JP3020652B2 - マルチプロジェクタ用フレネルレンズおよびその製造法 - Google Patents

マルチプロジェクタ用フレネルレンズおよびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マルチプロジェクタ用
のフレネルレンズおよびその製造法に関するものであ
る。さらに詳しく説明すると、本発明は、多数のリアプ
ロジェクタユニットを上下左右方向に連結することによ
って、大画面の観視を可能とする、マルチスクリ−ンプ
ロジェクタ用のフレネルレンズおよびその製造法に関連
するものである。
【0002】
【課題を解決するための手段】なお、本明細書における
「一枚のフレネルレンズシート」という用語は、1つの
フレネルレンズユニットから成るシートを複数枚上下お
よび/または左右方向に連結して得られるシート(図
1)を意味するものではなく、少なくとも二つのフレネ
ルレンズユニットが、接合部を介することなしに、フレ
ネルレンズ層によって連続的に形成されている最初から
一枚のシート(図2、図3)を意味するものである。
【0003】
【従来の技術】従来のプロジェクション方式によるマル
チ画面システムにおいては、観察者側に画面のみが露出
するような形態を持つ投射系ユニットを製作し、これを
上下、左右方向に積み重ねる方法が一般的に採用されて
いる。しかし、この方法では、隣接する画面の額縁(幅
3.5mm〜5mm)が2倍になって観察されることに
なるため、目地幅は7〜10mmとなり、情報の欠落が
大きいという問題があった。
【0004】これの解決策として、大サイズ(接合部の
ない一枚の大きな)レンチキュラーレンズシートと、同
様な一枚のマルチフレネルレンズシ−トを組み合わせて
使用することが考えられる。しかし、従来技術において
は、大サイズのレンチキュラーレンズシートを製作する
ことは比較的容易であるものの、大きな一枚のマルチフ
レネルレンズシ−トを製作することは困難であった。
【0005】そのため従来法においては、大きな一つの
箱体の前面に、それぞれ一つのフレネルレンズユニット
から成る複数枚のシ−トを、図1に示すように接合して
作製した大きなフレネルレンズシ−トと大きなレンチキ
ユラ−レンズを重ね合わせて配置し、さらに、前記箱体
の後部に前記フレネルレンズユニットに対応する投写光
源をそれぞれ配置している。この場合、フレネルレンズ
ユニットの接合部は画像の欠落を最小限にとどめるた
め、できるだけ小さい幅にすることが必要となる。最も
小さい接合幅を得るための具体的な方法としては、隣接
するフレネルレンズユニットを溶剤で接着する方法が挙
げられるが、接着面積が小さいため、フレネルレンズシ
−トの強度的な信頼性が著しく低下する。
【0006】さらに、特開平2−278976号公報に
は、スクリ−ンの後ろ側に透明な補強板を配置し、それ
ら両者の屈折率にほぼ等しい屈折率を有する接着剤を使
用して、または細い釘状のものを両者に貫入させてスク
リ−ンと補強板を固定することが開示されている。しか
し、補強板を使用する場合にはスクリ−ン全体としての
重量が増加し、その後の取扱いが困難になる。また、接
着剤を使用するときは、接着剤の硬化に時間を要するの
で製造コストが高くなるという問題がある。さらに、補
強板とフレネルレンズ間に界面が存在するため、迷光が
発生し、画質の低下を招く場合がある。また、各フレネ
ルレンズユニットを接合した部分に界面が存在するた
め、迷光が発生し、画質の低下を招く場合がある。
【0007】本発明は、以上のような状況に鑑み、少な
くとも二つのフレネルレンズユニットを目地部を介さず
に各フレネルレンズユニットを連続して形成した一枚の
フレネルレンズシートを紫外線硬化性の樹脂組成物を
利用する一体成形によって製造し、これによって画像を
投写した際に見ずらくない、優れた画面が得られるフレ
ネルレンズシート、つまり複数の連続したフレネルレン
ズユニットを含み、しかも接合部がなく、成形後の加工
を必要としない、大きなフレネルレンズシートを提供し
ようとするものである。
【0008】本発明は、基板と、その上に紫外線硬化性
の樹脂組成物から形成された、少なくとも二つのフレネ
ルレンズユニットが上下方向および/または左右方向に
目地部を介さずに各フレネルレンズユニットが連続して
形成された、一枚のフレネルレンズシートからなること
を特徴とするマルチプロジェクタ用フレネルレンズおよ
びその製造法に関するものである。基板としてはメタク
リル樹脂のような優れた光透過性を有する合成樹脂の板
を使用するのが望ましい。メタクリル樹脂板の種類につ
