JP3026173B2 - モールドオシレーション駆動制御装置 - Google Patents

モールドオシレーション駆動制御装置

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JP3026173B2
JP3026173B2 JP9104417A JP10441797A JP3026173B2 JP 3026173 B2 JP3026173 B2 JP 3026173B2 JP 9104417 A JP9104417 A JP 9104417A JP 10441797 A JP10441797 A JP 10441797A JP 3026173 B2 JP3026173 B2 JP 3026173B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機におけ
るモールド(鋳型)と鋳片との間の焼付を防止して安定
な鋳造状態を得るためにモールドに上下動を与えるモー
ルドオシレーション駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のモールドオシレーション
装置の関連技術としては、例えば図4に示す特公平2−
11345号公報に記載されたものが挙げられる。
【0003】このモールドオシレーション駆動装置にお
いては、モールドテーブル12上にモールド11が載荷
され、モールドテーブル12には架台14を介して油圧
ユニット32を含む電油サーボアクチュエータ31によ
り駆動ビーム13が伝達供給されるようになっている。
電油サーボアクチュエータ31のロッド39には位置検
出器37が取り付けられており、この位置検出器37か
ら出力されるロッド位置信号SLを制御装置であるサー
ボコントローラ34に取り込み、アクチュエータのロッ
ド位置制御系を構成している。又、モールド11にはそ
の負荷系の共振を抑制(水平加振を抑制)するために加
速度センサ36が取り付けられ、この加速度センサ36
から出力されるモールド加速度度信号SAもサーボコン
トローラ34に取り込まれる。更に、電油サーボアクチ
ュエータ31に備えられたサーボモータ33にもその回
転数を検出するための回転数センサ38が設けられ、こ
の回転数センサ38から出力される回転数信号SRもサ
ーボコントローラ34に取り込まれる。
【0004】この駆動装置では、各センサからのフィー
ドバック信号(SA,SL,SR)と入力信号発生器3
5からの指令信号SCとがサーボコントローラ34内で
演算され、それに応じた出力信号SOをサーボコントロ
ーラ34からサーボモータ33へ送出してその回転数を
制御している。これにより、モールドオシレーション装
置における電油サーボアクチュエータ31のロッド39
には適切な振動モードが与えられ、モールドテーブル1
2に載荷されたモールド11を所定の運転波形で上下方
向に移動させるようになっている。
【0005】即ち、この駆動装置の場合、技術的な概要
として説明すれば、制御装置にモールド位置が有限時間
で指令位置に収束するように、サーボモータ33に回転
速度指令を出力するようにしておき、指令位置を所定の
運転波形となるよう逐次変更するという追値フィードバ
ック制御方式を採用している。
【0006】ここではロッド39の位置が指令位置に収
束するようにしているが、モールドテーブル12は駆動
ビーム13に連結されており、モールド11の位置がロ
ッド位置に追従するため、追値フィードバック制御方式
とみなし得るものとなっている。又、モールドオシレー
ション装置の構造上、モールド11及びモールドテーブ
ル12の質量が十分に大きく、そのために所定の運転波
形で同装置を作動させたときの慣性力が駆動ビーム13
を撓ませるだけ大きなものとなる。結果として、駆動ビ
ーム13,モールドテーブル12,及びモールド11は
機械構造的に共振系を成すことになる。更に、駆動ビー
ム13を支持する架台14との連結部とモールドテーブ
ル12を駆動ビーム13で支持する連結部とは、円滑に
回転するようにベアリング等の部品が使用されており、
共振系の振動減衰特性は極めて低いものとなっている。
【0007】ところで、近年の連続鋳造設備では処理能
力の向上の要求から鋳造の生産速度が上昇し、それに伴
なってモールドオシレーション装置の運転波形の周波数
も高いものが要求されている。特に、鋸歯状のオシレー
ション運転波形が要求されると、それに含まれる周波数
成分は共振系の固有振動周波数と一致,或いはそれ以上
のものとなる。このような運転波形が供された場合、運
転波形そのものがモールドオシレーション装置の共振系
を刺激し、同装置が暴走する恐れが生じる。
【0008】そこで、上述したように共振系を有するモ
ールドオシレーション装置では、共振系の振動を抑制す
る種々の方式が提案されている。
【0009】例えば特開昭63−63562号公報や特
公平2−11345号公報によれば、モールドに加速度
センサを装備し、同センサの検出値をフィードバックし
て共振系の振動の抑制を図っている。又、特開平7−2
14265号公報記載の技術では、加速度センサ検出値
のフィードバックゲインを自動的に調整してオシレーシ
ョン装置の動作を安定化させている。
【0010】一方、特開平7−116801号公報,特
開平7−116802号公報,特開平7−116803
号公報,特開平7−116804号公報,特開平7−2
36956号公報,並びに特開平7−236957号公
報によれば、モールドを機械的に支持する支持構造体の
弾性変形による運動遅れを打消すための機械系補償信号
発生部,油圧アクチュエータの動作遅れによる波形乱れ
を改善するための油圧系補償信号発生部,モールド位置
偏差を目標波形に加算させる学習回路,モールド変位状
態信号の偏差信号によるフィードバック信号発生部等の
手段を設けることにより、油圧アクチュエータを作動さ
せる方式をとっている。
【0011】これらの制御技術の要点を整理すれば、第
1の要点としては、特開平7−116801号公報に開
示されているように、油圧アクチュエータ及びオシレー
ション装置に内在する共振系をモデル化して得られた伝
達特性の逆特性を持つ前置フィルタを設け、所定の運転
波形を同フィルタにて処理し、得られた波形を油圧アク
チュエータに供することで共振系の振動を回避すること
が挙げられる。
【0012】ところが、実際の装置では想定されたモデ
