JP2836717B2 - 光起電力素子及び発電システム - Google Patents

光起電力素子及び発電システム

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JP2836717B2
JP2836717B2 JP4332063A JP33206392A JP2836717B2 JP 2836717 B2 JP2836717 B2 JP 2836717B2 JP 4332063 A JP4332063 A JP 4332063A JP 33206392 A JP33206392 A JP 33206392A JP 2836717 B2 JP2836717 B2 JP 2836717B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【利用分野】本発明は非単結晶シリコン系半導体材料か
らなるpin型の光起電力素子及び発電システムに係わ
る。特にドーピング層及びi型層がマイクロ波プラズマ
CVD法(MWPCVD法)で形成され、非単結晶シリ
コン系半導体材料からなる半導体層(単に半導体層と略
記する)にアルカリ金属を含有する光起電力素子に関す
るものである。また優れた生産性を有する光起電力素子
に関するものである。加えて該光起電力素子を利用した
発電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年より堆積速度が速く、且つ原料ガス
利用効率が優れているMWPCVD法を用いて光起電力
素子の検討が勢力的に行われている。例えば、i型層を
MWPCVD法で形成した例としては、「マイクロ波プ
ラズマCVD法によるa−Si太陽電池],東 和文、
渡辺猛志、嶋田寿一、第50回応用物理学会学術講演会
予稿集 pp.566.等が挙げられる。この光起電力
素子ではi型層をMWPCVD法で形成することによっ
て良質、且つ堆積速度の早いi型層を得ている。
【0003】またドーピング層をMWPCVD法で形成
した例としては、例えば“High Efficien
cy Amorphous Solar Cell E
mploying ECR−CVD Produced
p−TypeMicrocrystalline S
iC Film”,Y.Hattori,D.Krua
ngam,T.Toyama,H.Okamoto a
nd Y.Hamakawa,Proceedings
of the International PVS
EC−3 Tokyo Japan 1987 pp.
171.“HIGH−CONDUCTIVE WIDE
BAND GAP P−TYPE a−SiC:H
PREPARED BY ECR CVD AND I
TS APPLICATION TO HIGH EF
FICIENCY a−Si BASIS SOLAR
CELLS”,Y.Hattori,D.Kruan
gam,K.Katou,Y.Nitta,H.Oka
moto andY.Hamakawa,Procee
dings of 19th IEEEPhotovo
ltaic Specialists Confere
nce1987 pp.689.等が挙げられる。これ
らの光起電力素子ではp型層にMWPCVD法を用いる
ことによって良質なp型層を得ている。
【0004】しかしこれらの例では、i型層、およびp
型層の形成の両方にMWPCVD法が利用されてはいな
い。現状ではMWPCVD法で形成したi型層とMWP
CVD法で形成したドーピング層を積層すると、界面に
欠陥準位が多く発生し、良好な特性を有する光起電力素
子が得られないためと考えられる。
【0005】またアルカリ金属を含有する非単結晶シリ
コン系半導体材料やこれを用いた光起電力素子の検討も
進められている。例えば、“Evaporated l
ithium−doped amourphoussi
licon solar cells.Final r
eport part 1”,US DOE Rep,
No.DOE−ER−10504−1−PT−1 P
P.13 1982,ではリチウムが有効なドナー・ド
ーパントであることが述べられている。
【0006】特開昭57−90931ではシリコンと同
時にリチウム、ナトリウム、セシウム、ルビジウムのフ
ッ化物をスパッタリングすることによって未結合手を減
少させ、熱的に安定なドーピング層を得ているが、i型
層には用いていない。またこの例ではアルカリ金属は主
構成元素である。
【0007】特開平03−136284ではi型層にリ
チウムをヘビードープし、光起電力素子の光電変換効率
を向上させている。しかし、この例においてもリチウム
はi型層の主構成元素であり、不均一に含有させ、さら
にその不均一性と水素含有量との関係、フッ素含有量と
の関係、光劣化、振動劣化との関係については言及され
ていない。
【0008】特開昭61−255073ではi型層のナ
トリウムの最低含有量が5×1018cm-3以下である領
域の存在によって光起電力素子の光電変換効率を向上で
きると述べられている。しかしこの例ではナトリウム含
有量が界面近傍で多くなっているものである。
【0009】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層やこれを用いた光起電力素子の検討も進められ
ている。例えば、「アモルファス太陽電池の実用化研究
アモルファス太陽電池高信頼性素子製造技術研究」、
サンシャイン計画研究開発の概況.太陽エネルギー−
1.光利用技術 VOL.1985 pp.I.231
−I.243 1986.“The chemical
and configurational basi
s of high efficiency amor
phous photovoltaic cell
s”,Ovshinsky.S.R,Proceedi
ngs of 17th IEEE Photovol
taic Specialists Conferen
ce 1985 pp.1365.“Preparat
ion and properties of spu
ttered a−Si:H:F films”,Be
yer.W.Chevallier.J,Reiche
lt.K,Solar Energy Materia
l vol.9,No2,pp.229−245 19
83.Development of the sci
entific and technical bas
is for integrated amorpho
us silicon modules. Resea
rch on a−Si:F:H(B) alloys
and module testing atIET
−CIEMAT.”,Gutierrez M T,P
Delgado L,Photovolt,Powe
r Gener.,pp.70−751988.“Th
e effect of fluorine on t
he photovoltaic propertie
s of amorphos silicon”,Ko
nagai M,Nishihata K,Takah
ashiK,Komoro K,Proceeding
s of 15th IEEEPhotovoltai
c Specialists Conference1
981 pp.906.等が挙げられる。しかし、これ
らの例においても光劣化現象、熱的安定性については言
及されているが、フッ素の層厚方向変化と光電変換効率
の関係、あるいは水素の層厚方向との関係、あるいは振
動劣化との関係については述べられていない。また、こ
れらの例では良質なドーピング層が得られているが、高
い光電変換効率有する光起電力素子を得るには至ってい
ない。
【0010】上記の従来の光起電力素子では、i型層の
形成およびドーピング層の形成の両方にMWPCVD法
が使用する場合、p/i界面、n/i界面近傍での光励
起キャリアーの再結合、開放電圧、及び正孔のキャリア
ーレンジの向上が望まれている。
【0011】またドーピング層、及びi型層をMWPC
VD法で形成した光起電力素子は、光起電力素子に光を
照射した場合に光電変換効率の低下を更に少なくするこ
とが望まれている。
【0012】さらにドーピング層、及びi型層をMWP
CVD法で形成した光起電力素子はドーピング層とi型
層の界面近傍に歪があり、長期間振動がある環境に置く
と光電変換効率が低下(振動劣化)するという問題点が
あった。
【0013】さらに上記の光起電力素子では長期間、高
温度環境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著であっ
た。
【0014】またさらに上記の光起電力素子では長期
間、高湿度環境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著
であった。
【0015】またさらに上記の光起電力素子では順バイ
アスを印加し、上記の環境に置いた場合の光劣化、振動
劣化が顕著であった。
【0016】またアルカリ金属を多量に含有する光起電
力素子は光電変換効率が極めて低いという問題点があっ
た。
【0017】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層はフッ素を含まないものに比べて層剥離しやす
いという問題点があった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決する光起電力素子を提供することを目的とす
る。即ち、本発明は堆積速度を向上させた従来の光起電
力素子において、光電変換効率を向上させた光起電力素
子を提供することを目的としている。
【0019】また、本発明は、光劣化、振動劣化を抑制
した光起電力素子を提供することを目的としている。
【0020】さらに本発明は、高温度環境における光起
電力素子の光劣化、振動劣化を抑制することを目的とし
ている。
【0021】さらに本発明は、高湿度環境における光起
電力素子の光劣化、振動劣化を抑制することを目的とし
ている。
【0022】さらに本発明は、光起電力素子に順バイア
スを印加し、上記の環境に置いた場合の光劣化、振動劣
化を抑制することを目的としている。
【0023】さらに本発明は、光起電力素子を上記のよ
うな環境に置いた場合でも半導体層が剥離しない光起電
力素子を提供することを目的としている。
【0024】またさらに、本発明は優れた生産性を有す
る光起電力素子を提供することを目的としている。
【0025】またさらに、本発明は上記目的を達成した
光起電力素子を利用した発電システムを提供することを
目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の問題点を
解決し、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、
見いだされたものであって、本発明の光起電力素子は、
水素を含有する非単結晶シリコン系半導体材料からなる
p型層、i型層、n型層を積層して構成され、該i型層
がアルカリ金属を含有しマイクロ波プラズマCVD法に
よって形成された光起電力素子において、該i型層のア
ルカリ金属及び水素含有量が層厚方向になめらかに変化
し、且つ該p型層及びn型層のうち少なくともひとつの
層はマイクロ波プラズマCVD法で形成された層(MW
ドーピング層)とRFプラズマCVD法で形成された層
(RFドーピング層)との積層構造からなり、該RFド
−ピング層が該MWド−ピング層と該i型層に挟まれる
ように配置されたことを特徴とする。
【0027】また、本発明の光起電力素子は、水素を含
有する非単結晶シリコン系半導体材料からなるp型層、
i型層、n型層を積層して構成され、該i型層がアルカ
リ金属を含有しマイクロ波プラズマCVD法によって形
成された光起電力素子において、該i型層はゲルマニウ
ム、スズ及び炭素の内少なくとも1種を含み、ゲルマニ
ウム及びスズの含有量は、層厚方向になめらかに変化し
含有量が最大となる位置がi型層の中央の位置よりp型
層に片寄り、炭素の含有量は層厚方向になめらかに変化
し含有量が最小となる位置がi型層の中央の位置よりp
型層に片寄ったi型層であり、且つ該p型層及びn型層
のうち少なくともひとつの層はマイクロ波プラズマCV
D法で形成された層(MWドーピング層)とRFプラズ
マCVD法で形成された層(RFドーピング層)との積
層構造からなり、該RFド−ピング層が該MWド−ピン
グ層と該i型層に挟まれるように配置されたことを特徴
とする。
【0028】さらに本発明の光起電力素子は、水素を含
有する非単結晶シリコン系半導体材料からなるp型層、
i型層、n型層を積層して構成され、該i型層がアルカ
リ金属を含有しマイクロ波プラズマCVD法によって形
成された光起電力素子において、該i型層はドナーとな
る価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤が共
に含有されたi型層であり、且つ該p型層及びn型層の
うち少なくともひとつの層はマイクロ波プラズマCVD
法で形成された層(MWドーピング層)とRFプラズマ
CVD法で形成された層(RFドーピング層)との積層
構造からなり、該RFド−ピング層が該MWド−ピング
層と該i型層に挟まれるように配置されたことを特徴と
する。
【0029】また本発明の望ましい形態は前記i型層と
前記RFドーピング層との間にRFプラズマCVD法で
形成されたi型の層(RF−i層)を有する上記の光起
電力素子である。
【0030】また本発明の望ましい形態は前記RF−i
層にドナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価
電子制御剤がともに含有されている上記の光起電力素子
である。
【0031】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、RFドーピング層、MWドーピング層のう
ち少なくともひとつの層はフッ素を含有し、フッ素含有
量が層厚方向になめらかに変化している前記の光起電力
素子である。
【0032】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、RFドーピング層、MWドーピング層の少
なくともひとつの層は該層の少なくとも一方の界面近傍
で、フッ素含有量が最小となっている前記の光起電力素
子である。
【0033】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、RFドーピング層、MWドーピング層の少
なくともひとつの層は該層の少なくとも一方の界面近傍
で、水素含有量が最大となっている前記の光起電力素子
である。
【0034】また本発明の望ましい形態は前記RF−i
層、RFドーピング層、MWドーピング層に前記アルカ
リ金属が含有されている前記の光起電力素子である。
【0035】また本発明の望ましい形態は前記アルカリ
金属は含有される層の少なくとも一方の界面近傍で含有
量が最小となっている前記の光起電力素子である。
【0036】また本発明の望ましい形態は前記アルカリ
金属がリチウム、ナトリウム、カリウムの中から選ばれ
た少なくとひとつの元素である前記の光起電力素子であ
る。
【0037】また本発明の望ましい形態は前記i型層ま
たは/及びRF−i層にスズを含有させ、該層が非晶質
シリコン・スズ(a−SiSn)からなる前記の光起電
力素子である。
【0038】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、RFドーピング層、MWドーピング層に含
有されるドナーとなる価電子制御剤の含有量、またはア
クセプターとなる価電子制御剤の含有量は層厚方向に変
化し、該層の一方の界面近傍で含有量が最大となってい
る前記の光起電力素子である。
【0039】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、MWドーピング層、RFドーピング層の少
なくともひとつの層に酸素または/及び窒素が含有され
ている前記の光起電力素子である。
【0040】また本発明の発電システムは前記の光起電
力素子と、該光起電力素子の電圧及び/または電流をモ
ニターし蓄電池及び/または外部負荷への前記光起電力
素子からの電力の供給を制御する制御システム、及び前
記光起電力素子からの電力の蓄積及び/または外部負荷
への電力の供給を行う蓄電池から構成されていることを
特徴としている。
【0041】以下図面を参照しながら本発明を詳細に説
明する。
【0042】図1(a)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図である。図1(a)において、本発明の光起電
力素子は基板101、MWPCVD法で形成され、n型
の伝導型を有するMWn型層102、RFPCVD法で
形成され、n型の伝導型を有するRFn型層103、M
WPCVD法で形成され、アルカリ金属を含有するi型
層104、RFCVD法で形成され、p型の伝導型を有
するRFp型層105、MWPCVD法で形成され、p
型の伝導型を有するMWp型層106、透明電極10
7、及び集電電極108等から構成される。
【0043】図1(b)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図の他の例である。図1(b)において、本発明
の光起電力素子は基板111、n型の伝導型を有するn
型層112、i型層114、RFp型層115、MWp
型層116、透明電極117、及び集電電極118等か
ら構成される。
【0044】図1(c)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図の他の例である。図1(c)において、本発明
の光起電力素子は基板121、MWn型層122、RF
n型層123、i型層124、p型の伝導型を有するp
型層125、透明電極127、及び集電電極128等か
ら構成される。
【0045】図1においてn型層、p型層はRFCVD
法またはMWPCVD法で形成されるが、RFPCVD
法で形成するのが望ましい。
【0046】さらに図1のようなpin型構造の光起電
力素子の他に、n型層とp型層の積層順序を逆にしたn
ip型構造の光起電力素子であってもよい。
【0047】さらに図1のようなpin型構造の光起電
力素子において、積層構造を有するドーピング層とi型
層の間にRFPCVD法で形成されたi型層(RF−i
層)を有する図2のような光起電力素子であってもよ
い。
【0048】またさらに本発明の積層構造を有するドー
ピング層はRFp型層/MWp型層/RFp型層/i型
層、i型層/RFn型層/MWn型層/RFn型層等の
ような(RF/MW)n /RF型の3つ以上の層からな
る積層構造であってもよいし、あるいはMWp型層/R
Fp型層/MWp型層/RFp型層/i型層等のような
(MW/RF)n 型の積層構造であってもよい。
【0049】また本発明の光起電力素子はpinpin
構造やpinpinpin構造等のpin構造を積層し
たものであってもよい。
【0050】また本発明の光起電力素子はnipnip
構造やnipnipnip構造等のnip構造を積層し
たものであってもよい。
【0051】本発明の光起電力素子ではMWドーピング
層、及びi型層を形成する際、MWPCVD法を用いて
いるため、堆積速度が速く、スループットを向上させる
ことができ、さらには原料ガスの利用効率を向上させる
ことができ、優れた生産性を有するものである。
【0052】また本発明の光起電力素子ではドーピング
層をMWPCVD法で形成しているために、光起電力素
子として良好な特性を有するドーピング層が得られる。
すなわち、該ドーピング層は光の透過性がよく、電気伝
導度が高く、活性化エネルギーが小さいためドーピング
層として優れており、特に光入射側のドーピング層とし
て有効である。さらにMWPCVD法で形成しているた
めに良質な微結晶シリコン系半導体材料、またはバンド
ギャップの広い良質な非単結晶シリコン系半導体材料を
比較的容易に形成することができ、光入射側のドーピン
グ層として有効である。
【0053】さらに本発明の光起電力素子ではドーピン
グ層をMWPCVD法で形成しているために光起電力素
子の光劣化、とりわけ開放電圧の劣化を抑制することが
できる。
【0054】その詳細なメカニズムは不明であるが、以
下のように考えられる。一般的には光照射によって生成
した未結合手がキャリアーの再結合中心になり光起電力
素子の特性が劣化するものと考えられている。MWPC
VD法で形成されたドーピング層(MWドーピング層)
は堆積速度2nm/sec以上の速度で形成されるため
に、導入される価電子制御剤が100%活性化されず、
未結合手が発生してもそれを不活性な価電子制御剤がタ
ーミネートするため、光起電力素子の特性、特に開放電
圧の低下を抑制することができると考えられる。
【0055】また上記MWPCVD法で形成されたi型
層とMWドーピング層の間にRFPCVD法で形成され
たドーピング層(RFドーピング層)があるために、界
面準位を減少させることができ、光電変換効率を向上で
きるものである。その詳細なメカニズムは不明である
が、以下のように考えられる。
【0056】RFドーピング層は、気相反応が起こりに
くい低パワーで形成し、堆積速度を1nm/sec以下
にすることが望ましい。その結果、パッキング・デンシ
ティーは高くなり、且つ該層をi型層と積層した場合
に、各層の界面準位が少なくなるものである。特にi型
層の堆積速度が5nm/sec以上の場合において、マ
イクロ波によってグロー放電を励起した直後、あるいは
停止した直後ではi型層の表面近傍は充分に緩和してい
ないために表面準位が多くなっているものである。
【0057】堆積速度の遅いRFドーピング層上にi型
層を形成することによって、グロー放電を生起した直後
におけるi型層の初期膜は下地の影響を受け、パッキン
グ・デンシティーが高くなり、ダングリングボンドが少
ない層になっており、表面準位が減少しているものと考
えられる。
【0058】またさらにi型層の表面に堆積速度の遅い
RFドーピング層を形成することによって、i型層の表
面準位を、RFドーピング層の形成と同時に起こる水素
原子の拡散によるアニーリングによって減少させること
ができているものと考えられる。
【0059】またRFドーピング層の価電子制御剤の含
有量をi型層の内部よりも高くし、且つMWPCVD法
で形成したドーピング層の価電子制御剤の含有量よりも
低くすることによって、光起電力素子の開放電圧及びフ
ィルファクタ−を向上せることができる。
【0060】加えて本発明の光起電力素子は、振動劣化
しにくいものである。この詳細なメカニズムは不明であ
るが、構成元素比が非常に異なるMWドーピング層とi
型層の間にRFドーピング層を設けることによって局所
的な柔軟性が増し、MWドーピング層とi型層との間の
局所的な歪を緩和することができ、歪による欠陥準位の
発生を防止することができ、長期間の振動下に置いても
光起電力素子の光電変換効率の低下を抑制することがで
きるものと考えられる。このことはRFドーピング層の
両界面で水素含有量が多くなっている場合、特に効果が
ある。
【0061】加えて本発明の光起電力素子は、光劣化し
にくいものである。そのメカニズムの詳細は不明である
が、一般的にはドーピング層の界面近傍には多くのウィ
ークボンドが存在し、光によってウィークボンドが切れ
るために光起電力素子の特性が劣化すると考えられる。
本発明の場合、RFドーピング層または/及びMWドー
ピング層の界面近傍に多くの価電子制御剤を導入するこ
とで、光照射によって未結合手が生成されたとしても、
それらが活性化していない価電子制御剤と反応して未結
合手を補償するものと考えられる。
【0062】ドーピング層の層厚方向に対する価電子制
御剤含有量の変化パターンとしては以下の例が好適な例
として挙げられる。図13(a),(b),(c)にお
いて(B含有量)はアクセプターとなる価電子制御剤の
含有量を示し、(P含有量)はドナーとなる価電子制御
剤の含有量を示す。
【0063】図13(a)はドーピング層の両界面で含
有量が極大となり、光入射側の界面で含有量の急激な勾
配があるようにした例である。バンドギャップの小さい
i型層を有する光起電力素子に対して特に効果がある。
【0064】図13(b)はドーピング層の光入射側の
界面で含有量が最大、反対の界面で最小となるように
し、光入射側で含有量の急激な勾配があるようにした例
である。
【0065】図13(c)はドーピング層の両界面で含
有量が極大となるようにし、両界面側で含有量の急激な
勾配があるようにした例である。特にp型層側から光を
入射させた場合、効果がある。バンドギャップの大きな
材料からなるi型層を有する光起電力素子に対して特に
効果がある。
【0066】さらに本発明の光起電力素子はi型層にア
ルカリ金属が含有され、またアルカリ金属含有量が層厚
方向になめらかに変化しているものである。そうするこ
とによって、光起電力素子に順バイアス電圧を印加した
場合の光劣化、振動劣化を抑制することができる。その
詳細なメカニズムは不明であるが、次のように考えられ
る。
【0067】非単結晶シリコン系半導体材料からなるi
型層にアルカリ金属を含有させると、アルカリ金属はシ
リコン、ゲルマニウム、スズ、炭素といったi型層の主
構成元素に電子を供与し、イオン化する。イオン化され
たアルカリ金属はi型層内部で比較的動きやすい状態に
あり、またイオン化されたアルカリ金属は順バイアスを
印加することにより発生した弱電界領域に集まりやすい
と考えられる。加えて一般的にはi型層の内部電解が弱
いと光誘起欠陥、振動誘起欠陥が発生しやすく、光劣
化、振動劣化が強くなる傾向がある。そこで本発明にお
いては弱電界領域にはアルカリ金属含有量を比較的多く
し、強電界領域になるべく少なく含有させることによっ
て、光誘起欠陥、振動劣化が発生してもイオン化したア
ルカリ金属が結合して補償するものと考えられる。また
光誘起欠陥、振動誘起欠陥が発生しにくい強電界領域で
はなるべくアルカリ金属の含有量を少なくすることが望
ましい。このような弱電界領域での補償メカニズムは他
の元素を含有させることでは現れないものと考えられ
る。また原子状のアルカリ金属が光誘起欠陥、振動誘起
欠陥を補償し、イオン化されることも考えられる。以上
の効果は本発明のようにドーピング層が積層構造を有す
る場合、特に強く現れる。さらに以上の効果はi型層中
の水素含有量、フッ素含有量が下記に述べるように層厚
方向に変化している場合、さらに強くなる。
【0068】以下、図面を参照にしながら、本発明の光
起電力素子におけるi型層のアルカリ金属含有量の望ま
しい変化パターンの例を説明する。
【0069】図3(a)ではp型層でアルカリ含有量を
急激に変化させ、含有量の最小値がバルク内部のp型層
側にある例である。この場合、層厚方向に対する水素含
有量の変化パターンは図3(a)のものが望ましい。ま
たnip型の光起電力素子でn型層側から光を入射させ
る場合には変化パターンを層厚方向に対して逆にすれば
よい。またp/i界面がヘテロ接合からなる場合、特に
効果がある。
【0070】図3(b)ではp型層からn型層側にゆっ
くりと変化させ、アルカリ金属含有量の最小値がn型層
との界面にある例である。この場合、層厚方向に対する
水素含有量の変化パターンは図3(b)のものが望まし
い。またnip型の光起電力素子でn型層側から光を入
射する場合、変化パターンを層厚方向に対して逆にすれ
ばよい。
【0071】図3(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側でアルカリ金属含有量が急激に変化している例で
ある。この場合、層厚方向に対する水素含有量の変化パ
ターンは図3(c)のものが望ましい。p/i界面、n
/i界面がヘテロ接合からなる場合、特に効果がある。
【0072】本発明においてアルカリ金属の含有量は層
厚方向に変化するが、ある微小領域における含有量の最
大値(Cmax)は5×1018cm-3以下、最小値(C
min)は5×1014cm-3以上であることが望まし
い。
【0073】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対してアルカリ金属含有量を変化させる
ことはRFドーピング層、MWドーピング層、後述する
RF−i層にも適用できるものである。
【0074】加えて本発明の光起電力素子はi型層の水
素含有量が層厚方向になめらかに変化しているものであ
る。そうすることによって光電変換効率が向上する。す
なわち、例えば、図3(a)のようにi型層のp型層、
n型層側で水素含有量を多くし、且つ水素含有量が最小
となるところをバルク内部のp型層側にすることによっ
て図4(a)に見られるようにi型層のバンドギャップ
はp型層側、n型層側で極大となり、最小値はバルク内
部のp型層側となる。このためi型層のp型層側では伝
導帯の電界が大きいことによって電子と正孔の分離が効
率よく行われ、p型層とi型層の界面近傍での電子と正
孔の再結合を減少させることができる。また電子がp型
層に逆拡散することを抑制することができる。さらにi
型層からn型層に向かって価電子帯の電界が大きくなっ
ていることによってi型層のn型層側で励起された電子
と正孔の再結合を減少させることができる。
【0075】またドーピング層とi型層界面近傍におい
て水素含有量を多くすることによって欠陥準位が水素で
補償されることによって欠陥準位を介したホッピング伝
導による暗電流(逆バイアス時)が減少し、光起電力素
子の開放電圧及びフィルファクターを向上させることが
できる。
【0076】またバルク内部よりも界面近傍に水素を多
く含有させることによって、界面近傍特有の構成元素が
急激に変化することによる歪等の内部応力を減少させる
ことができる。その結果、長時間振動下に置いても光電
変換効率が低下することを抑制することができる。
【0077】また特にi型層とドーピング層の間がヘテ
ロ接合(Si/SiGe,Si/SiCなど)からなる
場合において特に効果がある。一般的にはヘテロ接合の
界面には多くの界面準位、内部応力が存在すると考えら
れる。本発明の光起電力素子ではヘテロ接合の界面近傍
に多くの水素を含有させることによって、界面準位を減
少させ、さらには内部応力を緩和することができる。
【0078】一般的に非晶質シリコン系半導体材料から
なるi型層中の水素含有量を多くするとバンドギャップ
が大きくなることが知られている。
【0079】以下に図面を参照にしながら、バンドギャ
ップの層厚方向の変化から考えた、本発明の光起電力素
子におけるi型層の水素含有量の望ましい変化パターン
の例を説明する。
【0080】図3(a)では前述したようにp型層側で
水素含有量を急激に変化させ、含有量の最小値がバルク
内部のp型層側にある例である。この場合、バンドギャ
ップは図4(a)のようになり、p型層側から光を入射
させると、前記p型層とi型層の界面近傍の高電界及び
n型層とi型層の界面近傍の高電界をさらに有効に利用
することができ、i型層中で光励起された電子と正孔の
収集効率を向上させることができる。
【0081】またnip型の光起電力素子でn型層側か
ら光を入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対
して逆にすればよい、またi型層のバンドギャップが小
さい場合、特に効果がある。またp/i界面がヘテロ接
合からなる場合、特に効果がある。
【0082】図3(b)ではp型層からn型層側にゆっ
くりと変化させ、含有量の最小値がp型層との界面にあ
る例である。この場合、バンドギャップは図4(b)の