いては限定はなく、市販のメタクリル樹脂板を使用する
ことができる。基板の厚さについても特別な限定はな
く、フィルム状の薄物から板状の厚物まで使用可能であ
るが、通常は厚さ0.1〜10mmの基板を使用する。
【0009】一枚のフレネルレンズシートは、図2に示
すように、少なくとも二つのフレネルレンズユニットが
上下方向および/または左右方向に、接合部がなく、目
地部を介さずに各フレネルレンズユニットが連続して
成されている。つまり、本発明のフレネルレンズシート
では、フレネルレンズ層を構成する樹脂層によって隣接
するフレネルレンズユニットが接合されている。
【0010】このようなフレネルレンズシ−トは市販の
感光性樹脂材料、特に紫外線硬化性の樹脂組成物から形
成されるのが望ましい。紫外線硬化性の樹脂組成物とし
ては、特別な限定はなく、一般に用いられているエポキ
シアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエス
テルアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが
使用できる。
【0011】そして、同時に使用される反応性希釈モノ
マーとしては、一つあるいはそれ以上の反応性モノ、ジ
又はそれ以上の多官能性アクリル系モノマー例えば、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリ
レート、ヘキサンジオールジメタクリレート、テトラエ
チレングリコールアクリレート、イソホルニルアクリレ
ートなどが好ましく用いられる。
【0012】本発明の目的を考慮すると、本発明では、
フレネルレンズユニットの大きさは、通常15.2〜1
06.7cm(6〜42インチ)×20.5〜142.
2cm(8〜56インチ)である。このようなユニット
が上下および/または左右方向に連続的に形成されて、
例えば4面マルチプロジェクタの場合には、0.3〜
2.13m(12〜84インチ)×0.4〜2.84m
(16〜112インチ)または対角寸法0.5〜3.5
6m(20〜140インチ)の大きな一枚のフレネルレ
ンズシ−トとなっている。
【0013】本発明のマルチプロジェクタ用フレネルレ
ンズは、少なくとも二つのフレネルレンズユニットのめ
す型を各フレネルレンズユニットが目地部を介さずに連
続するように、例えば、各めす型の辺を切断して各フレ
ネルレンズユニットが互いに密着するように配置し、そ
のめす型の表面に紫外線硬化性の樹脂組成物を塗布し、
その樹脂組成物の上に紫外線透過性基板を置き、その基
板を通して紫外線を照射することによって製造される。
【0014】精度の良いマルチプロジェクタ用フレネル
レンズを製造するためには、図4に要点を示すように、
フレネルレンズユニットのめす型を、金型補強用の平板
に密接させた状態で、固定して使用するのが望ましい。
この場合、フレネルレンズユニットのめす型と同じ材質
の補強用の平板を使用するのも望ましい方法である。基
板としてはメタクリル樹脂板を使用するのが望ましい。
【0015】紫外線硬化性の樹脂組成物をめす型の表面
に塗布し、基板を通して紫外線を照射する際の方法およ
び条件については特別な限定はなく、紫外線硬化性の樹
脂組成物を硬化させるのに通常用いられている方法およ
び条件が満足に使用される。
【0016】なお、紫外線照射装置の製作や型製作上の
技術的、コスト的な制約から、フレネルレンズユニット
を上下および/または左右方向に数多く連結することが
困難な場合には、図3に示すように上下方向のみに、例
えば3ユニット程度連結したフレネルレンズを製造し、
溶剤接着などの手法によって上下および/または左右方
向に連結して大画面用のマルチプロジェクタ用フレネル
レンズを作ることも可能であり、これも本発明の一部で
ある。
【0017】以下本発明のマルチプロジェクタ用フレネ
ルレンズおよびその製造法を実施例を利用して更に詳し
く説明する。 実施例 ピッチ0.1mmのフレネルレンズの形状が刻まれた、
1000×800×3mmの黄銅製のレンズ型を4面用
意した。他のレンズ型と当接する各レンズ型の辺は、そ
れらの辺を互いに密着させることができるように、プレ
ーナ−を用いて切断した。次に、これらのレンズ型をレ
ンズ型と同じ材質の補強用の平板に密接させて貼合わせ
た。貼合わせは、セメダイン(株)製、エポキシ系接着
剤EP001を補強用の平板に薄く塗布して行なった。
【0018】一方、次のような組成を持つ紫外線硬化性
