JP2836716B2 - 光起電力素子及び発電システム - Google Patents

光起電力素子及び発電システム

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JP2836716B2
JP2836716B2 JP4332062A JP33206292A JP2836716B2 JP 2836716 B2 JP2836716 B2 JP 2836716B2 JP 4332062 A JP4332062 A JP 4332062A JP 33206292 A JP33206292 A JP 33206292A JP 2836716 B2 JP2836716 B2 JP 2836716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非単結晶シリコン系半導
体材料からなるpin型の光起電力素子及び発電システ
ムに係わる。特にドーピング層及びi型層がマイクロ波
プラズマCVD法(MWPCVD法)で形成され、また
非単結晶シリコン系半導体材料からなる半導体層(単に
半導体層と略記する)がフッ素を含有する光起電力素子
に関するものである。また優れた生産性を有する光起電
力素子に関するものである。加えて該光起電力素子を利
用した発電システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、より堆積速度が速く且つ原料ガス
利用効率が優れているMWPCVD法を用いた光起電力
素子の検討が精力的に行われている。例えば、i型層を
MWPCVD法で形成した例としては、◆「マイクロ波
プラズマCVD法によるa−Si太陽電池」、東 和
文、渡辺猛志、嶋田寿一、第50回応用物理学会学術講
演会予稿集 pp.566.等が挙げられる。この光起
電力素子ではi型層をMWPCVD法で形成することに
よって良質、且つ堆積速度の早いi型層を得ている。
【0003】またドーピング層をMWPCVD法で形成
した例としては、例えば◆“High Efficiency Amorphou
s Solar Cell Employing ECR-CVD Produced p-Type Mic
rocrystalline SiC Film”,Y.Hattori,D.Kruangam,T.T
oyama,H.Okamotoand Y.Hamakawa,Procedings of the In
ternational PVSEC-3 Tokyo Japan 1987pp.171.◆“HIG
H-CONDUCTIVE WIDE BAND GAP P-TYPE a-SiC:H PREPARED
BY ECR CVD ANDITS APPLICATION TO HIGH EFFICIENCY
a-Si BASIS SOLAR CELLS”,Y.Hattori,D.Kruangam,K.K
atou,Y.Nitta,H.Okamoto andY.Hamakawa,Proceedings o
f 19th IEEE Photovoltaic Specialists Conference 19
87 pp.689.等が挙げられる。これらの光起電力素子では
p型層にMWPCVD法を用いることによって良質なp
型層を得ている。
【0004】しかしこれらの例では、i型層、およびp
型層形成の両方にMWPCVD法が利用されてはいな
い。現状ではMWPCVD法で形成したi型層とMWP
CVD法で形成したドーピング層を積層すると、界面に
欠陥準位が多く発生し、それゆえ良好な特性を有する光
起電力素子が得られていないものと考えられる。
【0005】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層やこれを用いた光起電力素子の検討も進められ
ている。例えば、◆「アモルファス太陽電池の実用化研
究アモルファス太陽電池高信頼性素子製造技術研究」、
サンシャイン計画研究開発の概況.太陽電池エネルギー
1.光利用技術 VOL.1985 pp.I.231
−I.243 1986.◆“The chemical and confi
gurational basis of high efficiency amorphousphoto
voltaic cells",Ovshinsky S.R,Proceedings of 17th I
EEE PhotovoltaicSpecialists Conference 1985 pp.136
5.◆“Preparation and properties of sputtered a-S
i:H:F films",Beyer W,Chevallier J,Reichelt K,Solar
Energy Material vol.9,No2,pp.229-245 1983.◆“Dev
elopment of the scientific and technical basis for
integrated amorphous silicon modules. Research on
a-Si:F:H(B) alloys and module testing atIET-CIEMA
T.”,Gutierrez M T,P DelgadoL,Photovolt,Power Gen
er.,pp.70-75 1988.◆“The effect of fluorine on th
e photovoltaic properties of amorphos silicon”,K
onagai M,Nishihata K,TakahashiK,Komoro K,Proceedin
gs of 15th IEEE Photovoltaic Specialists Conferenc
e 1981 pp.906.等が挙げられる。しかし、これらの例に
おいても光劣化現象、熱的安定性については言及されて
いるが、フッ素の層厚方向変化と光電変換効率の関係、
あるいは水素の層厚方向変化との関係、あるいは振動劣
化との関係については述べられていない。また、これら
の例では良質なドーピング層が得られているが、高い光
電変換効率有する光起電力素子を得るには至っていな
い。
【0006】また、非単結晶シリコン系半導体材料から
なるpin型の光起電力素子において、i型層がシリコ
ン原子と炭素原子を含有し、バンドギャップが変化して
いる光起電力素子についてはいろいろな提案がなされて
いる。例えば、◆“A novel structure,high conversio
n efficiency-p-SiC/graded p-SiC/i-Si/n-Si/metal su
bstrate-type amourphos silicon solar cell”,Koen
g.su.Lum,Makoto Konagai,and Kiyosi Takahashi,Jouna
l of Applied Physics vol.56(2)1984 pp.538.◆“a-Si
C/a-Si/a-SiGe multi-bandgap stacked solar cells ce
lls with bandgap profiling",H.Sannomiya,S.Moriuch
i,Y.Inoue,K.Nomoto,A.Yokota,M.Itoh,Y.Nakata,T.tsuj
i,Technical Digest of the International PVSEC-5,Ky
oto,Japan,1990 pp.387.◆“Effect of a-Si:C:H grade
d p/i interface on the performance and stability o
f a-Si:H p-i-n solar cells”,R.R.Arya,M.S.Bennet,
A.Catalano,K.Rajan,Technical Digest of the Interna
tional PVSEC-3,Tokyo,Japan,1987 pp.457.等が報告さ
れている。
【0007】バンドギャップが変化している光起電力素
子の特性の理論的な研究は、例えば、◆“A novel desi
gn for amorhous silicon alloy solar cells”,S.Guh
a,J.Yang,A.Pawlikiewicz,T.Glatfelter,R.Ross,andS.
R.Ovshinsky,Proceedings of 20th IEEE Photovoltaic
Specilists Conference 1988 pp.79.◆“Numercal mode
ling of multijunctionamorphous silicon based P-I-N
solar cells”,A.H.Pawlikiewicz and S.Guha, Proce
eding of 20th IEEE PhotovoltaicSpecilists Conferen
ce 1988 pp.251.等が報告されている。
【0008】このような従来技術の光起電力素子ではp
/i、i/n界面近傍での光励起キャリアーの再結合を
防止する目的、開放電圧を上げる目的、及び正孔のキャ
リアーレンジを向上させる目的で前記界面にバンドギャ
ップが変化しているi型層を形成ている。しかし、これ
らの例においても光劣化現象、光電変換効率については
言及されているが、高温度、高湿度環境での光劣化、振
動劣化との関係、あるいは層剥離については述べられて
いない。
【0009】上記の従来の光起電力素子では、i型層の
形成およびドーピング層の形成の両方にMWPCVD法
が使用する場合、p/i界面、n/i界面近傍での光励
起キャリアーの再結合、開放電圧、及び正孔のキャリア
ーレンジの向上が望まれている。
【0010】またドーピング層、及びi型層をMWPC
VD法で形成した光起電力素子は、光起電力素子に光を
照射した場合に光電変換効率の低下(光劣化)するとい
う問題点があった。
【0011】さらにドーピング層、及びi型層をMWP
CVD法で形成した光起電力素子はドーピング層とi型
層の界面近傍に歪があり、長期間振動がある環境に置く
と光電変換効率が低下(振動劣化)するという問題点が
あった。
【0012】さらに上記の光起電力素子では、長期間高
温度環境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著であっ
た。
【0013】またさらに上記の光起電力素子では、長時
間高湿度環境に置いた場合の光劣化、振動劣化が顕著で
あった。
【0014】またフッ素を含有する非単結晶シリコン系
半導体層はフッ素を含まないものに比べて極めて硬く、
剥離しやすいという問題点があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決する光起電力素子を提供することを目的とす
る。即ち、本発明は堆積速度を向上させた従来の光起電
力素子において、光電変換効率を向上させた光起電力素
子を提供することを目的としている。
【0016】また、本発明は、光劣化、振動劣化を抑制
した光起電力素子を提供することを目的としている。
【0017】さらに本発明は、高温度環境における光起
電力素子の光劣化、振動劣化を制御することを目的とし
ている。
【0018】さらに本発明は、高湿度環境における光起
電力素子の光劣化、振動劣化を制御することを目的とし
ている。
【0019】さらに本発明は、光起電力素子を上記のよ
うな環境に置いていた場合でも、半導体層が剥離しない
光起電力素子を提供することを目的とする。
【0020】またさらに、本発明は優れた生産性を有す
る光起電力素子を提供することを目的としている。
【0021】またさらに、本発明は上記目的を達成した
光起電力素子を利用したシステムを提供することを目的
としている。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は従来の
問題点を解決し、前記目的を達成するために鋭意検討し
た結果、見いだされたものであって、本発明の光起電力
素子は、水素を含有する非単結晶シリコン系半導体材料
からなるp型層、i型層、n型層を基板上に順次積層し
て構成され、該i型層がフッ素と炭素を含有し、且つマ
イクロ波プラズマCVD法で形成されてなる光起電力素
子において、該p型層、n型層のうち少なくともひとつ
の層はマイクロ波プラズマCVD法で形成された層(M
Wドーピング層)とRFプラズマCVD法で形成された
層(RFドーピング層)との積層構造によって構成さ
れ、且つ該RFドーピング層は該MWドーピング層と該
i型層に挟まれるように配置され、さらに該i型層に含
有される炭素含有量は層厚方向に対してなめらかに変化
していることを特徴とする。
【0023】また本発明の望ましい形態は前記i型層の
2つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で、該i型
層における炭素含有量が最大となり、且つ該i型層の中
央の位置よりp型層側で該含有量が最小となっている前
記の光起電力素子である。
【0024】また本発明の望ましい形態は、前記i型層
にゲルマニウムまたは/及びスズが含有され、該i型層
の2つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で、該i
型層におけるゲルマニウムまたは/及びスズの含有量が
最小となり、且つ該i型層の中央の位置よりp型層側で
該含有量が最大となっている前記の光起電力素子であ
る。
【0025】また本発明の望ましい形態は前記i型層に
ドナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子
制御剤をともに含有している前記の光起電力素子であ
る。
【0026】また本発明の望ましい形態は前記i型層と
前記RFドーピング層との間にRFプラズマCVD法で
形成されたi型の層(RF−i層)を有する前記の光起
電力素子である。
【0027】また本発明の望ましい形態は前記RF−i
型層にドナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる
価電子制御剤をともに含有している前記の光起電力素子
である。
【0028】また本発明の望ましい形態は前記MWドー
ピング層、RFドーピング層、RF−i層、i型層の2
つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で、該層の水
素含有量が最大となっている前記の光起電力素子であ
る。
【0029】また本発明の望ましい形態は前記MWドー
ピング層、RFドーピング層、RF−i層、i型層の2
つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で、該層の価
電子制御剤の含有量が最大となっている前記の光起電力
素子である。
【0030】また本発明の望ましい形態は前記i型層、
RF−i層、MWドーピング層、RFドーピング層の少
なくともひとつの層に酸素または/及び窒素原子を含有
させた前記の光起電力素子である。
【0031】本発明の発電システムは前記の光起電力素
子と、該光起電力素子の電圧及び/まはた電流をモニタ
ーし蓄電池及び/または外部負荷への前記光起電力素子
からの電力の供給を制御する制御システムと、前記光起
電力素子からの電力の蓄積及び/または外部負荷への電
力の供給を行う蓄電池と、から構成されていることを特
徴とする。
【0032】以下図面を参照しながら本発明を詳細に説
明する。
【0033】図1(a)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図である。図1(a)において、本発明の光起電
力素子は基板101、MWPCVD法で形成され、n型
の伝導型を有するMWn型層102、RFPCVD法で
形成され、n型の伝導型を有するRFn型層103、M
WPCVD法で形成され、水素、フッ素、炭素を含有す
るi型層104、RFPCVD法で形成され、p型の伝
導型を有するRFp型層105、MWPCVD法で形成
され、p型の伝導型を有するMWp型層106、透明電
極107、及び集電電極108等から構成される。
【0034】図1(b)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図の他の例である。図1(b)において、本発明
の光起電力素子は基板111、n型の伝導型を有するn
型層112、i型層114、RFp型層115、MWp
型層116、透明電極117、及び集電電極118等か
ら構成される。
【0035】図1(c)は本発明の光起電力素子の模式
