JP3023218B2 - 打抜加工性の優れたセミプロセス電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

打抜加工性の優れたセミプロセス電磁鋼板の製造方法

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JP3023218B2
JP3023218B2 JP3213230A JP21323091A JP3023218B2 JP 3023218 B2 JP3023218 B2 JP 3023218B2 JP 3213230 A JP3213230 A JP 3213230A JP 21323091 A JP21323091 A JP 21323091A JP 3023218 B2 JP3023218 B2 JP 3023218B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、打ち抜き加工後、歪
取り焼鈍処理を施して用いられるセミプロセス無方向性
電磁鋼板の製造方法に関し、とくにその打ち抜き加工性
の有利な改善を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、通常打ち抜いて使
用されることから、連続打抜性に優れていることが重要
な要件とされている。また、需要家での鉄心製作工程の
合理化、省力化から、連続打ち抜き中の順送りプレス内
で一定枚数を積層し、鉄心の状態で取り出される自動か
しめ方式による複合順送り金型が使用されるようになっ
てきたことから、強いかしめ強度が得られること、さら
にはローターのスキューが滑らかにできることも重要な
要件となっている。
【0003】電磁鋼板に良好な打抜性を付与するために
は、その硬度を適正範囲に調整することが有効であると
されている。ここに良好な打抜性を得て、さらに自動か
しめ性及びローターのスキュー性が良好な電磁鋼板を得
るためには、地鉄硬度がHv1:135 〜165 が必要であ
る。すなわち地鉄硬度が低い場合、連続打ち抜き時、打
ち抜き切断面にはダレが発生し易いため、打ち抜き後の
製品寸法に誤差が生じる。この問題の解決策としては、
打ち抜き金型のクリアランスを小さくすることが考えら
れるが、この方法では金型寿命が減少する。ここに適当
な金型クリアランスで製品寸法にダレによる誤差を生成
しない地鉄硬度としては HV1≧135 とする必要がある。
なおダレの発生が少ないことは自動かしめ金型にも適合
し、かしめ強度の強い鉄心が得られる。しかしながら地
鉄硬度が HV1で165 を超えると金型へのダメージが大き
くなることから、地鉄硬度は HV1≦165 とする必要があ
る。
【0004】また、ローターコアはモーターのスムーズ
な回転を得るため、スキューがなされる。自動かしめコ
アのスキューについては、V型突起形状のものを、半が
しめの状態として金型外に取り出し、加工プレスにより
本がしめを行うときにスキューを付ける。この時、地鉄
硬度が HV1:135 より小さいとV型突起に変形をきた
し、充分なスキュー角が得られない。
【0005】以上のことから、良好な打ち抜き打抜加工
性を得るには、地鉄硬度Hv1:135〜165 が必要とさ
れ、かかる硬度調整は加工硬化処理によって行われてき
た。
【0006】従来Hv1:130 以上の電磁鋼板を製造する
には、最終焼鈍後、20%以下の軽い冷延を施すことが有
効とされ、かかる軽圧延により、加工硬化し、硬度は高
くなるので、打抜性の良いものが得られる。しかし、導
入された歪応力は、打ち抜き後の焼鈍によって解放され
るが、この時、板の形状がしばしば変形する。これは鋼
板に対する歪の導入のされ方が均一でなく、板厚方向や
板面方向で差があるためと推定される。例えば、真円に
打ち抜いた板を焼鈍すると楕円になったり、反ったりす
ることがあり、そのため後工程での組立て時にトラブル
が発生する。
【0007】上記の問題を解決するものとして、特開昭
58-45352号公報に、鋼板の打ち抜き時にその結晶粒内に
平均距離 0.4μm 以下の分散した微細炭化物からなる析
出物を有し、ビッカース硬度が135以上であり、打ち抜
き後歪取焼鈍処理を施して用いる打抜性の優れたセミプ
ロセス電磁鋼板がその製造方法と共に提案された。この
