JP3020624B2 - 電子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空電子素子 - Google Patents
電子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空電子素子Info
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- Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子波干渉素子、電
界放射型微小真空装置および微小真空電子素子に関する
ものである。
界放射型微小真空装置および微小真空電子素子に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の電子波干渉素子の構成を示
す概念図である。図7において、1はエミッタ電極、2
は制御層、3は回折格子、4,5は2組のコレクタ電極
であり、この電子波干渉素子に用いる電子は固体中を走
行する。図7に示すように、エミッタ電極1から制御層
2で引き出された電子は、コヒーレントな電子波として
コレクタ電極5に注入される。この際、電子の平均自由
工程以内の位置に配置された回折格子3により注入電子
は回折し、ある偏向角に伝播する。この際の偏向効率
は、回折格子3に印加する入力電圧により制御すること
ができる。回折格子3により回折した電子と、回折され
ず直進した電子とを分別するために各コレクタ電極4,
5は空間的に配置される。これにより、回折格子3に印
加する入力電圧により一方のコレクタ電流を制御するこ
とのできる3端子の電子波干渉素子となる。
す概念図である。図7において、1はエミッタ電極、2
は制御層、3は回折格子、4,5は2組のコレクタ電極
であり、この電子波干渉素子に用いる電子は固体中を走
行する。図7に示すように、エミッタ電極1から制御層
2で引き出された電子は、コヒーレントな電子波として
コレクタ電極5に注入される。この際、電子の平均自由
工程以内の位置に配置された回折格子3により注入電子
は回折し、ある偏向角に伝播する。この際の偏向効率
は、回折格子3に印加する入力電圧により制御すること
ができる。回折格子3により回折した電子と、回折され
ず直進した電子とを分別するために各コレクタ電極4,
5は空間的に配置される。これにより、回折格子3に印
加する入力電圧により一方のコレクタ電流を制御するこ
とのできる3端子の電子波干渉素子となる。
【0003】このように構成された従来の電子波干渉素
子は、固体中における電子の平均自由工程と、現状のサ
ブミクロン程度の加工技術を考慮すると、4〔K〕以下
の極低温において、動作が可能となる。また動作中のス
イッチ時間は、波動としての伝導制御であることから、
0.5ピコ秒〔10-12 sec〕程度の高速動作を実現し
ている。
子は、固体中における電子の平均自由工程と、現状のサ
ブミクロン程度の加工技術を考慮すると、4〔K〕以下
の極低温において、動作が可能となる。また動作中のス
イッチ時間は、波動としての伝導制御であることから、
0.5ピコ秒〔10-12 sec〕程度の高速動作を実現し
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電子波干渉素子は、固体中を走行する電子による干渉効
果を用いているため、固体中のあらゆる散乱体を避ける
ために素子を極低温(液体ヘリウム温度以下)に保持す
ることが必要である。しかも、電子の走行距離を電子の
平均自由工程以下とするために、素子を微細化する必要
があった。すなわち、従来の電子波干渉素子には、極低
温動作および微細加工の限界といった問題があり、実用
上、非常に困難であった。また、固体中を走行する電子
による電子注入型の発光素子を実現するには、電極形
成,内部抵抗および構造上の問題があった。
電子波干渉素子は、固体中を走行する電子による干渉効
果を用いているため、固体中のあらゆる散乱体を避ける
ために素子を極低温(液体ヘリウム温度以下)に保持す
ることが必要である。しかも、電子の走行距離を電子の
平均自由工程以下とするために、素子を微細化する必要
があった。すなわち、従来の電子波干渉素子には、極低
温動作および微細加工の限界といった問題があり、実用
上、非常に困難であった。また、固体中を走行する電子
による電子注入型の発光素子を実現するには、電極形
成,内部抵抗および構造上の問題があった。
【0005】この発明の目的は、上記問題点に鑑み、固
体中での電子の走行を阻害する要因を室温で除去した電
子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空
電子素子を提供することである。
体中での電子の走行を阻害する要因を室温で除去した電
子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空
電子素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電子波干
渉素子は、微小な真空領域中に、電子を放出する針状電
極およびこの針状電極に近接して設けられ印加した電圧
により電子を加速する制御電極からなる電子源と、この
電子源に対向して設けられ電子源から放出された電子を
回折する回折格子と、出力信号となる回折格子を通過し
た電子を検出する検出電極とを備えたものである。
渉素子は、微小な真空領域中に、電子を放出する針状電
極およびこの針状電極に近接して設けられ印加した電圧
により電子を加速する制御電極からなる電子源と、この
電子源に対向して設けられ電子源から放出された電子を
回折する回折格子と、出力信号となる回折格子を通過し
た電子を検出する検出電極とを備えたものである。
【0007】請求項2記載の電子波干渉素子は、請求項
1記載の電子波干渉素子において、回折格子に電圧を印
加し、この電圧を制御して検出電極の検出する出力信号
を制御することを特徴とする。請求項3記載の電界放射
型微小真空装置は、基体上に設けた金属からなる単一ま
たは複数個の針状電極と、この針状電極に近接して設け
た制御電極と、針状電極と制御電極との間に接続され制
御電極に負電位を印加する電源とを備え、針状電極と制
御電極とを微小な真空領域中に設けたものである。
1記載の電子波干渉素子において、回折格子に電圧を印
加し、この電圧を制御して検出電極の検出する出力信号
を制御することを特徴とする。請求項3記載の電界放射
