JP3025122B2 - 光起電力素子及び発電システム - Google Patents

光起電力素子及び発電システム

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JP3025122B2
JP3025122B2 JP4349588A JP34958892A JP3025122B2 JP 3025122 B2 JP3025122 B2 JP 3025122B2 JP 4349588 A JP4349588 A JP 4349588A JP 34958892 A JP34958892 A JP 34958892A JP 3025122 B2 JP3025122 B2 JP 3025122B2
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/548Amorphous silicon PV cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非単結晶シリコン系半導
体材料からなるpin型の光起電力素子に関するもので
ある。特にドーピング層及びi型層がマイクロ波プラズ
マCVD法(MWPCVD法)で形成された光起電力素
子に関するものである。また非単結晶シリコン系半導体
材料からなる半導体層(単に半導体層と略記する)にア
ルカリ土類金属を含有する光起電力素子に関するもので
ある。また半導体層にフッ素を含有する光起電力素子に
関するものである。加えて該光起電力素子を利用した発
電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年より堆積速度が速く、且つ原料ガス
利用効率が優れているMWPCVD法を用いて光起電力
素子の検討が精力的に行われている。例えば、i型層を
MWPCVD法で形成した例としては、 ◆ "マイクロ波プラズマCVD法によるa−Si太陽電
池",東 和文、渡辺猛志、嶋田寿一、第50回応用物
理学会学術講演会予稿集 pp. 566. 等が挙げられる。この光起電力素子ではi型層をMWP
CVD法で形成することによって良質、且つ堆積速度の
速い、i型層を得ている。
【0003】またドーピング層をMWPCVD法で形成
した例としては、例えば ◆ "High Efficiency Amorphous Solar Cell Employing
ECR-CVD Produced p-Type Microcrystalline SiC Fil
m", Y.Hattori,D.Kruangam,T.Toyama,H.Okamotoand Y.H
amakawa, Proceedings of the International PVSEC-3
Tokyo Japan 1987 pp.171. ◆ "HIGH-CONDUCTIVE WIDE BAND GAP P-TYPE a-SiC:H P
REPARED BY ECR CVD ANDITS APPLICATION TO HIGH EFFI
CIENCY a-Si BASIS SOLAR CELL" , Y.Hattori,D.Kruang
am,K.Katou,Y.Nitta,H.Okamoto and Y.Hamakawa, Proce
edings of 19thIEEE Photovoltaic Specialists Confer
ence 1987 pp.689. 等が挙げられる。これらの光起電力素子ではp型層にM
WPCVD法を用いることによって良質なp型層を得て
いる。
【0004】しかしこれらの例では、i型層、およびp
型層の形成の両方にMWPCVD法は利用されてはいな
い。現状ではMWPCVD法で形成したi型層とMWP
CVD法で形成したドーピング層を積層すると、界面に
欠陥準位が多く発生し、それゆえ良好な特性を有する光
起電力素子が得られないものと考えられる。またアルカ
リ土類金属を含有する非単結晶シリコン系半導体層やこ
れを用いた光起電力素子の検討については、以下のもの
が知られているにすぎない。 ◆ "a−Si:H薄膜のイオン添加による特性安定化効
果"、原田友七、田上尚男、中沢滋二、中村國臣、電子
情報通信学会春期全国大会 予稿集 1991. ここではカルシウムを添加することによって光劣化が抑
制されることが述べられている。この例においては、カ
ルシウムをイオン注入法でアモルファスシリコン中に含
有させているが、含有量が0.1%程度と非常に多いた
め、活性化エネルギーが0.36eVとかなり小さく、
光起電力素子に適用できるものではない。また光劣化の
程度も光起電力素子に適するものではない。
【0005】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層やこれを用いた光起電力素子の検討も進められ
ている。例えば、 ◆ "The chemical and configurational basis of high
efficiency amorphousphotovoltaic cells", Ovshinsk
y.S.R, Proceedings of 17th IEEE Photovoltaic Speci
alists Conference 1985 pp.1365. ◆ "Preraration and properties of sputtered a-Si:
H:F films", Beyer.W, Chevallier.J, Reichelt.K, Sol
ar Energy Material, vol.9 , No2 , pp.229-2451983. ◆ "Development of the scientific and technical ba
sis for integrated amorphous silicon modules. Res
erch on a-Si:F:H(B) alloys and moduletesting at IE
T-CIEMAT.", Gutierrez M T,P Delgado L, Photovalt.
Power Gener., pp.70-75 1988. ◆ "The effect of fluorine on the photovaltaic pro
perties of amorphous silicon", Konagai.M, Nishigat
a.K, Takahashi.K, Komoro.K, Proceedings of 15th IE
EE Photovaltaic Specialists Conference 1981 pp.90
6. 等が挙げられる。これらの例においても光劣化現象、熱
的安定性については言及されているが、フッ素の層厚方
向変化と光電変換効率の関係、あるいは水素の層厚方向
変化との関係、あるいは振動劣化との関係については述
べられていない。また、これらの例では良質なドーピン
グ層が得られているが、高い光電変換効率を有する光起
電力素子を得るには至っていない。
【0006】上記の従来の光起電力素子では、i型層の
形成およびドーピング層の形成の両方にMWPCVD法
が使用する場合、p/i界面、n/i界面近傍での光励
起キャリアーの再結合、開放電圧、及び正孔のキャリア
ーレンジの向上が望まれている。またドーピング層及び
i型層をMWPCVD法で形成した光起電力素子は、光
起電力素子に光を照射した場合に光電変換効率が低下
(光劣化)するという問題点があった。
【0007】さらにドーピング層及びi型層をMWPC
VD法で形成した光起電力素子はドーピング層とi型層
の界面近傍に歪があり長期間、振動がある環境に置くと
光電変換効率が低下(振動劣化)するという問題点があ
った。さらに上記の光起電力素子では長期間、高湿度環
境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著であった。
【0008】またさらに上記の光起電力素子では長期
間、高湿度環境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著
であった。またさらに上記の光起電力素子では順バイア
スを印加した場合の光劣化、振動劣化が顕著であった。
またアルカリ土類金属を多量に含有する光起電力素子
は、光電変換効率が極めて低いという問題点があった。
【0009】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層は、フッ素を含まないものに比べて層剥離しや
すいという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の技術
的課題は、上記欠点に鑑み、堆積速度を向上させた従来
の光起電力素子において、光電変換効率を向上させた光
起電力素子を提供することである。また、本発明は、光
劣化、振動劣化を抑制した光起電力素子を提供すること
を目的としている。
【0011】さらに本発明は、光起電力素子を高温度環
境に置いた場合、光起電力素子の光劣化、振動劣化を抑
制することを目的としている。さらに本発明は、光起電
力素子を高湿度環境に置いた場合、光起電力素子の光劣
化、振動劣化を抑制することを目的としている。さらに
本発明は、光起電力素子に順バイアスを印加した場合、
光劣化、振動劣化を抑制することを目的としている。
【0012】さらに本発明は、光起電力素子を上記のよ
うな環境に置いた場合でも半導体層が剥離しない光起電
力素子を提供することを目的としている。またさらに、
本発明は上記目的を達成した光起電力素子を利用した発
電システムを提供することを目的としている。またさら
に、本発明は優れた生産性を有する光起電力素子を提供
することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の問題点を
解決し、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、
見いだされたものである。即ち、本発明の光起電力素子
は、水素を含有する非単結晶シリコン系半導体材料を含
p型層、i型層、及びn型層を有する光起電力素子に
おいて、前記p型層及び/又はn型層は、高周波プラズ
マCVD法で形成された第1のドーピング層と、低周波
プラズマCVD法で形成された第2のドーピング層との
積層構造を有し、 前記第2のドーピング層は前記第1の
ドーピング層と前記i型層との間に配置され、前記i型
層がアルカリ土類金属を含有し、該i型層のアルカリ土
類金属含有量及び水素含有量が厚さ方向に滑らかに変化
していることを特徴とする。
【0014】また本発明の光起電力素子は、水素を含有
する非単結晶シリコン系半導体材料を含むp型層、i型
層、及びn型層を有する光起電力素子において、前記p
型層及び/又はn型層は、高周波プラズマCVD法で形
成された第1のドーピング層と、低周波プラズマCVD
法で形成された第2のドーピング層との積層構造を有
し、 前記第2のドーピング層は前記第1のドーピング層
と前記i型層との間に配置され、前記i型層がアルカリ
土類金属を含有し、且つドナーとなる価電子制御剤とア
クセプターとなる荷電子制御剤をに含有していること
を特徴とする。
【0015】また本発明の望ましい形態は前記i型層と
前記第2のドーピング層との間に低周波プラズマCVD
法で形成されたi型の層(RF−i層)を有する前記の
光起電力素子である。また本発明の望ましい形態は前記
RF−i層にドナーとなる価電子制御剤とアクセプター
となる価電子制御剤がともに含有されている光起電力素
子である。
【0016】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
前記第2のドーピング層、前記第1のドーピング層及び
RF−i層のうち少なくともひとつの層はフッ素を含有
し、且つフッ素含有量が層厚方向になめらかに変化し、
且つ該層の少なくとも一方の界面近傍で含有量が最小と
なっている光起電力素子である。また本発明の望ましい
形態は前記第2のドーピング層、前記第1のドーピング
層、RF−i層またはi型層のうち少なくともひとつの
層は水素含有量が層厚方向になめらかに変化し、且つ少
なくとも一方の界面近傍で、該層の水素含有量が最大と
なっている光起電力素子である。
【0017】また本発明の望ましい形態は前記第2の
ーピング層、前記第1のドーピング層、RF−i層また
はi型層のうち少なくともひとつの層において、含有さ
れるドナーとなる価電子制御剤の含有量または/及びア
クセプターとなる価電子制御剤の含有量が層厚方向にな
めらかに変化し、且つ該層の少なくとも一方の界面近傍
で、該含有量が最大となっている光起電力素子である。
【0018】また本発明の望ましい形態は前記第2の
ーピング層、前記第1のドーピング層及びRF−i層の
うち少なくともひとつの層に、アルカリ土類金属が含有
されていることを特徴とする光起電力素子である。また
本発明の望ましい形態は前記第2のドーピング層、前記
第1のドーピング層、RF−i層及びi型層のうち少な
くともひとつの層に含有されるアルカリ土類金属はその
含有量が層厚方向になめらかに変化し、且つ少なくとも
一方の界面近傍で含有量が最小となっている光起電力素
子である。
【0019】また本発明の望ましい形態は前記i型層ま
たは/及びRF−i層にスズ原子を含有させ、該層が非
晶質シリコン・スズからなる光起電力素子である。また
本発明の望ましい形態は前記i型層、RF−i層、第1
ドーピング層または第2のドーピング層の少なくとも
ひとつの層に酸素または/及び窒素原子が含有されてい
る前記の光起電力素子である。
【0020】また本発明の発電システムは前記の光起電
力素子と、該光起電力素子の電圧及び/または電流をモ
ニターし蓄電池及び/または外部負荷変前記光起電力素
子からの電力の供給を制御する制御システムと、前記光
起電力素子からの電力の蓄積及び/または外部負荷への
電力の供給を行う蓄電池とから構成されていることを特
徴としている。
【0021】
【作用及び実施態様例】次に、本発明の実施例を図面を
参照して詳細に説明する。図1−aは本発明の光起電力
素子の一例を示す模式的説明図である。図1−aにおい
て、本発明の光起電力素子は基板101、MWPCVD
法で形成され、n型の導電型を有するMWn型層10
2、RFPCVD法で形成され、n型の導電型を有する
RFn型層103、MWPCVD法で形成され、アルカ
リ土類金属元素を含有するi型層104、RFPCVD
法で形成され、p型の導電型を有するRFp型層10
5、MWPCVD法で形成され、p型の導電型を有する
MWp型層106、透明電極107、及び集電電極10
8等から構成される。
【0022】図1−bは本発明の光起電力素子の模式的
説明図の他の例である。図1−bにおいて、本発明の光
起電力素子は基板111、n型の導電型を有するn型層
112、i型層114、RFp型層115、MWp型層
116、透明電極117、及び集電電極118等から構
成される。図1−cは本発明の光起電力素子の模式的説
明図の他の例である。図1−cにおいて、本発明の光起
電力素子は基板121、MWn型層122、RFn型層
123、i型層124、p型の導電型を有するp型層1
25、透明電極127、及び集電電極128等から構成
される。
【0023】図1−a〜図1−cにおいてn型層、p型
層はRFPCVD法またはMWPCVD法で形成される
が、RFPCVD法で形成するのが望ましい。さらに図
1−a〜図1−cのようなpin型構造の光起電力素子
の他に,n型層とp型層の積層順序を逆にしたnip型
構造の光起電力素子であってもよい。さらに図1−a〜
図1−cのようなpin型構造の光起電力素子におい
て、積層構造有するドーピング層とi型層の間にRFP
CVD法で形成されたi型(RF−i層)を有する図1
−d〜図1−fのような光起電力素子であってもよい。
【0024】またさらに本発明の積層構造を有するドー
ピング層はRFp型層/MWp型層/RFp型層/i型
層、i型層/RFn型層/MWn型層/RFn型層等の
ような(RF/MW)n /RF型の3つ以上の層からな
る積層構造であってもよいし、あるいはMWp型層/R
Fp型層/MWp型層/RFp型層/i型層等のような
(MW/RF)n 型の積層構造であってもよい。
【0025】また本発明の光起電力素子はpinpin
構造やpinpinpin構造等のpin構造を積層し
たものであってもよい。また本発明の光起電力素子はn
ipnip構造やnipnipnip構造等のnip構
造を積層したものであってもよい。本発明の光起電力素
子ではMWドーピング層、及びi型層を形成する際、M
WPCVD法を用いているため、堆積速度が速く、スル
ープットを向上させることができ、さらには原料ガスの
利用効率を向上させることができ、優れた生産性を有す
るものである。
【0026】また本発明の光起電力素子ではドーピング
層をMWPCVD法で形成しているために、光起電力素
子として良好な特性を有するドーピング層が得られる。
すなわち、該ドーピング層は光の透過性がよく、電気伝
導度が高く、活性化エネルギーが小さいためドーピング
層として優れており、特に光入射側のドーピング層とし
て有効である。さらにMWPCVD法で形成しているた
めに良質な微結晶シリコン系半導体材料、またはバンド
ギャップの広い良質な非晶質シリコン系半導体材料を比
較的容易に形成することができ、光入射側のドーピング
層として有効である。
【0027】さらに本発明の光起電力素子ではドーピン
グ層をMWPCVD法で形成しているために光起電力素
子の光劣化、とりわけ開放電圧の劣化を抑制することが
できる。その詳細なメカニズムは不明であるが、以下の
ように考えられる。一般的には光照射によって生成した
未結合手がキャリアーの再結合中心になり光起電力素子
の特性が劣化するものと考えられている。MWPCVD
法で形成されたドーピング層(MWドーピング層)は堆
積速度2nm/sec以上の速度で形成されるために、
導入される価電子制御剤が100%活性化されず、未結
合手が発生してもそれを不活性な価電子制御剤がターミ
ネートするため、光起電力素子の特性、特に開放電圧の
低下を抑制することができると考えられる。
【0028】また上記MWPCVD法で形成されたi型
層とMWドーピング層との間にRFドーピング層がある
ために、界面準位を減少させることができ、光電変換効
率を向上できるものである。その詳細なメカニズムは不
明であるが、以下のように考えられる。RFドーピング
層は、気相反応が起こりにくい低パワーで形成し、堆積
速度を1nm/sec以下にする。その結果、パッキン
グ・デンシティーは高くなり、該層をi型層と積層した
場合に、各層の界面準位が少なくなるものである。特に
i型層の堆積速度が5nm/sec以上の場合におい
て、マイクロ波によってグロー放電を励起した直後、あ
るいは停止した直後ではi型層の表面近傍は充分に緩和
していないために表面準位が多くなっているものであ
る。
【0029】堆積速度の遅いRFドーピング層上にi型
層を形成することによって、グロー放電を生起した直後
におけるi型層の初期膜は下地の影響を受け、パッキン
グ・デンシティーが高くなり、ダングリングボンドが少
ない層になっており、表面準位が減少しているものと考
えられる。また一方i型層の表面に堆積速度の遅いRF
ドーピング層を形成することによって、i型層の表面準
位を、RFPCVDによる半導体層の形成と同時に起こ
る水素原子の拡散によるアニーリングによって減少させ
ることができているものと考えられる。
【0030】またRFドーピング層の価電子制御剤の含
有量をi型層の内部よりも高くし、且つMWPCVD法
で形成したドーピング層の価電子制御剤の含有量よりも
低くすることによって、光起電力素子の開放電圧および
フィルファクターを向上させることができる。加えて本
発明の光起電力素子は、振動劣化しにくいものである。
この詳細なメカニズムは不明であるが、構成元素比が非
常に異なるMWドーピング層とi型層の間にRFドーピ
ング層を設けることによって局所的な柔軟性が増し、M
Wドーピング層とi型層との間の内部応力を緩和するこ
とができ、内部応力による欠陥準位の発生を防止するこ
とができ、長期間振動下に置いても光起電力素子の光電
変換効率の低下を抑制することができるものと考えられ
る。このことはRFドーピング層の両界面で水素含有量
が多くなっている場合、特に効果がある。
【0031】また、本発明の光起電力素子は、光劣化し
にくいものである。一般的には、ドーピング層の界面近
傍には、多くのウィークボンドが存在し、光によって、
ウィークボンドが切れるために、光起電力素子の特性が
劣化すると考えられている。本発明の場合、PFドーピ
ング層及びMWドーピング層の界面近傍に多くの価電子
制御剤を導入することで、光照射によって未結合手が生
成したとしても、それらが、活性化していない価電子制
御剤と反応して、未結合手を保障するものと考えられ
る。層厚方向に対する価電子制御剤の含有量の変化パタ
ーンとしては、図12に示す例が挙げられる。図12に