ようになり、i型層の全領域にわたって価電子帯の電界
を大きくすることができ、特に正孔に対するキャリアレ
ンジを向上させることができ、フィルファクターを改善
することができる。またnip型の光起電力素子でn型
層側から光を入射する場合、変化パターンを層厚方向に
対して逆にすればよい。またi型層のバンドギャップが
小さい場合、特に効果がある。
【0083】図3(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側で水素含有量が急激に変化している例である。こ
の場合、バンドギャップは図4(c)のようになり、i
型層のp型層側で伝導帯の電界を大きくすることがで
き、特に電子のp型層への逆拡散を抑制することができ
る。またi型層とn型層で価電子帯の電界を強くするこ
とができ、特に正孔のn型層への逆拡散を抑制すること
ができる。またこのような水素含有量、およびバンドギ
ャップの変化パターンはバンドギャップの大きなi型層
を有する光起電力素子に対して特に効果がある。すなわ
ち図4(c)においてp型層側から光を入射した場合、
バンドギャップの大きなi型層では光を充分吸収しきれ
ず、i型層とn型層の界面近傍での光励起キャリアーは
再結合することなく、この界面近傍での強い電界によっ
て分離され、収集効率を上げることができる。またさら
に光反射層を有する光起電力素子に対して効果がある。
すなわち光反射層を有する光起電力素子においては、両
方の層から光が入射されるために同様に収集効率を上げ
ることができる。上記のように対するキャリアレンジを
向上させることができ、フィルファクターを向上させる
ことができる。さらに、振動の大きい環境で光起電力素
子を使用する場合、特に効果がある。p/i界面、n/
i界面がヘテロ接合からなる場合、特に効果がある。
【0084】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対して水素含有量を変化させることはR
Fドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−i
層にも適用できるものである。
【0085】また本発明においては、i型層にドナーと
なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤を
ともに含有させることによって光劣化を抑制することが
できる。そのメカニズムの詳細は不明であるが、本発明
の場合、i型層内の価電子制御剤は100%活性化して
いない。その結果光照射によってウィークボンドが切れ
て未結合手が生成したとしても、それらが活性化してい
ない価電子制御剤と反応して未結合手を補償するものと
考えられる。
【0086】また特にi型層界面近傍にはウィークボン
ドが数多く存在すると考えられ、本発明の場合、ドーピ
ング層との界面近傍には価電子制御剤が多く分布され、
未結合手を補償するものと考えられる。
【0087】また光起電力素子に照射される光強度が弱
い場合にも、欠陥準位が価電子制御剤によって補償され
ているため光励起された電子と正孔がトラップさせる確
率が減少する、また前記したように逆バイアス時の暗電
流が少ないために十分な起電力を生じることができる。
その結果光起電力素子ヘの照射光強度が弱い場合におい
ても優れた光電変換効率を示すものである。
【0088】加えて本発明の光起電力素子は、長期間振
動下においても光電変換効率が低下しにくいものであ
る。一般的にはi型層とド−ピング層との界面では構成
元素が非常に異なるために界面には内部応力が存在し、
振動によって未結合手が形成され、光電変換効率が低下
すると考えられている。しかしi型層内部にドナーとな
る価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤がと
もに含有されていることによって、未結合手が生成した
としても、それらが活性化していない価電子制御剤と反
応して未結合手を補償するものと考えられる。さらにと
もに含有されるドナーとなる価電子制御剤とアクセプタ
ーとなる価電子制御剤の含有量が層厚方向になめらかに
変化し、且つ界面近傍で価電子制御剤の含有量が多くな
っている場合、特に効果がある。またi型層とドーピン
グ層の間がへテロ接合(Si/SiGe、Si/SiC
など)からなる場合において特に効果がある。一般的に
はへテロ接合の界面には多くの界面準位、内部応力が存
在すると考えられる。本発明の光起電力素子ではへテロ
接合の界面近傍に多くの不活性の価電子制御剤を含有さ
せることによって、界面準位を減少させることができ
る。
【0089】i型層中の価電子制御剤の含有量の層厚方
向に対する変化のパターンとしては図5に示した以下の
例が挙げられる。図5において(B含有量)はアクセプ
ターとなる価電子制御剤の含有量を示し、P含有量はド
ナーとなる価電子制御剤の含有量を示す。図5(a)は
i型層のp型層側、n型層側で含有量が極大となり、i
型層のバルク内部のp型層側で最小となるようにし、p
型層側で含有量の急激な勾配があるようにした例であ
る。特にp型層側から光を入射させた場合、効果があ
る。nip型の光起電力素子でn型層側から光を入射す
る場合には、パターンを層厚方向に対して逆にすればよ
い。さらにバンドギャップの小さいi型層を有する光起
電力素子に対して特に効果がある。
【0090】図5(b)はi型層のp型層側で含有量が
最大、n型層側で最小となるようにし、p型層側で含有
量の急激な勾配があるようにした例である。特にp型層
側から光を入射させた場合、効果がある。nip型の光
起電力素子でn型層側から光を入射する場合には、パタ
ーンを層厚方向に対して逆にすればよい。さらにバンド
ギャップの小さいi型層を有する光起電力素子に対して
特に効果がある。
【0091】図5(c)はi型層のp型層側、n型層側
で含有量が極大となるようにし、p型層側、n型層側で
含有量の急激な勾配があるようにした例である。特にp
型層側から光を入射させた場合、効果がある。nip型
の光起電力素子でn型層側から光を入射する場合には、
パターンを層厚方向に対して逆にすればよい。図5
(c)のような変化パターンはバンドギャップの大きな
材料からなるi型層を有する光起電力素子に対して特に
効果がある。すなわち図5(c)においてp型層側から
光を入射した場合、n型層側でもキャリアーが励起され
るためこの領域でも価電子制御剤の含有量を多くするの
が望ましい。
【0092】i型層の場合においてはドナーとなる価電
子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤は互いに補
償するように含有されるのが好ましい。このような価電
子制御剤の分布は各半導体層にも適用できるものであ
る。
【0093】また、一般的に非晶質シリコン系半導体材
料からなるi型層中のゲルマニウムまたは/及びスズ含
有量を多くするとバンドギャップが小さくなることが知
られている。
【0094】本発明の光起電力素子はi型層のゲルマニ
ウムまたは/及びスズの含有量が層厚方向になめらかに
変化しているものである。そうすることによって光電変
換効率が向上する。すなわち、例えば、図6(a)のよ
うにi型層のp型層側、n型層側でゲルマニウムまたは
/及びスズの含有量を少なくし、且つゲルマニウムまた
は/及びスズの含有量が最大となるところをバルク内部
のp型層側に設けることによって図7(a)に見られる
ようにi型層のバンドギャップはp型層側、n型層側で
極大、最小はバルク内部のp型層側となる。このためi
型層のp型層側では伝導帯の電界が大きいことによって
電子と正孔の分離が効率よく行われ、p型層とi型層の
界面近傍での電子と正孔の再結合を減少させることがで
きる。また電子がp型層に逆拡散することを抑制するこ
とができる。さらにi型層からn型層に向かって価電子
帯の電界が大きくなっていることによってi型層のn型
層側で励起された電子と正孔の再結合を減少させること
ができる。
【0095】またドーピング層とi型層の界面近傍にお
いてゲルマニウムまたは/及びスズの含有量を少なくす
ることによって、光起電力素子の開放電圧及びフィルフ
ァクターを向上させることができる。
【0096】また内部よりも界面近傍にゲルマニウムま
たは/及びスズを少なく含有させることによって、界面
近傍特有の構成元素が急激に変化することによる内部応
力を減少させることができる。その結果、長時間振動下
に置いても光電変換効率が低下することを抑制すること
ができる。またi型層とドーピング層の間がへテロ接合
(Si/SiGe、SiC/SiGeなど)からなる場
合において特に効果がある。
【0097】一般的にはへテロ接合の界面には多くの界
面準位、内部応力が存在すると考えられる。本発明の光
起電力素子ではへテロ接合の界面近傍にゲルマニウムま
たは/及びスズを少なく含有させることによって、ヘテ
ロ界面近傍の柔軟性を増し、内部応力を緩和し、界面準
位を減少させることができる。
【0098】以下、図面を参照にしながら、バンドギャ
ップの層厚方向の変化から考えた、本発明の光起電力素
子におけるi型層のゲルマニウムまたは/及びスズの含
有量の望ましい変化パターンの例を説明する。
【0099】図6(a)では前述したようにp型層側で
ゲルマニウムまたは/及びスズの含有量を急激に変化さ
せ、含有量の最大値がバルク内部のp型層側にある例で
ある。この場合、バンドギャップは図7(a)のように
なり、p型層側から光を入射させると、前記p型層とi
型層の界面近傍の高電界及びn型層とi型層の界面近傍
の高電界をさらに有効に利用することができ、i型層中
で光励起された電子と正孔の収集効率を向上させること
ができる。またnip型の光起電力素子でn型層側から
光を入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対し
て逆にすればよい。またi型層のバンドギャップが小さ
い場合、特に効果がある。
【0100】図6(b)ではp型層側からn型層側にゆ
っくりと変化させ、含有量の最大値がp型層との界面に
ある例である。この場合、バンドギャップは図7(b)
のようになり、i型層の全領域にわたって価電子帯の電
界を大きくすることができ、特に正孔に対するキャリア
レンジを向上させることができ、フィルファクターを改
善することができる。またnip型の光起電力素子でn
型層側から光を入射させる場合には変化パターンを層厚
方向に対して逆にすればよい。またi型層のゲルマニウ
ムまたは/及びスズの含有量が比較的多い場合、特に効
果がある。
【0101】図6(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側でゲルマニウムまたは/及びスズの含有量が急激
に変化している例である。この場合、バンドギャップは
図7(c)のようになり、i型層のp型層側で伝導帯の
電界を強くすることができ、特に電子のp型層への逆拡
散を抑制することができる。またi型層とn型層側で価
電子帯の電界を強くすることができ、特に正孔のn型層
への逆拡散を抑制することができる。また、ゲルマニウ
ムまたは/及びスズの含有量が比較的少ないi型層を有
する光起電力素子に対して特に効果がある。すなわち図
7(c)においてp型層側から光を入射した場合、バン
ドギャップの大きなi型層では光を充分吸収しきれず、
i型層とn型層の界面近傍での光励起キャリア−は再結
合することなく、この界面近傍での強い電界によって分
離され、収集効率を上げることができる。またさらに光
反射層を有する光起電力素子に対して効果がある。すな
わち光反射層を有する光起電力素子においては、両方の
層から光が入射されるために同様に収集効率を上げるこ
とができる。
【0102】さらに、一般的に非晶質シリコン系半導体
材料からなるi型層中の炭素含有量を多くするとバンド
ギャップが大きくなることが知られている。
【0103】本発明の光起電力素子はi型層の炭素原子
の含有量が層厚方向になめらかに変化しているものであ
る。そうすることによって光電変換効率が向上する。す
なわち、例えば、図8(a)のようにi型層のp型層
側、n型層側で炭素原子の含有量を多くし、且つ炭素原
子の含有量が最小となるところをバルク内部のp型層側
に設けることによって図9(a)に見られるようにi型
層のバンドギャップはp型層側、n型層側で極大、最小
はバルク内部のp型層側となる。このためi型層のp型
層側では伝導帯の電界が大きいことによって電子と正孔
の分離が効率よく行われ、p型層とi型層の界面近傍で
の電子と正孔の再結合を減少させることができる。また
電子がp型層に逆拡散することを抑制することができ
る。さらにi型層からn型層に向かって価電子帯の電界
が大きくなっていることによってi型層のn型層側で励
起された電子と正孔の再結合を減少させることができ
る。
【0104】また内部よりも界面近傍に炭素原子を多く
含有させることによって、界面近傍特有の構成元素が急
激に変化することによる内部応力を減少させることがで
きる。その結果、長時間振動下に置いても光電変換効率
が低下することを抑制することができる。ドーピング層
との接合がホモ接合である場合、特に効果がある。
【0105】以下、図面を参照にしながら、バンドギャ
ップの層厚方向の変化から考えた、本発明の光起電力素
子におけるi型層の炭素原子の含有量の望ましい変化パ
ターンの例を説明する。
【0106】図8(a)では前述したようにp型層側で
炭素原子の含有量を急激に変化させ、含有量が最小とな
るところがバルク内部のp型層側にある例である。この
場合、バンドギャヅプは図9(a)のようになり、p型
層側から光を入射させると、前記p型層とi型層の界面
近傍の高電界及びn型層とi型層の界面近傍の高電界を
さらに有効に利用することができ、i型層中で光励起さ
れた電子と正孔の収集効率を向上させることができる。
またnip型の光起電力素子でn層側から光を入射させ
る場合には変化パターンを層厚方向に対して逆にすれば
よい。またi型層に含有される炭素原子が比較的少ない
場合、特に効果がある。
【0107】図8(b)ではp型層側からn型層側にゆ
っくりと変化させ、含有量の最大値がn型層との界面に
ある例である。この場合、バンドギャップは図9(b)
のようになり、i型層の全領域にわたって価電子帯の電
界を大きくすることができ、特に正孔に対するキャリア
レンジを向上させることができ、フィルファクターを改
善することができる。またnip型の光起電力素子でn
型層側から光を入射させる場合には変化パターンを層厚
方向に対して逆にすればよい。またi型層の炭素原子の
含有量が比較的少ない場合、特に効果がある。
【0108】図8(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側で炭素原子の含有量が急激に変化している例であ
る。この場合、バンドギャップは図9(c)のようにな
り、i型層のp型層側で伝導帯の電界を強くすることが
でき、特に電子のp型層ヘの逆拡散を抑制することがで
きる。またi型層とn型層側で価電子帯の電界を強くす
ることができ、特に正孔のn型層への逆拡散を抑制する
ことができる。また、炭素原子の含有量が比較的多いi
型層を有する光起電力素子に対して特に効果がある。す
なわち図9(c)においてp型層側から光を入射した場
合、バンドギャップの大きなi型層では光を充分吸収し
きれず、i型層とn型層の界面近傍での光励起キャリア
ーは再結合することなく、この界面近傍での強い電界に
よって分離され、収集効率を上げることができる。また
さらに光反射層を有する光起電力素子に対して効果があ
る。すなわち光反射層を有する光起電力素子において
は、両方の層から光が入射されるために同様に収集効率
を上げることができる。
【0109】本発明の光起電力素子はi型層、MWドー
ピング層、RFドーピング層、RF−i層にフッ素を含
有させることによって、光起電力素子を長時間、高温度
の環境に置いた場合の光劣化、振動劣化を抑制できるも
のである。
【0110】さらに加えて、光起電力素子を長時間、高
湿度の環境に置いた場合の光劣化、振動劣化を抑制でき
るものである。
【0111】さらに加えて、光起電力素子を長期間、高
温度、高湿度の環境に置いた場合の光劣化、振動劣化を
抑制できるものである。
【0112】そのメカニズムの詳細は不明であるが、フ
ッ素原子の電気陰制度が非常に大きく、フッ素原子とシ
リコン原子の結合エネルギーが大きいものである。それ
ゆえ、熱的、機械的に安定で、且つ化学的にも安定な半
導体層が得られるものと考えられる。
【0113】またフッ素は水素と同様、半導体層の未結
合手をターミネートすることができるため、欠陥準位を
減少させることができる。さらには原子半径が水素と同
様に非常に小さいため、半導体層の中に含有させた場合
にも、構造的な歪を誘起することがない。
【0114】本発明においては、フッ素は半導体層の界
面近傍において少なく含有させるのがよい。後述する
が、本発明の光起電力素子では半導体層の界面近傍に
は、水素を多く含有させ構造的な歪を緩和させる。半導
体層のパッキング・デンシティーを高く保つため、水素
含有量を多くした界面近傍では逆にフッ素含有量は少な
くすることが望ましいと考えられる。そうすることによ
って半導体中において水素とフッ素の結合、あるいは相
互間距離が狭まることによって誘起される準位を減少さ
せることができる。
【0115】またドーピング層にフッ素を含有させるこ
とによってドーピング効率を向上することができ、さら
に光の透過性も向上することができるため、従って光電
変換効率を向上させることができる。またドーピング層
にフッ素を含有させることによって比較的低電力で微結
晶シリコン系半導体材料を得ることができるため、下地
層に悪影響を及ぼすことなく、微結晶シリコン系半導体
材料からなるドーピング層を形成することができ、界面
準位を低減できるものである。従って光電変換効率を向
上させることができる。
【0116】本発明の光電変換効率ではMWドーピング
層をMWPCVD法で形成するため、特に良質なドーピ
ング層が得られる。
【0117】また本発明の光起電力素子ではフッ素を含
有するドーピング層を積層構造にしているため、フッ素
が含有させたことによる効果(高温度、高湿度環境での
光劣化、振動劣化の抑制)をよりいっそう発揮させるこ
とができる。またさらには光起電力素子を上記のような
環境に置いた場合にも半導体層が剥離しないものであ
る。
【0118】以下、図面を参照にしながら、本発明のの
光起電力素子におけるi型層のフッ素含有量の望ましい
変化パターンの例を説明する。
【0119】図10(a)ではp型層側でフッ素含有量
を急激に変化させ、含有量の最大値がバルク内部のp型
層側にある例である。この場合、層厚方向に対する水素
含有量の変化パターンは図3(a)のものが望ましい。
またnip型の光起電力素子でn型層側から光を入射さ
せる場合には変化パターンを層厚方向に対して逆にすれ
ばよい。またp/i界面がヘテロ接合からなる場合、特
に効果がある。
【0120】図10(b)ではp型層側からn型層側に
ゆっくりと変化させ、フッ素含有量の最大値がp型層と
の界面にある例である。この場合、層厚方向に対する水
素含有量の変化パターンは図3(b)のものが望まし
い。またnip型の光起電力素子でn型層側から光を入
射する場合、変化パターンを層厚方向に対して逆にすれ
ばよい。
【0121】図10(c)ではi型層のp型層側および
n型層側でフッ素含有量が急激に変化している例であ
る。この場合、層厚方向に対する水素含有量の変化パタ
ーンは図3(c)のものが望ましい。p/i界面、n/
i界面がヘテロ接合からなる場合、特に効果がある。
【0122】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対してフッ素含有量を変化させることは
RFドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−
i層にも適用できるものである。
【0123】また本発明の光起電力素子において、i型
層の価電子帯のテイルステイトの傾きは、光起電力素子
の特性を左右する重要な因子であってバンドギャップの
最小のところのテイルステイトの傾きからバンドギャッ
プ最大のところのテイルステイトの傾きまでなめらかに
連続していることが好ましいものである。
【0124】本発明の光起電力素子においてはRFドー
ピング層とi型層の間に、RFPCVD法で形成された
i型層(RF−i層)を設けることによって、さらに光
電変換効率を向上できるものである。
【0125】例えば、図2(a)においては図1(a)
のRFp型層とi型層の間にRF−i層を設けたもので
ある。また、図2(b)においては図1(a)のRFn
型層とi型層の間にRF−i層を設けたものである。ま
た、図2(c)においては図1(a)のRFn型層とi
型層の間、及びRFp型層とi型層の間にRF−i層を
設けたものである。
【0126】RF−i層は気相反応が起こりにくい低パ
ワーで形成し、堆積速度を1nm/sec以下とするの
がよい。その結果RF−i層のパッキング・デンシティ
ーが高くなり、且つ該RF−i層をi型層と積層した場
合に、i型層の界面準位、ドーピング層の界面準位が少
なくなるものである。特にMWPCVD法によるi型層
の堆積速度が5nm/sec以上の堆積速度で堆積した
場合において、マイクロ波によってグロー放電を開始し
た直後、あるいは停止した直後に、i型層の表面近傍は
充分に緩和していないために界面準位が非常に多くなっ
ている。
【0127】RF−i層の上にi型層を形成することに
よって、放電開始励起直後のi型層は下地の影響を受
け、パッキング・デンシティーが高くなり、ダングリン
グボンドが少ない層になっており、表面準位が減少して
いるものと考えられる。
【0128】i型層の表面にRF−i層を形成すること
によってi型層の表面準位を、RF−i層層の形成と同
時に起こる水素の拡散によるアニーリングによって減少
させることができているものと考えられる。
【0129】またRF−i層内部にドナーとなる価電子
制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤をともに含有
させることによって光劣化を抑制することができる。そ
のメカニズムの詳細は不明であるが、そして本発明の場
合、RF−i層内にドナーとなる価電子制御剤とアクセ
プターとなる価電子制御剤の両方が含有され、それらは
100%活性化していない。その結果光照射によって未
結合手が生成したとしても、それらが活性化していない
価電子制御剤と反応して未結合手を補償するものと考え
られる。
【0130】加えて本発明の光起電力素子は、長期間振
動下に置いても光電変換効率が低下しにくいものであ
る。この詳細なメカニズムは不明であるが、構成元素比
が非常に異なる界面近傍において、水素を多く含有させ
ることによって界面近傍に多く存在する内部応力を緩和
でき、欠陥準位の発生を防止することができるものと考
えられる。さらに該界面近傍に多く含有されるドナーと
なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤は
100%活性化しておらず、振動によって結合が切れた
としても活性化していない価電子制御剤によって未結合
手を補償するものである。価電子制御剤の変化パターン
としては、上述した図13(a)、図13(b)、図1
3(c)の例が好適な例として挙げられる。
【0131】また、i型層または/及びRF−i層にス
ズ(Sn)を含有させて、該層を非晶質シリコン・スズ
(a−SiSn)で構成してもよい。Sn原子はシリコ
ン(Si)原子と共有結合し、バンドギャップの小さい
非晶質シリコン系半導体材料を得ることができ、非晶質
シリコン・ゲルマニウム(a−SiGe)のGe原子含
有量と比較して少ないSn含有量で同じバンドギャップ
を得ることができる。従ってa−SiSnの法がa−S
iGeと比較して構造の乱れを少なくしてバンドギャッ
プの狭い半導体を形成することができるものと考えられ
る。また更にSn原子はGe原子と比較して共有結合半
径は大きいものの、より金属的性質であるためSi原子
と合金を形成した場合に構造的な歪を減少させることが
できるものと考えられる。
【0132】本発明に適したa−SiSnのバンドギャ
ップは1.30〜1.65eVであり、Sn含有量とし
ては0.1〜30%が好ましいものである。また水素含
有量は0.1〜30%が好ましい範囲であり、Snに結
合している水素の割合は1〜40%が好ましいものであ
る。
【0133】また本発明に適したa−SiSnの構造
は、マイクロボイドを含有し、該マイクロボイドの半径
とマイクロボイドの数との関係がフラクタル的な関係に
なるように分布しているものである。マイクロボイドの
堆積での割合は0.5〜3%が好ましいものである。こ
のようにマイクロボイドが分布することによって、まだ
理由ははっきりわからないが、a−SiGeに比較して
光劣化を抑制することができるものである。
【0134】また、i型層、RF−i層、MWドーピン
グ層、RFドーピング層のうち少なくともひとつの層に
酸素または/及び窒素原子を含有させてもよい。酸素ま
たは/及び窒素原子をi型層、RF−i層に微量(1%
以下)に含有させることによって光起電力素子の振動劣
化を抑制することができる。その詳細なメカニズムは不
明であるが、微量に含有させることによってi型層、R
F−i層の内部応力を緩和できるものと考えられる。さ
らにはRF−i層に含有させることによって、電子また
は正孔の逆拡散を防止することができ、光起電力素子の
光電変換効率を向上することができる。またMWドーピ
ング層、RFドーピング層に微量(1%以下)に含有さ
せることによって層内部の応力を緩和でき、振動劣化を
抑制することができる。また多量(1%以上)に含有さ
せることによって光起電力素子の開放電圧を向上するこ
とができる。好ましくは、酸素または/及び窒素原子の
含有量が層厚方向に変化しているものである。好ましい
変化形態としては一方の界面近傍で含有量が多くなって
いるものである。
【0135】以上pin構造の光起電力素子について説
明したが、pinpin構造やpinpinpin構造
等のpin構造を積層した光起電力素子、あるいはni
pnip構造やnipnipnip構造等のnip構造
を積層した光起電力素子についても適用できるものであ
る。
【0136】このような積層型光起電力素子の場合、n
p接合部(pn接合部)でMWPCVD法で形成した層
が連続しないように、RFn型層/MWn型層/RFp
型層/MWp型層/RFp型層、あるいはRFn型層/
MWn型層/RFn型層/RFp型層/MWp型層/R
Fp型層、といった構造の接合を形成することが望まし
い。
【0137】図11は本発明の光起電力素子の非単結晶
シリコン系半導体材料からなる半導体層を形成するのに
適した堆積装置の模式的説明図である。該堆積装置40
0は堆積室401、真空計402、RF電源403、基
板404、ヒーター405、導波管406、コンダクタ
ンスバルブ407、補助バルブ408、リークバルブ4
09、バイアス電極410、ガス導入管411、アプリ
ケーター412、誘電体窓413、スパッタ電源41
4、シャッター415、ターゲットシャッター417、
ターゲット電極418さらに不図示のマイクロ波電源、
真空排気ポンプ、原料ガス供給装置などから構成され
る。不図示の原料ガス供給装置は原料ガスボンベ、バル
ブ、マスフローコントローラーから構成される。
【0138】本発明の光起電力素子の作製は以下のよう
に行われるものである。
【0139】まず図11の堆積室401内に設置された
ヒーター405に基板404を密着させ、堆積室内を1
-5Torr以下に充分に排気する。この排気にはター
ボ分子ポンプ、あるいはオイル拡散ポンプが適してい
る。堆積室内の排気を充分に行った後、H2 、He、A
r等のガスを、半導体形成用の原料ガスを流したときと
ほぼ同等の堆積室圧力になるように堆積室内に導入し、
ヒーター405のスイッチを入れ基板を100〜500
℃に加熱する。基板の温度が所定の温度で安定したら半
導体層形成用の原料ガスをガスボンベからマスフローコ
ントローラーを介して所定の量を堆積室に導入する。堆
積室内へ導入される半導体層形成用の原料ガスの供給量
は、堆積室の堆積および所望の堆積装置によって適宜決
定されるものである。
【0140】半導体層をMWPCVD法で形成する場
合、半導体層形成中の圧力は、非常に重要な因子であ
り、最適な堆積室内の圧力は、0.5〜50mTorr
が好適である。
【0141】また堆積室内に導入されるMW電力は、重
要な因子である。該MW電力は堆積室内に導入される原
料ガスの流量によって適宜決定されるものであるが、好
ましい範囲としては、0.005〜1W/cm3 であ
る。MW電力の好ましい周波数の範囲としては0.5〜
10GHzが挙げられる。特に2.45GHz付近の周
波数が適している。また再現性のある半導体層を形成す
るため及び数時間から数十時間にわたって安定なグロー
放電を維持するためにはMW電力の周波数の安定性が非
常に重要である。周波数の変動が±2%以内の範囲であ
ることが好ましいものである。さらにマイクロ波のリッ
プルも±2%以下が好ましい範囲である。このような不
図示のマイクロ波電源から発生したMW電力を導波管4
06で伝送させ、アプリケーター412から誘電体窓4
13を介して堆積室に導入する。このような状態で所望
の時間原料ガスを分解し、前記基板上に所望の層厚の半
導体層を形成する。その後MW電力の導入を止め、堆積
室内を排気し、H2 、He、Ar等のガスで充分パージ
した後、基板を堆積室から取り出す。また前記誘電体窓
はアルミナセラミクス、石英、窒化ホウ素などのマイク
ロ波をよく透過する材料から構成される。
【0142】半導体層にアルカリ金属を含有させる方法
としては、図11に示すように、堆積室内にスパッタリ
ング用のターゲット416を密着させたターゲット電極
418を設置し、ターゲット電極にはターゲット電源4
14を接続する。そしてi型層形成の際、ターゲット電
極にDC電圧あるいはRF電力を印加することにより、
アルカリ金属の化合物からなるターゲットをスパッタリ
ングし、i型層に所望のアルカリ金属を含有させるもの
である。該アルカリ金属の化合物からなるターゲットが
導電性の場合にはターゲット電極にDC電圧あるいはR
F電力を印加し、非導電性の場合にはRF電力を印加す
る。
【0143】半導体層にアルカリ金属を含有させる別の
方法としては、図11の堆積室内部からターゲット、タ
ーゲット電極を取り去り、ガス導入管より、アルカリ金
属元素を含有するガスを堆積室内に導入し、上記のMW
CVD法でi型層に含有させることもできる。
【0144】半導体層にアルカリ金属を含有させる別の
方法としては、特開昭61−255073明細書に記述
されているように、アルカリ金属を含有する基板(この
場合には石英ガラス)から熱拡散させる方法もあるが、
層厚方向に対する含有量をコントロールすることが困難
であり、本発明には不適切である。
【0145】本発明の光起電力素子のi型層を形成する
際、MW電力とともにRF電力を堆積室内に導入しても
よい。この場合、導入するMW電力は堆積室に導入する
原料ガスを100%分解するのに必要なMW電力よりも
小さいことが望ましく、さらに同時に導入されるRF電
力は、前記MW電力よりも大きいことが望ましい。同時
に導入されるRF電力の好ましい範囲としては、0.0
1〜W/cm3 である。RF電力の好ましい周波数の範
囲としては1〜100MHzが挙げられる。特に13.