型微小真空装置は、基体上に設けた金属からなる単一ま
たは複数個の針状電極と、この針状電極に近接して設け
た制御電極と、針状電極と制御電極との間に接続され制
御電極に負電位を印加する電源とを備え、針状電極と制
御電極とを微小な真空領域中に設けたものである。
【0008】請求項4記載の電界放射型微小真空装置
は、基体上に設けた金属からなる単一または複数個の針
状電極と、この針状電極に近接して設けた制御電極と、
この制御電極を介して針状電極に対向して設けた電極
と、針状電極と制御電極との間に接続され制御電極に負
電位を印加する電源と、電極と針状電極との間に接続さ
れ電極に正電位を印加する電源とを備え、針状電極と制
御電極と電極とを微小な真空領域中に設けたものであ
る。
は、基体上に設けた金属からなる単一または複数個の針
状電極と、この針状電極に近接して設けた制御電極と、
この制御電極を介して針状電極に対向して設けた電極
と、針状電極と制御電極との間に接続され制御電極に負
電位を印加する電源と、電極と針状電極との間に接続さ
れ電極に正電位を印加する電源とを備え、針状電極と制
御電極と電極とを微小な真空領域中に設けたものであ
る。
【0009】
【0010】請求項5記載の微小真空電子素子は、微小
な真空領域中に、電子を放出させる針状電極およびこの
針状電極に近接して設けられ印加した電圧により電子を
加速する制御電極からなる電子源と、この電子源と対向
して設けられ負電位を印加した偏向用電極と、電子源と
同一平面上に設けられ電子を検出する検出電極とを備え
たものである。
な真空領域中に、電子を放出させる針状電極およびこの
針状電極に近接して設けられ印加した電圧により電子を
加速する制御電極からなる電子源と、この電子源と対向
して設けられ負電位を印加した偏向用電極と、電子源と
同一平面上に設けられ電子を検出する検出電極とを備え
たものである。
【0011】請求項6記載の微小真空電子素子は、微小
な真空領域中に、電子を放出させる針状電極およびこの
針状電極に近接して設けられ印加した電圧により電子を
加速する制御電極からなる電子源と、この電子源と同一
平面上に設けられ電子を検出する検出電極と、電子源と
同一平面上で電子源と検出電極との間に設けた磁石とを
備えたものである。
な真空領域中に、電子を放出させる針状電極およびこの
針状電極に近接して設けられ印加した電圧により電子を
加速する制御電極からなる電子源と、この電子源と同一
平面上に設けられ電子を検出する検出電極と、電子源と
同一平面上で電子源と検出電極との間に設けた磁石とを
備えたものである。
【0012】
【作用】請求項1または2記載の構成によれば、電子を
放出する針状電極およびこの針状電極に近接して設けら
れ印加した電圧により電子を加速する制御電極からなる
電子源と、電子源から放出された電子を回折する回折格
子と、出力信号となる回折格子を通過した電子を検出す
る検出電極とを微小な真空領域中に備えることにより、
電界放射型の電子源から放出した電子は真空領域中を走
行して検出電極に到達する。したがって、電子が固体中
を走行する場合のあらゆる散乱要因の影響を室温で除去
することができる。
放出する針状電極およびこの針状電極に近接して設けら
れ印加した電圧により電子を加速する制御電極からなる
電子源と、電子源から放出された電子を回折する回折格
子と、出力信号となる回折格子を通過した電子を検出す
る検出電極とを微小な真空領域中に備えることにより、
電界放射型の電子源から放出した電子は真空領域中を走
行して検出電極に到達する。したがって、電子が固体中
を走行する場合のあらゆる散乱要因の影響を室温で除去
することができる。
【0013】請求項3または4記載の構成によれば、基
体上に設けた金属からなる針状電極と、この針状電極に
近接して設けた制御電極と、針状電極と制御電極との間
に接続され制御電極に負電位を印加する電源と備え、針
状電極および制御電極を微小な真空領域中に設けたこと
により、針状電極の表面に外向きに電界を加えることに
より針状電極の表面原子を電界蒸発させ、この金属の蒸
着面に残留気体分子を吸着させることができる。
体上に設けた金属からなる針状電極と、この針状電極に
近接して設けた制御電極と、針状電極と制御電極との間
に接続され制御電極に負電位を印加する電源と備え、針
状電極および制御電極を微小な真空領域中に設けたこと
により、針状電極の表面に外向きに電界を加えることに
より針状電極の表面原子を電界蒸発させ、この金属の蒸
着面に残留気体分子を吸着させることができる。
【0014】さらに、請求項4記載の構成によれば、制
御電極を介して針状電極に対向して設けた電極と、この
電極と針状電極との間に接続され電極に正電位を印加す
る電源とを備えたことにより、この電極に正電位を印加
することにより針状電極から放出された電子が電極に流
れ込む電流の変化を測定する。これにより、微小な真空
領域の真空度の測定を行う。したがって、真空度の測定
を行いながら、真空度の低下によって、電極に正電位を
印加して金属の蒸着面による真空度の向上を容易に行う
ことができる。
御電極を介して針状電極に対向して設けた電極と、この
電極と針状電極との間に接続され電極に正電位を印加す
る電源とを備えたことにより、この電極に正電位を印加
することにより針状電極から放出された電子が電極に流
れ込む電流の変化を測定する。これにより、微小な真空
領域の真空度の測定を行う。したがって、真空度の測定
を行いながら、真空度の低下によって、電極に正電位を
印加して金属の蒸着面による真空度の向上を容易に行う
ことができる。
【0015】
【0016】請求項5または6記載の構成によれば、電
子源により放出および加速した電子を、偏向用電極によ
り形成した電場または磁石により形成した磁場により容
易に偏向し、電子源と同一平面上に形成した検出電極に
集束することができる。その結果、平坦化および微細化
を図った微小真空電子素子を得ることができる。
子源により放出および加速した電子を、偏向用電極によ
り形成した電場または磁石により形成した磁場により容
易に偏向し、電子源と同一平面上に形成した検出電極に
集束することができる。その結果、平坦化および微細化
を図った微小真空電子素子を得ることができる。
【0017】
【実施例】図1は、この発明の一実施例の電子波干渉素
子の構成を示す概念図である。図1において、6はシリ
コン基板、7はシリコン基板6上に形成した針状電極で
あり、その先端の曲率は原子1個サイズである。8は酸
化シリコン(SiO2 )等からなる絶縁膜、9はシリコ
