JP3023837B2 - 微粉グルコマンナン組成物並びにその製造法及びその使用方法 - Google Patents

微粉グルコマンナン組成物並びにその製造法及びその使用方法

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JP3023837B2 JP9130224A JP13022497A JP3023837B2 JP 3023837 B2 JP3023837 B2 JP 3023837B2 JP 9130224 A JP9130224 A JP 9130224A JP 13022497 A JP13022497 A JP 13022497A JP 3023837 B2 JP3023837 B2 JP 3023837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原料(の一部)と
して水(および粉体)を使用しかつ加熱して製造される
加工食品であって、(食物繊維の)グルコマンナンをダ
イエット目的や加工食品そのものの食感や物性の改変や
改善などの目的で使用するものの製造に際し、その粉体
原料に混合するだけで、それ以外は各加工食品の製造法
の常法に準ずることでその使用目的が簡便に達成される
ことのできる、およびその他の方法で使用することので
きる微粉グルコマンナン組成物、より詳しくは、グルコ
マンナンとその凝固剤の混合物の、160メッシュ通過
の微粉グルコマンナン組成物、およびこれに多糖類粉末
の混合されたもの、ならびにそれらの製造法および使用
法(加工食品の製造法)に関する。
【0002】
【従来の技術】グルコマンナンは、別にコンニャク精粉
とも呼ばれ、コンニャク芋を原料とし、これから乾燥粉
末の形態に精製して市販の食用こんにゃくの原料に使用
される。そのこんにゃくの製造では、(a)グルコマン
ナンの水中撹拌による溶解、(b)静置膨潤、(c)凝
固剤の添加混練、(d)成型、(e)加熱、(f)仕上
げ等の工程を主流とし、これはグルコマンナン特有の水
分包括能及び不可逆的凝固、更には弾性の確保等が目的
である。
【0003】また、グルコマンナンを穀類使用の製品、
めん類、畜肉加工製品、魚肉練製品、パン類、総菜、そ
の他の加工食品に補助原料(すなわち、増量目的、弾力
性維持、食感の改良、水分保持、カロリー調整、その
他)として使用する場合でも、前記(a)、(b)及び
(c)の工程を経て適量を主原料に添加する等、いずれ
もグルコマンナンの数10分に及ぶ撹拌による溶解、更
に膨潤を図り、次いで凝固剤の添加混練工程が必須条件
であり、然もその総所要時間は60〜240分にも及
び、このことはグルコマンナンの特性活用を阻む欠点と
なっていた。(以下、グルコマンナンは、特に断らない
限り、単に「マンナン」と略称することがある。)
【0004】さらに、マンナンを水を使用し、最終的に
加熱して製品の凝固を完成する上記加工食品の副原料
(すなわち、即溶解性グルコマンナン組成物)として使
用するときも、前記(a)を行い、その水和物である糊
状物にした後、主原料に適量添加する。この場合は、マ
ンナンの副原料がバッチ式に調製されており、膨潤時間
と凝固剤の添加混練工程が不要となっているが、当該副
原料は任意量の分割使用ができなかった。
【0005】また、マンナンの凝固物(市販のこんにゃ
く様)を裁断したり、潰したりして主原料に添加する方
法が試行されてきた。この場合は、マンナンの特性が副
原料として活用されず、製品の重量増加による低カロリ
ーを主目的とするが、製品本来の持味を損なうため、そ
の試みは中断されがちである。
【0006】これらは、マンナンの水分包括能を活用し
て製品の増量、弾力性の付与、向上等、その他の効果を
発現するためである。
【0007】このような事情のもとにおいて、マンナン
を加工食品の主原料に適量を任意に添加混合し、以下そ
れぞれの従来の製造法により、マンナンの使用目的が達
成できる方法が求められてきた。
【0008】然しながら、マンナンの食品利用では、凝
固剤添加はマンナンが水和膨潤した時点に不可欠の条件
(工程)であり、これを欠くとマンナン特有のネトがえ
ぐみと共に発生し、これは加熱後も解消されず、また凝
