JP3027691U - 射出成形機用均圧装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が簡単で、且つ成形品を均質化する効果
が大きい射出成形機用均圧装置を提供する。 【解決手段】 射出推力発生用シリンダの先端に可動ブ
ロック２０を取りつける。可動ブロック２０に、複数本
のプランシャロッド３０，３０…に対応してシリンダ室
２１，２１…を並列形成する。各プランシャロッド３０
の基部を対応するシリンダ室２１に挿入してピストン３
１となす。シリンダ室２１，２１…のボトム側の空間を
相互に連通させ、ここに圧力制御されない大気圧の作動
油２４を封入する。複数本のプランシャロッド３０，３
０…がフローティング支持され、射出推力がパスカルの
原理により各プランシャ３３に均等に分配される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は半導体素子の樹脂封止等に使用されるマルチプランジャ式射出成形機 に関し、特にその射出成形機の射出推力発生用シリンダと平行配置された複数本 のプランジャロッドとの間に介装されて、射出推力を各プランジャに均等に分配 する射出成形機用均圧装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

半導体素子の樹脂封止にはマルチプランジャ式の射出成形機が多用されている 。この射出成形機は、金型内の複数のキャビティに対応して平行配置された複数 本のプランジャロッドを具備し、これらを射出推力発生用の油圧シリンダにより 同時に前進させて、各キャビティ内に装填された樹脂ペレットをプランジャロッ ド先端のプランジャにより同時に加圧する。

【０００３】 このとき、樹脂ペレットの大きさがバラツキをつくる場合がある。このバラツ キは各プランジャに加わる推力のバラツキとなって表われ、成形品の品質に悪影 響を及ぼす。そのため、樹脂ペレットの大きさに関係なく射出推力を各プランジ ャに均等に分配する均圧装置が、油圧シリンダと複数本のプランジャとの間に介 装される。

【０００４】 この均圧装置としては例えばパスカルの原理を利用するものが特開平２−５０ ８１３号公報に示されている。ここに示された均圧装置は、図１の如く、射出推 力発生用の油圧シリンダ１０により昇降駆動される可動ブロック２０を具備する 。可動ブロック２０は、複数本のプランジャロッド３０，３０…に対応して並列 形成された複数のシリンダ室２１，２１…を有する。プランジャロッド３０の基 部は対応するシリンダ室２１に挿入されてピストン３１を構成している。シリン ダ室２１のボトム側の空間は相互に連通し、ここに作動油２４が封入されている 。そして、その作動油２４の圧力が圧力調整回路４０により次の如く制御される 。

【０００５】 シリンダ室２１，２１…のボトム側の空間に封入された作動油２４を最大圧力 に維持した状態で、油圧シリンダ１０を作動させて可動ブロック２０を前進させ る。作動油を最大圧力に維持することにより、プランジャロッド３０，３０…は 前進限に固定される。この状態で金型内の樹脂ペレットを加圧し、加圧終了直前 に作動油２４の圧力を低下させる。これにより、各プランジャロッド３０に加わ る推力が均一化され、樹脂量のバラツキによる推力の不均一が緩和される。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

このような射出成形機用均圧装置は、作動油の圧力を制御する関係から圧力調 整回路を必要とし、接続ホース等の付加も必要となるため、装置構成が複雑で高 価である。また、推力の均一化を樹脂加圧工程の終了直前に行い、それまではプ ランジャロッドが固定されているので、成形品の均質化効果が不十分である。

【０００７】 本考案の目的は、構成が簡素で成形品の均質化効果の大きい射出成形機用均圧 装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

請求項１に記載の射出成形機用均圧装置は、射出推力発生用シリンダにより駆 動される可動ブロックに、複数本のプランジャロッドに対応して同一断面積の複 数本のシリンダ室を並列形成し、各シリンダ室にプランジャロッドの基部を挿入 してピストンを構成すると共に、可動ブロックに設けられた連通路により各シリ ンダ室のボトム側の空間を相互に連通させ、ここに圧力制御されない大気圧の液 体を封入して、複数本のプランジャロッドをフローティング支持するものである 。

【０００９】 請求項２に記載の射出成形機用均圧装置は、複数のシリンダ室に封入液を補給 する機構として、前記可動ブロックに複数のシリンダ室のボトム側に連通する副 シリンダ室を形成し、副シリンダ室にそのボトム側の容積を調整するべく操作さ れるピストンを設けたものである。

【００１０】

【考案の実施の形態】

以下に本考案の実施の形態を図示例に基づいて説明する。

【００１１】 本均圧装置は、図２に示すように、射出推力発生用の油圧シリンダ（図１中の １０）により昇降駆動される可動ブロック２０を具備する。可動ブロック２０は 、平行配置された複数本の垂直なプランジャロッド３０，３０…をフローティン グ支持する。

【００１２】 可動ブロック２０には、プランジャロッド３０，３０…に対応して並列形成し た複数の垂直なシリンダ室２１，２１…が設けられてる。各シリンダ室２１には 、プランジャロッド３０の最下部に設けたピストン３１が挿入されている。ピス トン３１の外面とシリンダ室２１の内面はパッキン３２により液密にシールされ ている。プランジャロッド３０の最上部はプランジャ３３である。