ン基板6上に絶縁膜8を介して形成したMo等の金属か
らなる制御電極、10は電子、11は多孔質のシリコン
(Si)またはエッチング処理を施したシリコンからな
る回折格子、12,13は検出電極、14は0次の回折
電子すなわち直進する電子、15は1次以上の回折電子
である。なお、これらは全て微小な真空領域中に設けた
ものである。
子の構成を示す概念図である。図1において、6はシリ
コン基板、7はシリコン基板6上に形成した針状電極で
あり、その先端の曲率は原子1個サイズである。8は酸
化シリコン(SiO2 )等からなる絶縁膜、9はシリコ
ン基板6上に絶縁膜8を介して形成したMo等の金属か
らなる制御電極、10は電子、11は多孔質のシリコン
(Si)またはエッチング処理を施したシリコンからな
る回折格子、12,13は検出電極、14は0次の回折
電子すなわち直進する電子、15は1次以上の回折電子
である。なお、これらは全て微小な真空領域中に設けた
ものである。
【0018】図1に示すように、電子波干渉素子は、微
小な真空領域中に、電子10を放出する針状電極7およ
びこの針状電極7に近接して設けられ印加した電圧によ
り電子10を加速する制御電極9からなる電子源21
と、この電子源21に対向して設けられ電子源21から
放出された電子10を回折する回折格子11と、出力信
号となる回折格子11を通過した電子14,15を検出
する検出電極12,13とを備えたものである。
小な真空領域中に、電子10を放出する針状電極7およ
びこの針状電極7に近接して設けられ印加した電圧によ
り電子10を加速する制御電極9からなる電子源21
と、この電子源21に対向して設けられ電子源21から
放出された電子10を回折する回折格子11と、出力信
号となる回折格子11を通過した電子14,15を検出
する検出電極12,13とを備えたものである。
【0019】このように構成した電子波干渉素子は、制
御電極9に電圧を印加することにより、針状電極7から
電子10を放出させ、加速する。そして、この放出した
電子10を回折格子11に入射して回折させる。これに
より、0次の回折電子14は直進し、1次以上の回折電
子15は偏向される。そして、検出電極13により直進
した0次の回折電子14を検出し、検出電極12により
偏向した1次以上の回折電子15を検出する。これによ
り、各検出電極12,13から出力信号を得る。この
際、各検出電極12,13の出力信号は、制御電極9に
印加する電圧を制御することにより容易に制御できる。
御電極9に電圧を印加することにより、針状電極7から
電子10を放出させ、加速する。そして、この放出した
電子10を回折格子11に入射して回折させる。これに
より、0次の回折電子14は直進し、1次以上の回折電
子15は偏向される。そして、検出電極13により直進
した0次の回折電子14を検出し、検出電極12により
偏向した1次以上の回折電子15を検出する。これによ
り、各検出電極12,13から出力信号を得る。この
際、各検出電極12,13の出力信号は、制御電極9に
印加する電圧を制御することにより容易に制御できる。
【0020】このような電子波干渉素子は、構成する全
ての系を微小な真空領域中に設けたものであるため、電
子源21により放出および加速した電子は、残留気体に
よる散乱等の影響を受けずに検出電極12,13まで走
行する。また、電子源21による電子の放出は、熱電子
放出によるものではなく、電界放射によるものであるた
め、熱による影響も少なく、電子のエネルギ分散も小さ
い。したがって、電子源21により放出および加速し、
回折格子11を通過した電子14,15を検出電極1
2,13により高精度に検出することができる。その結
果、雑音が少なく、かつ高速の駆動が可能な電子波干渉
素子を得ることができる。
ての系を微小な真空領域中に設けたものであるため、電
子源21により放出および加速した電子は、残留気体に
よる散乱等の影響を受けずに検出電極12,13まで走
行する。また、電子源21による電子の放出は、熱電子
放出によるものではなく、電界放射によるものであるた
め、熱による影響も少なく、電子のエネルギ分散も小さ
い。したがって、電子源21により放出および加速し、
回折格子11を通過した電子14,15を検出電極1
2,13により高精度に検出することができる。その結
果、雑音が少なく、かつ高速の駆動が可能な電子波干渉
素子を得ることができる。
【0021】なお、この実施例では検出電極12,13
の出力信号の制御は、制御電極9に印加する電圧により
制御したが、これに限らず、回折格子11に印加する電
圧を制御することにより回折電子11の回折角度を制御
し、これにより、検出電極12,13の出力信号を制御
しても良い。図2(a) はこの発明の一実施例の電界放射
型微小真空装置の構成を示す概念図、図2(b) は同電界
放射型微小真空装置の原理を説明するための説明図であ
る。
の出力信号の制御は、制御電極9に印加する電圧により
制御したが、これに限らず、回折格子11に印加する電
圧を制御することにより回折電子11の回折角度を制御
し、これにより、検出電極12,13の出力信号を制御
しても良い。図2(a) はこの発明の一実施例の電界放射
型微小真空装置の構成を示す概念図、図2(b) は同電界
放射型微小真空装置の原理を説明するための説明図であ
る。
【0022】図2(a) および(b) において、100は基
体となる半導体基板、18はTi(チタン)からなり先
端の曲率が1原子サイズの針状電極、19は針状電極1
8に電場を印加する制御電極、20は電極であり、この
半導体基板100,針状電極18,制御電極19および
電極20は電界放射型微小真空装置16を構成する。1
7は電子波干渉素子である。シリコン基板6,針状電極
7,絶縁膜8,制御電極9,回折格子11および検出電
極12,13からなり、図1に示すものと同様のもので
ある。また、200,300は電源、400は電流計で
ある。
体となる半導体基板、18はTi(チタン)からなり先
端の曲率が1原子サイズの針状電極、19は針状電極1
8に電場を印加する制御電極、20は電極であり、この
半導体基板100,針状電極18,制御電極19および
電極20は電界放射型微小真空装置16を構成する。1
7は電子波干渉素子である。シリコン基板6,針状電極
7,絶縁膜8,制御電極9,回折格子11および検出電
極12,13からなり、図1に示すものと同様のもので
ある。また、200,300は電源、400は電流計で
ある。
【0023】図2(a) および(b) に示すように、電界放