固完成(マンナンの不可逆的ゲル化)も不能のために、
加工食品への有効利用は実現していない。従って、マン
ナンを水に膨潤させ、これに凝固剤を添加する工程は、
従来は不可欠の必須工程であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術に
照らし、本発明は、主として、加工食品におけるグルコ
マンナンの特性の活用に際して問題となる下記の課題を
解決することを目的とする。すなわち、(1)マンナン
を有効成分とする粉末組成物を、加工食品の粉体原料に
適量を混合することにより、マンナンの水和溶解工程
(上記(a))を解消すること、(2)マンナンの水和
撹拌工程(上記(a))と膨潤工程(上記(b))を解
消すること、(3)前項(2)に次ぐ必須条件(工程)
である凝固剤の添加工程(上記(c))を解消するこ
と、そして(4)前(1)〜(3)項の解消により、マ
ンナン独特の嫌忌臭を解消すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
課題を解決すべく鋭意研究の結果、グルコマンナンとそ
の凝固剤との混合物であって粒度が160メッシュ通過
のもの、このような混合物に必要に応じ適量の多糖類の
粉末を粉体混合したもの、またはグルコマンナンとその
凝固剤と多糖類の混合物であって粒度が160メッシュ
通過のものによれば上記課題が、グルコマンナンの使い
勝手よくかつ容易に解決できることを見いだし、このよ
うな知見に基づいて本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、グルコマンナン(ま
たはグルコマンナンと多糖類)とグルコマンナンの凝固
剤との混合物の、粒度が160メッシュ通過であること
を特徴とする微粉グルコマンナン組成物、およびグルコ
マンナンと凝固剤との混合物であって粒度が160メッ
シュ通過のものに多糖類の粉末(この粒度は160メッ
シュ通過であることを必ずしも要しない)が粉体混合さ
れていることを特徴とする微粉グルコマンナン組成物、
ならびにそれらの製造法およびそれらの使用法に関す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を順次詳細に説明す
る。
【0013】グルコマンナンとグルコマンナンの凝固剤
との混合物の、粒度が160メッシュ通過であることを
特徴とする微粉グルコマンナン組成物(2者混合物)に
おけるグルコマンナンについては、先に説明した通りで
あり、また、グルコマンナンの凝固剤は、食用こんにゃ
くの製造に使用される水酸化カルシウム、その他食品添
加物のアルカリ性化合物をいう。
【0014】この組成物の粒度(160メッシュ通過)
は、多糖類粉末によりママコの生成が防止されるマンナ
ン粉末の粒度に依存し、好ましくは160〜200メッ
シュである(本発明者の発明に係わる特許第26197
43号掲載公報参照)。微粉末マンナンは、そのまま水
に溶解しようとするとママコが生成する。そこで、上記
微粉グルコマンナン組成物は、マンナンを水に溶解する
ときに生ずるママコの生成を解消するために多糖類粉末
を粉体混合する。この混合物(3者混合物)における多
糖類粉末は、その粒度が必ずしも160メッシュ通過で
なくてもよく、当該微粉グルコマンナン組成物と溶解点
が近似する粉末であれば目的を達することができる。ま
た、粉体原料に微粉マンナンを混合して以下常法により
製造する当該加工食品の自由水を結合水にかえて共用原
料と結着し増量効果とともに弾力性を維持する、更に低
カロリー効果が得られる。
【0015】このような多糖類粉末としては、グアーガ
ム、デンプン、セルローズ、イヌリン、キチン、グリコ
ーゲン、及びペクチン、寒天、カラギーナン、アルギン
酸、トランガム、カラヤガム、アラビヤガム、さらに、
カードラン(武田薬品製)等の他に、デキストリン等の
多糖類の粉末を挙げることができる。また、これらの多
糖類粉末は併用しても良いことはもちろんである。
【0016】上記2種類の微粉マンナン組成物(2者混
合物および3者混合物)における各成分の割合は、好ま
しくはマンナン1重量部に対し、凝固剤0.02〜0.
