JP3024224B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

インクジェット記録用紙

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JP3024224B2
JP3024224B2 JP3019049A JP1904991A JP3024224B2 JP 3024224 B2 JP3024224 B2 JP 3024224B2 JP 3019049 A JP3019049 A JP 3019049A JP 1904991 A JP1904991 A JP 1904991A JP 3024224 B2 JP3024224 B2 JP 3024224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙支持体上に多孔性顔
料を主成分とするインク受容層を設けたインクジェット
記録用紙の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、騒音が少な
く、高速・高密度記録が可能であり、且つ多色化が容易
なため、各種プリンターとして多方面で利用されてい
る。このインクジェット記録方式に使用される記録用紙
としては、上質紙やコート紙等いわゆる普通紙が使用で
きるように、記録装置やインク組成面からの改良努力が
なされてきている。しかし現時点では未だ満足し得るも
のには至っておらず、また記録のより高速化、高精細化
と言った記録装置面の性能向上や、記録のフルカラー化
といった用途の拡大に伴い、記録用紙に対してもより高
度な特性が要求されてきている。
【0003】即ち記録用紙としては、 (1)インクの吸収が速く、しかも滲んだり、汚れが発
生したりしないこと。 (2)インクドットの横方向への拡散が必要以上に大き
くなく、且つ均一であること。 (3)インクドットの濃度が高く、しかも鮮明であるこ
と。 (4)記録画像が保存中の光や空気中の酸素等の影響で
変色または退色しないこと。等が要求されている。
【0004】これらの要求に対し、従来から幾つかの提
案がなされてきた。例えば、基紙上にインク吸収性のよ
い顔料と接着剤とを主体とする被覆層(インク受容層)
を設ける工夫は、インクジェット記録用紙の開発初期よ
り試みられており、顔料としてはシリカ系顔料が一般的
に用いられてきた(特開昭52-9074 号、同55-51583号、
同56-148583 号、同58-72495号)。またインク受容層に
水溶性高分子塗布層を用いたり(特開昭55-144172 号、
同55-146786 号)、塩基性ラテックスポリマーを用いる
提案(特開昭57-36692号)もある。
【0005】さらに、水性インクによる記録が本質的に
有する、耐水性などの悪さを改良する目的で、水溶性高
分子塗布層にインクジェット記録を行なった後、耐水化
剤を付与する試み(特開昭55-150396 号、同56-58869
号)や、水性インク中の着色成分を吸着する特定の顔料
や樹脂類を用いる工夫(特開昭55-144172 号)等もあ
る。そして、インク受容性を改良するため、インク受容
層を構成する顔料として多孔性顔料の利用も試みられて
きた(特開昭58-110287 号)。
【0006】また、多孔性顔料を主成分とするインク受
容層を平滑化処理することにより、画質を改良する試み
(特開昭57-107877 号、同61-3777 号)や、平滑化処理
を効果的にするため、熱可塑性粒子を利用する試み(特
開昭57-93193号、同57-13519号)もある。しかし平滑化
処理は加圧/加熱条件下のニップロール間に紙を通す方
法で行なわれ、かつ多孔性顔料を主成分とするインク受
容層を充分に平滑化処理するためには、強い加圧/加熱
条件の選択が必要なため、結果的に基紙層を圧縮するこ
とになって、基紙層へのインク受容性の低下を引き起こ
してしまう難点があった。そのため、その後も各種の改
良が試みられてきたが、未だ充分な結果が得られていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、記録時のイ
ンク受容性に優れ、輪郭のはっきりした記録が得られる
インクジェット記録用紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、紙支持体上に
多孔性顔料を主成分とするインク受容層を設けたインク
ジェット記録用紙において、該紙支持体が120cc以
下のフリーネス値の微細繊維化パルプを混抄して形成さ
れていることを特徴とするインクジェット記録用紙であ
る。
【0009】
【作用】本発明のインクジェット記録用紙は、記録用紙
を構成する紙支持体に、微細繊維化パルプを混抄せしめ
たところに重大な特徴を有するものである。
【0010】微細繊維化パルプの製造方法としては、例
えばビーター、コニカルレファイナー、シングルディス
クレファイナー、ダブルディスクレファイナー等の通常