的説明図の他の例である。図1(c)において、本発明
の光起電力素子は基板121、MWn型層122、RF
n型層123、i型層124、p型の伝導型を有するp
型層125、透明電極127、及び集電電極128等か
ら構成される。
【0036】図1(a)〜図1(c)においてp型層、
n型層はMWPCVD法またはRFPCVD法で形成さ
れるが、好ましくはRFPCVD法で形成されるもので
ある。
【0037】さらに図1(a)〜図1(c)のようなp
in型構造の光起電力素子の他に、n型層とp型層の積
層順序を逆にしたnip型構造の光起電力素子であって
もよい。
【0038】さらに図1(a)〜図1(c)のようなp
in型構造の光起電力素子において、RFドーピング層
とi型層の間にRFPCVD法で形成されたi型の層
(RF−i層)を有する図2(a)〜図2(c)のよう
な光起電力素子であってもよい。
【0039】またさらに本発明の積層構造を有するドー
ピング層はRFp型層/MWp型層/RFp型層/i型
層、i型層/RFn型層/MWn型層/RFn型層等の
ような(RF/MW)n /RF型の3つ以上の層からな
る積層構造であってもよいし、あるいはMWp型層/R
Fp型層/MWp型層/RFp型層/i型層等のような
(MW/RF)n 型の積層構造であってもよい。
【0040】また本発明の光起電力素子はpinpin
構造やpinpinpin構造等のpin構造を積層し
たものであってもよい。
【0041】また本発明の光起電力素子はnipnip
構造やnipnipnip構造等のnip構造を積層し
たものであってもよい。
【0042】本発明の光起電力素子ではドーピング層、
及びi型層を形成する際、MWPCVD法を用いている
ため、堆積速度が速く、スループットを向上させること
ができ、さらには原料ガスの利用効率を向上させること
ができ、優れた生産性を有するものである。
【0043】また本発明の光起電力素子ではドーピング
層をMWPCVD法で形成しているために、光起電力素
子として良好な特性を有するドーピング層が得られる。
すなわち、該ドーピング層は光の透過性がよく、電気伝
導度が高く、活性化エネルギーが小さいためドーピング
層として優れており、特に光入射側のドーピング層とし
て有効である。さらにMWPCVD法で形成しているた
めに良質な微結晶シリコン系半導体材料、またはバンド
ギャップの広い良質な非単結晶シリコン系半導体材料を
比較的容易に形成することができ、光入射側のドーピン
グ層として有効である。
【0044】さらにまた本発明の光起電力素子ではドー
ピング層をMWPCVD法で形成しているために光起電
力素子の光劣化、とりわけ開放電圧の劣化を抑制するこ
とができる。
【0045】その詳細なメカニズムは不明であるが、以
下のように考えられる。一般的には光照射によって生成
した未結合手がキャリアーの再結合中心になり光起電力
素子の特性が劣化するものと考えられている。MWPC
VD法で形成されたドーピング層(MWドーピング層)
は堆積速度2nm/sec以上の速度で形成されるため
に、導入される価電子制御剤が100%活性化されず、
未結合手が発生してもそれを不活性な価電子制御剤がタ
ーミネートするため、光起電力素子の特性、特に開放電
圧の低下を抑制することができると考えられる。
【0046】また上記MWPCVD法で形成されたi型
層とMWPCVD法で形成されたドーピング層(MWド
ーピング層)の間にRFPCVD法で形成されたドーピ
ング層(RFドーピング層)があるために、界面準位を
減少させることができ、光電変換効率を向上できるもの
である。その詳細なメカニズムは不明であるが、以下の
ように考えられる。
【0047】RFドーピング層は、気相反応が起こりに
くい低パワーで形成し、堆積速度を1nm/sec以下
にする。その結果、パッキング・デンシティーは高くな
り、該層をi型層と積層した場合に、各層の界面準位が
少なくなるものである。特にi型層の堆積速度が5nm
/sec以上の場合において、マイクロ波によってグロ
ー放電を励起した直後、あるいは停止した直後ではi型
層の表面近傍は充分に緩和していないために表面準位が
多くなっているものである。
【0048】堆積速度の遅いRFドーピング層上にi型
層を形成することによって、グロー放電を生起した直後
におけるi型層の初期膜は下地の影響を受け、パッキン
グ・デンシティーが高くなり、ダングリングボンドが少
ない層になっており、表面準位が減少しているものと考
えられる。
【0049】またさらにi型層の表面に堆積速度の遅い
RFドーピング層を形成することによって、i型層の表
面準位を、RFドーピング層の形成と同時に起こる水素
原子の拡散によるアニーリングによって減少させること
ができているものと考えられる。
【0050】またRFドーピング層の価電子制御剤の含
有量をMWドーピング層の価電子制御剤の含有量よりも
低くすることによって、光起電力素子の開放電圧及びフ
ィルファクターを向上させることができる。
【0051】加えて本発明の光起電力素子は振動劣化し
にくいものである。この詳細なメカニズムは不明である
が、構成元素比が非常に異なるMWドーピング層とi型
層の間にRFドーピング層を設けることによって局所的
な柔軟性が増し、MWドーピング層とi型層との間の内
部応力を緩和することができ、内部応力による欠陥準位
の発生を防止することができる。従って、長期間振動下
に置いても光起電力素子の光電変換効率の低下を抑制す
ることができるものと考えられる。このことはRFドー
ピング層の両界面近傍で水素含有量が多い場合に特に効
果がある。
【0052】一般的に非晶質シリコン系半導体材料から
なるi型層中の炭素含有量を多くするとバンドギャップ
が大きくなることが知られている。
【0053】本発明の光起電力素子はi型層の炭素原子
の含有量が層厚方向になめらかに変化しているものであ
る。そうすることによって光電変換効率が向上する。す
なわち、例えば、図3(a)のようにi型層のp型層
側、n型層側で炭素原子の含有量を多くし、且つ炭素原
子の含有量が最小となるところをバルク内部のp型層側
に設けることによって図4(a)に見られるようにi型
層のバンドギャップはp型層側及びn型層側で極大、最
小値はバルク内部のp型層側となる。このためi型層の
p型層側で伝導帯の電界が大きくなり、電子と正孔の分
離が効率よく行われ、p型層とi型層の界面近傍での電
子と正孔の再結合を減少させることができる。また電子
がp型層に逆拡散することを制御することができる。さ
らにはi型層からn型層に向かって価電子帯の電界が大
きくなり、i型層のn型層側で励起された電子と正孔の
再結合を減少させることができる。
【0054】また内部よりも界面近傍に炭素原子を多く
含有させることによって、界面近傍特有の構成元素が急
激に変化することによる内部応力を減少させることがで
きる。その結果、長時間振動下に置いても光電変換効率
が低下することを制御することができる。ドーピング層
との接合がホモ接合である場合特に効果がある。
【0055】以下、図面を参照にしながら、バンドギャ
ップの層厚方向の変化から考えた、本発明の光起電力素
子におけるi型層の炭素原子の含有量の望ましい変化パ
ターンの例を説明する。
【0056】図3(a)では前述したようにp型層で炭
素原子の含有量を急激に変化させ、含有量が最小となる
ところがバルク内部のp型層側にある例である。この場
合、バンドギャップは図4(a)のようになり、p型層
側から入射させると、前記p型層とi型層の界面近傍の
高電界及びn型層とi型層の界面近傍の高電界をさらに
有効に利用することができ、i型層中で光励起された電
子と正孔の収集効率を向上させることができる。またn
ip型の光起電力素子でn型層側から光を入射させる場
合には変化パターンを層厚方向に対して逆にすればよ
い。またi型層に含有される炭素原子が比較的少ない場
合、特に効果がある。
【0057】図3(b)ではp型層側からn型層側にゆ
っくりと変化させ、含有量の最小値がp型層との界面に
ある例である。この場合、バンドギャップは図4(b)
のようになり、i型層の全領域にわたって価電子帯の電
界を大きくすることができ、特に正孔に対するキャリア
レンジを向上させることができ、フィルファクターを改
善することができる。またnip型の光起電力素子でn
型層側から光を入射させる場合には変化パターンを層厚
方向に対して逆にすればよい。またi型層の炭素原子の
含有量が比較的少ない場合、特に効果がある。
【0058】図3(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側で炭素原子の含有量が急激に変化している例であ
る。この場合、バンドギャップは図4(c)のようにな
り、i型層のp型層側で伝導帯の電界を強くすることが
でき、特に電子のp型層への逆拡散を制御することがで
きる。またi型層とn型層側で価電子帯の電界を強くす
ることができ、特に正孔のn型層への逆拡散を制御する
ことができる。また、炭素原子の含有量が比較的多いi
型層を有する光起電力素子に対して特に効果がある。す
なわち図4(c)においてp型層側から光を入射した場
合、バンドギャップの大きなi型層では光を充分吸収し
きれず、i型層とn型層の界面近傍での光励起キャリア
ーは再結合することなく、この界面近傍での強い電界に
よって分離され、収集効率を上げることができる。また
さらに光反射層を有する光起電力素子に対して効果があ
る。すなわち光反射層を有する光起電力素子において
は、両方の層から光が入射されるために同様に収集効率
を上げることができる。
【0059】本発明の光起電力素子はi型層、MWドー
ピング層、RFドーピング層、RF−i層にフッ素を含
有させることによって、光起電力素子を長時間、高温度
の環境に置いた場合の光劣化、振動劣化を抑制できるも
のである。また、光起電力素子を長時間、高湿度の環境
に置いた場合の光劣化、振動劣化を抑制できるものであ
る。さらに加えて、光起電力素子を長期間、高温度、高
湿度の環境に置いた場合の光劣化、振動劣化を抑制でき
るものである。
【0060】そのメカニズムの詳細は不明であるが、フ
ッ素原子の電気陰制度が非常に大きく、フッ素原子とシ
リコン原子、フッ素原子と炭素原子の結合エネルギーが
大きいものである。それゆえ、熱的、機械的に安定で、
且つ化学的にも安定な半導体層が得られるものと考えら
れる。
【0061】またフッ素は水素と同様、半導体層の未結
合手をターミネートすることができるため、欠陥準位を
減少させることができる。さらには原子半径が水素と同
様に非常に小さいため、半導体層の中に含有させた場合
にも、構造的な歪を誘起することがない。
【0062】本発明においては、フッ素含有量は半導体
層の界面近傍において少なくするのがよい。後述する
が、本発明の光起電力素子では半導体層の界面近傍に
は、水素を多く含有させ構造的な歪を緩和させる。半導
体層のパッキング・デンシティーを高く保つため、水素
含有量を多くした界面近傍では逆にフッ素含有量は少な
くすることが望ましいと考えられる。そうすることによ
って半導体中において水素とフッ素の結合、あるいは相
互間距離が狭まることによって誘起される準位を減少さ
せることができる。
【0063】またドーピング層にフッ素を含有させるこ
とによってドーピング効率を向上することができ、さら
に光の透過性も向上することができるため、従って光電
変換効率を向上させることができる。またドーピング層
にフッ素を含有させることによって比較的低電力で微結
晶シリコン系半導体材料を得ることができるため、下地
層に悪影響を及ぼすことなく、微結晶シリコン系半導体
材料からなるドーピング層を形成することができ、界面
準位を低減できるものである。従って光電変換効率を向
上させることができる。
【0064】本発明の光電変換効率ではMWドーピング
層をMWPCVD法で形成するため、特に良質なドーピ
ング層が得られる。
【0065】また本発明の光起電力素子ではフッ素を含
有するドーピング層を積層構造にしているため、フッ素
を含有させたことによる効果(高温度、高湿度環境での
光劣化、振動劣化の抑制)をよりいっそう発揮させるこ
とができる。またさらには光起電力素子を上記のような
環境に置いた場合にも半導体層が剥離しないものであ
る。
【0066】以下、図面を参照にしながら、本発明のの
光起電力素子におけるi型層のフッ素含有量の望ましい
変化パターンの例を説明する。
【0067】図5(a)ではp型層側でフッ素含有量を
急激に変化させ、含有量の最大値がバルク内部のp型層
側にある例である。この場合、層厚方向に対する水素含
有量の変化パターンは図8(a)のものが望ましい。ま
たnip型の光起電力素子でn型層側から光を入射させ
る場合には変化パターンを層厚方向に対して逆にすれば
よい。またp/i界面がヘテロ接合からなる場合、特に
効果がある。
【0068】図5(b)ではp型層側からn型層側にゆ
っくりと変化させ、フッ素含有量の最大値がp型層との
界面にある例である。この場合、層厚方向に対する水素
含有量の変化パターンは図8(b)のものが望ましい。
またnip型の光起電力素子でn型層側から光を入射す
る場合、変化パターンを層厚方向に対して逆にすればよ
い。
【0069】図5(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側でフッ素含有量が急激に変化している例である。
この場合、層厚方向に対する水素含有量の変化パターン
は図8(c)のものが望ましい。p/i界面、n/i界
面がヘテロ接合からなる場合、特に効果がある。
【0070】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対してフッ素含有量を変化させることは
RFドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−
i層にも適用できるものである。
【0071】また本発明の光起電力素子はi型層の水素
原子の含有量が層厚方向になめらかに変化しているもの
が好ましい。
【0072】またドーピング層とi型層の界面近傍にお
いて水素含有量を多くすることによって欠陥準位が水素
原子で補償され、欠陥準位を介したホッピング伝導によ
る暗電流(逆バイアス時)が減少し、光起電力素子の開
放電圧及びフィルファクターを向上させることができ
る。
【0073】また内部よりも界面近傍に水素原子を多く
含有させることによって、界面近傍特有の構成元素が急
激に変化することによる内部応力を減少させることがで
きる。
【0074】その結果、長時間振動下に置いても光電変
換効率が低下することを制御することができる。またi
型層とドーピング層の間がヘテロ接合(Si/SiC、
SiGe/SiCなど)からなる場合において特に効果
がある。一般的にはヘテロ接合の界面には多くの界面準
位、内部応力が存在すると考えられる。本発明の光起電
力素子ではヘテロ接合の界面近傍に多くの水素原子を含
有させることによって、ヘテロ界面近傍の柔軟性を増
し、内部応力を緩和し、界面準位を減少させることがで
きる。
【0075】水素含有量の層厚方向に対する変化パター
ンとしては図8に示した以下の例が挙げられる。
【0076】図8(a)ではp型層側で水素含有量を急
激に変化させ、含有量の最小値がバルク内部のp型層側
にある例である。またnip型の光起電力素子でn型層
側から光を入射させる場合には変化パターンを層厚方向
に対して逆にすればよい。またp/i界面がヘテロ接合
の場合、特に効果がある。
【0077】図8(b)ではp型層側からn型層側にゆ
っくりと変化させ、含有量の最小値がp型層との界面に
ある例である。特にp型層側から光を入射させた場合、
i型層のp型層側でパッキング・デンシティーが高くな
り、光劣化を制御する効果がある。
【0078】またnip型光起電力素子でn型層側から
光を入射させる場合には変化パターンを層厚方向に対し
て逆にすればよい。またn/i界面がヘテロ接合の場
合、特に効果がある。
【0079】図8(c)ではi型層のp型層側およびn
型層側で水素含有量が急激に変化している例である。ま
たp/i界面、n/i界面がヘテロ接合からなる場合に
おいて特に効果がある。また光起電力素子を振動が大き
い環境に置く場合に特に効果がある。
【0080】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対して水素含有量を変化させることはR
Fドーピング層、MWドーピング層、後述するRF−i
層にも適用できるものである。
【0081】また本発明においては、i型層にドナーと
なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤を
ともに含有させることによって光劣化を一層制御するこ
とができる。
【0082】そのメカニズムの詳細は不明であるが、本
発明の場合、i型層内の価電子制御剤は100%活性化
していない。その結果光照射によってウィークボンドが
切れて未結合手が生成したとしても、それらが活性化し
ていない価電子制御剤と反応して未結合手を補償するも
のと考えられる。
【0083】また特にi型層界面近傍にはウィークボン
ドが数多く存在すると考えられ、本発明の場合、ドーピ
ング層との界面近傍には価電子制御剤が多く分布され、
活性化していない価電子制御剤はウィークボンドが切れ
て生成された未結合手を補償するものと考えられる。
【0084】また光起電力素子に照射される光強度が弱
い場合にも、欠陥準位が価電子制御剤によって補償され
ているため光励起された電子と正孔がトラップさせる確
率が減少する、また前記したように逆バイアス時の暗電
流が少ないため十分な起電力を生じることができる。そ
の結果光起電力素子への照射光速度が弱い場合において
も優れた光電変換効率を示すものである。
【0085】加えて本発明の光起電力素子は、長時間振
動下に置いても光電変換効率が低下しにくいものであ
る。一般的にはi型層とドーピング層との界面では構成
元素が非常に異なるために界面には内部応力が存在し、
振動によって未結合手が形成され、光電変換効率が低下
すると考えられている。しかしi型層内部にドナーとな
る価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤がと
もに含有されていることによって、未結合手が生成した
としても、それらが活性化していない価電子制御剤と反
応して未結合手を補償するものと考えられる。さらにと
もに含有されるドナーとなる価電子制御剤とアクセプタ
ーとなる価電子制御剤の含有量が層厚方向になめらかに
変化し、且つ界面近傍で価電子制御剤の含有量が多くな
っている場合、特に効果がある。またi型層とドーピン
グ層の間がヘテロ接合(Si/SiC、SiGe/Si
Cなど)からなる場合において特に効果がある。一般的
にはヘテロ接合の界面には多くの界面準位、内部応力が
存在すると考えられる。本発明の光起電力素子ではヘテ
ロ接合の界面近傍に多くの不活性の価電子制御剤を含有
させることによって、界面準位を減少させることができ
る。
【0086】価電子制御剤の含有量の層厚方向に対する
変化のパターンとしては図9に示した以下の例が挙げら
れる。図9において(B含有量)はアクセプターとなる
価電子制御剤の含有量を示し、(P含有量)はドナーと
なる価電子制御剤の含有量を示す。
【0087】図9(a)はi型層のp型層側、n型層側
で含有量が極大となり、i型層のバルク内部のp型層側
で最小となるようにし、p型層側で含有量の急激な勾配
があるようにした例である。特にp型層側から光を入射
させた場合に効果がある。n型層側から光を入射する場
合には、パターンを層厚方向に対して逆にすればよい。
【0088】本発明の光起電力素子のようにバンドギャ
ップの小さいi型層を有する光起電力素子に対して特に
効果がある。
【0089】図9(b)はi型層のp型層側で含有量が
最大、n型層側で最小となるようにし、p型層側で含有
量の急激な勾配があるようにした例である。特にp型層
側から光を入射させた場合に効果がある。n型層側から
光を入射する場合には、パターンを層厚方向に対して逆
にすればよい。さらにバンドギャップの小さいi型層を
有する光起電力素子に対して特に効果がある。
【0090】図9(c)はi型層のp型層側、n型層で
含有量が極大となるようにし、p型層側、n型層側で含
有量の急激な勾配があるようにした例である。特にp型
層側から光を入射させた場合、効果がある。n型層側か
ら光を入射する場合には、パターンを層厚方向に対して
逆にすればよい。図9(c)のような変化パターンはバ
ンドギャップの大きな材料からなるi型層を有する光起
電力素子に対して特に効果がある。すなわち図9(c)
においてp型層側から光を入射した場合、n型層でもキ
ャリアーが光励起されるためこの領域でも価電子制御剤
の含有量を多くするのが望ましい。
【0091】i型層の場合においてはドナーとなる価電
子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤は互いに補
償するように含有されるのが好ましい。
【0092】以上、i型層についての効果を説明した
が、層厚方向に対して価電子制御剤含有量を変化させる
ことはRFドーピング層、MWドーピング層、後述する
RF−i層にも適用できるものである。
【0093】また本発明の光起電力素子では、i型層に
ゲルマニウムまたは/及びスズ原子を含有させてもよ
い。その際、層厚方向に対してゲルマニウムまたは/及
びスズ原子の含有量が変化し、且つ炭素原子の含有量に
対応して変化しているものである。
【0094】好ましい変化の形態としては、図14
(b)のように炭素原子の含有量が多いところではゲル
マニウムまたは/及びスズ原子の含有量は少なく、炭素
原子の含有量が少ないところではゲルマニウムまたは/
及びスズ原子の含有量は多くするものである。この場
合、バンドギャップは図14(c)のようになり、i型
層にゲルマニウムまたは/及びスズ原子を含有しない光
起電力素子に比較して、長波長(800nm以上)の光
を効率よく収集できるものである。さらにi型層にゲル
マニウムまたは/及びスズ原子を含有し、炭素原子を含
有しない光起電力素子に比べて、開放電圧を向上できる
ものである。またさらにはi型層のバンドギャップが図
14(c)のようになっているため、i型層のp型層、
n型層との界面近傍で光励起キャリアーの分離がよく行
われ、電子のp型層への逆拡散を防止することができ
る。またi型層に炭素原子とともにゲルマニウムまたは
/及びスズ原子が含有され、且つそれらが層厚方向に互
いに対応して変化していることによってi型層内部の歪
などの応力を緩和できるものである。
【0095】また本発明の光起電力素子において、i型
層の価電子帯のテイルステイトの傾きは、光起電力素子
の特性を左右する重要な因子であってバンドギャップの
最小のところのテイルステイトの傾きからバンドギャッ
プ最大のところのテイルステイトの傾きまでなめらかに
連続していることが好ましいものである。
【0096】本発明の光起電力素子においてはRFドー
ピング層とi型層の間に、RFPCVD法で形成された
i型の層(RF−i層)を設けることによって、さらに
光電変換効率を向上できるものである。また価電子制御
剤をi型層の内部よりも多く含有させることによって、
光起電力素子の開放電圧及びフィルファクターを向上さ
せることができる。
【0097】例えば、図2(a)においては図1(a)
のRFp型層とi型層の間にRF−i層を設けたもので
ある。また、図2(b)においては図1(a)のRFn
型層とi型層の間にRF−i層を設けたものである。ま
た、図2(c)においては図1(a)のRFn型層とi
型層の間、及びRFp型層とi型層の間にRF−i層を
設けたものである。
【0098】RF−i層は気相反応が起こりにくい低パ
ワーで形成し、堆積速度を1nm/sec以下とするの
がよい。その結果RF−i層のパッキング・デンシティ
ーが高くなり、且つRF−i層をi型層と積層した場合
に、i型層の界面準位、ドーピング層の界面準位が少な
くなるものである。特にi型層の堆積速度が5nm/s
ec以上の堆積速度で堆積した場合において、マイクロ
波によってグロー放電を開始した直後、あるいは停止し
た直後に、i型層の表面近傍は充分に緩和していないた
めに界面準位が非常に多くなっている。
【0099】RF−i層の上にi型層を形成することに
よって、マイクロ波によってグロー放電を開始した直後
のi型層は下地の影響を受け、パッキング・デンシティ
ーが高くなり、ダングリングボンドが少ない層になって
おり、表面準位が減少しているものと考えられる。
【0100】i型層の表面にRF−i層を形成すること
によってi型層の表面準位を、RFPCVDによる半導
体層の形成と同時に起こる水素原子の拡散によるアニー
リングによって減少させることができているものと考え
られる。
【0101】またRF−i層内部にドナーとなる価電子
制御剤とをアタセプターとなる価電子制御剤をともに含
有させることによって光劣化を抑制することができる。
そのメカニズムの詳細は不明であるが、本発明の場合、
RF−i層内にドナーとなる価電子制御剤とアクセプタ
ーとなる価電子制御剤の両方が含有され、それらは10
0%活性化していない。その結果光照射によって未結合
手が生成したとしても、それらが活性化していない価電
子制御剤と反応して未結合手を補償するものと考えられ
る。
【0102】加えて本発明の光起電力素子は、長期間振
動下に置いても光電変換効率が低下しにくいものであ
る。この詳細なメカニズムは不明であるが、構成元素比
が非常に異なる界面近傍において、水素原子を多く含有
させることによって界面近傍に多く存在する内部応力を
緩和でき、欠陥準位の発生を防止することができるもの
と考えられる。さらに該界面近傍に多く含有されるドナ
ーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御
剤は100%活性化しておらず、振動によって結合が切
れたとしても活性化していない価電子制御剤によって未
結合手を補償するものである。
【0103】また本発明においてはRF−i層にスズ
(Sn)を含有させて、該層を非晶質シリコン・スズ
(a−SiSn)で構成してもよい。Sn原子はシリコ
ン(Si)原子と共有結合し、バンドギャップの小さい
非晶質シリコン系半導体材料を得ることができ、非晶質
シリコン・ゲルマニウム(a−SiGe)のGe原子含
有量と比較して少ないSn含有量で同じバンドギャップ
を得ることができる。従ってa−SiSnの方がa−S
iGeと比較して構造の乱れを少なくしてバンドギャッ
プの狭い半導体を形成することができるものと考えられ
る。また更にSn原子はGe原子と比較して共有結合半
径は大きいものの、より金属的性質であるためSi原子
と合金を形成した場合に構造的な歪みを減少させること
ができるものと考えられる。
【0104】本発明に適したa−SiSnのバンドギャ
ップは1.35〜1.55eVであり、Sn含有量とし
ては0.1〜30%が好ましいものである。また水素含
有量は0.1〜30%が好ましい範囲であり、Snに結
合している水素の割合は1〜40%が好ましいものであ
る。
【0105】また本発明に適したa−SiSnの構造
は、マイクロボイドを含有し、該マイクロボイドの半径
とマイクロボイドの数との関係がフラクタル的な関係に
なるように分布しているものである。マイクロボイドの
体積割合は0.5〜3%が好ましいものである。このよ
うにマイクロボイドが分布することによって、理由はは
っきりわからないが、a−SiGeに比較して光劣化を
抑制することができるものである。
【0106】また本発明においてはi型層にスズ(S
n)を含有させて、該層を非晶質シリコン・スズ・炭素
(a−SiSnC)で構成してもよい。
【0107】また、i型層、RF−i層、MWドーピン
グ層、RFドーピング層のうち少なくともひとつの層に
酸素または/及び窒素原子を含有させてもよい。酸素ま
たは/及び窒素原子をi型層、RF−i層に微量(1%
以下)に含有させることによって光起電力素子の振動劣
化を抑制することができる。その詳細なメカニズムは不
明であるが、微量に含有させることによってi型層、R
F−i層の内部応力を緩和できるものと考えられる。さ
らにはRF−i層に含有させることによって、電子また
は正孔の逆拡散を防止することができ、光起電力素子の
光電変換効率を向上することができる。またMWドーピ
ング層、RFドーピング層に微量(1%以下)に含有さ
せることによって層内部の応力を緩和でき、振動劣化を
抑制することができる。また多量(1%以上)に含有さ
せることによって光起電力素子の開放電圧を向上するこ
とができる。好ましくは、酸素または/及び窒素原子の
含有量が層厚方向に変化しているものである。好ましい
変化形態としては一方の界面近傍で含有量が多くなって
いるものである。i型層における好ましい変化形態とし
てはC原子含有量に対応したものである。
【0108】以上pin構造の光起電力素子について説
明したが、pinpin構造やpinpinpin構造
等のpin構造を積層した光起電力素子、あるいはni
pnip構造やnipnipnip構造等のnip構造
を積層した光起電力素子についても適用できるものであ
る。
【0109】このような積層型光起電力素子の場合、n
p接合部(pn接合部)でMWPCVD法で形成した層
が連続しないように、RFn型層/MWn型層/RFp
型層/MWp型層/RFp型層、あるいはRFn型層/
MWn型層/RFn型層/RFp型層/MWp型層/R
Fp型層といった構造の接合を形成することが望まし
い。
【0110】図6は本発明の光起電力素子の非単結晶シ
リコン系半導体材料からなる半導体層を形成するのに適
した製造装置の模式的説明図である。該製造装置は堆積
装置400と原料ガス供給装置2000よりなり、堆積
装置400は堆積室401、真空計402、RF電源4
03、基板404、ヒーター405、導波管406、コ
ンダクタンスバルブ407、補助バルブ408、リーク
バルブ409、RF電極410、ガス導入管411、ア
プリケーター412、誘電体窓413、シャッター41
5などから構成され、原料ガス供給装置2000はマス
フローコントローラー2010〜2019、バルブ20
20〜2029、2030〜2039、圧力調整器20
40〜2049、原料ガスボンベ2050〜2059な
どから構成される。
【0111】本発明の光起電力素子の作製は以下のよう
に行われるものである。
【0112】まず図6の堆積室401内に設置されたヒ
ーター405に基板404を密着させ、堆積室内を10
-4Torr以下に充分に排気する。この排気にはターボ
分子ポンプ、あるいはオイル拡散ポンプが適している。
堆積室内の排気を充分に行った後、H2 、He、Ar等
のガスを、半導体層形成用の原料ガスを流したときとほ
ぼ同等の堆積室圧力になるように堆積室内に導入する。
ヒーター405のスイッチを入れ基板を100〜500
℃に加熱し、基板の温度が所定の温度で安定したら半導
体層形成用の原料ガスをガスボンベからマスフローコン
トローラーを介して所定の量を堆積室に導入する。堆積
室内へ導入される半導体層形成用の原料ガスの供給量
は、堆積室の体積によって適宜決定されるものである。
【0113】半導体層をMWPCVD法で形成する場
合、半導体層形成中の圧力は、非常に重要な因子であ
り、最適な堆積室内の圧力は、0.5〜50mTorr
が好適である。
【0114】また堆積室内に導入されるMW電力は、重
要な因子である。該MW電力は堆積室内に導入される原
料ガスの流量によって適宜決定されるものであるが、好
ましい範囲としては、0.005〜1W/cm3 であ
る。MW電力の好ましい周波数の範囲としては0.5〜
10GHzが挙げられる。特に2.45GHz付近の周
波数が適している。また再現性のある半導体層を形成す
るため及び数時間から数十時間にわたって安定なグロー
放電を維持するためにはMW電力の周波数の安定性が非
常に重要である。周波数の変動が±2%以内の範囲であ
ることが好ましいものである。さらにマイクロ波のリッ
プルも±2%以下が好ましい範囲である。このような不
図示のマイクロ波電源から発生したMW電力を導波管4
06で伝送させ、アプリケーター412から誘電体窓4
13を介して堆積室に導入する。このような状態で所望
の時間原料ガスを分解し、前記基板上に所望の層厚の半
導体層を形成する。その後MW電力の導入を止め、堆積
室内を排気し、H2 、He、Ar等のガスで充分パージ
した後、基板を堆積室から取り出す。また前記誘電体窓
はアルミナセラミクス、石英、窒化ホウ素などのマイク
ロ波をよく透過する材料から構成される。
【0115】本発明の光起電力素子のi型層を形成する
際、MW電力とともにRF電力を堆積室内に導入しても
よい。この場合、導入するMW電力は堆積室に導入する
原料ガスを100%分解するに必要なMW電力よりも小
さいことが望ましく、さらに同時に導入されるRF電力
は、前記MW電力よりも大きいことが望ましい。同時に
導入されるRF電力の好ましい範囲としては、0.01
〜2W/cm3 である。RF電力の好ましい周波数の範
囲としては1〜100MHzが挙げられる。特に13.