56MHzが最適である。またRFの周波数の変動は±
2%以内で波形はなめらかな波形が好ましいものであ
る。RF電力供給用のRF電極の面積とアースの面積と
の面積比によって適宜選択されるものではあるが、特に
RF電力供給用のRF電極の面積がアースの面積よりも
狭い場合、RF電力供給用の電源側のセルフバイアス
(DC成分)をアースした方が良いものである。またバ
イアス電極にDC電圧を印加しても良い。DC電圧の好
ましい範囲としては、30から300V程度である。ま
たバイアス電極にRF電力とDC電圧を同時に印加して
も良い。
【0146】上に述べたi型層の好ましい堆積方法の堆
積メカニズムの詳細は不明であるが、次のように考えら
れる。
【0147】原料ガスを100%分解するに必要なMW
電力より低いMW電力を前記原料ガスに作用させ、高い
RF電力をMW電力と同時に前記原料ガスに作用させる
ことによって、半導体層を形成するのに適した活性種を
選択できるものと考えられる。さらに原料ガスを分解す
るときの堆積室内の圧力が50mTorr以下の状態で
は良質な半導体層を形成するのに適した活性種の平均自
由工程が充分に長いために気相反応が極力抑えられると
考えられる。そしてまた堆積室内の圧力が50mTor
r以下の状態ではRF電力は、原料ガスの分解にほとん
ど影響を与えず、堆積室内のプラズマと基板の間の電位
を制御しているものと考えられる。即ちMWPCVD法
の場合、プラズマと基板の間の電位差は小さいが、RF
電力をMW電力と同時に導入することによってプラズマ
と基板の間の電位差(プラズマ側が+で、基板側が−)
を大きくすることができる。このようにプラズマ電位が
基板に対してプラスで高いことによって、MW電力で分
解した活性種が基板上に堆積し、同時にプラズマ電位で
加速された+イオンが基板上に衝突し基板表面での緩和
反応が促進され良質な半導体層が得られるものと考えら
れる。そして堆積速度が5nm/sec以上のときに特
に効果がある。さらにRFはDCと違って周波数が高い
ため電離したイオンと電子の分布によってプラズマの電
位と基板の電位の差が決まってくる。
【0148】すなわちイオンと電子のシナジティクによ
って基板とプラズマの電位差が決まってくるものであ
る。従って堆積室内でスパークが起こりにくいという効
果がある。
【0149】その結果安定したグロー放電を10時間以
上に及ぶ長時間維持することができるものである。
【0150】通常のRFPCVD法では、フッ素を含有
する原料ガス(例えばSiF4 ガス、GeF4 ガス、C
4 ガス等)の分解エネルギーは水素を含有する原料ガ
ス(例えばSiH4 ガス、GeH4 ガス、CH4 ガス
等)の分解エネルギーの約10程度必要である。
【0151】従って、多大なるエネルギーをグロー放電
に印加するため、下地の半導体層に悪影響を及ぼす可能
性があるが、MWPCVD法ではもともと印加する電磁
波の周波数が高いために低電力でフッ素を含有する原料
ガスを分解することができ、フッ素を含有する半導体層
の形成手段として有効である。さらにはフッ素を含有す
る原料ガスのラジカルは比較的寿命が長いため、MWP
CVD法ではさらに平均自由工程を長くすることができ
るため、堆積速度を減少させることなく、放電空間と基
板表面を容易に分離することができる。さらにはMWP
CVD法でフッ素を含有する原料ガスを用いると放電の
安定性が向上し、グロー放電を20時間以上に及ぶ長時
間維持することができるものである。
【0152】半導体層に含有されるアルカリ金属含有量
を層厚方向に変化させる方法としては、アルカリ金属含
有量を多くしたいところでターゲット電極に印加するR
F電力を大きくし、アルカリ金属含有量を少なくしたい
ところでバイアス電極に印加するRF電力を小さくすれ
ば良い。
【0153】更に、DC電力を印加する場合において
は、アルカリ金属の含有量を多くしたいところでターゲ
ット電極に印加するDC電圧を負極性で大きな電圧を印
加すれば良く、アルカリ金属含有量を少なくしたいとき
には、ターゲット電極に印加するDC電圧を負極性で小
さな電圧を印加すれば良い。
【0154】半導体層にアルカリ金属を含有させない場
合にはターゲットシャッターを閉じればよい。
【0155】またMWPCVD法、RFPCVD法でア
ルカリ金属を含有させる場合には、アルカリ金属を含有
するガスの流量を時間的に変化させればよい。
【0156】半導体層に含有される水素含有量を層厚方
向に変化させる方法としては、水素含有量を多くしたい
ところでバイアス電極に印加するRF電力を大きくし、
水素含有量を少なくしたいところでバイアス電極に印加
するRF電力を小さくすれば良い。
【0157】詳細なメカニズムに関しては依然、不明で
あるが、バイアス電極に印加するRF電力を増やすと、
プラズマ電位が上昇し、水素イオンが基板に向かって、
より加速されるために半導体層により多くの水素が含有
されるものと考えられる。
【0158】更に、RF電力と同時にDC電力を印加す
る場合においては、水素の含有量を多くしたいところで
バイアス電極に印加するDC電圧を+極性で大きな電圧
を印加すれば良く、水素含有量を少なくしたいときに
は、バイアス電極に印加するDC電圧を+極性で小さな
電圧を印加すれば良い。詳細なメカニズムに関しては依
然、不明であるが、バイアス電極に印加するDC電力を
増やすと、プラズマ電位が上昇し、水素イオンが基板に
向かって、より加速されるためにi型層中により多くの
水素が含有されるものと考えられる。
【0159】また更に、半導体層に含有される水素含有
量を層厚方向に変化させるさらに別な方法としては、本
発明の半導体層形成方法において、堆積室内にハロゲン
ランプ、あるいはキセノンランプを設け、半導体層形成
中にこれらのランプをフラッシュさせ、基板温度を一時
的に上昇させるのである。その際、水素含有量を少なく
したいところでは、単位時間当たりのフラッシュ回数を
増し、基板温度を一時的に上昇させ、水素含有量を多く
したいところでは、単位時間当たりのフラッシュ回数を
少なくすることによって、基板温度を一時的に下げれば
良い。基板温度を一時的に上げることによって、半導体
層表面からの水素の脱離反応が活性化されるものと考え
られる。
【0160】半導体層に含有される水素含有量を層厚方
向に変化させる別の方法としては、半導体層形成時にフ
ッ素を含有する原料ガスと水素を含有する原料ガスを導
入し、それぞれの原料ガスを時間変化させればよい。水
素を多く含有させたいところではフッ素を含有する原料
ガスを少なく流し、水素を少なく含有させたいところで
はフッ素を含有する原料ガスを多く流せばよい。
【0161】半導体層に含有される価電子制御剤、炭素
原子、ゲルマニウム、スズ等を層厚方向に変化させる方
法としては、価電子制御剤、炭素原子、ゲルマニウム、
スズを含有させるための原料ガスの流量を時間変化させ
れば良い。
【0162】半導体層に含有されるゲルマニウムまたは
/及びスズを層厚方向に変化させる別の方法としては、
ゲルマニウムまたは/及びスズ原子を多くしたいところ
で導入するMW電力を大きくし、ゲルマニウムまたは/
及びスズ原子を少なくしたいところで導入するMW電力
を小さくすれば良い。詳細なメカニズムについてはまだ
不明であるが、MW電力を増加することによって、活性
なゲルマニウムまたは/及びスズを含有するラジカルが
増加し、より多くのゲルマニウムまたは/及びスズ原子
が含有されるものと考えられる。
【0163】半導体層に含有されるフッ素含有量を層厚
方向に変化させる方法としては、半導体層形成時にフッ
素を含有するガスを時間変化させればよい。フッ素を多
く含有させたいところではフッ素を含有するガスを多く
流し、フッ素を少なく含有させたいところではフッ素を
含有するガスを少なく流せばよい。
【0164】またフッ素含有量を層厚方向に変化させる
別の方法としては、半導体層形成時に水素を含有するガ
スを時間変化させればよい。フッ素を多く含有させたい
ところでは水素を含有するガスを少なく流し、フッ素を
少なく含有させたいところでは水素を含有するガスを多
く流せばよい。これは半導体層表面に結合しているフッ
素と水素を含有するラジカルが反応し、半導体層からフ
ッ素を引き抜き、半導体層中に取り込まれるフッ素が相
対的に減少することによるものと考えられる。
【0165】半導体層をRFPCVD法で堆積する場
合、容量結合型のRFPCVD法が適している。
【0166】該RFPCVD法でドーピング層、RF−
i層を形成する場合、堆積室内の基板温度は100〜5
00℃、圧力は0.1〜10Torr、RF電力は0.
01〜5.0W/cm2 、堆積装置は0.1〜2nm/
secが最低条件として挙げられる。長時間におよぶR
Fグロー放電を維持するためにはRF電源の周波数変
動、およびリップルはそれぞれ2%以内のものが望まし
い。
【0167】また米国特許4,400,409号特許明
細書にはロール・ツー・ロール(Roll to Ro
ll)方式を採用した、半導体層を連続的に形成するプ
ラズマCVD装置が開示されている。本発明の光起電力
素子はこのような装置を用いて連続的に製造することが
望ましい。この装置によれば、複数の堆積室を設け、長
尺、且つ可とう性の基板を該基板が堆積室を順次通過す
る経路に沿って配置し、前記堆積室にて所望の伝導型を
有する半導体層を形成しつつ、前記基板をその長手方向
に連続的に搬送することによって、pin接合を有する
光起電力素子を連続的に製造することができるとされて
いる。なお、該明細書においては、半導体層に各価電子
制御剤を含有させるための原料ガスが他の堆積室に拡散
し、他の半導体層中に混入することを防止するために、
ガスゲートが用いられている。具体的には前記堆積室の
間をスリット状の分離通路によって相互に分離し、さら
に各分離通路にAr、H2 、He等の掃気用ガスを流入
させ、各原料ガスの相互拡散を防止している。
【0168】本発明の用いられるアルカリ金属はリチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムで、
好適にはイオン半径の小さいリチウム、ナトリウム、カ
リウムが用いられる。
【0169】上記の半導体層形成方法において、アルカ
リ金属をスパッタリングして半導体層中に含有させる場
合、ターゲットの材料としては以下の化合物、またはこ
れらの混合物が適している。 またMWPCVD法、RFPCVD法でアルカリ金属を
半導体層中に含有させる場合、アルカリ金属含有の原料
ガスとしては、以下の化合物が適している。ガス化する
ためには、室温で液体のものは化合物を液体ボンベに封
入し、He、Ar等の不活性ガスでバブリングすること
により得られ、室温で固体のものは化合物を液体ボンベ
に封入し、該液体ボンベ加熱し、該化合物を融解し、H
e、Ar等の不活性ガスでバブリングすることにより得
られる。
【0170】半導体層中にリチウムを含有させるための
化合物としてはLiI・3H2 O、LiClO4 ・3H
2 O、LiH2 PO4 、Li(s−C4 9 )等が挙げ
られる。
【0171】半導体層中にナトリウムを含有させるため
の化合物としてはNa22・8H2O、Na2SO4・1
0H2O、NaHSO4・H2O、NaPH22・H2O、
Na 2PHO3・5H2O、Na2SiO3・9H2O等が挙
げられる。
【0172】半導体層中にカリウムを含有させるための
化合物としてはKF・2H2 O、2KI3・H2O、K
[ICl2]・H2O、K[IBr2]、K2S・5H
2O、KGa(SO42 ・12H2O(液体)等が挙げ
られる。
【0173】半導体層中にルビジウムを含有させるため
の化合物としてはAlRb(SO42 ・12H2 O等
が挙げられる。
【0174】半導体層中にカリウムを含有させるための
化合物としてはAlCs(SO4 2 ・12H2 O、C
rCs(SO4 2 ・12H2 O等が挙げられる。
【0175】また上記のMWPCVD法、RFPCVD
法で半導体層を形成する方法において、原料ガスとして
は以下のガスまたはバブリングでガス化し得る化合物が
適している。
【0176】半導体層中にシリコン原子を含有させるた
めの原料ガスとしてはSiH4 (Hは重水素Dを含
む)、SiX4 (X:ハロゲン原子)、SiXn 4-n
(nは整数)、Si2 n 6-n 等が挙げられる。総称
して「原料ガス(Si)」とする。特にSiH4 、Si
4 、Si2 6 、SiF4 、Si2 6 が適してい
る。
【0177】半導体層中にフッ素原子を含有させるため
の原料ガスとしてはF2 、SiF4、Si2 6 、Ge
4 、CF4 、C2 6 、C2 ClF5 、CCl
2 2 、CClF3 、CHF3 、C3 8 、NF3 、P
5 、BF3 、SF4 等が挙げられる。総称して「原料
ガス(F)」とする。特にSiF4 、GeF4 、C
4 、PF5 、BF3 が適している。
【0178】半導体層中に炭素原子を含有させるための
原料ガスとしてはCH4 (Hは重水素Dを含む)、Cn
2n+2(nは整数)、Cn 2n、CX4 (Xはハロゲン
原子)、Cn 2n+2、Cn 2n、C2 2 、C6 6
が挙げられる。総称して「原料ガス(C)」とする。特
にCH4 、CD4 、C2 2 、CF4 が適している。
【0179】半導体層中にゲルマニウムを含有させるた
めの原料ガスとしてはGeH4(Hは重水素Dを含
む)、Gen 2n+2、GeX4 (Xはハロゲン原子)等
が挙げられる。総称して「原料ガス(Ge)」とする。
特にGeH4 、GeD4 、GeF 4 が適している。
【0180】半導体層中にスズ原子を含有させるための
原料ガスとしてはSnH4 (Hは重水素Dを含む)、S
n 2n+2、SnX4 (Xはハロゲン原子)、SnR4
(R:アルキル基)、SnXn 4-n 等が挙げられる。
総称して「原料ガス(Sn)」とする。特にSnH4
SnD4 、Sn(CH3 4 が適している。
【0181】半導体層の伝導型をp型にするために導入
される価電子制御剤としては周期律表第III族原子
(B,Al,Ga,In,Tl)が挙げられ、伝導型を
n型にするために導入される価電子制御剤としては周期
律表第V族原子(P,As,Sb,Bi)、第VI族原
子(S,Se,Te)が挙げられる。
【0182】半導体層中に周期律表第III族原子を導
入するための原料ガスとしては、B 2 6 、B4 10
5 9 、BF3 、BCl3 、B(CH3 3 、B(C
2 5 3 、AlCl3 、Al(CH3 3 、GaCl
3 、InCl3 、TlCl3等を挙げることができる。
総称して「原料ガス(III)」とする。特にB
2 6 、B(CH3 3 、B(C2 5 3 、Al(C
3 3 、BF3 が適している。
【0183】半導体層中に周期律表第V族原子を導入す
るための原料ガスとしては、PH3、P2 4 、PH2
I、PF3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PBr3
PBr5 、PI3 、AsH3 、AsF3 、AsCl3
AsBr3 、AsF5 、SbH3 、SbF3 、Sb
5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH3 、BiC
3 、BiBr3 等を挙げることができる。総称して
「原料ガス(V)」とする。特にPH3 、AsH3 、P
5 が適している。
【0184】半導体層中に周期律表第VI族原子を導入
するための原料ガスとしては、H2S、SF4 、S
6 、CS2 、H2 Se、SeF6 、TeH2 、TeF
6 、(CH3 2 Te、(C2 5 2 Te等が挙げら
れる。総称して「原料ガス(VI)」とする。特にH2
S、H2 Seが適している。
【0185】半導体層中に酸素原子を含有させるための
原料ガスとしてはO2 、CO2 、CO、NO、NO2
2 O、H2 O、CH3 CH2 OH、CH3 OH等が挙
げられる。総称して「原料ガス(O)」とする。特にO
2 、NOが適している。
【0186】半導体層中に窒素原子を含有させるための
原料ガスとしてはN2 、NO、NO 2 、N2 O、NH3
等が挙げられる。総称して「原料ガス(N)」とする。
特にN2 、NH3 が適している。
【0187】またこれらの原料ガスをH2 、D2 、H
e、Ar等のガスで適宜希釈して堆積室に導入しても良
い。
【0188】以下に本発明の光起電力素子の構成を詳細
に説明する。基板 基板は、導電性材料単体で構成されたものでもよく、絶
縁性材料または導電性材料で構成された支持体上に導電
層を形成したものであっても良い。導電性材料として
は、例えば、NiCr、ステンレス、Al、Cr、M
o、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、Sn等
の金属または、これらの合金が挙げられる。これらの材
料を支持体として使用するにはシート状、あるいは長尺
状のシートを円筒体に巻き付けたロール状であることが
望ましい。
【0189】絶縁性材料としては、ポリエステル、ポリ
エチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、
ポリプロピレン、ポレ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂、またはガ
ラス、セラミックス、紙などが挙げられる。これらの材
料を支持体として使用するにはシート状、あるいは長尺
状のシートを円筒体に巻き付けたロール状であることが
望ましい。これらの絶縁性支持体は、少なくともその一
方の表面に導電層を形成し、該導電層を形成した表面上
に本発明の半導体層を形成する。
【0190】例えばガラスであれば表面上に、NiC
r、Al、Ag、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、
Ti、Pt、Pb、In2 3 、ITO(In2 3
SnO 2 )、ZnO等の材料またはその合金からなる導
電層を形成し、ポリエステルフィルム等の合成樹脂シー
トであれば表面上にNiCr、Al、Ag、Pb、Z
n、Ni、Au、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、
Tl、Pt等の材料またはその合金からなる導電層を形
成し、ステンレスであればNiCr、Al、Ag、C
r、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、
In2 3 、ITO(In2 3 +SnO2 )、ZnO
等の材料またはその合金からなる導電層を形成する。形
成方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、スクリ
ーン印刷法等で形成する。支持体の表面形状は平滑ある
いは山の高さが最大300〜1000nmの凹凸である
ことが望ましい。
【0191】基板の厚さは所望通りの光起電力素子を形
成し得るように適宜決定するが光起電力素子としての柔
軟性が要求される場合には、支持体としての機能が十分
発揮される範囲で可能な限り薄くすることができる。し
かしながら、支持体の製造上および取扱い上、機械的強
度等の点から、通常は10μm以上とされる。
【0192】本発明の光起電力素子における望ましい基
板形態としては、上記支持体上にAg、Al、Cu、A
lSi等の可視光から近赤外で反射率の高い金属からな
る導電層(光反射層)を形成することである。光反射層
は真空蒸着法、スパッタリング法等で形成するのが適し
ている。光反射層としてのこれらの金属の層厚としては
10nmから5000nmが適した層厚として挙げられ
る。光反射層の表面をテクスチャー化するためには形成
時の基板温度を200℃以上とすれば良い。
【0193】本発明の光起電力素子におけるさらに望ま
しい基板形態としては、光反射層上にZnO、Sn
2 、In2 3 、ITO、TiO2 、CdO、Cd2
SnO4、Bi2 3 、MoO3 、Nax WO3 等から
なる導電層(反射増加層)を形成することである。該反
射増加層の堆積方法としては真空蒸着法、スパッタリン
グ法、CVD法、プレー法、スピンオン法、ディッピン
グ法等が適した方法として挙げられる。また反射増加層
の層厚としては、前記反射増加層の材料の屈折率により
最適な層厚は異なるが、好ましい層厚の範囲としては5
0nm〜10μmが挙げられる。さらに反射増加層をテ
クスチャー化するためには、該反射増加層を形成する際
の基板温度を200℃以上に上げるのが好ましいもので
ある。MWドーピング層(MWp型層、MWn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0194】MWドーピング層は非晶質シリコン系半導
体材料、または微結晶シリコン系半導体材料、または多
結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶質(a
−と略記する)シリコン系半導体材料としてはa−S
i、a−SiC、a−SiGe、a−SiGeC、a−
SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCON等
が挙げられる。微結晶(μc−と略記する)シリコン系
半導体材料としてはμc−Si、μc−SiC、μc−
SiGe、μc−SiO、μc−SiGeC、μc−S
iN、μc−SiON、μc−SiOCN等が挙げられ
る。多結晶(poly−と略記する)シリコン系半導体
材料としてはpoly−Si、poly−SiC、po
ly−SiGe等が挙げられる。
【0195】特に光入射側のMWドーピング層には、光
吸収の少ない結晶性の半導体材料かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。具体的にはa−Si
C、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−Si
CON、μc−Si、μc−SiC、μc−SiO、μ
c−SiN、μc−SiON、μc−SiOCN、po
ly−Si、poly−SiCが適している。
【0196】伝導型をp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、1000ppm〜10
%が好ましい範囲として挙げられる。
【0197】また含有される水素(H,D)及びフッ素
は未結合手を補償する働きをし、ドーピング効率を向上
させるものである。水素及びフッ素含有量は0.1〜3
0at%が最適量として挙げられる。特にMWドーピン
グ層が結晶性の場合、0.01〜10at%が最適量と
して挙げられる。さらに界面側で水素含有量が多くなっ
ているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面
近傍での水素含有量はバルク内の含有量の1.1〜3倍
の範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側
でフッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布
形態として挙げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範
囲が好ましい範囲として挙げられる。
【0198】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0199】電気特性としては活性化エネルギーが0.