05重量部(すなわち、この範囲の量を溶解または懸濁
した凝固剤の水溶液または水懸濁液として10〜35重
量部)および多糖類粉末0.1〜0.7重量部である。
これらは、共用原料下におけるマンナンの水分包括能に
よる凝固完成およびネト防止の理由による。
【0017】また、上記2種類の微粉グルコマンナン組
成物においては、マンナン粉末と凝固剤が製造工程にお
ける凍結粉砕時に既に接触しているので、マンナン粉末
を水中撹拌し、膨潤させてからこれに凝固剤を、その水
溶液または水懸濁液として作用させる従来の場合に比較
して、マンナンの使い勝手のよさという顕著なメリット
が得られる。
【0018】なお、上記2種類の微粉グルコマンナン組
成物のうち、最初の多糖類粉末を混合してないものは、
この形態で流通に置くことができる。これに多糖類粉末
を粉体混合して他方の微粉グルコマンナン組成物を容易
に調製することができ、また、後に説明するように、多
糖類粉末と併用することなくこれ自体でもネト、嫌忌具
解消の効果はあるので加工食品の製造に使用することが
できるからである。
【0019】上に説明した2種類の微粉グルコマンナン
組成物のうち、最初のものは、例えば、グルコマンナン
とグルコマンナンの凝固剤の水溶液または水懸濁液とを
撹拌混合し、該混合物中のグルコマンナンを膨潤させた
後、該混合物を凍結粉砕し、得られた粉砕物を乾燥処理
し、ここに得られた乾燥物を再粉砕して粒度が160メ
ッシュ通過の画分を採取することで製造することができ
る。この際、グルコマンナンが水分存在下に凝固剤の作
用を受けて不可逆的凝固とならない温度、すなわち38
℃以下で乾燥処理を行う。
【0020】この製造法において、凝固剤は、その水溶
液または水懸濁液としてグルコマンナン1重量部当たり
10〜35重量部(ただし、このなかにはグルコマンナ
ン1重量部当たり凝固剤が0.02〜0.05重量部含
まれるものとする)使用することができる。このよう
に、グルコマンナンと水溶液または水懸濁液の形態の凝
固剤とを撹拌混合することでグルコマンナンと凝固剤と
が容易に均質に混じり合うのである。なお、この製造方
法から容易に理解されるように、この製造法により得ら
れる微粉マンナン組成物の粒子は、理想的に製造された
場合は、粒子1粒の中にマンナンと凝固剤の両者が同時
に含まれる。
【0021】グルコマンナンを凝固剤の水溶液または水
懸濁液との撹拌混合物は暫時(例えば、30〜120分
間)放置することでグルコマンナンは膨潤する。膨潤の
程度は、撹拌混合物中における、凝固剤の水溶液または
水懸濁液に由来する水分の量にもよるが、必ずしも完全
膨潤であることを要しない。その主な理由は、マンナン
がアルカリ化合物(凝固剤)と水を介して接触すると直
ちにゲル誘導が開始されるのであり、このゲル誘導期が
成型タイムであり、形状を安定させ、加熱すると不可逆
的に凝固するのである。
【0022】凍結粉砕そのものは、被粉砕物の低温脆性
を利用する粉砕操作をいい、被粉砕物が粉砕に際して発
熱のためにうまく粉砕が行われない場合などに採用され
る。具体的には、例えば液体窒素を使った凍結粉砕は周
知の通りである。本発明の微粉グルコマンナン組成物の
上記製造法も、液体窒素による凍結粉砕によることがで
き、例えば、最初の凍結粉砕を被凍結物を液体窒素中に
浸漬して瞬間凍結し、次いで−50℃以下の低温窒素ガ
ス雰囲気中で微粉末に粉砕することで行い、得られた粉
砕物の乾燥をグルコマンナンが不可逆的凝固に至らない
38℃以下の温度で行い、そして再粉砕を−30℃以下
の低温窒素ガス雰囲気中で行なうことができる。ここ
で、最初の粉砕を−50℃以下の低温で行い、再粉砕を
−30℃以下の低温で行うのは、最初の凍結粉砕に当た
り凍結に使用した液体窒素を最初の粉砕および再粉砕に
際して有効に使用することができることによる。
【0023】上に説明した微粉グルコマンナンの製造法
において、グルコマンナンおよび水溶液または水懸濁液
の形態の凝固剤に加えてグルコマンナン1重量部当た
り、多糖類の粉末を例えば0.1〜0.7重量部を加え
