JP3022068B2 - シールド掘進機の中折構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中折部を介して屈曲可
能な構造を有するシールド掘進機における中折構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】トンネルの曲線部を掘削するために中折
部を介して屈曲可能に分割されたシールド掘進機があ
る。このものは、前後分割されたスキンプレートを複数
の中折ジャッキにより連結したもので、該中折ジャッキ
を駆動することにより、前記中折部を関節として前部側
を所望の角度で相対的に曲げ、先端に設けたカッターに
より地盤を掘削することにより計画曲線に沿った掘削を
行うことができる。

【０００３】ところで、この種のシールド掘進機は、発
進立坑内からエントランスを通じて反力支保工により反
力を取りつつ地盤内に発進される。この場合エントラン
ス開口とシールド掘進機との隙間から土砂、地下水、泥
水、裏込材等が漏出することを防止するためにゴム製等
のエントランスパッキンを配置している。

【０００４】図３はその構造を示すもので、１は発進立
坑内に設けたエントランス、２はエントランス１の開口
を貫通し地盤掘削を開始した状態のシールド掘進機、３
はエントランス１の内周部に沿って固定されたエントラ
ンスパッキンであり、このパッキン３はシールド掘進機
２のスキンプレート２ａの外周に接し、その進行方向に
沿って曲げられることによりエントランス１とスキンプ
レート２ａとの間に形成される隙間ｄを水密にシールし
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前述するシールド掘進
機２が中折部を有するシールド掘進機の場合、この中折
部の位置でスキンプレート２ａの外周に溝２ｂがありこ
の部分の断面径は小さくなるので、この溝２ａがエント
ランス１を通過する際には隙間ｄが大きく変化し、パッ
キン３の接触部が急激に位置変化する。この際隙間ｄが
大きいと、パッキン３は反転したり、捲れ上がってシー
ル機能を損ずることによってこの部分から例えば、泥水
シールド工法においては、泥水などが噴出したり切羽の
崩壊等を招く惧れがあった。

【０００６】また、掘進中に土砂がこの溝２ｂに入り込
み、中折動作時ににこれらを齧り込むことで、作動不良
の原因となる。

【０００７】本発明は以上の問題を解決するものであっ
て、その目的は、中折部の断面径の変化がなく、また掘
進時における土砂の齧り込みによる作動不良を未然に防
止できるようにしたシールド掘進機の中折構造を提供す
るものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、中折部を介して屈曲可能に分割されたシ
ールド掘進機において、前記中折部における前記シール
ド掘進機の外周に形成された溝の外側に配設され、かつ
前記シールド掘進機の前部側に一端部を固定することに
より前記溝を覆う保護板を設け、前記保護板と前記溝と
によって画成される空間部に、予め又は掘削準備段階
で、発泡スチロールからなる充填材を充填したものであ
る。

【０００９】

【作用】以上の構成によれば、シールド掘進機の表面は
保護板によりほぼ平滑に保たれ、エントランスパッキン
通過時点におけるパッキンの反転や捲り現象を未然に防
止できる。また、掘削時においては保護板が土砂の侵入
を防止する。保護板の他端側は自由端であり、シールド
掘進機の屈曲動作の妨げとならない。充填材により土砂
の侵入防止効果が向上するとともに、シールド掘進機の
屈曲にともない弾性変形するため、同じく屈曲動作の妨
げとはならない。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

【００１１】図１は本発明による中折式シールド掘進機
の全体構成を示す断面図、図２は図１のＡ部における拡
大断面図を示すものである。

【００１２】図における中折式シールド掘進機１０は、
前部スキンプレート１２と、これに相対的に屈曲可能に
連結された後部スキンプレート１４と、一端を前部スキ
ンプレート１２の内周に固定され、他端を後部スキンプ
レート１４の先端内周に連結した複数の中折ジャッキ１
６とを備えている。

【００１３】そして、前部スキンプレート１２の前面に
はシールドカッター１８およびその駆動機構が内部に配
置されているとともに、後部スキンプレート１４の後部
内周にはテールパッキン２０が配置されているほか、各
スキンプレート１２，１４内部には複数のシールドジャ
ッキ２２、スクリューコンベア２４などが配置されてい
る。

