JP3025269U - 浄化槽等の廃水処理用充填材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐圧性が向上して浄化槽などに多数充填して
も圧潰することがなく確実に廃水の浄化機能を発揮で
き、又、その内部を廃水が通過するときに隣接する充填
材を流れる廃水と互いに混合して廃水の浄化度を均一化
することができて廃水処理効率を高めることができる廃
水処理用充填材を提供する。 【解決手段】 両端を開口した筒状を呈してその中を廃
水が流れるようにした周壁２と、その周壁２の内部空間
を複数に区画するように周壁２の内面における複数箇所
の間に架設した中骨３とを有して、その周壁２は、合成
樹脂製の複数の線状体１が皺曲して互いに接触部をくっ
付けながら絡み合って密に集合することにより立体網状
構造を呈する密壁部４と、同じく合成樹脂製の複数の線
状体１が略直線状に伸びて並んだ構造を有して上記の密
壁部４よりも空隙率の高い疎壁部６とから成り、又、中
骨３も、周壁２の密壁部４と対応する箇所に設けた同様
な構造の密壁部５と、周壁２の疎壁部６と対応する箇所
に設けた同様な構造の疎壁部７とから成ることを特徴と
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の技術分野】

本考案は、浄化槽や排水溝などの内部に設置されて、廃水を自ら濾過したり、 又は、廃水処理に有効な微生物を付着させたりして、廃水を浄化するために供さ れる浄化槽等の廃水処理用充填材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、合成樹脂製の複数の線状体が皺曲して互いに接触部をくっ付けながら集 合することにより立体網状構造を呈する周壁を有して、その内部を廃水が流れる ようにした筒状の廃水処理用充填材が存在する。このような充填材は、例えば、 浄化槽内に多数充填して、それぞれの内部を廃水が通過、又は循環する際に廃水 を浄化するものである。ところで、各充填材を通過する廃水は、流速、流量、汚 水濃度等の差によって浄化度にばらつきが存在するので、各充填材を通過した廃 水を貯留部に集めて混合することにより浄化度を均一化させる必要があり、廃水 処理効率が良くないという問題があった。また、筒状の充填材は、例えば、浄化 槽内に多数充填したときに圧力で潰れる等の問題があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、本考案は、耐圧性が向上して浄化槽などに多数充填しても圧潰するこ とがなく、又、その内部を通過する廃水をその通過時に、隣接する充填材を流れ る廃水と互いに混合させて廃水の浄化度を均一化することができる斬新な廃水処 理用充填材の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の浄化槽等の廃水処理用充填材は、両端を 開口した筒状を呈してその中を廃水が流れるようにした周壁２と、その周壁２の 内部空間を複数に区画するように周壁２の内面における複数箇所の間に架設した 中骨３とを有して、その周壁２は、合成樹脂製の複数の線状体１が皺曲して互い に接触部をくっ付けながら絡み合って密に集合することにより立体網状構造を呈 する密壁部４と、同じく合成樹脂製の複数の線状体１が略直線状に伸びて並んだ 構造を有して上記の密壁部４よりも空隙率の高い疎壁部６とから成り、また、中 骨３も、周壁２の密壁部４と対応する箇所に設けた同様な構造の密壁部５と、周 壁２の疎壁部６と対応する箇所に設けた同様な構造の疎壁部７とから成ることを 特徴とするものである。

【０００５】 なお、中骨３の形状は自由であり、例えば、横断面形状を、一状、十字状、又 は略Ｙ字状などにすることができる。

【０００６】

【作用】

中骨３が周壁２を内側から支えるので、外側から圧力を受けても周壁２が潰れ る虞がない。したがって、浄化槽などに多数充填しても、それぞれが原形を維持 して確実に浄化機能を発揮する。次に、内部を通過する廃水は、密壁部４，５で はそのまま密壁部４，５に沿って流れるが、疎壁部６，７では廃水が壁を通過し て流出入するので、隣接する充填材間の廃水が活発に混合して、廃水の浄化度が 均一化する。

【０００７】

【実施例】

以下、図示した本考案の実施例について説明する。まず、図１乃至図３は、第 １実施例を示したものである。この第１実施例の充填材は、両端を開口した筒状 を呈してその中を廃水が流れるようにした周壁２と、その周壁２の内部空間を２ つに区画するように、周壁２の内面における２箇所の間に架設した横断面形状が 一状を呈する中骨３とを有して、その周壁２は合成樹脂製、例えばポリプロピレ ン製の複数の線状体１が皺曲して互いに接触部をくっ付けながら絡み合って密に 集合することにより立体網状構造を呈する空隙率の低い密壁部４を上下両端部に 設けるとともに、同じ材質製の複数の線状体１が皺曲せずに上下方向に略直線状 に伸びて各線状体１が互いに絡み合わずに並んだ状態となる空隙率の高い疎壁部 ６を中間部に設けて成り、また中骨３は、周壁２の密壁部４と対応する箇所、す なわち上下両端部に同様な構造の密壁部５を設けるとともに、周壁２の疎壁部６ と対応する箇所、すなわち中間部に同様な構造の疎壁部７を設けて成るものであ る。

