JP3022453U - 観賞魚及び養殖魚の配合飼料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペレット状の配合飼料として魚の嗜好性を高
め、水質汚濁のない養殖魚用及び観賞魚用の配合飼料を
得ることを目的とする。 【解決手段】 魚粉その他の全ての原材料を極微粉と
し、海藻を乾燥粉砕した粉末状の粘結剤を加えて混練
し、高温，高気圧の条件下でペレット状に造粒した後に
適宜な乾燥工程を経て「海藻粉末エキスパンドペレッ
ト」として製造した観賞魚及び養殖魚の配合飼料を提供
する。粘結剤として用いる海藻粉末は、魚粉を造粒させ
る粘着力と、魚汁及び魚油の吸収性を有する素材が選択
される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は各種の養殖魚及び観賞魚の栄養源としての配合飼料に関し、特に魚の 嗜好性を高め、かつ、水質汚濁のない新規なペレット状の配合飼料に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

一般に養殖魚及び観賞魚用の配合飼料は、魚粉等の原材料と粘結剤とを混練し た後にペレット状に成形加工し、乾燥工程を経て製造している。上記粘結剤とし て要求される特性としては、原材料をペレット状に造粒させる粘着力があり、魚 の嗜好性が高く、魚粉等を粉砕する時に発生する魚汁とか魚油の吸収性がある上 、水による型崩れを最小限として養魚池の水質汚濁を防止する特性を持つ素材で あることが必要要件である。

【０００３】 しかし上記の必要要件を全て満足する粘結剤は開発されていないため、通常は 小麦粉を粘結剤とし、魚粉その他の全ての原材料を小麦粉とともにペレット状に 造粒した配合飼料を養殖魚及び観賞魚の栄養源として用いている。

【０００４】 他方で上記小麦粉に代えて、カルボキシメチルセルロースとかグアーガム等の 水溶性凝固剤を粘結剤として魚粉をペレット状に造粒した配合飼料が知られてい る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記小麦粉を粘結剤として原材料を造粒した配合飼料は、魚の 嗜好性が必ずしも良好でないため、養殖池とか飼育槽内に多量の食べ残しが発生 して水質汚濁の原因になるという課題がある。

【０００６】 即ち、上記の食べ残した飼料は腐敗しやすいため、飼育水が汚れることによっ て魚の飼育環境が悪化してしまい、養殖魚とか観賞魚の健康を害したり死亡率が 高くなる原因になる。特に海面養殖とか内水面養殖では飼育水の汚濁が環境汚染 につながる惧れがあるため、魚の嗜好性の高い、所謂「食い」の良い配合飼料の 開発が希求されている。

【０００７】 また、小麦粉に代えて前記カルボキシメチルセルロースとかグアーガム等の水 溶性凝固剤を粘結剤として用いた場合であっても、魚の嗜好性は依然として改善 されていないため、前記問題点はそのまま残存している。

【０００８】 そこで本考案はこのような従来の配合飼料が有している課題を解消して、ペレ ット状の配合飼料として魚の嗜好性を高めるとともに水質汚濁のない養殖魚用及 び観賞魚用の配合飼料を得ることを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、魚粉その他の全ての原材料を極微粉とし 、海藻を乾燥粉砕した粉末状の粘結剤を加えて混練し、高温，高気圧の条件下で ペレット状に造粒した後に適宜な乾燥工程を経て「海藻粉末エキスパンドペレッ ト」として製造した観賞魚及び養殖魚の配合飼料を提供する。

【００１０】 上記粘結剤として用いる海藻粉末は、魚粉を造粒させる粘着力と、魚汁及び魚 油の吸収性を有する素材が選択される。

【００１１】 本実施例により得られた配合飼料である「海藻粉末エキスパンドペレット」は 全ての魚類が好んで摂餌し、摂餌率の向上に伴って成長率も高められる。特に餌 の食べ残しに起因する水質汚濁がなく、養殖池もしくは飼育用水槽の飼育水の入 れ替え周期は大幅に延長することが可能となる。

【００１２】

【考案の実施の形態】

以下本考案にかかる観賞魚及び養殖魚用の配合飼料の具体的な実施例を説明す る。本実施例では前記配合飼料用粘結剤として要求される特性を満足する天然素 材として「海藻粉末」を採用したことが大きな特徴となっている。

【００１３】 更に本実施例では魚粉その他の全ての原材料の粉砕粒度を「極微粉」とし、こ の原材料と前記海藻粉末で成る粘結剤とを混練した後、高温，高気圧の条件下で 造粒するエキスパンドペレットとしたことが他の特徴となっている。

【００１４】 図１，図２は本考案にかかるエキスパンドペレットの形状の一例を示すもので あり、図１は扁平な円柱状のエキスパンドペレット１を、図２は円柱状をしたエ キスパンドペレット１を示すものである。エキスパンドペレットの形状は図示の ものに限定されるわけではなく、任意の形状のものでよい。例えば、角柱状、球 状、歪な球状、更にはエキスパンドペレットを粉砕して不規則な粒状としたクラ ンブル状のもの等を選択することができる。また、そのサイズも粉砕したものか ら０．１クランブル程度のもの、０．２〜０．５クランブル程度のもの、粒径１ 〜１０ミリ程度のもの、更にはそれ以上のサイズのもの等投餌する観賞魚或は養 殖魚の種類に応じて任意のサイズを選択するものである。