おいて、(B含有量)はアクセプターとなる価電子制御
剤の含有量を示し、(P含有量)はドナーとなる価電子
制御剤の含有量を示す。
【0032】図12−aは、ドーピング層の両界面で含
有量が極大となり、光入射側の界面で含有量の急激な勾
配があるようにした例である。バンドギャップの小さい
i型層を有する光起電力素子に対して特に効果がある。
図12−bは、ドーピング層の光入射側の界面で含有量
が最大、反対の界面で最小となるようにし、光入射側で
含有量の急激な勾配があるようにした例である。バンド
ギャップの小さいi型層を有する光起電力素子に対して
とくに効果がある。 図12−cは、ドーピング層の両
界面で含有量が極大となるようにし、両界面側で含有量
の急激な勾配があるようにした例である。特にp型層側
から光を入社させた場合、効果がある。バンドギャップ
の大きな材料からなるi型層を有する光起電力素子に対
して特に効果がある。
【0033】本発明においては、i型層にドナーとなる
価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤をとも
に含有させることによって光劣化を抑制することができ
る。そのメカニズムの詳細は不明であるが、本発明の場
合、i型層内の価電子制御剤は100%活性化していな
い。その結果光照射によってウィークボンドが切れて未
結合手が生成したとしてもそれらが活性化していない価
電子制御剤と反応して未結合手を補償するものと考えら
れる。
【0034】また特にi型層界面近傍にはウィークボン
ドが数多く存在すると考えられ、本発明の場合、ドーピ
ング層との界面近傍には価電子制御剤が多く分布され、
未結合手を補償するものと考えられる。従って、光起電
力素子に照射される光強度が弱い場合にも、欠陥準位が
価電子制御剤によって補償されているため光励起された
電子と正孔がトラップされる確率が減少する、また前記
したように逆バイアス時の暗電流が少ないために十分な
起電力を生じることができる。その結果光起電力素子へ
の照射光強度が弱い場合においても優れた光電変換効率
を示すものである。
【0035】加えて本発明の光起電力素子は、長期間振
動下に置いても光電変換効率が低下しにくいものであ
る。一般的にはi型層とドーピング層との界面では構成
元素が非常に異なるために界面には内部応力が存在し、
振動によって未結合手が形成され、光電変換効率が低下
すると考えられている。しかしi型層内部にドナーとな
る価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤がと
もに含有されていることによって、未結合手が生成した
としても、それらが活性化していない価電子制御剤と反
応して未結合手を補償するものと考えられる。さらにと
もに含有されるドナーとなる価電子制御剤とアクセプタ
ーとなる価電子制御剤の含有量が層厚方向になめらかに
変化し、且つ界面近傍で価電子制御剤の含有量が多くな
っている場合、特に効果がある。またi型層とドーピン
グ層の間がヘテロ接合(Si/SiGe、Si/SiC
など)からなる場合において特に効果がある。一般的に
はヘテロ接合の界面には多くの界面準位、内部応力が存
在すると考えられる。本発明の光起電力素子ではヘテロ
接合の界面近傍に多くの不活性の価電子制御剤を含有さ
せることによって、界面準位を減少させることができ
る。
【0036】価電子制御剤の含有量の層厚方向に対する
変化のパターンとしては図2に示した以下の例が挙げら
れる。図2において(B含有量)はアクセプターとなる
価電子制御剤の含有量を示し、P含有量はドナーとなる
価電子制御剤の含有量を示す。図2−aはi型層のp型
層側、n型層側で含有量が極大となり、i型層のバルク
内部のp型層側で最小となるようにし、p型層側で含有
量の急激な勾配があるようにした例である。特にp型層
側から光を入射させた場合、効果がある。nip型の光
起電力素子でn型層側から光を入射する場合にはパター
ンを層厚方向に対して逆にすればよい。さらにバンドギ
ャップの小さいi型層を有する光起電力素子に対して特
に効果がある。
【0037】図2−bは、i型層のp型層側で含有量が
最大、n型層側で最小となるようにし、p型層側で含有
量の急激な勾配があるようにした例である。特に、p型
層側から、光を入射させた場合、効果がある。nip型
の光起電力素子でn型層側から光を入射する場合には、
パターンを層厚方向に対して逆にすればよい。さらに、
バンドギャップの小さいi型層を有する光起電力素子に
対して特に効果がある。
【0038】図2−cは、i型層のp型層側、n型層側
で極大となるようにし、p型層側、n型層側で含有量の
急激な勾配があるようにした例である。特に、p型層側
から、光を入射させた場合、効果がある。nip型の光
起電力素子でn型層側から光を入射する場合には、パタ
ーンを層厚方向に対して逆にすればよい。図2−cのよ
うな変化パターンはバンドギャップの大きな材料からな
るi型層を有する光起電力素子に対して特に効果があ
る。すなわち図2−cにおいてp型層側から光を入射し
た場合、n型層側でもキャリアーが励起されるためこの
領域でも価電子制御剤の含有量を多くするのが望まし
い。
【0039】i型層においては、ドナーとなる価電子制
御剤とアクセプターとなる価電子制御剤は互いに補償す
るように含有されるのが好ましい。このような価電子制
御剤の分布は各半導体層にも適用できるものである。さ
らに本発明の光起電力素子は、i型層にアルカリ土類金
属が含有され、且つアルカリ土類金属含有量が層厚方向
になめらかに変化しているものである。そうすることに
よって、光起電力素子に順バイアス電圧を印加した場合
の光劣化、振動劣化を抑制することができる。その詳細
なメカニズムは不明であるが、次のように考えられる。
非単結晶シリコン系半導体材料からなるi型層にアルカ
リ土類金属を含有させると、アルカリ土類金属はシリコ
ン、ゲルマニウム、スズ、炭素といったi型層の主構成
元素に電子を供与し、イオン化する。イオン化されたア
ルカリ土類金属はi型層内部で比較的動きやすい状態に
あり、またイオン化されたアルカリ土類金属は順バイア
スを印加することにより発生した弱電界領域に集まりや
すいと考えられる。加えて一般的にはi型層の内部電界
が弱いと光誘起欠陥、振動誘起欠陥が発生しやすく、光
劣化、振動劣化が強くなる傾向がある。
【0040】そこで本発明においては、弱電界領域には
アルカリ土類金属含有を比較的多くし、強電界領域にな
るべく少なく含有させることによって、光誘起欠陥、振
動劣化が発生してもイオン化したアルカリ土類金属が結
合して補償するものと考えられる。また光誘起欠陥、振
動誘起欠陥が発生しにくい強電界領域ではなるべくアル
カリ土類金属含有量を少なくすることが望ましい。この
ような弱電界領域での補償メカニズムは他の元素を含有
させることでは現れないものと考えられる。また原子状
のアルカリ土類金属が光誘起欠陥、振動誘起欠陥を補償
し、イオン化されることも考えられる。
【0041】以上の効果は本発明のようにドーピング層
が積層構造を有する場合、特に強く現れる。さらに以上
の効果はi型層中の水素含有量、フッ素含有量が下記に
述べるように層厚方向に変化している場合、あるいはド
ナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制
御剤をi型層にともに含有している場合、さらに強くな
る。以下、図面を参照しながら、本発明の光起電力素子
におけるi型層のアルカリ土類金属含有量の望ましい変
化パターンの例を説明する。
【0042】図2−aまたは図6−aではp型層側でア
ルカリ土類金属含有量を急激に変化させ、含有量の最小
値がバルク内部のn型層側にある例である。この場合、
層厚方向に対する価電子制御剤又は水素含有量の変化パ
ターンは、それぞれ図2−a又は図6−aのものが望ま
しい。またnip型の光起電力素子でn型層側から光を
入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対して逆
にすればよい。またp/i界面がヘテロ接合からなる場
合、特に効果がある。
【0043】図2−b又は図6−bでは,p型層側から
n型層側にゆっくりと変化させ、アルカリ土類含有量の
最小値がp型層との界面にある例である。この場合、層
厚方向に対する価電子制御剤又は水素含有量の変化パタ
ーンは、それぞれ図2−b又は図6−bのものが望まし
い。またnip型の光起電力素子でn型層側から光を入
射する場合、変化パターンを層厚方向に対して逆にすれ
ばよい。
【0044】図2−c又は図6−cでは,i型層のp型
層側およびn型層側でアルカリ土類含有量が急激に変化
している例である。この場合、層厚方向に対する価電子
制御剤又は水素含有量の変化パターンは、それぞれ図2
−c又は図6−cのものが望ましい。p/i界面、n/
i界面がヘテロ接合からなる場合、特に効果がある。本
発明においてアルカリ土類金属の含有量は層厚方向に変
化するが、ある微小領域における含有量の最大値(Cm
ax)は3×1018cm-3以下、最小値(Cmin)は
3×1014cm-3以上であることが望ましい。
【0045】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対してアルカリ土類金属を含有させ、さ
らに含有量を変化させることはRFドーピング層、MW
ドーピング層、後述するRF−i層にも適用できるもの
である。加えて本発明の光起電力素子は、i型層の水素
含有量を層厚方向になめらかに変化させることよって光
電変換効率を向上させることができる。すなわち、例え
ば、図6−aのようにi型層のp型層側、n型層側で水
素含有量を多くし、且つ水素含有量が最小となるところ
をバルク内部のp型層側にすることによって図6−dに
見られるようにi型層のバンドギャップはp型層側、n
型層側で極大、最小はバルク内部のp型層側となる。こ
のためi型層のp型層側では伝導帯の電界が大きくな
り、電子と正孔の分離が効率よく行われ、p型層とi型
層の界面近傍での電子と正孔の再結合を減少させること
ができる。また電子がp型層に逆拡散することを抑制す
ることができる。さらにi型層からn型層に向かって価
電子帯の電界が大きくなり、i型層のn型層側で励起さ
れた電子と正孔の再結合を減少させることができる。
【0046】またドーピング層とi型層の界面近傍にお
いて水素含有量を多くすることによって欠陥準位が水素
原子で補償されることによって欠陥準位を介したホッピ
ング伝導による暗電流(逆バイアス時)が減少し、光起
電力素子の開放電圧及びフィルファクターを向上させる
ことができる。また内部よりも界面近傍に水素原子を多
く含有させることによって、界面近傍特有の構成元素が
急激に変化することによる内部応力を減少させることが
できる。その結果、長時間振動下に置いても光電変換効
率が低下することを抑制することができる。またi型層
とドーピング層の間がヘテロ接合(Si/SiGe、S
i/SiCなど)からなる場合において特に効果があ
る。一般的にはヘテロ接合の界面には多くの界面準位、
内部応力が存在すると考えられる。本発明の光起電力素
子ではヘテロ接合の界面近傍に多くの水素原子を含有さ
せることによって、ヘテロ界面近傍の柔軟性を増し、内
部応力を緩和し、界面準位を減少させることができる。
【0047】一般的には、非晶質シリコン系半導体材料
からなるi型層中の水素含有量を多くするとバンドギャ
ップが大きくなることが知られている。以下、図面を参
照にしながら、バンドギャップの層厚方向の変化から考
えた、本発明の光起電力素子におけるi型層の水素含有
量の望ましい変化パターンの例を説明する。
【0048】図6−aでは前述したようにp型層側で水
素含有量を急激に変化させ、含有量の最小値がバルク内
部のp型層側にある例である。この場合、バンドギャッ
プは図6−dのようになり、p型層側から光を入射させ
ると、前記p型層とi型層の界面近傍の高電界及びn型
層とi型層の界面近傍の高電界をさらに有効に利用する
ことができ、i型層中で光励起された電子と正孔の収集
効率を向上させることができる。
【0049】またnip型の光起電力素子でn型層側か
ら光を入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対
して逆にすればよい。またi型層のバンドキャップが小
さい場合、特に効果がある。またp/i界面がヘテロ接
合の場合、特に効果がある。図6−bではp型層側から
n型層側に水素含有量をゆっくりと変化させ、含有量の
最小値がp型層との界面にある例である。この場合、バ
ンドギャップは図6−eのようになり、i型層の全領域
にわたって価電子帯の電界を大きくすることができ、特
に正孔に対するキャリアレンジを向上させることがで
き、フィルファクターを改善することができる。またn
ip型光起電力素子でn型層側から光を入射させる場合
には変化パターンを層厚方向に対して逆にすればよい。
またi型層のバンドギャップが小さい場合、特に効果が
ある。
【0050】図6−cではi型層のp型層側およびn型
層側で水素含有量が急激に変化している例である。この
場合、バンドギャップは図6−fのようになり、i型層
のp型層側で伝導帯の電界を強くすることができ、特に
電子のp型層への逆拡散を抑制することができる。また
i型槽とn型層側で価電子帯の電界を強くすることがで
き、特に正孔のn型層への逆拡散を抑制することができ
る。またバンドギャップの大きなi型層を有する光起電
力素子に対して特に効果がある。すなわち図6−cにお
いてp型層側から光を入射した場合、バンドギャップの
大きなi型層では光を充分吸収しきれず、i型層とn型
層の界面近傍での光励起キャヤリアーは再結合すること
なく、この界面近傍での強い電界によって分離され、収
集効率を上げることができる。またさらに光反射層を有
する光起電力素子に対して効果がある。すなわち光反射
層を有する光起電力素子においては、両方の層から光が
入射されるために同様に収集効率を上げることができ
る。またp/i界面、n/i界面がヘテロ接合からなる
場合において特に効果がある。また光起電力素子を振動
が大きい環境に置く場合に特に効果がある。
【0051】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対して水素含有量を変化させることはR
Fドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−i
層にも適用できるものである。本発明の光起電力素子の
i型層、MWドーピング層、RFドーピング層、RF−
i層にフッ素を含有させることによって、光起電力素子
を長期間、高温度の環境に置いた場合の光劣化、振動劣
化を抑制できるものである。さらに加えて、光起電力素
子を長期間、高湿度の環境に置いた場合の光劣化、振動
劣化を抑制できるものである。さらに加えて、光起電力
素子を長期間、高温度、高湿度の環境に置いた場合の光
劣化、振動劣化を抑制できるものである。
【0052】そのメカニズムの詳細は不明であるが、フ
ッ素原子の電気陰制度が非常に大きく、フッ素原子とシ
リコン原子の結合エネルギーは大きいものである。それ
ゆえ、熱的、機械的に安定で、且つ化学的にも安定な半
導体層が得られるものと考えられる。またフッ素は水素
と同様、半導体層の未結合手をターミネートすることが
できるため、欠陥準位を減少させることができる。さら
には原子半径が水素と同様に非常に小さいため、半導体
層の中に含有させた場合にも、構造的な歪を誘起するこ
とがない。
【0053】本発明においては、フッ素含有量は半導体
層の界面近傍において少なくするのがよい。後述する
が、本発明の光起電力素子では半導体層の界面近傍に
は、水素を多く含有させ構造的な歪を緩和させる。半導
体層のパッキング・デンシティーを高く保つため、水素
含有量を多くした界面近傍では逆にフッ素含有量は少な
くすることが望ましいと考えられる。そうすることによ
って半導体中において水素とフッ素の結合、あるいは相
互間距離が狭まることによって誘起される準位を減少さ
せることができる。
【0054】またドーピング層にフッ素を含有させるこ
とによってドーピング効率を向上させることができ、さ
らに光の透過性も向上させることができる、従って光電
変換効率を向上させることができる。またドーピング層
にフッ素を含有させることによって比較的低電圧で微結
晶シリコン系半導体材料を得ることができるため、下地
層に悪影響を及ぼすことなく、微結晶シリコン系半導体
材料からなるドーピング層を形成することができ、界面
準位を低減できるものである。従って光電変換効率を向
上させることができる。
【0055】本発明の光起電力素子では、MWドーピン
グ層をMWPCVD法で形成するため、特に良質なドー
ピング層が得られる。また本発明の光起電力素子ではフ
ッ素を含有するドーピング層を積層構造にしているた
め、フッ素を含有させたことによる効果(高温度、高湿
度環境での光劣化、振動劣化の抑制)をより一層発揮さ
せることができる。またさらには光起電力素子を上記の
ような環境に置いた場合にも半導体層が剥離しないもの
である。
【0056】以下、図面を参照にしながら、本発明の光
起電力素子におけるi型層のフッ素含有量の望ましい変
化パターンの例を説明する。図3−aではp型層側でフ
ッ素含有量を急激に変化させ、含有量の最大値がバルク
内部のp型層側にある例である。この場合、層厚方向に
対する水素含有量の変化パターンは図6−aのものが望
ましい。またnip型の光起電力素子でn型層側から光
を入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対して
逆にすればよい。またp/i界面がヘテロ接合からなる
場合、特に効果がある。
【0057】図3−bではp型層側からn型層側にゆっ
くりと変化させ、フッ素含有量の最大値がp型層との界
面にある例である。この場合、層厚方向に対する水素含
有量の変化パターンは図6−bのものが望ましい。また
nip型の光起電力素子でn型層側から光を入射する場
合、変化パターンを層厚方向に対して逆にすればよい。
図3−cではi型層のp型層側およびn型層側でフッ
素含有量が急激に変化している例である。この場合、層
厚方向に対する水素含有量の変化パターンは図6−cの
ものが望ましい。p/i界面、n/i界面がヘテロ接合
からなる場合、特に効果がある。
【0058】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対してフッ素含有量を変化させることは
RFドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−
i層にも適用できるものである。また本発明の光起電力
素子において、i型層の価電子帯のテイルステイトの傾
きは、光起電力素子の特性を左右する重要な因子であっ
て、バンドギャップの最小のところのテイルステイトの
傾きからバンドギャップ最大のところのテイルステイト
の傾きまでなめらかに連続していることが好ましいもの
である。
【0059】本発明の光起電力素子においてはRFドー
ピング層とi型層の間に、RFPCVD法で形成された
i型層(RF−i層)を設けることによって、さらに光
電変換効率を向上できるものである。また価電子制御剤
をi型層の内部よりも多く含有させることによって、光
起電力素子の開放電圧及びフィルファクターを向上させ
ることができる。
【0060】例えば、図1−dのおいては図1−aのR
Fp型層とi型層の間にRF−i層を設けたものであ
る。また、図1−eにおいては図1−aのRFn型層と
i型層の間にRF−i層を設けたものである。また、図
1−fにおいては図1−aのRFn型層とi型層の間、
及びRFp型層とi型層の間にRF−i層を設けたもの
である。
【0061】RF−i層は気相反応が起こりにくい低パ
ワーで形成し、堆積速度を1nm/sec以下とするの
がよい。その結果RF−i層のパッキング・デンシティ
ーが高くなり、且つ該RF−i層をi型層と積層した場
合に、i型層の界面準位、ドーピング層の界面準位が少
なくなるものである。特にi型層の堆積速度が5nm/
sec以上の堆積速度で堆積した場合において、マイク
ロ波によってグロー放電を開始した直後、あるいは停止
した直後に、i型層の表面近傍は充分に緩和していない
ために界面準位が非常に多くなっている。RF−i層の
上にi型層を形成することによって、マイクロ波によっ
てグロー放電を開始した直後のi型層は下地の影響を受
け、パッキング・デンシティーが高く、ダングリングボ
ンドが少ない層になり、表面準位が減少するものと考え
られる。
【0062】また、i型層の表面にRF−i層を形成す
ることによって、i型層の表面準位を、RF−i層の形
成と同時に起こる水素原子の拡散によるアニーリングに
よって減少させることができると考えられる。またRF
−i層内部にドナーとなる価電子制御剤とアクセプター