ルとの間に差異が生じ、その差異でオシレーション装置
の共振系の振動成分が刺激されて共振現象が生じる。
【0013】そこで、第2の要点としては、特開平7−
116802号公報に開示されているように、共振現象
に関わる共振系の振動を抑制するため、周期的に偏差を
求めて偏差を打ち消す学習回路を設けることが挙げられ
る。
【0014】又、第3の要点としては、特開平7−11
6803号公報や特開平7−116804号公報に開示
されているように、共振現象に関わる共振系の振動を抑
制するため、モールドに装備された加速度センサの検出
値をフィルタリング処理してフィードバック量を求めて
上述した加速度センサによる検出値のフィードバック制
御に加えて油圧アクチュエータに供することが挙げられ
る。更に、ここでの加速度センサの検出値を処理するフ
ィルタをオンラインで修正可能なものにしてモデルパラ
メータ(共振系の固有振動数)の変動に適応させること
も要点として挙げられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た何れのモールドオシレーション装置における共振系の
振動抑制技術においても、オシレーション運転波形の周
波数が高くなれば無視できない問題が生じてくる。
【0016】例えば特開昭63−63562号公報や特
公平2−11345号公報に開示された加速度センサに
よる検出値をフィードバックする方式の場合、サーボモ
ータアンプの応答遅れ時間や電油サーボアクチュエータ
内部の作動油の移動時間に起因するロッドの応答遅れ時
間が考慮されていない。こうした2種類の応答遅れ時間
が無いと仮定すれば、共振系の加速度をフィードバック
すると共振系の振動を十分理想的に抑制することができ
るが、現実にはこうした応答遅れ時間が存在するため、
結果として、共振系の振動抑制の効果は若干しか得られ
ないものとなっている。
【0017】そこで、以下はモールドオシレーション装
置における共振系の振動抑制において、加速度による検
出値をフィードバックしても十分な効果が得られない理
由を最も単純な数学モデルを想定して具体的に説明す
る。
【0018】サーボモータ回転速度指令信号を与えてか
らスプールが移動し、スプールの位置が決定されるまで
の伝達関数Gsp(s)はGsp(s)=s-1(1+s
s -1として表わされる。又、スプール位置が決定さ
れてからスプールの移動に伴なってロッドが移動し、ロ
ッドの位置が決定されるまでの伝達関数Grod (s)は
rod (s)=(1+sTr -1として表わされる。更
に、ロッド位置が決定されてからロッドの移動に伴なっ
て駆動ビームに作動力が伝達されてモールドが移動し、
モールドの位置が決定されるまでの伝達関数Gm (s)
はGm (s)=ω0 2 ・(s2 +2ζ0 ω0 s+
ω0 2 -1として表わされる。これらの各関係式に表わ
れるTs ,Tr ,ω0 ,ζ0 は、モールドオシレーショ
ン装置に個有のパラメータ値であり、それぞれTs はサ
ーボモータの応答遅れ時間,Tr は電油アクチュエータ
の応答遅れ時間,ω0 は駆動ビームとモールドテーブル
及びモールドを含む共振系の固有振動数,ζ0 は共振系
の振動減衰係数を示す。
【0019】従って、サーボモータの回転速度指令から
モールド位置が決定されるまでの伝達関数Gp (s)は
上述した各関係式の積となり、Gp (s)=s-1・(1
+sTs -1・(1+sTr -1・ω0 2 ・(s2 +2
ζ0 ω0 s+ω0 2 )として表わされる。
【0020】尚、ここでは駆動ビームを梃としてみなし
たときの駆動ビーム上のロッドの作用点及び駆動ビーム
支点の間の距離と、同支点及びモールド載荷位置の間の
距離は等しいものとし、両者の比を1:1であるとして
考察している。又、電油サーボアクチュエータ内部のボ
ールネジのピッチは1であるとし、サーボモータ回転速
度指令信号はスプールの移動速度指令値と等価であると
している。
【0021】図5は、上述した伝達関数Gp (s)を模
試化したブロック線図を示したものである。但し、図中
でそれぞれuはサーボモータ回転速度指令,vs はスプ
ール速度,xs はスプール位置,xr はロッド位置,a
m はモールド加速度,vm はモールド速度,xm はモー
ルド位置を示す。
【0022】そこで、この伝達関数Gp (s)の状態方
程式は、以下の数1式,数2式のように表わされる。
【0023】
【数1】
【0024】
【数2】
【0025】但し、数1式に付したA及びBは、行列を
表記するために便宜上導入した記号であり、各記号は以
下も同様であるように行列そのものを示している。
【0026】特公平2−11345号公報の場合、各セ
ンサの検出値を利用して、指令位置をrとすると、サー
ボモータ回転速度指令uに関して、u=ks (s・r−
s)+kr (r−xr )+ka m なる関係でフィー
ドバックしている。又、図5に示されるモールド加速度
m をam =ω0 2 r −2ζ0 ω0 m −ω0 2 m
と変換できるから、サーボモータ回転速度指令u,モー
ルド加速度am によりu=sks r+kr r−ks s
−(kr −ω0 2 a )xr −2ζ0 ω0 am −ω
0 2 a m となる。
【0027】従って、ここではF=[−ω0 2 a
2ζ0 ω0 a r −ω0 2 a0 ks ]なるフィ
ードバック行列において、u=r[10110]T −F
[xm m r s s T なる関係式で表わせる状態
でフィードバックを行っているものと等価になる。
【0028】数学的知見によれば、SI−A+BFの行
列式が零となる方程式の根を極と呼び、この極がモール
ドオシレーション装置の挙動を決定している。又、フィ
ードバック行列の各要素が個別に設定できれば、極の根
を自由に変更することができ、装置に内在する共振系の
振動特性を十分に抑制できるものとなることが判る。
【0029】ところが、加速度による検出値をフィード
バックしても十分な効果が得られない理由としては、第
1の問題は、フィードバック行列Fとして示したよう
に、その行列要素を設定するに際してka ,kr ,ks
の3つの自由度しかなく、フィードバック行列Fの各要
素を個別に設定することができなくなっていることであ
る。このことは装置に内在する共振系の振動を十分に抑
制することができないことを意味している。