56MHzが最適である。またRFの周波数の変動は±
2%以内で波形はなめらかな波形が好ましいものであ
る。RF電力供給用のRF電極の面積とアースの面積と
の面積比によって適宜選択されるものではあるが、特に
RF電力供給用のRF電極の面積がアースの面積よりも
狭い場合、RF電力供給用の電源側のセルフバイアス
(DC成分)をアースした方が良いものである。さらに
RF電力供給用の電源側のセルフバイアス(DC成分)
をアースしない場合は、RF電力供給用のRF電極の面
積をプラズマが接するアースの面積よりも大きくするの
が好ましいものである。
【0116】またRF電力に加えて、前記RF電極41
0にDC電圧を印加しても良い。DC電圧の極性として
は前記RFがプラスになるように電圧を印加するのが好
ましい方法である。そしてDC電圧の好ましい範囲とし
ては、10から300V程度である。
【0117】上に述べたi型層の好ましい堆積方法の堆
積メカニズムの詳細は不明であるが、次のように考えら
れる。
【0118】原料ガスを100%分解するに必要なMW
電力より低いMW電力を前記原料ガスに作用させ、高い
RF電力をMW電力と同時に前記原料ガスに作用させる
ことによって、半導体層を形成するのに適した活性種を
選択できるものと考えられる。さらに原料ガスを分解す
るときの堆積室内の圧力が50mTorr以下の状態で
は良質な半導体層を形成するのに適した活性種の平均自
由工程が充分に長いために気相反応が極力抑えられると
考えられる。そしてまた堆積室内の圧力が50mTor
r以下の状態ではRF電力は、原料ガスの分解にほとん
ど影響を与えず、堆積室内のプラズマと基板の間の電位
を制御しているものと考えられる。即ちMWPCVD法
の場合、プラズマと基板の間の電位差は小さいが、RF
電力をMW電力と同時に導入することによってプラズマ
と基板の間の電位差(プラズマ側が+で、基板側が−)
を大きくすることができる。このようにプラズマ電位が
基板に対してプラスで高いことによって、MW電力で分
解した活性種が基板上に堆積し、同時にプラズマ電位で
加速された+イオンが基板上に衝突し基板表面での緩和
反応が促進され良質な半導体層が得られるものと考えら
れる。そして堆積速度が5nm/sec以上のときに特
に効果がある。さらにRFはDCと違って周波数が高い
ため電離したイオンと電子の分布によってプラズマの電
位と基板の電位の差が決まってくる。すなわちイオンと
電子のシナジティクによって基板とプラズマの電位差が
決まってくるものである。従って堆積室内でスパークが
起こりにくいという効果がある。その結果安定したグロ
ー放電を10時間以上に及ぶ長時間維持することができ
るものである。
【0119】通常のRFPCVD法ではフッ素を含有す
る原料ガス(例えばSiF4 ガス、GeF4 ガス、CF
4 ガス等)の分解エネルギーは水素を含有する原料ガス
(例えばSiH4 ガス、GeH4 ガス、CH4 ガス等)
の分解エネルギーの約10倍程度必要である。
【0120】従って、多大なるエネルギーをグロー放電
に印加するため、下地の半導体層に悪影響を及ぼす可能
性があるが、MWPCVD法ではもともと印加する電磁
波の周波数が高いために低電力でフッ素を含有する原料
ガスを分解することができ、フッ素を含有する半導体層
の形成手段として有効である。さらにはフッ素を含有す
る原料ガスのラジカルは比較的寿命が長いため、MWP
CVD法ではさらに平均自由工程を長くすることができ
るため、堆積速度を減少させることなく、放電空間と基
板表面を容易に分離することができる。さらにはMWP
CVD法でフッ素を含有する原料ガスを用いると放電の
安定性が向上し、グロー放電を20時間以上に及ぶ長時
間維持することができるものである。
【0121】半導体層に含有される炭素原子の含有量を
層厚方向に変化させる方法としては、炭素原子を半導体
層に含有させるための原料ガスを時間的に変化させれば
よい。
【0122】半導体層に含有される価電子制御剤を層厚
方向に変化させる方法としては、価電子制御剤を含有さ
せるための原料ガスを時間変化させればよい。
【0123】半導体層に含有される水素含有量を層厚方
向に変化させる方法としては、水素含有量を多くしたい
ところで導入するMW電力を大きくし、水素含有量を少
なくしたいところで導入するMW電力を小さくすれば良
い。詳細なメカニズムに関しては依然、不明であるが、
MW電力を増加することによって、活性な水素原子を含
むラジカルが増加し、より多くの水素原子が含有される
ものと考えられる。
【0124】半導体層に含有される水素含有量を層方向
にに変化させる別の方法としては、水素含有量を多くし
たいところでRF電極に印加するRF電力を大きくし、
水素含有量を少なくしたいところでRF電極に印加する
RF電力を小さくすれば良い。詳細なメカニズムに関し
ては依然、不明であるが、RF電極に印加するRF電力
を増やすと、プラズマ電位が上昇し、水素イオンが基板
に向かって、より加速されるために半導体層中により多
くの水素原子が含有されるものと考えられる。
【0125】更に、RF電力と同時にDC電力を印加す
る場合においては、水素原子の含有量を多くしたいとこ
ろでRF電極に印加するDC電圧を+極性で大きな電圧
を印加すれば良く、水素含有量を少なくしたいときに
は、RF電極に印加するDC電圧を+極性で小さな電圧
を印加すれば良い。詳細なメカニズムに関しては依然、
不明であるが、RF電極に印加するDC電力を増やす
と、プラズマ電位が上昇し、水素イオンが基板に向かっ
て、より加速されるために半導体層により多くの水素原
子が含有されるものと考えられる。
【0126】また更に、半導体層に含有される水素含有
量を層厚方向に変化させる別な方法としては、本発明の
半導体層形成方法において、堆積室内にハロゲンラン
プ、あるいはキセノンランプを設け、半導体層形成中に
これらのランプをフラッシュさせ、基板温度を一時的に
上昇させるのである。その際、水素含有量を少なくした
いところでは、単位時間当たりのフラッシュ回数を増
し、基板温度を一時的に上昇させ、水素含有量を多くし
たいところでは、単位時間当たりのフラッシュ回数を少
なくすることによって、基板温度を一時的に下げれば良
い。基板温度を一時的に上げることによって、半導体層
表面からの水素の脱離反応が活性化されるものと考えら
れる。
【0127】半導体層に含有される水素含有量を層厚方
向に変化させる別の方法としては、半導体層形成時にフ
ッ素を含有する原料ガスと水素を含有する原料ガスを導
入し、それぞれの原料ガスを時間変化させればよい。水
素を多く含有させたいところではフッ素を含有する原料
ガスを少なく流し、水素を少なく含有させたいところで
はフッ素を含有する原料ガスを多く流せばよい。
【0128】半導体層に含有されるフッ素含有量を層厚
方向に変化させる方法としては、半導体層形成時にフッ
素を含有するガスを時間変化させればよい。フッ素を多
く含有させたいところではフッ素を含有するガスを多く
流し、フッ素を少なく含有させたいところではフッ素を
含有するガスを少なく流せばよい。
【0129】またフッ素含有量を層厚方向に変化させる
別の方法としては、半導体層形成時に水素を含有するガ
スを時間変化させればよい。フッ素を多く含有させたい
ところでは水素を含有するガスを少なく流し、フッ素を
少なく含有させたいところでは水素を含有するガスを多
く流せばよい。これは半導体層表面に結合しているフッ
素と水素を含有するラジカルが反応し、半導体層からフ
ッ素を引き抜き、半導体層中に取り込まれるフッ素が相
対的に減少することによるものと考えられる。
【0130】半導体層をRFPCVD法で堆積する場
合、容量結合型のRFPCVD法が適している。
【0131】該RFPCVD法でドーピング層、RF−
i層を形成する場合、堆積室内の基板温度は100〜5
00℃、圧力は0.1〜10Torr、RF電力は0.
01〜5.0W/cm2 、堆積速度は0.1〜1nm/
secが最適条件として挙げられる。長時間におよぶR
Fグロー放電を維持するためはRF電源の周波数変動、
およびリップルはそれぞれ2%以内のものが望ましい。
【0132】また米国特許4,400,409号特許明
細書にはロール・ツー・ロール(Roll to Ro
ll)方式を採用した、半導体層を連続的に形成するプ
ラズマCVD装置が開示されている。本発明の光起電力
素子はこのような装置を用いて連続的に製造することが
望ましい。この装置によれば、複数の堆積室を設け、長
尺、且つ可とう性の基板を該基板が堆積室を順次通過す
る経路に沿って配置し、前記堆積室にて所望の伝導型を
有する半導体層を形成しつつ、前記基板をその長手方向
に連続的に搬送することによって、pin接合を有する
光起電力素子を連続的に製造することができるとされて
いる。なお、該明細書においては、半導体層に各価電子
制御剤を含有させるための原料ガスが他の堆積室に拡散
し、他の半導体層中に混入することを防止するために、
ガスゲートが用いられている。具体的には前記堆積室の
間をスリット状の分離通路によって相互に分離し、さら
に各分離通路にAr、H2 、He等の掃気用ガスを流入
させ、各原料ガスの相互拡散を防止している。
【0133】以上のような半導体層形成方法において、
原料ガスとしては以下のガスまたはガス化し得る化合物
が適している。
【0134】半導体層中にシリコン原子を含有させるた
めの原料ガスとしてはSiH4 (Hは重水素Dを含
む)、SiX4 (X:ハロゲン原子)、SiX2 4-n
(nは整数)、Si2 n 6-n 等が挙げられる。総称
して「原料ガス(Si)」とする。特にSiH4 、Si
4 、Si2 6 が適している。
【0135】半導体層中にフッ素原子を含有させるため
の原料ガスとしては、F2、SiF4、Si2 6 、Ge
4 、CF4 、C26 、C2ClF5、CClF2、Cl
3、CHF3 、C3 8 、NF3 、PF5 、BF3
SF4 等が挙げられる。総称して「原料ガス(F)」と
する。特にSiF4、GeF4 、CF4 、PF5 、BF3
が適している。
【0136】半導体層中に炭素原子を含有させるための
原料ガスとしてはCH4 (Hは重水素Dを含む)、Cn
2n+2(nは整数)、Cn 2n、CX4 (Xはハロゲン
原子)、Cn 2n+2、C2 2 、C6 6 等が挙げられ
る。総称して「原料ガス(C)」とする。特にCH4
CD4 、C2 2 が適している。
【0137】半導体層中にゲルマニウム原子を含有させ
るための原料ガスとしてはGeH4(Hは重水素Dを含
む)、Gen 2 n+2 、GeX4 (Xはハロゲン原子)
等が挙げられる。総称して「原料ガス(Ge)」とす
る。特にGeH4 、GeD4 が適している。
【0138】半導体層中にスズ原子を含有させるための
原料ガスとしては、SnH4 (Hは重水素Dを含む)、
n2n+2、SnX4 (Xはハロゲン原子)、Snn
2n+2、SnR4 (R:アルキル基)、SnXn 4-n
が挙げられる。総称して「原料ガス(Sn)」とする。
特にSnH4 、SnD4 、Sn(CH3 4 が適してい
る。
【0139】半導体層の伝導型をp型にするために導入
される価電子制御剤としては周期律表第III族原子
(B,Al,Ga,In,Tl)が挙げられ、伝導型を
n型にするために導入される価電子制御剤としては周期
律表第V族原子(P,As,Sb,Bi)、第VI族原
子(S,Se,Te)が挙げられる。
【0140】半導体層中に周期律表第III族原子を導
入するための原料ガスとしては、B 2 6 、B4 10
5 9 、BF3 、B(CH3 3 、B(C
2 5 3 、BCl3 、AlCl3 、Al(C
3 3 、GaCl3 、InCl3 、TlCl3等を挙
げることができる。総称して「原料ガス(III)」と
する。特にB2 6 、B(CH3 3 、B(C2 5
3 、Al(CH3 3 が適している。
【0141】半導体層中に周期律表第V族原子を導入す
るための原料ガスとしては、PH3、P24 、PH
4I、PF3 、PF5 、PCl3 、PCl5 、PB
3 、PBr 5 、PI3 、AsH3 、AsF3 、AsC
3 、AsBr3 、AsF5 、SbH 3 、SbF3 、S
bF5 、SbCl3 、SbCl5 、BiH3 、BiCl
3 、BiBr3 等を挙げることができる。総称して「原
料ガス(V)」とする。特にPH3 、AsH3 、が適し
ている。
【0142】半導体層中に周期律表第VI族原子を導入
するための原料ガスとしては、H2S、SF4 、S
6 、CS2 、H2 Se、SeF6 、TeH2 、TeF
6 、(CH3 2 Te(C2 5 2 Te等が挙げられ
る。総称して「原料ガス(VI)」とする。特にH
2 S、H2 Seが適している。
【0143】半導体層中に酸素原子を含有させるための
原料ガスとしてはO2 、CO2 、CO、NO、NO2
2O、H2O、CH3CH2OH、CH3OH等が挙げら
れる。総称して「原料ガス(O)」とする。特にO2
NOが適している。
【0144】半導体層中に酸素原子を含有させるための
原料ガスとしてはN2 、NO、NO 2 、N2 O、NH3
等が挙げられる。総称して「原料ガス(N)」とする。
特にN2 、NH3 が適している。
【0145】またこれらの原料ガスをH2 、D2 、H
e、Ar等のガスで適宜希釈して堆積室に導入しても良
い。
【0146】以下に本発明の光起電力素子の構成をより
詳細に述べる。基 板 基板は、導電性材料単体で構成したものでもよく、絶縁
性材料または導電性材料で構成された支持体上に導電層
を形成したものであっても良い。導電性材料としては、
例えば、NiCr、ステンレス、Al、Cr、Mo、A
u、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb、Sn等の金属
または、これらの合金が挙げられる。これらの材料を支
持体として使用するにはシート状、あるいは長尺状のシ
ートを円筒体に巻き付けたロール状であることが望まし
い。
【0147】絶縁性材料としては、ポリエステル、ポリ
エチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリアミド、等の合成樹脂、または
ガラス、セラミックス、紙などが挙げられる。これらの
材料を支持体として使用するにはシート状、あるいは長
尺状のシートを円筒体に巻き付けたロール状であること
が望ましい。これらの絶縁性支持体は、少なくともその
一方の表面に導電層を形成し、該導電層を形成した表面
上に本発明の半導体層を形成する。
【0148】例えばガラスであれば表面上に、NiC
r,Al,Ag,Cr,Mo,Ir,Nb,Ta,V,
Ti,Pt,Pb,In2 3 ,ITO(In23+S
nO2),ZnO等の材料またはその合金からなる導電
層を形成し、ポリエステルフィルム等の合成樹脂シート
であれば表面上にNiCr,Al,Ag,Pb,Zn,
Ni,Au,Cr,Mo,Ir,Nb,Ta,V,T
l,Pt等の材料またはその合金からなる導電層を形成
し、ステンレスであればNiCr,Al,Ag,Cr,
Mo,Ir,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pb,In
2 3 ,ITO(In2 3 +SnO2 ),ZnO等の
材料またはその合金からなる導電層を形成する。形成方
法としては真空蒸着法、スパッタリング法、スクリーン
印刷法等で形成する。支持体の表面形状は平滑あるいは
山の高さが最大300〜1000nmの凹凸であること
が望ましい。
【0149】基板の厚さは所望通りの光起電力素子を形
成し得るように適宜決定するが光起電力素子としての柔
軟性が要求される場合には、支持体としての機能が十分
発揮される範囲で可能な限り薄くすることができる。し
かしながら、支持体の製造上および取扱い上、機械的強
度等の点から、通常は10μm以上とされる。
【0150】本発明の光起電力素子における望ましい基
板形態としては、上記支持体上にAg、Al、Cu、A
lSi等の可視光から近赤外で反射率の高い金属からな
る導電層(光反射層)を形成することである。光反射層
は真空蒸着法、スパッタリング法等で形成するのが適し
ている。光反射層としてのこれらの金属の層厚としては
10nmから5000nmが適した層厚として挙げられ
る。光反射層の表面をテクスチャー化するためには形成
時の基板温度を200℃以上とすれば良い。
【0151】本発明の光起電力素子におけるさらに望ま
しい基板形態としては、光反射層上にZnO,Sn
2 ,In2 3 ,ITO,TiO2 ,CdO,Cd2
SnO4,Bi2 3 ,MoO3 、Nax WO3 等から
なる導電層(反射増加層)を形成することである。該反
射増加層の堆積方法としては真空蒸着法、スパッタリン
グ法、CVD法、プレー法、スピンオン法、ディッピン
グ法等が適した方法として挙げられる。また反射増加層
の層厚としては、前記反射増加層の材料の屈折率により
最適な層厚は異なるが、好ましい層厚の範囲としては5
0nm〜10μmが挙げられる。さらに反射増加層をテ
クスチャー化するためには、該反射増加層を形成する際
の基板温度を200℃以上に上げるのが好ましいもので
ある。MWドーピング層(MWp型層、MWn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0152】MWドーピング層は非晶質シリコン系半導
体材料、または微結晶シリコン系半導体材料、または多
結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶質(a
−と略記する)シリコン系半導体材料としてはa−S
i,a−SiC,a−SiGe,a−SiGeC,a−
SiO,a−SiN,a−SiON,a−SiCON等
が挙げられる。微結晶(μc−と略記する)シリコン系
半導体材料としてはμc−Si,μc−SiC,μc−
SiGe,μc−SiO,μc−SiGeC,μc−S
iN,μc−SiON,μc−SiOCN等が挙げられ
る。多結晶(poly−と略記する)シリコン系半導体
材料としてはpoly−Si,poly−SiC,po
ly−SiGe等が挙げられる。
【0153】特に光入射側のMWドーピング層には、光
吸収の少ない結晶性の半導体材料かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。具体的にはa−Si
C,a−SiO,a−SiN,a−SiON,a−Si
CON,μc−Si,μc−SiC,μc−SiO,μ
c−SiN,μc−SiON,μc−SiOCN,po
ly−Si,poly−SiCが適している。
【0154】伝導型をp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、1000ppm〜10
%が好ましい範囲として挙げられ、少なくとも一方の界
面で含有量が多くなっていることが望ましい。
【0155】また含有される水素(H,D)及びフッ素
は未結合手を補償する働きをし、ドーピング効率を向上
させるものである。水素及びフッ素含有量は0.1〜3
0at%が最適量として挙げられる。特にMWドーピン
グ層が結晶性の場合、0.01〜10at%が最適量と
して挙げられる。さらに界面側で水素含有量が多くなっ
ているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面
近傍での水素含有量はバルク内の含有量の1.1〜3倍
の範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側
でフッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布
形態として挙げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範
囲が好ましい範囲として挙げられる。
【0156】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0157】電気特性としては活性化エネルギーが0.