射型微小真空装置16は、半導体基板100上に設けた
金属からなる複数個の針状電極18と、この針状電極1
8に近接して設けた制御電極19と、この制御電極19
を介して針状電極18に対向して設けた電極20と、針
状電極18と制御電極19との間に接続され制御電極1
9に負電位を印加する電源200と、電極20と針状電
極18との間に接続され電極に正電位を印加する電源3
00とを備えたものである。針状電極18と制御電極1
9と電極20とは微小な真空領域中に設けたものであ
り、電子源21から放出した電子10は真空領域中を走
行し、固体中を走行する場合の散乱要因の影響を受ける
ことがない。電界放射型微小真空装置16は、真空領域
中に形成した電子波干渉素子17に一体化しており、電
子波干渉素子内の真空度を保持するためのものである。
射型微小真空装置16は、半導体基板100上に設けた
金属からなる複数個の針状電極18と、この針状電極1
8に近接して設けた制御電極19と、この制御電極19
を介して針状電極18に対向して設けた電極20と、針
状電極18と制御電極19との間に接続され制御電極1
9に負電位を印加する電源200と、電極20と針状電
極18との間に接続され電極に正電位を印加する電源3
00とを備えたものである。針状電極18と制御電極1
9と電極20とは微小な真空領域中に設けたものであ
り、電子源21から放出した電子10は真空領域中を走
行し、固体中を走行する場合の散乱要因の影響を受ける
ことがない。電界放射型微小真空装置16は、真空領域
中に形成した電子波干渉素子17に一体化しており、電
子波干渉素子内の真空度を保持するためのものである。
【0024】この電界放射型微小真空装置16の原理を
図2(b) を参照しながら、説明する。図2(b) に示すよ
うに、針状電極18と制御電極19との間に接続した電
源200により、制御電極19に負電位を印加すること
により、針状電極18から制御電極19の方向に電界を
パルス状に印加する。これにより、針状電極18を構成
するTi(チタン)が蒸発すなわち電界蒸発して電極2
0等に蒸着される。この電界蒸発では低温でも針状電極
18の表面原子が陽イオンとなって蒸発する。このTi
の蒸着面は非常に活性であるため、その近傍に存在する
残留気体分子は吸着される。これにより、周囲の真空度
を向上させ、電子波干渉素子17を形成した微小な領域
を真空状態に維持することができる。
図2(b) を参照しながら、説明する。図2(b) に示すよ
うに、針状電極18と制御電極19との間に接続した電
源200により、制御電極19に負電位を印加すること
により、針状電極18から制御電極19の方向に電界を
パルス状に印加する。これにより、針状電極18を構成
するTi(チタン)が蒸発すなわち電界蒸発して電極2
0等に蒸着される。この電界蒸発では低温でも針状電極
18の表面原子が陽イオンとなって蒸発する。このTi
の蒸着面は非常に活性であるため、その近傍に存在する
残留気体分子は吸着される。これにより、周囲の真空度
を向上させ、電子波干渉素子17を形成した微小な領域
を真空状態に維持することができる。
【0025】一方、真空度の高い状態では、上述の針状
電極18からTiが電界蒸発する際、針状電極18の表
面も清浄化されるが、周囲の真空度が低下している状態
では、針状電極18の表面も残留気体分子の吸着により
汚染されていく。この過程は、電極20と針状電極18
との間に接続した電源300により上述の電界蒸着の逆
電位すなわち電極20に正電位を印加することにより針
状電極18から放出された電子が電極20に流れ込む電
流の変化を観測することにより測定できる。これによ
り、周囲の真空度の測定を行う。したがって、真空度の
測定を行いながら、真空度の低下によって、電源300
により電位を反転させてパルス状に印加しTiの蒸着面
の吸着による真空度の向上を容易に行うことができる。
その結果、微小な真空領域の真空度を良好に保持するこ
とができ、電子波干渉素子17の寿命を向上させること
ができる。
電極18からTiが電界蒸発する際、針状電極18の表
面も清浄化されるが、周囲の真空度が低下している状態
では、針状電極18の表面も残留気体分子の吸着により
汚染されていく。この過程は、電極20と針状電極18
との間に接続した電源300により上述の電界蒸着の逆
電位すなわち電極20に正電位を印加することにより針
状電極18から放出された電子が電極20に流れ込む電
流の変化を観測することにより測定できる。これによ
り、周囲の真空度の測定を行う。したがって、真空度の
測定を行いながら、真空度の低下によって、電源300
により電位を反転させてパルス状に印加しTiの蒸着面
の吸着による真空度の向上を容易に行うことができる。
その結果、微小な真空領域の真空度を良好に保持するこ
とができ、電子波干渉素子17の寿命を向上させること
ができる。
【0026】なお、この実施例では針状電極をTi(チ
タン)から構成したが、TaまたはBa等の残留気体分
子を吸着し易い材料から構成しても良い。また、基体と
して半導体基板を用いたが、金属基板または誘電体基板
を用いても良い。また、この実施例では、電極20およ
び電源300を設けたが必ずしもなくても良い。次に、
図1と同様の電子源21を用いた電子線励起発光素子の
例について図3,図4を用いて説明しておく。図3は電
子線励起発光素子の第1の構成例を示す概念図である。
タン)から構成したが、TaまたはBa等の残留気体分
子を吸着し易い材料から構成しても良い。また、基体と
して半導体基板を用いたが、金属基板または誘電体基板
を用いても良い。また、この実施例では、電極20およ
び電源300を設けたが必ずしもなくても良い。次に、
図1と同様の電子源21を用いた電子線励起発光素子の
例について図3,図4を用いて説明しておく。図3は電
子線励起発光素子の第1の構成例を示す概念図である。
【0027】図3に示すように、電子線励起発光素子
は、電子を放出させる針状電極7およびこの針状電極7
に近接して設けられ印加した電圧により電子を加速する
制御電極9からなる電子源21と、この電子源21に対
向して設けた発光材料からなるターゲット22とを備え
たものである。電子源21およびターゲット22は微小
な真空領域中に設けたものあり、電子源21から放出し
た電子10は真空領域中を走行し、固体中を走行する場
合の散乱要因の影響を受けることがない。針状電極7は
シリコン基板6等の上に形成したものである。また、タ
ーゲット22に近接して光を増幅する共振器(図示せ
ず)を設けた。