【0030】第2の問題は、モールドオシレーション装
置の個有なパラメータζ0 ,ω0 の数値はそもそも装置
個有なものであり、同装置の規模,駆動ビームの構造等
の相違により装置毎に異なるものであるため、全てのモ
ールドオシレーション装置に適用しても効果が得られる
制御手段となっていないということである。即ち、パラ
メータζ0 ,ω0 が偶然にも適切な値の対となり、上述
した極の根が同装置の共振系の振動特性を抑制させ、同
装置を安定して作動させるようなこともあるが、そのよ
うな場合は希少である。
【0031】又、加速度による検出値をフィードバック
しても十分な効果が得られない他の理由としては、上述
したサーボモータの応答遅れ時間やロッドの応答遅れ時
間のうちの少なくとも一方がモールドオシレーション装
置の共振系の固有振動周期と比べて十分小さくなけれ
ば、共振系の振動抑制の効果は全く無くなり、場合によ
っては装置を暴走させることにもなるという問題が挙げ
られる。
【0032】更に、加速度による検出値をフィードバッ
クしても十分な効果が得られない別の理由としては、加
速度センサの検出値は真の共振系の加速度を検出したも
のではなく、モールド及びモールドテーブル周辺の機械
構造物のガタ等の外乱信号を含んでいる点が挙げられ
る。一般に、加速度センサの特性として、高周波成分の
信号になる程、検出値のゲインが高いので、若干量でも
共振系の振動を抑制したとしても、加速度センサの検出
値のフィードバック信号によるサーボモータの動作成
分,ひいてはロッドの動作成分が装置の共振系の高次の
振動成分を刺激し、他の理由として説明した性質とも相
まって、装置が高次の振動成分周波数で共振するという
現象をもたらせるという問題がある。
【0033】一方、特開平7−116801号公報,特
開平7−116802号公報,特開平7−116803
号公報,特開平7−116804号公報,特開平7−2
36956号公報,並びに特開平7−236957号公
報に開示された制御技術の場合も、モールド位置状態量
の検出に加速度センサを利用しているため、上記の別の
理由で説明した場合と同様な問題(即ち、加速度センサ
の検出値は真の共振系の加速度を検出したものではな
く、モールド及びモールド周辺の機械構造物のガタ等が
発生する高周波数成分を有する外乱信号を含んでいる)
を生じる。
【0034】例えば、上述した第3の要点のように検出
値をフィルタリング処理してモールド位置,モールド速
度等の各信号を演算した場合、外乱が混入することでオ
シレーション運転指令波形に対するモールド位置波形が
乱れることとなる。又、外乱をローパスフィルタで除去
したとしても、処理後の信号は位相が遅れたものとな
り、こうした場合には第3の要点の目的を果たさないこ
とがある。
【0035】又、ここでの方式では油圧アクチュエータ
をフィードフォワードにて作動させており、油圧アクチ
ュエータでは作動油温の変化に伴なって応答時間や微速
度移動時の作動流量等の特性が変化するが、ロッド位置
をフィードバックしていないのため、特性変化を修正で
きないようになっている。結果として、油圧アクチュエ
ータの特性変化により、オシレーション運転時のロッド
位置の推移が予定されたものと異なってしまい、これに
よりモールドを含めた共振系の振動成分を刺激し、モー
ルド位置波形が乱れてしまう。こうした乱れを上述した
第2の要点や第3の要点として説明した技術で補償しよ
うとしても、その原因が油圧アクチュエータの動作にあ
るため、油圧アクチュエータの動作の乱れがモールド変
位状態信号に現れるまでの時間、補償動作が遅れること
になり、結局第2の要点や第3の要点として説明した技
術が機能しないという問題がある。
【0036】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、共振系の振動特性
を十分に抑制できると共に、所定の運転波形でモールド
オシレーション装置を安定して作動させ得るモールドオ
シレーション駆動制御装置を提供することにある。
【0037】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、モール
ドを載荷固定したモールドテーブルと、モールドテーブ
ルに対して駆動ビームを連結支持した架台と、架台のモ
ールドテーブル側とは反対側で駆動ビームに連結された
ロッドを含むと共に、スプールを取り付けた回転軸を有
するサーボモータが設けられて成る電油サーボアクチュ
エータとを含むモールドオシレーション装置を駆動制御
する駆動制御装置において、架台とモールドテーブルと
の距離を検出して第1の位置信号を出力する該架台に設
けられた第1の位置センサと、架台とロッドとの距離を
検出して第2の位置信号を出力する該ロッドに設けられ
た第2の位置センサと、サーボモータの回転数を回転軸
から検出して回転数信号を出力する回転数センサと、入
力信号発生器からの指令信号に従って第1の位置信号及
び第2の位置信号と回転数信号とに応じた状態量を演算
した結果に基づいてサーボモータに対して回転速度指令
を与える制御装置と、回転数信号及び回転速度指令に応
じてサーボモータに駆動電流を供給するサーボアンプと
を備えたモールドオシレーション駆動制御装置が得られ
る。
【0038】このモールドオシレーション駆動制御装置
において、制御装置は、第1の位置信号としてモールド
位置信号を入力してモールド状態量を演算出力するモー
ルド位置演算手段と、第2の位置信号としてロッド位置
信号を入力してロッド状態量を演算出力するロッド位置
演算手段と、回転数信号を入力してスプール状態量を演
算出力するスプール位置演算手段と、モールド状態量,
ロッド状態量,及びスプール状態量を入力して回転速度
指令を演算出力するサーボモータ指令演算手段とを備え
ることは好ましい。
【0039】又、このモールドオシレーション駆動制御
装置において、制御装置は、サーボモータ指令演算手段
により演算出力されるスプール速度指令量を入力して操
作量積分値状態量を演算出力する操作量積分手段を備え
ることや、或いは更に、制御装置は、モールド状態量を
入力してモールド速度推定量を演算出力するモールド速
度演算手段を備えることは好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明のモ
