JP3021720B2 - 超電導トランジスタ - Google Patents

超電導トランジスタ

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JP3021720B2
JP3021720B2 JP3058242A JP5824291A JP3021720B2 JP 3021720 B2 JP3021720 B2 JP 3021720B2 JP 3058242 A JP3058242 A JP 3058242A JP 5824291 A JP5824291 A JP 5824291A JP 3021720 B2 JP3021720 B2 JP 3021720B2
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博 鈴木
哲也 山本
辰朗 臼杵
順信 善里
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Sanyo Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超電導トランジスタ
に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の超電導トランジスタを示
している。この超電導トランジスタは、基板21上に絶
縁層22のトンネル領域を介して形成された超伝導体か
らなるエミッタ領域23と、基板21上に絶縁層22を
介して基板21の表面に平行にプレーナー状に形成され
た超電導体からなるベース領域24と、ベース領域24
上に形成されたP型またはN型半導体からなるコレクタ
領域25とを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、酸化物超電
導体の単結晶バルクはBi2 Sr2 Ca1 Cu2 8
において、a軸長およびb軸長が約5.4Åであり、c
軸長が約30.0Åのペロブスカイト構造をしており、
非常に大きな配向性を有し、単結晶の劈開面は必ずc軸
方向を法線に持つa−b平面にされる。このような超電
導体においては、常電導状態および超電導状態にかかわ
らず、電流はa−b平面方向に流れやすく、c軸方向に
流れにくい。
【0004】図5の超電導トランジスタでは、超電導体
からなるエミッタ領域23とベース領域24は、いずれ
もそのc軸方向が基板21の表面に対して鉛直な方向で
ある。したがつて、エミツタ電流をコレクタ領域25に
到達させるためには、ベース領域24を電流が通過しに
くいc軸方向にエミツタ電流を通過させる必要があるた
め、エミッタ電流のコレクタ到達率が低くなり、トラン
ジスタ動作が起こりにくいという問題があった。
【0005】この発明は、エミッタ電流のコレクタ到達
率が高い超電導トランジスタを提供することをその課題
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明による第1の超
電導トランジスタは、Bi系超電導体半導体相2201
系単結晶体からなり、基板のc軸方向が前記単結晶劈開
面の法線方向と一致する超電導基板と、前記超電導体基
板の劈開面上にc軸方向が前記超電導体基板のc軸方向
に一致するように形成されたBi系超電導体2212系
または2223系単結晶体からなるベース領域と、前記
超電導体基板の劈開面上に前記ベース領域を取り囲むよ
うに形成されたコレクタ領域とを備えていることを特徴
とする。
【0007】この発明による第2の超電導トランジスタ
は、Bi系超電導体半導体相2201系単結晶体からな
る超電導体であって、この超電導体の劈開面の法線方向
が前記Bi系超電導体半導体相2201系単結晶体のc
軸方向であり、前記超電導体内の劈開面側に2212系
単結晶体からなるベース領域が形成され、前記超電導体
がコレクタとして用いられることを特徴とする。
【0008】
【作用】エミッタ領域からベース領域に注入された電子
は、ベース領域を電子の通過しやすいa−b面方向に進
行してベース・コレクタ界面に到達し、コレクタ領域に
吸収される。このため、エミツタ電流のコレクタ到達率
が高くなる。
【0009】
【実施例】以下、図1から図4を参照して、この発明の
実施例について説明する。
【0010】図1〜図3は、この発明の第1実施例を示
している。
【0011】図1および図2において、1は基板、2は
ベース領域、3はコレクタ領域、4はエミツタ領域、5
は絶縁層である。基板1は、Bi系超電導体半導体相2
001系単結晶であるBi 2 Sr 2 Cu 1 8 からな
り、基板のc軸方向が超電導単結晶体の劈開面の法線方
向と一致するように形成されている。ベース領域2は、
2212系またはBi系2223相超電導体からなる。
コレクタ領域3は半導体からなる。
【0012】このような超電導トランジスタは、次のよ
うにして製造される。
【0013】まず、基板1を、引上げ法、ゾーンレベリ
ング法等により形成される単結晶体を劈開することによ
り、たとえば、幅50μm、長さ50μm、厚さ5μm
のブロック状に成形してつくる。この基板1を構成する
結晶体は、約10Kの臨界温度を有する酸化物超電導体
で、常電導状態における電気抵抗の形から半導体相とよ
ばれる。
【0014】次に、基板1の劈開面上にその中央部に幅
20μm、長さ20μmの矩形領域を残してマスクを形
成した後、基板1の劈開面中央部上にMBE法またはC
VD法、スパツタ法等の成膜技術を用いて、c軸方向を
共通にした2212系または2223系Bi系超電導体
からなるベース領域2を形成する。このベース領域2の
超電導体の膜厚は約600Åであり、その周端面と基板
1とのなす角θは90〜18°の範囲内で任意に設定さ
れる。
【0015】図3は、ベース領域2の端面と基板1との
なす角θが18°である場合のベース領域2の周端面を
示している。ベース領域2の周端面は、階段状で、ステ