は、電子を放出させる針状電極7およびこの針状電極7
に近接して設けられ印加した電圧により電子を加速する
制御電極9からなる電子源21と、この電子源21に対
向して設けた発光材料からなるターゲット22とを備え
たものである。電子源21およびターゲット22は微小
な真空領域中に設けたものあり、電子源21から放出し
た電子10は真空領域中を走行し、固体中を走行する場
合の散乱要因の影響を受けることがない。針状電極7は
シリコン基板6等の上に形成したものである。また、タ
ーゲット22に近接して光を増幅する共振器(図示せ
ず)を設けた。
【0028】このように構成した電子線励起発光素子
は、電界放出型の電子源21から放出した電子を発光材
料からなるターゲット22に照射して、直接的に電子を
注入することにより、発光材料からなるターゲット22
を発光させるものである。そして、ターゲット22に近
接して設けた共振器により増幅することによって、放射
光またはレーザ光を得る。この際の発光波長は、ターゲ
ット22となる発光材料に依存するが、直接遷移型の化
合物半導体からなる鏡面状の共振器をへき開等によって
形成し、注入電流量および発光材料の構造を最適化する
ことにより、容易にレーザ光を得ることができる。
は、電界放出型の電子源21から放出した電子を発光材
料からなるターゲット22に照射して、直接的に電子を
注入することにより、発光材料からなるターゲット22
を発光させるものである。そして、ターゲット22に近
接して設けた共振器により増幅することによって、放射
光またはレーザ光を得る。この際の発光波長は、ターゲ
ット22となる発光材料に依存するが、直接遷移型の化
合物半導体からなる鏡面状の共振器をへき開等によって
形成し、注入電流量および発光材料の構造を最適化する
ことにより、容易にレーザ光を得ることができる。
【0029】図4は図1と同様の電子源21を用いた電
子線励起発光素子の第2の構成例を示す概念図である。
図4に示すように、電子線発光素子は、電子10を放出
させる針状電極7およびこの針状電極7に近接して設け
られ印加した電圧により電子10を加速する制御電極9
からなる電界放射型の電子源21と、この電子源21に
対向して電子10が通過する微小な穴Xを介して設けら
れ所望の気体分子を充填した発光領域27とを備えたも
のである。電子源21は微小な真空領域中に設けたもの
であり、電子源21から放出した電子10は真空領域中
を走行し、固体中を走行する場合の散乱要因の影響を受
けることがない。
子線励起発光素子の第2の構成例を示す概念図である。
図4に示すように、電子線発光素子は、電子10を放出
させる針状電極7およびこの針状電極7に近接して設け
られ印加した電圧により電子10を加速する制御電極9
からなる電界放射型の電子源21と、この電子源21に
対向して電子10が通過する微小な穴Xを介して設けら
れ所望の気体分子を充填した発光領域27とを備えたも
のである。電子源21は微小な真空領域中に設けたもの
であり、電子源21から放出した電子10は真空領域中
を走行し、固体中を走行する場合の散乱要因の影響を受
けることがない。
【0030】発光領域27は、光を増幅する共振器24
および電子10が通過できる程度の微小な穴Xを有する
レーザ管25からなり、このレーザ管25内には電子1
0の標的となる所望の気体分子23が充填されている。
また、16は電界放射型微小真空装置、22は電子源2
1から放出された電子を収束する静電レンズである。こ
のように構成した電子源励起発光素子は、電子源21か
ら放出した電子10を静電レンズ22により収束した
後、この収束した電子10を電界放射型微小真空装置1
6およびレーザ管25の管壁に設けた微小な穴Xを介し
てレーザ管25内の気体分子23に照射するものであ
る。これにより、気体分子23を励起させ、共振器24
により増幅させることによりレーザ光を得ることができ
る。レーザ管25内は、気体分子23が閉じ込められて
いる領域であり、真空度は低いが、このレーザ管25と
電子源21との間に設けた電界放射型微小真空装置16
により、電子源21を設けた領域を真空状態に保持する
ことによって、電子源21とレーザ管25との間の真空
度の差異が相互に与える影響を防止することができる。
および電子10が通過できる程度の微小な穴Xを有する
レーザ管25からなり、このレーザ管25内には電子1
0の標的となる所望の気体分子23が充填されている。
また、16は電界放射型微小真空装置、22は電子源2
1から放出された電子を収束する静電レンズである。こ
のように構成した電子源励起発光素子は、電子源21か
ら放出した電子10を静電レンズ22により収束した
後、この収束した電子10を電界放射型微小真空装置1
6およびレーザ管25の管壁に設けた微小な穴Xを介し
てレーザ管25内の気体分子23に照射するものであ
る。これにより、気体分子23を励起させ、共振器24
により増幅させることによりレーザ光を得ることができ
る。レーザ管25内は、気体分子23が閉じ込められて
いる領域であり、真空度は低いが、このレーザ管25と
電子源21との間に設けた電界放射型微小真空装置16
により、電子源21を設けた領域を真空状態に保持する
ことによって、電子源21とレーザ管25との間の真空
度の差異が相互に与える影響を防止することができる。
【0031】このように構成した電子線励起発光素子
は、レーザ管25内にHe(ヘリウム)−Ne(ネオ
ン)の混合気体を封入することにより、波長632.8
〔nm〕の単一縦モードのレーザ光が得られる。すなわ
ち、従来ではHe−Neの混合気体およびArイオンを
用いた大型レーザにより得ていたレーザ光を、半導体レ
ーザ程度に非常に小型な素子で得ることができる。ま
た、従来、半導体レーザではバンド構造等のために得ら
れるレーザ光の発振波長の線幅が、ガスレーザと比較し
て不十分であった。このような不都合は、半導体レーザ
による発光はバンド間におけるキャリアの遷移に伴うも
のであるため、回避することはできない。しかしなが
ら、上述電子線励起発光素子によれば、ガスレーザと同
等の発振波長の線幅を有したレーザ光を容易に得ること
ができ、しかも半導体レーザと同等の小型化を実現する
ことができる。
は、レーザ管25内にHe(ヘリウム)−Ne(ネオ
ン)の混合気体を封入することにより、波長632.8
〔nm〕の単一縦モードのレーザ光が得られる。すなわ
ち、従来ではHe−Neの混合気体およびArイオンを
用いた大型レーザにより得ていたレーザ光を、半導体レ
ーザ程度に非常に小型な素子で得ることができる。ま