て撹拌混合し、グルコマンナンを膨潤させた後、この混
合物を凍結粉砕することでグルコマンナンとその凝固剤
に加えて多糖類粉末の3者を含有する微粉グルコマンナ
ン組成物を得ることができる。このグルコマンナン組成
物においては、多糖類の粉末は、グルコマンナンと凝固
剤の微粉混合物にその場で(in situ)粉体混合
されたものである。このような製造法による微粉グルコ
マンナン組成物は、理想的に製造された場合は、その粒
子1粒の中にマンナン、凝固剤および多糖類の3者が同
時に含まれる。
【0024】また、本発明の微粉グルコマンナンの製造
法において、最初の粉砕工程の後に乾燥工程を置くのは
本発明による微粉グルコマンナン組成物を乾燥粉体製品
として流通に置くためであり、また再粉砕工程を置くの
は最初の粉砕工程で得られた粉砕物を乾燥するときにそ
の粒子が相互に付着して160メッシュ非通過の大きな
サイズの粒子となるものがあるからである。
【0025】このような操作における乾燥は、例えば、
流動槽式造粒機を使用する造粒乾燥によることができ
る。なお、この乾燥はグルコマンナンが水分の共存下
で、凝固剤の作用を受けて不可逆的に凝固することのな
い温度で行わなければならないことは、先に説明した通
りである。
【0026】本発明の微粉マンナン組成物の製造法によ
って、上に説明したように、例えば、微粉に粉砕する前
段において、マンナンと多糖類の粉体混合物にアルカリ
性化合物の懸濁乳白液を添加したものを液体窒素中に浸
潰して凍結し、これを−50℃以下の低温窒素ガス雰囲
気中で微粉化する方法により製造する本発明の微粉マン
ナン組成物(160〜200メッシュ)は、既にアルカ
リ性化合物(凝固剤)に接触した後、乾燥したものであ
るため、例えば、原料として水および粉体主原料を使用
しかつ加熱する加工食品の粉体主原料に副原料として適
量を混合し、以後は従来法による製造工程によって、マ
ンナンの有効利用の結果を使用目的毎に具現することが
できる。本発明の微粉グルコマンナン組成物の使用され
るべき加工食品が水を使用しかつ加熱して製造されるも
のでなくてはならない理由は、凝固剤の存在下にマンナ
ンが水和膨潤し、これに凝固剤の作用したものが加熱に
より不可逆的凝固に変化させる必要があることによる。
【0027】さらに付言すれば、本発明の微粉マンナン
組成物は、本発明者の発明に係わる前掲特許第2619
743号の即溶解性グルコマンナン組成物と同様に、水
に溶解して使用する場合でもママコの生成もなく即時に
溶解する。従って、この方法で使用しても何等の支障が
ないことはいうまでもない。
【0028】更に本発明のグルコマンナンと凝固剤と多
糖類からなる微粉グルコマンナン組成物(3者混合物)
によれば、食用こんにゃくが容易に良質に製造すること
ができる(2者混合物ではママコが生ずる)。詳述する
と、従来の市販こんにゃくを、本発明の方法によって製
造すると、簡便に良好なこんにゃくが完成する。例え
ば、グルコマンナン(こんにゃく精粉)の水に膨潤と、
これに次ぐ凝固剤の添加工程が解消されるほか、製造所
要時間が(原料粉20kgを使用した場合で、成形の直
前までの所要時間)これまでは凡そ、水に撹拌約20
分、膨潤約80分、凝固剤混練約10分、成型30分、
加熱20分、その他約10分の合計170分を要した
が、本発明の微粉グルコマンナン組成物を使用する方法
(現業者は、現在の製造設備そのままで容易に即実施す
ることができる)によれば、水に撹拌約7分、膨潤0
分、凝固剤混練0分、成型30分、加熱20分、その他
約10分の合計約70分に短縮され、さらに例えばこん
にゃく特有の嫌気臭、食前の水洗い処理やアク抜き、硬
軟食感の改良、及びこれらに付帯関連するマイナスイメ
ージのような製品特性も大幅に改善される。この場合、
グルコマンナンの膨潤に使用する水の量は、従来法によ
るこんにゃくの製造における量(対グルコマンナン)と
同じである。
【0029】下記第1表に原料粉20kg規模での所要
時間の比較を示す。
【0030】◎
【表1】