方法は、結晶粒内に微細炭化物を析出させ、鋼板のビッ
カース硬度130 以上を確保することによって、打抜性の
優れたセミプロセス電磁鋼板を得るものであり、打ち抜
き後歪取焼鈍処理を行っても、加工硬化処理材のような
鉄心の変形はなく、良好な製品が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の方
法では、時効温度及び時効時間範囲が極めて狭いことか
ら、安定してビッカース硬度Hv1:135 以上を確保する
ことが難しいところに問題を残していた。しかも上記の
方法では、ビッカース硬度Hv1:165 を確保することは
難しく、ビッカース硬度の最高値はせいぜい150 程度に
すぎなかった。この発明は、上記したような、従来のセ
ミプロセス電磁鋼板の有する欠点を除去、改善した、打
抜加工性の優れたセミプロセス電磁鋼板の製造方法を提
案するものである。
【0009】すなわちこの発明は、C:0.015 〜0.050
wt%(以下単に%で示す)、Si:1.0 %以下、Mn:0.1
〜1.0 %及びP:0.1 %以下を含有し、残部はFe及び不
可避的不純物からなる熱延鋼板に、冷間圧延を施したの
ち、 750〜950 ℃において5秒〜5分間の焼鈍を施すこ
とによって無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、上記
焼鈍の冷却過程につき、 700℃までを10℃/s以下の冷
却速度で冷却し、引き続き10〜50℃/sの冷却速度で 2
00℃以下まで冷却したのち、 0.5%以下の歪を付加し、
ついで 200〜450 ℃で5〜30秒間の時効処理を施し、さ
らに10〜55℃において時効処理を施すことからなる打抜
加工性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方
法(第1発明)である。
【0010】またこの発明は、C:0.015 〜0.050 %、
Si:1.0 %以下、Mn:0.1 〜1.0 %及びP:0.1 %以下
を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼
板に、冷間圧延を施したのち、 750〜950 ℃において5
秒〜5分間の焼鈍を施すことによって無方向性電磁鋼板
を製造するに当たり、上記焼鈍の冷却過程につき、700
℃までを10℃/s以下の冷却速度で冷却し、引き続き10
〜50℃/sの冷却速度で 200℃以下まで冷却したのち、
0.5%以下の歪を付加し、その後絶縁被膜処理液を塗布
してから、 200〜450 ℃で5〜30秒間の乾燥、焼付け処
理後、10〜55℃において時効処理を施すことからなる打
抜加工性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造
方法(第2発明)である。
【0011】さらにこの発明は、第1又は第2発明にお
いて、熱延鋼板中にさらにAlを0.6%以下の範囲で含有
させてなる打抜加工性の優れたセミプロセス無方向性電
磁鋼板の製造方法(第3発明)である。
【0012】
【作用】この発明は、電磁鋼板中の微細炭化物の析出状
態を制御することによって、安定して材質の硬度を制御
し得ることの新規知見に立脚するものである。さて炭化
物を組織中に微細に分散,析出させると硬度が増加する
ことは知られている。しかしながら電磁鋼板において、
Cは電磁特性を著しく損なったり、電気器機として使用
中に、磁気時効を起こし特性を劣化させるため、C含有
量はできるだけ低くすることが一般的である。ここに製
品中のC含有量が0.005 %以下であれば、Cによる電磁
特性の劣化の影響は実用上問題とならないことが知られ
ている。
【0013】ところで、セミプロセスけい素鋼板にあっ
ては、打ち抜き加工後に歪取焼鈍が施されるが、この焼
鈍は通常 750℃で2時間程度であり、この間同時に脱炭
も進行する。表1に、各種成分の0.65mmの厚さの試料を
歪取焼鈍で一般的に用いられるDXガス(組成 H2:12
%、CO:8%、CO2 : 5%、露点 27℃、残余 N2 )中
にて750 ℃の温度で2時間焼鈍した場合における焼鈍前
後のC分析値を示す。
【0014】
【0015】同表から明らかなように、素材中のCが0.