2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが
最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好
ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに層厚は1〜
50nmが好ましく、3〜30nmが最適である。
【0200】また前記原料ガスをH2 、D2 、He、A
r等のガスで適宜希釈して堆積室に導入しても良い。
【0201】特に前述した光吸収の少ない結晶性の半導
体材料かバンドギャップの広い非晶質半導体層を形成す
る場合はH2 、D2 、He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いMW電力を導入するのが好
ましい。RFドーピング層(RFp型層、RFn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0202】RFドーピング層は非晶質シリコン系半導
体材料、または微結晶シリコン系半導体材料、または多
結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶質(a
−と略記する)シリコン系半導体材料としてはa−S
i、a−SiC、a−SiGe、a−SiGeC、a−
SiO、a−SiN、a−SiON、a−SiCON等
が挙げられる。微結晶(μc−と略記する)シリコン系
半導体材料としてはμc−Si、μc−SiC、μc−
SiGe、μc−SiO、μc−SiGeC、μc−S
iN、μc−SiON、μc−SiOCN等が挙げられ
る。多結晶(poly−と略記する)シリコン系半導体
材料としてはpoly−Si、poly−SiC、po
ly−SiGe等が挙げられる。
【0203】特に光入射側のRFドーピング層には、光
吸収の少ない結晶性の半導体材料かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。具体的にはa−Si
C、a−SiO、a−SiN、a−SiON、a−Si
CON、μc−Si、μc−SiC、μc−SiO、μ
c−SiN、μc−SiON、μc−SiOCN、po
ly−Si、poly−SiCが適している。
【0204】伝導型のp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、800ppm〜8%が
好ましい範囲として挙げられ、MWドーピング層の導入
量よりも少ないことが望ましい。
【0205】また含有される水素(H,D)及びフッ素
は未結合手を補償する働きをし、ドーピング効率を向上
させるものである。水素及びフッ素含有量は0.1〜2
5at%が最適量として挙げられる。特にRFドーピン
グ層が結晶性の場合、0.01〜10at%が最適量と
して挙げられる。さらに界面側で水素含有量が多くなっ
ているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面
近傍での水素含有量はバルク内の含有量の1.1〜3倍
の範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側
でフッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布
形態として挙げられ、バルク内の含有量の0.3〜9倍
の範囲が好ましい範囲として挙げられる。
【0206】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0207】電気特性としては活性化エネルギーが0.
2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが
最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好
ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに層厚は1〜
50nmが好ましく、5〜20nmが最適である。
【0208】特に前述した光吸収の少ない結晶性の半導
体材料かバンドギャップの広い非晶質半導体層を形成す
る場合はH2 、D2 、He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いRF電力を導入するのが好
ましい。i型層 本発明の光起電力素子において、i型層は光励起キャリ
アを発生輸送する最も重要な層である。
【0209】i型層としては僅かにp型、僅かにn型の
層も使用でき、水素を含有する非晶質シリコン系半導体
材料から構成され、例えばa−Si、a−SiC、a−
SiGe、a−SiGeC、a−SiSn、a−SiS
nC、a−SiSnGe、a−SiSnGeC等が挙げ
られる。
【0210】本発明の光起電力素子のi型層としては、
シリコンと水素とアルカリ金属を含有し、且つ水素含有
量及びアルカリ金属含有量が層厚方向に対してなめらか
に変化するものである。
【0211】本発明の光起電力素子のi型層としては、
シリコンと水素とアルカリ金属を含有し、且つドナーと
なる価電子制御剤(周期律表第V族原子または第VI族
原子)とアクセプターとなる価電子制御剤(周期律表第
III族原子)とを共に含有するものである。望ましい
形態としては、上記価電子制御剤がp型層とn型層側で
多くなっていることである。i型層に導入される周期律
表第V族原子、第VI族原子及び周期律表第III族原
子の導入量はそれぞれ500ppm以下が好ましい。ま
た、p型の価電子制御剤とn型の価電子制御剤を互いに
補償するように含有させるのが好ましい。
【0212】また、本発明の光起電力素子のi型層とし
ては、シリコンと水素とアルカリ金属を含有し、且つゲ
ルマニウムまたは/及びスズ原子を含有し、ゲルマニウ
ムまたは/及びスズ原子の含有量が層厚方向になめらか
に変化するものである。ゲルマニウムまたは/及びスズ
原子含有量の好適な範囲は、1〜50%で、バンドギャ
ップの好適な範囲は1.3〜1.7eVである。
【0213】また、本発明の光起電力素子のi型層とし
ては、シリコンと水素とアルカリ金属を含有し、且つ炭
素原子を含有し、炭素原子の含有量が層厚方向になめら
かに変化するものである。炭素原子含有量の好適な範囲
は、1〜50%で、バンドギャップの好適な範囲は1.
8〜2.2eVである。さらにゲルマニウムまたは/及
びスズ原子を含有する場合は、バンドギャップの好適な
範囲は1.5〜2.0eVである。
【0214】i型層に含有される水素(H,D)及びフ
ッ素は、i型層の未結合手を補償する働きをし、i型層
でのキャリアーの移動度と寿命の積を向上させるもので
ある。また界面の界面準位を補償する働きをし、光起電
力素子の光起電力、光電流そして光応答性を向上させる
効果のあるものである。i型層の水素及びフッ素含有量
は1〜30at%が最適な含有量として挙げられる。特
に、界面側で水素含有量が多くなっているものが好まし
い分布形態として挙げられ、バルク内の1.1〜3倍の
範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側で
フッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布形
態として挙げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範囲
が好ましい範囲として挙げられる。
【0215】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
1%が好適な範囲である。
【0216】i型層の層厚は、光起電力素子の構造(例
えばシングルセル、タンデムセル、トリプルセル)及び
i型層のバンドギャップに大きく依存するが0.05〜
1.0μmが最適な層厚として挙げられる。
【0217】本発明のi型層は、堆積速度を2.5nm
/sec以上に上げても価電子帯側のテイルステイトが
少ないものであって、テイルステイトの傾きは60me
V以下であり、且つ電子スピン共鳴(ESR)による未
結合手の密度は1017/cm 3 以下である。
【0218】i型層の形成にはMWPCVD法を用い、
望ましくは前述したようにMWPCVD法においてRF
電力を同時に導入し、さらに望ましくは前述したように
MWPCVD法においてRF電力とDC電力を同時に導
入する。
【0219】バンドギャップの広いa−SiCを形成す
る場合はH2 、D2 、He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いMW電力を導入するのが好
ましい。RF−i層 本発明の光起電力素子において、RF−i層は光励起キ
ャリアを輸送する重要な層である。
【0220】RF−i層としては僅かにp型、僅かにn
型の層も使用でき、非晶質シリコン系半導体材料、ある
いは微結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶
質シリコン系半導体材料としては、例えばa−Si、a
−SiC、a−SiO、a−SiN、a−SiGe、a
−SiGeC、a−SiSn、a−SiSnC等が挙げ
られる。微結晶シリコン系半導体材料としては、例えば
μc−Si、μc−SiC、μc−SiGe、μc−S
iSn、μc−SiO、μc−SiN、μc−SiO
N、μc−SiOCN等が挙げられる。
【0221】図2(a)のように光入射側のRF−i層
としてはa−Si、a−SiC、a−SiO、a−Si
N等の半導体材料を用いることによって光起電力素子の
開放電圧を向上できる。
【0222】図2(b)のように光入射側とは反対側の
RF−i層としてはa−Si、a−SiGe、a−Si
Sn、a−SiGeC、a−SiSnC等の半導体材料
を用いることによって光起電力素子の短絡電流を向上で
きる。
【0223】RF−i層に含有される水素(H,D)及
びフッ素は、RF−i層の未結合手を補償する働きを
し、RF−i層でのキャリアーの移動度と寿命の積を向
上させるものである。また界面の界面準位を補償する働
きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そして光応答
性を向上させる効果がある。RF−i層の水素及びフッ
素含有量は1〜30at%が最適な含有量として挙げら
れる。特に、界面側で水素含有量が多くなっているもの
が好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有量
の1.1〜3倍の範囲が好ましい範囲として挙げられ
る。また、界面側でフッ素含有量が少なくなっているも
のが好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有
量の0.3〜0.9倍の範囲が好ましい範囲として挙げ
られる。
【0224】別の望ましい形態としてはドナーとなる価
電子制御剤(周期律表第V族原子または/及び第VI族
原子)とアクセプターとなる価電子制御剤(周期律表第
III族原子)がともに含有させたものである。またド
ナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制
御剤を互いに補償するように含有させるのが好ましいも
のである。
【0225】RF−i層に導入させる周期律表第III
族原子及び第V族原子及び第VI族原子の導入量はそれ
ぞれ600ppm以下が好ましい範囲として挙げられ
る。
【0226】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0227】RF−i層の層厚は0.5〜30nm以下
が最適な層厚として挙げられ、価電子帯側のテイルステ
イトが少ないものであって、テイルステイトの傾きは5
5meV以下であり、且つ電子スピン共鳴(ESR)に
よる未結合手の密度は1016/cm3 以下である。透明電極 透明電極はインジウム酸化物(In2 3 )、スス酸化
物(SnO2 )、ITO(In2 3 −SnO2 )が適
した材料であり、これらの材料にフッ素を含有させても
よい。
【0228】透明電極の堆積にはスパッタリング法と真
空蒸着法が最適な堆積方法である。
【0229】スパッタリング法で堆積する場合、金属タ
ーゲット、あるいは酸化物ターゲット等のターゲットを
適宜組み合わせて用いられる。
【0230】スパッタリング法で堆積する場合、基板温
度は重要な因子であって、20℃〜600℃が好ましい
範囲として挙げられる。また透明電極をスパッタリング
法で堆積する場合の、スパッタリング用のガスとして、
Arガス等の不活性ガスが挙げられる。また前記不活性
ガスに酸素ガス(O2 )を必要に応じて添加することが
好ましいものである。特に金属をターゲットにしている
場合、酸素ガス(O2)は必須のものである。さらに前
記不活性ガス等によってターゲットをスパッタリングす
る場合、放電空間の圧力は効果的にスパッタリングを行
うために、0.1〜50mTorrが好ましい範囲とし
て挙げられる。透明電極の堆積速度は、放電空間内の圧
力や放電電力に依存し、最適な堆積速度としては、0.
01〜10nm/secの範囲である。
【0231】真空蒸着法において透明電極を堆積するに
適した蒸着源としては、金属スズ、金属インジウム、イ
ンジウム−スズ合金が挙げられる。また透明電極を堆積
するときの基板温度としては25℃〜600℃の範囲が
適した範囲である。さらに、酸素ガス(O2 )を導入
し、圧力が5×10-5Torr〜9×10-4Torrの
範囲で堆積することが必要である。この範囲で酸素を導
入することによって蒸着源から気化した前記金属が気相
中の酸素と反応して良好な透明電極が堆積される。上記
条件による透明電極の好ましい堆積速度の範囲としては
0.01〜10nm/secである。堆積速度が0.0
1nm/sec未満であると生産性が低下し10nm/
secより大きくなると粗な膜となり透過率、導電率や
密着性が低下する。
【0232】透明電極の層厚は、反射防止膜の条件を満
たすような条件に堆積するのが好ましいものである。具
体的な該透明電極の層厚としては50〜500nmが好
ましい範囲として挙げられる。集電電極 光起電力層であるi型層により多くの光を入射させ、発
生したキャリアを効率よく電極に集めるためには、集電
電極の形(光の入射方向から見た形)、及び材質は重要
である。通常、集電電極の形は櫛型が使用され、その線
幅、線数などは、光起電力素子の光入射方向から見た
形、及び大きさ、集電電極の材質などによって決定され
る。線幅は通常、0.1mm〜5mm程度である。集電
電極の材質としてはFe、Cr、Ni、Au、Ti、P
d、Ag、Al、Cu、AlSi、C(グラファイト)
等が用いられ、通常比抵抗の小さいAg、Cu、Al、
Cr、Cなどの金属、あるいはこれらの合金が適してい
る。
【0233】集電電極の層構造としては単一の層からな
るものであってもよいし、さらには複数の層からなるも
のであってもよい。
【0234】これらの金属は、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、メッキ法、印刷法等で形成するのが望ましい。
【0235】真空蒸着法で形成する場合、集電電極形状
をなしたマスクを透明電極上に密着させ、真空中で所望
の金属蒸着源を電子ビームまたは抵抗加熱で蒸発させ、
透明電極上に所望の形状をした集電電極を形成する。
【0236】スパッタリング法で形成する場合、集電電
極形状をなしたマスクを透明電極上に密着させ、真空中
にArガスを導入し、所望の金属スパッタターゲットに
DCを印加し、グロー放電を発生させることによって、
金属をスパッタさせ、透明電極上に所望の形状をした集
電電極を形成する。
【0237】印刷法で形成する場合には、Agペース
ト、Alペースト、あるいはカーボンペーストをスクリ
ーン印刷機で印刷する。
【0238】コレラの金属の層厚としては10nm〜
0.5mmが適した層厚として挙げられる。
【0239】次に本発明の発電システムを説明する。
【0240】本発明の発電システムは、本発明の光起電
力素子と、該光起電力素子の電圧及び/または電流をモ
ニターし蓄電池及び/または外部負荷への前記光起電力
素子からの電極の供給を制御する制御システム、及び前
記光起電力素子からの電力の蓄積及び/または外部負荷
への電力の供給を行う蓄電池から構成されている。
【0241】図19は本発明の電力供給システムの1例
であって光起電力素子を利用した充電、および電力供給
用基本回路である。該回路は本発明の光起電力素子を太
陽電池モジュールとし、逆流防止用ダイオード(D
C)、電圧をモニターし電圧を制御する電圧制御回路
(定電圧回路)、蓄電池、負荷等から構成されている。
【0242】モジュール化するには平板上に接着材シー
ト、ナイロンシートを乗せ、さらにその上に作製した本
発明の光起電力素子を配列し、直列化および並列化を行
い、さらにその上に接着剤シート、フッ素樹脂シートを
乗せて、真空ラミネートするとよい。
【0243】逆流防止用ダイオードとしてはシリコンダ
イオードやショットキダイオード等が適している。蓄電
池としては、ニッケルカドミニウム電池、充電式酸化銀
電池、鉛蓄電池、フライホイールエネルギー貯蔵ユニッ
ト等が挙げられる。
【0244】電圧制御回路は、電池が満充電になるまで
は太陽電池の出力とほぼ等しいが、満充電になると、充
電制御ICにより充電電流はストップされる。
【0245】このような光起電力素子を利用した太陽電
池システムは、自動車用のバッテリー充電システム、船
用バッテリー充電システム、街灯点灯システム、排気シ
ステム等の電源として使用可能である。
【0246】以上のように本発明の光起電力素子を太陽
電池として使用した電源システムは、長期間安定して使
用でき、且つ太陽電池に照射される照射光が変動する場
合においても光起電力素子として充分に機能することか
ら、優れた安定性を示すものである。
【0247】
【実施例】以下、非単結晶シリコン系半導体材料からな
る太陽電池およびフォトダイオードの作製によって本発
明の光起電力素子を詳細に説明するが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0248】[請求項1に係わる実施例] (実施例1)図11に示す堆積装置を用いて図1(b)
の構成をした太陽電池を作製した。n型層はRFPCV
D法で形成した。
【0249】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、50×50mm2 のステンレス基板をアセトンとイ
ソプロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させた。スパ
ッタリング法を用いて室温でステンレス基板表面上に層
厚0.3μmのAgの光反射層とその上に350℃で層
厚1.0μmのZnOの反射増加層を形成し、基板の作
製を終えた。
【0250】次に、堆積装置400はMWPCVD法と
RFPCVD法の両方を実施することができ、さらに同
時にアルカリ金属のスパッタリングも実施することがで
きる。これを用いて、反射増加層上に各半導体層を形成
した。
【0251】堆積装置には不図示の原料ガス供給装置が
ガス導入管を通して接続されている。原料ガスボンベは
いずれも超高純度に精製されたもので、SiH4 ガスボ
ンベ、SiF4 ガスボンベ、CH4 ガスボンベ、GeH
4 ガスボンベ、GeF4 ガスボンベ、SnH4 ガスボン
ベ、PH3 /H2 (希釈度:100ppm)ガスボン
ベ、B2 6 /H2 (希釈度:100ppm)ガスボン
ベ、H2 ガスボンベ、Heガスボンベ、O2 /Heガス
ボンベ、N2 /Heガス、120℃に加熱したLiH2
PO4 の液体ボンベを接続した。この液体ボンベには上
記Heガスボンベとは別のHeガスボンベが接続されて
おり、Heガスでバブリングすることができる。ターゲ
ットにはLiFを用い、ターゲット電極に装着し、ター
ゲット電源にはRF電源を用いた。
【0252】次に、反射層と反射増加層が形成されてい
る基板404の裏面をヒーター405に密着させ、堆積
室401のリークバルブ409を閉じ、コンダクタンス
バルブ407を全開にして、不図示の真空排気ポンプに
より堆積室401内を圧力が約1×10-5Torrにな
るまで真空排気した。
【0253】以上のようにして成膜の準備の完了した
後、基板404上に、μc−SiからなるRFn型層、
a−Siからなるi型層、a−SiCからなるRFp型
層、a−SiCかならるMWp型層を順次形成した。
【0254】μc−SiからなるRFn型層を形成する
には、H2 ガスを堆積室401内に導入し、流量が30
0sccmになるようにマスフローコントローラーで調
整し、堆積室内の圧力が1.0Torrになるようにコ
ンダクタンスバルブで調整した。基板404の温度が3
50℃になるようにヒーター405を設定し、基板温度
が安定したところで、SiH4 ガス、PH3 /H2 ガス
を堆積室401内に流入させた。この時、SiH4 ガス
流量が2sccm、H2 ガス流量が100sccm、P
3 /H2 ガス流量が200sccm、堆積室内の圧力
は1.0Torrとなるように調整した。RF電源の電
力を0.02W/cm3 に設定し、バイアス電極410
にRF電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャッタ
ーを開け、基板上にRFn型層の形成を開始し、層厚2
0nmのRFn型層を形成したところでシャッターを閉
じ、RF電源を切って、グロー放電を止め、RFn型層
の形成を終えた。堆積室内へのSiH4 ガス、PH3
2 の流入を止め、5分間、堆積室内へH2 ガスを流し
続けたのち、H2 の流入も止め、堆積室内およびガス配
管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0255】a−Siからなるi型層はMWPCVD法
とアルカリ金属のスパッタリングを同時に行なうことに
よって形成した。まず、H2 ガスを300sccm導入
し、圧力が0.01Torr、基板404の温度が35
0℃になるようにした。基板温度が安定したところで、
SiH4 ガス、Heガスを流入させ、SiH4 ガス流量
が150sccm、Heガス流量が150sccm、H
2 ガス流量が150sccmとし、堆積室401内の圧
力が0.01Torrとなるように調整した。次に、R
F電源の電力を0.35W/cm3 に設定し、バイアス
電極に印加した。その後、不図示のMW電源の電力を
0.20W/cm3 に設定し、誘電体窓413を通して
堆積室内にMW電力を導入し、グロー放電を生起させ
た。次にターゲット電源の電力を200Wに設定し、タ
ーゲットシャッター417を開け、シャッター415を
開け、RFn型層上にi型層の形成を開始した。RF電
源、ターゲット電源に接続されたコンピューターを用
い、図12(a)に示した変化パターンに従ってRF電
力、ターゲット電力を変化させ、層厚300nmのi型
層を形成したところで、シャッター、ターゲットシャッ
ターを閉じ、MW電源、RF電源、ターゲット電源を切
ってグロー放電を止め、i型層の形成を終えた。SiH
4 ガス、Heガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを流
し続けたのち、H2ガスの流入も止め、堆積室内および
ガス配管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0256】a−SiCからなるRFp型層を形成する
には、H2 ガスを300sccm導入し、圧力が1.0
Torr、基板温度が200℃になるようにした。基板
温度が安定したところで、SiH4 ガス、CH4 ガス、
2 6 /H2 ガスを堆積室内に流入させ、SiH4
ス流量が5sccm、CH4 ガス流量が1sccm、H
2 ガス流量が100sccm、B2 6 /H2 ガス流量
が200sccm、圧力が1.0Torrとなるように
調整した。RF電源の電力を0.06W/cm 3 に設定
し、グロー放電を生起させ、シャッターを開け、i型層
上にRFp型層の形成を開始し、層厚10nmのRFp
型層を形成したところでシャッターを閉じ、RF電源を
切って、グロー放電を止め、RFp型層の形成を終え
た。堆積室内へのSiH4 ガス、CH4 ガス、B2 6
/H2 ガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを流し続け
たのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室内およびガス配
管内を1×10-5Torrまで真空排気した。
【0257】a−SiCからなるMWp型層を形成する
には、H2 ガスを500sccm導入し、堆積室内の圧
力が0.02Torr、基板温度が200℃になるよう
に設定した。
【0258】基板温度が安定したところでSiH4
ス、CH4 ガス、B2 6 /H2 ガスを流入させた。こ
の時、SiH4 ガス流量が10sccm、CH4 ガス流
量が2sccm、H2 ガス流量が100sccm、B2
6 /H2 ガス流量が500seem、圧力が0.02
Torrとなるように調整した。その後、不図示のMW
電源の電力を0.40W/cm3 に設定し、誘電体窓を
通してMW電力を導入し、グロー放電を生起させ、シャ
ッターを開け、RFp型層上にMWp型層の形成を開始
した。層厚10nmのWMp型層を形成したところで、
シャッターを閉じ、MW電源を切ってグロー放電を止
め、MWp型層の形成を終えた。SiH4 ガス、CH4
ガス、B2 6 /H2 ガスの流入を止め、5分間、H2
ガスを流し続けたのち、H2 ガスの流入も止め、堆積室
内およびガス管内を1×10-5Torrまで真空排気
し、補助バルブ408を閉じ、リークバルブ409を開
けて、堆積室をリークした。
【0259】次に、MWp型層上に、透明電極として、
層厚70nmのITOを真空蒸着法で真空蒸着した。
【0260】次に透明電極上に櫛型の穴が開いたマスク
を乗せ、Cr(40nm)/Ag(1000nm)/C
r(40nm)からなる櫛型の集電電極を真空蒸着法で
真空蒸着した。
【0261】以上で太陽電池の作製を終えた。この太陽
電池を(SC実1)と呼ぶことにし、RFn型層、i型
層、RFp型層、MWp型層の形成条件を表1に示す。
【0262】(比較例1−1)i型層を形成する際に、
RF電力を時間的に一定、ターゲット電力も時間的に一
定とする以外は、実施例1と同じ条件で太陽電池(SC
比1−1)を作製した 。 (比較例1−2)RFp型層は形成せず、MWp型
層の層厚は20nmとする以外は実施例1と同じ条件で
太陽電池(SC比1−2)を作製した。
【0263】太陽電池(SC実1)及び(SC比1−
1)、(SC比1−2)はそれぞれ6個づつ作製し、初
期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、振動劣化、
光劣化、及びバイアス電圧印加時の高温高湿環境におけ
る振動劣化、光劣化の測定を行なった。
【0264】初期光電変換効率の測定は、作製した太陽
電池を、AM−1.5(100mW/cm2 )光照射下
に設置して、V−I特性を測定することにより得られ
る。測定の結果、(SC実1)に対して、(SC比1−
1)、(SC比1−2)の初期光電変換効率は以下のよ
うになった。
【0265】(SC比1−1) 0.96倍 (SC比1−2) 0.95倍 振動劣化の測定は、予め初期光電変換効率を測定してお
いた太陽電池を湿度50%、温度25℃の暗所に設置
し、振動周波数60Hzで振幅0.1mmの振動を50
0時間加えた後の、AM1.5(100mW/cm2
照射下での光電変換効率の低下率(振動劣化試験後の光
電変換効率/初期光電変換効率)により行った。
【0266】光劣化の測定は、予め初期光電変換効率を
測定しておいた太陽電池を、湿度50%、温度25℃の
環境に設置し、AM−1.5(100mW/cm2 )光
を500時間照射後の、AM−1.5(100mW/c
2 )照射下での光電変換効率の低下率(光劣化試験後
の光電変換効率/初期光電変換効率)により行なった。
測定の結果、(SC実1)に対して(SC比1−1)、
(SC比1−2)の光劣化後の光電変換効率の低下率、
及び振動劣化後の光電変換効率の低下率は以下のように
なった。
【0267】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.94倍 0.92倍 (SC比1−2) 0.95倍 0.93倍 次に、バイアス印加時の高温高湿度環境における振動劣
化、及び光劣化の測定を行なった。予め初期光電変換効
率を測定しておいた2つの太陽電池を湿度90%、温度
80℃の暗所に設置し、順方向バイアス電圧として0.