【００１３】 ここでシリンダ室２１，２１…の断面積は全て同一である。また、シリンダ室 ２１，２１…のボトム側の空間は、可動ブロック２０の下部に水平に形成された 連通路２２により相互に連通し、トップ側の空間は、可動ブロック２０の上部に 水平形成された連通路２３により相互に連通している。そして連通路２２を含め 、シリンダ室２１，２１…のボトム側の空間には大気圧の作動油２４が封入され ている。従って、プランジャロッド３０，３０…はフローティング支持されるこ とになる。

【００１４】 可動ブロック２０には又、１つの副シリンダ室２５が形成されている。シリン ダ室２１，２１…に平行な副シリンダ室２５には、ロッド２６のねじ込みにより 昇降操作されるピストン２７が挿入されている。副シリンダ室２５のボトム側の 空間は連通路２２を介してシリンダ室２１，２１…のボトム側の空間に連通して おり、ここにも作動油２４が封入されている。

【００１５】 射出成形では油圧シリンダ１０により均圧装置を上昇させる。これにより、複 数本のプランジャロッド３０，３０…が一斉に上昇し、複数の樹脂ペレットが同 時に加圧される。ここで特定の樹脂ペレットが他の樹脂ペレットより大きい場合 、プランジャロッド３０，３０…が固定されていると、大きい樹脂ペレットを加 圧するプランジャロッド３０はその加圧力が他のプランジャロッドより大となり 、その分、他のプランジャロッドの加圧力は小となる。

【００１６】 しかるに本均圧装置では、大きい樹脂ペレットを加圧するプランジャロッド３ ０が他のプランジャロッドより相対的に後退し、いずれの加圧力も同じに維持さ れる。特定の樹脂ペレットが小さい場合はこれを加圧するプランジャロッド３０ が他のプランジャロッドより相対的に前進するので、いずれの加圧力も同じに維 持される。かくして本均圧装置では、樹脂ペレットを加圧する全期間を通して、 射出推力が各プランジャ３３に均等配分される。しかも、作動油２４の圧力を制 御しないので、油圧調整回路およびその接続配管が不要であり、経済性に優れる 。

【００１７】 本均圧装置を繰り返し使用すると、漏れにより作動油２４の量が減少し、プラ ンジャロッド３０，３０…のレベルが低下する。その場合は副シリンダ室２５内 のピストン２７を下降操作して、副シリンダ室２５からシリンダ室２１，２１… へ作動油２４を補給する。

【００１８】 作動油２４を補給する機構は、図３に示すように、カプラ２８により着脱され る外付けタイプでもよいが、図２に示すような内蔵タイプの方が部材点数が少な く合理的である。

【００１９】

【考案の効果】

以上に説明した通り、請求項１に記載の射出成形機用均圧装置は、樹脂ペレッ トを加圧する全期間を通して、射出推力を各プランジャに均等配分するので、成 形品の品質バラツキを抑える効果が高い。しかも、油圧調整回路およびその接続 配管を必要としないので、構成が簡素で経済的である。

【００２０】 請求項２に記載の射出成形機用均圧装置は、複数のシリンダ室へ封入液を補給 する機構を内蔵しているので、構成が特に簡素である。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の均圧装置を示す縦断面図である。

【図２】本考案を実施した均圧装置の１例を示す縦断面
図である。

【図３】本考案を実施した均圧装置の他の例を示す縦断
面図である。

【符号の説明】

１０ 射出推力発生用の油圧シリンダ ２０ 可動ブロック ２１ シリンダ室 ２２，２３ 連通路 ２４ 作動油 ２５ 副シリンダ室 ２７ 操作ピストン ３０ プランジャロッド ３１ ピストン ３３ プランジャ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 マルチプランジャ式射出成形機の射出推
   力発生用シリンダと平行配置された複数本のプランジャ
   ロッドとの間に介装されて、射出推力を各プランジャに
   均等に分配する均圧装置であって、 前記シリンダにより駆動される可動ブロックに、複数本
   のプランジャロッドに対応して同一断面積の複数本のシ
   リンダ室を並列形成し、各シリンダ室にプランジャロッ
   ドの基部を挿入してピストンを構成すると共に、可動ブ
   ロックに設けられた連通路により各シリンダ室のボトム
   側の空間を相互に連通させ、ここに圧力制御されない大
   気圧の液体を封入して、複数本のプランジャロッドをフ
   ローティング支持することを特徴とする射出成形機用均
   圧装置。
2. 【請求項２】 複数のシリンダ室に封入液を補給する機
   構として、前記可動ブロックに複数のシリンダ室のボト
   ム側に連通する副シリンダ室を形成し、副シリンダ室に
   そのボトム側の容積を調整するべく操作されるピストン
   を設けたことを特徴とする請求項１に記載の射出成形機
   用均圧装置。