JP3021013B2 - 2サイクルエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

2サイクルエンジンの燃料噴射装置

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JP3021013B2
JP3021013B2 JP2256454A JP25645490A JP3021013B2 JP 3021013 B2 JP3021013 B2 JP 3021013B2 JP 2256454 A JP2256454 A JP 2256454A JP 25645490 A JP25645490 A JP 25645490A JP 3021013 B2 JP3021013 B2 JP 3021013B2
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/02Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke
    • F02B2075/022Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle
    • F02B2075/025Engines characterised by their cycles, e.g. six-stroke having less than six strokes per cycle two

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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、気筒内に燃料を直接噴射する主燃料噴射弁
と、フランク室に連通する吸気通路に燃料を噴射供給す
る副燃料噴射弁とを備えた2サイクルエンジンの燃料噴
射装置に関し、特にエンジンの始動に要する時間を短縮
できるとともに、アイドリング時の安定性を向上できる
ようにした燃料噴射方法の改善に関する。
〔従来の技術〕
気筒内に燃料を直接噴射するようにした筒内噴射式2
サイクルエンジンは、排気ガス浄化対策,燃費率、及び
出力の向上、等において有利であり、この点から最近注
目されている。
この種のエンジンは、燃料を気筒内圧縮圧力に抗して
噴射し得る圧力に昇圧させる機械式燃料ポンプと、上記
燃料噴射を良好に行うための圧縮空気を発生する機械式
空気ポンプとを備えているのが一般的である。
そしてこのエンジンの始動時には、スタータモータに
よって上記両ポンプを回転させ、燃料,空気が所定の圧
力に達した時点でこれを気筒内に噴射し、これに点火す
ることとなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが上記従来の燃料噴射装置を備えた2サイクル
エンジンでは、エンジンの始動に時間がかかるという問
題点があり、また上記ポンプの吐出圧能力が経時劣化等
で低下するとアイドリング運転が不安定になるおそれが
ある。
本発明は上記従来の問題点を解消するためになされた
もので、エンジンの始動に必要な時間を短縮して始動性
を向上できるとともに、上記ポンプの経時劣化が生じて
もアイドリング運転が不安定になることのない2サイク
ルエンジンの燃料噴射装置を提供することを目的として
いる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記始動時間が長い原因,及びアイドリ
ング運転の不安定化の原因について検討し、以下の点を
見い出した。燃料噴射装置により燃料を噴射する場合、
シリンダ内の圧縮圧力に抗した高い燃料圧力が必要であ
る。ところが、特に機械式ポンプで燃料圧力を上記必要
な主圧力値まで上昇させるには一定の時間が必要であ
り、結局この昇圧に要する時間の分だけ始動性が低い。
また、燃料ポンプ等の経時劣化によって吐出圧力が不
安定になると燃料噴射装置による燃料噴射量が不安定と
なり、結局アイドリング運転が不安定になる。なお、こ
の問題を解決するにはポンプ能力に余裕を持たせれば良
いのであるが、特に自動二輪車等の場合は大容量のポン
プを採用するのは配置スペース,出力ロスが大きくなる
点から困難である。
一方、この種のエンジンでは、高速回転,高負荷時等