となる価電子制御剤をともに含有させることによって光
劣化を抑制することができる。そのメカニズムの詳細は
不明であるが、本発明の場合、RF−i層内にドナーと
なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤の
両方が含有され、それらは100%活性化していない。
その結果、光照射によって未結合手が生成したとして
も、それらが活性化していない価電子制御剤と反応して
未結合手を補償するものと考えられる。加えて本発明の
光起電力素子は、長時間振動下に置いても光電変換効率
が低下しにくいものである。この詳細なメカニズムは不
明であるが、構成元素比が非常に異なる界面近傍におい
て、水素原子を多く含有させることによって界面近傍に
多く存在する内部応力を緩和でき、欠陥準位の発生を防
止することができるものと考えられる。さらに該界面近
傍に多く含有されるドナーとなる価電子制御剤とアクセ
プターとなる価電子制御剤は100%活性化しておら
ず、振動によって結合が切れたとしても活性化していな
い価電子制御剤によって未結合手を補償するものであ
る。
【0063】また、本発明において、i型層または/及
びRF−i層にスズ(Sn)を含有させて、該層を非晶
質シリコン・スズ(a−SiSn)で構成してもよい。
Sn原子はシリコン (Si)原子と共有結合し、バン
ドギャップの小さい非晶質シリコン系半導体材料を得る
ことができ、非晶質シリコン・ゲルマニウム(a−Si
Ge)のGe原子含有量と比較して少ないSn含有量で
同じバンドギャップを得ることができる。従ってa−S
iSnの方がa−SiGeと比較して構造の乱れを少な
くしてバンドギャップの狭い半導体を形成することがで
きるものと考えられる。また更にSn原子はGe原子と
比較して共有結合半径は大きいものの、より金属的性質
であるためSi原子と合金を形成した場合に構造的な歪
を減少させることができるものと考えられる。
【0064】本発明に適したa−SiSnのバンドギャ
ップは1.30〜1.65eVであり、Sn含有量とし
ては0.1〜30%が好ましいものである。また水素含
有量は0.1〜30%が好ましい範囲であり、Snに結
合している水素の割合は1〜40%が好ましいものであ
る。また本発明に適したa−SiSnの構造は、マイク
ロボイドを含有し、該マイクロボイドの半径とマイクロ
ボイドの数との関係がフラクタル的な関係になるように
分布しているものである。マイクロボイドの堆積での割
合は0.5〜3%が好ましいものである。このようにマ
イクロボイドが分布することによって、まだ理由ははっ
きりわからないが、a−SiGeに比較して光劣化を抑
制することができるものである。
【0065】また、i型層、RF−i層、MWドーピン
グ層、RFドーピング層の内少なくともひとつの層に酸
素または/及び窒素原子を含有させてもよい。酸素また
は/及び窒素原子をi型層、RF−i層に微量(1%以
下)に含有させることによって光起電力素子の振動劣化
を抑制することができる。その詳細なメカニズムは不明
であるが、微量に含有させることによってi型層、RF
−i層の内部応力を緩和できるものと考えられる。さら
にはRF−i層に含有させることによって、電子または
正孔の逆拡散を防止することができ、光起電力素子の光
電変換効率を向上することができる。またMWドーピン
グ層、RFドーピング層にに微量(1%以下)に含有さ
せることによって層内部の応力を緩和でき、振動劣化を
抑制することができる。
【0066】酸素または/及び窒素原子の含有量は、層
厚方向に変化しているものが好ましく、更に好ましい変
化形態としては一方の界面近傍で含有量が多くなってい
るものである。以上pin構造の光起電力素子について
説明したが、pinpin構造やpinpinpin構
造等のpin構造を積層した光起電力素子、あるいはn
ipnip構造やnipnipnip構造等のnip構
造を積層した光起電力素子、についても適用できるもの
である。
【0067】このような積層型光起電力素子の場合、n
p接合部(pn接合部)でMWPCVD法で形成した層
が連続しないように、RFn型層/MWn型層/RFp
型層/MWp型層/RFp型層あるいはRFn型層/M
Wn型層/RFn型層/RFp型層/MWp型層/RF
p型層、といった構造の接合を形成することが望まし
い。
【0068】図4は本発明の光起電力素子の非単結晶シ
リコン系半導体材料からなる半導体層を形成するのに適
した堆積装置の模式的説明図である。該堆積装置400
は堆積室401、真空計402、RF電源403、基板
404、ヒーター405、導波管406、コンダクタン
スバルブ407、補助バルブ408、リークバルブ40
9、バイアス電極410、ガス導入管411、アプリケ
ーター412、誘電体窓413、スパッタ電源414、
シャッター415、ターゲット416、ターゲットシャ
ッター417、さらに不図示のマイクロ波電源、真空排
気ポンプ、原料ガス供給装置などから構成される。不図
示の原料ガス供給装置は原料ガスボンベ、バルブ、マス
フローコントローラから構成される。
【0069】本発明の光起電力素子の作製は以下のよう
に行われるものである。まず図4の堆積室401内に設
置されたヒーター405に基板404を密着させ、堆積
室内を10-5Torr以下に充分に排気する。この排気
にはターボ分子ポンプ、あるいはオイル拡散ポンプが適
している。堆積室内の排気を充分に行った後、H2 、H
e、Ar等のガスを半導体層形成用の原料ガスを流した
ときとほぼ同等の堆積室圧力になるように堆積室内に導
入し、ヒーター405のスイッチを入れ基板を100〜
500℃に加熱する。基板の温度が所定の温度で安定し
たら半導体層形成用の原料ガスをガスボンベからマスフ
ローコントローラーを介して所定の量を堆積室に導入す
る。堆積室内へ導入される半導体層形成用の原料ガスの
供給量は、堆積室の体積および所望の堆積速度によって
適宜決定されるものである。
【0070】半導体層をMWPCVD法で形成する場
合、半導体層形成中の圧力は、非常に重要な因子であ
り、最適な堆積室内の圧力は0.5〜50mtorrが
である。また堆積室内に導入されるMW電力は、重
要な因子である。該MW電力は堆積室内に導入される原
料ガスの流量によって適宜決定されるものであるが、好
ましい範囲としては、0.005〜1W/cm3であ
る。MW電力の好ましい周波数の範囲としては0.5〜
10GHzが挙げられる。とくに2.45GHz付近の
周波数が適している。また再現性のある半導体層を形成
するため及び数時間から数十時間にわたって安定なグロ
ー放電を維持するためにはMW電力の周波数の安定性が
非常に重要である。周波数の変動が±2%以内の範囲で
あることが好ましいものである。さらにマイクロ波のリ
ップルも±2%以下が好ましい範囲である。このような
不図示のマイクロ波電源から発生したMW電力を導波管
406で伝送させ、アプリケーター412から誘電体窓
413を介して堆積室に導入する。このような状態で所
望の時間原料ガスを分解し、前記基板上に所望の層厚の
半導体層を形成する。その後MW電力の導入を止め、堆
積室内を排気し、H2、He、Ar等のガスで充分パー
ジした後、基板を堆積室から取り出す。また前記誘電体
窓はアルミナセラミックス、石英、窒化ホウ素などのマ
イクロ波をよく透過する材料から構成される。
【0071】半導体層にアルカリ土類金属を含有させる
方法としては、図4に示すように、堆積室内にスパッタ
リング用のターゲット416を密着させたターゲット電
極409を設置し、ターゲット電極にはターゲット電源
414を接続する。そしてi型層形成の際、ターゲット
電極にDC電圧あるいはRF電力を印加することによ
り、アルカリ土類金属の化合物からなるターゲットをス
パッタリングし、i型層に所望のアルカリ土類金属を含
有させるものである。該アルカリ土類金属の化合物から
なるターゲットが導電性の場合にはターゲット電極にD
C電圧あるいはRF電力を印加し、非導電性の場合には
RF電力を印加する。
【0072】半導体層にアルカリ土類金属を含有させる
別の方法としては、図4の堆積室内部からターゲット、
ターゲット電極を取り去り、ガス導入管より、アルカリ
土類金属元素を含有するガスを堆積室内に導入し、上記
のMWPCVD法でi型層に含有させることもできる。
本発明の光起電力素子のi型層を形成する際、MW電力
とともにRF電力を堆積室内に導入してもよい。この場
合、導入するMW電力は堆積室に導入する原料ガスを1
00%分解するのに必要なMW電力よりも小さいことが
望ましく、さらに同時に導入されるRF電力の好ましい
範囲としては、0.01〜2W/cm3である。RF電
力の好ましい範囲としては1〜100MHzが挙げられ
る。とくに13.56MHzが最適である。またRF周
波数の変動は±2%以内で波形はなめらかな波形が好ま
しいものである。RF電力供給用のRF電極の面積とア
ースの面積との面積比によって適宜選択されるものでは
あるが、特にRF電力供給用のRF電極の面積がアース
の面積よりも狭い場合には、RF電力供給用の電源側の
セルフバイアス(DC成分)をアースした方が良いもの
である。またバイアス電極にDC電圧を印加しても良
い。DC電圧の好ましい範囲としては、30から300
V程度である。またバイアス電極にRF電力とDC電力
を同時に印加しても良い。
【0073】上に述べたi型層の好ましい堆積方法の堆
積メガニズムの詳細は不明であるが、次のように考えら
れる。原料ガスを100%分解するに必要なMW電力よ
り低いMW電力を前記原料ガスに作用させ、MW電力よ
り高いRF電力をMW電力と同時に前記原料ガスに作用
させることによって、半導体層を形成するのに適した活
性種を選択できるものと考えられる。さらに原料ガスを
分解するときの堆積室内の圧力が50mTorr以下の
状態では、良質な半導体層を形成するのに適した活性種
の平均自由工程が充分に長いために気相反応が極力抑え
られると考えられる。そしてまた堆積室内の圧力が50
mTorr以下の状態ではRF電力は、原料ガスの分解
にほとんど影響を与えず、堆積室内のプラズマと基板の
間の電位を制御しているものと考えられる。
【0074】即ちMWPCVD法の場合、プラズマと基
板の間の電位差は小さいが、RF電力をMW電力と同時
に導入することによってプラズマと基板の間の電位差
(プラズマ側が+で、基板側が−)を大きくすることが
できる。このようにプラズマ電位が基板に対してプラス
で高いことによって、MW電力で分解した活性種が基板
上に堆積し、同時にプラズマ電位で加速された+イオン
が基板上に衝突し基板表面での緩和反応が促進され良質
な半導体層が得られるものと考えられる。そして堆積速
度が5nm/sec以上のときに特に効果がある。
【0075】さらにRFはDCと違って周波数が高いた
め電離したイオンと電子の分布によってプラズマの電位
と基板の電位の差が決まってくる。すなわちイオンと電
子のシナジティクによって基板とプラズマの電位差が決
まってくるものである。従って堆積室内でスパークが起
こりにくいという効果がある。その結果安定したグロー
放電を10時間以上に及び長時間維持することができる
ものである。
【0076】通常のRFPCVD法ではフッ素を含有す
る原料ガス(例えばSiF4ガス、GeF4ガス、CF4
ガス等)の分解エネルギーは水素を含有する原料ガス
(例えばSiH4ガス、GeH4ガス、CH4ガス等)の
分解エネルギーの約10程度必要である。従って、多大
なエネルギーをグロー放電に印加するため、下地の半導
体層に悪影響を及ぼす可能性があるが、MWPCVD法
ではもともと印加する電磁波の周波数が高いために低電
力でフッ素を含有する原料ガスを分解することができ、
フッ素を含有する半導体層の形成手段として有効であ
る。さらにはフッ素を含有する原料ガスのラジカルは比
較的寿命が長いため、MWPCVD法ではさらに平均自
由工程を長くすることができるため、堆積速度を減少さ
せることなく、放電空間と基板表面を容易に分離するこ
とができる。さらにはMWPCVD法でフッ素を含有す
る原料ガスを用いると放電の安定性が向上し、グロー放
電を20時間以上に及ぶ長時間維持することができるも
のである。
【0077】半導体層に含有されるアルカリ土類金属含
有量を層厚方向に変化させる方法としては、アルカリ土
類金属含有量を多くしたいところでターゲット電極に印
加するRF電力を大きくし、アルカリ土類金属含有量を
少なくしたいところでターゲット電極に印加するRF電
力を小さくすれば良い。更に、DC電力を印加する場合
においては、アルカリ土類金属の含有量を多くしたいと
ころでターゲット電極に印加するDC電圧を負極性で大
きな電圧を印加すれば良く、アルカリ土類金属含有量を
少なくしたいときには、ターゲット電極に印加するDC
電圧を負極性で小さな電圧を印加すれば良い。
【0078】半導体層にアルカリ土類金属を含有させな
い場合にはターゲットシャッターを閉じればよい。また
MWPCVD法、RFPCVD法でアルカリ土類金属を
含有させる場合には、アルカリ土類金属を含有するガス
の流量を時間的に変化させればよい。半導体層に含有さ
れる水素含有量を層厚方向に変化させる方法としては、
水素含有量を多くしたいところでバイアス電極に付加す
るRF電力を大きくし、水素含有量を少なくしたいとこ
ろでバイアス電極に付加するRF電力を小さくすれば良
い。詳細なメカニズムに関しては依然、不明であるが、
バイアス電極に付加するRF電力を増やすと、プラズマ
電位が上昇し、水素イオンが基板に向かって、より加速
されるために半導体層により多くの水素が含有されるも
のと考えられる。 更に、RF電力と同時にDC電力を
印加する場合においては、水素の含有量を多くしたいと
ころでバイアス電極に付加するDC電圧を+極性で大き
な電圧を印加すれば良く、水素含有量を少なくしたいと
きには、バイアス電極に付加するDC電圧を+極性で小
さな電圧を印加すれば良い。詳細なメカニズムに関して
は依然、不明であるが、バイアス電極に付加するRF電
力を増やすと、プラズマ電位が上昇し、水素イオンが基
板に向かって、より加速されるためにi型層中により多
くの水素が含有されるものと考えられる。
【0079】また更に、半導体層に含有される水素含有
量を層厚方向に変化させるさらに別な方法としては、堆
積室内にハロゲンランプ、あるいはキセノンランプを設
け、半導体層形成中にこれらのランプをフラッシュさ
せ、基板温度を一時的に上昇させるのである。その際、
水素含有量を少なくしたいところでは、単位時間当たり
のフラッシュ回数を増し、基板温度を一時的に上昇さ
せ、水素含有量を多くしたいところでは、単位時間当た
りのフラッシュ回数を少なくすることによって、基板温
度を一時的に下げれば良い。基板温度を一時的に上げる
ことによって、半導体層表面からの水素の脱離反応が活
性化されるものと考えられる。
【0080】半導体層に含有させる水素含有量を層厚方
向に変化させる別の方法としては、半導体層形成時にフ
ッ素を含有する原料ガスと水素を含有する原料ガスを導
入し、それぞれの原料ガスの流量を時間変化させればよ
い。水素を多く含有させたいところではフッ素を含有す
る原料ガスを少なく流し、水素を少なく含有させたいと
ころではフッ素を含有する原料ガスを多く流せばよい。
【0081】半導体層に含有されるフッ素含有量を層厚
方向に変化させる方法としては、半導体層形成時にフッ
素を含有するガスの流量を時間変化させればよい。フッ
素を多く含有させたいところではフッ素を含有するガス
を多く流し、フッ素を少なく含有させたいところではフ
ッ素を含有するガスを少なく流せばよい。またフッ素含
有量を層厚方向に変化させる別の方法としては、半導体
層形成時に水素を含有するガスの流量を時間変化させれ
ばよい。フッ素を多く含有させたいところでは水素を含
有するガスを少なく流し、フッ素を少なく含有させたい
ところでは水素を含有するガスを多く流せばよい。これ
は半導体層表面に結合しているフッ素と水素を含有する
ラジカルが反応し、半導体層からフッ素を引き抜き、半
導体層中に取り込まれるフッ素が相対的に減少すること
によるものと考えられる。
【0082】半導体層をRFPCVD法で堆積する場
合、容量結合型のRFPCVD法が適している。RFP
CVD法でドーピング層、RF−i層を形成する場合、
堆積室内の基板温度は100〜500℃、圧力は0.1
〜10torr、RF電力は0.01〜5.0W/cm
2 、堆積速度は0.1〜2nm/secが最適条件とし
て挙げられる。長時間におよぶRFグロー放電を維持す
るためにはRF電源の周波数変動、およびリップルはそ
れぞれ2%以内のものが望ましい。
【0083】また米国特許4,400,409号特許明
細書にはロール・ツー・ロール(Roll to Ro
ll)方式を採用した、半導体層を連続的に形成するプ
ラズマCVD装置が開示されている。本発明の光起電力
素子の半導体層はこのような装置を用いて連続的に製造
することが望ましい。この装置によれば、複数の堆積室
を設け、長尺、且つ可とう性の基板を該基板が堆積室を
順次通過する経路に沿って配置し、前記堆積室にて所望
の導電型を有する半導体層を形成しつつ、前記基板をそ
の長手方向に連続的に搬送することによって、pin接
合を有する光起電力素子を連続的に製造することができ
るとされている。
【0084】なお、該明細書においては、半導体層に各
価電子制御剤を含有させるための原料ガスが他の堆積室
に拡散し、他の半導体層中に混入することを防止するた
めに、ガスゲートが用いられている。具体的には前記堆
積室の間をスリット状の分離通路によって相互に分離
し、さらに各分離通にAr、H2 、He等の掃気用ガス
を流入させ、各原料ガスの相互拡散を防止している。
【0085】本発明に用いられるアルカリ土類金属は、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウムであり、好適にはイオン半径の小さいベリ
リウム、マグネシウム、カルシウムが用いられる。上記
の半導体層形成方法において、アルカリ土類金属をスパ
ッタリングして半導体層中に含有させる場合、ターゲッ
トの材料としては以下の金属、化合物、またはこれらの
混合物が適している。 またMWPCVD法、RFPCVD法でアルカリ土類金
属を半導体層中に含有させる場合、アルカリ土類金属含
有の原料ガスとしては、以下の化合物が適している。
【0086】ガス化するためには、室温で液体のものは
化合物を液体ボンベに封入し、He、Ar等の不活性ガ
スでバブリングすることにより得られ、室温で固体のも
のは化合物を液体ボンベに封入し、該液体ボンベを加熱
し、該化合物を融解し、He、Ar等不活性ガスでバブ
リングすることにより得られる。半導体層中にベリリウ
ムを含有させるための化合物としては、Be(NO3
2 ・3H2 O、Be(CH3 2 、Be(C
2 5 2 、Be(C3 7 2 、Be(C4 9 2
等が挙げられる。
【0087】半導体層中にマグネシウムを含有させるた
めの化合物としては、Mg(NO32 ・6H2 O、M
g(CH3 COO)2 、MgSO4 ・7H2 O等が挙げ
られる。 半導体層中にカルシウムを含有させるための
化合物としては、Ca(ClO32 ・2H2 O、Ca
Br2 ・6H2 O、CaI・6H2 O、Ca(NO3
2 ・4H2 O等が挙げられる。
【0088】半導体層中にストロンチウムを含有させる
ための化合物としては、SrCl2・6H2 O等が挙げ
られる。半導体層中にバリウムを含有させるための化合
物としては、Ba(OH)2 ・8H2 O等が挙げられ
る。また上記のMWPCVD法、RFPCVD法で半導
体層を形成する方法において、原料ガスとしては以下の
ガスまたはバブリングでガス化し得る化合物が適してい
る。
【0089】半導体層中にシリコン原子を含有させるた
めの原料ガスとしては、SiH4 (Hは重水素Dを含
む)、SiX4 (X:ハロゲン原子)、SiXn4-n
(nは整数)、Si2 n 6-n 、等が挙げられる。総
称して「原料ガス(Si)」とする。特にSiH4 、S
iD4 、Si2 6 が適している。半導体層中にフッ素
原子を含有させるための原料ガスとしては、F2 、Si
4 、Si2 6 、GeF4 、CF4 、C2 6 、C2
ClF5 、CClF3 、CHF3 、C3 8 、NF3
PF5 、BF3 、SF4 等が挙げられる。総称して「原
料ガス(F)」とする。特にSiF4 、GeF4 、PF
5 、BF3 が適している。 半導体層中に炭素原子を含
有させるための原料ガスとしては、CH4 、(Hは重水
素Dを含む)、Cn 2n+2(nは整数)、Cn 2n、C
4 (Xはハロゲン原子)、Cn 2n+2、Cn 2n、C
2 2 、C6 6 等が挙げられる。総称して 「原料ガ
ス(C)」とする。特にCH4 、CD4 、C2 2 が適
している。
【0090】半導体層中にゲルマニウム原子を含有させ
るための原料ガスとしては、GeH 4 、(Hは重水素D