【０００８】 次に、図４乃至図６は第２実施例を示したものである。なお、この第２実施例 と後記の第３実施例では、各部位を示す符号は上記の第１実施例と同一の符号を 使用した。この第２実施例の充填材は、中骨３の形状が異なるだけで、その他の 構造は上記第１実施例と同一である。そして、中骨３は、周壁２の内部を４つに 区画するように横断面形状が十字状を呈している。

【０００９】 また、図７乃至図９は第３実施例を示したものである。この第３実施例の充填 材は、中骨３の形状が異なるだけで、その他の構造は上記第１実施例と同一であ る。そして、中骨３は、周壁２の内部を３つに区画するように横断面形状が略Ｙ 字状を呈している。

【００１０】 本考案の充填材は次のように製造される。すなわち、複数の下向きノズルを有 して、それらのノズルが充填材の横断面形状と同様の形に配置された押出機によ って、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂を加熱溶融するとともに、その溶融 樹脂を各ノズルから連続的に押し出して複数の線状体１を形成するとともに、そ れら線状体１を連続的に落下させ、押出機の下方位置で各線状体１をその落下速 度より遅い速度で引き取ることにより各線状体１を皺曲させて互いに接触部をく っ付けるように絡み合わせながら密に集合させて立体網状構造を呈する周壁２と 中骨３の密壁部４，５を同時に形成し、これらを水槽内に導いて冷却水に浸漬す ることにより冷却固化し、次に、連続的に落下してくる各線状体１を今度はその 落下速度とほぼ同一速度で引き取ることにより各線状体１を皺曲させずに略直線 状に伸ばした状態で並べて周壁２と中骨３の疎壁部６，７を同時に形成して、こ れらを同じく水槽内に導いて冷却固化し、その後、再び、連続的に落下してくる 各線状体１を前記と同様にその落下速度より遅い速度で引き取って周壁２と中骨 ３の密壁部４，５を同時に形成してそれらを冷却固化し、その後、これらの工程 を繰り返して周壁２と中骨３の密壁部４，５及び疎壁部６，７を交互に形成した ものを最後に適宜な長さに切断することによって完成するものである。

【００１１】

【考案の効果】

本考案の充填材は上記の通りであり、周壁２の内側に中骨３を有するので耐圧 性が向上し、浄化槽等に多量に充填されて外圧を受けても、潰れることなく原形 を保って確実に浄化機能を発揮できるという効果がある。また、周壁２と中骨３ にはそれぞれ密壁部４，５とともに疎壁部６，７も設けたので、充填材を廃水が 通過するときに、疎壁部６，７において廃水が流出入することにより隣接する充 填材間の廃水が活発に混合して廃水の浄化度が均一化するので、従来のように各 充填材を通過した後に廃水を貯留部で混合して浄化度を均一化する必要がなく、 廃水処理効率が高まるという効果がある。また、周壁２の内側に中骨３を有する ので、その分だけ、単純な筒状の充填材よりも廃水との接触面積が広くなって、 廃水処理能力が高くなるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の斜視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】第２実施例の斜視図である。

【図５】図４のＣ−Ｃ線断面図である。

【図６】図４のＤ−Ｄ線断面図である。

【図７】第３実施例の斜視図である。

【図８】図７のＥ−Ｅ線断面図である。

【図９】図７のＦ−Ｆ線断面図である。

【符号の説明】

１ 線状体 ２ 周壁 ３ 中骨 ４，５ 密壁部 ６，７ 疎壁部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 両端を開口した筒状を呈してその中を廃
   水が流れるようにした周壁２と、その周壁２の内部空間
   を複数に区画するように周壁２の内面における複数箇所
   の間に架設した中骨３とを有して、その周壁２は、合成
   樹脂製の複数の線状体１が皺曲して互いに接触部をくっ
   付けながら絡み合って密に集合することにより立体網状
   構造を呈する密壁部４と、同じく合成樹脂製の複数の線
   状体１が略直線状に伸びて並んだ構造を有して上記の密
   壁部４よりも空隙率の高い疎壁部６とから成り、また、
   中骨３も、周壁２の密壁部４と対応する箇所に設けた同
   様な構造の密壁部５と、周壁２の疎壁部６と対応する箇
   所に設けた同様な構造の疎壁部７とから成ることを特徴
   とする浄化槽等の廃水処理用充填材。
2. 【請求項２】 中骨３の横断面形状を一状とした請求項
   １記載の浄化槽等の廃水処理用充填材。
3. 【請求項３】 中骨３の横断面形状を十字状とした請求
   項１記載の浄化槽等の廃水処理用充填材。
4. 【請求項４】 中骨３の横断面形状を略Ｙ字状とした請
   求項１記載の浄化槽等の廃水処理用充填材。