の所定運転領域において燃料が不足しがちであり、この
点を改善するために、従来、上記気筒内に燃料を直接噴
射する主燃料噴射弁に加えて、クランク室に連通する吸
気通路に所定の高速,高負荷運転領域において燃料を噴
射供給する副燃料噴射弁を備えたものがある。本発明者
らは、上記副燃料噴射弁は、吸気管内に噴射するのであ
るから、主燃料噴射弁に比べて低い燃料圧力で噴射して
いる点に着目して本発明をなしたものである。
そこで本発明は、気筒内に燃料を直接噴射する主燃料
噴射弁と、クランク室に連通する吸気通路に燃料を噴射
供給する副燃料噴射弁とを備えた2サイクルエンジンの
燃料噴射装置において、エンジンにより駆動される1個
の燃料ポンプを上記主燃料噴射弁に燃料を供給する高圧
燃料通路に接続し、該高圧燃料通路の上記主燃料噴射弁
より下流側に該高圧燃料通路内の燃料圧力を主燃料噴射
に必要な主圧力値に調整しかつ主圧力値より低い圧力で
燃料を通過させる主レギュレータを接続し、上記副燃料
噴射弁に燃料を供給する低圧燃料通路を上記主レギュレ
ータを介して高圧燃料通路に接続するとともに、該低圧
燃料通路の上記副燃料噴射弁より下流側に該低圧燃料通
路内の燃料圧力を上記主圧力値より低い副燃料噴射に必
要な副圧力値に調整する副レギュレータを接続し、上記
高圧燃料通路の燃料圧力を読み込み、この値が副圧力値
と主圧力値の間にある場合には、上記副燃料噴射弁のみ
から燃料噴射を行い、かつ副圧力値以下の場合は該副燃
料噴射弁の作動を停止し、上記高圧燃料通路の燃料圧力
が上記主圧力値より高い場合には、上記主燃料噴射弁の
みから燃料噴射を行い、かつ該高い圧力であっても高速
回転高負荷領域の場合は上記主燃料噴射弁と副燃料噴射
弁の両方から燃料噴射を行う、即ち、上記高い圧力の場
合で、高速回転高負荷領域以外の領域では主燃料噴射弁
のみから燃料噴射を行うよう制御する制御手段を備えた
ことを特徴としている。
ここで燃料圧力が主燃料噴射弁に必要な主圧力値より
低い場合の例としては、例えばエンジン始動時のように
スタータモータの回転速度が低いため燃料ポンプの回転
速度も低く、そのため燃料圧力が主圧力値に達しない場
合、あるいはアイドリング運転時のようにエンジン自体
の回転速度が低いため燃料圧力が上記主圧力値より低い
場合等が考えられる。
〔作用〕
本発明に係る2サイクルエンジンの燃料噴射装置によ
れば、燃料噴射を燃料圧力が主燃料噴射弁に必要な主圧
力値より低い場合は副燃料噴射弁によって行うようにし
ており、一方、該副燃料噴射弁に必要な副圧力値は上記
主圧力値よりはるかに低くて済む。従って例えばエンジ
ンの始動時においては、燃料圧力が副圧力値に昇圧され
るまでの時間、つまり噴射開始までの時間が短縮され、
それだけエンジンの始動にかかる時間を短縮でき、始動
性を改善できる。
また燃料圧力が副圧力値以下の場合は副燃料噴射弁の
作動を停止するようにしたので、エンジン駆動式燃料ポ
ンプを採用しながら、エンジン始動のクランキング初期
において、始動に不適な燃料噴射を生じてその後のエン
ジンを始動困難にするといった不具合を生じることがな
い。
また例えばポンプの経時劣化等によって、アイドリン
グ時等のようにエンジン回転数が低いとき燃料圧力が不
安定化し、主圧力値よりより低下した場合は、燃料噴射
を副燃料噴射弁のみで行うので、燃料噴射量が不安定化
することはなく、そのためアイドリング運転が安定化す
る。そしてこの場合、燃料ポンプの能力に余裕を持たせ
る必要もない。
また副燃料噴射弁に燃料を供給する低圧燃料通路を主
レギュレータを介して高圧燃料通路に接続するととも
に、該低圧燃料通路の下流側に主圧力値より低い副圧力
値に燃料圧力を調整する副レギュレータを接続したの
で、1台の燃料ポンプのみで高圧,低圧の両燃料通路に
燃料を供給することができ装置を簡単化することができ
る。
さらにまた高速回転,高負荷領域においては主燃料噴
射弁に加えて副燃料噴射弁からも燃料噴射するようにし
たので、2サイクルエンジンにおいて、高速回転・高負
荷運転域では、クランク室内に導入された副燃料噴射弁
からの燃料により、ピストンをクランク室側(裏面)か
ら確実に冷却することができ、かつ主燃料噴射弁の最大
容量を抑えることができる。
〔実施例〕
第1図及び第2図は本発明の一実施例による2サイク