ップ6とテラス7とからなる。各ステップ6の高さは、
ベース領域2の周端面と基板1とのなす角θにかかわら
ず、30Åのn倍(nは整数)にされる。各テラス7の
長さは任意である。即ち、Bi系(2212)層の構造
は、C軸方向に層状になっている。この実施例では、劈
開面はBi23層になっており、Bi23間の厚さが1
5Åとなっている。このため、テーパを形成すると、必
ず層状構造が現われる。従って、層の厚みのn倍の段差
となる。そしてその段差は15Åの1〜3倍が一般的で
ある。
【0016】次に、CVD法等の成膜技術を用いて、基
板1上にベース領域2を取り囲むように半導体からなる
コレクタ領域3を形成する。次にコレクタ領域3上に絶
縁層5を形成したのち、絶縁層5上にエミツタ領域4を
形成する。
【0017】上記トランジスタでは、コレクタ領域3が
ベース領域2に対してベース領域2のa−b面方向に連
なって形成されているので、エミッタ領域4から注入さ
れた電子は、ベース2内を電子の通過しやすいa−b面
方向に伝導してコレクタ領域3に吸収される。このた
め、従来のプレーナ型酸化物超電導トランジスタでは約
0.01程度という非常に小さなコレクタ到達率しか得
られないのに対し、上記超電導トランジスタでは0.9
を越えるコレクタ到達率が得られ、約100倍の電流増
幅率を達成し十分な増幅動作が可能となつた。
【0018】図4は、この発明の第2実施例を示してい
る。
【0019】図4において、11はコレクタ領域を構成
する基板、12は基板11内の劈開面側に形成されたベ
ース領域、14はエミツタ領域、15は絶縁層である。
基板11は、Bi系超電導体半導体相2001系単結晶
であるBi 2 Sr 2 Cu 1 8 からなり、基板のc軸方
向が超電導単結晶体の劈開面の法線方向と一致するよう
に形成されている。ベース領域12は平面から見て矩形
であり、幅20μm、長さ20μm、厚さ800〜30
00Å程度である。
【0020】Bi系2201相超電導体半導体相Bi2
Sr2 Cu1 8 基板11内へのBi系2212相超電
導体ベース領域12の形成は、たとえば、次のように行
われる。
【0021】すなわち、まず、基板11を次のように作
製する。Bi2 3 、SrCO3 、CuOの粉末をB
i:Sr:Cu=2:2:1の割合で混合してアルミナ
ボートに入れ、950℃以上の温度で溶解し、除冷速度
3℃/hで徐冷する。そして、このようにして得られた
インゴッドを劈開し、マイカ状の単結晶基板11を取り
出す。
【0022】次に、得られた単結晶基板11の上に、C
a−F膜を形成する。このCa−F膜は、たとえば電子
ビーム蒸着法により形成される。その場合の条件は、た
とえば、基板温度が100〜300℃、ソース源がCa
2 、電子ビーム加速電圧が4kV、電子ビーム電流が
1mA、成膜速度が10Å/sec、Ca−F膜の膜厚
が50〜500μmである。この場合のCa−F膜のパ
ターニングは、メタルマスクによるマスク蒸着またはリ
フトオフ法により行われる。
【0023】次に、Ca−F膜が形成された単結晶基板
11を熱処理することにより、超電導領域超電導体ベー
ス領域12を形成する。
【0024】エミツタ領域14からベース領域12にト
ンネル注入された電子は、ベース領域12内を電子の通
過しやすいa−b面方向に進行してベース・コレクタ界
面に至り、コレクタ領域11に吸収される。このため、
この超電導トランジスタにおいても高いコレクタ到達率
が得られ、十分な増幅動作が可能となつた。
【0025】
【発明の効果】この発明によれば、高いコレクタ到達率
が得られ、十分な増幅動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例を示す平面図である。
【図2】図1のI−I線に沿う断面図である。
【図3】ベース領域の端面を示す部分拡大断面図であ
る。
【図4】この発明の第2実施例を示す断面図である。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 ベース領域 3 コレクタ領域 4 エミッタ領域 11 基板 12 ベース領域 14 エミッタ領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 善里 順信 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−194668(JP,A) 特開 平4−196278(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 39/22 H01L 39/00 H01L 39/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi系超電導体半導体相2201系単結
    晶体からなり、基板のc軸方向が前記単結晶劈開面の法
    線方向と一致する超電導基板と、前記超電導体基板の劈
    開面上にc軸方向が前記超電導体基板のc軸方向に一致
    するように形成されたBi系超電導体2212系または
    2223系単結晶体からなるベース領域と、前記超電導
    体基板の劈開面上に前記ベース領域を取り囲むように形
    成されたコレクタ領域とを備えている超電導トランジス
    タ。
  2. 【請求項2】 Bi系超電導体半導体相2201系単結
    晶体からなる超電導体であって、この超電導体の劈開面
    の法線方向が前記Bi系超電導体半導体相2201系単
    結晶体のc軸方向であり、前記超電導体内の劈開面側に
    2212系単結晶体からなるベース領域が形成され、前
    記超電導体がコレクタとして用いられる超電導トランジ
    スタ。
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