を含む)、Gen 2n+2、GeX4 (Xはハロゲン原
子)、等が挙げられる。総称して「原料ガス(Ge)」
とする。特にGeH4 、GeD 4 が適している。半導体
層中にスズ原子を含有させるための原料ガスとしては、
SnH4 、(Hは重水素Dを含む)、Snn 2n+2、S
nX4 (Xはハロゲン原子)、SnR4(R:アルキル
基)、SnXn 4-n 等が挙げられる。総称して「原料
ガス(Sn)」とする。特にSnH4 、SnD4 、Sn
(CH3 4 が適している。
【0091】半導体層の導電型をp型にするために導入
される価電子制御剤としては、周期律表第III族原子
(B、Al、Ga、In、Tl)が挙げられ、導電型を
n型にするために導入される価電子制御剤としては周期
律表第V族原子(P、As、Sb、Bi)、第VI族原
子(S、Se、Te)が挙げられる。半導体層中に周期
律表第III族原子を導入するための原料ガスとしては
26 、B4 10、B5 9 、BF3 、B(CH3
3 、B(C2 5 3 、BCl3 、AlCl3 、Al
(CH3 3 、GaCl3 、InCl3 、TlCl3
を挙げることができる。総称して「原料ガス(II
I)」とする。特にB2 6、B(CH3 3 、B(C
2 5 3 、Al(CH3 3 が適している。
【0092】半導体層中に周期律表第V族原子を導入す
るための原料ガスとしては、PH3、P2 4 、PH4
I、PF3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3
PBr5 、PI3 、AsH3 、AsF3 、AsCl3
AsBr3 、AsF5 、SbH3 、SbF3 、Sb
5 、SbCl3 、SbCl5、BiH3、BiCl3
BiBr3 等を挙げることができる。総称して「原料ガ
ス(V)」とする。特にPH3 、AsH3 、が適してい
る。
【0093】半導体層中に周期律表第VI族原子を導入
するための原料ガスとしては、H2S、SF4、SF6
CS2 、H2 Se、SeF6 、TeH2 、TeF6
(CH3 2Te、(C2 5 2 Te等が挙げられる。
総称して「原料ガス(VI)」とする。特にH2 S、
(C2 5 2 Teが適している。半導体層中に酸素原
子を含有させるための原料ガスとしては、O2 、C
2 、CO、NO、NO2 、N2 O、H2 O、CH3
2 OH、CH3 OH等が挙げられる。総称して「原料
ガス(O)」とする。特にO2 、NOが適している。
【0094】半導体層中に窒素原子を含有させるための
原料ガスとしては、N2 、NO、NO2 、N2 O、NH
3 等が挙げられる。総称して「原料ガス(N)」とす
る。特にN2 、NH3 が適している。またこれらの原料
ガスをH2 、D2 、He、Ar等のガスで適宜希釈して
堆積室に導入しても良い。
【0095】つぎに、本発明の光起電力素子の構成を詳
細説明する。基板 基板は、導電性材料単体で構成されたものでもよく、絶
縁性材料または導電性材料で構成された支持体上に導電
層を形成したものであっても良い。 導電性材料として
は、例えば、NiCr、ステンレス、Al、Cr、M
o、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、Sn等
の金属またはこれらの合金が挙げられる。
【0096】これらの材料を支持体として使用するには
シート状、あるいは長尺状のシートを円筒体に巻き付け
たロール状であることが望ましい。絶縁性材料として
は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、
セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド等
の合成樹脂、またはガラス、セラミックス、紙などが挙
げられる。これらの材料を支持体として使用するにはシ
ート状、あるいは長尺状のシートを円筒体に巻き付けた
ロール状であることが望ましい。これらの絶縁性支持体
は少なくともその一方の表面に導電層を形成し、該導電
層を形成した表面上に本発明の半導体層を形成する。
【0097】例えばガラスであれば表面上に、NiC
r、Al、Ag、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、
Ti、Pt、Pb、In23、ITO(In23+Sn
2)、ZnO等の材料またはその合金からなる導電層
を形成し、ポリエステルフィルム等の合成樹脂シートで
あれば表面上にNiCr、Al、Ag、Pb、Zn、N
i、Au、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Ti、
Pt等の材料またはその合金からなる導電層を形成し、
ステンレスであればNiCr、Al、Ag、Cr、M
o、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、In2
3 、ITO(In 2 3 +SnO2 )、ZnO等の材
料またはその合金からなる導電層形成する。
【0098】形成方法としては真空蒸着法、スパッタリ
ング法、スクリーン印刷法等が挙げられる。支持体の表
面形状は平滑あるいは山の高さが最大300〜1000
nmの凹凸であることが望ましい。基板の厚さは所望通
りの光起電力素子を形成し得るように適宜決定するが光
起電力素子としての柔軟性が要求される場合には、支持
体としての機能が十分発揮される範囲で可能な限り薄く
することができる。しかしながら、支持体の製造上及び
取扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上と
される。
【0099】本発明の光起電力素子における望ましい基
板形態としては、上記支持体上にAg、Al、Cu、A
lSi等の可視光から近赤外で反射率の高い金属からな
る導電層(光反射層)を形成することである。光反射層
は真空蒸着法、スパッタリング法等で形成するのが適し
ている。光反射層としてのこれらの金属の層厚としては
10nmから5000nmが適した層厚として挙げられ
る。光反射層の表面をテクスチャー化するためには形成
時の基板温度を200℃以上とすれば良い。
【0100】本発明の光起電力素子におけるさらに望ま
しい基板形態としては、光反射層上にZnO、Sn
2 、In2 3 、ITO、TiO2 、CdO、Cd2
SnO4、Bi2 3 、MoO3 、NaX WO3 等から
なる導電層(反射増加層)を形成することである。光反
射増加層の堆積方法としては、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、スプレー法、スピンオン法、ディッピング法等
が適した方法として挙げられる。また反射増加層の層厚
としては、前記反射増加層の材料の屈折率により最適な
層厚は異なるが、好ましい層厚の範囲としては50nm
〜10μmが挙げられる。さらに反射増加層をテクスチ
ャー化するためには、該反射増加層を形成する際の基板
温度を200℃以上に上げるのが好ましいものである。MWドーピング層(MWp型層、MWn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0101】MWドーピング層は非晶質シリコン系半導
体材料、または微結晶シリコン系半導体材料、または多
結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶質(a
−と略記する)シリコン系半導体材料としてはa−S
i、a−SiC、a−SiGe、a−SiGeC、a−
SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCON等
が挙げられる。 微結晶(μc−と略記する)シリコン
系半導体材料としてはμc−Si、μc−SiC、μc
−SiGe、μc−SiO、μc−SiGeC、μc−
SiN、μc−SiON、μc−SiCON等が挙げら
れる。多結晶(poly−と略記する)シリコン系半導
体材料としてはpoly−Si、poly−SiC、p
oly−SiGe等が挙げられる。
【0102】特に光入射側のMWドーピング層には、光
吸収の少ない結晶性の半導体材料かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。具体的にはa−Si
C、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−Si
CON、μc−Si、μc−SiC、μc−SiO、μ
c−SiON、μc−SiCON、poly−Si、p
oly−SiCが適している。
【0103】導電型をp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、1000ppm〜10
%が好ましい範囲として挙げられ、さらに少なくとも一
方の界面で含有量が多くなっていることが望ましい。ま
た含有される水素(H、D)及びフッ素は未結合手を保
証する働きをし、ドーピング効率を向上させるものであ
る。水素およびフッ素含有量は0.1〜30at%が最
適量として挙げられる。特にMWドーピング層が結晶性
の場合、0.01〜10at%が最適量として挙げられ
る。さらに界面側で水素含有量が多くなっているものが
好ましい分布形態として挙げられ、該界面近傍での水素
含有量はバルク内の含有量の1.1〜3倍の範囲が好ま
しい範囲として挙げられる。また、界面側でフッ素含有
量が少なくなっているものが好ましい分布形態として挙
げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範囲が好ましい
範囲として挙げられる。
【0104】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。る電気特性としては活性化エネル
ギーが0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以
下のものが最適である。また比抵抗としては100Ωc
m以下が好ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに
層厚は1〜50nmが好ましく、3〜30nmが最適で
ある。
【0105】前述した光吸収の少ない結晶性の半導体材
料か、バンドギャップの広い非晶質半導体層を形成する
場合は、H2 、D2 、He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いMW電力を導入するのが好
ましい。RFドーピング層(RFp型層、RFn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。RFドーピング層は非晶質シリコン系半導体材料、
または微結晶シリコン系半導体材料、または多結晶シリ
コン系半導体材料から構成される。非晶質シリコン系半
導体材料としては、a−Si、a−SiC、a−SiG
e、a−SiGeC、a−SiO、a−SiN、a−S
iON、a−SiCON等が上げられる。
【0106】微結晶シリコン系半導体材料としては、μ
c−Si、μc−SiC、μc−SiGe、μc−Si
O、μc−SiGeC、μc−SiN、μc−SiO
N、μc−SiOCN、等が挙げられる。多結晶シリコ
ン系半導体材料としては、poly−Si、poly−
SiC、poly−SiGe等が挙げられる。特に光入
射側のRFドーピング層には、光吸収の少ない結晶性の
半導体材料かバンドギャップの広い非晶質半導体層が適
している。具体的にはa−SiC、a−SiO、a−S
iN、a−SiON、a−SiCON、μc−Si、μ
c−SiC、μc−SiO、μc−SiN、μc−Si
ON、μc−SiOCN、poly−Si、poly−
SiCが適している。
【0107】導電型をp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、800ppm〜8%が
好ましい範囲として挙げられ、MWドーピング層の導入
量よりも少ないことが望ましい。さらに少なくとも一方
の界面で含有量が多くなっていることが望ましい。また
含有される水素(H、D)及びフッ素は未結合手を補償
する働きをし、ドーピング効率を向上させるものであ
る。
【0108】水素及びフッ素含有量は0.1〜25at
%が最適量として挙げられる。特にRFドーピング層が
結晶性の場合、0.01〜10at%が最適量として挙
げられる。さらに界面側で水素含有量が多くなっている
ものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面近傍で
の水素含有量はバルク内の1.1〜3倍の範囲が好まし
い範囲として挙げられる。また、界面側でフッ素含有量
が少なくなっているものが好ましい分布形態として挙げ
られ、バルク内の0.3〜0.9倍の範囲が好ましい範
囲として挙げられる。酸素、窒素原子の導入量は0.1
ppm〜20%、微量に含有させる場合には0.1pp
m〜1%が好適な範囲である。
【0109】電気特性としては、活性化エネルギーが
0.2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のも
のが最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下
が好ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに層厚は
1〜50nmが好ましく、5〜20nmが最適である。
前述した光吸収の少ない結晶性の半導体材料か、バンド
ギャップの広い非晶質半導体層を形成する場合はH2
2 、He等のガスで2〜100倍に原料ガスを希釈
し、比較的高いRF電力を導入するのが好ましい。i型層 本発明の光起電力素子において、i型層は光励起キャリ
アを発生輸送する最も重要な層である。i型層としては
僅かにp型、僅かにn型の層も使用でき、水素を含有す
る非晶質シリコン系半導体材料から構成され、例えばa
−Si、a−SiC、a−SiGe、a−SiGeC、
a−SiSn、a−SiSnC、a−SiSnGe、a
−SiSnGeC等が挙げられる。
【0110】本発明の光起電力素子のi型層としては、
シリコンと水素とアルカリ土類金属を含有するものであ
り、水素含有量及びアルカリ土類金属含有量が層厚方向
になめらかに変化してものである。また、望ましい変化
形態としては、ドナーとなる価電子制御剤(周期律表第
V属及び第VI族原子)とアクセプターとなる価電子制
御剤(周期律表第III族原子)をともに含有するもの
であり、上記価電子制御剤がp型層側とn型層側で多く
なっているものがより好ましい。
【0111】またp型の価電子制御剤とn型の価電子制
御剤を互いに補償するように含有させるのが好ましいも
のである。i型層に導入される周期律表第III族原子
及び第V族原子及び第VI族原子の導入量はそれぞれ5
00ppm以下が好ましい範囲として挙げられる。i型
層に含有される水素(H、D)及びフッ素は、i型層の
未結合手を補償する働きをし、i型層でのキャリアーの
移動度と寿命の積を向上させるものである。また界面の
界面準位を補償する働きをし、光起電力素子の光起電
力、光電流そして光応答性を向上させる効果のあるもの
である。i型層の水素及びフッ素含有量は1〜30at
%が最適な含有量として挙げられる。特に、界面側で水
素含有量が多くなっているものが好ましい分布形態とし
て挙げられ、バルク内の1.1〜3倍の範囲が好ましい
範囲として挙げられる。また、界面側でフッ素含有量が
少なくなっているものが好ましい分布形態として挙げら
れ、バルク内の0.3〜0.9倍の範囲が好ましい範囲
として挙げられる。酸素、窒素原子の導入量は0.1p
pm〜1%が好適な範囲である。
【0112】i型層の層厚は、光起電力素子の構造(例
えばシングルセル、タンデムセル、トリプルセル)及び
i型層のバンドギャップに大きく依存するが0.05〜
1.0μmが最適な層厚として挙げられる。本発明のi
型層は、堆積速度を2.5nm/sec以上に上げても
価電子帯側のテイルステイトが少ないものであって、テ
イルステイトの傾きは60meV以下であり、且つ電子
スピン共鳴(ESR)による未結合手の密度は1017
cm 3以下である。
【0113】i型層の形成にはMWCVD法を用い、望
ましくは前述したようにMWPCVD法においてRF電
力を同時に導入し、さらに望ましくは前述したようにM
WPCVD法においてRF電力とDCバイアスを同時に
導入する。バンドギャップの広いa−SiCからなる型
層を形成する場合はH2 、D2 、He等ガスで2〜10
0倍に原料ガスを希釈し、比較的高いMW電力を導入す
るのが好ましい。RF−i層 本発明の光起電力素子においてRF−i層は照射光に対
してキャリアを発生輸送する重要な層である。
【0114】RF−i層としては僅かにp型、僅かにn
型の層も使用でき、非晶質シリコン系半導体材料、ある
いは微結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶
質シリコン系半導体材料としては、例えばa−Si、a
−SiC、a−SiO、a−SiN、a−SiGe、a
−SiGeC、a−SiSn、a−SiSnC等が挙げ
られる。微結晶シリコン系半導体材料としては、例えば
μc−Si、μc−SiC、μc−SiGe、μc−S
iSn、μc−SiO、μc−SiN、μc−SiO
N、μc−SiOCN等が挙げられる。
【0115】図1−dのように光入射側のRF−i層と
してはa−Si、a−SiC、a−SiO、a−SiN
等の半導体材料を用いることによって光起電力素子の開
放電圧を向上できる。図1−eのように光入射側とは反
対側のRF−i層としてはa−Si、a−SiGe、a
−SiSn、a−SiGeC、a−SiSnC等の半導
体材料を用いることによって光起電力素子の短絡電流を
向上できる。
【0116】RF−i層に含有される水素(H、D)及
びフッ素は、i型層の未結合手を補償する働きをし、R
F−i層でのキャリアーの移動度と寿命の積を向上させ
るものである。また界面の界面準位を補償する働きを
し、光起電力素子の光起電力、光電流そして光応答性を
向上させる効果がある。RF−i層の水素及びフッ素含
有量は1〜30at%が最適な含有量として挙げられ
る。特に、界面側で水素含有量が多くなっているものが
好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有量の
1.1〜3倍の範囲が好ましい範囲として挙げられる。
また、界面側でフッ素含有量が少なくなっているものが
好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有量の
0.3〜0.9倍の範囲が好ましい範囲として挙げられ
る。
【0117】別の望ましい形態としてはドナーとなる価
電子制御剤(周期律表第V族原子または/及び第VI族
原子)とアクセプターとなる価電子制御剤(周期律表第
III族原子)がともに含有されたものである。またド
ナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制
御剤を互いに補償するように含有するのが好ましいもの
である。RF−i層に導入される周期律表第III族原
子及び第V族原子及び第VI族原子の導入量はそれぞれ
600ppm以下が好ましい範囲として挙げられ、少な
くとも一方の界面で含有量が多くなっていることが望ま
しい。
【0118】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。RF−i層の層厚は0.5〜30
nm以下が最適な層厚として挙げられ、価電子帯側のテ
イルステイトが少ないものであって、テイルステイトの
傾きは55meV以下であり、且つ電子スピン共鳴(E
SR)による未結合手の密度は1017/cm3以下であ
る。透明電極 透明電極はインジウム酸化物(In23 )、スズ酸化
物(SnO2 )、ITO(In23 +SnO2 )が適
した材料であり、これらの材料にフッ素を含有させても
良い。
【0119】透明電極の堆積にはスパッタリング法と真
空蒸着法が最適な堆積方法である。スパッタリング法で
堆積する場合、金属ターゲット、あるいは酸化物ターゲ
ット等のターゲットを適宜組み合わせて用いられる。ス
パッタリング法で堆積する場合、基板温度は重要な因子
であって、20℃〜600℃が好ましい範囲として挙げ
られる。また透明電極をスパッタリング法で堆積する場
合のスパッタリング用のガスとして、Arガス等の不活
性ガスが挙げられる。また前記不活性ガスに酸素ガス
(O2)を必要に応じて添加することが好ましいもので
ある。特に金属をターゲットにしている場合、酸素ガス
(O2)は必須のものである。さらに前記不活性ガス等
によってターゲットをスパッタリングする場合、放電空
間の圧力は効果的にスパッタリングを行うために、0.