【００１４】後部スキンプレート１４の前端内側には前
部スキンプレート１２の後部内周に重ね合わされて関節
部を構成する連結部２６が延設され、この連結部２６の
外周と前部スキンプレート１２の後端内周との間にシー
ルパッキン２８を介在することによって両者の接合部を
液密かつ屈曲可能に重ねている。

【００１５】したがって、中折部は後部スキンプレート
１４の前端と、前部スキンプレート１２の後端間にあっ
て前記連結部２６が露出する部位であり、かつこの部位
は、両スキンプレート１２，１４の外径より径小な溝３
０に形成されている。

【００１６】この溝３０の外周部は保護板３２で覆われ
ている。この保護板３２は図２に拡大して示すように、
薄鉄板等からなるものであり、その前部側を前部スキン
プレート１２の後部外周に溶接などによって固定し、後
部は後部スキンプレート１４の前部外周に当接させ、こ
の部分を自由端として、中折時の屈曲に追随できるよう
にしている。

【００１７】さらにこの保護板３２と溝３０、すなわち
連結部２６、シールパッキン２８及び後部スキンプレー
ト１４の前端によって画成された閉空間には充填材３４
が充填されている。この充填材３４は、シール機能を有
するとともに、屈曲により弾性変形して中折機能に影響
を与えることの無い弾性素材である発泡スチロールから
なる。

【００１８】なお、発泡スチロールからなる充填材３４
は予め溝３０内に設置しておく。

【００１９】以上の構成の中折式シールド掘進機１０が
図３に示すエントランス１内を貫通する際は、溝３０の
部分が通過する際は表面に設けた保護板３２によってス
キンプレート１２，１４間に段差が生ずることがなく、
エントランスパッキン３の反転や捲れ、及びこれに伴う
不具合を解消することができる。

【００２０】また地盤の掘削時においては溝３０内に土
砂が回り込むことがないので、屈曲動作を円滑に行うこ
とが出来、保護板３２は固定端を支点として中折動作に
追随して変形し、充填材３４はその中折方向に伸長，圧
縮し、直線状となることによって再び弾性回復し、土石
の溝３０内への侵入を防止する。

【００２１】なお、以上のように、保護板３２、充填材
３４はエントランスパッキン３の弾性や土砂の押圧力に
抗するだけの強度であって、屈曲動作時における障害と
ならない程度の強度、材質のものであれば十分適用でき
る。

【００２２】

【発明の効果】以上実施例によって詳細に説明したよう
に、本発明にかかるシールド掘進機の中折構造にあって
は、シールド掘進機の表面は保護板によりほぼ平滑に保
たれ、エントランスパッキン通過時点におけるパッキン
の反転や捲り現象を未然に防止するため、この種の反転
現象などによる不具合を未然に防止できる。また、掘削
時においては保護板が土砂の侵入を防止し、かつシール
ド掘進機の屈曲動作の妨げとならないため、中折動作を
円滑に行うことができる。また充填材を予め又は掘削準
備段階で充填したことにより土砂の侵入防止効果を向上
させることができる。さらに充填材は発泡スチロールか
らなるので、シール機能を有するとともに、屈曲により
弾性変形しても中折機能に影響を与えることがないだけ
でなく、保護板と前記溝とによって画成される空間部へ
の充填作業がきわめて容易である。

【００２３】さらに本発明は構造も簡単であり、搬入現
場などで既存のシールド掘進機に容易に付設できる利点
もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるシールド掘進機の全体構造を示す
縦断面図である。

【図２】図１のＡ部拡大断面図である。

【図３】シールド掘進機がエントランスを貫通するとき
の状態を示す説明用断面図である。

【符号の説明】

１０ シールド掘進機 １２ 前部スキンプレート １４ 後部スキンプレート ３０ 溝（中折部） ３２ 保護板３４ 充填材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中折部を介して屈曲可能に分割されたシ
   ールド掘進機において、前記中折部における前記シール
   ド掘進機の外周に形成された溝の外側に配設され、かつ
   前記シールド掘進機の前部側に一端部を固定することに
   より前記溝を覆う保護板を設け、前記保護板と前記溝と
   によって画成される空間部に、予め又は掘削準備段階
   で、発泡スチロールからなる充填材を充填したことを特
   徴とするシールド掘進機の中折構造。