JPH07296755A - 電子線源およびこれを用いた電子線応用装置 - Google Patents

電子線源およびこれを用いた電子線応用装置

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JPH07296755A
JPH07296755A JP8817994A JP8817994A JPH07296755A JP H07296755 A JPH07296755 A JP H07296755A JP 8817994 A JP8817994 A JP 8817994A JP 8817994 A JP8817994 A JP 8817994A JP H07296755 A JPH07296755 A JP H07296755A
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electron beam
electron
source
electron emission
substrate
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JP8817994A
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Taku Oshima
卓 大嶋
Katsuhiro Kuroda
勝広 黒田
Hiroyuki Shinada
博之 品田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 基板上に形成した複数の電子放出源から、一
つの電子放出源を高精度に選択可能にする。 【構成】 基板10上に形成した複数の電子放出源19
と、電子放出源の一つに向かって凸型に形成された先端
部と電子線を通過させる開口部を有する引出電極11
と、電子放出源の一つと引出電極に局部的に電界を印加
する電界印加手段と、基板と引出電極とを相対的に移動
させる移動手段からなる構造とする。 【効果】 複数の電子放出源から一つの電子放出源を高
精度に選択できるので、一つの電子線のみで動作させる
SEMや電子線描画装置などの電子線応用装置に複数の
電子放出源を使用できるという効果がある。さらに、寿
命の短い電子放出源でも、長寿命電子線源として使用で
きるという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子線源及び電子線応用
装置に係わり、特に基板上に多数形成した微細な電子線
源を用いた装置に好適な、電子線応用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走査型電子顕微鏡や電子線描画装
置、電子線を用いた分析装置等の電子線応用装置では、
電子放出源として電界放出型電子線源や拡散補給型電子
線源等が用いられているが、使用中に電子放出源が劣化
・故障等すると交換するしかなく、多くの時間と労力を
要していた。特に半導体などを用いた高性能の電子放出
源は壊れやすいため、極めて頻繁に交換する必要があり
実用上の障害となっていた。この問題を解決するには、
電子銃内に基板上に多数形成した微小電子線を設けるこ
とが考えられる。
【0003】基板上に多数形成した微小電子線源を用い
た電子線源の例として、特開昭59−16255号公報
に記載された電子銃がある。この電子銃の構造は、図2
(a)に示すように、微小電子線源1と第1の引出電極
2と第2の引出電極3とを有する構造からなり、第1の
引出電極2と第2の引出電極3との間に偏向板4を設
け、この偏向板4に外部からの電気信号を印加すること
により、偏向板4のオンオフを切り替え、任意の微小電
子線源1を選択し、電子線を外部に放出している。
【0004】また、特開平5−275322号公報に記
載された電子線源は、図2(b)に示すように、微小電
子線源5と引出電極6とを一体に形成した第1構造部
と、レンズ系からなる第2構造部とを有し、第1構造部
と第2構造部が分離され、駆動手段7、8により相対的
に移動させる構造となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭59−16