ールドオシレーション駆動制御装置について、図面を参
照して詳細に説明する。
【0041】図1は、本発明の一実施例に係るモールド
オシレーション駆動制御装置の基本構成を示したもので
ある。
【0042】この駆動制御装置は、モールド21を載荷
固定したモールドテーブル22と、このモールドテーブ
ル22に対して駆動ビーム23を連結支持した架台24
と、この架台24のモールドテーブル22側とは反対側
で駆動ビーム23に連結されたロッド49を含むと共
に、スプール44を取り付けた回転軸を有するサーボモ
ータ43が設けられて成る電油サーボアクチュエータ4
1とを含むモールドオシレーション装置を駆動制御する
もので、架台24とモールドテーブル22との距離を検
出して第1の位置信号を出力する架台24に設けられた
第1の位置センサ46と、架台24とロッド49との距
離を検出して第2の位置信号を出力するロッド49に設
けられたロッド49に設けられた第2の位置センサ47
と、サーボモータ43の回転数を回転軸から検出して回
転数信号SRを出力する回転数センサ48と、図示され
ない入力信号発生器からの指令信号SCに従って第1の
位置信号及び第2の位置信号と回転数信号SRとに応じ
た状態量を演算した結果に基づいてサーボモータ43に
対して回転速度指令を与える制御装置60と、回転数信
号SR及び回転速度指令に応じてサーボモータ43に駆
動電流を供給するサーボアンプ50とを備えて成るもの
である。
【0043】ここで制御装置60は、第1の位置センサ
46から第1の位置信号としてモールド位置信号SMを
入力してモールド状態量xm を演算出力するモールド位
置演算手段61と、第2の位置センサ47から第2の位
置信号としてロッド位置信号SLを入力してロッド状態
量xr を演算出力するロッド位置演算手段63と、回転
数センサ48からの回転数信号SRを入力してスプール
状態量xs を演算出力するスプール位置演算手段67
と、モールド状態量xm ,ロッド状態量xr ,及びスプ
ール状態量xs を入力して回転速度指令を演算出力する
サーボモータ指令演算手段64とを備えている。
【0044】又、制御装置60は、サーボモータ指令演
算手段64により演算出力されるスプール速度指令量u
を入力して操作量積分値状態量xu を演算出力する操作
量積分手段66と、モールド状態量xm を入力してモー
ルド速度推定量vm * を演算出力するモールド速度演算
手段62と、入力信号発生器からの指令信号SCを入力
し、オシレーション運転用に波形生成して時間的に推移
する指令値rを出力するオシレーション運転波形生成手
段65とを備えている。
【0045】更に、電油サーボアクチュエータ41自体
の構造は、実願昭61−147489号として提案され
たものを採用している。
【0046】この駆動制御装置では、サーボモータ43
を回転させることにより、電油サーボアクチュエータ4
1内部のスプール44が移動する。電油サーボアクチュ
エータ41内部の仕組みにより、供給される油圧の作用
で電油サーボアクチュエータ41のロッド49がスプー
ル44の動作に追従して強大な駆動力で上下に移動す
る。このロッド49の上下方向の運動が駆動ビーム23
を介してモールドテーブル22に伝達され、これにより
モールド21が上下方向に移動する。
【0047】位置センサ46は、モールド21の動作状
態を検出するために架台24に装着されたもので、例え
ばモールドテーブル22に付着した十分に剛性の高い金
属検出物と架台24に付着した十分に剛性の高い支持構
造体とに固定可能であって、金属検出物表面との距離を
非接触で検出可能な渦電流方式の変位センサ等を用いれ
ば良い。ロッド49に装着されてその動作状態を検出す
る位置センサ47は従来の位置検出器と同様な汎用的な
もので良い。又、回転数センサ48は、サーボモータ4
3の回転数を検出するためにサーボモータ43に装着さ
れたもので、例えばパルスジェネレータを用いれば良
い。回転数センサ48の出力信号は電子回路により計数
或いは積算されるもので、サーボモータ43の回転軸の
初期化時からの総回転量が求められるようになってい
る。サーボモータ43は、サーボアンプ50からの駆動
電流の供給により制御されるが、サーボアンプ50では
制御装置60から出力されるサーボモータ回転速度指令
と回転数センサ48で検出されたサーボモータ43の回
転速度とが一致するように、逐次サーボモータ43への
供給電流を調整する。
【0048】一方、制御装置60は、例えばディジタル
コンピュータにより実現されるもので、以下で詳述する
ように各手段がサンプル周期T毎に演算される。サンプ
ル周期Tとしては、例えば500μsec〜1msec
程度の短時間に設定する。
【0049】スプール位置演算手段67は、サーボモー
タ43の回転軸(出力軸)の初期化時からの総回転量を
取得し、この取得値に電油サーボアクチュエータ41内
部のボールネジ42のピッチを乗じることにより、初期
化時からのスプール44の総移動距離をサンプル周期T
毎に演算し、スプール状態量xs を出力する。
【0050】ロッド位置演算手段63は、位置センサ4
7からのロッド位置信号SLを入力し、例えばA/D変
換器等による数値化手段でロッド位置を取得し、その取
得値から後述するオフセット量を減じてロッド49の初
期化時からの総移動距離をサンプル周期T毎に演算し、
ロッド状態量xr を出力する。
【0051】モールド位置演算手段61は、位置センサ
46からのモールド位置信号を入力し、例えばA/D変
換器等による数値化手段でモールド位置を取得し、その
取得値から後述するオフセット量を減じてモールド21
の初期化時からの総移動距離を得る。モールドオシレー
ション装置の構造上、ロッド49とモールド21との作
動方向は逆であり、更に、モールド21の移動量は、ロ
ッド49の移動量にモールドテーブル22の連結部から
駆動ビーム23の支点までの距離と駆動ビーム23上で
のロッド49の連結部から駆動ビーム23の支点までの
距離との比を乗じたものとなるが、これらの構造上の特
性を簡単な一次変換演算により打ち消し、ロッド状態量
r と同じスパンを持つモールド状態量xm をサンプル
周期T毎に演算して出力する。
【0052】因みに、上述した初期化とは、例えばモー
ルドオシレーション装置の作動開始時にスプール44及
びロッド49が上昇限に,モールド21が降下限にて静