1〜50mtorrが好ましい範囲として挙げられる。
透明電極の堆積速度は、放電空間内の圧力や放電電力に
依存し、最適な堆積速度としては、0.01〜10nm
/secの範囲である。
【0120】真空蒸着法において透明電極を堆積するの
に適した蒸着源としては、金属スズ金属インジウム、
インジウム−スズ合金が挙げられる。また透明電極を堆
積するときの基板温度としては25℃〜600℃の範囲
が適した範囲である。さらに、酸素ガス(O2)を導入
し、圧力が5×10-5torr〜9×10-4torrの
範囲で堆積することが必要である。この範囲の酸素を導
入することによって蒸着源から気化した前記金属が気相
中の酸素と反応して良好な透明電極が堆積される。上記
条件による透明電極の好ましい堆積速度の範囲としては
0.01〜10nm/secである。堆積速度が0.0
1nm/sec未満であると生産性が低下し10nm/
secより大きくなると粗な膜となり透過率、導電率や
密着性が低下する。
【0121】透明電極の層厚は、反射防止膜の条件を満
たすような条件に堆積するのが好ましいものである。具
体的な透明電極の層厚としては50〜500nmが好ま
しい範囲として挙げられる。集電電極 光起電力層であるi型層により多くの光を入射させ、発
生したキャリアを効率よく電極に集めるためには、集電
電極の形(光の入射方向から見た形)、及び材質は重要
である。通常、集電電極の形は櫛型が使用され、その線
幅、線数などは、光起電力素子の光入射方向から見た
形、及び大きさ、集電電極の材質などによって決定され
る。線幅は通常、0.1mm〜5mm程度である。集電
電極の材質としてはFe、Cr、Ni、Au、Ti、P
d、Ag、Al、Cu、AlSi、C(グラファイト)
等が用いられ、通常比抵抗の小さい、Ag、Cu、A
l、Cr、Cなどの金属、あるいはこれらの合金が適し
ている。
【0122】集電電極の層構造としては単一の層からな
るものであってもよいし、さらには複数の層からなるも
のであってもよい。これらの金属は、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、メッキ法、印刷法等で形成するのが望ま
しい。真空蒸着法で形成する場合、集電電極形状をなし
たマスクを透明電極上に密着させ、真空中で所望の金属
蒸着源を電子ビームまたは抵抗加熱で蒸発させ、透明電
極上に所望の形状をした集電電極を形成する。
【0123】スパッタリング法で形成する場合、集電電
極形状をなしたマスクを透明電極上に密着させ、真空中
にArガスを導入し、所望の金属スパッタターゲットに
DCを印加し、グロー放電を発生させることによって、
金属をスパッタさせ、透明電極上に所望の形状をした集
電電極を形成する。印刷法で形成する場合には、Agペ
ースト、Alペースト、カーボンペーストをスクリーン
印刷機で印刷する。
【0124】これらの金属の層厚としては10nm〜
0.5nmが適した層厚として挙げられる。次に、発電
システムについて説明する。本発明の発電システムは、
本発明の光起電力素子と、該光起電力素子の電圧及び/
または電流をモニターし蓄電池及び/または外部負荷へ
の前記光起電力素子からの電力の供給を制御する制御シ
ステムと、前記光起電力素子からの電力の蓄積及び/ま
たは外部負荷への電力の供給を行う蓄電池と、から構成
されている。
【0125】図10は本発明の電力供給システムの1例
であって光起電力素子を利用した充電、および電力供給
用基本回路である。該回路は本発明の光起電力素子を太
陽電池モジュールとし、逆流防止用ダイオード(C
D)、電圧をモニターし電圧を制御する電圧制御回路
(定電圧回路)、蓄電池、負荷等から構成されている。
モジュール化するには平板上に接着シート、ナイロンシ
ートを乗せ、さらにその上に作製した本発明の光起電力
素子を配列し、直列化および並列化を行い、さらにその
上に接着材シート、フッ素樹脂シートを乗せて、真空ラ
ミネートするとよい。
【0126】逆流防止用ダイオードとしては、シリコン
ダイオードやショットキダイオード等が適している。蓄
電池としては、ニッケルカドミニウム電池、充電式酸化
銀電池、鉛蓄電池、フライホイールエネルギー貯蔵ユニ
ット等が挙げられる。電圧制御回路は、電池が満充電に
なるまでは太陽電池の出力とほぼ等しく、満充電になる
と、充電制御ICにより充電電流をストップする。
【0127】このような光起電力素子を利用した発電シ
ステムは、自動車用のバッテリー充電システム、船用バ
ッテリー充電システム、街灯点灯システム、排気システ
ム等の電源として使用可能である。以上のように本発明
の光起電力素子を太陽電池として使用した電源システム
は、長期間安定して使用でき、且つ太陽電池に照射され
る照射光が変動する場合においても光起電力素子として
充分に機能することから、優れた安定性を示すものであ
る。
【0128】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照してさら
に詳細に説明する。非単結晶シリコン系半導体材料から
なる太陽電池およびフォトダイオードの作製によって本
発明の光起電力素子を詳細に説明するが、本発明はこれ
に限定されるものではない。
【0129】[請求項2に係わる実施例] (実施例1)図4に示す堆積装置を用いて図1−bの構
成の太陽電池を作製した。n型層はRFPCVD法で形
成した。まず、基板の作製を行った。厚さ0.5mm、
50×50mのステンレス基板をアセトンとイソプロパ
ノールで超音波洗浄し、温風乾燥させた。スパッタリン
グ法を用いて室温でステンレス基板表面上に層厚0.3
μmのAgの光反射層とその上に350℃で層厚1.0
μmのZnOの反射増加層を形成し、基板の作製を終え
た。
【0130】次に、堆積装置400はMWPCVD法と
RFPCVD法の両方を実施することができ、さらに同
時にアルカリ土類金属のスパッタリングも実施すること
ができる。これを用いて、反射増加層上に各半導体層を
形成した。堆積装置には不図示の原料ガス供給装置がガ
ス導入管を通して接続されている。原料ガスボンベはい
ずれも超高純度に精製されたもので、SiH4ガスボン
ベSiF4ガスボンベ、CH4ガスボンベ、GeH4ガス
ボンベ、GeF4ガスボンベ、SnH4ガスボンベ、PH
3/H2(希釈度:100ppm)ガスボンベ、B26
2(希釈度:100ppm)ガスボンベ、H2ガスボン
ベ、Heガスボンベ、O2/Heのガスボンベ、N2/H
eのガスボンベ、100℃に加熱したMg(NO32
6H2Oの液体ボンベを接続した。この液体ボンベには
上記Heガスボンベとは別のHeガスボンベが接続され
ており、Heガスでバブリングすることができる。ター
ゲットにはMgを用い、ターゲット電極に装着し、ター
ゲット電源にはRF電源を用いた。
【0131】次に、反射層と反射増加層が形成されてい
る基板404の裏面をヒーター405に密着させ、堆積
室401のリークバルブ409を閉じ、コンダクタンス
バルブ407を全開にして、不図示の真空排気ポンプに
より堆積室401内を圧力が約1×10-5Torrにな
るまで真空排気した。以上のようにして成膜の準備が完
了した後、基板404上に、μc−SiからなるRFn
型層、a−Siからなるi型層、a−SiCからなるR
Fp型層、a−SiCからなるMWp型層を順次形成し
た。
【0132】μc−SiからなるRFn型層を形成する
には、H2 ガスを堆積室401内に導入し、流量が30
0sccmになるようにマスフローコントローラーで調
整し、堆積室内の圧力が1.0Torrになるようにコ
ンダクタンスバルブで調整した。基板404の温度が3
50℃になるようにヒーター405を設定し、基板温度
が安定したところで、SiH4 ガス、PH3 /H2 ガス
を堆積室401内に流入させた。この時、SiH4 ガス
流量が2sccm、H2 ガス流量が100sccm、P
3 /H2 ガス流量が200sccm、堆積室内の圧力
は1.0Torrとなるように調整した。RF電源の電
力を0.02W/cm3 設定し、バイアス電極410に
RF電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャッター
を開け、基板上にRFn型層の形成を開始し、層厚20
nmのRFn型層を形成したところでシャッターを閉
じ、RF電源を切って、グロー放電を止め、RFn型層
の形成を終えた。堆積室内へのSiH4 ガス、PH3
2 の流入を止め、5分間、堆積室内へH2 ガスを流し
続けたのち、H2 の流入も止め、堆積室内およびガス配
管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0133】a−Siからなるi型層はMWPCVD法
とアルカリ土類金属のスパッタリングを同時に行うこと
によって形成した。まず、H2 ガスを300sccm導
入し、圧力が0.01Torr、基板404の温度が3
50℃になるようにした。基板温度が安定したところ
で、SiH4 ガス、Heガス、B26 /H2 ガス、P
3 /H2 ガスを流入させ、SiH4 ガス流量が150
sccm、Heガス流量が150sccm、H2 ガス流
量が150sccm、B26 /H2 ガス流量が2sc
cm、PH3 /H2 ガス流量が2sccmとし、堆積室
401内の圧力が0.01Torrとなるように調整し
た。次にRF電源の電力を0.32W/cm3 に設定
し、バイアス電極に印加した。その後、不図示のMW電
源の電力を0.20W/cm3 に設定し、誘電体窓41
3を通して堆積室内にMW電力を導入し、グロー放電を
生起させた。次にターゲット電源の電力を200Wに設
定し、ターゲットシャッター416を開け、シャッター
を開け、RFn型層上にi型層の形成を開始した。層厚
300nmのi型層を形成したところで、シャッター、
ターゲットシャッターを閉じ、MW電源、RF電源、タ
ーゲット電源を切ってグロー放電を止め、i型層の形成
を終えた。SiH4 ガス、Heガス、B26 /H2
ス、PH3 /H2 ガスの流入を止め、5分間H2 ガスを
流し続けた後、H 2 ガスの流入も止め、堆積室内及びガ
ス配管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0134】a−SiCからなるRFp型層を形成する
には、H2 ガスを300sccm導入し、圧力が1.0
Torr、基板温度が200℃になるようにした。基板
温度が安定したところで、SiH4 ガス、CH4 ガス、
26 /H2 ガスを堆積室401内に流入させ、Si
4 ガス流量が5sccm、CH4 ガス流量が1scc
m、H2 ガス流量が100sccm、B26 /H2
ス流量が200sccm、圧力が1.0Torrとなる
ように調整した。RF電源の電力を0.06W/cm3
に設定し、グロー放電を生起させ、シャッターを開け、
i型層上にRFp型層の形成を開始した。層厚10nm
のRFp型層を形成したところでシャッターを閉じ、R
F電源を切って、グロー放電を止め、RFp型層の形成
を終えた。 堆積室内へのSiH4 ガス、CH4 ガス、
26 /H2 ガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを
流し続けたのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室内およ
びガス配管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0135】a−SiCからなるMWp型層を形成する
には、H2 ガスを500sccm導入し、堆積室内の圧
力が0.02Torr、基板温度が200℃になるよう
に設定した。基板温度が安定したところでSiH4
ス、CH4 ガス、B26 /H 2 ガスを流入させた。こ
の時、SiH4 ガス流量が10sccm、CH4 ガス流
量が2sccm、H2 ガス流量が100sccm、B2
6 /H2 ガス流量が500sccm、圧力が0.02
Torrとなるように調整した。その後、不図示のMW
電源の電力を0.40W/cm3 に設定し、誘電体窓を
通してMW電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャ
ッターを開け、RFp型層上にMWp型層の形成を開始
した。層厚10nmのMWp型層を形成したところで、
シャッターを閉じ、MW電源を切ってグロー放電を止
め、MWp型層の形成を終えた。SiH4 ガス、CH4
ガス、B26 /H2 ガスの流入を止め、5分間、H2
ガスを流し続けたのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室
内およびガス配管内を1×10 -5Torrまで真空排気
し、補助バルブ408を閉じ、リークバルブ409を開
けて、堆積室をリークした。
【0136】次に、MWp型層上に透明電極として、層
厚70nmのITOを真空蒸着法で真空蒸着した。次に
透明電極上に櫛型の穴が開いたマスクを乗せ、Cr(4
0nm)/Ag(1000nm)/Cr(40nm)か
らなる櫛型の集電電極を真空蒸着法で真空蒸着した。
【0137】以上で太陽電池の作製を終えた。この太陽
電池を(SC実1)と呼ぶことにし、RFn型層、i型
層、RFp型層、MWp型層の形成条件を表1に示す。 (比較例1−1)i型層を形成する際、PH3 /H2
スを流入しない以外は実施例1と同じ条件で太陽電池
(SC比1−1)を作製した。
【0138】(比較例1−2)i型層を形成する際、B
26 /H2 ガスを流入しない以外は実施例1と同じ条
件で太陽電池(SC比1−2)を作製した。 (比較例1−3)RFp型層は形成せず、MWp型層の
層厚は20nmとする以外は実施例1と同じ条件で太陽
電池(SC比1−3)を作製した。
【0139】太陽電池(SC実1)及び(SC比1−
1)〜(SC比1−3)はそれぞれ6個づつ作製し、初
期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、振動劣化、
光劣化、及び順バイアス電圧印加時の振動劣化、光劣化
の測定を行った。初期光電変換効率の測定は、作製した
太陽電池をAM−1.5(100mW/cm2)光照射
下に設置して、V−1特性を測定することにより得られ
る。測定の結果、(SC実1)に対して(SC比1−
1)〜(SC比1−3)の初期光電変換効率は以下のよ
うになった。 (SC比1−1) 0.94倍 (SC比1−2) 0.92倍 (SC比1−3) 0.93倍 振動劣化の測定は、予め初期光電変換効率を測定してお
いた太陽電池を湿度50%、温度25℃の暗所に設置
し、振動周波数60Hzで振幅0.1mmの振動を50
0時間加えた後の、AM1.5(100mW/cm2
照射下での光電変換効率の低下率(振動劣化試験後の光
電変換効率/初期光電変換効率)により行った。
【0140】光劣化の測定は、予め初期光電変換効率を
測定しておいた太陽電池を湿度50%、温度25℃の環
境に設置しAM−1.5(100mW/cm2)照射下
での光電変換効率の低下率(振動劣化試験後の光電変換
効率/初期光電変換効率)により行った。測定の結果、
(SC実1)に対して(SC比1−1)〜(SC比1−
3)の光劣化後の光電変換効率の低下率、及び振動劣化
後の光電変換効率の低下率は以下のようになった。
【0141】 順バイアスを印加して振動劣化、及び光劣化の測定を行
った。予め初期光電変換効率を測定しておいた2つの太
陽電池を湿度50%、温度25℃の暗所に設置し、順方
向バイアス電圧として0.8Vを印加した。一方の太陽
電池には上記の振動を与えて、振動劣化を測定し、さら
にもう一方の太陽電池にはAM1.5の光を照射して、
光劣化の測定を行った。測定の結果、(SC実1)に対
して(SC比1−1)〜(SC比1−3)の振動劣化後
の光電変換効率の低下率、及び光劣化後の光電変換効率
の低下率は以下のようになった。
【0142】 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
1−1)、(SC比1−1)(SC比1−2)では層剥
離は見られなかったが、(SC比1−3)では層剥離が
僅かに見られた。
【0143】次に2次イオン質量分析装置(SIMS)
を用いて、作製した(SC実1)、(SC比1−1)〜
(SC比1−3)のP(リン)、及びB(ホウ素)の含
有量を求めたところ、以下のようになった。 また、高温度環境における振動劣化、光劣化、及び高湿
度環境における振動劣化、光劣化を測定したが、同様に
(SC実1)が(SC比1−1)〜(SC比1−3)よ
りも優れた特性を有していた。
【0144】さらに、上記の環境で順バイアス印加した
場合も、同様に(SC実1)が(SC比1−1)〜(S
C比1−3)よりも優れた特性を有していた。以上のよ
うに本実施例の太陽電池(SC実1)が従来の太陽電池
(SC比1−1)〜(SC比1−3)よりもさらに優れ
た特性を有することが分かった。 (実施例2)i型層内の価電子制御剤の含有量が層厚方
向になめらかに変化し、且つp型層側で含有量が多い太
陽電池(SC実2)を作製した。PH3 /H2 ガス流
量、B 26 /H2 ガス流量を図5のように時間的に変
化させた以外は実施例1と同じ条件で太陽電池(SC実
2)を作製した。まず、実施例1と同様にSIMSで
P、Bの含有量を求めたところ、図2−aのようになっ
ていることが分かった。実施例1と同様な測定を行った
ところ、(SC実2)の太陽電池は(SC実1)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0145】(実施例3)図1−cの層構成を有するフ
ォトダイオード(PD実3)を作製した。まず、基板の
作製を行った。厚さ0.5mm、20×20mm2 のガ
ラス基板をアセトンとイソプロパノールで超音波洗浄
し、温風乾燥させ、真空蒸着法で室温にてガラス基板表
面上に層厚0.1μmのAlの光反射層を形成し、基板
の作製を終えた。
【0146】実施例1と同様な方法で基板上にMWn型
層(a−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型層
(a−Si)、RFp型層(μc−SiC)を順次形成
した。半導体層の層形成条件を表2に示す。次に、RF
p型層上に実施例1と同様な透明電極と集電電極を形成
した。 (比較例3−1)i型層を形成する際、PH3 /H2
スを流入しない以外は実施例3と同じ条件でフォトダイ
オード(PD比3−1)を作製した。
【0147】(比較例3−2)i型層を形成する際、B
26 /H2 ガスを流入しない以外は実施例3と同じ条
件でフォトダイオード(PD比3−2)を作製した。 (比較例3−3)RFn型層は形成せず、MWn型層の
層厚は40nmとする以外は実施例3と同じ条件でフォ
トダイオード(PD比3−3)を作製した。
【0148】まず作製したフォトダイオードのオンオフ
比(AM1.5光を照射したときの光電流/暗電流 測
定周波数10kHz)を測定した。これを初期オンオフ
比と呼ぶことにする。次に実施例1と同様な測定をオン
オフ比について行った。測定の結果、本実施例のフォト
ダイオード(PD実3)は従来のフォトダイオード(P
D比3−1)〜(PD比3−3)よりもさらに優れた特
性を有することが分かった。
【0149】(実施例4)n型層とp型層の積層順序を
逆にした、nip型構造を有する図1−bの太陽電池を
作製した。実施例1と同様に基板上にRFp型層(μc
−Si)、i型層(a−Si)、RFn型層(a−Si
C)、MWn型層(a−SiC)を形成した。i型層を
形成する際、ターゲット電力を時間的に変化させて、ア
ルカリ土類金属含有量が図2−aのように層厚方向に変
化させた。半導体層の層形成条件は表3に示す。
【0150】半導体層以外の層および基板は実施例1と
同じ条件で太陽電池(SC4)を作製した。 (比較例4−1)i型層を形成する際、PH3 /H2
スを流入しない以外は実施例4と同じ条件で太陽電池
(SC比4−1)を作製した。
【0151】(比較例4−2)i型層を形成する際、B
26 /H2 ガスを流入しない以外は実施例4と同じ条
件で太陽電池(SC比4−2)を作製した。 (比較例4−3)RFn型層は形成せず、MWn型層の
層厚は20nmとする以外は実施例4と同じ条件で太陽
電池(SC比4−3)を作製した。
【0152】(実施例4−1)i型層を形成する際、R
F電力を時間的に変化させる以外は実施例4と同じ条件
で太陽電池(SC実4−1)を作製した。次にガラス基
板とシリコンウェハを用い、一定のRF電力を印加し、
他は実施例1と同じ条件でガラス基板、及びシリコンウ
ェハ上にi型層を1μm形成し、バンドギャップ測定
用、および赤外吸収スペクトル測定用サンプルとした。
さらにRF電力をいろいろと変えたサンプルをいくつか
作製した。分光光度計を用いて作製したガラス基板サン
プルのバンドギャップ(Eg)を求め、さらにシリコン
ウェハサンプルの赤外吸収スペクトルを測定し、水素含
有量を測定した。両者の結果を用いてi型層中の水素含
有量とバンドギャップの関係を求めておいた。
【0153】次に、2次イオン質量分析装置(SIM
S)を用いて、作製した(SC実4−1)の層厚方向に
対する水素含有量を求めたところ、図6−aのようにな
っていることが分かった。さらに水素含有量とバンドギ
ャップの関係を用いてこれらの層厚方向に対するバンド
ギャップの変化を求めたところ、図6−dのようになっ
ていることが分かった。
【0154】同様に(SC実4)、(SC比4−1)〜
(SC比4−3)の水素含有量を求めたところ、層厚方
向に対する水素含有量の変化はなく、一定で、バンドギ
ャップは1.73(eV)であることが分かった。この
ように層厚方向に対する水素含有量、およびバンドギャ
ップの変化は、導入されるRF電力に依存することが分
かった。