255号公報と特開平5−275322号公報では、微
小電子線源と引出電極が一体となって動作しているの
で、多数の微小電子線源から電子線が常に放出されるこ
ととなり、電子線源の長時間使用による劣化をさけるこ
とができず、電子線源の寿命は、1本の電子線源の寿命
と同じとなり、短時間で電子線源そのものを交換しなけ
ればならないという問題があった。
【0006】また、特開平5−275322号公報にお
いては、第1構造部と第2構造部とを分離し、相対的に
移動させ、任意の電子線源を選択しているが、微小電子
線源の先端曲率のばらつきおよび第1構造部と第2構造
部との相対位置のばらつき等により、強度、方向ともに
所望の電子線を得ることが困難であるという問題があっ
た。
【0007】さらに、上記の電子線源を走査型電子顕微
鏡(SEM)等の電子線応用装置に用いる場合、アパー
チャー等により所望の特性の電子線のみを取り出して使
うが、微小電子線源先端と引出電極の穴との距離は1ミ
クロン程度以下と近いため、電子線が広がりかつ電子線
放射方向のばらつきが生じるので、他の微小電子線源か
ら放出された電子線も入り込み易く、電子線を電子レン
ズによって十分小さな焦点に結ぶことは困難であるとい
う問題があった。
【0008】本発明の目的は、寿命が長く、かつ安定し
た電子線を放出する電子線源および上記電子線源を用い
た電子線応用装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に基板上に微小電子線源を多数設けるとともに、引出電
極は基板表面上の目的とする微小電子線源に局部的に電
界がかかるように微小電子線源に向かって凸型をした先
端部と、その先端部の中に電子線を通す開口部を持ち、
かつ引出電極と微小電子線源を多数設けた基板との相対
位置を可動とした構造にする。
【0010】
【作用】電界放射型等の電子放出源からの放出電流は先
端付近の電界強度に強く依存する事は良く知られてい
る。凸型をした先端部分を持つ電子引き出し電極を近付
けた場合、図3(a)に等電位線で示されるように、引
出電極の先端近傍の微小電子線源に選択的に強い電界が
かかり、この電界強度を印加電圧により調節すれば所望
の強度の電子線が引き出し電極の穴を通して得られる。
このとき他の微小電子線源からの放出電流はほとんどな
いため、電子レンズによって微小な点に収束させること
ができる。また、電子線の放出方向を調節するには、微
小電子線源の乗った基板と平行方向にこの基板もしく
は、引出電極を移動させれば、図3(a)の等電位線が
傾き、これにより加速される電子線の方向を変えること
ができる。また、微小電子線源の先端形状や表面状態が
悪く、十分な強度の電子線が得られない場合は基板と平
行方向の移動量をさらに大きくし電子放出特性の良い微
小電子線源を選んで用いることができる。
【0011】また、長時間の使用中でも他の微小電子線
源は動作していないため、ガスや異物等による異常放
電,や吸着物或いは温度上昇などにより微小電子線源が
劣化した場合でも、電子引き出し電極との相対位置を移
動させれば、劣化していない微小電子線源を使うことが
できる。このため、微小電子線源の乗った基板を交換す
ることなしに装置を長時間使用することができる。この
結果、壊れやすいため極めて頻繁に交換する必要がある
半導体などを用いた高性能の電子線源を電子線応用装置
に用いることができる。さらに、微小電子線源の製作工
程による特性のばらつきが生じても、多数の微小電子線
源の中から、特性の良いものを選び出して使用すること
ができる。
【0012】
【実施例】
(実施例1)図1に本発明の実施例の1つを示す。n+
型GaAs(111)B面基板10上にコーン型の電子
放出源19が格子状に形成され、基板10は、裏面にオ
ーミックコンタクト用のAu−Ge−Ni−W合金の被
膜があり、カソード支持筒12上に金の薄膜を挟み加熱
によって接着されている。カソード支持筒12は、ベロ
ーズシール14された平行移動ステージ13に固定さ
れ、電子銃筒15の内部が真空でも、外部の大気中から
x方向への移動を可能にしている。また、カソード支持