05%以下であれば、打ち抜き後の歪取焼鈍によって、実
用上さしつかえないC量である 0.005%以下まで脱炭す
ることができることが判る。
【0016】そこでこの発明では、素材のC含有量につ
き、その上限を0.05%に定めたのである。しかしながら
C量が 0.015%に満たないと鋼中の固溶Cが少なく、微
細炭化物量も少なくなるため、地鉄硬度Hv1:135 を確
保できない。そこでC量の下限は 0.015%としたのであ
る。
【0017】その他の成分組成を前記の範囲に限定した
理由は次のとおりである。 Si:1.0 %以下 Siは、磁気特性及び硬さの向上に有用な元素であるが、
低級電磁鋼板を対象としているので、Siは1.0 %以下と
した。
【0018】Mn:0.1 〜1.0 % Mnは、0.1 %に満たないと熱間脆性が大きくなり、一方
1.0%を超えると鋼板の価格上昇を招くので、Mnは 0.1
〜1.0 %の範囲で含有させるものとした。
【0019】P:0.1 %以下 Pは、地鉄硬度の増加に寄与する有用元素であるが、
0.1%を超えると冷間加工性を損うので、Pは0.1 %以
下で含有させるものとした。
【0020】Al:0.6 %以下 Alは、電磁特性の向上に有用な元素であるが、 0.6%よ
り多くなると、Al添加による磁気特性の向上効果が少な
くなるだけでなく、価格の面でも不利となるので、Alは
0.6 %以下で含有させるものとした。
【0021】次に製造条件であるが、上記の好適成分組
成に調整した熱延鋼板に冷間圧延を施したのち、 750〜
950 ℃において5秒〜5分の再結晶焼鈍を行い、その冷
却過程において制御冷却を施すことにより、鋼中の固溶
Cを増加させ、その後の時効処理によって鋼中に微細炭
化物を生成させることにより、地鉄硬度Hv1:135 〜16
5 を確保する。この時の冷却速度は 700℃までを10℃/
s以下とする必要がある。ここに制御冷却をすべき温度
の下限を 700℃にしたのは、固溶Cが最大限となる温度
が 723℃近辺であるからであり、、工業的な安定生産を
確保するため 700℃としたのである。また冷却速度が10
℃/sを超えると、鋼中固溶Cが少ない状態で固定され
るので、10℃/s以下として鋼中固溶Cの増大を図った
のである。
【0022】上記のようにして鋼中における固溶Cを増
大させた後は、冷却速度を速め、鋼中固溶Cを固定する
必要がある。そのため、10〜50℃/sの速度で 200℃以
下の温度まで冷却する。ここに冷却速度が10℃/sより
遅いと、鋼中固溶Cは結晶粒界で析出して鋼中固溶Cが
減少し、また炭化物は粗大化するため、時効処理による
地鉄硬度の向上には寄与し得なくなる。従って、鋼中固
溶Cを早く固定するためには、10℃/s以上の冷却速度
が必要であるが、50℃/sを超える冷却速度を確保する
ためには、多大の設備投資が必要となりコスト増となる
ため、 700℃からの冷却速度は10〜50℃/sに限定し
た。またかかる急速冷却をすべき下限温度を 200℃とし
たのは、 200℃までで固溶Cの固定がほぼ終了すると考
えられることによる。
【0023】上記の冷却終了後、必要に応じ、鋼中に
0.5%以下の歪を付加する。かかる歪の付加により、後
工程での時効処理において、微細炭化物析出核を多く輩
出させ、硬度の効果的な向上を図るためである。しかし
ながら歪量が余りに多くなると、打ち抜き加工後の歪取
焼鈍によって歪が解放された時、板の変形が起こり易
く、また以後の時効処理において炭化物の粗大化を招く
結果、地鉄硬さ135 以上を確保できない。そこで歪量の
上限は 0.5%に定めた。また歪の付加に際し、その温度
は、 200℃以下の温度で行い、とくに常温以上では冷却
後直ちに付加することが好ましい。この点常温では、必
ずしも冷却完了後直ちに行う必要はない。なお 200℃を
上回る温度では、以降の時効処理においてビッカース硬
度Hv1:135〜165 を安定して確保することは難しい。
【0024】上述のようにして、鋼中に固溶Cを確保
し、歪を付加したのち、固溶Cを析出させる。この固溶
Cを微細析出させる過程において、かかる析出処理を2
段階で行う点に、この発明の際立った特徴がある。この
2段階析出処理は、発明者らの、数多くの実験と検討に
より開発されたもので、析出する炭化物として、従来の
微細カーバイドに加え、さらに低温で析出させた極めて
微細な炭化物を混合状態で析出させることにより、効果