【0155】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実4)は従来の太陽電池(SC
比4−1)〜(SC比4−3)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。また(SC実4−1)は(S
C実4)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。 (実施例5)i型層のフッ素含有量が層厚方向になめら
かに変化し、RFp型層との界面近傍で含有量が最小と
なっている太陽電池を作製した。i型層を形成する際、
SiF4 ガス流量を1sccmから20sccmまで単
調に増加させて、図3−bのようなフッ素含有量の変化
パターンを得た。これ以外は実施例1と同じ条件で作製
した。実施例1と同様な測定を行ったところ、(SC実
5)は(SC実1)よりもさらに優れた特性を有するこ
とが分かった。
【0156】(実施例6)MWp型層、RFp型層の界
面近傍で水素含有量が最大となっている太陽電池を作製
した。RFp型層を形成する際、RF電力を時間変化さ
せて、図6−bのような水素含有量の変化パターンを得
た。MWp型層を形成する際、MW電力を時間変化させ
て、図6−cのような水素含有量の変化パターンを得
た。これ以外は実施例1と同じ条件で作製した。実施例
1と同様な測定を行ったところ、(SC実6)は(SC
実1)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。
【0157】(実施例7)MWp型層、RFp型層の界
面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太陽
電池を作製した。MWp型層、RFp型層を形成する
際、導入する価電子制御剤の原料ガスを時間変化させ
て、図12−cのようにB原子の含有量を変化させた。
これ以外は実施例1と同じ条件で作製した。実施例1と
同様な測定を行ったところ、(SC実7)は(SC実
1)よりもさらに優れた特性を有することが分かった。
【0158】(実施例8)MWp型層、RFp型層にフ
ッ素を含有し、界面近傍でフッ素含有量が最小となって
いる太陽電池を作製した。MWp型層、RFp型層を形
成する際、新たにSiF4 ガスを導入し、流量を時間変
化させて、図3−aのようなフッ素含有量の変化パター
ンを得た。 これ以外は実施例1と同じ条件で作製し
た。実施例1と同様な測定を行ったところ、(SC実
8)は(SC実1)よりもさらに優れた特性を有するこ
とが分かった。
【0159】(実施例9)図1−aの構造を有する太陽
電池を作製した。実施例1と同様に基板上にMWn型層
(μc−Si)、RFn型層(a−Si)、i型層(a
−Si)、RFp型層(a−SiC)、MWp型層(μ
c−SiC)を順次積層した。i型層を形成する際、B
26 /H2 ガス流量、PH3 /H2 ガス流量は時間変
化させ、層厚方向に対するB、Pの含有量の変化が図2
−cとなるようにした。半導体層以外は実施例1と同じ
ものを用いた。作製した太陽電池(SC実9)は(SC
実1)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。
【0160】(実施例10)i型層にa−SiGeを用
い、MWPCVD法を用いてアルカリ土類金属を含有さ
せた太陽電池を作製した。まず、図4のターゲット、タ
ーゲット電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取
り除いた。i型層を形成する際、新たにGeH 4 ガスと
HeガスでバブリングしたMg(NO32 ・6H2
/Heガスを導入した。GeH4 ガス流量を30scc
mとし、Mg(NO32 ・6H2 O/Heガス流量は
時間的に変化させて、アルカリ土類金属含有量が図2−
bとなるように、i型層の層厚は250nmとした。他
の条件は実施例1と同じ条件で太陽電池(SC実10)
を作製した。
【0161】(比較例10−1)i型層を形成する際、
PH3 /H2 ガスを流入しない以外は実施例10と同じ
条件で太陽電池(SC比10−1)を作製した。 (比較例10−2)i型層を形成する際、B26 /H
2 ガスを流入しない以外は実施例10と同じ条件で太陽
電池(SC比10−2)を作製した。
【0162】(比較例10−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
0と同じ条件で太陽電池(SC比10−3)を作製し
た。実施例1と同様な測定を行ったところ、本実施例の
太陽電池(SC実10)は従来の太陽電池(SC比10
−1)〜(SC比10−3)よりもさらに優れた特性を
有することが分かった。
【0163】(実施例11)i型層にa−SiSnを用
い、アルカリ土類金属としてベリリウム、マグネシウ
ム、カルシウムをともに含有させた太陽電池を作製し
た。まず、ターゲットとしてBeF2 、MgF2 、Ca
2 、を1:2:1に混合させたものに交換し、原料ガ
ス供給装置にAl(CH33 (トリメチルアルミニウ
ム TMA)液体ボンベを接続し、HeガスでTMAを
バブリングすることによりHeで希釈されたTMA/H
eガスを堆積室に流入できるようにした。i型層を形成
する際、SiH4 ガス流量を110sccm、SiF4
ガス流量を20sccm、SnH4ガス流量を20sc
cm、PH3 /H2 ガス流量を1sccm、TMA/H
eガス流量を10sccmにし、ターゲット電力を時間
的に変化させ、アルカリ土類金属含有量の変化パターン
を図2−cのようにする以外は実施例1と同じ条件で太
陽電池(SC実11)を作製した。
【0164】(比較例11−1)i型層を形成する際、
PH3 /H2 ガスを流入しない以外は実施例11と同じ
条件で太陽電池(SC比11−1)を作製した。 (比較例11−2)i型層を形成する際、TMA/He
ガスを流入しない以外は実施例11と同じ条件で太陽電
池(SC比11−2)を作製した。
【0165】(比較例11−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
1と同じ条件で太陽電池(SC比11−3)を作製し
た。実施例1と同様な測定を行ったところ、本実施例の
太陽電池(SC実11)は、従来の太陽電池(SC比1
1−1)〜(SC比11−3)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0166】(実施例12)RFp型層とi型層の間、
RFn型層とi型層の間にPR−i層を有する図1−f
の太陽電池を作製した。その他の層は実施例9と同様な
方法で太陽電池を作製した。2つのRF−i型層はa−
Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、H2
ス流量が50sccm、PH3 /H2 ガス流量が0.2
sccm、B 26 /H2 ガス流量が0.5sccm、
堆積室内の圧力が1.0Torr、導入するRF電力が
0.01W/cm3 、基板温度が270℃、層厚が20
nmの条件で形成した。作製した太陽電池(SC実1
2)は(SC実9)よりもさらに優れた特性を有するこ
とが分かった。
【0167】(実施例13)MWPCVD法を用いた図
4の堆積装置を使用して図7に示すトリプル型太陽電池
を作製した。まず、基板の作製を行った。実施例1と同
様に50×50mm2のステンレス基板をアセトンとイ
ソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させた。スパッタ
リング法を用いて、ステンレス基板表面上に層厚0.3
μmのAgの光反射層を形成した。この際、基板温度を
350℃に設定し、基板表面を凹凸(テクスチャー化)
にした。その上に基板温度350℃で層厚2.0μmの
ZnOの反射増加層を形成した。
【0168】次に実施例1と同様な方法で成膜の準備を
終えた。実施例1と同様な方法で基板上に第1のMWn
型層(μc−Si 層厚10μm)を形成し、さらに第
1のRFn型層(a−Si層厚 10μm)、第1のi
型層(a−SiGe)、第1のRFp型層(a−Si
層厚10nm)、第1のMWp型層(μc−Si 層厚
10nm)、第2のRFn型層(μc−Si)、第2の
i型層(a−Si)、第2のRFp型層(a−SiC
層厚10nm)、第2のMWp型層(μc−Sic 層
厚10nm)、第3のRFn型層(a−SiC)、第3
のi型層(a−SiC)、第3のRFp型層 (a−S
iC 層厚10nm)、第3のMWp型層(μc−Si
C 層厚10nm)を順次形成した。
【0169】第1のi型層、第2のi型層、第3のi型
層を形成する際、流量を時間変化させてP、B含有量が
図2−aとなるようにした。さらにその他の層において
は、MWPCVD法で形成する層では、MW電力を時間
変化させ、RFPCVD法で形成する層では、RF電力
を時間変化させて、各層の水素含有量の分布が図6−c
のようになるようにした。ターゲット電源はDC電源に
交換し、全ての半導体層作製時にターゲット電力(DC
電力)を変化させ、マグネシウムの含有量が図2−aと
なるようにした。
【0170】次に第3のMWp型層上に実施例1と同様
な透明電極、集電電極を形成した。以上でトリプル型太
陽電池(SC実13)の作製を終えた。 (比較例13−1)第1のi型層、第2のi型層、およ
び第3のi型層を形成する際、PH3 /H 2 ガスを流入
しない以外は、実施例13と同じ条件で太陽電池(SC
比13−1)を作製した。
【0171】(比較例13−2)第1のi型層、第2の
i型層、および第3のi型層を形成する際、B26
2 ガスを流入しない以外は、実施例13と同じ条件で
太陽電池(SC比13−2)を作製した。 (比較例13−3)第1のRFn型層、第1のRFp型
層、第2のRFp型層、および第3のRFp型層は形成
せず、第1のMWn型層、第1のMWp型層、第2のM
Wp型層、および第3のMWp型層の層厚を20nmと
する以外は実施例13と同じ条件で太陽電池(SC比1
3−3)を作製した。実施例1と同様な測定を行ったと
ころ、本実施例の太陽電池(SC実13)は、従来の太
陽電池(SC比13−1)〜(SC比13−3)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0172】(実施例14)図9のロール・ツー・ロー
ル法を用いた堆積装置を使用して、図8のタンデム型太
陽電池を作製した。まず基板は長さ300m、幅30c
m、厚さ0.1mmの両面を鏡面研磨した長尺状ステン
レスシートを用いた。ロール・ツー・ロール法を用いた
スパッタリング装置でのこのステンレス基板上に基板温
度350℃で層厚0.3μmのAgからなる光反射層を
連続形成し、さらに基板温度350℃で層厚2.0μm
のZnOからなる反射増加層を連続形成した。基板表面
は実施例13と同様にテクスチャー化されていることが
分かった。
【0173】図9はロール・ツー・ロール法を用いた半
導体層の連続形成装置の概略図である。この装置は基板
送り出し室910と、複数の堆積室901〜909と、
基板巻き取り室911を順次配置し、それらの間を分離
通路912で接続してなり、長尺状の基板913がこれ
らの中を通って、基板送り出し室から基板巻き取り室に
絶え間なく移動することができ、且つ基板の移動と同時
に各堆積室でそれぞれの半導体層を同時に形成すること
ができる。950は堆積室を上から見た図で、それぞれ
の堆積室には原料ガスの入り口914と原料ガスの排気
口915があり、それぞれの半導体層を同時に形成する
ことができる。950は堆積室を上から見た図で、それ
ぞれの堆積室には原料ガスの入り口914と原料ガスの
排気口915があり、RF電極916あるいはマイクロ
波アプリケーター917が必要に応じて取り付けられ、
さらに基板を加熱するハロゲンランプヒーター918が
内部に設置されている。また原料ガスの入り口914に
は実施例1と同様な原料ガス供給装置が接続されてお
り、それぞれの堆積室には原料ガスの排気口があり、そ
れぞれの排気口には油拡散ポンプ、メカニカルブースタ
ーポンプなどの真空排気ポンプが接続されている。また
それぞれのRF電極にはRF電源が接続され、マイクロ
波アプリケーターにMW電源が接続されている。i型層
の堆積室である堆積室903と907にはバイアス電極
931とターゲット電極930が配置されており、それ
ぞれの電源としてRF電源が接続されている。さらにタ
ーゲットにはBeを用いた。940はi型層の堆積室を
横からみた図で、堆積室内の基板面積よりも小さい表面
積を有するターゲットを堆積室のほぼ中央に配置するこ
とによって、単位時間あたりにスパッタリングされるア
ルカリ土類金属の量を、基板周辺部941よりも基板中
央部942で多くさせたものである。こうすることによ
ってアルカリ土類金属含有量の層厚方向変化が図2−c
のようになる。堆積室に接続された分離通路には掃気ガ
スを流入させる入り口919がある。基板送り出し室に
は送り出しロール920と基板に適度の張力を与え、常
に水平に保つためのガイドロール921があり、基板巻
き取り室には巻き取りロール922とガイドロール92
3がある。
【0174】まず、前記の光反射層と反射増加層を形成
した基板を送り出しロールに巻き付け、基板送り出し室
にセットし、各堆積室内を通過させた後に基板の端を基
板巻き取りロールに巻き付ける。装置全体を不図示の真
空排気ポンプで真空排気し、各堆積室のランプヒーター
を点灯させ、各堆積室内の基板温度が所定の温度になる
ように設定する。装置全体の圧力が1mTorr以下に
なったら掃気ガスの入り口919からH2ガスを流入さ
せ、基板を図の矢印の方向に移動させながら、巻き取り
ロールで巻き取っていく。実施例1と同様にして各堆積
室にそれぞれの原料ガスを流入させる。この際、各堆積
室に流入させる原料ガスが他の堆積室に拡散しないよう
に各分離通路に流入させるH2 ガスの流量、あるいは各
堆積室の圧力を調整する。
【0175】次にRF電力、またはMW電力を導入して
グロー放電を生起し、それぞれの半導体層を形成してい
く。基板上に堆積室901で第1のMWn型層(μc−
Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室902で
第1のRFn型層(a−Si 層厚10nm)、堆積室
903で第1のi型層(a−SiGe 層厚180n
m)、堆積室904で第1のRFp型層(a−Si 層
厚10nm)、堆積室905で第1のMWp型層(μc
−Si 層厚10nm)、堆積室906で第2のRFn
型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室907で第
2のi型層(a−Si 層厚250nm)、堆積室90
8で第2のRFp型層(a−SiC 層厚10nm)、
堆積室909で第2のMWp型層(μc−SiC 層厚
10nm)を順次形成した。第1のi型層、第2のi型
層にベリリウムを含有させ、その含有量の層厚方向変化
が図2−cのようになるようにした。第1のi型層、第
2のi型層を形成する際、PH3 /H2 ガス、B26
/H2 ガスは別途に入り口924、925から流入さ
せ、i型層の界面近傍で多くの価電子制御剤が流入でき
るようにした。また分離通路から多量のH2 ガスが第1
のi型層、第2のi型層の堆積室に供給されるため、界
面近傍ではフッ素が少なくなっており、フッ素含有量の
層厚方向変化は図3−cのようになる。基板の搬送が終
わったところで、すべてのMW電源、RF電源、ターゲ
ット電源を切り、グロー放電を止め、原料ガス、掃気ガ
スの流入を止めた。装置全体をリークし、巻き取られた
基板を取り出した。次にロール・ツーロール法を用いた
スパッタリング装置で第2のMWp型層上に170℃で
層厚70nmのITOからなる透明電極を連続形成し
た。
【0176】次にこの基板の一部を50mm×50mm
の大きさに切断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線
幅0.5mmのカーボンペーストの印刷をし、その上に
層厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、
集電電極を形成した。以上でロール・ツーロール法を用
いたタンデム型太陽電池(SC実14)の作製を終え
た。SIMSを用いて価電子制御剤の含有量の層厚方向
変化を求めたところ、図2−cのようになっていること
が分かった。
【0177】(実施例14−1)第1のi型層、および
第2のi型層を形成する際に、PH3 /H2 ガスを流入
しない以外は、実施例14と同じ条件で太陽電池(SC
実14−1)を作製した。 (実施例14−2)第1のi型層、および第2のi型層
を形成する際に、B26 /H2 ガスを流入しない以外
は、実施例14と同じ条件で太陽電池(SC実14−
2)を作製した。
【0178】(比較例14−1)第1のRFn型層、第
1のRFp型層、および第2のRFp型層は形成せず、
第1のMWn型層を30nm、第1のMWp型層、およ
び第MWp型層の層厚を20nmとする以外は実施例1
4と同じ条件で太陽電池(SC比14−1)を作製し
た。
【0179】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実14)は、太陽電池(SC比
14−1)及び(SC実14−1)、(SC実14−
2)よりもさらに優れた特性を有することが分かった。 (実施例15)図9の堆積装置を使用して作製したタン
デム型太陽電池をモジュール化し、発電システムに応用
し、フィールドテストを行った。
【0180】実施例14で作製した光未照射の50mm
×50mmのトリプル型太陽電池(SC実14)を65
個を用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にE
VA(エチレンビニルアセテート)からなる接着剤シー
トを乗せ、その上にナイロンシートを乗せ、その上に6
5個の太陽電池を配列し、直列化および並列化を行っ
た。その上にEVAの接着剤シートを乗せ、その上にフ
ッ素樹脂シートを乗せて、真空ラミネートし、モジュー
ル化した。作製したモジュールの初期光電変換効率を実
施例1と同様な方法で測定しておいた。
【0181】図10の発電システムを示す回路に接続
し、負荷には夜間点灯する外灯を使用した。システム全
体は蓄電池、及びモジュールの電力によって稼働する。
この発電システムを(SBS実15)と呼ぶことにす
る。 (比較例15)光未照射のタンデム型太陽電池(SC比
14−1)を65個用いて実施例15と同様にモジュー
ル化し、初期光電変換効率を測定しておいた。このモジ
ュールを実施例15と同様な発電システムに接続した。
【0182】これらの発電システムを(SBS比15−
1)と呼ぶことにする。それぞれのモジュールは最も太
陽光を集光できる角度に設置した。フィールドテストの
測定は1年経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1
年後の光電変換効率/初期光電変換効率)を求めること
によって行った。その結果、本発明の太陽電池を用いた
発電システム(SBS実15)は従来の発電システム
(SBS比15−1)よりもさらに優れた初期光電変換
効率およびフィールド耐久性を有していることが分かっ
た。
【0183】(実施例16)半導体層に酸素または/及
び窒素原子を含有する光起電力素子を作製した。 (実施例16−1)i型層を形成する際、O2 /Heガ
スを100sccm、N2 /Heガスを20sccm導
入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電池(SC16
実−1)を作製した。
【0184】(実施例16−2)RF−i層型層を形成
する際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガス
を1sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽
電池(SC実16−2)を作製した。 (実施例16−3)MWp型層を形成する際、O2 /H
eガスを100sccm、N2 /Heガスを20scc
m導入し、RFp型層を形成する際、O2/Heガスを
2sccm、N2 /Heガスを1sccm導入する以外
は実施例1と同じ条件で太陽電池(SC実16−3)を
作製した。
【0185】実施例1と同様な測定を行ったところ、こ
れらの太陽電池は、太陽電池(SC実1)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。作製したこれらの
太陽電池の酸素原子及び窒素原子の濃度をSIMSを用
いて調べたところ、ほぼ導入した原料ガス(Si)に対
する原料ガス(O)、原料ガス(N)の濃度程度に含有
されていることが分かった。 [請求項1に係わる実施例](実施例17)図4に示す
堆積装置を用いて図1−bの構成の太陽電池を作製し
た。n型層はRFPCVD法で形成した。
【0186】まず、実施例1と同様にして基板を作製
し、続いて、基板404上に、μc−SiからなるRF
n型層、a−Siからなるi型層、a−SiCからなる
RFp型層、a−SiCからなるMWp型層を順次形成
した。μc−SiからなるRFn型層を形成するには、
2 ガスを堆積室401内に導入し、流量が300sc
cmになるようにマスフローコントローラーで調整し、
堆積室内の圧力が1.0Torrになるようにコンダク
タンスバルブで調整した。基板404の温度が350℃
になるようにヒーター405を設定し、基板温度が安定
したところで、SiH4 ガス、PH3 /H2 ガスを堆積
室401内に流入させた。この時、SiH4 ガス流量が
2sccm、H2 ガス流量が100sccm、PH3
2 ガス流量が200sccm、堆積室内の圧力は1.