筒12内部にはヒーター16が置かれ、GaAs電子放
出源19を500℃から600℃に加熱して表面を清浄
化することができる。一方、電子引き出し電極11はア
ノード支持筒17に固定され、凸部が電子放出源19に
近接するようになっている。
【0013】電子放出源19は、図4(a)に示される
ようにコーン型のn+型GaAs40上に、MBE(分
子線エピタキシー)法によって1.4nmのAlAs層
41と7nmのGaAs層42を単結晶成長したもの
で、電界をかけたときの電子に対するポテンシャルは図
4bの様に、GaAs層42の量子井戸がAlAs障壁
層41と真空準位による障壁層43の2つの障壁で挟ま
れた状態となる。この結果、GaAs層42の量子井戸
内の量子準位に一致したエネルギーのみの電子が極めて
高い確率で放出される、いわゆる共鳴トンネル効果によ
り、室温で30meV程度と極めてエネルギー幅の狭い
極単色の電子線が得られるものである。
【0014】しかし、GaAsは電子放出中に変形やA
lAsとの混じり合い等を起こし、得られる電子線特性
が劣化してくる。この場合本発明を用いることによっ
て、平行移動ステージにより基板を移動させて別の電子
放出源を用いることができるため、基板を交換すること
無しに、つねに高品質の電子線を得ることができる。ま
た、作成方法のばらつき等によって、選択された電子放
出源19の放出特性が悪い場合、他の特性の良い電子放
出源19を選んで用いることができる。
【0015】なお、特定の電子放出源からのみ電子を取
り出すために、図3(a)に示されるような電界分布を
形成しており、このための条件としては、電子引き出し
電極11の凸型先端部の幅lは、基板表面上の目的とす
る電子放出源19と近接する他の電子放出源19との距
離Lの2倍と同程度かそれ以下であり、電子引き出し電
極11の凸型先端部と電子放出源19との距離Hは前記
距離Lの5倍以下であり、電子線引き出し方向と前記引
き出し電極11の凸型先端部から基部に向かった稜線と
のなす角θは20度以上70度以下であることが望まし
い。また、電子放出源19の基板からの高さhは、引出
電極11の開口部の幅kの10分の1よりも大きく、特
にh>kが好適であり、電圧印加により電子放出源先端
付近に電界集中する構造となっていることが望ましい。
【0016】以上の条件で、電圧を印加しつつ基板を電
子線引き出し方向と垂直なx方向に動かすと、図3
(b)のように電子放出源上の最適位置のところで電子
線強度のピークが現れる。実際の応用では放出電流を測
定しながらx方向に動かし、そのピーク位置によって最
適位置を決定することができる。
【0017】本実施例によれば、基板上に多数形成され
た電子放出源を一つ一つ選択して電子線を引き出すこと
ができるため、寿命の短い電子放出源や特性にばらつき
のある電子放出源があっても、長時間にわたり安定した
電子線が得られるという利点がある。
【0018】なお、本実施例においては、基板の移動方
向は電子線引き出し方向と垂直なx方向のみであるが、
平行移動ステージを2軸のx−yステージにすると、2
次元に配列した電子放出源の中から選択でき、かつ最適
位置もより好条件を選ぶことができよりいっそう効果的
である。また、図3にあるように、電子引き出し電極1
1の凸型先端部と電子放出源19との距離Hを最適化す
るために電子線引き出し方向;zに移動させる機構があ
れば一層効果がある。
【0019】本実施例においては、電子放出源を単色電
子源とし、その例としてGaAs/AlAsヘテロ構造
系を用いたが、共鳴トンネル効果が得られる物であれ
ば、InGaAs/InAlAs等他のヘテロ構造を用
いても同様の効果がある。
【0020】また、本実施例においては、電子放出源と
して単色電子源を用いたが、エネルギーの単色化よりも
高電流密度が必要な場合には、コーン型のW等の高融点
金属を材料として用いれば、大電流で長寿命の電子線装
置が得られる。さらに、電子放出源として、コーン型の
W,Mo等の高融点金属の単結晶或いは多結晶体の表面
にTi,Zr,Hf,Y,Nb,Th,Mg等の電気陰
性度が小さい金属元素のうちの少なくとも一つと酸素を