2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが
最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好
ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに層厚は1〜
50nmが好ましく、3〜30nmが最適である。
【0158】特に前述した光吸収の少ない結晶性の半導
体材料かバンドギャップの広い非晶質半導体層を形成す
る場合はH2 ,D2 ,He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いMW電力を導入するのが好
ましい。RFドーピング層(RFp型層,RFn型層) この層は光起電力素子の特性を左右する重要な層であ
る。
【0159】RFドーピング層は非晶質シリコン系半導
体材料、または微結晶シリコン系半導体材料、または多
結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶質(a
−と略記する)シリコン系半導体材料としてはa−S
i,a−SiC,a−SiGe,a−SiGeC,a−
SiO,a−SiN,a−SiON,a−SiCON等
が挙げられる。微結晶(μc−と略記する)シリコン系
半導体材料としてはμc−Si,μc−SiC,μc−
SiGe,μc−SiO,μc−SiGeC,μc−S
iN,μc−SiON,μc−SiOCN等が挙げられ
る。多結晶(poly−と略記する)シリコン系半導体
材料としてはpoly−Si,poly−SiC,po
ly−SiGe等が挙げられる。
【0160】特に光入射側のRFドーピング層には、光
吸収の少ない結晶性の半導体材料かバンドギャップの広
い非晶質半導体層が適している。具体的にはa−Si
C,a−SiO,a−SiN,a−SiON,a−Si
CON,μc−Si,μc−SiC,μc−SiO,μ
c−SiN,μc−SiON,μc−SiOCN,po
ly−Si,poly−SiCが適している。
【0161】伝導型をp型またはn型にするために導入
される価電子制御剤の導入量は、800ppm〜8%が
好ましい範囲として挙げられ、MWドーピング層の導入
量よりも少ないことが望ましい。さらに少なくとも一方
の界面で含有量が多くなっていることが望ましい。
【0162】また含有される水素(H,D)及びフッ素
は未結合手を補償する働きをし、ドーピング効率を向上
させるものである。水素及びフッ素含有量は0.1〜2
5at%が最適量として挙げられる。特にRFドーピン
グ層が結晶性の場合、0.01〜10at%が最適量と
して挙げられる。さらに界面側で水素含有量が多くなっ
ているものが好ましい分布形態として挙げられ、該界面
近傍での水素含有量はバルク内の含有量の1.1〜3倍
の範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側
でフッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布
形態として挙げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範
囲が好ましい範囲として挙げられる。
【0163】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0164】電気特性としては活性化エネルギーが0.
2eV以下のものが好ましく、0.1eV以下のものが
最適である。また比抵抗としては100Ωcm以下が好
ましく、1Ωcm以下が最適である。さらに層厚は1〜
50nmが好ましく、5〜20nmが最適である。
【0165】特に前述した光吸収の少ない結晶性の半導
体材料かバンドギャップの広い非晶質半導体層を形成す
る場合はH2 ,D2 ,He等のガスで2〜100倍に原
料ガスを希釈し、比較的高いRF電力を導入するのが好
ましい。i型層 本発明の光起電力素子において、i型層は光励起キャリ
アを発生、輸送する重要な層である。
【0166】i型層としては僅かにp型、僅かにn型の
層も使用でき、シリコン原子と炭素原子を含有し、a−
SiC、,a−SiGeC,a−SiSnC,a−Si
SnGeC等の光晶質半導体材料が用いられる。
【0167】本発明の光起電力素子のi型層としては、
水素原子を含有し、且つ炭素含有量が層厚方向に対して
なめらかに変化するものである。炭素含有量の好適な範
囲としては1〜50%で、バンドギャップの好適な範囲
としては1.8〜2.2(eV)である。ゲルマニウム
または/及びスズ原子を含有する場合には、バンドギャ
ップの好適な範囲としては1.5〜2.0(eV)であ
る。
【0168】i型層にドナーとなる価電子制御剤とアク
セプターとなる価電子制御剤をともに含有するものが望
ましい。さら望ましくは該価電子制御剤の含有量が層厚
方向になめらかに変化しているものである。p型層側ま
たは/及びn型層側で含有量が多くなっているものが望
ましい。
【0169】i型層に含有される水素(H,D)及びフ
ッ素は、i型層の未結合手を補償する働きをし、i型層
でのキャリアーの移動度と寿命の積を向上させるもので
ある。また界面の界面準位を補償する働きをし、光起電
力素子の光起電力、光電流そして光応答性を向上させる
効果のあるものである。i型層の水素及びフッ素含有量
は1〜30at%が最適な含有量として挙げられる。特
に、界面側で水素含有量が多くなっているものが好まし
い分布形態として挙げられ、バルク内の1.1〜3倍の
範囲が好ましい範囲として挙げられる。また、界面側で
フッ素含有量が少なくなっているものが好ましい分布形
態として挙げられ、バルク内の0.3〜0.9倍の範囲
が好ましい範囲として挙げられる。
【0170】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
1%が好適な範囲である。
【0171】i型層の層厚は、光起電力素子の構造(例
えばシングルセル、タンデムセル、トリプルセル)及び
i型層のバンドギャップに大きく依存するが0.05〜
1.0μmが最適な層厚として挙げられる。
【0172】本発明のi型層は、堆積装置を2.5nm
/sec以上に上げても価電子帯側のテイルステイトが
少ないものであって、テイルステイトの傾きは60me
V以下であり、且つ電子スピン共鳴(ESR)による未
結合手の密度は1017/cm 3 以下である。
【0173】i型層の形成にはMWPCVD法を用い、
望ましくは前述したようにMWPCVD法においてRF
電力を同時に導入し、さらに望ましくは前述したように
MWPCVD法においてRF電力とDC電力を同時に導
入する。RF−i層 本発明の光起電力素子において、RF−i層は光励起キ
ャリアを輸送する重要な層である。
【0174】RF−i層としては僅かにp型、僅かにn
型の層も使用でき、非晶質シリコン系半導体材料、ある
いは微結晶シリコン系半導体材料から構成される。非晶
質シリコン系半導体材料としては、例えばa−Si,a
−SiC,a−SiO,a−SiN,a−SiGe,a
−SiGeC,a−SiSn,a−SiSnC等が挙げ
られる。微結晶シリコン系半導体材料としては、例えば
μc−Si,μc−SiC,μc−SiGe,μc−S
iSn,μc−SiO,μc−SiN,μc−SiO
N,μc−SiOCN等が挙げられる。
【0175】図2(a)のように光入射側のRF−i層
としてはa−Si,a−SiC,a−SiO,a−Si
N等の半導体材料を用いることによって光起電力素子の
開放電圧を向上できる。
【0176】図2(b)のように光入射側とは反対側の
RF−i層としてはa−Si,a−SiGe,a−Si
Sn,a−SiGeC,a−SiSnC等の半導体材料
を用いることによって光起電力素子の短絡電流を向上で
きる。
【0177】RF−i層に含有される水素(H,D)及
びフッ素は、RF−i層の未結合手を補償する働きを
し、RF−i層でのキャリアーの移動度と寿命の積を向
上させるものである。また界面の界面準位を補償する働
きをし、光起電力素子の光起電力、光電流そして光応答
性を向上させる効果がある。RF−i層の水素及びフッ
素含有量は1〜30at%が最適な含有量として挙げら
れる。特に、界面側で水素含有量が多くなっているもの
が好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有量
の1.1〜3倍の範囲が好ましい範囲として挙げられ
る。また、界面側でフッ素含有量が少なくなっているも
のが好ましい分布形態として挙げられ、バルク内の含有
量の0.3〜0.9倍の範囲が好ましい範囲として挙げ
られる。
【0178】別の望ましい形態としてはドナーとなる価
電子制御剤(周期律表第V族原子または/及び第VI族
原子)とアクセプターとなる価電子制御剤(周期律表第
III族原子)がともに含有させたものである。またド
ナーとなる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制
御剤を互いに補償するように含有させるのが好ましいも
のである。
【0179】RF−i層に導入させる周期律表第III
族原子及び第VI族原子の導入量はそれぞれ600pp
m以下が好ましい範囲として挙げられる。
【0180】酸素、窒素原子の導入量は0.1ppm〜
20%、微量に含有させる場合には0.1ppm〜1%
が好適な範囲である。
【0181】RF−i層の層厚は0.5〜30nm以下
が最適な層厚として挙げられ、価電子帯側のテイルステ
イトが少ないものであって、テイルステイトの傾きは5
5meV以下であり、且つ電子スピン共鳴(ESR)に
よる未結合手の密度は1017/cm3 以下である。透明電極 透明電極はインジウム酸化物(In2 3 )、スズ酸化
物(SnO2 )、ITO(In2 3 −SnO2 )が適
した材料でる。
【0182】透明電極の堆積にはスパッタリング法と真
空蒸着法が最適な堆積方法である。
【0183】スパッタリング法で堆積する場合、金属タ
ーゲット、あるいは酸化物ターゲット等のターゲットを
適宜組み合わせて用いられる。
【0184】スパッタリング法で堆積する場合、基板温
度は重要な因子であって、20℃〜600℃が好ましい
範囲として挙げられる。また透明電極をスパッタリング
法で堆積する場合の、スパッタリング用のガスとして、
Arガス等の不活性ガスが挙げられる。また前記不活性
ガスに酸素ガス(O2 )を必要に応じて添加することが
好ましいものである。特に金属をターゲットにしている
場合、酸素ガス(O2)は必須のものである。さらに前
記不活性ガス等によってターゲットをスパッタリングす
る場合、放電空間の圧力は効果的にスパッタリングを行
うために、0.1〜50mTorrが好ましい範囲とし
て挙げられる。透明電極の堆積速度は、放電空間内の圧
力や放電電力に依存し、最適な堆積速度としては、0.