ルエンジンの燃料噴射装置を説明するための図である。
図において、1は本実施例装置を備えた筒内噴射式2
サイクル2気筒エンジンであり、該エンジン1はクラン
クケース2上にシリンダボディ3,及びシリンダヘッド4
を締結し、上記シリンダボディ3内に挿入されたピスト
ン6をコンロッド7でクランク軸9のクランクアーム9a
に連結した構造となっている。上記ピストン6の上面と
上記シリンダヘッド4の下面に凹設された燃焼凹部4aと
で燃焼室5が構成されている。また上記クランクアーム
9aはクランクケース2のクランク室2a内に収容されてお
り、このクランク室2aは上記シリンダボディ3に形成さ
れた掃気通路3aを介して該シリンダボア内に連通してい
る。
上記シリンダヘッド4には点火プラグ8がその電極部
を上記燃焼室5内に臨ませて装着されている。また上記
シリンダヘッド4には燃料噴射装置10が装着されてお
り、該燃料噴射装置10の主燃料噴射弁11の噴射ノズル11
aは上記点火プラグ8付近にて上記燃料室5内に臨んで
いる。さらに上記主燃料噴射弁11には燃料レール11b,空
気レール11cが接続されている。
ここで、本発明が対象とする筒内噴射エンジンでは、
燃焼室内に加燃混合気雲を形成し、これに点火して燃焼
させる、いわゆる成層燃焼を行うことを特徴としてい
る。しかしこのような燃焼を行うための混合気の要求点
火時期は非常に微妙であり、また不安定である。つま
り、点火時期は、通常の2サイクルエンジンではエンジ
ン回転数,スロット開度等で決定される。一方、筒内噴
射エンジンでは、上記混合気雲の空気/燃料比が14程度
になった時点(適正タイミング)で点火する必要がある
が、このような適正タイミングはエンジン毎に、又は運
転状態ごとにまちまちであり、従って上記タイミングで
の点火は困難である。
そこで、本実施例エンジンの点火系においては、各エ
ンジン回転数において点火コイルに電流を流す時間、つ
まりオンタイムをできるだけ長くとることによって、上
記適正タイミングの不安定分を吸収し、混合気の着火す
る機会をできるだけ多くとれるようにしている。
第3図,第4図はそれぞれクランク角−オンタイム特
性図,エンジン回転数−オンタイム特性図であり、本実
施例では、第3図に示すように排気ポート開から燃料噴
射終了付近までをオンタイム可能クランク角とし、残り
を放電可能クランク角としており、この範囲内において
オンタイム及び放電時期を設定する。但し、第4図に示
すように、エンジン回転数が一定値以上になるとオンタ
イムを徐々に短縮し、又は破線で示すように高速回転域
ではオンタイムを所定値に保持するのが好ましい。これ
によりコイルの焼損を防止できるとともに、消費電力を
軽減できる。
また、上記クランクケース2には、クランク室2aに連
通する吸気通路12が接続されており、該吸気通路12の上
流端にはエアクリーナ13が接続され、クランク室2aを臨
む部分にはリード弁14が装着されている。また、上記吸
気通路12のリード弁14の上流側にはスロットル弁15が配
設されており、該スロットル弁15の開度によって吸入空
気量が調整される。さらに該スロットル弁15と上記リー
ド弁14との間には副燃料噴射弁16が装着されており、該
噴射弁16の噴射ノズル16は上記クランク室2aに臨んでい
る。
上記クランク軸9の一端はクランクケース2から外方
に突出しており、該突出部には減速小歯車20が固着され
ている。この減速小歯車20には一対の駆動ギヤ21,22が
連結されており、この一方の駆動ギヤ21には一方向クラ
ッチ23を介してエアコンプレッサ24が連結されている。
また、上記他方の駆動ギヤ22には一方向クラッチ25を介
して燃料ポンプ26が連結されている。さらに上記両クラ
ッチ23,25にはスタータモータ28のスタータギヤ27が歯
合しており、これによりこのスタータモータ28は始動時
において上記クランク軸9を回転駆動するとともに、上
記エアコンプレッサ24,燃料ポンプ26を駆動し、エンジ
ン1の始動後は解除され、エアコンプレッサ24,燃料ポ
ンプ26がエンジン1により駆動される。そして、上記燃
料ポンプ26の吸込口は燃料ホース30により燃料フィルタ
30aを介して燃料タンク31に接続されており、吐出口は
高圧燃料通路33によりパルセッションダンパ33a,蓄圧器
33bを介して上記燃料レール11bに接続されている。また