同時或いは別々に1400Kから2000Kの温度に加
熱して表面拡散により補給する、拡散補給型電子線源を
用いると、より一層大電流で長寿命の電子線装置が得ら
れる。
【0021】本実施例においては、真空中の基板の移動
用に、ベローズシール式の移動ステージを用いたが、こ
のほかにも、回転導入器、直線導入器或いは、磁気カッ
プリング式の移動機構等を用いても、基板を移動させる
ことができる物であれば、同様の効果がある。
【0022】本実施例においては、真空容器の外から動
力を伝えて基板を移動させる機構を用いたが、図5
(a)に示すように圧電素子などを用いて外部の電気信
号により基板を移動させる機構を用いると、図5(b)
のようによりコンパクトな装置で同様の効果が得られ
る。電子放出源の乗った基板は基板支持台50に固定さ
れ、基板支持台50は一対のx方向移動用圧電素子51
と一対のy方向移動用圧電素子52によりハウジング5
4に固定されている(図5a,b)。一対の圧電素子の
一方を必要量伸ばし、もう一方を必要量縮ませるように
外部からの電気信号で制御することによって容易に電子
放出源を移動させることができる。電子放出源の移動量
を大きくして用いる場合、もう一方の移動用圧電素子の
剪断変形が問題となる。その場合は図5(c)に示すよ
うにx方向移動用圧電素子51をフレーム55に固定
し、このフレーム55をy方向移動用圧電素子52によ
りハウジング54に固定すれば良い。なお、この場合、
図5(c)の様に一対のy方向移動用圧電素子52を同
一軸からはずして固定すれば、一対のy方向移動用圧電
素子52を同時に伸び縮みさせることにより、支持台5
0の回転方向を調整することができる。
【0023】(実施例2)図6に本発明の実施例の1つ
を示す。p+型GaAs60上に10nmのGaAs層
61のある基板を用い、5nmのSiO2絶縁膜63で
被覆し、この絶縁膜63に直径1μm程度の穴を開け、
その上にCs吸着層62を形成し、電子放出源64とす
る。この構造は負の電子親和力を示すことで知られてお
り、裏面から入射した基板の禁制帯幅以上のエネルギー
の光65によりp+型GaAs60内の価電子帯の電子
が伝導帯に励起され、このときの電子エネルギーは、す
でに真空準位よりも高いため、GaAs層61との電位
差により加速された電子が真空中に飛び出してくる(図
6c)。この電子放出源64のうちの一つに電子引き出
し電極11を近付け局部的に電界を加えることにより、
一つの電子引き出し電極11からのみ電子線を引き出す
ことができる(図6b)。この電子線は小さな円から放
出された物であるので電子レンズにより容易に焦点を結
ぶことができる。ここで光源として極短パルスレーザー
を用いると、それにより発生する電子線も極短パルスの
物が得られる。従って、本発明を用いることにより、局
所的に、高時間分解能の電子線を用いた測定が行える。
また、通常の電子線は電子のスピンが上向きと下向き同
量含んでいるが、GaAs中に円偏光した光を入射する
とスピンの比率が約7対3と偏るため、本発明を用いる
ことにより、スピンが偏極した電子ビームを小さなスポ
ットに絞ることができる。この電子線は個体中の電子の
スピンの向きに対して選択的に相互作用するため、磁性
体などの中のスピンの構造の局所観察が可能となる。
【0024】本実施例においては電子放出源は直径1μ
m程度としたが、さらに小さな物を用いれば、より小さ
な焦点が得られるため、より微細構造の観察に便利であ
る。
【0025】本実施例においては電子放出源は平面であ
るが、実施例1で示したように、コーン型のような凸部
を形成しても同様の効果が得られる。
【0026】また、本実施例においては負の電子親和力
を示す材料の組み合わせとして、GaAsとCsを用い
たが、直接遷移型の半導体と仕事関数の低い吸着層の組
み合わせであれば、同様の効果が得られる。仕事関数の
低い吸着層としては、Csの他にCsOやBa,Ca等
の二価金属の酸化物を用いても良い。
【0027】(実施例3)図7に本発明の実施例の1つ
を示す。電解エッチングにより先端を尖らせた<310
>方位の単結晶W針70が、複数Wワイヤ71に溶接に
より固定され、これが碍子台73上のピン72に固定さ