【0031】また、さらに当該水の量をマンナン1重量
部に対し、10重量部までにも減量して従来製造が不可
能であった新規食感のこんにゃくも製造可能である。
【0032】さらに説明すれば、本発明者は、本発明の
微粉マンナン組成物は従来のマンナン使用目的(市販の
こんにゃく様凝固物)とは異なり、水を原料に使用しか
つ加熱する加工食品、例えばパン類、めん類、生・半生
菓子類、畜肉練製品、各種調味料、ソース・ドレッシン
グ類、ジュース類、さらに乳製品等の広い範囲の製品に
つき、製品内の自由水を、望ましい結合水(グルコマン
ナンの水和ゲルを構成する、グルコマンナンの包括水)
に変えて存在させることを目的とし、水溶性食物繊維で
あるマンナンの有効利用をもって、従来の水使用加工食
品において健康志向への対応はもとより、食糧資源の有
効利用に役立つとの知見に至ったのである。
【0033】本発明の微粉マンナン組成物を使用した加
工食品においては、マンナンは、その製品の加熱によっ
て、例えば、各種の有効素(機能性成分、栄養成分、旨
味成分、野菜果物等の粉砕物、天然物の着色や香料香辛
料等)を結合水を介して包括し、然も工程終盤の加熱処
理によってマンナンは共用原料と結合して架橋し、製品
の膨張感と弾力性を維持し、これまでの加工食品では限
界であったそれぞれの食感や形状にも新規性(レトルト
処理や冷凍耐性)が具現するに至り、結果的に低カロリ
ー食品となるのである。
【0034】本発明者は、既に、各種加工食品の製造に
当たり、マンナン、水および凝固剤からなる水和ゲル
を、当該加工食品の原料に加える加工食品の製造法をい
くつか発明し、これらについて特許出願済である(例え
ば、特開平3−49652(薄片状食品の製造法)、特
開平6−296472(食物繊維性食品用組成物及び食
物繊維性食品の製造法)、特開平7−59525(粥及
び雑炊)、特開平8−70796(耐熱ゼリー食品及び
その製造法)、特開平8−56619(魚肉練製品およ
び魚肉練製品様食品の製造法)、特開平8−22406
9(魚肉練製品および魚肉練製品様食品の製造方法)、
特願平8−85622(こんにゃく餅)、特願平8−3
23253(食物繊維パンおよびその製造法)、特願平
8−356517(マンナンコロッケ)、特願平9−1
078(低カロリーめんの製造法)等)。本願発明のマ
ンナおよび凝固剤の2者混合粉体並びにこれらと多糖類
粉末の3者混合粉体は、これに水を加えてマンナンの水
和ゲルとして前記既に特許出願した方法に使用できるこ
とはもちろんであるが、先に説明したように加工食品の
粉体にこれを粉体混合するときは、前記のように使い勝
手が良いのみならず、得られる加工食品の製品の特性を
好ましいものに変えることができる。例えば、めん類の
場合は、低カロリーとなるほか、弾力性のある腰の強い
めんとなる。これはマンナンの結合水が主原料と共に不
可逆的に凝固した理由によるものとおもわれる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0036】実施例1(微粉マンナン組成物の製造): 市販のコンニャク精粉800gおよびデキストリン(松
谷化学製「PD−100」)200gの計1kgに、水
酸化カルシウム24gを水10kgに懸濁した乳白液を
添加し、約8分撹拌した後、約50分放置し、これを液
体窒素中に浸潰して瞬間的に凍結し、次にスクリューフ
ィーダーにより−50℃の窒素ガス低温下に移送して粉
砕機にかけて粉砕し(ローター7800rpm)、これ
を流動槽式造粒機(フロイント社製「FL40型」)で
約60分、約38℃の温度域で造粒乾燥し、次に−30
℃の窒素ガス雰囲気中の低温下で、前記粉砕機で再粉砕
し(ローター7800rpm)、180〜200メッシ
ュの微粉マンナン組成物910gを収得した。
【0037】このようにして得た微粉マンナン組成物
は、水を介し凝固剤と接触して発生する特有の嫌忌臭も
解消され、さらさらした感触で副原料としての使い勝手
が簡便容易なものである。
