体導入室は成形部材の背後に 形成され、かつ成形部材には流体導入室から成形用凹部の内面に連通する多数の 小孔が形成されているため、流体導入室に供給された流体は、成形部材の背後で 全面的に広がり、成形部材に形成された多数の小孔を通り、外へ向けて排気され る。

【００１２】 従って、成形用凹部に充填されている成形食品に対して外向きの流体圧が加わ り、この流体圧を受けて成形食品が成形用凹部から取り出される。

【００１３】 尚、成形部材に多孔質材料を使用し、流体導入室に供給された流体を成形部材 の肉厚内を通すことにより成形食品に対して外向きの流体圧を加え、成形食品を 成形用凹部から取り出すことも可能であるが、この多孔質材料を使用した場合、 孔サイズがミクロン単位になるため、成形肌は奇麗であるという利点はあるが、 食品原料や成形形状に対応した成形部材を簡単には製作し取替えできないという 問題がある。

【００１４】 これに対し、本考案では、機械加工によって成形部材に多数の小孔を形成する ことができるため、製作に手間取ることもない。また、小孔の径、数、密度等を 自在に設定でき、食品原料の粘度や硬さ、それに成形食品の大きさ、形状等に対 応して、最適な条件で成形食品に流体圧を加えることができる。

【００１５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面により詳述する。 図１は本実施の形態に係る食品成形装置を示す全体断面図である。

【００１６】 この食品成形装置は、練り原料押出装置１と、この練り原料押出装置１からの 食品原料、例えばスリ身による練り原料Ａを所定形状の成形練り製品ａに成形し たのち排出する成形ドラム装置２を備えている。

【００１７】 前記練り原料押出装置１は、押込スクリュウ１０ａを内部に有する原料ホッパ ー１０を備え、この原料ホッパー１０の下に充填部１１が連設され、この充填部 １１の下端に原料充填口１１ａが形成されている。尚、１２は押込スクリュウの 駆動装置である。

【００１８】 前記充填部１１の両側壁には、楕円形状のガイド凹部１３，１３が形成され、 この両ガイド凹部１３，１３間に平板状の押込板１４が回転可能に支持されてい る。又、このガイド凹部１３，１３間には回転軸１５が偏心位置に軸支され、こ の回転軸１５に形成されたスリット溝１５ａ内に前記押込板１４が摺動可能に嵌 め込まれている。

【００１９】 従って、回転軸１５が回転すると、押込板１４は両端がガイド凹部１３，１３ でガイドされながら充填部１１の内部で回転すると同時に、スリット溝１５ａ内 を摺動する。このとき、回転軸１５が偏心位置に軸支されているため、押込板１ ４が充填口１１ａから離れる向きに回転するときには、この押込板１４の突出量 が次第に大きくなって、練り原料Ａを多く抱き込み、押込板１４が充填口１１ａ に向けて回転するときには回転軸１５からの突出量が次第に小さくなって、練り 原料Ａを充填口１１ａに向けてスムーズに押し出すことができる。

【００２０】 次に、図２は成形ドラム装置２の側面図、図３は成形ドラム装置２の正面図、 図４は成形ドラム装置２の断面図である。

【００２１】 この成形ドラム装置２は、前記練り原料押出装置１の充填口１１ａが臨む位置 に配設されるもので、この成形ドラム装置２に設けられた回転ドラム２０の外周 面２０ａに沿って前記充填口１１ａが開口している。

【００２２】 前記回転ドラム２０の外周には、ステンレス板あるいは砲金またはアルミ板、 あるいはプラスチック板からなる２個の成形部材２１，２１が保持金具２２，２ ２を介して設けられている。この成形部材２１には回転ドラム２０の外周面２０ ａに面して成形練り製品ａの形状に対応した半球状の２個の成形用凹部２１ａ， ２１ａが形成されている。又、この成形部材２１の背後には、保持金具２２との 間に空気導入室２４が形成され、この空気導入室２４から成形用凹部２１ａの内 面に連通して多数の小孔２１ｂが機械加工によって均等な密度で前記成形部材２ １に形成されている。

【００２３】 又、前記回転ドラム２０の内部には、空気供給装置２３が設けられ、この空気 供給装置２３は前記空気導入室２４に接続されている。この場合、回転ドラム２ ０の内部で一端側にベース板２５が固定され、このベース板２５に切替弁２６が 設けられ、この切替弁２６と前記空気導入室２４とがドラム側ホース２７によっ て接続され、又、この切替弁２６はロータリジョイント２８を介して固定側空気 供給ホース３１に接続されている。

【００２４】 切替弁２６には、カムローラを有する切替スイッチ２６ａが設けられ、この切 替スイッチ２６ａが固定側カム３２に当接し、回転ドラム２０の回転により前記 成形用凹部２１ａが成形練り製品ａの排出位置に位置したときに固定側カム３２ により切替スイッチ２６ａが投入される。これにより、固定側空気供給ホース３ １からロータリジョイント２８を経て切替弁２６で止まっていた空気が切替弁２ ６を通り、ドラム側ホース２７を介して空気導入室２４に空気が供給される。尚 、図中４は搬送コンベアで、成形用凹部２１ａで成形された成形練り製品ａは、 排出位置でこの搬送コンベア４上に取り出される。