0Torrとなるように調整した。RF電源の電力を
0.02W/cm3 設定し、バイアス電極410にRF
電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャッターを開
け、基板上にRFn型層の形成を開始し、層厚20nm
のRFn型層を形成したところでシャッターを閉じ、R
F電源を切って、グロー放電を止め、RFn型層の形成
を終えた。堆積室内へのSiH4 ガス、PH3 /H2
流入を止め、5分間、堆積室内へH2 ガスを流し続けた
のち、H2 の流入も止め、堆積室内およびガス配管内を
1×10-5Torrまで真空排気した。
【0187】a−Siからなるi型層はMWPCVD法
とアルカリ土類金属のスパッタリングを同時に行うこと
によって形成した。まず、H2 ガスを300sccm導
入し、圧力が0.01Torr、基板404の温度が3
50℃になるようにした。基板温度が安定したところ
で、SiH4 ガス、Heガスを流入させ、SiH4 ガス
流量が150sccm、Heガス流量が150scc
m、H2 ガス流量が150sccmとし、堆積室401
内の圧力が0.01Torrとなるように調整した。次
にRF電源の電力を0.32W/cm3 に設定し、バイ
アス電極に印加した。その後、不図示のMW電源の電力
を0.20W/cm3 に設定し、誘電体窓413を通し
て堆積室内にMW電力を導入し、グロー放電を生起させ
た。次にターゲット電源の電力を200Wに設定し、タ
ーゲットシャッター416を開け、シャッターを開け、
RFn型層上にi型層の形成を開始した。RF電源、タ
ーゲット電源に接続されたコンピューターを用い、図1
1−aに示した変化パターンに従って、RF電力、ター
ゲット電力を変化させ、層厚300nmのi型層を形成
したところで、シャッター、ターゲットシャッターを閉
じ、MW電源、RF電源、ターゲット電源を切ってグロ
ー放電を止め、i型層の形成を終えた。SiH4ガス、
Heガスの流入を止め、5分間H2 ガスを流し続けた
後、H2 ガスの流入も止め、堆積室内及びガス配管内を
1×10-5Torrまで真空排気した。
【0188】a−SiCからなるRFp型層を形成する
には、H2 ガスを300sccm導入し、圧力が1.0
Torr、基板温度が200℃になるようにした。基板
温度が安定したところで、SiH4 ガス、CH4 ガス、
26 /H2 ガスを堆積室401内に流入させ、Si
4 ガス流量が5sccm、CH4 ガス流量が1scc
m、H2 ガス流量が100sccm、B26 /H2
ス流量が200sccm、圧力が1.0Torrとなる
ように調整した。RF電源の電力を0.06W/cm3
に設定し、グロー放電を生起させ、シャッターを開け、
i型層上にRFp型層の形成を開始した。層厚10nm
のRFp型層を形成したところでシャッターを閉じ、R
F電源を切って、グロー放電を止め、RFp型層の形成
を終えた。堆積室内へのSiH4 ガス、CH4 ガス、B
26 /H2 ガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを流
し続けたのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室内および
ガス配管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0189】a−SiCからなるMWp型層を形成する
には、H2 ガスを500sccm導入し、堆積室内の圧
力が0.02Torr、基板温度が200℃になるよう
に設定した。基板温度が安定したところでSiH4
ス、CH4 ガス、B26 /H2 ガスを流入させた。こ
の時、SiH4 ガス流量が10sccm、CH4 ガス流
量が2sccm、H2 ガス流量が100sccm、B2
6 /H2 ガス流量が500sccm、圧力が0.02
Torrとなるように調整した。その後、不図示のMW
電源の電力を0.40W/cm3 に設定し、誘電体窓を
通してMW電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャ
ッターを開け、RFp型層上にMWp型層の形成を開始
した。層厚10nmのMWp型層を形成したところで、
シャッターを閉じ、MW電源を切ってグロー放電を止
め、MWp型層の形成を終えた。SiH4 ガス、CH4
ガス、B26 /H2 ガスの流入を止め、5分間、H2
ガスを流し続けたのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室
内およびガス配管内を1×10-5Torrまで真空排気
し、補助バルブ408を閉じ、リークバルブ409を開
けて、堆積室をリークした。
【0190】次に、MWp型層上に透明電極として、層
厚70nmのITOを真空蒸着法で真空蒸着した。次に
透明電極上に櫛型の穴が開いたマスクを乗せ、Cr(4
0nm)/Ag(1000nm)/Cr(40nm)か
らなる櫛型の集電電極を真空蒸着法で真空蒸着した。以
上で太陽電池の作製を終えた。この太陽電池を(SC実
17)と呼ぶことにし、RFn型層、i型層、RFp型
層、MWp型層の形成条件を表1に示す。
【0191】(比較例17−1)i型層を形成する際、
RF電力、ターゲット電力を時間的に一定とした以外は
実施例17と同じ条件で太陽電池(SC比17−1)を
作製した。 (比較例17−2)RFp型層は形成せず、MWp型層
の層厚は20nmとする以外は実施例17と同じ条件で
太陽電池(SC比17−2)を作製した。
【0192】太陽電池(SC実17)及び(SC比17
−1)、(SC比17−2)はそれぞれ6個づつ作製
し、初期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、振動
劣化、光劣化、及び順バイアス電圧印加時の振動劣化、
光劣化の測定を実施例1と同様に行った。初期光電変換
効率の測定の結果、(SC実17)に対して(SC比1
7−1)、(SC比17−2)の初期光電変換効率は以
下のようになった。 (SC比17−1) 0.95倍 (SC比17−2) 0.96倍 振動劣化及び光劣化の測定の結果、(SC実17)に対
して(SC比17−1)、(SC比17−2)の光劣化
後の光電変換効率の低下率、及び振動劣化後の光電変換
効率の低下率は以下のようになった。
【0193】 順バイアスを印加して振動劣化、及び光劣化の測定を行
った結果、(SC実17)に対して (SC比17−
1)、(SC比17−2)の振動劣化後の光電変換効率
の低下率、及び光劣化後の光電変換効率の低下率は以下
のようになった。
【0194】 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
17−1)、(SC比17−1)では層剥離は見られな
かったが、(SC比17−2)では層剥離が僅かに見ら
れた。
【0195】次に、ガラス基板とシリコンウェハを用
い、SiH4 ガス流量、SiF4 ガス流量が時間的に一
定にし、層厚を1μmとする以外は実施例17と同じ条
件でi型層のサンプルを作製した。さらに、SiH4
スとSiF4 ガスとのトータル流量は同じにして、Si
4 ガスとSiF4 ガス流量を変えたサンプルを作製し
た。分光光度計を用いて作製したガラス基板サンプルの
バンドギャップ(Eg)を求め、さらに、2次イオン質
量分析装置(SIMS)を用いてシリコンウェハサンプ
ルの水素含有量を測定した。その結果、i型層中のバン
ドギャップは水素含有量に依存することが分かった。
【0196】また、SIMSを用いて、作製した(SC
実17)の層厚方向に対する水素含有量の変化及びアル
カリ土類金属含有量の変化を求めたところ、図11−b
のようになった。さらに、水素含有量とバンドギャップ
の関係を用いて、これらの層厚方向に対するバンドギャ
ップの変化を求めたところ、図11−cのようになっ
た。
【0197】同様に、(SC比17−1)の水素含有量
及びアルカリ土類金属含有量を求めたところ、層厚方向
に対するバンドギャップの変化はなく、一定で、バンド
ギャップは1.73(eV)であることがわかった。同
様に、(SC比17−2)の水素含有量及びアルカリ土
類金属含有量を求めたところ、層厚方向に対する水素含
有量の変化は図11−bと同様な結果となり、バンドギ
ャップの変化も図11−cと同様な結果となった。
【0198】このように層厚方向に対する水素含有量、
及びバンドギャップの変化は、導入されるRF電力に依
存し、層厚方向に対するアルカリ土類金属含有量の変化
は、導入するターゲット電力に依存することが分かっ
た。また、高温度環境における振動劣化、光劣化、及び
高湿度環境における振動劣化、光劣化を測定したが、同
様に(SC実17)が(SC比17−1)、(SC比1
7−2)よりも優れた特性を有していた。
【0199】さらに、上記の環境で順バイアス印加した
場合も、同様に(SC実17)が(SC比17−1)、
(SC比17−2)よりも優れた特性を有していた。以
上のように本実施例の太陽電池(SC実17)が従来の
太陽電池(SC比17−1)、(SC比17−2)より
もさらに優れた特性を有することが分かった (実施例18) 実施例17において、i型層を形成する際、RF電力、
ターゲット電力の変化パターンを変えて、アルカリ土類
金属含有量、水素含有量が図6−bのように変化してい
る太陽電池(SC実18)を作製した。実施例17と同
様な測定を行ったところ、(SC実18)の太陽電池は
(SC実17)と同様に、従来の太陽電池(SC比17
−1)、(SC比17−2)よりもさらに優れた特性を
有することが分かった。
【0200】(実施例19)図1−cの層構成を有する
フォトダイオード(PD実3)を作製した。まず、基板
の作製を行った。厚さ0.5mm、20×20mm2
ガラス基板をアセトンとイソプロパノールで超音波洗浄
し、温風乾燥させ、真空蒸着法で室温にてガラス基板表
面上に層厚0.1μmのAlの光反射層を形成し、基板
の作製を終えた。
【0201】実施例17と同様な方法で基板上にMWn
型層(a−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型
層(a−Si)、RFp型層(μc−SiC)を順次形
成した。また、i型層を形成する際、RF電力、ターゲ
ット電力を時間的に変化させて、アルカリ土類金属有
量、水素含有量が図6−cのように変化したフォトダイ
オード(PD実19)を作製した。半導体層の層形成条
件を表5に示す。 次に、RFp型層上に実施例17と
同様な透明電極と集電電極を形成した。
【0202】(比較例19−1)i型層を形成する際、
比較例17−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時
間的に変化させない以外は、実施例19と同じ条件でフ
ォトダイオード(PD比19−1)を作製した。 (比較例19−2)RFn型層は形成せず、MWn型層
の層厚は40nmとする以外は実施例19と同じ条件で
フォトダイオード(PD比19−2)を作製した。
【0203】作製したフォトダイオードのオンオフ比
(AM1.5光を照射したときの光電流/暗電流 測定
周波数10kHz)を測定した。更に実施例17と同様
な測定をオンオフ比について行った。結果、本実施例の
フォトダイオード(PD実19)は従来のフォトダイオ
ード(PD比19−1)、(PD比19−2)よりもさ
らに優れた特性を有することが分かった。
【0204】(実施例20)n型層とp型層の積層順序
を逆にした、nip型構造を有する図1−bの太陽電池
を作製した。実施例17と同様に基板上にRFp型層
(μc−Si)、i型層(a−Si)、RFn型層(a
−SiC)、MWn型層(a−SiC)を形成した。i
型層を形成する際、ターゲット電力を時間的に変化させ
て、アルカリ土類金属含有量が図6−aのように層厚方
向に変化させた。半導体層の層形成条件は表6に示す。
【0205】半導体層以外の層および基板は実施例17
と同じ条件で太陽電池(SC実20)を作製した。 (比較例20−1)i型層を形成する際、比較例17−
1と同様にRF電力、ターゲット電力を時間的に変化さ
せない以外は、実施例20と同じ条件で太陽電池(SC
比20−1)を作製した。
【0206】(比較例20−2)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例2
0と同じ条件で太陽電池(SC比20−2)を作製し
た。実施例17と同様な測定を行ったところ、本実施例
の太陽電池(SC実20)は従来の太陽電池(SC比2
0−1)、(SC比20−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0207】(実施例21)i型層,MWp型層、RF
p型層にフッ素含有させ、界面近傍で含有量が最小とな
っている太陽電池を作製した。i型層、MWp型層、R
Fp型層を形成する際、SiF4 を新たに導入し、Si
4 ガス流量を時間的に変化させて、図3−aのような
フッ素含有量の変化パターンを得た。これ以外は実施例
17と同じ条件で作製した。実施例17と同様な測定を
行ったところ、(SC実21)は(SC実17)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。また、層剥
離は観察されなかった。
【0208】(実施例22)MWp型層及びRFp型層
の界面近傍で水素含有量が最大となっている太陽電池を
作製した。MW電力を時間変化させて、図6−cのよう
な水素含有量の変化パターンを得た。これ以外は実施例
17と同じ条件で作製した。実施例17と同様な測定を
行ったところ、(SC実22)は(SC実17)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0209】(実施例23)MWp型層、RFp型層の
界面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太
陽電池を作製した。導入する価電子制御剤の原料ガスを
時間変化させて、図12−bのようにB原子の含有量を
変化させた。これ以外は実施例17と同じ条件で作製し
た。実施例17と同様な測定を行ったところ、(SC実
23)は(SC実17)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0210】(実施例24)図1−aの構造を有する太
陽電池を作製した。実施例17と同様に基板上にMWn
型層(μc−Si)、RFn型層(a−Si)、i型層
(a−Si)、RFp型層(a−SiC)、MWp型層
(μc−SiC)を順次積層した。半導体層以外は実施
例17と同じものを用いた。作製した太陽電池(SC実
24)は(SC実17)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0211】(実施例25)i型層にa−SiCを用
い、MWPCVD法を用いてアルカリ土類金属を含有さ
せた太陽電池を作製した。まず、図4のターゲット、タ
ーゲット電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取
り除いた。i型層を形成する際、新たにCH4ガスとH
eガスでバブリングしたMg(NO32 ・6H2 O/
Heガスを用いた。CH4 ガス流量を20sccmと
し、Mg(NO32 ・6H2 O/Heガス流量は時間
的に変化させて、アルカリ土類金属含有量が図11−b
となるようにした。他の条件は実施例17と同じ条件で
太陽電池(SC実25)を作製した。
【0212】(比較例25−1)i型層を形成する際、
Mg(NO32 ・6H2 O/Heガス流量を時間的に
一定とする以外は、実施例25と同じ条件で太陽電池
(SC比25−1)を作製した。 (比較例25−2)RFp型層は形成せず、MWp型層
の層厚は20nmとする以外は実施例25と同じ条件で
太陽電池(SC比25−2)を作製した。
【0213】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実25)は従来の太陽電池
(SC比25−1)、(SC比25−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。 (実施例26)i型層にa−SiGeを用い、アルカリ
土類金属としてベリリウム、マグネシウム、カルシウム
をともに含有させた太陽電池を作製した。まず、ターゲ
ットとしてBeF2 、MgF2 、CaF2 、を1:2:
1に混合させたものに交換し、i型層を形成する際、新
たにGeF4 ガスを用い、GeF4 ガス流量を30sc
cm導入し、層厚を250nmにする以外は実施例17
と同じ条件で太陽電池(SC実26)を作製した。
【0214】(比較例26−1)i型層を形成する際、
比較例17−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時
間的に変化させない以外は、実施例26と同じ条件で太
陽電池(SC比26−1)を作製した。 (比較例26−2)RFn型層は形成せず、MWn型層
の層厚は20nmとする以外は実施例26と同じ条件で
太陽電池(SC比26−2)を作製した。
【0215】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実26)は従来の太陽電池
(SC比26−1)、(SC比26−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。 (実施例27)i型層にa−SiSnを用い、ターゲッ
トにRFプラズマCVD法による電源の代わりにDC電
源を接続し、アルカリ土類金属としてストロンチウムを
含有させた太陽電池を作製した。まず、ターゲットをS
rに交換し、i型層を形成する際、新たにSnH4 ガス
を導入しDC電力を時間変化させ、アルカリ土類金属含
有量を図6−aのようにした。さらにSnH4 ガス流量
を20sccm、とする以外は実施例17と同じ条件で
太陽電池(SC実27)を作製した。
【0216】(比較例27−1)i型層を形成する際、
比較例17−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時
間的に一定とする以外は、実施例27と同じ条件で太陽
電池(SC比27−1)を作製した。 (比較例27−2)RFn型層は形成せず、MWn型層
の層厚は20nmとする以外は実施例27と同じ条件で
太陽電池(SC比27−2)を作製した。
【0217】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実27)は従来の太陽電池
(SC比27−1)、(SC比27−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。 (実施例28)RFp型層とi型層の間、RFn型層と
i型層の間にPR−i層を有する図1−fの太陽電池を
作製した。その他の層は実施例25と同様な方法で太陽
電池を作製した。2つのRF−i型層はa−Siからな
り、SiH4 ガス流量が2sccm、H2 ガス流量が5
0sccm、堆積室内の圧力が1.0Torr、導入す
るRF電力が0.01W/cm3 、基板温度が270
℃、層厚が20nmの条件で形成した。作製した太陽電
池(SC実28)は(SC実24)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0218】(実施例29) MWPCVD法を用いた図4の堆積装置を使用して図7
に示すトリプル型太陽電池を作製した。まず、実施例1
3と同様にして基板の作製を行った。続いて、実施例1
7と同様な方法で基板上に第1のMWn型層(μc−S
i 層厚10μm)を形成し、さらに第1のRFn型層
(a−Si 層厚10μm)、第1のi型層(a−Si
Ge)、第1のRFp型層(a−Si 層厚10n
m)、第1のMWp型層(μc−Si 層厚10n
m)、第2のRFn型層(μc−Si)、第2のi型層
(a−Si)、第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、第2のMWp型層(μc−Sic 層厚10