た、従来、半導体レーザではバンド構造等のために得ら
れるレーザ光の発振波長の線幅が、ガスレーザと比較し
て不十分であった。このような不都合は、半導体レーザ
による発光はバンド間におけるキャリアの遷移に伴うも
のであるため、回避することはできない。しかしなが
ら、上述電子線励起発光素子によれば、ガスレーザと同
等の発振波長の線幅を有したレーザ光を容易に得ること
ができ、しかも半導体レーザと同等の小型化を実現する
ことができる。
【0032】図5はこの発明の第1の微小真空電子素子
の構成を示す概念図である。図5に示すように、微小真
空電子素子は、電子10を放出させる針状電極7および
この針状電極7に近接して設けられ印加した電圧により
電子を加速する制御電極9からなる電子源21と、この
電子源21と対向して設けられ負電位を印加した偏向用
電極28と、電子源21と同一平面上に設けられ電子1
0を検出する検出電極29とを備えたものである。電子
源21,偏向用電極28および検出電極29は微小な真
空領域中に設けたものあり、電子源21から放出した電
子10は真空領域中を走行し、固体中を走行する場合の
散乱要因の影響を受けることがない。また、8は絶縁
膜、500は制御電極9と偏向用電極28との間に接続
され偏向用電極28に負電位を印加する電源、600は
針状電極7と制御電極9との間に接続され制御電極9に
正電位を印加する電源である。
の構成を示す概念図である。図5に示すように、微小真
空電子素子は、電子10を放出させる針状電極7および
この針状電極7に近接して設けられ印加した電圧により
電子を加速する制御電極9からなる電子源21と、この
電子源21と対向して設けられ負電位を印加した偏向用
電極28と、電子源21と同一平面上に設けられ電子1
0を検出する検出電極29とを備えたものである。電子
源21,偏向用電極28および検出電極29は微小な真
空領域中に設けたものあり、電子源21から放出した電
子10は真空領域中を走行し、固体中を走行する場合の
散乱要因の影響を受けることがない。また、8は絶縁
膜、500は制御電極9と偏向用電極28との間に接続
され偏向用電極28に負電位を印加する電源、600は
針状電極7と制御電極9との間に接続され制御電極9に
正電位を印加する電源である。
【0033】このように構成した微小真空電子素子は、
電源600により針状電極7と制御電極9との間に電位
差を与えることによって電場を形成し、この電場により
電子源21から電子10を放出させる。そして、電源5
00により偏向用電極28に負電位を印加することによ
り電場を形成し、この電場により電子源21から放出し
た電子10を偏向させる。これにより、電子源21と同
一平面上に設けた検出電極29に電子を集束させる。し
たがって、検出電極29を電子源21の前方延長線上に
設けることを不要とし、集積化を実現することができ
る。また、電子10の集束位置は、電子のエネルギーに
対応して変化するために、これを利用してエネルギ分析
を行うこともできる。また偏向用電極28に負電位を印
加することにより偏向用電極28および制御電極9間に
形成する電場の強さを入力信号とし、検出電極29の信
号を出力信号として検出することもできる。
電源600により針状電極7と制御電極9との間に電位
差を与えることによって電場を形成し、この電場により
電子源21から電子10を放出させる。そして、電源5
00により偏向用電極28に負電位を印加することによ
り電場を形成し、この電場により電子源21から放出し
た電子10を偏向させる。これにより、電子源21と同
一平面上に設けた検出電極29に電子を集束させる。し
たがって、検出電極29を電子源21の前方延長線上に
設けることを不要とし、集積化を実現することができ
る。また、電子10の集束位置は、電子のエネルギーに
対応して変化するために、これを利用してエネルギ分析
を行うこともできる。また偏向用電極28に負電位を印
加することにより偏向用電極28および制御電極9間に
形成する電場の強さを入力信号とし、検出電極29の信
号を出力信号として検出することもできる。
【0034】図6はこの発明の第2の実施例の微小真空
電子素子の構成を示す概念図である。図6に示すよう
に、微小な真空領域中に、微小真空電子素子は、電子1
0を放出させる針状電極7およびこの針状電極7に近接
して設けられ印加した電圧により電子10を加速する制
御電極9からなる電子源21と、この電子源21と同一
平面上に設けられ電子10を検出する検出電極29と、
電子源21と同一平面上で電子源21と検出電極29と
の間に設けた磁石26とを備えたものである。電子源2
1,磁石26および検出電極29は微小な真空領域中に
設けたものあり、電子源21から放出した電子10は真
空領域中を走行し、固体中を走行する場合の散乱要因の
影響を受けることがない。
電子素子の構成を示す概念図である。図6に示すよう
に、微小な真空領域中に、微小真空電子素子は、電子1
0を放出させる針状電極7およびこの針状電極7に近接
して設けられ印加した電圧により電子10を加速する制
御電極9からなる電子源21と、この電子源21と同一
平面上に設けられ電子10を検出する検出電極29と、
電子源21と同一平面上で電子源21と検出電極29と
の間に設けた磁石26とを備えたものである。電子源2
1,磁石26および検出電極29は微小な真空領域中に
設けたものあり、電子源21から放出した電子10は真
空領域中を走行し、固体中を走行する場合の散乱要因の
影響を受けることがない。
【0035】このように構成した微小真空電子素子は、
電源(図示せず)により針状電極7と制御電極9との間
に電位差を与えることによって電場を形成し、この電場
により電子源21から電子10を放出させる。そして、
この放出した電子10を電子源21と同一平面上に設け
た磁石26による磁場すなわちローレンツ力により偏向
し、検出電極29に集束させる。これにより検出電極2
9から出力信号を得る。
電源(図示せず)により針状電極7と制御電極9との間
に電位差を与えることによって電場を形成し、この電場
により電子源21から電子10を放出させる。そして、
この放出した電子10を電子源21と同一平面上に設け
た磁石26による磁場すなわちローレンツ力により偏向
し、検出電極29に集束させる。これにより検出電極2
9から出力信号を得る。
【0036】ここで、上述、微小真空電子素子の製造方
法を簡単に説明する。超高真空中で、半導体基板もしく
は金属基板または誘電体基板上に、電子のド・ブロイ波