01〜10nm/secの範囲である。
【0185】真空蒸着法において透明電極を堆積するに
適した蒸着源としては、金属スズ、金属インジウム、イ
ンジウム−スズ合金が挙げられる。また透明電極を堆積
するときの基板温度としては25℃〜600℃の範囲が
適した範囲である。さらに、酸素ガス(O2 )を導入
し、圧力が5×10-5Torr〜9×10-4Torrの
範囲で堆積することが必要である。この範囲で酸素を導
入することによって蒸着源から気化した前記金属が気相
中の酸素と反応して良好な透明電極が堆積される。上記
条件による透明電極の好ましい堆積速度の範囲としては
0.01〜10nm/secである。堆積速度が0.0
1nm/sec未満であると生産性が低下し10nm/
secより大きくなると粗な膜となり透過率、導伝率や
密着性が低下する。
【0186】透明電極の層厚は、反射防止膜の条件を満
たすような条件に堆積するのが好ましいものである。具
体的な該透明電極の層厚としては50〜500nmが好
ましい範囲として挙げられる。集電電極 光起電力素子であるi型層により多くの光を入射させ、
発生したキャリアを効率よく電極に集めるためには、集
電電極の形(光の入射方向から見た形)、及び材質は重
要である。通常、集電電極の形は櫛型が使用され、その
線幅、線数などは、光起電力素子の光入射方向から見た
形、及び大きさ、集電電極の材質などによって決定され
る。線幅は通常、0.1mm〜5mm程度である。集電
電極の材質としてはFe,Cr,Ni,Au,Ti,P
d,Ag,Al,Cu,AlSi,C(グラファイト)
等が用いられ、通常比抵抗の小さいAg,Cu,Al,
Cr,Cなどの金属、あるいはこれらの合金が適してい
る。
【0187】集電電極の層構造としては単一の層からな
るものであってもよいし、さらには複数の層からなるも
のであってもよい。
【0188】これらの金属は、真空蒸着法、スパッタリ
ング法、メッキ法、印刷法等で形成するのが望ましい。
【0189】真空蒸着法で形成する場合、集電電極形状
をなしたマスクを透明電極上に密着させ、真空中で所望
の金属蒸着源を電子ビームまたは抵抗加熱で蒸発させ、
透明電極上に所望の形状をした集電電極を形成する。
【0190】スパッタリング法で形成する場合、集電電
極形状をなしたマスクを透明電極上に密着させ、真空中
にArガスを導入し、所望の金属スパッタターゲットに
DCを印加し、グロー放電を発生させることによって、
金属をスパッタさせ、透明電極上に所望の形状をした集
電電極を形成する。
【0191】印刷法で形成する場合には、Agペース
ト、Alペースト、あるいはカーボンペーストをスクリ
ーン印刷機で印刷する。
【0192】これらの金属の層厚としては10nm〜
0.5mmが適した層厚として挙げられる。
【0193】次に本発明の発電システムについて説明す
る。
【0194】本発明の発電システムは、本発明の光起電
力素子と、該光起電力素子の電圧及び/または電流をモ
ニターし蓄電池及び/または外部負荷への前記光起電力
素子からの電力の供給を制御する制御システムと、前記
光起電力素子からの電力の蓄積及び/または外部負荷へ
の電力の供給を行う蓄電池と、から構成されている。
【0195】図13は本発明の電力供給システムの1例
であって光起電力素子を利用した充電、および電力供給
用基本回路である。該回路は本発明の光起電力素子を太
陽電池モジュールとし、逆流防止用ダイオード(D
C)、電圧をモニターし電圧を制御する電圧制御回路
(定電圧回路)、蓄電池、負荷等から構成されている。
【0196】モジュール化するには平板上に接着材シー
ト、ナイロンシートを乗せ、さらにその上に作製した本
発明の光起電力素子を配列し、直列化および並列化を行
い、さらにその上に接着剤シート、フッ素樹脂シートを
乗せて、真空ラミネートするとよい。
【0197】逆流防止用ダイオードとしてはシリコンダ
イオードやショットキダイオード等が適している。蓄電
池としては、ニッケルカドミニウム電池、充電式酸化銀
電池、鉛蓄電池、フライホイールエネルギー貯蔵ユニッ
ト等が挙げられる。
【0198】電圧制御回路は、電池が満充電になるまで
は太陽電池の出力とほぼ等しいが、満充電になると、充
電制御ICにより充電電流はストップされる。
【0199】このような光起電力素子を利用した発電シ
ステムは、自動車用のバッテリー充電システム、船用バ
ッテリー充電システム、街灯点灯システム、排気システ
ム等の電源として使用可能である。
【0200】以上のように本発明の光起電力素子を太陽
電池として使用した電源システムは、長期間安定して使
用でき、且つ太陽電池に照射される照射光が変動する場
合においても光起電力素子として充分に機能することか
ら、優れた安定性を示すものである。
【0201】
【実施例】以下、非単結晶シリコン系半導体材料からな
る太陽電池およびフォトダイオードの作製によって本発
明の光起電力素子を詳細に説明するが、本発明はこれに
限定されるものではない。
【0202】(実施例1)図6に示す製造装置を用いて
図1(b)の太陽電池を作製した。n型層はRFPCV
D法で形成した。
【0203】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、50×50mm2 のステンレス基板をアセトンとイ
ソプロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させた。スパ
ッタリング法を用いて室温でステンレス基板表面上に層
厚0.3μmのAgの光反射層とその上に350℃で層
厚1.0μmのZnOの反射増加層を形成し、基板の作
製を終えた。
【0204】次に、原料ガス供給装置2000と堆積装
置400からなるMWPCVD法とRFPCVD法の両
方を行える図6の製造装置により、反射増加層上に半導
体層を形成した。
【0205】図中の2050〜2059のガスボンベに
は、本発明の光起電力素子を作製するための原料ガスが
密封されており、2050はSiH4 ガスボンベ、20
51はSiF4 ガスボンベ、2052はCH4 ガスボン
ベ、2053はCF4 ガスボンベ、2054はGeF4
ガスボンベ、2055はH2 ガスで100ppmに希釈
されたPH3 ガス(以下「PH3 /H2 」と略記する)
ボンベ、2056はH 2 ガスで100ppmに希釈され
たPF5 ガス(以下「PF5 /H2 」と略記する)ボン
ベ、2057はH2 ガスで100ppmに希釈されたB
2 6 ガス(以下「B2 6 /H2 」と略記する)ボン
ベ、2058はH2 ガスで100ppmに希釈されたB
3 ガス(以下「BF3 /H2 」と略記する)ボンベ、
2059はH2 ガスボンベで、いずれも超高純度に精製
されたものである。予め、ガスボンベ2050〜205
9を取り付ける際に、各々のガスを、バルブ2030〜
2039までのガス配管内に導入し、圧力調整器204
0〜2049により各ガス圧力を2Kg/cm2 に調整
した。
【0206】次に、反射層と反射増加層が形成されてい
る基板404の裏面をヒーター405に密着させ、堆積
室の401リークバルブ409を閉じ、コンダクタンス
バルブ407を全開にして、不図示の真空排気ポンプに
より堆積室401内を真空排気し、堆積室の圧力が約1
×10-5Torrになったところで、バルブ2020〜
2029、補助バルブ408を開けて、ガス配管内部を
真空排気し、圧力が約1×10-5Torrになった時点
でバルブ2020〜2029を閉じ、2030〜203
9を徐々に開けて、各々のガスをマスフローコントロー
ラー2010〜2019内に導入した。
【0207】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、基板404上に、μc−SiからなるRFn型層、
a−SiCからなるi型層、a−SiCからなるRFp
型層、a−SiCからなるMWp型層を順次形成した。
【0208】μc−SiからなるRFn型層を形成する
には、バルブ2029を徐々に開けて、H2 ガスを堆積
室401内に導入し、流量が300sccmになるよう
にマスフローコントローラーで調整し、堆積室内の圧力
が1.0Torrになるようにコンダクタンスバルブで
調整した。基板404の温度が350℃になるようにヒ
ーター405を設定し、基板温度が安定したところで、
さらにバルブ2020、2025を徐々に開いて、Si
4 ガス、PH3 /H2 ガスを堆積室401内に流入さ
せた。この時、SiH4 ガス流量が2sccm、H2
ス流量が100sccm、PH3 /H2 ガス流量が20
0sccm、堆積室内の圧力は1.0Torrとなるよ
うに調整した。RF電源の電力を0.02W/cm3
設定し、RF電極410にRF電力を導入し、グロー放
電を生起させ、シャッターを開け、基板上にRFn型層
の形成を開始し、層厚20nmのRFn型層を形成した
ところでシャッターを閉じ、RF電源を切って、グロー
放電を止め、RFn型層の形成を終えた。バルブ202
0,2025を閉じて、堆積室内へのSiH4 ガス、P
3 /H2 ガスの流入を止め、5分間、堆積室内へH2
ガスを流し続けたのち、流出バルブ2029を閉じ、堆
積室内およびガス配管内を真空排気した。
【0209】次に、a−SiCからなるi型層を形成す
るには、バルブ2029を徐々に開けて、H2 ガスを3
00sccm導入し、圧力が0.01Torr、基板の
温度が350℃になるようにヒーターを設定した。基板
温度が安定したところでさらにバルブ2020、202
1、2022を徐々に開いて、SiH4 ガス、SiF 4
ガス、CH4 ガスを流入させた。この時SiH4 ガス流
量が120sccm、SiF4 ガス流量が10scc
m、CH4 ガス流量が30sccm、H2 ガス流量が3
00sccm、圧力が0.01Torrとなるように調
整した。次に、RF電源の電力を0.38W/cm3
設定し、RF電極に印加した。その後、不図示のMW電
源の電力を0.30W/cm3 に設定し、誘電体窓41
3を通してMW電力を堆積室内に導入し、グロー放電を
生起させ、シャッターを開け、RFn型層上にi型層の
形成を開始した。i型層形成中、マスフローコントロー
ラー2010,2012に接続されたコンピューターを
用い、図7(b)に示した変化パターンに従ってSiH
4 ガス流量、CH4 ガス流量を変化させ、層厚300n
mのi型層を形成したことろで、シャッターを閉じ、M
W電源、RF電源を切って放電を止め、i型層の形成を
終えた。
【0210】バルブ2020,2021,2022を閉
じて、SiH4 ガス、SiF4 ガス、CH4 ガスの流入
を止め、5分間、H2 ガスを流し続けたのち、バルブ2
029を閉じ、堆積室内および配管内を真空排気した。
【0211】a−SiCからなるRFp型層を形成する
には、バルブ2029を徐々に開けて、H2 ガスを30
0sccm導入し、圧力が1.0Torr、基板温度が
200℃になるようにヒーターを設定した。基板温度が
安定したことろで、さらにバルブ2020,2022,
2027を徐々に開いて、SiH4 ガス,CH4 ガス、
2 6 /H2 ガスを堆積室401内に流入させた。こ
の時、SiH4 ガス流量が5sccm、CH4 ガス流量
が1sccm、H2 ガス流量が100sccm、B2
6 /H2 ガス流量が200sccm、圧力が1.0To
rrとなるように調整した。RF電源の電力を0.06
W/cm3 に設定し、RF電極にRF電力を導入し、グ
ロー放電を生起させたシャッターを開け、i型層上にR
Fp型層の形成を開始し、層厚10nmのRFp型層を
形成したところでシャッターを閉じ、RF電源を切っ
て、グロー放電を止め、RFp型層の形成を終えた。バ
ルブ2020,2022,2027を閉じて、堆積室4
01内へのSiH4 ガス、CH4 ガス、B2 6 /H2
ガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを流し続けたの
ち、流出バルブ2029を閉じ、堆積室内およびガス配
管内を真空排気した。
【0212】a−SiCから成るMWp型層を形成する
には、バルブ2029を徐々に開けて、H2 ガスを50
0sccm導入し、堆積室内の圧力が0.02Tor
r、基板温度が200℃になるように設定した。基板温
度が安定したところでさらにバルブ2020,202
2,2027を徐々に開いて、SiH4 ガス、CH4
ス、B2 6 /H2 ガスを流入させた。この時、SiH
4 ガス流量が10sccm、CH4 ガス流量が2scc
m、H2 ガス流量が100sccm、B2 6 /H 2
ス流量が500sccm、圧力が0.02Torrとな
るように調整した。その後、不図示のMW電力の電力を
0.40W/cm3 に設定し、誘電体窓を通してMW電
力を導入し、グロー放電を生起させ、シャッターを開
け、RFp型層上にMWp型層の形成を開始した。層厚
10nmのWMp型層を形成したところで、シャッター
を閉じ、MW電源を切ってグロー放電を止め、MWp型
層の形成を終えた。バルブ2020,2022,202
7を閉じて、SiH4 ガス、CH 4 ガス、B2 6 /H
2 ガスの流入を止め、5分間、H2 ガスを流し続けたの
ち、2029を閉じ、堆積室内およびガス配管内を真空
排気し、補助バルブ408を閉じ、リークバルブ409
を開けて、堆積室をリークした。
【0213】次に、MWp型層上に、透明電極として、
層厚70nmのITOを真空蒸着法で真空蒸着した。続
いて透明電極上に櫛型の穴が開いたマスクを乗せ、Cr
(40nm)/Ag(1000nm)/Cr(40n
m)からなる櫛形の集電電極を真空蒸着法で真空蒸着し
た。
【0214】以上で太陽電池の作製を終えた。この太陽
電池を(SC実1)と呼ぶことにし、RFn型層、i型
層、RFp型層、MWp型層の形成条件を表1に示す。
【0215】(比較例1−1)i型層を形成する際、S
iH4 ガス流量を130sccm、CH4 ガス流量を2
0sccmとし、時間的に一定とする以外は、実施例1
と同じ条件で太陽電池(SC比1−1)を作製した。
【0216】(比較例1−2)RFp型層は形成せず、
MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1と同
じ条件で太陽電池(SC比1−2)を作製した。
【0217】作製した太陽電池(SC実1)、(SC比
1−1)、(SC比1−2)はそれぞれ2つ用意し、初
期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、振動劣化、
及び光劣化の測定を行なった。
【0218】太陽電池(SC実1)及び(SC比1−
1)、(SC比1−2)はそれぞれ6個づつ作製し、初
期光電変換効率(光起電力/入射光電力)、振動劣化、
高温度環境における振動劣化、高湿度環境における振動
劣化、光劣化、高温度環境における光劣化、高湿度環境
における光劣化の測定を行なった。
【0219】初期光電変換効率の測定は、作製した太陽
電池を、AM−1.5(100mW/cm2 )光照射下
に設置して、V−I特性を測定することにより得られ
る。測定の結果、(SC実1)に対して、(SC比1−
1)、(SC比1−2)の初期光電変換効率は以下のよ
うになった。
【0220】(SC比1−1) 0.85倍 (SC比1−2) 0.84倍 振動劣化の測定は、予め初期光電変換効率を測定してお
いた太陽電池を湿度50%、温度25℃の暗所に設置
し、振動周波数60Hzで振幅0.1mmの振動を50
0時間加えた後の、AM1.5(100mW/cm2
照射下での光電変換効率の低下率(振動劣化試験後の光
電変換効率/初期光電変換効率)により行なった。
【0221】光劣化の測定は、予め初期光電変換効率を
測定しておいた太陽電池を、湿度50%、温度25℃の
環境に設置し、AM−1.5(100mW/cm2 )光
を500時間照射後の、AM1.5(100mW/cm
2 )照射下での光電変換効率の低下率(光劣化試験後の
光電変換効率/初期光電変換効率)により行なった。測
定の結果、(SC実1)に対して(SC比1−1)、
(SC比1−2)の光劣化後の光電変換効率の低下率、
及び振動劣化後の光電変換効率の低下率は以下のように
なった。
【0222】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.86倍 0.87倍 (SC比1−2) 0.83倍 0.83倍 高温度環境における振動劣化の測定、及び劣化の測定を
行った。予め初期光電変換効率を測定しておいた太陽電
池を湿度50%、温度80℃の暗所に設定し、振動劣化
の測定を行った。さらに予め初期光電変換効率を測定し
ておいた太陽電池を、湿度50%、温度80℃の環境に
設置し、光劣化の測定を行った。測定の結果、(SC実
1)に対して、(SC比1−1)、(SC比1−2)の
振動劣化後の光電変換効率の低下率、及び光劣化後の光
電変換効率の低下率は以下のようになった。
【0223】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.83倍 0.85倍 (SC比1−2) 0.84倍 0.85倍 また(SC実1)、(SC比1−1)では層剥離は見ら
れず、(SC比1−2)では一部層剥離していることが