止している状態であって、計数或いは積算される検出量
を0に更新したり、A/D変換器で数値化された検出量
をオフセット量として記憶したりすることを示す。
【0053】オシレーション運転波形生成手段65は、
入力信号発生器の操作盤等からの作動指示を受けて指令
信号SCを入力し、上述した各演算手段と同じ零点及び
スパンで指令値r及びその時間微分量,即ち、指令速度
r をサンプル周期T毎に演算出力するものである。
尚、指令値rが例えばステップ状の場合のように時間的
に不連続となる場合は、不連続の瞬間にて指令速度vr
は0と演算されて出力されるものとする。
【0054】操作量積分手段66は、後述するサーボモ
ータ指令演算手段64におけるスプール速度指令量uの
積分値を演算するためのものである。ここでの積分器を
実現する手段は種々あるが、例えば第k回サンプル時の
状態量をu(k),xu (k)とするとき、操作量積分
値状態量xu をxu (k)=xu (k−1)+T×u
(k)なる関係でサンプル周期T毎に処理して操作量積
分値状態量xu を出力する。
【0055】モールド速度演算手段62は、上述したモ
ールド状態量xm を入力とし、このモールド状態量xm
の微分値としてモールド速度推定量vm * を演算出力す
るものである。ここでの微分器を実現する手段は種々あ
るが、例えば第k回サンプル時のモールド状態量をxm
(k),モールド速度推定量をvm * (k)とし、新し
い推定量xm * (k)を導入して下記の数3式による処
理をサンプル周期T毎に行うものである。
【0056】
【数3】
【0057】サーボモータ指令演算手段64は、スプー
ル状態量xs ,ロッド状態量xr ,モールド状態量
m ,操作量積分値状態量xu ,モールド速度推定量v
m * ,及び指令信号SCから得られる指令値r及び指令
速度vr を入力すると共に、予め定められたパラメータ
値f0 〜f4 に従ってサンプル周期T毎に第k回サンプ
ル時のスプール速度指令量u(k)をu(k)=(f0
+f2 +f3 +f4 )×r(k)+f1 ×vr (k)−
0 ×xm (k)−f1 ×vm * (k)−f2 ×x
r (k)−f3 ×xs (k)−f4 ×xu (k)なる関
係で演算出力する。更に、このスプール速度指令量u
(k)に適切な定数を乗じてスプール速度指令量uに相
当するサーボモータ回転速度指令を演算してサーボアン
プ50へ出力する。
【0058】サーボモータ指令演算手段64では、サー
ボモータ回転速度指令の演算出力に際して模試化したモ
ールドオシレーション装置の数学モデルとして、サーボ
モータ43の応答遅れ時間Ts を用いて、スプール速度
指令量uを与えてスプール状態量xs が決定されるまで
の伝達関数Gsp(s)=s-1・(1+sTs -1なる関
係式と、電油サーボアクチュエータ41のロッド49の
応答遅れ時間Tr を用いて、スプール状態量xs が決定
されてからスプール44の移動に伴なってロッド49が
移動し、ロッド状態量xr が決定されるまでの伝達関数
rod (s)=(1+sTr -1なる関係式と、駆動ビ
ーム23,モールドテーブル22,及びモールド21を
含む共振系の固有振動数ω0 (radの単位),共振系
の振動減衰係数ζ0 を用いて、ロッド状態量xr が決定
されてからロッド49の移動に伴なって駆動ビーム23
に作動力が伝達され、モールド21が移動してモールド
状態量xm が決定されるまでの伝達関数Gm (s)=ω
0 2 ・(s2 +2ζ0 ω0s+ω0 2 -1なる関係式と
に基づいて、スプール速度指令量uを与えてモールド状
態量xm が決定されるまでの伝達関数GP (s)=s-1
・(1+sTs -1・(1+sTr -1・ω0 2 ・(s
2 +2ζ0 ω0 s+ω0 2 -1なる関係を導出してい
る。又、この伝達関数GP (s)を状態方程式にて表現
すれば、以下の数4式〜数9式のように表わされる。
【0059】
【数4】 (但し、xはベクトル,A,Bは行列を示す)
【0060】
【数5】 (Cは行列,xはベクトルを示す)
【0061】
【数6】 (xはベクトルを示す)
【0062】
【数7】 (Aは行列を示す)
【0063】
【数8】 (Bは行列を示す)
【0064】
【数9】 (Cは行列を示す) 更に、数10式,数11式なる演算を行なう。
【0065】
【数10】 (P,Aは行列を示す)
【0066】
【数11】 (Q,A,Bは行列を示す) 一方、フィードバック行列は数12式のように表わされ
る。
【0067】
【数12】 (Fは行列を示す)
【0068】フィードバック後の極をα0 ,α1 ±jβ
1 ,α2 ±jβ2 としたとき、多項式(z−α0 )・
(z−α1 −jβ1 )・(z−α1 +jβ1 )・(z−
α2 jβ2 )・(z−α2 +jβ2 )を展開した各項の
係数が数13式で表わされる多項式の各項の係数と一致
するように、上述したパラメータ値f0 〜f4 に関する
連立方程式を立て、それを解いてf0 〜f4 を決定す
る。
【0069】
【数13】 (I,P,Q,Fは行列を示す) ここでjは虚数単位、ベクトルIは5×5の単位行列を
表わし、「||」は行列式を表わしている。
【0070】上述した応答遅れ時間Ts ,Tr や固有振
動数ω0 並びに振動減衰係数ζ0 は、何れもモールドオ
シレーション装置の個有の定数であり、上述したスプー
ル速度指令量u(k)=(f0 +f2 +f3 +f4 )×
r(k)+f1 ×vr (k)−f0 ×xm (k)−f1
×vm (k)−f2 ×xr (k)−f3 ×xs (k)−
4 ×xu (k)なる関係で得た演算結果により該モー
ルドオシレーション装置の制御を行う前に、試験用の波
形をサーボアンプ50に供してスプール状態量xs ,ロ
ッド状態量xr ,モールド状態量xm の推移を測定する
ことでその定数を決定する。
【0071】例えば、図2(a)に示されるような試験
用波形をサーボモータ回転速度指令としてサーボアンプ
50へ出力すれば、スプール44及びロッド49は急激
に移動する。即ち、ここではロッド49が急激に移動す
ることで駆動ビーム23とモールドテーブル22及びモ
ールド21とを含む共振系が刺激され、モールド21が
振動を伴ない移動する。又、スプール状態量xs とロッ
ド状態量xr とは図2(b)に示されるように時間的に
推移されるが、図中では点線がスプール状態量xs ,実