上記エアコンプレッサ24の吸込口にはエアフィルタ24a
が接続され、吐出口は高圧空気通路32によって上記空気
レール11cに接続されている。さらに、上記燃料,空気
レール11b,11cの下流側には主レギュレータ35が接続さ
れている。この主レギュレータ35は、燃料圧力を主燃料
噴射に必要な圧力で、かつ空気圧力より一定の差圧だけ
高い主圧力値に保持し、かつ主圧力値より低い圧力で燃
料を通過させるためのものである。またこれの二次側燃
料は低圧燃料通路36により上記副燃料噴射弁16に供給さ
れ、二次側空気は排気管又はキャニスタに排気される。
また、上記副燃料噴射弁16の二次側は燃料リターン管37
によって副レギュレータ38を介して上記燃料タンク31に
接続されている。この副レギュレータ38は燃料圧力を副
燃料噴射に適した副圧力値に調整するためのものであ
る。
50は、上記エンジン1の燃料噴射を制御するコントロ
ーラであり、これは上記シリンダヘッド4に配設された
冷却水温度センサ51,上記クランク軸9の他端側に配設
されたクランク角センサ52,上記吸気通路12に配設され
たクランク室圧センサ53,上記スロットル弁15に配設さ
れたスロットル開度センサ54,及び上記エアクリーナ13
に配設された吸気温度センサ55の各センサからの検出値
が入力され、該各検出値に応じて上記主燃料噴射弁11,
副燃料噴射弁16の噴射時期,噴射量を制御するととも
に、電磁式オイルポンプ40等を駆動制御するよう構成さ
れている。
また上記コントローラ50は、図示していないが、角度
同期処理用の第1CPUと時間同期処理用の第2CPUとを内蔵
している。上記第1CPUでは上記クランク角センサ52から
の検出値に同期させてクランク室圧センサ53からの検出
値が入力され、上記第2CPUでは時間同期によりスロット
ル開度センサ54や他のセンサからの検出値が入力され
る。そして、第1CPUの演算値を第2CPUに割り込ませるこ
とによって燃料噴射が制御される。
次に本実施例の作用効果について説明する。
本実施例エンジン1を始動する場合、スタータモータ
28をオンすると、該モータ28によってクランク軸9が駆
動されるとともに、エアコンプレッサ24,燃料ポンプ26
が駆動され、これにより空気及び燃料が昇圧しつつ空気
レール11c,燃料レール11bに供給される。これらの圧力
が副燃料噴射弁16に必要な副圧力値に達すると、副燃料
噴射弁16によって燃料が吸気通路12に噴射され、これに
よる混合気がクランク室から燃料室に供給され、所定タ
イミングで点火され、エンジン1が始動する。そして燃
料圧力が主燃料噴射弁11に必要な主圧力値に達すると主
燃料噴射弁11による噴射に切り換えられる。なお、この
場合、再始動時のように、当初から燃料圧力が主燃料噴
射圧力に達している場合は、副燃料噴射弁16から噴射す
ることなく直ちに主燃料噴射弁11から燃料が噴射され
る。
本実施例の燃料噴射装置の動作を第2図のフローチャ
ートに沿ってさらに記述する。
コントローラ50は、まず、イグニッションスイッチを
ONすると、各センサからの検出値を順次読み込んで各デ
ータを初期化する(ステップS1)。そしてスタータモー
タ28を回転させると、該モータ28のクランク軸駆動によ
るエンジン回転数(クランキング回転数)を読み込ん
で、該回転数Nが11000≧N≧300rpmの範囲内か否かを
判定する(ステップS2,S3)。この回転数が上記範囲外
の場合は始動不能状態と判定し、ステップS1に戻る。上
記回転数が上記範囲内の場合は始動可能状態と判定し、
燃料圧力を読み込み、この燃料圧力が5.5kg/cm2より高
いか否かを判定する(ステップS4,S5)。低い場合はさ
らに燃料圧が2.5kg/cm2より高いか否かを判定し(ステ
ップS6)、この燃料圧が2.5kg/cm2より低い場合はステ
ップS2に戻り副燃料噴射弁16は作動を停止している。そ
して、燃料圧力が2.5kg/cm2より高くなった場合は、副
燃料噴射弁16による燃料噴射を行う。この場合、スロッ
トルアングル(開度),クランク室圧力を読み込み(ス
テップS7,S8)、これらのデータとステップS2で読み込
んだエンジン回転数に対応した燃料噴射量及び噴射時期
をMAP演算し(ステップS9)、副燃料噴射弁16により、
上記量の燃料を上記タイミングで吸気通路12に噴射す