8Vを印加した。一方の太陽電池には上記の振動を与え
て、振動劣化を測定し、さらにもう一方の太陽電池には
AM1.5の光を照射して、光劣化の測定を行った。測
定の結果、(SC実1)に対して、(SC比1−1)、
(SC比1−2)の振動劣化後の光電変換効率の低下
率、及び光劣化後の光電変換効率の低下率は以下のよう
になった。
【0268】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.95倍 0.94倍 (SC比1−2) 0.93倍 0.93倍 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
1)、(SC比1−1)では層剥離は見られなかった
が、(SC比1−2)では層剥離が僅かに見られた。
【0269】次にガラス基板とシリコンウェハを用い、
RF電力、ターゲット電力を時間的に一定にし、層厚を
1μmとする以外は実施例1と同じ条件でi型層のサン
プルを作製した。さらにRF電力、ターゲット電力をい
ろいろと変えたサンプルをいくつか作製した。分光光度
計を用いて作製したガラス基板サンプルのバンドギャッ
プ(Eg)を求め、さらに2次イオン質量分析装置(S
IMS)を用いてシリコンウェハサンプルの水素含有量
を測定した。測定の結果、i型層中のバンドギャップは
水素含有量に依存することが分かった。
【0270】またSIMSを用いて、作製した(SC実
1)の層厚方向に対する水素含有量の変化、及びアルカ
リ金属含有量の変化を求めたところ、図12(b)のよ
うになった。
【0271】さらに水素含有量とバンドギャップの関係
を用いてこれらの層厚方向に対するバンドギャップの変
化を求めたところ図12(c)のようになった。
【0272】同様に(SC比1−1)の水素含有量、ア
ルカリ金属含有量を求めたところ、層厚方向に対する水
素含有量の変化はなく、一定で、バンドギャップは1.
73(eV)であることが分かった。同様に(SC比1
−2)の水素含有量、アルカリ金属含有量を求めたとこ
ろ、層厚方向に対する水素含有量の変化は図12(b)
と同様な結果となり、バンドギャップの変化も図12
(c)と同様な結果となった。
【0273】このように層厚方向に対する水素含有量、
およびバンドギャップの変化は、導入されるRF電力に
依存し、層厚方向に対するアルカリ金属含有量の変化は
導入するターゲット電力に依存することが分かった。
【0274】また、高温度環境における振動劣化、光劣
化、及び高湿度環境における振動劣化、光劣化を測定し
たが、同様に(SC実1)が(SC比1−1)、(SC
比1−2)よりも優れた特性を有していた。
【0275】さらに、上記の環境で順バイアスを印加し
た場合も、同様に(SC実1)が(SC比1−1)、
(SC比1−2)よりも優れた特性を有していた。
【0276】以上のように本実施例の太陽電池(SC実
1)が、従来の太陽電池(SC比1−1)、(SC比1
−2)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。
【0277】(実施例2)実施例1においてi型層を形
成する際、RF電力、ターゲット電力の変化パターンを
変えて、アルカリ金属含有量、水素含有量が図3(b)
のように変化している太陽電池(SC実2)を作製し
た。そこで実施例1と同様な測定を行ったところ、(S
C実2)の太陽電池は実施例1と同様、従来の太陽電池
(SC比1−1)、(SC比1−2)よりもさらに優れ
た特性を有することが分かった。
【0278】(実施例3)図1(c)の層構成を有する
フォトダイオード(PD実3)を作製した。
【0279】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、20×20mm2 のガラス基板をアセトンとイソプ
ロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させ、真空蒸着法
で室温にてガラス基板表面上に層厚0.1μmのAlの
光反射層を形成し、基板の作製を終えた。
【0280】実施例1と同様な方法で基板上にMWn型
層(a−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型層
(a−Si)、RFp型層(a−SiC)を順次形成し
た。またi型層を形成する際、RF電力、ターゲット電
力を時間的に変化させて、アルカリ金属含有量、水素含
有量が図3(c)のように変化しているフォトダイオー
ド(PD実3)を作製した。半導体層の層形成条件を表
2に示す。
【0281】次に、RFp型層上に実施例1と同様に透
明電極と集電電極を形成した。
【0282】(比較例3−1)i型層を形成する際、比
較例1−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時間的
に変化させない以外は、実施例3と同じ条件でフォトダ
イオード(PD比3−1)を作製した。
【0283】(比較例3−2)RFn型層は形成せず、
MWn型層の層厚は40nmとする以外は実施例3と同
じ条件でフォトダイオードを(PD比3−2)作製し
た。
【0284】作製したフォトダイオードのオンオフ比
(AM1.5光を照射したときの光電流/暗電流 測定
周波数10kHz)を測定した。これを初期オンオフ比
と呼ぶことにする。次に実施例1と同様な測定をオンオ
フ比について行なった。その結果、本実施例のフォトダ
イオード(PD実3)は従来のフォトダイオード(PD
比3−1)、(PD比3−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0285】(実施例4)n型層とp型層の積層順序を
逆にした、nip型構造を有する図1(b)の太陽電池
を作製した。実施例1と同様に基板上にRFp型層(μ
c−Si)、i型層(a−Si)、RFn型層(a−S
iC)、MWn型層(a−SiC)を形成した。
【0286】i型層を形成する際、RF電力、ターゲッ
ト電力を時間的に変化させて、アルカリ金属含有量、水
素含有量が図3(c)のように変化している太陽電池
(SC実4)を作製した。半導体層の形成条件は表3に
示す。半導体層以外の層および基板は実施例1と同じ条
件で作製した。
【0287】(比較例4−1)i型層を形成する際に、
比較例1−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時間
的に変化させない以外は、実施例4を同じ条件で太陽電
池(SC比4−1)を作製した。
【0288】(比較例4−2)RFn型層は形成せず、
MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例4と同
じ条件で太陽電池(SC比4−2)を作製した。
【0289】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実4)は従来の太陽電池(SC
比4−1)、(SC比4−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0290】(実施例5)i型層、MWp型層、RFp
型層にフッ素を含有させ、界面近傍でフッ素含有量が最
小となっている太陽電池を作製した。i型層、MWp型
層、RFp型層を形成する際、SiF4 を新たに導入
し、SiF4 ガス流量を時間的に変化させて、図10
(a)のようなフッ素含有量の変化パターンを得た。こ
れ以外は実施例1と同じ条件で作製した。実施例1と同
様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実5)は(S
C実1)よりもさらに優れた特性を有していることが分
かった。また層剥離は観察されなかった。
【0291】(実施例6)MWp型層の界面近傍、及び
RFp型層の界面近傍で水素含有量が最大となっている
太陽電池を作製した。MW電力を時間変化させて、図3
(c)のような水素含有量の変化パターンを得た。これ
以外は実施例1と同じ条件で作製した。実施例1と同様
な測定を行ったところ、太陽電池(SC実6)は(SC
実1)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。
【0292】(実施例7)MWp型層、RFp型層の界
面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太陽
電池を作製した。導入する価電子制御剤の原料ガスを時
間変化させて、図13(b)のようにB原子の含有量を
変化させた。(この測定には2次イオン質量分析装置を
用いた。)これ以外は実施例6と同じ条件で作製した。
実施例1と同様な測定を行なったところ、太陽電池(S
C実7)は(SC実6)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0293】(実施例8)図1(a)の構造を有する太
陽電池を作製した。実施例1と同様に基板上にMWn型
層(μc−Si)、RFn型層(a−Si)、i型層
(a−Si)、RFp型層(a−SiC)、MWp型層
(μc−SiC)を順次積層した。半導体層以外は実施
例1と同じものを用いた。実施例1と同様な測定を行っ
たところ、太陽電池(SC実8)は(SC実1)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0294】(実施例9)i型層にa−SiCを用い、
MWPCVD法を用いてアルカリ金属を含有させた太陽
電池を作製した。まず、図11のターゲット、ターゲッ
ト電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取り除い
た。i型層を形成する際、新たにCH4 ガスとHeガス
でバブリングしたLiH2 PO4 /Heガスを用いた。
CH4 ガス流量を20sccmとし、LiH2 PO4
Heガス流量は時間的に変化させて、アルカリ金属含有
量が図12(b)となるようにした。他の条件は実施例
1と同じ条件で太陽電池(SC実9)を作製した。
【0295】(比較例9−1)i型層を形成する際、L
iH2 PO4 /Heガス流量を時間的に一定とする以外
は、実施例9と同じ条件で太陽電池(SC比9−1)を
作製した。
【0296】(比較例9−2)RFp型層は形成せず、
MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例9と同
じ条件で太陽電池を(SC比9−2)作製した。
【0297】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実9)は、従来の太陽電池(S
C比9−1)、(SC比9−2)よりもさらに優れた特
性を有することが分かった。
【0298】(実施例10)i型層にa−SiGeを用
い、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウム、カリウ
ムをともに含有させた太陽電池を作製した。まず、ター
ゲットとしてLiF、NaF、KFを10:5:1に混
合させたものに交換し、i型層を形成する際、新たにG
eF4 ガスを用い、GeF4 ガス流量を30sccm導
入し、層厚を250nmにする以外は実施例1と同じ条
件で太陽電池(SC実10)を作製した。
【0299】(比較例10−1)i型層を形成する際、
比較例1−1と同様にRF電力、ターゲット電力を時間
的に一定とする以外は、実施例10と同じ条件で太陽電
池(SC比10─1)を作製した。
【0300】(比較例10−2)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
0と同じ条件で太陽電池を(SC比10−2)作製し
た。
【0301】実施例1と同様な測定を行なったところ、
本実施例の太陽電池(SC実10)は、従来の太陽電池
(SC比10−1)、(SC比10−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0302】(実施例11)i型層にa−SiSnを用
い、アルカリ金属としてセシウムを含有させた太陽電池
を作製した。まずターゲットをCsNO3 に交換し、i
型層を形成する際、新たにSnH4 ガスを導入し、Sn
4 ガス流量を20sccmとする以外は実施例1と同
じ条件で太陽電池(SC実11)を作製した。
【0303】(比較例11−1)i型層を形成する際
に、比較例1−1と同様にRF電力、ターゲット電力を
時間的に一定とする以外は、実施例11と同じ条件で太
陽電池(SC比11−1)を作製した。
【0304】(比較例11−2)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
1と同じ条件で太陽電池(SC比11−2)を作製し
た。
【0305】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実11)は、従来の太陽電池
(SC比11−1)、(SC比11−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0306】(実施例12)RFp型層とi型層の間、
及びRFn型層とi型層の間にPR−i層を有する図2
(c)の太陽電池を作製した。その他の層は実施例8と
同様な方法で太陽電池を作製した。2つのRF−i層は
a−Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、H
2 ガス流量が50sccm、堆積室内の圧力が1.0T
orr、導入するRF電力が0.01W/cm3 、基板
温度が270℃、層厚が20nmの条件で形成した。実
施例1と同様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実
12)は(SC実8)よりもさらに優れた特性を有する
ことが分かった。
【0307】(実施例13)MWPCVD法を用いた図
11の堆積装置を使用して、図14に示すトリプル型太
陽電池を作製した。
【0308】まず、基板の作製を行った。実施例1と同
様に50×50mm2 のステンレス基板をアセトンとイ
ソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させた。スパッタ
リング法を用いて、ステンレス基板表面上に層厚0.3
μmのAgの光反射層を形成した。この際、基板温度を
350℃に設定し、基板表面を凹凸(テクスチャー化)
にした。その上に基板温度350℃で層厚2.0μmの
ZnOの反射増加層を形成した。
【0309】次に実施例1と同様な方法で成膜の準備を
終えた。実施例1と同様な方法で基板上に第1のMWn
型層(μc−Si)を形成し、さらに第1のRFn型層
(a−Si)、第1のi型層(a−SiGe)、第1の
RFp型層(a−Si 層厚10nm)、第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、第2のRFn型層
(μc−Si)、第2のi型層(a−Si)、第2のR
Fp型層(a−SiC層厚10nm)、第2のMWp型
層(μc−SiC 層厚10nm)、第3のRFn型層
(a−SiC)、第3のi型層(a−SiC)、第3の
RFp型層(a−SiC 層厚10nm)、第3のMW
p型層(μc−SiC 層厚10nm)を順次形成し
た。各半導体層を形成する際、SiF4 ガスを導入し、
SiH4ガス流量とSiF4 ガス流量を時間的に変化さ
せて、各層の水素含有量の層厚方向変化が図3(c)の
ように、さらにフッ素含有の層厚方向変化を図10
(c)のようにした。さらにターゲット電力を時間変化
させてアルカリ金属含有量の変化を図3(c)のように
した。
【0310】次に第3のMWp型層上に実施例1と同様
な透明電極、集電電極を形成した。
【0311】以上でトリプル型太陽電池(SC実13)
の作製を終えた。
【0312】(比較例13−1)各半導体層を形成する
際、ターゲット電力を時間的に一定とする以外は、実施
例13と同じ条件で太陽電池(SC比13−1)を作製
した。
【0313】(比較例13−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層、および第3のRFp型層は形成
せず、第1のMWp型層、および第2のMWp型層、お
よび第3のMWp型層の層厚は20nmとする以外は実
施例13と同じ条件で太陽電池(SC比13−2)を作
製した。
【0314】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実13)は、従来の太陽電池
(SC比13−1)、(SC比13−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0315】(実施例14)図20のロール・ツー・ロ
ール法を用いた堆積装置を使用して、図15のタンデム
型太陽電池を作製した。
【0316】まず基板は長さ300m、幅30cm、厚
さ0.1mmの両面を鏡面研磨した長尺状ステンレスシ
ートを用いた。ロール・ツー・ロール法を用いたスパッ
タリング装置でこのステンレス基板表面上に基板温度3
50℃で層厚0.3μmのAgからなる光反射層を連続
形成し、さらに基板温度350℃で層厚2.0μmのZ
nOからなる反射増加層を連続形成した。基板表面は実
施例13と同様にテクスチャー化されていることが分か
った。
【0317】図20はロール・ツー・ロール法を用いた
半導体層の連続形成装置の概略図である。
【0318】この装置は基板送り出し室910と、複数
の堆積室901〜909と、基板巻き取り室911を順
次配置し、それらの間を分離通路912で接続してな
り、長尺状の基板913がこれらの中を通って、基板送
り出し室から基板巻き取り室に絶え間無く移動すること
ができ、且つ基板の移動と同時に各堆積室でそれぞれの
半導体層を同時に形成することができる。
【0319】図21(b)は堆積室を上から見た図で、
それぞれの堆積室には原料ガスの入り口914と原料ガ
スの排気口915があり、RF電極916あるいはマイ
クロ波アプリケーター917が必要に応じて取り付けら
れ、さらに基板を加熱するハロゲンランプヒーター91
8が内部に設置されている。また原料ガスの入り口91
4には実施例1と同様な原料ガス供給装置が接続されて
おり、それぞれの堆積室には原料ガスの排気口があり、
それぞれの排気口には油拡散ポンプ、メカニカルブース
ターポンプなどの真空排気ポンプが接続されている。ま
たそれぞれのRF電極にはRF電源が接続され、マイク
ロ波アプリケーターにはMW電源が接続されている。
【0320】i型層の堆積室である堆積室903と90
7にはバイアス電極931とターゲット電極930が配
置されており、それぞれの電源としてRF電源が接続さ
れている。さらにターゲットにはNaFを用いた。
【0321】図21(a)はi型層の堆積室を横から見
た図で、堆積室内の基板面積よりも小さい表面積を有す
るターゲットを堆積室のほぼ中央に配置することによっ
て、単位時間当たりにスパッタリングされるアルカリ金
属の量を、基板周辺部941よりも基板中央部942で
多くさせたものである。こうすることによってアルカリ
金属含有の層厚方向変化が図3(c)のようになる。
【0322】堆積室に接続された分離通路には掃気ガス
を流入させる入り口919がある。基板送り出し室には
送り出しロール920と基板に適度の張力を与え、常に
水平に保つためのガイドロール921があり、基板巻き
取り室には巻き取りロール922とガイドロール923
がある。
【0323】まず、前記の光反射層と反射増加層を形成
した基板を送り出しロールに巻き付け、基板送り出し室
にセットし、各堆積室内を通過させた後に基板の端を基
板巻き取りロールに巻き付ける。装置全体を不図示の真
空排気ポンプで真空排気し、各堆積室のランプヒーター
を点灯させ、各堆積室内の基板温度が所定の温度になる
ように設定する。装置全体の圧力が1mTorr以下に
なったら掃気ガスの入り口919からHeガスを流入さ
せ、基板を図の矢印の方向に移動させながら、巻き取り
ロールで巻き取っていく。実施例1と同様にして各堆積
室にそれぞれの原料ガスを流入させる。この際、各堆積
室に流入させる原料ガスが他の堆積室に拡散しないよう
に各分離通路に流入させるH2 ガスの流量、あるいは各
堆積室の圧力を調整する。
【0324】次にRF電力、またはMW電力を導入して
グロー放電を生起し、それぞれの半導体層を形成してい
く。
【0325】基板上に堆積室901で第1のMWn型層
(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室
902で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室903で第1のi型層(a−SiGe 層
厚180nm)、堆積室904で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室905で第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室906で第
2のRFn型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室
907で第2のi型層(a−Si 層厚250nm)、
堆積室908で第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、堆積室909で第2のMWp型層(μc−S
iC 層厚10nm)を順次形成した。
【0326】第1のi型層、第2のi型層を形成する堆
積室903,907の原料ガス入り口は複数に分かれて
おり、それぞれ入り口から原料ガスを流入させた。第1
のi型層を形成する際、SiF4 ガス流量の基板の搬送
方向に対する変化パターンが図21(b)の矢印960
のようにして、i型層の水素含有量の層厚方向変化を図
3(c)のようにし、フッ素含有量の層厚方向の変化を
図10(c)のようにした。基板の搬送が終わったとこ
ろで、すべてのMW電源、RF電源、ターゲット電源を
切り、グロー放電を止め、原料ガス、掃気ガスの流入を
止めた。装置全体をリークし、巻き取られた基板を取り
だした。
【0327】次にロール・ツー・ロール法を用いたスパ
ッタリング装置で第2のMWp型層上に170℃で層厚
70nmのITOからなる透明電極を連続形成した。
【0328】次にこの基板の一部を50mm×50mm
の大きさに切断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線
幅0.5mmのカーボンペーストを印刷し、その上に層
厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、集
電電極を形成した。
【0329】以上でロール・ツー・ロール法を用いたタ
ンデム型太陽電池(SC実14)の作製を終えた。
【0330】(比較例14−1)第1のi型層、および
第2のi型層を形成する際、表面積の大きなターゲット
を用い、アルカリ金属含有量が層厚方向に対して均一に
なるようにする以外は、実施例14と同じ条件で太陽電
池(SC比14−1)を作製した。
【0331】(比較例14−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層は形成せず、第1のMWp型層、
および第2のMWp型層の層厚は20nmとする以外は
実施例14と同じ条件で太陽電池(SC比14−2)を
作製した。
【0332】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実14)は、従来の太陽電池
(SC比14−1)、(SC比14−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0333】(実施例15)図20の堆積装置を使用し
て作製したタンデム型太陽電池をモジュール化し、発電
システムに応用し、フィールドテストを行った。
【0334】実施例14で作製した光未照射の50mm
×50mmのタンデム型太陽電池(SC実14)を65
個用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にEV
A(エチレンビニルアセテート)からなる接着材シート
を乗せ、その上にナイロンシートを乗せ、その上に65
個の太陽電池を配列し、直列化および並列化を行った。
その上にEVAの接着材シートを乗せ、その上にフッ素
樹脂シートを乗せて、真空ラミネートし、モジュール化
した。作製したモジュールの初期光電変換効率を実施例
1と同様な方法で測定しておいた。図19に示す発電シ
ステムの回路に接続し、負荷には夜間点灯する外灯を使
用した。システム全体は蓄電池、及びモジュールの電力
によって稼動する。この発電システムを(SBS実1
5)と呼ぶことにする。
【0335】(比較例15)光未照射の従来のタンデム
型太陽電池(SC比14−1)、(SC比14−2)を
65個用いて実施例15と同様にモジュール化し、初期
光電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施
例15と同様な発電システムに接続した。これらの発電
システムを(SBS比15−1)、(SBS比15−
2)と呼ぶことにする。
【0336】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。
【0337】その結果、本発明の太陽電池を用いた発電
システム(SBS実15)は従来の発電システム(SB
S比15−1)、(SBS比15−2)よりもさらに優
れた初期光電変換効率およびフィールド耐久性を有して
いることが分かった。
【0338】(実施例16)半導体層に酸素、窒素原子
を含有する以下の光起電力素子を作製した。
【0339】(実施例16−1)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガスを2
0sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電
池(SC実16−1)を作製した。
【0340】(実施例16−2)RF−i層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電池
(SC実16−2)を作製した。
【0341】(実施例16−3)MWp型層を形成する
際、O2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガス
を20sccm導入し、RFp型層を形成する際、O2
/Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1sccm
導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電池(SC実
16−3)を作製した。
【0342】実施例1と同様な測定を行ったところ、太
陽電池(SC実16−1)〜(SC実16−3)は、太
陽電池(SC実1)よりもさらに優れた特性を有するこ
とが分かった。
【0343】作製したこれらの太陽電池の酸素原子及び
窒素原子の濃度をSIMSを用いて調べたところ、ほぼ
導入した原料ガス(O)、原料ガス(N)の原料ガス
(Si)に対する濃度程度に含有されていることが分か
った。
【0344】[請求項5に係わる実施例] (実施例17)図11に示す堆積装置を用いて、i型層
にP,B原子を含有した図1(b)構成の太陽電池を作
製した。i型層以外は実施例1と同様にして作製した。
【0345】a−Siからなるi型層は、以下に示すよ
うに、MWPCVD法とアルカリ金属のスパッタリング
を同時に行なうことによって形成した。まず、H2 ガス
を300sccm導入し、圧力が0.01Torr、基
板404の温度が350℃になるようにした。基板温度
が安定したところで、SiH4 ガス、Heガス、PH 3
/H2ガス,B26/H2ガスを流入させ、SiH4 ガス
流量が150sccm、Heガス流量が150scc
m、H2 ガス流量が150sccm、PH3/H2ガス流
量が2sccm,B26/H2ガス流量が2sccmと
し、堆積室401内の圧力が0.01Torrとなるよ
うに調整した。次に、RF電源の電力を0.32W/c
3 に設定し、バイアス電極に印加した。その後、不図
示のMW電源の電力を0.20W/cm3 に設定し、誘
電体窓413を通して堆積室内にMW電力を導入し、グ
ロー放電を生起させた。次にターゲット電源の電力を2
00Wに設定し、ターゲットシャッター417を開け、
シャッターを開け、RFn型層上にi型層の形成を開始
した。層厚300nmのi型層を形成したところで、シ
ャッター、ターゲットシャッターを閉じ、MW電源、R
F電源、ターゲット電源を切ってグロー放電を止め、i
型層の形成を終えた。
【0346】この太陽電池を(SC実17)と呼ぶこと
にし、RFn型層、i型層、RFp型層、MWp型層の
形成条件を表4に示す。
【0347】(比較例17−1)i型層を形成する際
に、PH3/H2ガスを流入しない以外は、実施例17と
同じ条件で太陽電池(SC比17−1)を作製した。
【0348】(比較例17−2)i型層を形成する際
に、B26/H2ガスを流入しない以外は、実施例17
と同じ条件で太陽電池(SC比17−2)を作製した。
【0349】(比較例17−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
7と同じ条件で太陽電池(SC比17−3)を作製し
た。
【0350】太陽電池(SC実17)及び(SC比17
−1)〜(SC比17−3)はそれぞれ6個づつ作製
し、実施例1と同様にして、初期光電変換効率(光起電
力/入射光電力)、振動劣化、光劣化及びバイアス電圧
印加時の高温高湿環境における振動劣化、光劣化の測定
を行なった。
【0351】初期光電変換効率測定の結果、(SC実1
7)に対して、(SC比17−1)〜(SC比17−
3)の初期光電変換効率は以下のようになった。
【0352】(SC比17−1) 0.94倍 (SC比17−2) 0.93倍 (SC比17−3) 0.93倍 振動劣化、光劣化測定の結果、(SC実17)に対して
(SC比17−1)〜(SC比17−3)の光劣化後の
光電変換効率の低下率、及び振動劣化後の光電変換効率
の低下率は以下のようになった。
【0353】 振動劣化 光劣化 (SC比17−1) 0.93倍 0.91倍 (SC比17−2) 0.93倍 0.90倍 (SC比17−3) 0.92倍 0.90倍 バイアス印加時の高温高湿度環境における振動劣化、及