線がロッド状態量xr の時間に伴なう変化を示してい
る。更に、スプール状態量xs とロッド状態量xr とは
図2(c)に示されるように時間的に推移されるが、こ
こでは時間的推移における移動の瞬間からの波形が拡大
して示されており、同中の細点線は図2(a)に示した
サーボアンプ50に供した試験用の波形を時間積分した
ものとなっている。
【0072】図2(c)の各状態量の推移は以下の事柄
を表わしている。即ち、サーボアンプ50に供された回
転速度指令によりスプール44が移動するが、サーボモ
ータ43の応答遅れがあるために、スプール状態量xs
の推移は試験用波形の時間積分値の立ち上りより遅れて
立ち上る。又、電油サーボアクチュエータ41の応答遅
れがあるために、ロッド状態量xr の推移はスプール状
態量xs の立ち上りより遅れて立ち上る。そこで、観測
し易い例えばスプール状態量xs の変化量の半分の位置
を図中の3つの波形が通過する時刻の差を計測すれば、
サーボモータ43の応答遅れ時間Ts 及び電油サーボア
クチュエータ41のロッド49の応答遅れ時間Tr を測
定できる。図中には各定数に相当する時間を各定数名と
共に記している。
【0073】一方、図2(d)は、試験用波形をサーボ
アンプ50に供したときのモールド状態量xm の推移を
例示したもので、図中の点線はモールド状態量xm の振
動の包絡線を示している。モールド状態量xm の推移か
ら共振系の固有振動数ω0 及び振動減衰係数ζ0 を測定
できる。即ち、例えばモールド状態量xm の時間的推移
をFFT演算すれば、共振系の固有振動数ω0 がゲイン
のピークとして現れ、図中の包絡線の減衰時間を計測す
れば振動減衰係数ζ0 を計算できる。
【0074】因みに、上述したフィードバック後の極α
0 ,α1 ±jβ1 ,α2 ±jβ2 にあらわれる定数
α0 ,α1 ,α2 ,β1 ,β2 は、上述したスプール速
度指令量u(k)=(f0 +f2 +f3 +f4 )×r
(k)+f1 ×vr (k)−f0 ×xm (k)−f1 ×
m (k)−f2 ×xr (k)−f3 ×xs (k)−f
4 ×xu (k)なる関係の演算において、モールドオシ
レーション装置を作動させる際、スプール状態量xs
ロード状態量xr ,モールド状態量xm が最も良い応答
を示すように、モールドオシレーション装置の使用運転
時以前に調整し、決定しておく必要がある。
【0075】要するに、本発明の駆動制御装置では、モ
ールドオシレーション装置の数学モデルに基づいて制御
装置60及びサーボアンプ50によりモールドオシレー
ション装置を駆動制御しており、数学モデルはモールド
オシレーション装置の作動に要する必要最小限のものと
なっている。又、本発明の駆動制御装置では、モールド
オシレーション装置において検出可能な全ての状態量,
即ち、スプール状態量xs ,ロッド状態量xr ,モール
ド状態量xm 及び制御装置60内部で演算される操作量
積分値状態量xu ,モールド速度検定量vm * を全てフ
ィードバック制御している。これにより、フィードバッ
ク後の極を任意に修正してモールドオシレーション装置
を作動させている。これはモールドオシレーション装置
の共振系(駆動ビーム23,モールドテーブル22,及
びモールド21)の振動特性をフィードバックにより十
分に抑制できることを意味している。
【0076】更に、数学モデルに現れるモールドオシレ
ーション装置の個有の定数は、計測により設定され、数
学モデルと現実のモールドオシレーション装置との食い
違いを最小にすることができるため、モールドオシレー
ション装置の共振系の振動特性をフィードバックにより
十分に抑制し、安定してモールドオシレーション装置を
運転することができる。
【0077】図3は、モールドオシレーション装置の使
用運転時以前に調整を完了した状態で指令値rをステッ
プ状に変更した場合において、実際のモールドオシレー
ション装置の検出量,スプール状態量xs ,ロッド状態
量xr ,モールド状態量xmと、サーボアンプ50へ出
力されるサーボモータ回転速度指令の時間的推移を示し
たものである。但し、同図(a)では点線によりスプー
ル状態量xs の時間的推移を示し、実線によりロッド状
態量xr の時間的推移を示し、同図(b)では点線によ
り指令値rの時間的推移を示し、実線によりモールド状
態量xm の時間的推移を示しており、同図(c)では実
線によりサーボモータ回転速度指令の時間的推移を示し
ている。尚、図3(a)〜(c)において、横軸方向は
時刻に一致している。
【0078】そこで、図3(a)〜(c)を参照し、制
御装置60がモールドオシレーション装置の共振系(駆
動ビーム23,モールドテーブル22,及びモールド2
1)の振動特性を抑制している様子を以下に説明する。
【0079】先ず、制御装置60は、指令値rがステッ
プ状に変化した時刻から10msec程度の間、パルス
状の大きなサーボモータ回転速度指令を出力している。
これにより、スプール44及びロッド49がステップ量
のおよそ1/3程度急激に移動する。ところが、モール
ド21は駆動ビーム23が撓んだ状態となっているた
め、ロッド49程に急激に運動しない。
【0080】次に、制御装置60は、この状態から10
msec程度の間、ほぼ零のサーボモータ回転速度指令
を出力している。これにより、スプール44は急停止
し、ロッド49はスプール44の反応より遅れて3〜4
msec程度停止する。ところがモールド21は、駆動
ビーム23が先の撓みを放出して逆方向に撓もうとして
いる状態となっているため、運動の速度を変化させずに
移動する。
【0081】更に、制御装置60は、この状態以降、緩
やかな推移を辿るサーボモータ回転速度指令を出力して
いる。これにより、スプール44及びロッド49が指令
値rに緩やかに収束している。このとき、先の状態で逆
方向に撓もうとしている駆動ビーム23はロッド44が
移動することにより、逆方向の撓みが緩衝され、結果と
してモールド21の位置は緩やかに指令値rに収束す
る。
【0082】即ち、本発明の駆動制御装置では、スプー
ル速度指令量u(k)=(f0 +f2 +f3 +f4 )×
r(k)+f1 ×vr (k)−f0 ×xm (k)−f1
×vm (k)−f2 ×xr (k)−f3 ×xs (k)−
4 ×xu (k)なる関係の演算を経て出力されるサー