る。この燃料噴射により形成された混合気に所定タイミ
ングで点火することによってエンジン1が始動する。
次に上記副燃料噴射弁16からの噴射によりエンジンが
始動し、燃料圧力が5.5kg/cm2に達した場合は、ステッ
プS5から主燃料噴射に移行する。この場合、スロットル
アングル,クランク室圧力,及びエンジン回転数に応じ
た燃料噴射量,タイミングを主燃料噴射用MAPから演算
し、この演算値に基づいて主燃料噴射弁11により噴射す
る(ステップS11〜S14)。ここで上記主燃料噴射への移
行については、エンジン回転数が所定のアイドリング回
転数(例えば1350rpm)に達したとき移行するようにし
てもよい。
また、エンジンが始動した後においても、例えばポン
プの経時劣化等によって吐出能力が低下し、アイドリン
グ運転時のようにエンジン回転数が低いことから燃料圧
力が主圧力値(5.5kg/cm2)より低下した場合は、上記
ステップS6〜S10において、副燃料噴射弁16から燃料が
噴射される。
なお、図示していないが、エンジン回転数及びスロッ
トルアングルが所定値以上の高速回転,高負荷領域で
は、燃料圧力が主圧力値以上であっても上記主燃料噴射
弁11に加えて副燃料噴射弁16からも燃料が噴射供給され
る。
このように本実施例エンジン1によれば、エンジン始
動時には燃料圧が2.5kg/cm2(副圧力値)より高くなる
と副燃料噴射系41により燃料噴射を開始するようにした
ので、それだけ燃料噴射の開始までの時間、つまりエン
ジン始動に要する時間が短縮され、始動性を改善でき
る。また、エンジン始動後に燃料圧が5.5kg/cm2に達し
たときは主燃料噴射弁11に移行するから、通常の運転に
支障が生じることはない。
また、アイドリング運転において、燃料圧力が主圧力
値より低下した場合は、副燃料噴射弁16によって燃料が
噴射される。従って燃料ポンプが経時劣化等によって吐
出能力が低下した場合にも、アイドリング時の燃料噴射
量を安定化でき、アイドリング回転数を安定化できる。
さらに本実施例では、クランク室内圧のようにクラン
ク角度に同期した処理は第1CPUで行い、スロットル開度
のように時間に同期した処理は第2CPUで行うようにした
ので、ハードウェア,ソフトウェアを構成する際の複雑
さを解消できる。ちなみに、従来装置では、クランク室
内圧を信号ホールド回路で時間同期処理に変換し、同一
のCPUによって処理するようにしたが、この場合上記変
換に起因するクランク角度の精度低下は避けられない。
本発明が対象とする筒内噴射式2サイクルエンジンは、
噴射タイミングが極めて重要であり、上記精度低下はエ
ンジン性能を改善する場合の障害となり易いが、本実施
例のように角度同期処理と時間同期処理とを別々のCPU
で行えば上記問題を解消できる。
なお、上記実施例では、始動時には副燃料噴射弁によ
り吸気管に噴射するようにしている。一方、本発明が対
象とする筒内噴射エンジンでは、低速時においてもスロ
ットル開度を比較的大きく設定するようにしているの
で、始動時に吸気管噴射を行うと、上記スロットル弁の
大きな開度に対応した多量の燃料が供給され、始動直後
にエンジン回転数が過大になるおそれがある。この問題
を解決するには、始動時には副燃料噴射弁から噴射する
とともに点火時期を遅角させることが望ましい。
また、上記実施例では、アイドリング回転数を安定化
させるために、燃料圧力が主圧力値より低い場合は副燃
料噴射弁のみから燃料を噴射するようにした。ところで
上記アイドリング回転数を低く設定するには燃料噴射量
を非常に微小に制御する必要があり、そのため上記実施
例方法を採用しても、燃料噴射弁としてダイナミックレ
ンジの極めて大きなものが要求される。一方、ダイナミ
ックレンジの拡大には限界がある。この問題を解決する
ためには、アイドリング運転時に間引き運転を行うこと
が考えられる。これにより、燃料噴射量をそれほど微小
化する必要がなく、従ってダイナミックレンジもそれほ
ど大きくなくて済む。この間引き運転には、一定サイク
ル毎に燃料噴射を休止する方法、あるいは複数気筒のう
ちいずれかの燃料噴射を停止する方法が採用できる。な
お、この場合、一定時間における合計噴射量は間引きを
行わない場合と同一に設定することはいうまでもない。
〔発明の効果〕