び光劣化の測定の結果、(SC実17)に対して、(S
C比17−1)〜(SC比17−3)の振動劣化後の光
電変換効率の低下率、及び光劣化後の光電変換効率の低
下率は以下のようになった。
【0354】 振動劣化 光劣化 (SC比17−1) 0.92倍 0.92倍 (SC比17−2) 0.91倍 0.91倍 (SC比17−3) 0.91倍 0.92倍 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
17)、(SC比17−1)、(SC比17−2)では
層剥離は見られなかったが、(SC比17−3)では層
剥離が僅かに見られた。
【0355】次に2次イオン質量分析装置(SIMS)
を用いて、作製した(SC実17)、(SC比17−
1)〜(SC比17−3)のP,B原子の含有量を求め
たところ以下のようになった。
【0356】 ──────────────────────────── P含有量 B含有量 ──────────────────────────── (SC実17) 5ppm 10ppm (SC比17−1) N.D. 10ppm (SC比17−2) 5ppm N.D. (SC比17−3) 5ppm 10ppm ──────────────────────────── また、高温度環境における振動劣化、光劣化、及び高湿
度環境における振動劣化、光劣化を測定したが、同様に
(SC実17)が(SC比17−1)〜(SC比17−
3)よりも優れた特性を有していた。
【0357】さらに、上記の環境で順バイアスを印加し
た場合も、同様に(SC実17)が(SC比17−1)
〜(SC比17−3)よりも優れた特性を有していた。
【0358】以上のように本実施例の太陽電池(SC実
17)が、従来の太陽電池(SC比17−1)〜(SC
比17−3)よりもさらに優れた特性を有することが分
かった。
【0359】(実施例18)i型層内の価電子制御剤の
含有量が層厚方向になめらかに変化し、且つp型層側で
含有量が多い太陽電池(SC実18)を作製した。PH
3/H2ガス流量,B 26/H2ガス流量を図16のよう
に時間変化させた以外は実施例17と同条件で太陽電池
(SC実18)を作製した。
【0360】実施例17と同様にSIMSでP,Bの含
有量を求めたところ図5(a)のようになっていること
が分かった。また、実施例17と同様な測定を行ったと
ころ、(SC実18)は(SC実17)よりもさらに優
れた特性を示すことが分かった。
【0361】(実施例19)図1(c)の層構成を有す
るフォトダイオード(PD実19)を作製した。
【0362】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、20×20mm2 のガラス基板をアセトンとイソプ
ロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させ、真空蒸着法
で室温にてガラス基板表面上に層厚0.1μmのAlの
光反射層を形成し、基板の作製を終えた。
【0363】実施例17と同様な方法で基板上にMWn
型層(a−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型
層(a−Si)、RFp型層(μc−SiC)を順次形
成した。半導体層の層形成条件を表5に示す。
【0364】次に、RFp型層上に実施例17と同様に
透明電極と集電電極を形成した。
【0365】(比較例19−1)i型層を形成する際
に、PH3/H2ガスを流入しない以外は、実施例19と
同じ条件でフォトダイオード(SC比19−1)を作製
した。
【0366】(比較例19−2)i型層を形成する際
に、B26/H2ガスを流入しない以外は、実施例19
と同じ条件でフォトダイオード(SC比19−2)を作
製した。
【0367】(比較例19−3)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は40nmとする以外は実施例1
9と同じ条件でフォトダイオードを(PD比19−3)
作製した。
【0368】作製したフォトダイオードのオンオフ比を
測定した。次に実施例17と同様な測定をオンオフ比に
ついて行なった。その結果、本実施例のフォトダイオー
ド(PD実19)は従来のフォトダイオード(PD比1
9−1)、(PD比19−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0369】(実施例20)n型層とp型層の積層順序
を逆にした、nip型構造を有する図1(b)の太陽電
池を作製した。実施例17と同様に基板上にRFp型層
(μc−Si)、i型層(a−Si)、RFn型層(a
−SiC)、MWn型層(a−SiC)を形成した。
【0370】i型層を形成する際、ターゲット電力を時
間的に変化させて、アルカリ金属含有量が図5(a)の
ように層厚方向に変化させた。半導体層の形成条件は表
6に示す。半導体層以外の層および基板は実施例17と
同じ条件で太陽電池(SC実20)を作製した。
【0371】(比較例20−1)i型層を形成する際
に、PH3/H2ガスを流入しない以外は、実施例20と
同じ条件で太陽電池(SC比20−1)を作製した。
【0372】(比較例20−2)i型層を形成する際
に、B26/H2ガスを流入しない以外は、実施例20
と同じ条件で太陽電池(SC比20−2)を作製した。
【0373】(比較例20−3)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例2
0と同じ条件で太陽電池(SC比20−3)を作製し
た。
【0374】(SC実20−1)i型層を形成する際、
RF電力を時間的に変化させる以外は実施例20と同じ
条件で太陽電池(SC実20−1)を作製した。
【0375】次にガラス基板とシリコンウェハを用い、
一定のRF電力を印加し、他は実施例17と同じ条件で
ガラス基板及びシリコンウェハ上にi型層の1μm形成
し、それぞれバンドギャップ測定用、及び赤外吸収スペ
クトル測定用サンプルとした。さらにRF電力をいろい
ろと変えたサンプルをいくつか作製した。分光光度計を
用いて作製したガラス基板サンプルのバンドギャップ
(Eg)を求め、さらにシリコンウェハサンプルの赤外
吸収スペクトルを測定し水素含有量を測定した。両者の
結果を用いてi型層中の水素含有量とバンドギャップの
関係を求めておいた。
【0376】また2次イオン質量分析装置(SIMS)
を用いて作製した(SC実20−1)の層厚方向に対す
る水素含有量を求めたところ、図3(a)のようになっ
ていることが分かった。さらに水素含有量とバンドギャ
ップの変化を求めたところ図4(a)のようになってい
ることが分かった。
【0377】同様に(SC実20)、(SC比20−
1)〜(SC比20ー3)の水素含有量を求めたとこ
ろ、層厚方向に対する水素含有量の変化はなく、一定
で、バンドギャップは1.73(eV)であることが分
かった。
【0378】このように層厚方向に対する水素含有量、
およびバンドギャップの変化は、導入されるRF電力に
依存することが分かった。
【0379】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実20)は従来の太陽電池
(SC比20−1)〜(SC比20−3)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。また(SC実20
−1)は(SC実20)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0380】(実施例21)i型層のフッ素含有量がな
めらかに変化し、RFp型層との界面近傍でフッ素含有
量が最小となっている太陽電池を作製した。i型層を形
成する際、SiF4ガス流量を時間的に変化させて、図
10(c)のようなフッ素含有量の変化パターンを得
た。これ以外は実施例17と同じ条件で作製した。実施
例17と同様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実
21)は(SC実17)よりもさらに優れた特性を有し
ていることが分かった。
【0381】(実施例22)MWp型層、RFp型層の
界面近傍で水素含有量が最大となっている太陽電池を作
製した。RFp層を形成する際RF電力を変化させて、
図3(b)のような水素含有量の変化パターンを得た。
MW電力を時間変化させて、図3(c)のような水素含
有量の変化パターンを得た。これ以外は実施例17と同
じ条件で作製した。実施例17と同様な測定を行ったと
ころ、太陽電池(SC実22)は(SC実17)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0382】(実施例23)MWp型層、RFp型層の
界面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太
陽電池を作製した。MWp型層、RFp型層を形成する
際、導入する価電子制御剤の原料ガスを時間変化させ
て、図13(c)のようにB原子の含有量を変化させ
た。これ以外は実施例17と同じ条件で作製した。実施
例17と同様な測定を行なったところ、太陽電池(SC
実23)は(SC実17)よりもさらに優れた特性を有
することが分かった。
【0383】(実施例24)MWp型層、RFp型層に
フッ素を含有し、界面近傍でフッ素含有量が最小となっ
ている太陽電池を作製した。MWp型層、RFp型層を
形成する際、新たにSiF4ガスを導入し流量を時間変
化させ図10(a)のようなフッ素含有量の変化パター
ンを得た。これ以外は実施例17と同じ条件で作製し
た。実施例17と同様な測定を行なったところ、太陽電
池(SC実24)は(SC実17)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0384】(実施例25)図1(a)の構造を有する
太陽電池を作製した。実施例17と同様に基板上にMW
n型層(μc−Si)、RFn型層(a−Si)、i型
層(a−Si)、RFp型層(a−SiC)、MWp型
層(μc−SiC)を順次積層した。i型層を形成する
際、PH3/H2ガス流量、B26/H2ガス流量は時間
変化させ層厚方向に対するB,Pの含有量が図5(c)
となるようにした。半導体層以外は実施例17と同じも
のを用いた。太陽電池(SC実25)は(SC実17)
よりもさらに優れた特性を有することが分かった。
【0385】(実施例26)i型層にa−SiGeを用
い、MWPCVD法を用いてアルカリ金属を含有させた
太陽電池を作製した。まず、図11のターゲット、ター
ゲット電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取り
除いた。i型層を形成する際、新たにGeH 4 ガスとH
eガスでバブリングしたLiH2 PO4 /Heガスを用
いた。GeH 4 ガス流量を30sccmとし、LiH2
PO4 /Heガス流量は時間的に変化させて、アルカリ
金属含有量が図3(b)となるようにし、i型層の層厚
は250nmとした。他の条件は実施例17と同じ条件
で太陽電池(SC実26)を作製した。
【0386】(比較例26−1)i型層を形成する際
に、PH3/H2ガスを流入しない以外は、実施例26と
同じ条件で太陽電池(SC比26−1)を作製した。
【0387】(比較例26−2)i型層を形成する際
に、B26/H2ガスを流入しない以外は、実施例26
と同じ条件で太陽電池(SC比26−2)を作製した。
【0388】(比較例26−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例2
6と同じ条件で太陽電池(SC比26−3)を作製し
た。
【0389】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実26)は、太陽電池(SC
比26−1)〜(SC比26−3)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0390】(実施例27)i型層にa−SiSnを用
い、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウム、カリウ
ムをともに含有させた太陽電池を作製した。まず、ター
ゲットとしてLiF、NaF、KFを10:5:1に混
合させたものに交換し、原料ガス供給装置にAl(CH
33(トリメチルアルミニウムTMA)液体ボンベを接
続しHeガスでTMAをバブリングすることによりHe
で希釈されたTMA/Heガスを堆積室に導入できるよ
うにした。i型層を形成する際、SiH4 ガス流量を1
10sccm、SiF4 ガス流量を20sccm、Sn
4ガス流量を20sccm,PH3/H2ガス流量を1
sccm、TMA/Heガスを10sccmにし、ター
ゲット電力を時間的に変化させ、アルカリ金属含有量を
図3(c)のようにする以外は実施例17と同じ条件で
太陽電池(SC実27)を作製した。
【0391】(比較例27−1)i型層を形成する際
に、PH3/H2ガスを流入しない以外は、実施例27と
同じ条件で太陽電池(SC比27−1)を作製した。
【0392】(比較例27−2)i型層を形成する際
に、TMA/Heガスを流入しない以外は、実施例27
と同じ条件で太陽電池(SC比27−2)を作製した。
【0393】(比較例27−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例2
7と同じ条件で太陽電池(SC比27−3)を作製し
た。
【0394】実施例17と同様な測定を行なったとこ
ろ、本実施例の太陽電池(SC実27)は、従来の太陽
電池(SC比27−1)〜(SC比27−3)よりもさ
らに優れた特性を有することが分かった。
【0395】(実施例28)RFp型層とi型層の間、
及びRFn型層とi型層の間にPR−i層を有する図2
(c)の太陽電池を作製した。その他の層は実施例25
と同様な方法で太陽電池を作製した。2つのRF−i層
はa−Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、
PH3/H2ガスガス流量が0.2sccm、B26/H
2ガス流量が0.5sccm、H2 ガス流量が50sc
cm、堆積室内の圧力が1.0Torr、導入するRF
電力が0.01W/cm3 、基板温度が270℃、層厚
が20nmの条件で形成した。実施例17と同様な測定
を行ったところ、太陽電池(SC実28)は(SC実2
5)よりもさらに優れた特性を有することが分かった。
【0396】(実施例29)MWPCVD法を用いた図
11の堆積装置を使用して、図14に示すトリプル型太
陽電池を作製した。
【0397】実施例13と同様な方法で基板を作製し
た。続いて、実施例17と同様な方法で基板上に第1の
MWn型層(μc−Si)を形成し、さらに第1のRF
n型層(a−Si)、第1のi型層(a−SiGe)、
第1のRFp型層(a−Si層厚10nm)、第1のM
Wp型層(μc−Si 層厚10nm)、第2のRFn
型層(μc−Si)、第2のi型層(a−Si)、第2
のRFp型層(a−SiC 層厚10nm)、第2のM
Wp型層(μc−SiC 層厚10nm)、第3のRF
n型層(a−SiC)、第3のi型層(a−SiC)、
第3のRFp型層(a−SiC 層厚10nm)、第3
のMWp型層(μc−SiC 層厚10nm)を順次形
成した。第1のi型層、第2のi型層、第3のi型層を
形成する際、流量を時間的に変化させて、P,B含有量
が図5(a)になるようにした。さらにその他の層で、
MWPCVD法で形成する層ではMW電力を時間変化さ
せ、RFPCVD法で形成する層ではRF電力を時間変
化させて、各層の水素含有量の分布が図3(c)のよう
になるようにした。また全ての半導体層形成時にターゲ
ット電力を時間変化させてLiの含有量の変化を図3
(a)となるようにした。次に第3のMWp型層上に実
施例17と同様な透明電極、集電電極を形成した。
【0398】以上でトリプル型太陽電池(SC実29)
の作製を終えた。
【0399】(比較例29−1)第1のi型層、第2の
i型層及び第3のi型層を形成する際に、PH3/H2
スを流入しない以外は、実施例29と同じ条件で太陽電
池(SC比29−1)を作製した。
【0400】(比較例29−2)第1のi型層、第2の
i型層及び第3のi型層を形成する際に、B26/H2
ガスを流入しない以外は、実施例29と同じ条件で太陽
電池(SC比29−2)を作製した。
【0401】(比較例29−3)第1のRFp型層、第
2のRFp型層及び第3のRFp型層は形成せず、第1
のMWp型層、第2のMWp型層、第3のMWp型層の
層厚をそれぞれ20nmとする以外は実施例29と同じ
条件で太陽電池(SC比29−3)を作製した。
【0402】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実29)は、従来の太陽電池
(SC比29−1)、(SC比29−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0403】(実施例30)図20のロール・ツー・ロ
ール法を用いた堆積装置を使用して、図15のタンデム
型太陽電池を作製した。
【0404】実施例14と同様にして、長尺状ステンレ
スシート上に光反射層、反射増加層を連続形成した。
【0405】基板上に堆積室901で第1のMWn型層
(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室
902で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室903で第1のi型層(a−SiGe 層
厚180nm)、堆積室904で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室905で第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室906で第
2のRFn型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室
907で第2のi型層(a−Si 層厚250nm)、
堆積室908で第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、堆積室909で第2のMWp型層(μc−S
iC 層厚10nm)を順次形成した。
【0406】本実施例では、第1のi型層、第2のi型
層を形成する際、図21に示すようにPH3/H2ガス、
26/H2ガスは別途に入り口924、925から流
入させ、i型層の界面近傍で多くの価電子制御剤が流入
できるようにした。また分離通路から多量のH2ガスが
第1及び第2のi型層の堆積室に供給されるため界面近
傍でフッ素が少なくなっており、フッ素含有量の層厚方
向変化は図10(c)のようになる。基板の搬送が終わ
ったところで、すべてのMW電源、RF電源、ターゲッ
ト電源を切り、グロー放電を止め、原料ガス、掃気ガス
の流入を止めた。装置全体をリークし、巻き取られた基
板を取りだした。
【0407】次にロール・ツー・ロール法を用いたスパ
ッタリング装置で第2のMWp型層上に170℃で層厚
70nmのITOからなる透明電極を連続形成した。
【0408】次にこの基板の一部を50mm×50mm
の大きさに切断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線
幅0.5mmのカーボンペーストを印刷し、その上に層
厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、集
電電極を形成した。
【0409】以上でロール・ツー・ロール法を用いたタ
ンデム型太陽電池(SC実30)の作製を終えた。SI
MSを用いてi型層の価電子制御剤の含有量の層厚方向
の変化を調べたところ、図5(c)のようになっている
ことが分かった。
【0410】(比較例30−1)第1のi型層及び第2
のi型層を形成する際に、PH3/H2ガスを流入しない
以外は、実施例30と同じ条件で太陽電池(SC比30
−1)を作製した。
【0411】(比較例30−2)第1のi型層及び第2
のi型層を形成する際に、B26/H2ガスを流入しな
い以外は、実施例30と同じ条件で太陽電池(SC比3
0−2)を作製した。
【0412】(比較例30−3)第1のRFp型層及び
第2のRFp型層は形成せず、第1のMWp型層、第2
のMWp型層の層厚をそれぞれ20nmとする以外は実
施例30と同じ条件で太陽電池(SC比30−3)を作
製した。
【0413】実施例17と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実30)は、従来の太陽電池
(SC比30−1)〜(SC比30−3)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0414】(実施例31)図20の堆積装置を使用し
て作製したタンデム型太陽電池をモジュール化し、発電
システムに応用し、フィールドテストを行った。
【0415】実施例30で作製した光未照射の50mm
×50mmのタンデム型太陽電池(SC実14)を65
個用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にEV
Aからなる接着材シートを乗せ、その上にナイロンシー
トを乗せ、その上に65個の太陽電池を配列し、直列化
および並列化を行った。その上にEVAの接着材シート
を乗せ、その上にフッ素樹脂シートを乗せて、真空ラミ
ネートし、モジュール化した。作製したモジュールの初
期光電変換効率を実施例17と同様な方法で測定してお
いた。図19の発電システムを示す回路に接続し、負荷
には夜間点灯する外灯を使用した。システム全体は蓄電
池、及びモジュールの電力によって稼動する。この発電
システムを(SBS実31)と呼ぶことにする。
【0416】(比較例31)光未照射の従来のタンデム
型太陽電池(SC比30−1)〜(SC比30−3)を
65個用いて実施例31と同様にモジュール化し、初期
光電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施
例31と同様な発電システムに接続した。これらの発電
システムを(SBS比31−1)〜(SBS比31−
3)と呼ぶことにする。
【0417】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。
【0418】その結果、本発明の太陽電池を用いた発電
システム(SBS実31)は従来の発電システム(SB
S比31−1)〜(SBS比31−3)よりもさらに優
れた初期光電変換効率およびフィールド耐久性を有して
いることが分かった。
【0419】(実施例32)半導体層に酸素、窒素原子
を含有する以下の光起電力素子を作製した。
【0420】(実施例32−1)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガスを2
0sccm導入する以外は実施例17と同じ条件で太陽
電池(SC実32−1)を作製した。
【0421】(実施例32−2)RF−i層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例17と同じ条件で太陽電
池(SC実32−2)を作製した。
【0422】[請求項3に係わる実施例(その1)] (実施例32−3)MWp型層を形成する際、O2 /H
eガスを100sccm、N2 /Heガスを20scc
m導入し、RFp型層を形成する際、O2 /Heガスを
2sccm、N2 /Heガスを1sccm導入する以外
は実施例17と同じ条件で太陽電池(SC実32−3)
を作製した。
【0423】実施例17と同様な測定を行ったところ、
太陽電池(SC実32−1)〜(SC実32−3)は、
太陽電池(SC実17)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0424】作製したこれらの太陽電池の酸素原子及び
窒素原子の濃度をSIMSを用いて調べたところ、ほぼ
導入した原料ガス(O)、原料ガス(N)の原料ガス
(Si)に対する濃度程度に含有されていることが分か
った。
【0425】(実施例33)図11に示す堆積装置を用
いて、i型層中のGeの含有量が層厚方向に変化した図
1(b)構成の太陽電池を作製した。i型層以外は実施
例1と同様にして作製した。
【0426】a−SiGeからなるi型層は、以下に述
べるように、MWPCVD法とアルカリ金属のスパッタ
リングを同時に行なうことによって形成した。まず、H
2 ガスを300sccm導入し、圧力が0.01Tor
r、基板404の温度が350℃になるようにした。基
板温度が安定したところで、SiH4 ガス、GeH4
ス、Heガスを流入させ、SiH4 ガス流量が140s
ccm、GeH4ガス流量が10sccm、Heガス流
量が150sccm、H2 ガス流量が150sccmと
し、堆積室401内の圧力が0.01Torrとなるよ
うに調整した。次に、RF電源の電力を0.32W/c
3 に設定し、バイアス電極に印加した。その後、不図
示のMW電源の電力を0.20W/cm3 に設定し、誘
電体窓413を通して堆積室内にMW電力を導入し、グ
ロー放電を生起させた。次にターゲット電源の電力を2
00Wに設定し、ターゲットシャッター417を開け、
シャッターを開け、RFn型層上にi型層の形成を開始
した。マスフローコントローラーに接続されたコンピュ
ーターを用い、図17(a)に示した変化パターンに従
ってSiH4 ガス流量、GeH4ガス流量を変化させ、
層厚300nmのi型層を形成したところで、シャッタ
ー、ターゲットシャッターを閉じ、MW電源、RF電
源、ターゲット電源を切ってグロー放電を止め、i型層
の形成を終えた。
【0427】この太陽電池を(SC実33)と呼ぶこと
にし、RFn型層、i型層、RFp型層、MWp型層の
形成条件を表7に示す。
【0428】(比較例33−1)i型層を形成する際
に、図17(b)に従ってSiH4 ガス流量、GeH4
ガス流量を変化させる以外は、実施例33と同じ条件で
太陽電池(SC比33−1)を作製した。
【0429】(比較例33−2)i型層を形成する際
に、SiH4 ガス流量を120sccm、GeH4ガス
流量を30sccmと時間的に一定とする以外は、実施
例33と同じ条件で太陽電池(SC比33−2)を作製
した。
【0430】(比較例33−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例3
3と同じ条件で太陽電池(SC比33−3)を作製し
た。
【0431】太陽電池(SC実33)及び(SC比33
−1)〜(SC比33−3)はそれぞれ6個づつ作製
し、実施例1と同様にして初期光電変換効率(光起電力
/入射光電力)、振動劣化、光劣化、及びバイアス電圧
印加時の高温高湿環境における振動劣化、光劣化の測定
を行なった。
【0432】初期光電変換効率測定の結果、(SC実3
3)に対して、(SC比33−1)、(SC比33−
2)の初期光電変換効率は以下のようになった。
【0433】(SC比33−1) 0.88倍 (SC比33−2) 0.92倍 (SC比33−3) 0.90倍 振動劣化、光劣化測定の結果、(SC実33)に対して
(SC比33−1)〜(SC比33−3)の光劣化後の
光電変換効率の低下率、及び振動劣化後の光電変換効率
の低下率は以下のようになった。
【0434】 振動劣化 光劣化 (SC比33−1) 0.88倍 0.86倍 (SC比33−2) 0.91倍 0.88倍 (SC比33−3) 0.91倍 0.88倍 次に、バイアス印加時の高温高湿度環境における振動劣
化、及び光劣化の測定を行なった。測定の結果、(SC
実33)に対して、(SC比33−1)〜(SC比33
−3)の振動劣化後の光電変換効率の低下率、及び光劣
化後の光電変換効率の低下率は以下のようになった。
【0435】 振動劣化 光劣化 (SC比33−1) 0.87倍 0.87倍 (SC比33−2) 0.89倍 0.91倍 (SC比33−3) 0.88倍 0.89倍 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
33)、(SC比33−1)、(SC比33−2)では
層剥離は見られなかったが、(SC比33−3)では層
剥離が僅かに見られた。
【0436】次にガラス基板とステンレス基板を用い、
SiH4 ガス流量、GeH4ガス流量を時間的に一定に
したサンプルを作製した。流量を一定とし、層厚を1μ
mとする以外は実施例33と同じ条件でi型層のサンプ
ルを作製した。さらに流量をいろいろと変えたサンプル
をいくつか作製した。分光光度計を用いて作製したガラ
ス基板サンプルのバンドギャップ(Eg)を求め、さら
にオージェ電子分光分析装置(AES)を用いてステン
レス基板サンプルのGe含有量の分析を行った。両者の
結果を用いて、i型層中のGe含有量とバンドギャップ
の関係を求めておいた。
【0437】またAESを用いて、作製した(SC実3
3)、(SC比33−3)の層厚方向に対するGe含有
量の変化を求めたところ、図17(b)のようになっ
た。
【0438】同様に(SC比33−1)のGe含有量と
バンドギャップの変化を求めたところ、図17(d)の
ようになった。同様に(SC比33−2)のGe含有量
を求めたところ、層厚方向に対するGe含有量の変化は
なく、一定で、バンドギャップは1.51(eV)であ
ることが分かった。
【0439】このように層厚方向に対するGe含有量、
およびバンドギャップの変化は、導入されるGeH4
ス流量に依存することが分かった。
【0440】また、高温度環境における振動劣化、光劣
化、及び高湿度環境における振動劣化、光劣化を測定し
たが、同様に(SC実33)が(SC比33−1)〜
(SC比33−3)よりも優れた特性を有していた。
【0441】さらに、上記の環境で順バイアスを印加し
た場合も、同様に(SC実33)が(SC比33−1)
〜(SC比33−3)よりも優れた特性を有していた。
【0442】以上のように本実施例の太陽電池(SC実
33)が、従来の太陽電池(SC比33−1)〜(SC
比33−3)よりもさらに優れた特性を有することが分
かった。
【0443】(実施例34)i型層内のGe含有量、ア