ボモータ回転速度指令は、上述したように巧妙に推移し
て共振系の振動を抑制する。
【0083】尚、図3(a)〜(b)の参照では、指令
値rがステップ状に変化した場合を例示してその作用を
説明したが、指令値rはオシレーション運転時の運転波
形により時間的に推移し、このときに指令値rを時間的
に微視すれば指令値rはサンプル周期T毎にその瞬間の
指令速度vr にサンプル周期Tを乗じた量だけ絶えずス
テップ状に変化しているとみなすことができる。即ち、
上述したステップ状の変化が絶えず繰り返されているも
のとすることができるので、オシレーション運転時にお
いてもモールドオシレーション装置の共振系の振動成分
を十分に抑制し、安定したオシレーション運転(モール
ドオシレーション装置の作動)を実行できる。因みに、
オシレーション運転波形のように時間的に連続な指令値
rの場合、指令速度vr が零でなく、スプール速度指令
量u(k)=(f0 +f2 +f3+f4 )×r(k)+
1 ×vr (k)−f0 ×xm (k)−f1 ×v
m (k)−f2 ×xr (k)−f3 ×xs (k)−f4
×xu (k)なる関係の演算により、vr の項がモール
ドオシレーション装置の速応性に寄与するため、一層応
答が改善される。
【0084】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明のモールドオ
シレーション駆動制御装置によれば、モールドオシレー
ション装置の作動に要する必要最小限の数学モデルに基
づいてモールドオシレーション装置において検出可能な
全ての状態量を制御装置及びサーボアンプを経て全てフ
ィードバック制御すると共に、フィードバック後の極を
任意に修正してモールドオシレーション装置を作動させ
ているので、モールドオシレーション装置の共振系(駆
動ビーム,モールドテーブル,及びモールド)の振動特
性を十分に抑制できるようになり、所望の運転波形によ
るオシレーション運転時においても安定してモールドオ
シレーション装置を作動させ得るようになる。又、制御
装置における演算結果により得られるスプール速度指令
量によりモールドオシレーション装置の制御を行う前
に、試験用の波形をサーボアンプに供してスプール状態
量,ロッド状態量,モールド状態量の推移を測定するこ
とでモールドオシレーション装置に固有な定数である応
答遅れ時間や固有振動数並びに振動減衰係数を含む定数
を決定し、数学モデルと現実のモールドオシレーション
装置との食い違いを最小にしているので、共振系の振動
特性を格段に精度良く抑制できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るモールドオシレーショ
ン駆動制御装置の基本構成を示したものである。
【図2】図1に示す駆動制御装置に備えられる制御装置
の各部における試験用波形に対する処理波形を示したも
ので、(a)はサーボアンプに供するサーボモータ回転
速度指令の試験用波形に関するもの,(b)は(a)を
寄与したときのスプール状態量とロッド状態量との時間
的推移に関するもの,(c)は(a)を寄与したときの
スプール状態量とロッド状態量との時間的推移に関する
もの,(d)は(a)を寄与したときのモールド状態量
の時間的推移に関するものである。
【図3】図1に示す駆動制御装置が駆動制御するモール
ドオシレーション装置の使用運転時以前に調整を完了し
た状態で指令値をステップ状に変更した場合の処理波形
を示したもので、(a)はスプール状態量の時間的推移
(点線)及びロッド状態量の時間的推移(実線)に関す
るもの,(b)は指令値の時間的推移(点線)及びモー
ルド状態量の時間的推移(実線)に関するもの,(c)
はサーボモータ回転速度指令の時間的推移(実線)に関
するものである。
【図4】従来のモールドオシレーション装置の駆動装置
の基本構成を示したものである。
【図5】図4に示す駆動システムにおいて成立する伝達
関数を模試化したブロック線図である。
【符号の説明】
11,21 モールド 12,22 モールドテーブル 13,23 駆動ビーム 14,24 架台 31,41 電油サーボアクチュエータ 32 油圧ユニット 33,43 サーボモータ 34 サーボコントローラ 35 入力信号発生器 36 加速度センサ 37 位置検出器 38,48 回転数センサ 39,49 ロッド 42 ボールネジ 44 スプール 46,47 位置センサ 50 サーボアンプ 60 制御装置 61 モールド位置演算手段 62 モールド速度演算手段 63 ロッド位置演算手段 64 サーボモータ指令演算手段 65 オシレーション運転波形生成手段 66 操作量積分手段 67 スプール位置演算手段
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−214265(JP,A) 特開 平7−116801(JP,A) 特開 平7−116802(JP,A) 特開 平7−116803(JP,A) 特開 平7−116804(JP,A) 特開 平10−258338(JP,A) 特開 平7−236957(JP,A) 特開 平7−236956(JP,A) 特開 昭63−63562(JP,A) 特開 平4−13454(JP,A) 特開 昭63−256242(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/053 B22D 11/16 105 F15B 9/09 G05D 19/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モールドを載荷固定したモールドテーブ
    ルと、前記モールドテーブルに対して駆動ビームを連結
    支持した架台と、前記架台の前記モールドテーブル側と
    は反対側で前記駆動ビームに連結されたロッドを含むと
    共に、スプールを取り付けた回転軸を有するサーボモー
    タが設けられて成る電油サーボアクチュエータとを含む
    モールドオシレーション装置を駆動制御する駆動制御装
    置において、前記架台と前記モールドテーブルとの距離
    を検出して第1の位置信号を出力する該架台に設けられ
    た第1の位置センサと、前記架台と前記ロッドとの距離
    を検出して第2の位置信号を出力する該ロッドに設けら