的に鋼板の硬度を高めるものである。これは、加工によ
り導入される転位の分布や状態が多様であることから、
かかる転位の移動や増殖を抑制するための炭化物の形態
も多様である方が望ましいことによると考えられ、この
発明の2段階の析出処理のいずれか一方が欠けてもこの
発明のような高い硬度は得られない。
【0025】以下、2段階析出処理について具体的に説
明する。まず 200〜450 ℃で5〜30秒の第1段階の処理
により炭化物微細析出の核を生成させる。ついで10〜55
℃の第2段階の処理により炭化物の極めて微細な析出を
図り、もって地鉄硬度Hv1:135 〜165 を安定して確保
するのである。
【0026】第1段階において、処理温度が 200℃より
低いと核生成ができず、一方 450℃より高いと、粗大化
した炭化物が生成し、地鉄硬度の向上には寄与しない。
また処理時間が5秒より短いと核の生成が少なく、一方
30秒を超えると炭化物が粗大化する。それ故時効処理の
第1段階は、 200〜450 ℃において5〜30秒処理するこ
とにしたのである。
【0027】第2段階の時効処理は、処理温度が10℃よ
り低いと地鉄硬度Hv1:135 〜165を確保するのに長時
間を要し、実際的でなく、一方55℃を超えると粗大炭化
物が生成し、地鉄硬度Hv1:135 以上を確保できない。
それ故第2段階の時効処理温度は10〜55℃とした。なお
好適保持時間は2〜20日である。すなわち2〜20日で地
鉄硬度Hv1:135 以上を確保すれば 200日後でも地鉄硬
度Hv1は165 以下であり、製造から使用まで充分な期間
を確保でき、品質が安定する。上述したような時効処理
を施すことにより、地鉄硬度Hv1:135 〜165が安定し
て確保できるのである。
【0028】一方、第1段階の時効処理は絶縁被膜の焼
付処理であっても良い。絶縁被膜としては従来から公知
の、りん酸塩系、(重)クロム酸塩系、(重)クロム酸
塩−有機樹脂系の1種又は2種以上の混合系で良い。こ
れら主成分とした場合、それぞれの添加物は、例えばり
ん酸塩系の場合、硝酸塩、亜硝酸塩、硼酸、界面活性
剤、無水クロム酸、(重)クロム酸塩である。また
(重)クロム酸塩の場合は、有機還元剤、硼酸である。
さらに(重)クロム酸−有機樹脂系の場合は、有機還元
剤、硼酸、有機樹脂であり、この有機樹脂としては、ア
クリル系、スチレン系、酢酸ビニル系、ベオバ系の1種
又は2種以上の共重合物が有利に適合する。なおこれら
絶縁被膜の耐熱性向上のため、コロイダルシリカ、コロ
イダルアルミナ、又はチタニア、シリカ、アルミナ等の
金属酸化物の微粉末を配合しても良いのは言うまでもな
い。
【0029】
【実施例】
実施例1 表2に示した成分組成になるの熱延鋼板(供試材:A〜
D)に、冷間圧延を施して 0.5mmの最終板厚としたの
ち、 780℃において1分間の焼鈍を行い、その冷却過程
において 700℃までを5℃/s、引き続き25℃/sの冷
却速度で30℃まで冷却したのち、 0.3%のスキンパス圧
延を行って鋼中に歪みを導入した。その後350 ℃で10秒
間の時効処理を行い、さらに25℃において時効を行っ
た。かくして得られた製品の打抜加工性について調べた
結果を表2に併記する。また、地鉄硬度の経時変化につ
いて調べた結果を図1に示す。
【0030】図1から明らかなように、この発明に従う
適正成分に調整し、かつ冷却過程を制御し、さらに時効
処理を施したものは、比較材に比べ地鉄硬度の向上が認
められ、適正な地鉄硬度が得られた。また自動かしめに
よる打抜加工性の調査によれば、まずかえり高さ50μm
までの打ち抜き数は、比較材が8〜10万個程度であった
のに対し、この発明に従い得られたものは約15万個であ
り、打抜性は格段に向上した。またかしめ強度も良好で
あった。さらにまたスキュー性については、この発明に
従い得られたものは充分なスキュー角が得られたけれど
も、比較材にはスキューずれが生じた。
【0031】実施例2 同じく表2に示した成分組成になるの熱延鋼板(供試
材:E〜G)に、冷間圧延を施して 0.5mmの最終板厚を
としたのち、 820℃において1分間の焼鈍を行い、その
冷却過程において 700℃までを5℃/s、引き続き25℃
/sの冷却速度で150℃まで冷却したのち、 0.5%のス
キンパス圧延を行って鋼中に歪みを導入した。その後
(重)クロム酸塩−有機樹脂系処理液を塗布し、 280℃
にて15秒間の焼付を行った。ついでEについては第2段