ルカリ金属含有量が図6(b)のように変化している太
陽電池(SC実2)を作製した。GeH4ガス流量は時
間に対して単調増加させSiH4 ガスは時間に対して単
調減少させ、ターゲット電力は単調増加させる以外は実
施例33と同じ条件で太陽電池(SC実34)を作製し
た。実施例33と同様な方法で層厚方向に対するバンド
ギャップの変化を求めたところ図7(b)のようになっ
ていることが分かった。
【0444】実施例33と同様な測定を行ったところ、
(SC実34)の太陽電池は実施例33と同様、従来の
太陽電池(SC比33−1)〜(SC比33−3)より
もさらに優れた特性を有することが分かった。
【0445】(実施例35)図1(c)の層構成を有す
るフォトダイオード(PD実35)を作製した。
【0446】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、20×20mm2 のガラス基板をアセトンとイソプ
ロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させ、真空蒸着法
で室温にてガラス基板表面上に層厚0.1μmのAlの
光反射層を形成し、基板の作製を終えた。
【0447】実施例33と同様な方法で基板上にMWn
型層(a−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型
層(a−SiGe)、RFp型層(a−SiC)を順次
形成した。半導体層の層形成条件を表8に示す。
【0448】次に、RFp型層上に実施例33と同様に
透明電極と集電電極を形成した。
【0449】(比較例35−1)i型層を形成する際
に、図17(b)に従ってSiH4 ガス流量、GeH4
ガス流量を変化させ図17(d)のようにバンドギャッ
プを変化させる以外は、実施例33と同じ条件でフォト
ダイオード(PD比35−1)を作製した。
【0450】(比較例35−2)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は40nmとする以外は実施例3
と同じ条件でフォトダイオードを(PD比35−2)作
製した。
【0451】作製したフォトダイオードのオンオフ比を
測定した。次に実施例33と同様な測定をオンオフ比に
ついて行なった。その結果、本実施例のフォトダイオー
ド(PD実35)は従来のフォトダイオード(PD比3
5−1)、(PD比35−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0452】(実施例36)n型層とp型層の積層順序
を逆にした、nip型構造を有する図1(b)の太陽電
池を作製した。実施例33と同様に基板上にRFp型層
(μc−Si)、i型層(a−SiGe)、RFn型層
(a−SiC)、MWn型層(a−SiC)を形成し
た。
【0453】i型層を形成する際、図17(b)のよう
にSiH4 ガス流量、GeH4ガス流量を時間的に変化
させて、Ge含有量の最大となる位置がi型層の中央よ
りp型層側になるようにした。半導体層の形成条件は表
9に示す。半導体層以外の層および基板は実施例33と
同じ条件で太陽電池(SC実36)を作製した。
【0454】(比較例36−1)i型層を形成する際
に、図17(a)のようにSiH4 ガス流量、GeH4
ガス流量を変化させる以外は、実施例36と同じ条件で
太陽電池(SC比36−1)を作製した。
【0455】(比較例36−2)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例3
6と同じ条件で太陽電池(SC比36−2)を作製し
た。
【0456】実施例33と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実36)は従来の太陽電池
(SC比36−1)、(SC比36−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0457】(実施例37)i型層にフッ素を含有さ
せ、界面近傍でフッ素含有量が最小となっている太陽電
池を作製した。i型層を形成する際、GeH4ガスに代
わりGeF4ガスを導入し、実施例33と同様にSiH4
ガス流量、GeF4 ガス流量を時間的に変化させて、フ
ッ素含有量が図10(a)のように変化し、Ge含有量
が図17(c)のように変化する太陽電池を得た。これ
以外は実施例33と同じ条件で作製した。実施例33と
同様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実37)は
(SC実33)よりもさらに優れた特性を有しているこ
とが分かった。また層剥離は観察されなかった。
【0458】(実施例38)MWp型層の界面近傍、及
びRFp型層の界面近傍で水素含有量が最大となってい
る太陽電池を作製した。MWp型層を形成する際MW電
力を時間変化させて、RFp型層を形成する際RF電力
を時間変化させて、図3(a)のような水素含有量の変
化パターンを得た。これ以外は実施例33と同じ条件で
作製した。実施例33と同様な測定を行ったところ、太
陽電池(SC実38)は(SC実33)よりもさらに優
れた特性を有することが分かった。
【0459】(実施例39)MWp型層、RFp型層の
界面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太
陽電池を作製した。MWp型層及びRFp型層を形成す
る際、導入する価電子制御剤の原料ガスを時間変化させ
て、図13(a)のようにB原子の含有量を変化させ
た。これ以外は実施例33と同じ条件で作製した。実施
例33と同様な測定を行なったところ、太陽電池(SC
実39)は(SC実33)よりもさらに優れた特性を有
することが分かった。
【0460】(実施例40)図1(a)の構造を有し、
且つi型層内の価電子制御剤の含有量が層厚方向になめ
らかに変化し、且つp型層側で含有量が多くなっている
太陽電池(SC実40)を作製した。i型層を形成する
際、PH3/H2ガス流量、B26/H2ガス流量を時間
変化させて、P,B原子の含有量が図5(c)となるよ
うにした以外は実施例33と同じ条件で作製した。
【0461】実施例33と同様な測定を行ったところ、
太陽電池(SC実40)は(SC実33)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0462】(実施例41)MWp型層、RFp型層に
フッ素を含有させた太陽電池(SC実41)を作製し
た。MWp型層及びRFp型層を形成する際、新たにS
iF4を導入し、流量を時間的に変化させて、層厚方向
に対するフッ素含有量の変化を図10(c)のようにし
た。これ以外は実施例33と同じ条件で作製した。実施
例33と同様な測定を行なったところ、太陽電池(SC
実41)は(SC実33)よりもさらに優れた特性を有
することが分かった。
【0463】(実施例42)i型層にa−SiSnを用
い、MWPCVD法を用いてアルカリ金属を含有させた
太陽電池を作製した。まず、図11のターゲット、ター
ゲット電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取り
除いた。i型層を形成する際、GeH4ガスの代わりに
SnH4 ガスを用い、新たにHeガスでバブリングした
LiH2 PO 4 /Heガスを用いた。また、図17
(a)と同様な変化パターンでSiH4 ガス流量を時間
変化させ、SnH4 ガス流量は、図17(a)のGeH
4ガス流量変化と同様に時間変化させ、LiH2 PO4
/Heガス流量は時間的に変化させて、アルカリ金属含
有量が図6(a)となるようにした。他の条件は実施例
33と同じ条件で太陽電池(SC実42)を作製した。
【0464】(比較例42−1)i型層を形成する際、
SiH4 ガス流量、SnH4ガスガス流量は時間的に一
定とし、それぞれ120sccm,30sccmとする
以外は、実施例42と同じ条件で太陽電池(SC比42
−1)を作製した。
【0465】(比較例42−2)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例4
2と同じ条件で太陽電池を(SC比42−2)作製し
た。
【0466】実施例33と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実42)は、太陽電池(SC
比42−1)、(SC比42−2)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0467】(実施例43)アルカリ金属としてリチウ
ム、ナトリウム、カリウムをともに含有させた太陽電池
を作製した。まず、ターゲットとしてLiF、NaF、
KFを10:5:1に混合させたものに交換し、i型層
を形成する際、SiH4 ガス流量を110sccm、S
iF4 ガス流量を20sccm、GeH4 ガス流量を2
0sccmとし、MW電力、ターゲット電力を時間変化
させて、Ge含有量及びアルカリ金属含有量の変化パタ
ーンを図6(c)のようにする以外は実施例33と同じ
条件で太陽電池(SC実43)を作製した。層厚方向の
バンドギャップを求めたところ図7(c)のようになっ
ていることが分かった。
【0468】実施例33と同様な測定を行なったとこ
ろ、本実施例の太陽電池(SC実43)は、従来の太陽
電池(SC比33−1)〜(SC比33−3)よりもさ
らに優れた特性を有することが分かった。
【0469】(実施例44)RFp型層とi型層の間、
及びRFn型層とi型層の間にPR−i層を有する図2
(c)の太陽電池を作製した。その他の層は実施例40
と同様な方法で太陽電池を作製した。2つのRF−i層
はa−Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、
SiF4 ガス流量が0.5sccm、H2 ガス流量が5
0sccm、堆積室内の圧力が1.0Torr、導入す
るRF電力が0.01W/cm3 、基板温度が270
℃、層厚が20nmの条件で形成した。実施例33と同
様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実44)は
(SC実40)よりもさらに優れた特性を有することが
分かった。
【0470】(実施例45)MWPCVD法を用いた図
11の堆積装置を使用して、図14に示すトリプル型太
陽電池を作製した。
【0471】まず、実施例13と同様にしてステンレス
基板上に光反射層、反射増加層を形成した。
【0472】次に実施例33と同様な方法で基板上に第
1のMWn型層(μc−Si)を形成し、さらに第1の
RFn型層(a−Si)、第1のi型層(a−SiG
e)、第1のRFp型層(a−Si 層厚10nm)、
第1のMWp型層(μc−Si層厚10nm)、第2の
RFn型層(μc−Si)、第2のi型層(a−S
i)、第2のRFp型層(a−SiC 層厚10n
m)、第2のMWp型層(μc−SiC 層厚10n
m)、第3のRFn型層(a−SiC)、第3のi型層
(a−SiC)、第3のRFp型層(a−SiC 層厚
10nm)、第3のMWp型層(μc−SiC 層厚1
0nm)を順次形成した。
【0473】ターゲットをNaFに交換し、各半導体層
にNaを含有させ、その含有量の変化を図6(c)のよ
うにした。また、各半導体層を形成する際、新たにSi
4ガスを導入し、フッ素含有量の層厚方向変化を図1
0(c)のようにした。第1のi型層を形成する際、S
iH4 ガス流量、GeH4ガス流量を図17(a)のよ
うに時間変化させた。他の層においては、MWPCVD
法で形成する層では形成する際MW電力を時間変化さ
せ、RFPCVD法で形成する層では形成する際RF電
力を時間変化させて各層の水素含有量の分布が図3
(c)になるようにした。
【0474】次に第3のMWp型層上に実施例33と同
様な透明電極、集電電極を形成した。
【0475】以上でトリプル型太陽電池(SC実45)
の作製を終えた。
【0476】(比較例45−1)第1のi型層を形成す
る際、図17(b)のようにSiH4 ガス流量、GeH
4ガス流量を時間変化させる以外は、実施例45と同じ
条件で太陽電池(SC比45−1)を作製した。
【0477】(比較例45−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層、および第3のRFp型層は形成
せず、第1のMWp型層、および第2のMWp型層、お
よび第3のMWp型層の層厚は20nmとする以外は実
施例45と同じ条件で太陽電池(SC比45−2)を作
製した。
【0478】実施例33と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実45)は、太陽電池(SC
比45−1)、(SC比45−2)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0479】(実施例46)図20のロール・ツー・ロ
ール法を用いた堆積装置を使用して、図15のタンデム
型太陽電池を作製した。
【0480】実施例14と同様にして、長尺状ステンレ
スシート上に光反射層、反射増加層を連続形成した。
【0481】基板上に堆積室901で第1のMWn型層
(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室
902で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室903で第1のi型層(a−SiGe 層
厚180nm)、堆積室904で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室905で第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室906で第
2のRFn型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室
907で第2のi型層(a−Si 層厚250nm)、
堆積室908で第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、堆積室909で第2のMWp型層(μc−S
iC 層厚10nm)を順次形成した。
【0482】第1のi型層、第2のi型層にNaを含有
させ、その層厚方向の変化を図6(c)とした。半導体
層の形成には、SiH4 ガスとSiF4ガスを用い、全
ての半導体層にフッ素を含有させた。図21(b)に示
すように第1のi型層を形成する堆積室903の原料ガ
ス入り口は複数に分かれており、それぞれの入り口から
SiH4 ガス、SiF4ガス、GeH4ガス、H2ガスを
流入させた。i型層を形成する際、GeH4 ガス流量の
基板の搬送方向に対する変化パターンが図21(b)の
矢印960の変化パターンになるように各マスフローコ
ントローラーで調節した。こうすることにより、i型層
のGe含有量の層厚方向変化は図6(c)のようになっ
た。
【0483】基板の搬送が終わったところで、すべての
MW電源、RF電源、ターゲット電源を切り、グロー放
電を止め、原料ガス、掃気ガスの流入を止めた。装置全
体をリークし、巻き取られた基板を取りだした。
【0484】次に第2のMWp型層上に170℃で層厚
70nmのITOからなる透明電極を連続形成した。続
いてこの基板の一部を50mm×50mmの大きさに切
断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線幅0.5mm
のカーボンペーストを印刷し、その上に層厚10μm、
線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、集電電極を形成
した。
【0485】以上でロール・ツー・ロール法を用いたタ
ンデム型太陽電池(SC実46)の作製を終えた。
【0486】(比較例46−1)第1のi型層を形成す
る際、GeH4ガス流量が基板の搬送方向に対して一定
とする以外は、実施例46と同じ条件で太陽電池(SC
比46−1)を作製した。
【0487】(比較例46−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層は形成せず、第1のMWp型層、
および第2のMWp型層の層厚は20nmとする以外は
実施例46と同じ条件で太陽電池(SC比46−2)を
作製した。
【0488】実施例33と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実46)は、太陽電池(SC
比46−1)、(SC比46−2)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0489】(実施例47)図20の堆積装置を使用し
て作製したタンデム型太陽電池をモジュール化し、発電
システムに応用し、フィールドテストを行った。
【0490】実施例46で作製した光未照射の50mm
×50mmのタンデム型太陽電池(SC実46)を65
個用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にEV
Aからなる接着材シートを乗せ、その上にナイロンシー
トを乗せ、その上に65個の太陽電池を配列し、直列化
および並列化を行った。その上にEVAの接着材シート
を乗せ、その上にフッ素樹脂シートを乗せて、真空ラミ
ネートし、モジュール化した。作製したモジュールの初
期光電変換効率を実施例33と同様な方法で測定してお
いた。図19の発電システムを示す回路に接続し、負荷
には夜間点灯する外灯を使用した。システム全体は蓄電
池、及びモジュールの電力によって稼動する。この発電
システムを(SBS実47)と呼ぶことにする。
【0491】(比較例47)光未照射の従来のタンデム
型太陽電池(SC比46−1)、(SC比46−2)を
66個用いて実施例47と同様にモジュール化し、初期
光電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施
例47と同様な発電システムに接続した。これらの発電
システムを(SBS比47−1)、(SBS比47−
2)と呼ぶことにする。
【0492】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。
【0493】その結果、本発明の太陽電池を用いた発電
システム(SBS実47)は従来の発電システム(SB
S比47−1)、(SBS比47−2)よりもさらに優
れた初期光電変換効率およびフィールド耐久性を有して
いることが分かった。
【0494】(実施例48)半導体層に酸素、窒素原子
を含有する以下の光起電力素子を作製した。
【0495】(実施例48−1)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガスを2
0sccm導入する以外は実施例33と同じ条件で太陽
電池(SC実48−1)を作製した。
【0496】(実施例48−2)RF−i層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例33と同じ条件で太陽電
池(SC実48−2)を作製した。
【0497】(実施例48−3)MWp型層を形成する
際、O2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガス
を20sccm導入し、RFp型層を形成する際、O2
/Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1sccm
導入する以外は実施例33と同じ条件で太陽電池(SC
実48−3)を作製した。
【0498】実施例33と同様な測定を行ったところ、
太陽電池(SC実48−1)〜(SC実48−3)は、
太陽電池(SC実33)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0499】作製したこれらの太陽電池の酸素原子及び
窒素原子の濃度をSIMSを用いて調べたところ、ほぼ
導入した原料ガス(O)、原料ガス(N)の原料ガス
(Si)に対する濃度程度に含有されていることが分か
った。
【0500】[請求項3に係わる実施例(その2)] (実施例49)図11に示す堆積装置を用いて、i型層
中のCの含有量が層厚方向に変化した図1(b)構成の
太陽電池を作製した。i型層以外は実施例1と同様にし
て作製した。
【0501】a−SiCからなるi型層は、以下に述べ
るように、MWPCVD法とアルカリ金属のスパッタリ
ングを同時に行なうことによって形成した。まず、H2
ガスを300sccm導入し、圧力が0.01Tor
r、基板404の温度が350℃になるようにした。基
板温度が安定したところで、SiH4 ガス、CH4
ス、Heガスを流入させ、SiH4 ガス流量が120s
ccm、CH4ガス流量が30sccm、Heガス流量
が150sccm、H2 ガス流量が150sccmと
し、堆積室401内の圧力が0.01Torrとなるよ
うに調整した。次に、RF電源の電力を0.32W/c
3 に設定し、バイアス電極に印加した。その後、不図
示のMW電源の電力を0.20W/cm3 に設定し、誘
電体窓413を通して堆積室内にMW電力を導入し、グ
ロー放電を生起させた。次にターゲット電源の電力を2
00Wに設定し、ターゲットシャッター417を開け、
シャッターを開け、RFn型層上にi型層の形成を開始
した。マスフローコントローラーに接続されたコンピュ
ーターを用い、図18(a)に示した変化パターンに従
ってSiH4 ガス流量、CH4ガス流量を変化させ、層
厚300nmのi型層を形成したところで、シャッタ
ー、ターゲットシャッターを閉じ、MW電源、RF電
源、ターゲット電源を切ってグロー放電を止め、i型層
の形成を終えた。
【0502】この太陽電池を(SC実49)と呼ぶこと
にし、RFn型層、i型層、RFp型層、MWp型層の
形成条件を表10に示す。
【0503】(比較例49−1)i型層を形成する際
に、図18(b)に従ってSiH4 ガス流量、CH4
ス流量を変化させる以外は、実施例49と同じ条件で太
陽電池(SC比49−1)を作製した。
【0504】(比較例49−2)i型層を形成する際
に、SiH4 ガス流量を130sccm、CH4ガス流
量を20sccmと時間的に一定とする以外は、実施例
49と同じ条件で太陽電池(SC比49−2)を作製し
た。
【0505】(比較例49−3)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例4
9と同じ条件で太陽電池(SC比49−3)を作製し
た。
【0506】太陽電池(SC実49)及び(SC比49
−1)〜(SC比49−3)はそれぞれ6個づつ作製
し、実施例1と同様にして初期光電変換効率(光起電力
/入射光電力)、振動劣化、光劣化、及びバイアス電圧
印加時の高温高湿環境における振動劣化、光劣化の測定
を行なった。
【0507】初期光電変換効率測定の結果、(SC実4
9)に対して、(SC比49−1)、(SC比49−
2)の初期光電変換効率は以下のようになった。
【0508】(SC比49−1) 0.85倍 (SC比49−2) 0.87倍 (SC比49−3) 0.88倍 振動劣化、光劣化測定の結果、(SC実49)に対して
(SC比49−1)〜(SC比49−3)の光劣化後の
光電変換効率の低下率、及び振動劣化後の光電変換効率
の低下率は以下のようになった。
【0509】 振動劣化 光劣化 (SC比49−1) 0.86倍 0.84倍 (SC比49−2) 0.87倍 0.85倍 (SC比49−3) 0.88倍 0.85倍 次に、バイアス印加時の高温高湿度環境における振動劣
化、及び光劣化の測定を行なった。測定の結果、(SC
実49)に対して、(SC比49−1)〜(SC比49
−3)の振動劣化後の光電変換効率の低下率、及び光劣
化後の光電変換効率の低下率は以下のようになった。
【0510】 振動劣化 光劣化 (SC比49−1) 0.83倍 0.84倍 (SC比49−2) 0.86倍 0.87倍 (SC比49−3) 0.85倍 0.85倍 光学顕微鏡を用いて層剥離の様子を観察した。(SC実
49)、(SC比49−1)、(SC比49−2)では
層剥離は見られなかったが、(SC比49−3)では層
剥離が僅かに見られた。
【0511】次にガラス基板とステンレス基板を用い、
SiH4 ガス、CH4ガスを時間的に一定にしたサンプ
ルを作製した。流量を一定とし、層厚を1μmとする以
外は実施例49と同じ条件でi型層のサンプルを作製し
た。さらに流量をいろいろと変えたサンプルをいくつか
作製した。分光光度計を用いて作製したガラス基板サン
プルのバンドギャップ(Eg)を求め、さらにオージェ
電子分光分析装置(AES)を用いて、ステンレス基板
サンプルのC含有量の分析を行った。両者の結果を用い
て、i型層中のC含有量とバンドギャップの関係を求め
ておいた。
【0512】またAESを用いて、作製した(SC実4
9)、(SC比49−3)の層厚方向に対するGe含有
量の変化、バンドギャップの変化を求めたところ、図1
8(c)のようになった。
【0513】同様に(SC比49−1)のC含有量とバ
ンドギャップの変化を求めたところ、図18(d)のよ
うになった。同様に(SC比49−2)のC含有量を求
めたところ、層厚方向に対するC含有量の変化はなく、
一定で、バンドギャップは1.92(eV)であること
が分かった。
【0514】このように層厚方向に対するC含有量、お
よびバンドギャップの変化は、導入されるCH4ガス流
量に依存することが分かった。
【0515】以上のように本実施例の太陽電池(SC実
49)が、従来の太陽電池(SC比49−1)〜(SC
比49−3)よりもさらに優れた特性を有することが分
かった。
【0516】(実施例50)i型層内のC含有量が図8
(b)のように変化している太陽電池(SC実50)を
作製した。CH4ガス流量は時間に対して単調減少さ
せ、SiH4 ガスは時間に対して単調増加させた以外は
実施例49と同じ条件で太陽電池(SC実50)を作製
した。実施例49と同様な方法で層厚方向に対するバン
ドギャップの変化を求めたところ図9(b)のようにな
っていることが分かった。
【0517】実施例49と同様な測定を行ったところ、
(SC実50)の太陽電池は実施例49と同様、従来の
太陽電池(SC比49−1)〜(SC比49−3)より
もさらに優れた特性を有することが分かった。
【0518】(実施例51)図1(c)の層構成を有す
るフォトダイオード(PD実51)を作製した。
【0519】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、20×20mm2 のガラス基板をアセトンとイソプ
ロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させ、真空蒸着法
で室温にてガラス基板表面上に層厚0.1μmのAlの
光反射層を形成し、基板の作製を終えた。
【0520】実施例49と同様な方法で基板上にMWn
型層(μc−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i
型層(a−SiC)、RFp型層(μc−SiC)を順
次形成した。半導体層の層形成条件を表11に示す。
【0521】次に、RFp型層上に実施例49と同様に
透明電極と集電電極を形成した。
【0522】(比較例51−1)i型層を形成する際
に、図18(b)に従ってSiH4 ガス流量、GeH4
ガス流量を変化させ、図18(d)のようにバンドギャ
ップを変化させる以外は、実施例49と同じ条件でフォ
トダイオード(PD比51−1)を作製した。
【0523】(比較例51−2)i型層を形成する際
に、SiH4 ガス流量を130sccm、CH4ガス流
量を20sccmと時間的に一定とし、層厚方向に対す
るC含有量とバンドギャップを一定とする以外は、実施
例51と同じ条件でフォトダイオード(PD比51−
2)を作製した。
【0524】(比較例51−3)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は40nmとする以外は実施例3
と同じ条件でフォトダイオードを(PD比51−3)作
製した。
【0525】作製したフォトダイオードのオンオフ比を
測定した。次に実施例49と同様な測定をオンオフ比に
ついて行なった。その結果、本実施例のフォトダイオー
ド(PD実51)は従来のフォトダイオード(PD比5
1−1)〜(PD比51−3)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0526】(実施例52)n型層とp型層の積層順序
を逆にした、nip型構造を有する図1(b)の太陽電
池を作製した。実施例49と同様に基板上にRFp型層
(μc−Si)、i型層(a−SiC)、RFn型層
(a−SiC)、MWn型層(a−SiC)を形成し
た。i型層を形成する際、図18(b)のようにSiH
4 ガス流量、CH 4ガス流量を時間的に変化させて、C
含有量の最小となる位置がi型層の中央よりp型層側に
なるようにした。半導体層の形成条件は表12に示す。
半導体層以外の層および基板は実施例49と同じ条件で
太陽電池(SC実52)を作製した。
【0527】(比較例52−1)i型層を形成する際
に、図18(a)のようにSiH4 ガス流量、GeH4
ガス流量を変化させる以外は、実施例52と同じ条件で
太陽電池(SC比52−1)を作製した。
【0528】(比較例52−2)i型層を形成する際
に、SiH4 ガス流量を130sccm、CH4ガス流
量を20sccmと時間的に一定とする以外は、実施例
52と同じ条件で太陽電池(SC比52−2)を作製し
た。
【0529】(比較例52−3)RFn型層は形成せ
ず、MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例5
2と同じ条件で太陽電池(SC比52−2)を作製し
た。
【0530】実施例49と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実52)は従来の太陽電池
(SC比52−1)〜(SC比52−3)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0531】(実施例53)i型層にフッ素を含有さ
せ、界面近傍でフッ素含有量が最小となっている太陽電