【００２５】 本実施の形態に係る食品成形装置では、練り原料押出装置１において、原料ホ ッパー１０内の練り原料Ａは、押込スクリュウ１０ａによって充填部１１内に充 満し、充填口１１ａに向けて押されている。

【００２６】 そして、この練り原料Ａは、回転ドラム２０の回転に伴って成形用凹部２１ａ が充填口１１ａにきた時点で押込板１４の回転により充填口１１ａから押し出さ れ、成形用凹部１１ａに充填されて、成形練り製品ａに成形される。

【００２７】 次に、回転ドラム２０の回転に伴い成形用凹部２１ａが成形練り製品ａの排出 位置に位置したときに、成形用凹部２１ａから成形練り製品ａが搬送コンベア４ 上に取り出される。この場合、成形用凹部２１ａが成形練り製品ａの排出位置に 位置したときに同期して、切替弁２６の切替スイッチ２６ａが固定側カム３２に よって投入される。これにより、固定側空気供給ホース３１からの空気が切替弁 ２６を通り、ドラム側ホース２７を介して空気導入室２４に空気が供給される。

【００２８】 この空気導入室２４は成形部材２１の背後に形成され、かつこの成形部材２１ には多数の小孔２１ｂが形成されているため、空気導入室２４に供給された空気 は、成形部材２１の背後で全面的に広がり、小孔２１ｂを通って外向きに排気さ れる。

【００２９】 従って、成形用凹部２１ａに充填されている成形練り製品ａに対して外向きの 空気圧が加わり、この空気圧を受けて成形練り製品ａが成形用凹部２１ａから取 り出される。尚、小孔２１ｂの径、数、密度等は、練り原料Ａの粘度や成形練り 製品ａの大きさ、形状等に対応して設定されるもので、これにより最適な条件で 成形練り製品ａに空気圧を加えることができる。

【００３０】 以上のように、成形用凹部２１ａが初めから一定形状に形成されているため、 この成形用凹部２１ａに練り原料Ａを充填することによって成形練り製品ａの形 状を安定させることができる。また、成形部材２１に多数の小孔２１ｂが形成さ れているため、この小孔２１ｂを通して空気圧により成形練り製品ａを成形用凹 部２１ａから取り出すことができ、成形練り製品ａが半球状の立体的形状であっ ても形崩れすることなく、きれいに取り出すことができる。

【００３１】 以上、本実施の１形態を図面により説明したが、具体的な構成はこの例に限定 されることはない。例えば、成形部材の種類や数、成形用凹部の数、又、成形用 凹部の形状等は適宜に決定すればよい。

【００３２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の食品成形装置にあっては、成形用凹部が初めか ら一定形状に形成されているため、この成形用凹部に食品原料を充填することに よって成形食品の形状を安定させることができる。

【００３３】 成形用凹部にピストンのような可動部がないため、複雑な形状でも採用するこ とができる。

【００３４】 又、成形部材に多数の小孔が形成されているため、この小孔を通して流体供給 装置からの流体圧により成形食品を成形用凹部から取り出すことができる。この ように、流体圧によって成形食品を成形用凹部から取り出すことができるため、 成形食品が立体的で複雑な形状であっても形崩れすることなく、きれいに取り出 すことができる。

【００３５】 又、小孔を機械加工で形成できるため、要求に応じた成形部材を短時間で容易 に設けることができる。 また、小孔の径、数、密度等を自在に設定でき、食品原料の粘度や成形食品の 大きさ、形状等に対応して、最適な条件で成形食品に流体圧を加え取出しに時間 をかけず、大量生産にも適する等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態に係る食品成形装置を示す全体断
面図である。

【図２】食品成形装置に設けられた成形ドラム装置の側
面図である。

【図３】食品成形装置に設けられた成形ドラム装置の正
面図である。

【図４】食品成形装置に設けられた成形ドラム装置の断
面図である。

【符号の説明】

Ａ 練り原料 ａ 成形練り製品 １ 練り原料押出装置 １１ａ 原料充填口 ２ 成形ドラム装置 ２０ 回転ドラム ２１ 成形部材 ２１ａ 成形用凹部 ２１ｂ 小孔 ２３ 空気供給装置 ２４ 空気導入室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 食品原料押出装置と、この食品原料押出
   装置からの食品原料を所定形状の成形食品に成形したの
   ち排出する成形ドラム装置を備え、この成形ドラム装置
   に設けられた回転ドラムの外周が前記食品原料押出装置
   の原料充填口に臨んで配設されている食品成形装置にお
   いて、 前記回転ドラムの外周に成形部材が設けられ、 この成形部材には回転ドラムの外周面に面して成形食品
   の形状に対応した成形用凹部が形成され、 前記成形部材の背後に流体導入室が形成されると共に、
   この流体導入室から成形用凹部の内面に連通する多数の
   小孔が前記成形部材に形成され、 前記回転ドラムの内部に流体供給装置が設けられ、この
   流体供給装置は前記流体導入室に接続され、 回転ドラムの回転により前記成形用凹部が成形食品の排
   出位置に位置したときに同期して流体供給装置から流体
   導入室に流体が供給されることを特徴とした食品成形装
   置。