階の時効温度を45℃で、またF,Gについては第2段階
の時効温度をそれぞれ8℃,70℃として、時効処理を行
った。かくして得られた製品の打抜加工性について調べ
た結果を表2に併記する。また、地鉄硬度の経時変化に
ついて調べた結果を図2に示す。
【0032】同図より明らかなように、この発明に従う
E鋼では、5日後にHv1:144 となり、以降Hv1:153
となった。一方比較例Fは、 180日後にHv1:136 とな
り、この発明の適正範囲内となったが、非常に長時間を
要しただけでなく、その硬度も下限をやっとクリアでき
る程度にすぎなかった。また比較例Gは、時効前の硬度
Hv1:113 に対し、時効後は徐々に軟化し、 180日後に
はHv1:100 まで低下した。打抜性については、(重)
クロム酸塩−有機樹脂系の被膜を施したことによりいず
れも100 万回以上で良好であった。しかしながらかしめ
性については、適合例Eは良好であったが、比較例Fは
若干劣り、比較例Gに至っては劣悪であった。またスキ
ュー性については、適合例Eは良好であったけれども、
比較例F,Gはいずれも劣悪であった。
【0033】実施例3 同じく表2に示した成分組成になるの熱延鋼板(供試
材:H〜J)に、#50ダルロールを用いて冷間圧延を施
して0.65mmの最終板厚をとしたのち、 800℃において45
秒間の焼鈍を行い、その冷却過程において 700℃までを
5℃/s、引き続き25℃/sの冷却速度で30℃まで冷却
した後、鋼材H及びJについては 0.5及び1.0 %のスキ
ンパス圧延を行って鋼中に歪みを導入した。また鋼材I
についてはスキンパス圧延を施さなかった。その後、い
ずれの鋼材についても 350℃で10秒間の時効処理を行
い、さらに25℃において時効を行った。かくして得られ
た製品の打抜加工性について調べた結果を表2に併記す
る。また、地鉄硬度の経時変化について調べた結果を図
3に示す。
【0034】同図より明らかなように、この発明に従い
得られた鋼材Hは、比較例I,Jに比べ、ビッカース硬
度の向上が認められ、適正な硬度が得られた。またこれ
らの材料について、自動かしめによる打抜加工性を調べ
たところ、かえり高さ50μまでの打抜数は、適合例Hで
は16万回であり、比較例の10万回,8万回に比べ打抜性
は優れていた。またかしめ性やスキュー性も比較例に比
べ良好であった。
【0035】実施例4 同じく表2に示した成分組成になるの熱延鋼板(供試
材:K〜M)に、#50ダルロールを用いて冷間圧延を施
して0.65mmの最終板厚をとしたのち、 800℃において45
秒間の焼鈍を行い、その冷却過程において 700℃までを
10℃/s、引き続き10℃/sの冷却速度で150℃まで冷
却した後、 0.5%のスキンパス圧延を行って鋼中に歪み
を導入した。その後、鋼材Kについては 350℃で10秒
間、また鋼材L及びMについては 470℃で10秒間、350
℃で40秒間の時効処理を行い、さらにいずれも25℃にお
いて時効を行った。かくして得られた製品の打抜加工性
について調べた結果を表2に併記する。また、地鉄硬度
の経時変化について調べた結果を図4に示す。
【0036】同図より明らかなように、この発明に従う
K鋼では、2日後にHv1:134 となり、 180日後にはH
v1:150 となった。この材料の打抜性は16万回であり、
良好なかしめ性と、スキュー性が得られた。これに対
し、比較例Lは、第1段階の時効温度が470 ℃と高いた
め、 0.5%のスキンパスによる硬度向上はあったもの
の、Hv1:135 以上の確保は困難であった。また打抜性
は14万回と良好であったけれども、かしめ性、スキュー
性はやや不良であった。さらに比較例Mは、時効温度は
350 ℃と適当であったけれども、時効時間が40秒と長い
ことから、硬度の向上は認められなかった。このため打
抜性、かしめ性及びスキュー性共に劣っていた。
【0037】実施例5 同じく表2に示した成分組成になるの熱延鋼板(供試
材:N〜P)に、#50ダルロールを用いて冷間圧延を施
して0.65mmの最終板厚をとしたのち、 800℃において45
秒間の焼鈍を行い、その冷却過程において、鋼材Nにつ
いては 700℃までを10℃/s、引き続き45℃/sの冷却
速度で 150℃まで冷却し、また鋼材Oについては 700℃
までを12℃/s、引き続き10℃/sの冷却速度で 150℃
まで冷却し、鋼材Pについては 700℃までを12℃/s、