池を作製した。i型層を形成する際、新たにCF4ガス
を導入し、CF4 ガス流量を時間的に変化させて、フッ
素含有量が図10(a)のように変化し、C含有量が図
18(c)のように変化する太陽電池を得た。これ以外
は実施例49と同じ条件で作製した。実施例49と同様
な測定を行ったところ、太陽電池(SC実53)は(S
C実49)よりもさらに優れた特性を有していることが
分かった。
【0532】(実施例54)MWp型層、RFp型層の
界面近傍で水素含有量が最大となっている太陽電池を作
製した。MWp型層を形成する際MW電力を時間変化さ
せて、RFp型層を形成する際RF電力を時間変化させ
て、図3(b)のような水素含有量の変化パターンを得
た。これ以外は実施例49と同じ条件で作製した。実施
例49と同様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実
54)は(SC実49)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0533】(実施例55)i型層のドナーとなる価電
子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤を共に含有
させ、MWp型層、RFp型層の界面近傍で価電子制御
剤の含有量が最大となっている太陽電池を作製した。i
型層を形成する際、新たにPH3/H2ガス、B26/H
2ガスを導入し、流量を時間変化させて図5(a)のよ
うにP,B原子の含有量を変化させた。また、MWp型
層及びRFp型層を形成する際、B26/H2ガスを時
間変化させて、図13(a)のようにB原子の含有量を
変化させた。これ以外は実施例49と同じ条件で作製し
た。実施例49と同様な測定を行なったところ、太陽電
池(SC実55)は(SC実49)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0534】(実施例56)図1(a)の構造を有し、
且つi型層内の水素含有量が層厚方向になめらかに変化
し、且つ界面近傍で含有量が多くなっている太陽電池
(SC実56)を作製した。i型層を形成する際、RF
電力を時間変化させて、水素含有量が図3(c)となる
ようにした以外は実施例49と同じ条件で作製した。
【0535】実施例49と同様な測定を行ったところ、
太陽電池(SC実56)は(SC実49)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0536】(実施例57)MWp型層、RFp型層に
フッ素を含有させた太陽電池(SC実57)を作製し
た。MWp型層及びRFp型層を形成する際、新たにB
3/H2ガスを導入し、流量を時間的に変化させて、層
厚方向に対するフッ素含有量の変化を図10(c)のよ
うにした。またB26/H2ガス流量も時間変化させて
層厚方向に対するB含有量の変化を図13(c)のよう
にした。これ以外は実施例49と同じ条件で作製した。
実施例49と同様な測定を行なったところ、太陽電池
(SC実57)は(SC実49)よりもさらに優れた特
性を有することが分かった。
【0537】(実施例58)i型層にa−SiGeCを
用い、MWPCVD法を用いてアルカリ金属を含有させ
た太陽電池を作製した。まず、図11のターゲット、タ
ーゲット電極、ターゲットシャッターを堆積室内から取
り除いた。i型層を形成する際、新たにHeガスでバブ
リングしたLiH2 PO4 /Heガスを用い、また、図
18(a)と同様な変化パターンでSiH4 、CH4
ス流量を時間変化させ、GeH4 ガス流量は、図17
(a)のGeH4ガス流量変化と同様に時間変化させ、
LiH2PO4 /Heガス流量も時間的に変化させて、
アルカリ金属含有量が図8(a)となるようにした。他
の条件は実施例49と同じ条件で太陽電池(SC実5
8)を作製した。
【0538】(比較例58−1)i型層を形成する際、
CH4 ガス流量、GeH4ガス流量は時間的に一定と
し、それぞれ5sccm,7sccmとする以外は、実
施例58と同じ条件で太陽電池(SC比58−1)を作
製した。
【0539】(比較例58−2)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例5
8と同じ条件で太陽電池を(SC比58−2)作製し
た。
【0540】実施例49と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実58)は、太陽電池(SC
比58−1)、(SC比58−2)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0541】(実施例59)i型層にアルカリ金属とし
てリチウム、ナトリウム、カリウムをともに含有させた
太陽電池を作製した。まず、ターゲットとしてLiF、
NaF、KFを10:5:1に混合させたものに交換
し、i型層を形成する際、ターゲット電力を時間変化さ
せて、アルカリ金属含有量の変化パターンを図8(c)
のようにする以外は実施例49と同じ条件で太陽電池
(SC実59)を作製した。
【0542】実施例49と同様な測定を行なったとこ
ろ、本実施例の太陽電池(SC実59)は、従来の太陽
電池(SC比49−1)〜(SC比49−3)よりもさ
らに優れた特性を有することが分かった。
【0543】(実施例60)RFp型層とi型層の間、
及びRFn型層とi型層の間にPR−i層を有する図2
(c)の太陽電池を作製した。その他の層は実施例56
と同様な方法で太陽電池を作製した。2つのRF−i層
はa−Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、
SiF4 ガス流量が0.5sccm、H2 ガス流量が5
0sccm、堆積室内の圧力が1.0Torr、導入す
るRF電力が0.01W/cm3 、基板温度が270
℃、層厚が20nmの条件で形成した。実施例49と同
様な測定を行ったところ、太陽電池(SC実60)は
(SC実56)よりもさらに優れた特性を有することが
分かった。
【0544】(実施例61)MWPCVD法を用いた図
11の堆積装置を使用して、図14に示すトリプル型太
陽電池を作製した。
【0545】まず、実施例13と同様にしてステンレス
基板上に光反射層、反射増加層を形成した。
【0546】次に実施例49と同様な方法で基板上に第
1のMWn型層(μc−Si)を形成し、さらに第1の
RFn型層(a−Si)、第1のi型層(a−SiG
e)、第1のRFp型層(a−Si 層厚10nm)、
第1のMWp型層(μc−Si層厚10nm)、第2の
RFn型層(μc−Si)、第2のi型層(a−S
i)、第2のRFp型層(a−SiC 層厚10n
m)、第2のMWp型層(μc−SiC 層厚10n
m)、第3のRFn型層(a−SiC)、第3のi型層
(a−SiC)、第3のRFp型層(a−SiC 層厚
10nm)、第3のMWp型層(μc−SiC 層厚1
0nm)を順次形成した。
【0547】ターゲットをNaFに交換し、各半導体層
にNaを含有させ、その含有量の変化を図8(c)のよ
うにした。また、各半導体層を形成する際、新たにSi
4ガスを導入し、フッ素含有量の層厚方向変化を図1
0(c)のようにした。第3のi型層を形成する際、S
iH4 ガス流量、CH4ガス流量を図18(a)のよう
に時間変化させた。他の層においては、MWPCVD法
で形成する層では形成する際MW電力を時間変化させ、
RFPCVD法で形成する層では形成する際RF電力を
時間変化させて各層の水素含有量の分布が図3(c)に
なるようにした。
【0548】次に第3のMWp型層上に実施例49と同
様な透明電極、集電電極を形成した。
【0549】以上でトリプル型太陽電池(SC実61)
の作製を終えた。
【0550】(比較例61−1)第3のi型層を形成す
る際、図18(b)のようにSiH4 ガス流量、GeH
4ガス流量を時間変化させる以外は、実施例61と同じ
条件で太陽電池(SC比61−1)を作製した。
【0551】(比較例61−2)i型層を形成する際
に、SiH4 ガス流量を130sccm、CH4ガス流
量を20sccmと時間的に一定とする以外は、実施例
61と同じ条件で太陽電池(SC比61−2)を作製し
た。
【0552】(比較例61−3)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層、および第3のRFp型層は形成
せず、第1のMWp型層、および第2のMWp型層、お
よび第3のMWp型層の層厚は20nmとする以外は実
施例61と同じ条件で太陽電池(SC比61−3)を作
製した。
【0553】実施例49と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実61)は、太陽電池(SC
比61−1)〜(SC比61−3)よりもさらに優れた
特性を有することが分かった。
【0554】(実施例62)図20のロール・ツー・ロ
ール法を用いた堆積装置を使用して、図15のタンデム
型太陽電池を作製した。
【0555】実施例14と同様にして、長尺状ステンレ
スシート上に光反射層、反射増加層を連続形成した。
【0556】基板上に堆積室901で第1のMWn型層
(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積室
902で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室903で第1のi型層(a−SiGe 層
厚180nm)、堆積室904で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室905で第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室906で第
2のRFn型層(μc−Si 層厚20nm)、堆積室
907で第2のi型層(a−Si 層厚250nm)、
堆積室908で第2のRFp型層(a−SiC 層厚1
0nm)、堆積室909で第2のMWp型層(μc−S
iC 層厚10nm)を順次形成した。
【0557】第1のi型層、第2のi型層にNaを含有
させ、その層厚方向の変化を図8(c)とした。半導体
層の形成には、SiH4 ガスとSiF4ガスを用い、全
ての半導体層にフッ素を含有させた。第2のi型層を形
成する堆積室907の原料ガス入り口は複数に分かれて
おり、それぞれの入り口からSiH4 ガス、CH4
ス、H2ガスを流入させた。i型層を形成する際、CH
4 ガス流量の基板の搬送方向に対する変化パターンが図
21(d)の矢印960の変化パターンになるように各
マスフローコントローラーで調節した。こうすることに
より、i型層のC含有量の層厚方向変化は図8(c)の
ようになった。
【0558】基板の搬送が終わったところで、すべての
MW電源、RF電源、ターゲット電源を切り、グロー放
電を止め、原料ガス、掃気ガスの流入を止めた。装置全
体をリークし、巻き取られた基板を取りだした。
【0559】次に第2のMWp型層上に170℃で層厚
70nmのITOからなる透明電極を連続形成した。続
いてこの基板の一部を50mm×50mmの大きさに切
断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線幅0.5mm
のカーボンペーストを印刷し、その上に層厚10μm、
線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、集電電極を形成
した。
【0560】以上でロール・ツー・ロール法を用いたタ
ンデム型太陽電池(SC実62)の作製を終えた。
【0561】(比較例62−1)第2のi型層を形成す
る際、CH4ガス流量が基板の搬送方向に対して一定と
する以外は、実施例62と同じ条件で太陽電池(SC比
62−1)を作製した。
【0562】(比較例62−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層は形成せず、第1のMWp型層、
および第2のMWp型層の層厚は20nmとする以外は
実施例62と同じ条件で太陽電池(SC比62−2)を
作製した。
【0563】実施例49と同様な測定を行ったところ、
本実施例の太陽電池(SC実62)は、従来の太陽電池
(SC比62−1)、(SC比62−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0564】(実施例63)図20の堆積装置を使用し
て作製したタンデム型太陽電池をモジュール化し、発電
システムに応用し、フィールドテストを行った。
【0565】実施例62で作製した光未照射の50mm
×50mmのタンデム型太陽電池(SC実62)を65
個用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にEV
Aからなる接着材シートを乗せ、その上にナイロンシー
トを乗せ、その上に65個の太陽電池を配列し、直列化
および並列化を行った。その上にEVAの接着材シート
を乗せ、その上にフッ素樹脂シートを乗せて、真空ラミ
ネートし、モジュール化した。作製したモジュールの初
期光電変換効率を実施例49と同様な方法で測定してお
いた。図19の発電システムを示す回路に接続し、負荷
には夜間点灯する外灯を使用した。システム全体は蓄電
池、及びモジュールの電力によって稼動する。この発電
システムを(SBS実63)と呼ぶ。
【0566】(比較例63)光未照射の従来のタンデム
型太陽電池(SC比62−1)、(SC比62−2)を
66個用いて実施例63と同様にモジュール化し、初期
光電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施
例63と同様な発電システムに接続した。これらの発電
システムを(SBS比63−1)、(SBS比63−
2)と呼ぶ。
【0567】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。
【0568】その結果、本発明の太陽電池を用いた発電
システム(SBS実63)は従来の発電システム(SB
S比63−1)、(SBS比63−2)よりもさらに優
れた初期光電変換効率およびフィールド耐久性を有して
いることが分かった。
【0569】(実施例64)半導体層に酸素、窒素原子
を含有する以下の光起電力素子を作製した。
【0570】(実施例64−1)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガスを2
0sccm導入する以外は実施例49と同じ条件で太陽
電池(SC実64−1)を作製した。
【0571】(実施例64−2)RF−i層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例49と同じ条件で太陽電
池(SC実64−2)を作製した。
【0572】(実施例64−3)MWp型層を形成する
際、O2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガス
を20sccm導入し、RFp型層を形成する際、O2
/Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1sccm
導入する以外は実施例49と同じ条件で太陽電池(SC
実64−3)を作製した。
【0573】実施例49と同様な測定を行ったところ、
太陽電池(SC実64−1)〜(SC実64−3)は、
太陽電池(SC実49)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0574】作製したこれらの太陽電池の酸素原子及び
窒素原子の濃度をSIMSを用いて調べたところ、ほぼ
導入した原料ガス(O)、原料ガス(N)の原料ガス
(Si)に対する濃度程度に含有されていることが分か
った。
【0575】以上のように、本発明の光起電力素子の効
果は、素子構成、素子材料、素子の作製条件に無関係に
発揮されることが実証された。
【0576】
【表1】
【0577】
【表2】
【0578】
【表3】
【0579】
【表4】
【0580】
【表5】
【0581】
【表6】
【0582】
【表7】
【0583】
【表8】
【0584】
【表9】
【0585】
【表10】
【0586】
【表11】
【0587】
【表12】
【0588】
【発明の効果】本発明により、光励起キャリアーの再結
合を防止し、開放電圧及び正孔のキャリアーレンジを向
上し、短波長光、長波長光の感度を向上した、光電変換
効率が高い光起電力素子を提供することが可能となる。
【0589】また本発明の光起電力素子は光劣化、振動
劣化を抑制できる。そして本発明の光起電力素子は、順
バイアスを印加し、高温、高湿度環境に置いた場合にも
光劣化、振動劣化を抑制できる。さらに本発明の光起電
力素子では光起電力素子を上記のような環境に置いた場
合にも層剥離しないものである。更に本発明の光起電力
素子は、光起電力素子の堆積速度を上げることができ、
また原料ガス利用効率が高いため、生産性を飛躍的に向
上させることができる。
【0590】また本発明により、高いフィールド耐久性
を有する発電システムを提供することが可能となる。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の層構成を示す概略図。
【図2】本発明の光起電力素子の層構成を示す概略図。
【図3】水素含有量、アルカリ金属含有量の層厚方向の
変化を示すグラフ。
【図4】バンドギャップの層厚方向の変化を示すグラ
フ。
【図5】B、P含有量とアルカリ金属含有量の層厚方向
の変化を示すグラフ。
【図6】Ge含有量、アルカリ金属含有量の層厚方向の
変化を示すグラフ。
【図7】バンドギャップの層厚方向の変化を示すグラ
フ。
【図8】炭素含有量、アルカリ金属含有量の層厚方向の
変化を示すグラフ。
【図9】バンドギャップの層厚方向の変化を示すグラ
フ。
【図10】フッ素含有量の層厚方向の変化を示すグラ
フ。
【図11】堆積装置の一例を示す概略図。
【図12】ターゲット及びバイアス電極に印加する電力
の時間変化と、水素及びLi含有量、バンドギャップの
層厚方向の変化を示すグラフ。
【図13】ドーピング層における価電子制御剤の含有量
の層厚方向の変化を示すグラフ。
【図14】トリプル型太陽電池の層構成を示す概略図。
【図15】タンデム型太陽電池の層構成を示す概略図。
【図16】B26/H2,PH3/H2ガス流量の時間変
化を示すグラフ。
【図17】SiH4、GeH4ガス流量の時間変化とバン
ドギャップの層厚方向の変化を示すグラフ。
【図18】SiH4、CH4ガス流量の時間変化とバンド
ギャップの層厚方向の変化を示すグラフ。
【図19】発電システムの一例を示すブロック図。
【図20】ロール・ツー・ロール法の堆積装置の一例を
示す概略図。
【図21】堆積室の構造を示す概略図。
【符号の説明】
101,111,121 基板 102,122 MWn型層 103,123 RFn型層 104,114,124 MWPCVD法で形成され、
アルカリ金属を含有するi型層 105,115 RFp型層 106,116 MWp型層 107,117,127 透明電極 108,118,128 集電電極 112 n型層 125 p型層 130〜132 RF−i層 400 堆積装置 401 堆積室 402 真空計 403 RF電源 404 基板 405 ヒーター 406 導波管 407 コンダクタンスバルブ 408 補助バルブ 409 リークバルブ 410 バイアス電極 411 ガス導入管 412 アプリケーター 413 誘電体窓 414 スパッタ電源 415 シャッター 416 ターゲット 417 ターゲットシャッター 418 ターゲット電極 901〜909 堆積室 910 基板送り出し室 911 基板巻き取り室 912 分離通路 913 長尺状の基板 914 原料ガスの入口 915 原料ガスの排気口 916 RF電極 917 マイクロ波アプリケーター 918 ハロゲンランプヒーター 919 掃気ガスを流入させる入口 920 送り出しロール 920,923 ガイドロール 922 巻き取りロール 931 バイアス電極 930 ターゲット電極 941 基板周辺部 942 基板中央部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04

Claims (29)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料からなるp型層、i型層、n型層を積層して構成
    され、該i型層がアルカリ金属を含有しマイクロ波プラ
    ズマCVD法によって形成された光起電力素子におい
    て、該i型層のアルカリ金属及び水素含有量が層厚方向
    になめらかに変化し、且つ該p型層及びn型層のうち少
    なくともひとつの層はマイクロ波プラズマCVD法で形
    成された層(MWドーピング層)とRFプラズマCVD
    法で形成された層(RFドーピング層)との積層構造か
    らなり、該RFド−ピング層が該MWド−ピング層と該
    i型層に挟まれるように配置されたことを特徴とする光
    起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記i型層はスズを含有することを特徴
    とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料からなるp型層、i型層、n型層を積層して構成
    され、該i型層がアルカリ金属を含有しマイクロ波プラ
    ズマCVD法によって形成された光起電力素子におい
    て、該i型層はゲルマニウム、スズ及び炭素の内少なく
    とも1つを含み、ゲルマニウム及びスズの含有量は、層
    厚方向になめらかに変化し含有量が最大となる位置がi
    型層の中央の位置よりp型層に片寄り、炭素の含有量は
    層厚方向になめらかに変化し含有量が最小となる位置が
    i型層の中央の位置よりp型層に片寄ったi型層であ
    り、且つ該p型層及びn型層のうち少なくともひとつの
    層はマイクロ波プラズマCVD法で形成された層(MW
    ドーピング層)とRFプラズマCVD法で形成された層
    (RFドーピング層)との積層構造からなり、該RFド
    −ピング層が該MWド−ピング層と該i型層に挟まれる
    ように配置されたことを特徴とする光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記i型層は、ドナーとなる価電子制御
    剤とアクセプターとなる価電子制御剤を共に含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光
    起電力素子。
  5. 【請求項5】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料からなるp型層、i型層、n型層を積層して構成
    され、該i型層がアルカリ金属を含有しマイクロ波プラ
    ズマCVD法によって形成された光起電力素子におい
    て、該i型層はドナーとなる価電子制御剤とアクセプタ
    ーとなる価電子制御剤が共に含有されたi型層であり、
    且つ該p型層及びn型層のうち少なくともひとつの層は
    マイクロ波プラズマCVD法で形成された層(MWドー
    ピング層)とRFプラズマCVD法で形成された層(R
    Fドーピング層)との積層構造からなり、該RFド−ピ
    ング層が該MWド−ピング層と該i型層に挟まれるよう
    に配置されたことを特徴とする光起電力素子。
  6. 【請求項6】 前記i型層はスズを含有することを特徴
    とする請求項5に記載の光起電力素子。
  7. 【請求項7】 前記ドナーとなる価電子制御剤とアクセ
    プターとなる価電子制御剤の含有量は層厚方向になめら
    かに変化していることを特徴とする請求項4〜6のいず
    れか1項に記載の光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記ドナーとなる価電子制御剤とアクセ
    プターとなる価電子制御剤の含有量は、少なくとも一方
    の界面近傍で最大となっていることを特徴とする請求項
    7のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  9. 【請求項9】 前記i型層中の水素含有量は、層厚方向
    になめらかに変化していることを特徴とする請求項3〜
    8のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記i型層の2つの界面のうち少なく
    とも一方の界面近傍で、該i型層の水素含有量が最大と
    なっていることを特徴とする請求項1、2、9のいずれ
    か1項に記載の光起電力素子。
  11. 【請求項11】 前記RFドーピング層または/及びM
    Wドーピング層の2つの界面のうち少なくとも一方の界
    面近傍で、水素含有量が最大となっていることを特徴と
    する請求項1〜10のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  12. 【請求項12】 前記RFドーピング層または/及びM
    Wドーピング層の2つの界面のうち少なくとも一方の界
    面近傍で、価電子制御剤の含有量が最大となっているこ
    とを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の
    光起電力素子。
  13. 【請求項13】 前記RFドーピング層または/及びM
    Wドーピング層はアルカリ金属を含有することを特徴と
    する請求項1〜12のいずれか1項に記載の光起電力素
    子。
  14. 【請求項14】 前記RFドーピング層または/及びM
    Wドーピング層に含有されるアルカリ金属の含有量は、
    少なくとも一方の界面近傍で、最小となっていることを
    特徴とする請求項13に記載の光起電力素子。
  15. 【請求項15】 前記i型層、MWドーピング層、RF
    ドーピング層の内、少なくともひとつの層は酸素または
    /及び窒素を含有していることを特徴とする請求項1〜
    14のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  16. 【請求項16】 前記i型層、MWドーピング層、RF
    ドーピング層の内、少なくともひとつの層はフッ素を含
    有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれか
    1項に記載の光起電力素子。
  17. 【請求項17】 前記フッ素の含有量は、少なくとも一
    方の界面近傍で最小となっていることを特徴とする請求
    項16に記載の光起電力素子。
  18. 【請求項18】 前記i型層と前記RFドーピング層と
    の間にRFプラズマCVD法で形成されたi型の層(R
    F−i層)を有することを特徴とする請求項l〜17の
    いずれか1項に記載の光起電力素子。
  19. 【請求項19】 前記RF−i層は、ドナーとなる価電
    子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤をともに含
    有していることを特徴とする請求項18に記載の光起電
    力素子。
  20. 【請求項20】 前記RF−i層に含有されるドナーと
    なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤の
    含有量は、層厚方向に変化し少なくとも一方の界面で最
    大となることを特徴とする請求項記載19にの光起電力
    素子。
  21. 【請求項21】 前記RF−i層の2つの界面のうち少
    なくとも一方の界面近傍で、該RF−i層の水素含有量
    が最大となっていることを特徴とする請求項18〜20
    のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  22. 【請求項22】 前記RF−i層はアルカリ金属を含有
    することを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項
    に記載の光起電力素子。
  23. 【請求項23】 前記RF−i層に含有されるアルカリ
    金属の含有量は、少なくとも一方の界面近傍で、最小と
    なっていることを特徴とする請求項22に記載の光起電
    力素子。
  24. 【請求項24】 前記RF−i型層はフッ素を含有して
    いることを特徴とする請求項18〜23のいずれか1項
    に記載の光起電力素子。
  25. 【請求項25】 前記RF−i型層に含有されるフッ素
    の含有量は、少なくとも一方の界面近傍で最小となって
    いることを特徴とする請求項24に記載の光起電力素
    子。
  26. 【請求項26】 前記RF−i層は、スズを含有した非
    晶質シリコン・スズ(a−SiSn)からなることを特
    徴とする請求項18〜25のいずれか1項に記載の光起
    電力素子。
  27. 【請求項27】 前記RF−i層は、酸素または/及び
    窒素を含有していることを特徴とする請求項18〜26
    のいずれか1項に記載の光起電力素子。
  28. 【請求項28】 前記アルカリ金属は、リチウム、ナト
    リウム、カリウムの中から選ばれる少なくとも一つの元
    素であることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1
    項に記載の光起電力素子。
  29. 【請求項29】 請求項1〜28のいずれか1項に記載
    の光起電力素子と、該光起電力素子の電圧及び/または
    電流をモニターし蓄電池及び/または外部負荷への前記
    光起電力素子からの電力の供給を制御する制御システム
    と、前記光起電力素子からの電力の蓄積及び/または外
    部負荷ヘの電力の供給を行う蓄電池と、から構成されて
    いることを特徴とする発電システム。
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