【0038】実施例2(パンの製造): 小麦粉200g、ドライイースト3g、食塩5gおよび
グラニュー糖18gの計226gに実施例1で得られた
微粉マンナン組成物4g(小麦粉の2%)を粉体混合
し、これに無塩バター10gを加えた合計240gに水
140g(小麦粉の70%)を少量ずつ数回に分けてか
き混ぜながら添加して均質になじませ、混捏して380
gのパン生地を得た。これを箱型バットに入れ恒温器
(35℃)中で約50分発酵させた後、ガス抜きしてさ
らに30分発酵させ、次に成型して形を整え、表面上部
に砂糖を加えて解いた生卵を塗り、再び約10分発酵の
後、オーブン(220℃)で30分焙焼して箱型のパン
を製造した。
【0039】このパンは重く、内部の架橋構造が従来の
パンと比べて太く、ランダムに構成されており、引き裂
いた内部の形状はぶっちぎった不揃いの状態を呈してお
り(従来のパンは一方向に揃う)、弾力的な物性を保持
していた。
【0040】このパンを自然放冷60分後に計量したと
ころ、320gあった。
【0041】また、製造2日後の物性は弾力性を維持
し、パンの引き裂き口を指先で抑えて離すと直ちに復元
した。
【0042】さらに、このパン約80gのもの3個をそ
れぞれラップに包み、−20℃に急速冷凍し、7日後、
14日後および21日後に、ラップを取り去り、裸で電
子レンジで1分30秒解凍加熱して試食したところ、い
ずれも膨張した焼き立てのパンと同様であった。従っ
て、このパンは冷凍耐性を有することが確認された。
【0043】実施例3(うどんの製造): 薄力小麦粉200g、実施例1で得られた微粉マンナン
組成物4gおよび食塩6gの計210gを混合した粉体
原料に、水(20℃)120g(微粉マンナン組成物の
30倍量)をかき混ぜながら注入し、均質になじませた
後、混捏して水分が均質状態になった時点で約30分ね
かせ、次に圧延機を通して折り曲げ重ねて帯状に延ばし
(ロール間隔3mm)、これを6回繰り返した後、切り
出しロールでめん線を、径2mm、長さ約20cmに切
断し、これを沸騰水中でかき回しながら約3分間茹でて
網ですくい出し、冷水で洗い出した後、水切りして簀の
子上に並べ、茹でうどん530gを収得した(収得率1
60%)。
【0044】本実施例では、めん生地の作成時以降、茹
でうどん完成まで、打ち粉を使用しなかったが、何の不
都合もなく、また器具類や手に小麦粉が結着することな
く、さらに沸騰水も濁らず作業性が極めて良好であっ
た。
【0045】さらに本実施例の茹でうどんは、時間経過
後も弾力性に富み、茹でめんのめん線が相互に結着する
ことなく、また熱水中でも伸びずにめんの腰が強いとい
う好ましい結果を得た。
【0046】実施例4(こんにゃくの製造): 実施例1で得られた微粉マンナン組成物20gとアオノ
リ粉末0.5gを予め混合し、これを水800gに分散
させながら注入し、約2分間泡立て具で撹拌し糊状物と
し、これを耐熱樹脂袋に約150gを詰めたもの6袋を
密封し、これらを平盤上に並べその上に押え板を置いて
約30分成形した後、95℃の熱水中で約20分加熱し
て凝固させた後、取り出して自然放冷し、袋入りこんに
ゃく(150g入6袋)を収得した。
【0047】このものは、こんにゃく臭が全く存在せ
ず、見かけおよび食感とも好ましく、生食用(さしみ
風)にも良好の物性であった。
【0048】
【発明の効果】これまで、マンナンの食用利用は様々な
方法によって試行され、マンナン利用食品の製造方法も
いくつか公開されているが、その工程は必ず、マンナン
を水中撹拌して(完全)膨潤させ、これに凝固剤を添加
して混練した糊状物を、使用目的により適量を添加する
方法である。これは、すなわち、市販のこんにゃく様の
物性を食品に活用せんとするものであるが、その実態は
マンナンの有用価値を簡便有効に活用するには至ってい
ない段階である。しかしながら、このような盛んなマン
ナンの利用意欲は、その有意性が既に認識されているこ
との証明である。
【0049】然しながら、マンナンの活用における前記
の必須工程(a)〜(c)を解消し得ない限り、このこ