の樹脂組成物を用意した: ウレタンアクリレート,UK−6038 (三菱レイヨン(株)製) 60重量部 ヒドロキシエチルアクリレート、アクリエステルHO (三菱レイヨン(株)製) 40重量部 ベンゾフェノン(光硬化触媒) 3重量部 透明基板としては、三菱レイヨン(株)製のアクリル樹
脂板、アクリライト#000、3mm厚を用意した。
【0019】レンズ型の全表面に液状の上記紫外線硬化
性樹脂組成物をたらし、透明基板を樹脂組成物の上に重
ね合わせた。余剰の樹脂組成物は、透明基板の上に外径
100mmφのブチルゴム製のしごき棒をのせ、透明基
板の一端から他端まで50cm/分の速度で基板を押え
ていくことによって型表面から押し出した。この結果、
紫外線硬化性樹脂組成物の平均厚さは約500μとなっ
た。
【0020】基板表面のしごきを終った後、80ワット
の紫外線ランプ3灯を用い、基板の上200mmの距離
より紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。この
後、硬化した樹脂組成物をレンズ型より離型することに
よって、各レンズユニットのレンズ層が一体となってお
り、しかも基板によって補強されたレンズシートを得
た。このレンズシートを一枚のレンチキュラー板と合わ
せて液晶マルチプロジェクタに組み込み、画像を投影し
たところ、従来のようなフレネルレンズシート接合部や
目地による画像欠落部が殆ど感じられない、見易い画面
が得られた。このレンズシートは基板によって補強され
ているので、剛性もあり、取扱の面でも困難はなかっ
た。
【0021】
【発明の効果】本発明のマルチプロジェクタ用のフレネ
ルレンズを使用すれば、画像を投写した際に、各フレネ
ルレンズユニットの接合部や目地による画像の欠落のな
い多面マルチスクリ−ンが得られる。
【0022】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のマルチプロジェクタ用のフレネルレンズ
のレンズシ−ト表面における複数のフレネルレンズユニ
ットの配置を説明するための、模式的平面図および断面
図である。
【図2】本発明のマルチプロジェクタ用のフレネルレン
ズのレンズシ−ト表面における複数のフレネルレンズユ
ニットの配置を説明するための、模式的平面図および断
面図である。
【図3】本発明の他の実施態様における、レンズシ−ト
表面での複数のフレネルレンズユニットの配置を説明す
るための、模式的平面図である。
【図4】本発明のマルチプロジェクタ用のフレネルレン
ズを製造する際の金型補強用平板、金型、紫外線硬化性
樹脂組成物、基板の配置を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明のマルチプロジェクタ用のフレネルレン
ズの模式的断面図である。
【符合の説明】 1 フレネルレンズシ−ト 2 接合部 3 金型補強用平板 4 金型 5 紫外線硬化性樹脂組成物 6 基板

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、その上に紫外線硬化性の樹脂組
    成物から形成された、少なくとも二つのフレネルレンズ
    ユニットが上下方向および/または左右方向に目地部を
    介さずに各フレネルレンズユニットが連続して形成され
    、一枚のフレネルレンズシートからなることを特徴と
    するマルチプロジェクタ用フレネルレンズ。
  2. 【請求項2】 基板がメタクリル樹脂板であることを特
    徴とする請求項1記載のマルチプロジェクタ用フレネル
    レンズ。
  3. 【請求項3】 少なくとも二つのフレネルレンズユニッ
    トのめす型を上下方向および/または左右方向に各めす
    型のフレネルレンズユニットが目地部を介さずに連続す
    るように補強用の平板に密接して固定し、そのめす型の
    表面に紫外線硬化性の樹脂組成物を塗布し、その樹脂組
    成物の上に紫外線透過性の基板を置き、その基板を通し
    て紫外線を照射することを特徴とするマルチプロジェク
    タ用フレネルレンズの製造法。
  4. 【請求項4】 フレネルレンズユニットのめす型と同じ
    材質の補強用の平板を使用することを特徴とする請求項
    3記載のマルチプロジェクタ用フレネルレンズの製造
    法。
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JP5592602B2 (ja) * 2008-07-31 2014-09-17 株式会社東芝 蛍光体およびそれを用いた発光装置
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