長程度の膜厚の超格子(図示せず)を形成する。次に、
この超格子の形成に連続して金属薄膜(図示せず)およ
び誘電体薄膜(図示せず)を形成する。次に、針状電極
7および制御電極9からなる電界放射型の電子源21,
偏向用電極28(または磁石26)および検出電極29
を形成する。次に、上記各素子の形成領域を真空状態に
保持するための電界放射型微小真空装置(図示せず)を
形成する。そして、素子の形成領域を真空状態に保持し
て密閉する。
法を簡単に説明する。超高真空中で、半導体基板もしく
は金属基板または誘電体基板上に、電子のド・ブロイ波
長程度の膜厚の超格子(図示せず)を形成する。次に、
この超格子の形成に連続して金属薄膜(図示せず)およ
び誘電体薄膜(図示せず)を形成する。次に、針状電極
7および制御電極9からなる電界放射型の電子源21,
偏向用電極28(または磁石26)および検出電極29
を形成する。次に、上記各素子の形成領域を真空状態に
保持するための電界放射型微小真空装置(図示せず)を
形成する。そして、素子の形成領域を真空状態に保持し
て密閉する。
【0037】以上、実施例の電子波干渉素子、電子線励
起発光素子、微小真空電子素子は、微小な真空領域中に
形成したものであり、これにより電子源21から放出さ
れる電子10は真空領域中を走行する。したがって、固
体中を電子が走行する場合の散乱要因を室温で除去する
ことができる。
起発光素子、微小真空電子素子は、微小な真空領域中に
形成したものであり、これにより電子源21から放出さ
れる電子10は真空領域中を走行する。したがって、固
体中を電子が走行する場合の散乱要因を室温で除去する
ことができる。
【0038】
【発明の効果】請求項1または2記載の電子波干渉素子
によれば、電子を放出する針状電極およびこの針状電極
に近接して設けられ印加した電圧により電子を加速する
制御電極からなる電子源と、電子源から放出された電子
を回折する回折格子と、出力信号となる回折格子を通過
した電子を検出する検出電極とを微小な真空領域中に備
えることにより、電界放射型の電子源から放出した電子
は真空領域中を走行して検出電極に到達する。したがっ
て、電子が固体中を走行する場合のあらゆる散乱要因の
影響を室温で除去することができる。その結果、素子を
極低温状態に保持することが不要となり、電子の平均自
由工程が増加することにより、素子のサイズの自由度が
増加する。
によれば、電子を放出する針状電極およびこの針状電極
に近接して設けられ印加した電圧により電子を加速する
制御電極からなる電子源と、電子源から放出された電子
を回折する回折格子と、出力信号となる回折格子を通過
した電子を検出する検出電極とを微小な真空領域中に備
えることにより、電界放射型の電子源から放出した電子
は真空領域中を走行して検出電極に到達する。したがっ
て、電子が固体中を走行する場合のあらゆる散乱要因の
影響を室温で除去することができる。その結果、素子を
極低温状態に保持することが不要となり、電子の平均自
由工程が増加することにより、素子のサイズの自由度が
増加する。
【0039】請求項3または4記載の電界放射型微小真
空装置によれば、基体上に設けた金属からなる針状電極
と、この針状電極に近接して設けた制御電極と、針状電
極と制御電極との間に接続され制御電極に負電位を印加
する電源と備え、針状電極および制御電極を微小な真空
領域中に設けたことにより、針状電極の表面に外向きに
電界を加えることにより針状電極の表面原子を電界蒸発
させ、この金属の蒸着面に残留気体分子を吸着させる。
その結果、微小な真空領域の真空度を保持することがで
きる。
空装置によれば、基体上に設けた金属からなる針状電極
と、この針状電極に近接して設けた制御電極と、針状電
極と制御電極との間に接続され制御電極に負電位を印加
する電源と備え、針状電極および制御電極を微小な真空
領域中に設けたことにより、針状電極の表面に外向きに
電界を加えることにより針状電極の表面原子を電界蒸発
させ、この金属の蒸着面に残留気体分子を吸着させる。
その結果、微小な真空領域の真空度を保持することがで
きる。
【0040】さらに、請求項4記載の電界放射型微小真
空装置によれば、制御電極を介して針状電極に対向して
設けた電極と、この電極と針状電極との間に接続され電
極に正電位を印加する電源とを備えたことにより、この
電極に正電位を印加することにより針状電極から放出さ
れた電子が電極に流れ込む電流の変化を測定する。これ
により、微小な真空領域の真空度の測定を行う。したが
って、真空度の測定を行いながら、真空度の低下によっ
て、電極に正電位を印加して金属の蒸着面による真空度
の向上を容易に行うことができる。その結果、微小な真
空領域の真空度を良好に保持することができ、この電界
放射型微小真空装置を微小な真空領域に形成した素子に
付加すれば、素子の寿命を向上させることができる。
空装置によれば、制御電極を介して針状電極に対向して
設けた電極と、この電極と針状電極との間に接続され電
極に正電位を印加する電源とを備えたことにより、この
電極に正電位を印加することにより針状電極から放出さ
れた電子が電極に流れ込む電流の変化を測定する。これ
により、微小な真空領域の真空度の測定を行う。したが
って、真空度の測定を行いながら、真空度の低下によっ
て、電極に正電位を印加して金属の蒸着面による真空度
の向上を容易に行うことができる。その結果、微小な真
空領域の真空度を良好に保持することができ、この電界
放射型微小真空装置を微小な真空領域に形成した素子に
付加すれば、素子の寿命を向上させることができる。
【0041】
【0042】請求項5または6記載の微小真空電子素子
によれば、電子源により放出および加速した電子を、偏
向用電極により形成した電場または磁石により形成した
磁場により容易に偏向し、電子源と同一平面上に形成し
た検出電極に集束することができる。その結果、平坦化
および微細化を図った微小真空電子素子を得ることがで
きる。
によれば、電子源により放出および加速した電子を、偏
向用電極により形成した電場または磁石により形成した
磁場により容易に偏向し、電子源と同一平面上に形成し
た検出電極に集束することができる。その結果、平坦化
および微細化を図った微小真空電子素子を得ることがで
きる。
【図1】図1は、この発明の一実施例の電子波干渉素子
の構成を示す概念図である。
の構成を示す概念図である。
【図2】図2(a) はこの発明の一実施例の電界放射型微
小真空装置の構成を示す概念図、図2(b) は同電界放射
型微小真空装置の原理を説明するための説明図である。
