JP3026123B2 - 低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材 - Google Patents
低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材Info
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Description
アルミニウムもしくはアルミニウム合金の水平連続鋳造
装置のための断熱材に関するものである。
融点軽金属の水平連続鋳造は、原理的に完全連続鋳造が
可能であり、端部切断回数が減少することによる歩留ま
り向上、稼働率の向上、鋳塊品質の向上など、多くの利
点を有するため、近年、広く実施されるに至った。代表
的な水平連続鋳造装置は米国特許第3286309号等
で提案されており、図1に示したように、溶湯Mの貯槽
1の側壁2に開口部3を設けてそこにヘッドプレート4
付き鋳型5を取り付け、その側方に、連続鋳造されたイ
ンゴットIを水平方向に引き取るためのローラ6,7を
設けてなるものである。ヘッドプレート4は側壁2の開
口部3と鋳型5との間に固定された仕切り板状のもので
あるが、その下半部に、鋳型5の内壁に沿うように形成
された細長いスリット状開口部8を有する。貯槽1の溶
湯Mは上記スリット状開口部8を経由して鋳型キャビテ
ィ9に流入し、冷却液10で冷却された鋳型5に接触し
て急冷され、均一な組織のインゴットIを与える。
は、上記ヘッドプレートや側壁などに板状断熱材が使わ
れる。そのための断熱材としては、従来、石綿で補強さ
れたケイ酸カルシウム成形体が使われてきたが、環境衛
生上の理由から石綿使用製品の使用が制限されるように
なったことにともない、石綿を含有しない断熱材が要求
されるに至った。しかしながら、水平連続鋳造装置に用
いる断熱材は、第一に切削加工が可能でなければなら
ず、また、流動する溶湯と直接接触しても容易には侵食
されずまた摩耗しないことが必要である。特にヘッドプ
レートは、完全に溶湯に浸漬した状態で使われ、しかも
溶湯が固化する鋳型キャビティにも面しているため、使
用中にガスを発生するとそのガスがすべて気泡となって
インゴット中に残るから、加熱によるガス発生が事実上
ないものであることが望まれる。また、溶湯が流れる細
いスリット状開口部の摩耗が激しいと溶湯供給量が徐々
に増加して鋳造条件の変動を来すから、耐摩耗性に関す
る要求は特に厳格である。かかる要求に応え得る断熱材
を石綿不含のケイ酸カルシウム成形体で製造することに
成功した例は見当たらない。
は、水平連続鋳造装置のヘッドプレートに使用するため
に必要な上記諸特性を備えた、石綿不含の高性能ケイ酸
カルシウム質断熱材を提供することにある。
成功した低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材は、ケイ
酸カルシウム質マトリックスが44〜79重量%を占
め、繊維状ワラストナイト20〜50重量%および炭素
繊維1〜6重量%を含有し、熱重量測定において100
℃から700℃までの昇温過程における重量減少が5重
量%以下であり且つ700℃から800℃までの昇温過
程における重量減少が0.7重量%以下であるケイ酸カ
ルシウム成形体からなるものである。だたし、ここで熱
重量測定は、一般的な熱重量分析測定装置を使用して、
窒素気流中、昇温速度10℃/minで行われるものであ
る。
工性に優れ、溶湯に侵食されにくく、容易には摩耗せ
ず、また、鋳造装置構成材として必要な強度や断熱性も
備えている。断熱材中の炭素繊維は、溶湯に浸漬された
状態で使用されるヘッドプレートの場合は非酸化性雰囲
気に置かれるため焼失することなく長時間補強作用を行
うから、物性の劣化も少ない。
合、アルミニウムまたはその合金の鋳造温度である約7
00℃に熱せられたとき、最初の昇温過程もしくは使用
開始当初の短時間を除けばほとんど水蒸気を発生せず、
発生してもその量は極めて少ない。ケイ酸カルシウム質
マトリックス中の結晶水および付着水の大部分は、断熱
材がヘッドプレートとして最初に使われたときの昇温過
程で速やかに気化して溶湯のバブリングを起こすが、そ
の量が多いと爆発的なバブリングを生じさせて溶湯を飛
散させるから、700℃以下で遊離する水の量を少なく
することは安全性を確保するために重要である。また、
ケイ酸カルシウムの中には700〜800℃で初めて遊
離する結合力の強い結晶水を含むものが存在するが、そ
のようなケイ酸カルシウムをマトリックスとする断熱材
は、鋳造開始後長時間にわたり徐々に結晶水を放出して
インゴット中に気泡を生じさせ、不良品発生率を高くす
る。700〜800℃で離脱する水量が少ない本発明の
断熱材を用いると、上記理由による不良品の発生量を少
なくすることができる。
SiO2モル比が0.5〜0.9である石灰原料とケイ酸原
料との混合物に繊維状ワラストナイトおよび補強用炭素
繊維を必須成分とする補助原料を加え、さらに水を加え
てスラリー化したのち脱水成形し、得られた成形物を、
加圧水蒸気雰囲気において養生して上記石灰原料および
ケイ酸原料より主にトバモライトからなる含水ケイ酸カ
ルシウム結晶を生成させることにより硬化させ、硬化し
た成形物を乾燥し、次いでケイ酸カルシウムの結晶水の
大部分を除去し得るが炭素繊維の大部分は成形物中に残
し得る条件で焼成する方法により、製造することができ
る。
原料としては消石灰、生石灰、カーバイド滓等を、また
ケイ酸原料としてはケイ藻土、ケイ石、フェロシリコン
ダスト等を、それぞれ用いることができる。 これらの
ほかに、あらかじめオートクレーブ中撹拌下の水熱合成
により調製したトバモライト結晶のスラリーをマトリッ
クス形成材料として用いることができる。その場合、ト
バモライトスラリーの配合量は固形分として約30重量
部まで(望ましくは約20重量部まで)とする。補強の
ために用いる炭素繊維の種類に制限はないが、原料スラ
リー中に均一に混入することができるよう、長さ1〜1
0mm程度のものにしておくことが望ましい。繊維状ワラ
ストナイトは鉱物起源の非水和ケイ酸カルシウム結晶で
あって、寸法安定性と機械加工性の向上のために配合さ
れる。この材料としては、たとえば米国インターペース
社のNYARD‐Gが好適である。各原料の配合比は、
最終的にケイ酸カルシウム質マトリックスが44〜79
重量%を占め、繊維状ワラストナイトの含有量が20〜
50重量%、炭素繊維の含有量が1〜6重量%になるよ
うにする。
スラリー状態にするが、そのさい、補強用繊維としての
炭素繊維以外に、スラリーの成形性をよくするために少
量の(望ましくは全固形分当り約3%以下の) 繊維、た
とえばパルプ、レーヨン、ポリエステル繊維、岩綿、耐
アルカリ性ガラス繊維等を同時に混合してもよい。均質
なスラリーが得られたならば、これを所望の形状に脱水
成形する。脱水成形の方法は任意であるが、最終製品の
密度が約0.5〜1.2g/cm3、望ましくは0.65〜0.
95g/cm3になるような条件で行う。あまり低比重のも
のにすると、強度が不十分なものになる。
中に移し、水蒸気雰囲気下での養生を行う。この蒸熱処
理は、原料混合物中石灰原料とケイ酸原料とが反応して
トバモライトを生成するような条件下に、かつその反応
が実質的に完了するまで、行うことが必要である。その
ために必要な水蒸気圧は約4〜15Kg/cm2であり、反応
時間としては約3〜48時間を要する。より高い水蒸気
圧下では、周知のようにゾノトライトが生成するが、ゾ
ノトライト質マトリックスが多量に生成すると、後述の
焼成処理を施しても、熱重量測定において700℃から
800℃までの昇温過程における重量減少が0.7重量
%以下であるものを得ることは困難になり、本発明の目
的を達成することができない。
反応して生成した主としてトバモライトからなる含水ケ
イ酸カルシウム結晶は、一体化してマトリックスを形成
する。補助原料としてトバモライトスラリーを用いた場
合は、そのトバモライトもマトリックス形成に関与す
る。繊維状ウォラストナイトは、ケイ酸カルシウム結晶
からなるものではあるが、マトリックス形成には関与せ
ず、炭素繊維と共に分散状態で充填される。硬化した成
形物はオートクレーブから取り出し、約330℃以下の
熱風で乾燥する。
されないよう、酸化性雰囲気で焼成する場合は500℃
以下で行うことが望ましく、一方、非酸化性雰囲気では
ケイ酸カルシウム質マトリックスの耐熱温度850℃ま
での温度で行うことができる。焼成の目的は、主として
トバモライトからなる含水ケイ酸カルシウムの結晶水を
除去し、熱重量測定において700℃から800℃まで
の昇温過程における重量減少が5重量%以下であるよう
な、低含水率マトリックスの成形体を生成させることで
ある。
3.5%、あらかじめ撹拌式オートクレーブで合成した
トバモライトスラリー20%(固形分として)、繊維状
ワラストナイト30%、およびポリアクリロニトリル系
炭素繊維2%の混合物のスラリー(水量8倍)をプレス
により板状に成形した。次いで、得られた成形物を19
0℃の飽和水蒸気下で15時間水熱処理し、熱風乾燥
後、450℃で8時間焼成して断熱材を得た。
らかじめ撹拌式オートクレーブで合成したトバモライト
スラリー10%(固形分として)、繊維状ワラストナイ
ト39%、およびポリアクリロニトリル系炭素繊維3%
の混合物のスラリー(水量8倍)をプレスにより板状に
成形した。次いで、得られた成形物を170℃の飽和水
蒸気下で12時間水熱処理し、熱風乾燥後、500℃で
5時間焼成して断熱材を得た。
%、繊維状ワラストナイト45%、およびポリアクリロ
ニトリル系炭素繊維3.5%の混合物のスラリー(水量
8倍)をプレスにより板状に成形した。次いで、得られ
た成形物を190℃の飽和水蒸気下で20時間水熱処理
し、熱風乾燥後、450℃で8時間焼成して断熱材を得
た。
ートクレーブで合成したトバモライトスラリー15%
(固形分として)、繊維状ワラストナイト35%、およ
びポリアクリロニトリル系炭素繊維2.5%の混合物の
スラリー(水量8倍)をプレスにより板状に成形した。
次いで、得られた成形物を220℃の飽和水蒸気下で1
5時間水熱処理し、熱風乾燥後、500℃で5時間焼成
して断熱材を得た。 比較例2 最後の焼成処理を行わなかったほかは実施例1と同様の
方法で、断熱材を製造した。
示す。なお、「ガス発生性」は下記の試験の結果を示
す。 ガス発生性:アルミニウムの溶湯(温度695℃)に試
料(100mm×100mm×25mm)を浸漬すると、試料
から発生した水蒸気が泡になって浮いて来る。浸漬直後
はケイ酸カルシウム結晶の脱水反応や付着水の離脱が急
激に進行するためどの試料も泡の発生は活発であるが、
これが短時間で終息し、以後実質的にゼロとなるものが
水平連続鋳造装置用断熱材として適している。湯面をビ
デオカメラで撮影、記録しておき、浸漬後1時間までに
発生した泡の数N-1および1時間以降8時間までの泡の
発生数N-2(1時間当たり平均値)を数える。表では、
N-1については泡数200〜300個の場合を“少な
い”と表示してある。
繊維状ワラストナイトおよび炭素繊維のすぐれた補強作
用とケイ酸カルシウム質マトリックス独特の物理的化学
的性質とがあいまって、従来の石綿繊維使用品と同等以
上の機械加工性や溶融金属に対する耐性を示す。そし
て、水平連続鋳造装置のヘッドプレートとして用いる
と、使用開始直後の短時間は若干量の水蒸気を発生する
が、その後はほとんど水蒸気を発生せず、気泡を含まな
い良質のインゴットを与える。したがって、使用開始直
後に鋳造された製品(これはヘッドプレート交換とは無
関係の他の理由によっても品質面で不安定なものであ
る)をスクラップ化するだけで済む。
図。
ート 5:鋳型 8:スリット状
開口部
Claims (1)
- 【請求項1】 ケイ酸カルシウム質マトリックスが44
〜79重量%を占め、繊維状ワラストナイト20〜50
重量%および炭素繊維1〜6重量%を含有し、熱重量測
定において100℃から700℃までの昇温過程におけ
る重量減少が5重量%以下であり且つ700℃から80
0℃までの昇温過程における重量減少が0.7重量%以
下であるケイ酸カルシウム成形体からなることを特徴と
する低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3252731A JP3026123B2 (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | 低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3252731A JP3026123B2 (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | 低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0557402A JPH0557402A (ja) | 1993-03-09 |
JP3026123B2 true JP3026123B2 (ja) | 2000-03-27 |
Family
ID=17241482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3252731A Expired - Lifetime JP3026123B2 (ja) | 1991-09-05 | 1991-09-05 | 低融点金属水平連続鋳造装置用断熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3026123B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5420815B2 (ja) * | 2006-03-27 | 2014-02-19 | ニチアス株式会社 | 低融点金属鋳造装置用耐熱材料 |
JP4914860B2 (ja) * | 2008-03-26 | 2012-04-11 | 株式会社エーアンドエーマテリアル | 炭素繊維補強けい酸カルシウム材の製造方法 |
JP4914861B2 (ja) * | 2008-03-26 | 2012-04-11 | 株式会社エーアンドエーマテリアル | 炭素繊維補強けい酸カルシウム材の製造方法 |
JP5639243B2 (ja) * | 2013-09-05 | 2014-12-10 | ニチアス株式会社 | 低融点金属鋳造装置用耐熱材料 |
-
1991
- 1991-09-05 JP JP3252731A patent/JP3026123B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0557402A (ja) | 1993-03-09 |
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