わかった。
【0224】高湿度環境における振動劣化の測定、及び
光劣化の測定を行った。予め初期光電変換効率を測定し
ておいた太陽電池を湿度90%、温度25℃の暗所に設
定し、振動劣化の測定を行った。さらに予め初期光電変
換効率を測定しておいた太陽電池を、湿度90%、温度
25℃の環境に設置し、光劣化の測定を行った。測定の
結果、(SC実1)に対して、(SC比1−1)、(S
C比1−2)、の振動劣化後の光電変換効率の低下率、
及び光劣化後の光電変換効率の低下率は以下のようにな
った。
【0225】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.89倍 0.88倍 (SC比1−2) 0.88倍 0.87倍 また(SC実1)、(SC比1−1)では層剥離は見ら
れず、(SC比1−2)では一部層剥離していることが
わかった。
【0226】高温度、高湿度環境における振動劣化の測
定、及び光劣化の測定を行った。予め初期光電変換効率
を測定しておいた太陽電池を湿度90%、温度70℃の
暗所に設定し、振動劣化の測定を行った。さらに予め初
期光電変換効率を測定しておいた太陽電池を、湿度90
%、温度70℃の環境に設置し、光劣化の測定を行っ
た。
【0227】測定の結果、(SC実1)に対して、(S
C比1−1)、(SC比1−2)の振動劣化後の光電変
換効率の低下率、及び光劣化後の光電変換効率の低下率
は以下のようになった。
【0228】 振動劣化 光劣化 (SC比1−1) 0.88倍 0.87倍 (SC比1−2) 0.89倍 0.89倍 また(SC実1)、(SC比1−1)では層剥離は見ら
れず、(SC比1−2)では一部層剥離していることが
わかった。
【0229】次にガラス基板とステンレス基板を用い、
SiH4 流量、CH4 流量を時間的に一定としたサンプ
ルを作製した。流量を一定とし、層厚を1μmとする以
外は実施例1と同じ条件でi型層を作製し、バンドギャ
ップ測定用、および分析用サンプルとした。さらに、流
量をいろいろと変えたサンプルをいつくか作製した。分
光光度計を用いてガラス基板のサンプルのバンドギャッ
プ(Eg)を求め、さらにオージェ電子分光分析装置
(AES)を用いてステンレス基板サンプルのCの含有
量の分析を行った。両者の結果を用いてi型層中のC含
有量とバンドギャップの関係を求めておいた。またオー
ジェ電子分光分析装置を用いて、太陽電池(SC実
1)、(SC比1−2)の層厚方向に対するC含有量は
図7(d)のようになった。
【0230】さらに上記のC含有量とバンドギャップの
関係を用いてバンドギャップの変化を求めたところ、図
7(d)のようになった。同様に(SC比1−1)のC
含有量を求めたところ、層厚方向に対するC含有量の変
化はなく、一定で、バンドギャップは1.92(eV)
であることが分かった。以上のように、層厚方向に対す
るC含有量およびバンドギャップの変化は、導入される
CH4 ガス流量に依存することがわかった。
【0231】さら2次イオン質量分析装置(SIMS)
を用いてi型層内部のフッ素含有量の層厚方向変化を調
べたところ、3つとも層厚方向に対して一定の含有量で
あることが分かった。
【0232】以上のように本実施例の太陽電池(SC実
1)が、従来の太陽電池(SC比1−1)、(SC比1
−2)よりもさらに優れた特性を有することが分かっ
た。
【0233】(実施例1−1)i型層を形成する際、図
7(a)のようにSiH4 ガス流量、CH4 ガス流量を
時間変化させる以外は実施例1と同じ条件で太陽電池
(SC実1−1)を作製した。実施例1と同様に層厚方
向に対するC含有量とバンドギャップの変化を求めたと
ころ、図7(c)のようになっていることが分かった。
次に実施例1と同様な測定を行ったところ、(SC実1
−1)は(SC実1)よりもさらに優れた特性を有する
ことが分かった。
【0234】(実施例2)i型層内のC含有量が図3
(b)のように変化している太陽電池(SC実2)を作
製した。CH4 ガス流量は時間に対して単調減少させ、
SiH4 ガス流量は時間に対して単調増加させた以外は
実施例1と同じ条件で太陽電池(SC実2)を作製し
た。実施例1と同様な方法で層厚方向に対するバンドギ
ャップの変化を求めたところ、図4(b)のようになっ
ていることが分かった。次に実施例1と同様な測定を行
ったところ、(SC実2)の太陽電池は(SC実1)同
様、従来の太陽電池(SC比1−1)、(SC比1−
2)よりもさらに優れた特性を有することが分かった。
【0235】(実施例3)図1(c)の層構成を有する
フォトダイオードを作製した。
【0236】まず、基板の作製を行った。厚さ0.5m
m、20×20mm2 のガラス基板をアセトンとイソプ
ロパノールで超音波洗浄し、温風乾燥させ、真空蒸着法
で室温にてガラス基板表面上に層厚0.1μmのA1の
光反射層を形成し、基板の作成を終えた。
【0237】実施例1と同様な方法で基板上にMWp型
層(μc−SiC)、RFn型層(a−SiC)、i型
層(a−SiC)、RFp型層(μc−SiC)を順次
形成した。
【0238】半導体層の形成条件を表2に示す。
【0239】次に、RFp型層上に実施例1と同様な透
明電極と集電電極を形成した。
【0240】(比較例3−1)i型層を形成する際、S
iH4 ガス流量を130sccm、CH4 ガス流量を2
0sccmとし、時間的に一定とし、層厚方向に対する
C含有量とバンドギャップを一定とする以外は実施例3
と同じ条件でフォトダイオード(PD比3−1)を作製
した。
【0241】(比較例3−2)RFn型層は形成せず、
MWn型層の層厚は40nmとする以外は実施例3と同
じ条件でフォトダイオードを(PD比3−2)作製し
た。
【0242】まず作製したフォトダイオードのオンオフ
比(AM1.5光を照射したときの光電流/暗電流 測
定周波数10kHz)を測定した。これを初期オンオフ
比と呼ぶことにする。次に実施例1と同様な測定をオン
オフ比について行った。その結果、本実施例のフォトダ
イオード(PD実3)は従来のフォトダイオード(PD
比3−1)、(PD比3−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0243】(実施例4)n型層とp型層の積層順序を
逆にした、nip型構造を有する図1(b)の太陽電池
を作製した。H2 ガスボンベをHeガスボンベに交換
し、実施例1と同様に基板上にRFp型層(μc−S
i)、i型層(a−SiC)、RFn型層(a−Si
C)、MWn型層(a−SiC)を形成した。i型層を
形成する際、図7(b)のようにSiH4 ガス流量、C
4 ガス流量を時間的に変化させ、C含有量の最小とな
る位置がi型層のp型層寄りになるようにした。半導体
層の層形成条件は表3に示す。
【0244】半導体層以外の層および基板は実施例1と
同じ条件で太陽電池(SC実4)を作製した。
【0245】(比較例4−1)i型層を形成する際、S
iH4 ガス流量を130sccm、CH4 ガス流量を2
0sccmとし、時間的に一定とする以外は実施例4と
同じ条件で太陽電池(SC比4−1)を作製した。
【0246】(比較例4−2)RFn型層は形成せず、
MWn型層の層厚は20nmとする以外は実施例4と同
じ条件で太陽電池(SC比4−2)を作製した。
【0247】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実4)は従来の太陽電池(SC
比4−1)、(SC比4−2)よりもさらに優れた特性
を有することが分かった。
【0248】(実施例5)i型層の界面近傍でフッ素含
有量が最小となっている太陽電池を作製した。i型層を
形成する際、新たにCF4 ガスを導入し、CF4 ガス流
量を時間変化させてフッ素含有量が図5(a)のように
変化し、C含有量が図7(c)のように変化している太
陽電池を作製した。これ以外は実施例1−1と同じ条件
で作製した。実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実5)は(SC実1−1)より
もさら優れた特性を有することが分かった。
【0249】(実施例6)MWp型層、RFp型層の界
面近傍で水素含有量が最大となっている太陽電池を作製
した。MWp型層を形成する際、MW電力を時間変化さ
せ、RFp型層を形成する際、RF電力を時間変化させ
て図8(b)のような水素含有量の変化パターンを得
た。これ以外は実施例1−1と同じ条件で作製した。作
製した太陽電池(SC実6)は(SC実1−1)よりも
さら優れた特性を有することが分かった。
【0250】(実施例7)RFp型層、MWp型層の界
面近傍で価電子制御剤の含有量が最大となっている太陽
電池を作製した。MWp型層、RFp型層を形成する
際、導入する価電子制御剤の原料ガスを時間変化させて
図9(a)のようなB原子の含有量の変化パターンを得
た。これ以外は実施例1−1と同じ条件で作製した。作
製した太陽電池(SC実7)は(SC実1−1)よりも
さらに優れた特性を有することが分かった。
【0251】(実施例8)図1(a)の構造を有し、且
つi型層内の価電子制御剤の含有量が層厚方向になめら
かに変化し、且つp型層側で含有量が多くなっている太
陽電池(SC実8)を作製した。i型層を形成する際、
PH3 /H2 ガス流量、B2 6 /H2 ガス流量を時間
変化させて、P原子、B原子の含有量が図9(c)のよ
うにした以外は実施例1−1と同じ条件で太陽電池(S
C実8)を作製した。半導体層以外は実施例1−1と同
じものを用いた。実施例1と同様な測定を行ったとこ
ろ、作製した太陽電池(SC実8)は(SC実1−1)
よりもさらに優れた特性を有することが分かった。
【0252】(実施例9)MWp型層、RFp型層にフ
ッ素を含有させた太陽電池(SC実9)を作製した。M
Wp型層、RFp型層を形成する際、新たにBF3 /H
2 ガスを導入し、流量を時間的に変化させて、層厚方向
に対するフッ素含有量の変化を図5(c)のようにし
た。また、B2 6 /H2 ガスも時間変化させて、層厚
方向に対するB含有量の変化を図9(c)のようにし
た。他の条件は実施例1−1と同じで行った。実施例1
と同様な測定を行ったところ、作製した太陽電池(SC
実9)は(SC実1−1)よりもさらに優れた特性を有
することが分かった。
【0253】(実施例10)i型層にa−SiGeCを
用いた太陽電池を作製した。i型層を形成する際、図1
4(a)の変化パターンでCH4 ガス流量、GeH4
ス流量を時間的に変化させ、さらにSiH4 ガス流量を
150sccm、PH3ガス流量を1sccm、B2
6 /H2 ガス流量を2sccm、H2 ガス流量を300
sccm、層厚を300nmにする以外は実施例1と同
じ条件で太陽電池(SC実10)を作製した。
【0254】(比較例10−1)i型層を形成する際、
CH4 ガス流量、GeH4 ガス流量は時間的に一定と
し、それぞれ、5sccm、7sccm、とする以外は
実施例10と同じ条件で太陽電池(SC比10−1)を
作製した。
【0255】(比較例10−2)RFp型層は形成せ
ず、MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例1
0と同じ条件で太陽電池(SC比10−2)を作製し
た。
【0256】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実10)は、従来の太陽電池
(SC比10−1)、(SC比10−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0257】(実施例11)i型層にa−SiSnCを
用いた太陽電池を作製した。GeH4 ガスボンベをSn
4 ガスボンベに交換し、i型層を形成する際、図14
(a)の変化パターンでGeH4 ガス流量変化と同様に
SnH4 ガス流量を時間的に変化させる以外は実施例1
0と同じ条件で太陽電池(SC実11)を作製した。
【0258】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実11)は、従来の太陽電池
(SC比10−1)、(SC比10−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0259】(実施例12)RFp型層とi型層の間、
およびRFn型層とi型層の間にRF−i層を有する図
2(c)を太陽電池を作製した。
【0260】2つのRF−i型層を形成する以外は実施
例9と同様な方法で太陽電池を作製した。RF−i型層
はa−Siからなり、SiH4 ガス流量が2sccm、
2ガス流量が50sccm、PH3 /H2 ガス流量が
0.2sccm、B2 6 /H2 ガス流量が0.5sc
cm、堆積室内の圧力が1.0Torr、導入するRF
電力が0.01W/cm3 、基板温度が270℃、層厚
が20nmの条件で形成した。作製した太陽電池(SC
実12)は(SC実8)よりもさらに優れた特性を有す
ることが分かった。
【0261】(実施例13)MWPCVD法を用いた図
6の製造装置を使用して、図10に示すトリプル型太陽
電池を作製した。
【0262】まず、基板の作製を行った。実施例1と同
様に50×50mm2 のステンレス基板をアセトンとイ
ソプロパノールで超音波洗浄し、乾燥させた。スパッタ
リング法を用いて、ステンレス基板表面上に層厚0.3
μmのAgの光反射層を形成した。この際、基板温度を
350℃に設定し、基板表面を凹凸(テクスチャー化)
にした。その上に基板温度350℃で層厚2.0μmの
ZnOの反射増加層を形成した。
【0263】まず実施例1と同様な方法で成膜の準備を
終えた。実施例1と同様な方法で基板上に第1のMWn
型層(μc−Si)を形成し、さらに第1のRFn型層
(a−Si)、第1のi型層(a−SiGe)、第1の
RFp型層(a−Si 層厚10nm)、第1のMWp
型層(μc−Si 層厚10nm)、第2のRFn型層
(μc−Si)、第2のi型層(a−Si)、第2のR
Fp型層(a−SiC層厚10nm)、第2のMWp型
層(μc−SiC 層厚10nm)、第3のRFn型層
(a−SiC)、第3のi型層(a−SiC)、第3の
RFp型層(a−SiC 層厚10nm)、第3のMW
p型層(μc−SiC 層厚10nm)を順次形成し
た。
【0264】第3のi型層を形成する際、SiH4 ガス
流量、CH4 ガス流量を図7(a)のように時間変化さ
せた。他の層においては、MWPCVD法で形成する層
では形成する際、RF電力を時間変化させRFPCVD
法で形成する層では形成する際、RF電力を時間変化さ
せて、各層の水素含有量の分布が図8(c)のようにな
るようにした。
【0265】次に第3のMWp型層上に実施例1と同様
な透明電極を形成した。
【0266】次に透明電極上に実施例1と同様な集電電
極を真空蒸着法で形成した。
【0267】以上でトリプル型太陽電池(SC実13)
の作製を終えた。
【0268】(比較例13−1)第3のi型層を形成す
る際、SiH4 ガス流量を130sccm、CH4 ガス
流量を20sccmとし、時間的に一定とする以外は、
実施例13と同じ条件で太陽電池(SC比13−1)を
作製した。
【0269】(比較例13−2)第1のRFp型層、第
2のRFp型層、および第3のRFp型層は形成せず、
第1のMWp型層、第2のMWp型層層、および第3の
MWp型層の層厚は20nmとする以外は実施例13と
同じ条件で太陽電池(SC比13−2)を作製した。
【0270】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実13)は、従来の太陽電池
(SC比13−1)、(SC比13−2)よりもさらに
優れた特性を有することが分かった。
【0271】(実施例14)図12のロール・ツー・ロ
ール法を用いた製造装置を使用して、図11のタンデム
型太陽電池を作製した。
【0272】まず基板は長さ300m、幅30cm、厚
さ0.1mmの両面を鏡面研磨した長尺状ステンレスシ
ートを用いた。ロール・ツー・ロール法を用いたスパッ
タリング装置でこのステンレス基板表面上に基板温度3
50℃で層厚0.3μmのAgからなる反射層を連続形
成し、さらに基板温度350℃で層厚2.0μmのZn
Oからなる反射増加層を連続形成した。基板表面は実施
例13と同様にテクスチャー化されていることが分かっ
た。
【0273】図12はロール・ツー・ロール法を用いた
半導体層の連続形成装置の概略図である。この装置は基
板送り出し室1010と、複数の堆積室1001〜10
09と、基板巻き取り室1011を順次配置、それらの
間の分離通路1012で接続してなり、長尺状の基板1
013がこれらの中を通って、基板送り出し室から基板
巻き取り室に絶え間無く移動することができ、かつ基板
の移動と同時に各堆積室でそれぞれの半導体層を同時に
形成することができる。1050は堆積室を上から見た
図で、それぞれの堆積室には原料ガスの入り口1014
と原料ガスの排気口1015があり、RF電極1016
あるいはマイクロ波アプリケーター1017が必要に応
じて取り付けられ、さらに基板を加熱するハロゲンラン
プヒーター1018が内部に設置されている。また原料