以上のように本発明に係る2サイクルエンジンの燃料
噴射装置によれば、燃料噴射を、燃料圧力が主圧力値よ
り低く副圧力値より高い場合は副燃料噴射弁のみで行う
とともに、副圧力側より低い場合には副燃料噴射弁の作
動を停止するようにしたので、エンジンの始動に要する
時間を短縮して始動性を改善できるとともに、アイドリ
ング運転を安定化でき、さらにクランキング時に始動に
不適な燃料噴霧を生じてその後のエンジンを始動困難に
するといった不具合を生じることがない効果があり、ま
た低圧燃料通路を主レギュレータを介して高圧燃料通路
に接続するとともに、該低圧燃料通路の下流側に副圧力
値に燃料圧力を調整する副レギュレータを接続したの
で、1台の燃料ポンプのみで高圧,低圧の両燃料通路に
燃料を供給することができ、装置を簡単化することがで
きる効果がある。
さらにまた高速回転,高負荷領域においては主燃料噴
射弁に加えて副燃料噴射弁からも燃料噴射するようにし
たので、2サイクルエンジンにおいてピストンをクラン
ク室側から確実に冷却することができ、かつ主燃料噴射
弁の容量を抑えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は本発明の一実施例による2サイク
ルエンジンの燃料噴射装置を説明するための図であり、
第1図は該実施例エンジンの概略構成図、第2図は燃料
噴射装置の動作を説明するためのフローチャート図、第
3図はクランク角−オンタイム特性図、第4図はエンジ
ン回転数−オンタイム特性図である。 図において、1は2サイクルエンジン、2aはクランク
室、30aは主燃料噴射弁、35は吸気通路、41は副燃料噴
射弁である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 範久 静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動 機株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−23250(JP,A) 特開 昭58−91367(JP,A) 実開 昭61−200436(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 63/00,69/10 F02D 41/00 - 41/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気筒内に燃料を直接噴射する主燃料噴射弁
    と、クランク室に連通する吸気通路に燃料を噴射供給す
    る副燃料噴射弁とを備えた2サイクルエンジンの燃料噴
    射装置において、エンジンにより駆動される1個の燃料
    ポンプを上記主燃料噴射弁に燃料を供給する高圧燃料通
    路に接続し、該高圧燃料通路の上記主燃料噴射弁より下
    流側に該高圧燃料通路内の燃料圧力を主燃料噴射に必要
    な主圧力値に調整しかつ主圧力値より低い圧力で燃料を
    通過させる主レギュレータを接続し、上記副燃料噴射弁
    に燃料を供給する低圧燃料通路を上記主レギュレータを
    介して高圧燃料通路に接続するとともに、該低圧燃料通
    路の上記副燃料噴射弁より下流側に該低圧燃料通路内の
    燃料圧力を上記主圧力値より低い副燃料噴射に必要な副
    圧力値に調整する副レギュレータを接続し、上記高圧燃
    料通路の燃料圧力を読み込み、この値が副圧力値と主圧
    力値の間にある場合には、上記副燃料噴射弁のみから燃
    料噴射を行い、かつ副圧力値以下の場合は該副燃料噴射
    弁の作動を停止し、上記高圧燃料通路の燃料圧力が上記
    主圧力値より高い場合には、上記主燃料噴射弁のみから
    燃料噴射を行い、かつ該高い圧力であっても高速回転高
    負荷領域の場合は上記主燃料噴射弁と副燃料噴射弁の両
    方から燃料噴射を行うよう制御する制御手段を備えたこ
    とを特徴とする2サイクルエンジンの燃料噴射装置。
JP2256454A 1990-09-25 1990-09-25 2サイクルエンジンの燃料噴射装置 Expired - Fee Related JP3021013B2 (ja)

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