【００１５】 これを具体的に説明すると、海中で採取した海藻を充分に乾燥してから粉砕機 にかけて粉末状の粘結剤とする。次に魚粉その他の全ての原材料を同様に粉砕機 にかけて「極微粉」としてから海藻粉末で成る前記粘結剤と充分に混練し、成形 機を用いて高温，高気圧の条件下でペレット状に造粒した後に適宜な乾燥工程を 経て配合飼料を製造する。上記海藻粉末で成る粘結剤は造粒させるための粘着力 を保持しているとともに魚汁とか魚油の吸収性を有している。本実施例では上記 により得られた配合飼料を「海藻粉末エキスパンドペレット」と呼称する。

【００１６】 以下に本実施例に基づいて造粒した配合飼料である「海藻粉末エキスパンドペ レット」と、従来例としての小麦粉及び水溶性凝固剤を粘結剤として造粒した配 合飼料に対する魚の嗜好性を比較した結果を説明する。実験魚としては食性が繊 細でしかも嗜好性が激しいドジョウを用いた。

【００１７】 上記ドジョウは我国の各地に広く棲息している硬骨魚類であり、食用として供 した際に独特の風味があって健康食品としての価値が見直されているとともに、 食用以外にも各種漁業用の餌とか動物園用飼育餌、養鶏用飼育餌にも使用されて いて、汎用性が広いという特徴があるため、近時は養殖池での養殖が行われてい る。養殖の対象としては、一般にドジョウ、マドジョウと呼ばれる魚種が主体と なっている。

【００１８】 ドジョウは底棲性の魚であり、餌を摂る時には養殖池底部の土の上を這うよう に移動し、餌と底土を一緒の口の中に入れて好みの餌だけを選んで呑み込み、他 のものは土とともにエラから後方へ吐き出すという摂餌方法をとる。従って自己 の嗜好に合わない配合飼料は水中に放出されてしまうため、水中における残存す る餌を調べることによって「食い」の良否を判定することができる。

【００１９】 上記実験の結果、粘結剤として従来の小麦粉とか水溶性凝固剤を用いた配合飼 料は摂餌率が低く、全く摂餌しないか、もしくは一旦口の中に入れても土ととも にエラから後方へ吐き出してしまう率が高いことが確認された。これに伴って餌 の腐敗とか水質汚濁が急速に進行してしまうため、頻繁に飼育水の入れ替え等の 処置を講じなければならない。

【００２０】 これに対して、本実施例に基づいて製造した配合飼料である「海藻粉末エキス パンドペレット」は全てのドジョウが好んで摂餌し、エラからの吐き出し現象は ほとんど観察されなかった。そして摂餌率の向上に伴ってドジョウの成長率も大 きく高められたことが経時的に確認された。特に型崩れとか餌の吐き出しに起因 する水質汚濁がないため、飼育水の入れ替え周期は大幅に延長することが可能と なった。

【００２１】 更に本実施例にかかる配合飼料をドジョウのみならず、鮎，鯉，金魚，観賞用 熱帯魚等の多種類の魚に給餌したが、何れの場合も摂餌率は極めて高く、養殖池 もしくは飼育用水槽の水質汚濁は最小限として魚の健全な育成をはかることがで きる。

【００２２】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案にかかる配合飼料は全ての魚類が好んで摂 餌するため、食べ残した飼料の型崩れとか腐敗現象に起因する飼育水の汚濁がほ とんど発生せず、魚の飼育環境を良好に維持するとともに摂餌率の向上に伴って 魚の成長率を高めることができる。また、養殖池もしくは飼育用水槽の飼育水の 入れ替え周期は大幅に延長することが可能であるため、維持管理用のコストが低 減されるという効果が得られる。

【００２３】 また、海面養殖とか内水面養殖での飼料として用いた場合でも、飼育水の汚濁 に基づく環境汚染の懸念がなく、公衆衛生上からも好ましい効果を発揮する養殖 魚用及び観賞魚用の配合飼料を得ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかるエキスパンドペレットの形状の
一例を示す斜視図。

【図２】本考案にかかるエキスパンドペレットの形状の
一例を示す斜視図。

【符号の説明】

１…エキスパンドペレット

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 魚粉その他の全ての原材料を極微粉と
   し、海藻を乾燥粉砕した粉末状の粘結剤を加えて混練
   し、高温，高気圧の条件下でペレット状に造粒した後に
   適宜な乾燥工程を経て「海藻粉末エキスパンドペレッ
   ト」として製造したことを特徴とする観賞魚及び養殖魚
   の配合飼料。
2. 【請求項２】 上記粘結剤として用いる海藻粉末は、魚
   粉を造粒させる粘着力と、魚汁及び魚油の吸収性を有す
   る素材で成る請求項１記載の観賞魚及び養殖魚の配合飼
   料。