引き続き25℃/sの冷却速度で 150℃まで冷却した後、
いずれも 0.5%のスキンパス圧延を行って鋼中に歪みを
導入した。その後、りん酸塩系処理液を塗布してから 4
00℃にて15秒間の焼付処理を行い、ついで25℃にて時効
を行った。かくして得られた製品の打抜加工性について
調べた結果を表2に併記する。また、地鉄硬度の経時変
化について調べた結果を図5に示す。
【0038】同図より明らかなように、適合例Nは、経
時2日後にHv1:140 が確保されたのに対し、比較例P
は経時 100日後でHv1:134 、 180日後でHv1:143 に
すぎず、また比較例Oは経時 180日後でもHv1:132 に
すぎなかった。打抜性については、適合例Nと比較例P
は良好であったが、比較例Oはやや劣っていた。また適
合例Nと比較例Pは、かしめ性及びスキュー性も良好で
あったが、比較例Oは劣悪であった。なお比較例Pは、
最終的にはこの発明の目標特性に到達するけれども、上
述したとおりHv1:135 以上を確保するのに長時間を要
するので、発明外とした。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、焼鈍後の冷
却速度を制御し、かつ歪を付加した上で、2段階の時効
処理を施すことにより、ビッカース硬度Hv1:135 〜16
5 を確保して打抜加工性に優れ、しかもかしめ性及びス
キュー性にも優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】地鉄硬度の経時変化を示したグラフである。
【図2】地鉄硬度の経時変化を示したグラフである。
【図3】地鉄硬度の経時変化を示したグラフである。
【図4】地鉄硬度の経時変化を示したグラフである。
【図5】地鉄硬度の経時変化を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 501 C21D 8/12 C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.015 〜0.050 wt%、Si:1.0 wt%
    以下、Mn:0.1 〜 1.0wt%及びP:0.1 wt%以下を含
    し、残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板
    に、冷間圧延を施したのち、750 〜950 ℃において5秒
    〜5分間の焼鈍を施すことによって無方向性電磁鋼板を
    製造するに当たり、上記焼鈍の冷却過程につき、 700℃
    までを10℃/s以下の冷却速度で冷却し、引き続き10〜
    50℃/sの冷却速度で 200℃以下まで冷却したのち、
    0.5%以下の歪を付加し、ついで 200〜450 ℃で5〜30
    秒間の時効処理を施し、さらに10〜55℃において時効処
    理を施すことを特徴とする打抜加工性の優れたセミプロ
    セス無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 C:0.015 〜0.050 wt%、Si:1.0 wt%
    以下、Mn:0.1 〜 1.0wt%及びP:0.1 wt%以下を含
    し、残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板
    に、冷間圧延を施したのち、750 〜950 ℃において5秒
    〜5分間の焼鈍を施すことによって無方向性電磁鋼板を
    製造するに当たり、上記焼鈍の冷却過程につき、 700℃
    までを10℃/s以下の冷却速度で冷却し、引き続き10〜
    50℃/sの冷却速度で 200℃以下まで冷却したのち、
    0.5%以下の歪を付加し、その後絶縁被膜処理液を塗布
    してから、 200〜450 ℃で5〜30秒間の乾燥、焼付け処
    理後、10〜55℃において時効処理を施すことを特徴とす
    る打抜加工性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、熱延鋼板中に
    さらにAlを0.6 wt%以下の範囲で含有させてなる打抜加
    工性の優れたセミプロセス無方向性電磁鋼板の製造方
    法。
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