小真空装置の構成を示す概念図、図2(b) は同電界放射
型微小真空装置の原理を説明するための説明図である。
【図3】図3は図1と同様の電子源を用いた電子線励起
発光素子の第1の構成例を示す概念図である。
発光素子の第1の構成例を示す概念図である。
【図4】図4は図1と同様の電子源を用いた電子線励起
発光素子の第2の構成例を示す概念図である。
発光素子の第2の構成例を示す概念図である。
【図5】図5はこの発明の第1の微小真空電子素子の構
成を示す概念図である。
成を示す概念図である。
【図6】図6はこの発明の第2の実施例の微小真空電子
素子の構成を示す概念図である。
素子の構成を示す概念図である。
【図7】図7は従来の電子波干渉素子の構成を示す概念
図である。
図である。
7,18 針状電極 9,19 制御電極 10 電子 11 回折格子 12,13,29 検出電極 16 電界放射型微小真空装置 17 電子波干渉素子 22 ターゲット 23 気体分子 26 磁石 27 発光領域 28 電極 200 ,300 電源 X 微小な穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−188980(JP,A) 特開 平2−79084(JP,A) 特開 平4−2937(JP,A) 特開 平3−25842(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 49/00 H01J 1/30
Claims (6)
- 【請求項1】 微小な真空領域中に、電子を放出する針
状電極およびこの針状電極に近接して設けられ印加した
電圧により前記電子を加速する制御電極からなる電子源
と、この電子源に対向して設けられ前記電子源から放出
された電子を回折する回折格子と、出力信号となる前記
回折格子を通過した電子を検出する検出電極とを備えた
電子波干渉素子。 - 【請求項2】 前記回折格子に電圧を印加し、この電圧
を制御して前記検出電極の検出する出力信号を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の電子波干渉素子。 - 【請求項3】 基体上に設けた金属からなる単一または
複数個の針状電極と、この針状電極に近接して設けた制
御電極と、前記針状電極と前記制御電極との間に接続さ
れ前記制御電極に負電位を印加する電源とを備え、前記
針状電極と前記制御電極とを微小な真空領域中に設けた
電界放射型微小真空装置。 - 【請求項4】 基体上に設けた金属からなる単一または
複数個の針状電極と、この針状電極に近接して設けた制
御電極と、この制御電極を介して前記針状電極に対向し
て設けた電極と、前記針状電極と前記制御電極との間に
接続され前記制御電極に負電位を印加する電源と、前記
電極と前記針状電極との間に接続され前記電極に正電位
を印加する電源とを備え、前記針状電極と前記制御電極
と前記電極とを微小な真空領域中に設けた電界放射型微
小真空装置。 - 【請求項5】 微小な真空領域中に、電子を放出させる
針状電極およびこの針状電極に近接して設けられ印加し
た電圧により前記電子を加速する制御電極からなる電子
源と、この電子源と対向して設けられ負電位を印加した
偏向用電極と、前記電子源と同一平面上に設けられ前記
電子を検出する検出電極とを備えた微小真空電子素子。 - 【請求項6】 微小な真空領域中に、電子を放出させる
針状電極およびこの針状電極に近接して設けられ印加し
た電圧により前記電子を加速する制御電極からなる電子
源と、この電子源と同一平面上に設けられ前記電子を検
出する検出電極と、前記電子源と同一平面上で前記電子
源と前記検出電極との間に設けた磁石とを備えた微小真
空電子素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3712291A JP3020624B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 電子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空電子素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3712291A JP3020624B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 電子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空電子素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04275472A JPH04275472A (ja) | 1992-10-01 |
JP3020624B2 true JP3020624B2 (ja) | 2000-03-15 |
Family
ID=12488800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3712291A Expired - Fee Related JP3020624B2 (ja) | 1991-03-04 | 1991-03-04 | 電子波干渉素子、電界放射型微小真空装置および微小真空電子素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3020624B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2917898B2 (ja) * | 1996-03-29 | 1999-07-12 | 日本電気株式会社 | 電界放出冷陰極素子およびその使用方法 |
JP5370408B2 (ja) * | 2011-04-28 | 2013-12-18 | ウシオ電機株式会社 | 電子線励起型光源装置 |
-
1991
- 1991-03-04 JP JP3712291A patent/JP3020624B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04275472A (ja) | 1992-10-01 |
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Date | Code | Title | Description |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |