JP3025849B2 - 自動演奏ピアノの打鍵制御方法 - Google Patents

自動演奏ピアノの打鍵制御方法

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JP3025849B2 JP03031703A JP3170391A JP3025849B2 JP 3025849 B2 JP3025849 B2 JP 3025849B2 JP 03031703 A JP03031703 A JP 03031703A JP 3170391 A JP3170391 A JP 3170391A JP 3025849 B2 JP3025849 B2 JP 3025849B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、演奏或いは調整等のた
めにピアノ鍵盤を機械的に打鍵する自動演奏ピアノの打
鍵制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ピアノを対象とした自動演奏装置は古く
から様々なものが提案されており、通常の演奏はもとよ
り、例えば通常の演奏者では困難な程度の高速打鍵等の
高度の演奏技法の実現が要望されている。従来の一般的
なこの種の装置では、例えば電磁ソレノイド等により突
出駆動される打鍵擬指を各鍵盤に配置し、これらを順次
に駆動させて演奏を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の打鍵擬指の鍵盤に対するストロークは一定であ
り、発音の強弱のダイナミック・レンジが狭い、微弱音
を安定して演奏することができない等、表現力になおも
の足りないものがある。また、例えば1秒間に15回以
上の同音高速打鍵を行うためには、鍵盤を全ストローク
移動させる行程を繰り返していては実現不能である。特
に、ピアノにおいては、気温や湿度によって微妙にアク
ションが変化し、特に発音させるために要する駆動力は
鍵盤ごとに異なり、更には日によって異なることもあ
る。
【0004】本発明の目的は、打鍵擬指の鍵盤に対する
ストロークを変化させることにより、所望の発音を得る
ことができる自動演奏ピアノの打鍵制御方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本発明は、ピアノ鍵盤を機械的に打鍵する打鍵擬指
を備えた自動演奏ピアノにおける任意の打鍵時におい
て、前記打鍵擬指の動きを検知する位置検出器の出力を
帰還させることにより、打鍵ストロークを制御する方法
であって、前記打鍵擬指を前記ピアノ鍵盤の任意の中途
位置まで予め沈み込ませ、該中途位置から打鍵を開始す
ることを特徴とする自動演奏ピアノの打鍵制御方法であ
る。
【0006】上記の特定発明に関連する本発明は、ピア
ノ鍵盤を機械的に打鍵する打鍵擬指を備えた自動演奏ピ
アノにおける任意の打鍵時において、前記打鍵擬指の動
きを検知する位置検出器の出力を帰還させることによ
、打鍵ストロークを制御する方法であって、前記打鍵
擬指を前記ピアノ鍵盤の任意の中途位置で停止すること
を特徴とする自動演奏ピアノの打鍵制御方法である。
らに、上記の特定発明に関連する本発明は、ピアノ鍵盤
を機械的に打鍵する打鍵擬指を備えた自動演奏ピアノに
おける任意の打鍵時において、前記打鍵擬指の動きを検
知する位置検出器の出力を帰還させることにより、打鍵
ストロークを制御する方法であって、前記打鍵擬指を前
記ピアノ鍵盤の任意の中途位置まで予め沈み込ませ、該
中途位置から打鍵を開始し、該打鍵擬指を該ピアノ鍵盤
の別の任意の中途位置で停止することを特徴とする自動
演奏ピアノの打鍵制御方法である。
【0007】
【作用】上述の構成を有する自動演奏ピアノの打鍵制御
方法は、打鍵擬指をピアノ鍵盤の押下げ中途位置まで沈
み込ませることにより音の強弱を調整でき、或いは中途
位置から打鍵を開始し中途位置で停止することによって
微弱音を短時間に継続的かつ安定的に演奏できる。
【0008】
【実施例】本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。
【0009】図1は本発明を実施するための自動演奏ピ
アノの断面図であり、ピアノの各白色鍵盤Kw、黒色鍵盤
Kbにはそれぞれ白鍵用アクチュエータ1w、黒鍵用アク
チュエータ1bが配備され、それぞれフレーム2w、2
bに固定されている。アクチュエータ1w、1bは応答
性を考慮して一種の可動コイル型モータとされ、共に回
動中心3w、3bを中心として回動可能なロータ4を有
し、それぞれのロータ4に取り付けられた平板状の可動
コイル5は、それぞれ2対ずつ用意され互いに対極する
磁石対6、7によって作られる磁界内に配置されてい
る。例えば、可動コイル5に時計回転方向の電流を流す
と、ロータ4は時計回転方向に付勢されることになる。
このように駆動されるロータ4からは擬指8w、8bが
延在されており、ロータ4の回転に従って擬指8w、8
bにより鍵盤Kw、Kbをそれぞれ打鍵するようにされ、擬
指8w、8bの鍵盤Kw、Kb上でのストロークは最大10
mm程度とされている。また、各アクチュエータ1w、
1bにはロータ4の回動量を検知するため、つまり擬指
8w、8bの先端の位置を検出するための例えば差動変
圧器やポテンショメータ等から成る位置検出器9が設け
られている。なお、アクチュエータ1w、1bの特性は
同等とされ、擬指8w、8bの指先形状が若干異なって
いるだけである。
【0010】位置検出器9の検出信号は、図2に示すよ
うに可動コイル5への投入電流量を制御する制御回路1
0に入力されており、図示しない打鍵指令装置から逐次
に入力される位置目標値との比較により制御回路10に
おいて投入電流量が決定される。この制御回路10の出
力は電流増幅器11により増幅されて可動コイル5の駆
動電流とされており、全体が所謂フィードバック制御系
を構成している。即ち、例えば図3のように予め所望の
擬指8w、8bの打鍵量を時間の関数として定めてお
き、このデータを基に位置目標値を逐次に制御回路10
に与えれば、制御回路10では位置検出器9から出力さ
れる擬指8w、8bの位置検出値と比較し、逐次に両者
が一致するように電流増幅器11を介して可動コイル5
に与える電流を増減し、擬指8w、8bの運動を制御す
ることになる。
【0011】ピアノの鍵盤系では、押し下げられた白色
鍵盤Kw、黒色鍵盤Kbはこれらの回動中心Rw、Rbを中心と
して回動し、キャプスタン・スクリュCを押し上げて所
謂アクション機構Aを動作させ、これによりハンマHが
跳ね上げられて自走し、弦Sを打弦して発音させてい
る。即ち、ピアノの発音はハンマHの自走前の鍵盤Kw、
Kbの運動状態で決定される。
【0012】一般に弱音を発音させるためには、鍵盤K
w、Kbの打鍵ストロークを小さく、急速に減速して所謂
弾き打弦をすればよく、逆に強音を発音させるにはスト
ロークを大きく速度を速くすればよい。また、可能な同
鍵連打間隔は、自走したハンマHが弦Sを打弦して元に
戻り、鍵盤Kw、Kbが自然復帰する時間で決定されるか
ら、打鍵ストロークを小さくとれば間隔の短い連打が可
能となる。
【0013】従って、図4に打鍵量の時間グラフを示す
ように、予め擬指8W、8bを鍵盤Kw、Kbの押下中途位
置まで沈み込ませ、ここから打鍵を開始してストローク
を小さくすれば、極めて微弱な弱音まで発音させること
も可能となる。また、図5に示すように擬指8W、8b
を沈み込ませた任意の中途位置を上限として、鍵盤Kw、
Kbの自然復帰の途中で次の打鍵に移るような制御を繰り
返したり、又は特定の複数の擬指を同様に中途位置に移
動させて準備し、早い演奏を行う等の奏法を行うことも
できる。
【0014】図6に示すように打鍵に際して、鍵盤Kw、
Kbの下限位置まで沈み込ませずに任意の中途位置で停止
することもできる。このようにしても、同様に早い演奏
を行うことができる。
【0015】更には、図7に示すように鍵盤Kw、Kbの中
途位置から打鍵を開始し、鍵盤Kw、Kbの下限位置まで沈
み込ませずに任意の中途位置で停止することもできる。
即ち、このような減速打鍵では、同一音の連続打鍵サイ
クルの極大を求めるためには、打鍵開始位置をできるだ
け下げ、打鍵停止位置をできるだけ上げて中途から中途
まで鍵盤Kw、Kbを移動させればよい。この場合は、ハン
マHが慣性で動いて弦Sを打鍵し、ストッパの作用でハ
ンマHは停止する。
【0016】これらにより、通常の演奏者ではなかなか
困難な程度の同音高速打鍵の実現が可能となる。
【0017】このように、位置検出器9を用いて鍵盤K
w、Kbの押下量を、与えられた打鍵すべき量と比較して
制御することにより、例えば気温や湿度、或いは各鍵に
よってばらつきのある打鍵に必要な押下力の違いを補正
することもでき、上述したような上質のデリケートな演
奏を天候等に拘らず再現できることになる。
【0018】なお、擬指8w、8bの回動中心3w、3
bは、図1に示すようにそれぞれ白色鍵盤Kw、黒色鍵盤
Kbの回動中心Rw、Rbと打鍵位置Mw、Mbを結ぶ延長線上に
存在するように配置し、更に回動中心3w、3bの位置
を鍵盤Kw、Kbの回動中心Rw、Rbから擬指の回動中心3
w、3bまでの距離と、回動中心Rw、Rbから打鍵位置M
w、Mbまでの距離との比が、白色鍵盤Kwと黒色鍵盤Kbと
で等しくなるように選定すれば、打鍵位置Mw、Mbにおい
ては鍵盤Kw、Kbの回動方向と擬指8w、8bの運動方向
は略一致し、更に擬指8w、8b、つまりロータ4に掛
かる負荷が白色鍵盤Kwと黒色鍵盤Kbとで等しくなるの
で、アクチュエータ1w、1bの駆動制御系を一元化で
きることになり好ましい。
【0019】また、アクチュエータについては実施例の
ような可動コイル型モータに限らず、従来の電磁ソレノ
イドであっても満足すべき応答性、位置制御性を有する
ものであれば適用が可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る自動演
奏ピアノの打鍵制御方法は、打鍵擬指の鍵盤に対するス
トロークを変化させることにより、打鍵する擬指の運動
を的確に制御できるので、ピアノから所望の発音を得る
ことができ、同音高速打鍵等の表現力豊かな高度の演奏
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】断面図である。
【図2】駆動制御系のブロック図である。
【図3】擬指の時間対位置のグラフ図である。
【図4】擬指の時間対位置のグラフ図である。
【図5】擬指の時間対位置のグラフ図である。
【図6】擬指の時間対位置のグラフ図である。
【図7】擬指の時間対位置のグラフ図である。
【符号の説明】
1w、1b アクチュエータ 4 ロータ 5 可動コイル 6、7 磁石対 8w、8b 擬指 9 位置検出器 10 制御回路 11 電流増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−2091(JP,A) 特開 平2−249207(JP,A) 特開 平2−275991(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10F 1/00 - 5/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピアノ鍵盤を機械的に打鍵する打鍵擬指を
    備えた自動演奏ピアノにおける任意の打鍵時において、
    前記打鍵擬指の動きを検知する位置検出器の出力を帰還
    させることにより、打鍵ストロークを制御する方法であ
    って、 前記打鍵擬指を前記ピアノ鍵盤の任意の中途位置まで予
    め沈み込ませ、該中途位置から打鍵を開始することを特
    徴とする自動演奏ピアノの打鍵制御方法。
  2. 【請求項2】ピアノ鍵盤を機械的に打鍵する打鍵擬指を
    備えた自動演奏ピアノにおける任意の打鍵時において、
    前記打鍵擬指の動きを検知する位置検出器の出力を帰還
    させることにより、打鍵ストロークを制御する方法であ
    って、 前記打鍵擬指を前記ピアノ鍵盤の任意の中途位置で停止
    することを特徴とする自動演奏ピアノの打鍵制御方法。
  3. 【請求項3】ピアノ鍵盤を機械的に打鍵する打鍵擬指を
    備えた自動演奏ピアノにおける任意の打鍵時において、
    前記打鍵擬指の動きを検知する位置検出器の出力を帰還
    させることにより、打鍵ストロークを制御する方法であ
    って、 前記打鍵擬指を前記ピアノ鍵盤の任意の中途位置まで予
    め沈み込ませ、該中途位置から打鍵を開始し、該打鍵擬
    指を該ピアノ鍵盤の別の任意の中途位置で停止すること
    を特徴とする自動演奏ピアノの打鍵制御方法。
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