ガスの入り口1014にはそれぞれ図6の原料ガス供給
装置2000と同様なものが接続されており、それぞれ
の原料ガスの排気口には油拡散ポンプ、メカニカルブー
スターポンプなどの真空排気ポンプが接続されている。
それぞれのRF電極にはRF電源が接続され、マイクロ
波アプリケーターにはMW電源が接続されている。堆積
室に接続された分離通路には掃気ガスを流入させる入り
口1019がある。基板送り出し室には送り出しロール
1020と基板に適度の張力を与え、常に水平に保つた
めのガイドロール1021があり、基板巻き取り室には
巻き取りロール1022とガイドロール1023があ
る。
【0274】まず、前記の反射層と反射増加層を形成し
た基板を送り出しロールに巻き付け、基板送り出し室に
セットし、各堆積室内を通過させた後に基板の端を基板
巻き取りロールに巻き付ける。装置全体を不図示の真空
排気ポンプで真空排気し、各堆積室のランプヒーターを
点灯させ、各堆積室内の基板温度が所定の温度になるよ
うに設定する。装置全体の圧力が1mTorr以下にな
ったら掃気ガスの入り口1019からH2 ガスを流入さ
せ、基板を図の矢印の方向に移動させながら、巻き取り
ロールで巻き取っていく。実施例1と同様にして各堆積
室にそれぞれの原料ガスを流入させる。この際、各堆積
室に流入させる原料ガスが他の堆積室に拡散しないよう
に各分離通路に流入させるH2 ガスの流量、あるいは各
堆積室の圧力を調整する。
【0275】次にRF電力、またはMW電力を導入して
グロー放電を生起し、それぞれの半導体層を形成してい
く。
【0276】基板上に堆積室1001で第1のMWn型
層(μc−Si 層厚20nm)を形成し、さらに堆積
室1002で第1のRFn型層(a−Si 層厚10n
m)、堆積室1003で第1のi型層(a−Si 層厚
250nm)、堆積室1004で第1のRFp型層(a
−Si 層厚10nm)、堆積室1005で第1のMW
p型層(μc−Si 層厚10nm)、堆積室1006
で第2のRFn型層(a−SiC 層厚20nm)、堆
積室1007で第2のi型層(a−SiC 層厚200
nm)、堆積室1008で第2のRFp型層(a−Si
C 層厚10nm)、堆積室1009で第2のMWp型
層(μc−SiC 層厚10nm)を順次形成した。半
導体層を形成する際、SiH4 ガスとSiF4 ガスを堆
積室に導入し、全ての半導体層にフッ素を含有させた。
さらに第2のi型層を形成する堆積室1007の原料ガ
ス入り口は複数に分かれており、それぞれ入り口からS
iH4 ガス、CH4 ガス、H2 ガスを流入させ、i型層
を形成する際、CH4 ガス流量の基板の搬送方向に対す
る変化パターンが矢印1026のような変化パターンに
なるように、各々のマスフローコントローラーで調節し
た。こうすることによって、i型層の炭素含有量の層厚
方向の変化が図3(c)のようになった。基板の搬送が
終わったところで、MW電源、RF電源を切り、グロー
放電を止め、原料ガス、排気ガスの流入を止めた。装置
全体をリークし、巻き取られた基板を取り出した。
【0277】次にロール・ツー・ロール法を用いたスパ
ッタリング装置で第2のMWp型層上に170℃で層厚
70nmのITOからなる透明電極を連続形成した。
【0278】次にこの基板の一部を50mm×50mm
の大きさに切断し、スクリーン印刷法で層厚5μm、線
幅0.5mmのカーボンペーストを印刷し、その上に層
厚10μm、線幅0.5mmの銀ペーストを印刷し、集
電電極を形成した。
【0279】以上で、ロール・ツー・ロール法を用いた
タンデム型太陽電池(SC実14)の作製を終えた。
【0280】(比較例14−1)第2のi型層を形成す
る際に、CH4 ガス流量が基板の搬送方向に対して一定
にする以外は、実施例14と同じ条件で太陽電池(SC
比14−1)を作製した。
【0281】(比較例14−2)第1のRFp型層、お
よび第2のRFp型層は形成せず、第1のMWp型層、
および第2のMWp型層の層厚は20nmとする以外は
実施例14と同じ条件で太陽電池(SC比14−2)を
作製した。
【0282】実施例1と同様な測定を行ったところ、本
実施例の太陽電池(SC実14)は従来の太陽電池(S
C比14−1)、(SC比14−2)よりもさら優れた
特性を有することが分かった。
【0283】(実施例15)図12の製造装置を使用し
て作製したタンデム型太陽電池をモジュール化し、発電
システムに応用し、フィールドテストを行った。
【0284】実施例14で作製した光未照射の50mm
×50mmのタンデム型太陽電池(SC実14)を65
個を用意した。厚さ5.0mmのアルミニウム板上にE
VA(エチレンビニルアセテート)からなる接着剤シー
トを乗せ、その上にナイロンシートを乗せ、その上に6
5個の太陽電池を配列し、直列化および並列化を行っ
た。その上にEVAの接着剤シートの乗せ、その上にフ
ッ素樹脂シートを乗せて、真空ラミネートし、モジュー
ル化した。作製したモジュールの初期光電変換効率を実
施例1と同様な方法で測定しておいた。図13の発電シ
ステムを示す回路に接続し、負荷には夜間点灯する街灯
を使用した。システム全体は蓄電、及びモジュールの電
力によって稼働するこの発電システムを(SBS実1
5)と呼ぶことにする。
【0285】(比較例15)光照射の従来のタンデム型
太陽電池(SC比14−1)、(SC比14−2)を6
5個用いて実施例15と同様にモジュール化し、初期光
電変換効率を測定しておいた。このモジュールを実施例
15と同様な発電システムに接続した。これらの発電シ
ステムを(SBS比15−1)、(SBS比15−2)
と呼ぶことにする。
【0286】それぞれのモジュールは最も太陽光を集光
できる角度に設置した。フィールドテストの測定は1年
経過後の光電変換効率を測定し、劣化率(1年後の光電
変換効率/初期光電変換効率)を求めることによって行
った。
【0287】その結果、本発明の太陽電池を用いた発電
システム(SBS実15)は従来の発電システム(SB
S比15−1)、(SBS比15−2)よりもさらに優
れた初期光電変換効率およびフィールド耐久性を有して
いることが分かった。
【0288】(実施例16)半導体層に酸素または/及
び窒素原子を含有する光起電力素子を作製した。まず、
GeH4 ガスボンベをHeで500ppmに希釈したO
2 ガス(「O2 Heガス」と略記する)ボンベに交換
し、さらCF4ガスボンベをHeで10ppmに希釈し
たN2 ガス(「N2 /Heガス」と略記する)ボンベに
交換した。
【0289】(実施例16−1)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm導入する以外は実施例
1と同じ条件で太陽電池(SC実16−1)を作製し
た。
【0290】(実施例16−2)i型層を形成する際、
2 /Heガスを20sccm導入する以外は実施例1
と同じ条件で太陽電池(SC実16−2)を作製した。
【0291】(実施例16−3)i型層を形成する際、
2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガスを2
0sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電
池(SC実16−3)を作製した。
【0292】(実施例16−4)RF−i層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電池
(SC実16−4)を作製した。
【0293】(実施例16−5)MWp型層を形成する
際、O2 /Heガスを100sccm、N2 /Heガス
を20sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太
陽電池(SC実16−5)を作製した。
【0294】(実施例16−6)RFp型層を形成する
際、O2 /Heガスを2sccm、N2 /Heガスを1
sccm導入する以外は実施例1と同じ条件で太陽電池
(SC実16−6)を作製した。
【0295】実施例1と同様な測定を行ったところ、太
陽電池(SC実16−1)〜(SC実16−6)は、太
陽電池(SC実1)よりもさらに優れた特性を有するこ
とが分かった。
【0296】作製したこれらの太陽電池の酸素原子及び
室素原子の濃度をSIMSを用いて調べたところ、ほぼ
導入した原料ガス(Si)に対する原料ガス(O)、原
料ガス(N)の濃度程度に含有されていることが分かっ
た。
【0297】以上のように、本発明の光起電力素子の効
果は、素子構成、素子材料、素子の作製条件に無関係に
発揮されることが実証された。
【0298】
【表1】
【0299】
【表2】
【0300】
【表3】
【0301】
【発明の効果】本発明により、光励起キャリアーの再結
合を防止し、開放電圧及び正孔のキャリアーレンジを向
上し、短波長光、長波長光の感度を向上させ、光電変換
効率が向上した光起電力素子を提供することが可能とな
る。
【0302】また本発明の光起電力素子は光劣化、振動
劣化を抑制できる。そして本発明の光起電力素子は、高
温度、高湿度環境に置いた場合にも光劣化、振動劣化を
抑制でき、層剥離しないものである。更に本発明の光起
電力素子は、光起電力素子の堆積速度を上げることがで
き、また原料ガス利用効率が高いため、生産性を飛躍的
に向上させることができる。
【0303】また本発明により高いフィールド耐久性を
有する発電システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光起電力素子の層構成を示す概略図で
ある。
【図2】本発明の光起電力素子の層構成を示す概略図で
ある。
【図3】炭素含有量の層厚方向変化を示すグラフであ
る。
【図4】バンドギャップの層厚方向変化を示すグラフで
ある。
【図5】フッ素含有量の層厚方向変化を示すグラフであ
る。
【図6】光起電力素子の製造装置の一例を示す概略図で
ある。
【図7】SiH4 ガス、CH4 ガス流量の時間変化及び
C含有量、バンドギャップの層厚方向変化を示すグラフ
である。
【図8】水素含有量の層厚方向変化を示すグラフであ
る。
【図9】価電子制御剤の層厚方向変化を示すグラフであ
る。
【図10】トリプル型太陽電池の層構成を示す概略図で
ある。
【図11】タンデム型太陽電池の層構成を示す概略図で
ある。
【図12】ロール・ツー・ロール法を用いた光起電力素
子製造装置の一例を示す概略図である。
【図13】発電システムの一例を示すブロック図であ
る。
【図14】光起電力素子の原料ガス流量の時間変化とG
e,C含有量及びバンドギャップの層厚方向の変化を示
すグラフである。
【符号な説明】
101、111、121 基板 102、122 MWn型層 103、123 RFn型層 104、114、124 i型層 105、115 RFp型層 106、116 MWp型層 107、117、127 透明電極 108、118、128 集電電極 112 n型層 125 p型層 400 堆積装置 401 堆積室 402 真空計 403 RF電源 404 基板 405 ヒーター 406 導波管 407 コンダクタンスバルブ 408 補助バルブ 409 リークバルブ 410 RF電極 411 ガス導入管 412 アプリケーター 413 誘電体窓 415 シャッター 1001〜1009 堆積室 1010 基板送り出し室 1011 基板巻き取り室 1012 分離通路 1013 長尺状の基板 1014 原料ガスの入り口 1015 原料ガスの排気口 1016 RF電極 1017 マイクロ波アプリケーター 1018 ハロゲンランプヒーター 1019 掃気ガス入り口 1020 送り出しロール 1021、1023 ガイドロール 1022 巻き取りロール 2000 原料ガス供給装置 2010〜2019 マスフローコントローラー 2020〜2039 バルブ 2040〜2049 圧力調整器 2050〜2059 原料ガスボンベ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含有する非単結晶シリコン系半導
    体材料からなるp型層、i型層、n型層を基板上に順次
    積層して構成され、該i型層がフッ素と炭素を含有し、
    且つマイクロ波プラズマCVD法で形成されてなる光起
    電力素子において、該p型層、n型層のうち少なくとも
    ひとつの層はマイクロ波プラズマCVD法で形成された
    層(MWドーピング層)とRFプラズマCVD法で形成
    された層(RFドーピング層)との積層構造によって構
    成され、且つ該RFドーピング層は該MWドーピング層
    と該i型層に挟まれるように配置され、さらに該i型層
    に含有される炭素含有量は層厚方向に対してなめらかに
    変化していることを特徴とする光起電力素子。
  2. 【請求項2】 前記炭素含有量は、前記i型層の2つの
    界面の内少なくとも一方の界面近傍で最大となり、且つ
    該i型層の中央の位置よりもp型層側で最小となってい
    ることを特徴とする請求項1に記載の光起電力素子。
  3. 【請求項3】 前記i型層は、ゲルマニウムまたは/及
    びスズを含有し、該ゲルマニウムまたは/及びスズの含
    有量が該i型層の2つの界面のうち少なくとも一方の界
    面近傍で最小となり、且つ該i型層の中央の位置よりp
    型層側で最大となっていることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の光起電力素子。
  4. 【請求項4】 前記i型層はドナーとなる価電子制御剤
    とアクセプターとなる価電子制御剤をともに含有するこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光
    起電力素子。
  5. 【請求項5】 前記ドナーとなる価電子制御剤とアクセ
    プターとなる価電子制御剤の含有量は、前記i型層の2
    つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で最大となっ
    ていることを特徴とする請求項4に記載の光起電力素
    子。
  6. 【請求項6】 前記MWドーピング層または/及びRF
    ドーピング層の2つの界面のうち少なくとも一方の界面
    近傍で、価電子制御剤の含有量が最大となっていること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光起
    電力素子。
  7. 【請求項7】 前記MWドーピング層、FRドーピング
    層、i型層の内少なくとも1つの層において、水素含有
    量が2つの界面のうち少なくとも一方の界面近傍で最大
    となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の光起電力素子。
  8. 【請求項8】 前記i型層、MWドーピング層、RFド
    ーピング層の内少なくとも1つの層は、酸素または/及
    び窒素原子を含有することを特徴とする請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の光起電力素子。
  9. 【請求項9】 前記i型層と前記RFドーピング層との
    間にRFプラズマCVD法で形成されたi型の層(RF
    −i層)を有することを特徴とする請求項1〜8のいず
    れか1項に記載の光起電力素子。
  10. 【請求項10】 前記RF−i層は、ドナーとなる価電
    子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤をともに含
    有することを特徴とする請求項9に記載の光起電力素
    子。
  11. 【請求項11】 前記RF−i層に含有されるドナーと
    なる価電子制御剤とアクセプターとなる価電子制御剤の
    含有量は、2つの界面の内少なくとも一方の界面近傍で
    最大となることを特徴とする請求項10に記載の光起電
    力素子。
  12. 【請求項12】 前記RF−i層の2つの界面のうち少
    なくとも一方の界面近傍で、該層の水素含有量が最大と
    なっていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか
    1項に記載の光起電力素子。
  13. 【請求項13】 前記RF−i層は、酸素または/及び
    窒素原子を含有することを特徴とする請求項9〜12の
    いずれか1項に記載の光起電力素子。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13に記載の光起電力素子
    と、該光起電力素子の電圧及び/または電流をモニター
    し蓄電池及び/または外部負荷への前記光起電力素子か
    らの電力の供給を制御するシステムと、前記光起電力素
    子からの電力の蓄積及び/または外部負荷への電力の供
    給を行う蓄電池と、から構成されていることを特徴とす
    る発電システム。
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