nm)、第3のRFn型層(a−SiC)、第3のi型
層(a−SiC)、第3のRFp型層(a−SiC 層
厚10nm)、第3のMWp型層(μc−SiC 層厚
10nm)を順次形成した。各半導体層を形成する際、
SiF4ガスを導入し、iH4ガス流量とSiF4ガス
流量を時間変化させて、各層の水素含有量の層厚方向が
図6−cとなるようにし、フッ素含有量の層厚方向の変
化を図3−cのようにした。さらに、ターゲット電力を
時間変化させてアルカリ土類金属含有量を図6−cのよ
うにした。次に第3のMWp型層上に実施例17と同様
な透明電極を形成した。
【0219】次に透明電極上に実施例1と同様な集電電
極を真空蒸着法で形成した。以上でトリプル型太陽電池
(SC実29)の作製を終えた。 (比較例29−1)各半導体層を形成する際、ターゲッ
ト電力を時間的に一定とする以外は、実施例29と同じ
条件で太陽電池(SC比29−1)を作製した。
【0220】(比較例29−2)第1のRFn型層、第
1のRFp型層、第2のRFp型層、および第3のRF
p型層は形成せず、第1のMWn型層、第1のMWp型
層、第2のMWp型層、および第3のMWp型層の層厚
は20nmとする以外は実施例29と同じ条件で太陽電
池(SC比29−2)を作製した。実施例17と同様な
測定を行ったところ、本実施例の太陽電池(SC実2
9)は、従来の太陽電池(SC比29−1)、(SC比
29−2)よりもさらに優れた特性を有することが分か
った。
【0221】(実施例30)図9のロール・ツー・ロー
ル法を用いた堆積装置を使用して、図8のタンデム型太
陽電池を作製した。実施例14と同様にして基板上に光
反射層、光反射増加層を形成した後、各堆積室にRF電
力、またはMW電力を導入してグロー放電を生起し、そ
れぞれの半導体層を形成した。
【0222】基板上に堆積室901で第1のMWn型層
(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室
902で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室903で第1のi型層(a−SiGe 層
厚180nm)、堆積室904で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室905で第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室906で第
2のRFn型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室
907で第2のi型層(a−Si 層厚250nm)、
堆積室908で第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、堆積室909で第2のMWp型層(μc−S
iC 層厚10nm)を順次形成した。第1のi型層、
第2のi型層を形成する堆積室903,907の原料ガ
ス入り口は複数に別れており、それぞれの入り口から原
料ガスを流入させた。第1のi型層を形成する際、Si
4 ガス流量の基板の搬送方向に対する変化パターンが
矢印926のようにして、i型層の水素含有量の層厚方
向変化を図6−cのようにし、フッ素含有量の層厚方向
変化は図3−cのようになる。基板の搬送が終わったと
ころで、すべてのMW電源、RF電源、ターゲット電源
を切り、グロー放電を止め、原料ガス、掃気ガスの流入
を止めた。装置全体をリークし、巻き取られた基板を取
り出した。次にロール・ツーロール法を用いたスパッタ
リング装置で第2のMWp型層上に170℃で層厚70
nmのITOからなる透明電極を連続形成した。
【0223】次にこの基板の一部を50mm×50mm
の大きさに切断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線
幅0.5mmのカーボンペーストの印刷をし、その上に
層厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、
集電電極を形成した。以上でロール・ツーロール法を用
いたタンデム型太陽電池(SC実30)の作製を終え
た。
【0224】(比較例30−1)第1のi型層、および
第2のi型層を形成する際に、表面積の大きなターゲッ
トを用い、アルカリ土類金属含有量が層厚方向に対して
均一になるようにする以外は、実施例30と同じ条件で
太陽電池(SC比30−1)を作製した。 (比較例30−2)第1のRFn型層、第1のRFp型
層、および第2のRFp型層は形成せず、第1のMWn
型層を30μm、第1のMWp型層および第MWp型層
の層厚は20nmとする以外は実施例30と同じ条件で
太陽電池(SC比30−3)を作製した。
【0225】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実30)は、従来の太陽電池
(SC比30−1),(SC比30−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。 (実施例31)図9の堆積装置を使用して作製したタン
デム型太陽電池をモジュール化し、発電システムに応用
し、フィールドテストを行った。
【0226】実施例30で作製した光未照射の50mm
×50mmのトリプル型太陽電池(SC実30)を65
個を用意し、実施例15と同様にしてモジュール化し
た。作製したモジュールの初期光電変換効率を実施例1
7と同様な方法で測定しておいた。図10の発電システ
ムを示す回路に接続し、負荷には夜間点灯する外灯を使
用した。システム全体は蓄電池、及びモジュールの電力
によって稼働する。この発電システムを(SBS実3
1)と呼ぶことにする。
【0227】(比較例31)光未照射の従来のタンデム
型太陽電池(SC比30−1),(SC比30−2)を
65個用いて実施例31と同様にモジュール化し、初期
光電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施
例15と同様な発電システムに接続した。これらの発電
システムを(SBS比31−1),(SBS比31−
2)と呼ぶことにする。
【0228】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。その結果、本発明の太陽電池を用いた発電システ
ム(SBS実31)は従来の発電システム(SBS比3
1−1),(SBS比31−2)よりもさらに優れた初
期光電変換効率およびフィールド耐久性を有しているこ
とが分かった。
【0229】(実施例32)半導体層に酸素及び窒素原
子を含有する光起電力素子を作製した。 (実施例32−1)i型層を形成する際、O2 /Heガ
スを100sccm、N2 /Heガスを20sccm導
入する以外は実施例17と同じ条件で太陽電池(SC実
32−1)を作製した。
【0230】(実施例32−2)RF−i層型層を形成
する際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガス
を1sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽
電池(SC実32−2)を作製した。 (実施例32−3)MWp型層を形成する際、O2 /H
eガスを100sccm、N2 /Heガスを20scc
m導入し、RFp型層を形成する際、O2 /Heガスを
2sccm、N2 /Heガスを1sccm導入する以外
は実施例17と同じ条件で太陽電池(SC実32−3)
を作製した。
【0231】実施例17と同様な測定を行ったところ、
これらの太陽電池は、太陽電池(SC実17)よりもさ
らに優れた特性を有することが分かった。作製したこれ
らの太陽電池の酸素原子及び窒素原子の濃度をSIMS
を用いて調べたところ、ほぼ導入した原料ガス(Si)
に対する原料ガス(O)、原料ガス(N)の濃度程度に
含有されていることが分かった。
【0232】以上のように、本発明の光起電力素子の効
果は、素子構成、素子材料、素子の作製条件に無関係に
発揮されることが実証された。
【0233】
【発明の効果】本発明の光起電力素子は光励起キャリア
ーの再結合を防止し、開放電圧及び正孔のキャリアーレ
ンジを向上し、短波長光、長波長光の感度を向上させ、
光電変換効率が向上する。また本発明の光起電力素子は
光劣化、振動劣化を抑制できる。そして本発明の光起電
力素子は、順バイアスを印加した場合にも光劣化、振動
劣化を抑制できる。
【0234】さらに本発明の光起電力素子では光起電力
素子を上記のような環境においた場合にも層剥離しない
ものである。さらに本発明の光起電力素子の形成方法に
よれば、光起電力素子の堆積速度を上げることができ、
また原料ガス利用効率が高いため、生産性を飛躍的に向
上させることができる。また本発明の発電システムは高
いフィールド耐久性を有する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の層構成を示す概略図。
【図2】価電子制御剤含有量、アルカリ土類金属含有量
の層厚方向変化を示すグラフ。
【図3】フッ素含有量の層厚方向変化を示すグラフ。
【図4】堆積装置の一例を示す概略図。
【図5】価電子制御剤の原料ガス流量の時間変化を示す
グラフ。
【図6】水素含有量、アルカリ土類金属含有量、バンド
ギャップの層厚方向変化を示すグラフ。
【図7】トリプル型太陽電池の層構成を示すグラフ。
【図8】タンデム型太陽電池の層構成を示す概略図。
【図9】ロール・ツー・ロール法を用いた堆積装置の一
例を示す概略図。
【図10】発電システムの一例を示すブロック図。
【図11】ガス流量、水素含有量、バンドギャップの変
化を示すグラフ。
【図12】価電子制御剤の含有量の層厚方向変化示すグ
ラフ。
【符号の説明】
101,111,121 基板、 102,122 MWn型層、 103,123 RFn型層、 104,114,124 i型層、 105,115 RFp型層、 106,116 MWp型層、 107,117,127 透明電極、 108、118、128 集電電極、 109 光、 112 n型層 125 p型層 130、131、132 RF−i層 400 堆積装置、 401 堆積室、 402 真空計、 403 RF電源、 403 基板、 405 ヒーター、 406 導波管、 407 コンダクタンスバルブ、 408 補助バルブ、 409 リークバルブ、 410 バイアス電極、 411 ガス導入管、 412 アプリケーター、 413 誘電体窓、 414 スパッタ電源、 415 シャッター、 416 ターゲット、 417 ターゲットシャッター、 901〜909 堆積室、 910 基板送り出し室 911 基板巻き取り室、 912 分離通路、 913 長尺状の基板、 914 原料ガスの入り口、 915 原料ガスの排気口、 916 RF電極、 917 マイクロ波アプリケーター、 918 ハロゲンランプヒーター、 919 掃気ガスを流入入り口、 920 送り出しロール、 921,923 ガイドロール、 922 巻き取りロール、 930 ターゲット電極、 931 バイアス電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−177077(JP,A) 特開 平4−338679(JP,A) 特開 平3−273614(JP,A) 米国特許5034333(US,A) 米国特許5256576(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/04 - 31/078

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料を含むp型層、i型層、及びn型層を有する光起
    電力素子において、 前記p型層及び/又はn型層は、高周波プラズマCVD
    法で形成された第1のドーピング層と、低周波プラズマ
    CVD法で形成された第2のドーピング層との積層構造
    を有し、 前記第2のドーピング層は前記第1のドーピング層と前
    記i型層との間に配置され、 前記i型層がアルカリ土類金属を含有し、該 i型層のア
    ルカリ土類金属含有量及び水素含有量が厚さ方向に滑ら
    に変化していることを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料を含むp型層、i型層、及びn型層を有する光起
    電力素子において、 前記p型層及び/又はn型層は、高周波プラズマCVD
    法で形成された第1のドーピング層と、低周波プラズマ
    CVD法で形成された第2のドーピング層との積層構造
    を有し、 前記第2のドーピング層は前記第1のドーピング層と前
    記i型層との間に配置され、 前記i型層がアルカリ土類金属を含有し、且つ ドナーと
    なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤を
    に含有していることを特徴とする光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記ドナーとなる価電子制御剤の含有量
    または/及びアクセプターとなる価電子制御剤の含有量
    は層厚方向になめらかに変化し、且つ少なくとも一方の
    界面近傍で、該含有量が最大となっていることを特徴と
    する請求項2に記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ土類金属はベリリウム、マ
    グネシウム及びカルシウムの中から選ばれる少なくとも
    ひとつの元素であることを特徴とする請求項1〜3にい
    ずれか1項に記載の光起電力素子。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ土類金属はその含有量が層
    厚方向になめらかに変化し、少なくとも一方の界面近傍
    で含有量が最小となっていることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  6. 【請求項6】 前記i型層、前記第2のドーピング層及
    前記第1のドーピング層のうち少なくともひとつの層
    は水素含有量が層厚方向になめらかに変化し、且つ少な
    くとも一方の界面近傍で、該水素含有量が最大となって
    いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の光起電力素子。
  7. 【請求項7】 前記i型層、前記第2のドーピング層及
    前記第1のドーピング層のうち少なくともひとつの層
    はフッ素を含有し、且つフッ素含有量が層厚方向になめ
    らかに変化していることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記フッ素含有量は、少なくとも一方の
    界面近傍において最小となっていることを特徴とする請
    求項7に記載の光起電力素子。
  9. 【請求項9】 前記第2のドーピング層または/及び
    記第1のドーピング層の価電子制御剤の含有量は層厚方
    向になめらかに変化し、且つ少なくとも一方の界面近傍
    で、該含有量が最大となっていることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記第2のドーピング層または/及び
    前記第1のドーピング層は、アルカリ土類金属を含有す
    ることを特徴とする請求項1〜9の1項に記載の光起電
    力素子。
  11. 【請求項11】 前記第2のドーピング層または/及び
    第1のドーピング層に含有されるアルカリ土類金属は、
    その含有量が層厚方向になめらかに変化し、少なくとも
    一方の界面近傍で最小となっていることを特徴とする請
    求項10に記載の光起電力素子。
  12. 【請求項12】 前記アルカリ土類金属はベリリウム、
    マグネシウム及びカルシウムの中から選ばれる少なくと
    もひとつの元素であることを特徴とする請求項10また
    は11に記載の光起電力素子。
  13. 【請求項13】 前記i型層はスズ原子を含有する非晶
    質シリコン・スズからなることを特徴とする請求項1〜
    12のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  14. 【請求項14】 前記i型層、前記第1のドーピング層
    及び前記第2のドーピング層のうち少なくともひとつの
    層は、酸素または/及び窒素原子を含有することを特徴
    とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の光起電力
    素子。
  15. 【請求項15】 前記i型層と前記第2のドーピング層
    の間に、低周波プラズマCVD法で形成されたi型の層
    (RF−i層)を有することを特徴とする請求項1〜1
    4のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  16. 【請求項16】 前記RF−i層は、ドナーとなる価電
    子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤をともに含
    有することを特徴とする請求項15に記載の光起電力素
    子。
  17. 【請求項17】 前記RF−i層に含有されるドナーと
    なる価電子制御剤の含有量または/及びアクセプターと
    なる価電子制御剤の含有量は、層厚方向になめらかに変
    化し、且つ少なくとも一方の界面近傍で最大となってい
    ることを特徴とする請求項16に記載の光起電力素子。
  18. 【請求項18】 前記RF−i層は、フッ素を含有し、
    且つフッ素含有量が層厚方向になめらかに変化し、且つ
    少なくとも一方の界面近傍で含有量が最小となっている
    ことを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記
    載の光起電力素子。
  19. 【請求項19】 前記RF−i層は、水素含有量が層厚
    方向になめらかに変化し、且つ少なくとも一方の界面近
    傍で最大となっていることを特徴とする請求項15〜1
    8のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  20. 【請求項20】 前記RF−i層は、アルカリ土類金属
    を含有することを特徴とする請求項15〜19のいずれ
    か1項に記載の光起電力素子。
  21. 【請求項21】 前記RF−i層に含有されるアルカリ
    土類金属は、その含有量が層厚方向になめらかに変化
    し、少なくとも一方の界面近傍で最小となっていること
    を特徴とする請求項20に記載の光起電力素子。
  22. 【請求項22】 前記i型層RF−i層は、スズ原子を
    含有する非晶質シリコン・スズからなることを特徴とす
    る請求項15〜21のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  23. 【請求項23】 前記RF−i層は、酸素または/及び
    窒素原子を含有することを特徴とする請求項15〜22
    のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  24. 【請求項24】 請求項1〜23記載のいずれか1項に
    記載の光起電力素子と、該光起電力素子の電圧及び/ま
    たは電流をモニターし蓄電池及び/または外部負荷への
    前記光起電力素子からの電力の供給を制御する制御シス
    テムと、前記光起電力素子からの電力の蓄積及び/また
    は外部負荷への電力の供給を行う蓄電池とから構成され
    ていることを特徴とする発電システム。
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