とがその有用性を適切に発現するための障害となってい
た。
【0050】ところが、本発明により、従来のマンナン
の食用活用の方法を改善し、全く新規な方法が確立し
た。すなわち、前記したマンナンの必須工程を解消し、
食品の主原料に副原料として適量混合するだけで、水を
原料に使用しかつ加熱して製造する加工食品に、マンナ
ンの他に類例のない有効特性を活用して、これまでの加
工食品では限界であった食感や形状を新しく発現するに
至った。
【0051】そのマンナンの特性を一口に表現すると、
マンナン1重量部に対し、水60重量部を超えて吸収
し、さらに不可逆的に凝固する食用の粉体は、植物根茎
のマンナンをおいて他には存在しない。
【0052】かかる粉体の食品原料が本発明による微粉
マンナン組成物で、その使用目的と使用方法の確立によ
り、加工食品の主原料に副原料として適量混合し、以下
従来法によって、必須栄養素や各種調味料を包括した新
しい食感調整等、使用目的に沿って再現するが、結果的
に低カロリー食品が加工食品市場に定着する。
【0053】富栄養化した食生活に対応する加工食品分
野における本発明の微粉マンナン組成物の利用価値は時
代の要請とともに極めて大きい。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グルコマンナン1重量部とグルコマンナン
    1重量部当たり0.02〜0.05重量部となる量のグ
    ルコマンナンの凝固剤を含むその水溶液または水懸濁液
    10〜35重量部とを攪拌混合して膨潤させた後、これ
    を凍結粉砕し、得られた粉砕物を乾燥し、ここに得られ
    た乾燥物を再粉砕して粒度が160メッシュ通過の画分
    を採取することを特徴とするグルコマンナンとグルコマ
    ンナンの凝固剤との混合物の、粒度が160メッシュ通
    過である微粉グルコマンナン組成物の製造法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造法によって得られたこ
    とを特徴とする微粉グルコマンナン組成物
  3. 【請求項3】請求項1記載の製造法によって得られた微
    粉グルコマンナン組成物であって、多糖類の粉末が粉体
    混合されていることを特徴とする請求項記載の微粉グ
    ルコマンナン組成物。
  4. 【請求項4】請求項記載の微粉グルコマンナン組成物
    の製造法において、グルコマンナンおよびグルコマンナ
    ンの凝固剤に加えて、グルコマンナン1重量部当たり多
    糖類の粉末を0.1〜0.7重量部使用することを特徴
    とする請求項記載の微粉グルコマンナン組成物の製造
    法。
  5. 【請求項5】最初の凍結粉砕を被凍結物を液体窒素中に
    浸漬して瞬間凍結し、次いで−50℃以下の低温窒素ガ
    ス雰囲気中で微粉末に粉砕することで行い、得られた粉
    砕物の乾燥を造粒乾燥で行い、そして再粉砕を−30℃
    以下の低温窒素ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請
    求項または4記載の微粉グルコマンナン組成物の製造
    法。
  6. 【請求項6】原料に水を使用しかつ加熱して製造する加
    工食品の製造に際し、請求項またはに記載の微粉グ
    ルコマンナン組成物の水和ゲルを使用することを特徴と
    する加工食品の製造法。
  7. 【請求項7】原料に水及び粉体を使用しかつ加熱して製
    造する加工食品の製造に際し、当該原料の粉体1重量部
    に対し請求項またはに記載の微粉マンナン組成物を
    0.005〜0.5重量部粉体混合して使用することを
    特徴とする加工食品の製造法。
  8. 【請求項8】請求項記載の微粉グルコマンナン組成物
    を原料として使用することを特徴とするこんにゃくの製
    造法。
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