の叩解機を用いる方法、パルプ懸濁液を500kg/cm2
程度の高圧下で、高速度で小径のオリフィスを通過させ
る方法、さらにはサンドミル等の微粉砕機を使用する方
法などがある。
【0011】しかしビーター、コニカルレファイナー、
シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファ
イナー等の通常の叩解機では、叩解の効率が悪く、実質
上紙力強度を保持した状態で、インク受容性を改善でき
るようなパルプを得ることはできない。またパルプ懸濁
液を高圧下で小径のオリフィスに高速通過させる方法で
は、用いられる装置がかなり特殊となり、しかも少量し
か製造できないという問題がある。従って本発明で使用
される微細繊維化パルプは、サンドミル等の微粉砕機を
用いて製造するのが最も好ましい。
【0012】サンドミルによるパルプの処理条件は、用
いる装置に依存するため一概には言えないが、例えば以
下のように処理すればよい。即ち使用できるビーズとし
ては、例えばガラス、ジルコン、セラミック等通常の材
料でよく、0.8〜3.0mm程度の汎用ビーズで充分に
効果が期待できる。従って使用ビーズの粒径・材質など
については特に限定されない。またビーズの充填率は、
パルプの種類によって多少変化させる必要があるが、N
材パルプの場合には10〜60%程度、L材パルプの場
合には20〜80%程度が適当である。さらにビーズ攪
拌の回転数は1000〜1800rpm 程度の範囲が効果
的である。
【0013】なお、サンドミルの形態には、縦型と横型
があるがどちらも使用可能である。またサンドミルの内
部材質としては、ステンレスがよく用いられているが、
サンドミル処理時に、ビーズとの擦れで内部材質が粕と
なってパルプを着色することがあるので、このような場
合には、セラミック、テフロン等でライニングするのが
好ましい。さらに処理するパルプ水懸濁液のパルプ濃度
は、ビーズ量とのバランスを考慮し、0.1〜5.0%
程度の範囲で調節するのが好ましく、微細化度と処理効
率とを考慮すると0.3〜2.0%の範囲がより好まし
い。
【0014】本発明において、微細繊維化パルプの微細
化度は、フリーネス値(CSF)または乾燥後の比表面
積で評価するとよい。微細繊維化パルプのフリーネス値
が120ccより大きいと、紙支持体に混抄したときに、
充分な繊維間の結合ネットワークが形成されず、満足す
べきインク受容性が得られない。また記録の鮮明度の点
でも不充分となるため、120cc以下のフリーネス値と
なるように微細化するのが望ましい。
【0015】なお、微細繊維化が高度に進むと、パルプ
自身がフリーネス測定用の金属メッシュを一部通り抜け
て、叩解度を把握できなくなるため、このような場合に
は、パルプを乾燥後、その比表面積で微細繊維化パルプ
の微細化度を把握するのが望ましい。微細繊維化パルプ
懸濁液を乾燥するには、例えば微細繊維化パルプ懸濁液
を、エチルアルコール等のアルコールを用いて約2倍に
希釈した後、濾過して得られた沈澱物を再びアルコール
に分散し、充分攪拌した後濾過するという操作を繰り返
し、懸濁液中の水分をアルコールに置換し、次にヘプタ
ンを用いて同様の操作を繰り返して、アルコールをヘプ
タンに置換した後、40℃程度の温風に曝しながら乾燥
する方法を用いることができる。
【0016】こうして得られた乾燥微細繊維化パルプの
比表面積を、BET法等の方法で求めるが、比表面積が
300m2 /gより大きいと、混抄したときに抄紙機の
ワイヤーメッシュでのパルプ繊維の抜けが多くなり、紙
自身の緊度の増加、透気度の減少に伴い、インク受容性
が悪くなるため、300m2 /g以下の比表面積を有す
るように微細化するのが望ましい。
【0017】微細繊維化パルプの原料として、通常使用
されるパルプとしては、例えばLBKP、NBKP等の
化学パルプ、GP、BCTMP、MP等の機械パルプ、
DIP等が挙げられる。また微細繊維化パルプの使用量
は、紙支持体を構成する全パルプの30重量%以下程度
の範囲で充分に効果が期待できる。紙支持体を構成する
通常の低叩解パルプとしては、LBKP、NBKP等の
化学パルプ、GP、BCTMP、MP等の機械パルプ、
DIP等が使用できる。これらの紙支持体に微細繊維化
パルプを混抄すると、低叩解パルプ繊維間の結合ネット
ワーク内に微細繊維化パルプが入り込み、繊維間結合を
より強化し、しかも低叩解パルプによる紙表面の荒さが
効果的に解消されることが、光学顕微鏡による断層観察
や各種紙力・紙質試験で明らかとなった。
【0018】本発明のインクジェット記録用紙は、かく
して得られた紙支持体の上に、多孔性顔料を主成分とす
るインク受容層を設けてインクジェット記録用紙とされ
るが、インク受容層の形成方法については特に限定され
ず、当該技術分野で使用される各種の多孔性顔料を、例
えば紙支持体にバーコータ、ロッドコータ、ロールコー
タ、ブレードコータ、エアーナイフコータ、カーテンコ
ータ、グラビアコータ、キャストコータ、スプレー装置