    れた第2の位置センサと、前記サーボモータの回転数を
    前記回転軸から検出して回転数信号を出力する回転数セ
    ンサと、入力信号発生器からの指令信号に従って前記第
    1の位置信号及び前記第2の位置信号と前記回転数信号
    とに応じた状態量を演算した結果に基づいて前記サーボ
    モータに対して回転速度指令を与える制御装置と、前記
    回転数信号及び前記回転速度指令に応じて前記サーボモ
    ータに駆動電流を供給するサーボアンプとを備えたこと
    を特徴とするモールドオシレーション駆動制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のモールドオシレーション
    駆動制御装置において、前記制御装置は、前記第1の位
    置信号としてモールド位置信号を入力してモールド状態
    量を演算出力するモールド位置演算手段と、前記第2の
    位置信号としてロッド位置信号を入力してロッド状態量
    を演算出力するロッド位置演算手段と、前記回転数信号
    を入力してスプール状態量を演算出力するスプール位置
    演算手段と、前記モールド状態量,前記ロッド状態量,
    及び前記スプール状態量を入力して前記回転速度指令を
    演算出力するサーボモータ指令演算手段とを備えたこと
    を特徴とするモールドオシレーション駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のモールドオシレーション
    駆動制御装置において、前記制御装置は、前記サーボモ
    ータ指令演算手段により演算出力されるスプール速度指
    令量を入力して操作量積分値状態量を演算出力する操作
    量積分手段を備えたことを特徴とするモールドオシレー
    ション駆動制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のモールドオシレー
    ション駆動制御装置において、前記制御装置は、前記モ
    ールド状態量を入力してモールド速度推定量を演算出力
    するモールド速度演算手段を備えたことを特徴とするモ
    ールドオシレーション駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のモールドオシレーション
    駆動制御装置において、前記サーボモータ指令演算手段
    は、前記スプール状態量xs ,前記ロッド状態量xr
    前記モールド状態量xm ,前記操作量積分値状態量
    u ,前記モールド速度推定量vm * (但し、* は以下
    も同様に推定量を表わすものとする),前記指令信号か
    ら得られる指令値r及び指令速度vr を入力すると共
    に、予め定められたパラメータ値f0 〜f4 に従ってサ
    ンプル周期T毎に第k回サンプル時のスプール速度指令
    量u(k)をu(k)=(f0 +f2 +f3 +f4 )×
    r(k)+f1 ×vr (k)−f0 ×xm (k)−f1
    ×vm * (k)−f2 ×xr (k)−f3 ×xs (k)
    −f4 ×xu (k)なる関係で求めて適切な定数を乗じ
    て前記回転速度指令を演算することを特徴とするモール
    ドオシレーション駆動制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5の何れか一つに記載のモー
    ルドオシレーション駆動制御装置において、前記サーボ
    モータ指令演算手段では、前記回転速度指令の演算出力
    に際して模試化した前記オシレーション装置の数学モデ
    ルとして、前記サーボモータの応答遅れ時間をTs とす
    ると共に、前記スプール速度指令量uを与えて前記スプ
    ール状態量xs が決定されるまでの伝達関数Gsp(s)
    =s-1・(1+sTs -1なる関係式と、前記電油サー
    ボアクチュエータの前記ロッドの応答遅れ時間をTr
    すると共に、前記スプール状態量xs が決定されてから
    前記スプールの移動に伴なって該ロッドが移動し、前記
    ロッド状態量xr が決定されるまでの伝達関数G
    rod (s)=(1+sTr -1なる関係式と、前記駆動
    ビーム,前記モールドテーブル,及び前記モールドを含
    む共振系の固有振動数をradの単位で表現したものを
    ω0 ,該共振系の振動減衰係数をζ0 とすると共に、前
    記ロッド状態量xr が決定されてから前記ロッドの移動
    に伴なって該駆動ビームに作動力が伝達され、該モール
    ドが移動して前記モールド状態量xm が決定されるまで
    の伝達関数Gm (s)=ω0 2 ・(s2 +2ζ0 ω0
    +ω0 2 -1なる関係式とにより導出され、更に、前記
    スプール速度指令量uを与えて前記モールド状態量xm
    が決定されるまでの伝達関数GP (s)=s-1・(1+
    sTs -1・(1+sTr -1・ω0 2 ・(s2 +2ζ
    0 ω0 s+ω0 2 -1なる関係を用いることを特徴とす
    るモールドオシレーション駆動制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のモールドオシレーション
    駆動制御装置において、前記応答遅れ時間Ts ,前記応
    答遅れ時間Tr ,前記固有振動数ω0 ,及び前記振動減
    衰係数ζ0 は、前記モールドオシレーション装置の個有
    の定数であり、且つ前記u(k)=(f0 +f2 +f3
    +f4 )×r(k)+f1 ×vr (k)−f0 ×x
    m (k)−f1 ×vm * (k)−f2 ×xr (k)−f
    3 ×xs (k)−f4 ×xu (k)なる関係の演算結果
    で該モールドオシレーション装置の制御を行う前に試験
    用の波形を前記サーボアンプに供して前記スプール状態
    量xs ,前記ロッド状態量xr ,前記モールド状態量x
    m の推移を測定することで決定されることを特徴とする
    モールドオシレーション駆動制御装置。
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