で塗布する方法等で形成される。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載するが、本発
明がこれらの実施例にのみ限定されないことは勿論であ
る。なお実施例中の部と%は、特に断わらない限り、重
量部及び重量%を示す。
【0020】〔微細繊維化パルプの調成〕広葉樹のクラ
フトパルプ(LBKP)の0.5%水懸濁液を、実験用
縦型サンドミル(五十嵐機械製作所製、容量:0.5ガ
ロン、使用ビーズ:粒径1.2mm,ガラス製、ビーズ充
填率:70%、回転数:1500rpm 、流量:3リット
ル/分)で7回と10回処理して、二種類の微細繊維化
パルプを得た。この微細繊維化パルプのフリーネスは2
0ccとBET法による比表面積で200m2 /gであっ
た。
【0021】実施例1 フリーネス20ccの微細繊維化パルプ10部、フリーネ
ス450ccのLBKP90部からなるパルプサスペンジ
ョンに、サイズ剤としてロジンサイズを0.15%(対
絶乾パルプ)、定着剤として硫酸バンドを0.6%(対
絶乾パルプ)添加して調成した紙料を抄紙した後、カレ
ンダー処理を行って米坪78g/m2 の紙支持体(水分
量11%)を得た。
【0022】実施例2 フリーネス20ccの微細繊維化パルプ10部の代わり
に、比表面積200m2 /gの微細繊維化パルプ10部
を使用した以外は、実施例1と同様にして紙支持体を得
た。
【0023】実施例3 フリーネス20ccの微細繊維化パルプ10部、フリーネ
ス450ccのLBKP90部の代わりに、フリーネス2
0ccの微細繊維化パルプ5部、フリーネス450ccのL
BKP95部を使用した以外は、実施例1と同様にして
紙支持体を得た。
【0024】実施例4 フリーネス20ccの微細繊維化パルプ10部、フリーネ
ス450ccのLBKP90部の代わりに、比表面積20
0m2 /gの微細繊維化パルプ5部、フリーネス450
ccのLBKP95部を使用した以外は、実施例1と同様
にして紙支持体を得た。
【0025】比較例 フリーネス450ccのLBKPを使用し、微細繊維化パ
ルプを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして紙
支持体を得た。
【0026】かくして得られた5種類の紙支持体上に、
以下の組成からなるインク受容層形成用の塗液を、乾燥
重量で3.6g/m2 エアーナイフコータで塗布乾燥し
た後、カレンダー処理を行って5種類のインクジェット
記録用紙を得た。 〔インク受容層形成用の塗液組成〕 酸化アルミニウム系多孔性顔料(比表面積300m2 /g,平均粒径 4.8μm) 75部 酸化ケイ素系多孔性顔料(比表面積300m2 /g,平均粒径1.8 μm) 25部 ポリビニルアルコールの10%水溶液 350部 ポリアミド樹脂の30%水溶液 30部 水 420部
【0027】かくして得られた5種類のインクジェット
記録用紙に、ヒューレット・パッカード社製のペイント
ジェットプリンター(3630A型)を用いて、標準イ
ンクによるテストパターン印字を行い、以下の項目につ
いてそれぞれ下記の評価基準で評価し、その結果を表1
に記載した。 〔インク受容性〕2色インクの重ねベタ印字部の乾燥状
態を、目視及び印字2秒後にペーパー押さえロールに接
触させて、汚れが出るか出ないかで判断した。 〔記録画質〕印字境界部の明瞭さを10倍のルーペで観
察し、目視評価した。 〔評価基準〕A:優れている,B:良 好,C:不
良,D:著しく劣っている。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】紙支持体に微細繊維化パルプを混抄した
本発明のインクジェット記録用紙は、表1の結果から明
らかなように、いずれも記録時のインク受容性に優れて
おり、輪郭のはっきりした記録が可能であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−227690(JP,A) 特開 昭62−225390(JP,A) 特開 昭58−197400(JP,A) 特開 昭56−100801(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/00 D21H 27/00 - 27/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙支持体上に多孔性顔料を主成分とするイ
    ンク受容層を設けたインクジェット記録用紙において、
    該紙支持体が120cc以下のフリーネス値の微細繊維
    化パルプを混抄して形成されていることを特徴とするイ
    ンクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】微細繊維化パルプがパルプの水懸濁液をサ
    ンドミルで処理した物である請求項1記載のインクジェ
    ット記録用紙。
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