れている(図7a)。単結晶W針70のうちの一本が引
き出し電極11に近接するように碍子台73の位置を移
動し、高真空中で引き出し電極11に対して−数百Vか
ら−1kV程度の電圧をWワイヤ71にかけると引き出
し電極11に近接した単結晶W針70のみから電子線が
放出される。高電流密度,長時間の電子放出を行うと、
単結晶W針70が劣化し、電流密度の減少,ノイズの増
加等が起きてくる。その場合は、碍子台73を移動し他
の未使用の単結晶W針70を使用することができる。従
って、SEMや透過電子顕微鏡等の分析,計測装置や、
電子線描画装置の様な半導体製造装置等の電子ビーム応
用装置の電子線源として本発明を応用することにより、
長期にわたり電子放出源の交換の必要がなく使い勝手の
良い装置を提供することができる。
【0028】なお、本実施例において単結晶W針70表
面に吸着層ができて放出電流が減少する場合にはWワイ
ヤ71に通電し、単結晶W針70を短時間加熱して吸着
層を蒸発させ放出電流量を回復させている。これを長期
間繰り返し行うと、単結晶W針70先端の曲率半径が大
きくなり放出電流が小さくなる、或いは単結晶W針70
が変形し、電子線の放出角度が変わる等の問題が出てく
ることがある。これを解決するには図7(b)に示すよ
うに碍子台73上に多数のピン72を設け、その上に単
結晶W針70一本につき一本のWワイヤ71を溶接す
る。碍子台73裏面に引き出し電極11と同軸上に固定
したフラッシングピンにより、電子放出する単結晶W針
70のみ加熱すれば、さらに長期間電子線源の交換無し
に装置を稼働させることができる。
【0029】本実施例においては電子放出源の例とし
て、電界放射型の電子線源を用いたが、さらに電流量の
必要な場合は、<100>方位の単結晶W針に仕事関数
の低いZrO2やTiO2やHfO2等を主成分とする酸
化物を拡散させ、1000℃〜1600℃程度に加熱し
て用いると良い。
【0030】(実施例4)図6に本発明の実施例の1つ
を示す。GaAs等の単結晶基板81表面に単原子層の
数分の1以下の金を蒸着し、この基板81を反応容器中
にいれ、400℃〜500℃に加熱し、トリメチルガリ
ウム(TMG)とアルシン(AsH3)をそれぞれ流量
10の−4乗モル/秒程度導入すると、金の吸着層があ
る部分にのみ数百nmの長さのGaAsの針状結晶82
が得られる。この表面に電子引き出し電極11を近接さ
せ、電圧をかけることにより、電子放出が得られる。一
本の針状結晶82は細く十分な電流をとることは難しい
が、電子引き出し電極11凸部の穴付近の複数本の針状
結晶82から電子を引き出すことができる(図8)。ま
た基板81上の場所により放電が安定しない、或いは電
流がとれない、針状結晶82がすぐに壊れる等の問題が
ある場合にも、基板81もしくは電子引き出し電極11
を移動させ、別の針状結晶82のグループを選択すれ
ば、解決される。
【0031】本実施例においては針状結晶の例として、
GaAsを用いたが、同様の形状であれば、W,Mo等
の金属或いは他のAlAs,Ge等の半導体、或いはこ
れらの組み合わせによるヘテロ構造を用いた針状結晶を
用いても同様の効果がある。
【0032】(実施例5)本発明の電子源を装置に応用
した一実施例を図9に示す。
【0033】電子引き出し電極11と電子放出源の乗っ
た基板支持台50に印加された電圧V1(約2.5k
V)により、電子放出源から電子線が放出される。次に
加速電極53に電圧V2(=100V)を印加し、所望
の加速電圧の電子線を得る。加速電極53を通過した電
子線はコンデンサレンズ94や絞り90及び対物レンズ
95により細く絞られて、試料97を照射する。このと
き発生する2次電子2次電子検出器98で検出し、その
検出信号強度を、電子線を試料97の表面上で2次元的
に走査する偏向器96の偏向信号と同期してCRT上に
表示すれば、SEM像が得られる。
【0034】本実施例においては、一つの電子放出源か
ら選択的に電子を放出させるために、圧電素子51を用
いて基板支持台50を移動させる。これにより、一つの
電子放出源が劣化しても別の電子放出源を使うことがで
き、長期間に渡り電子線源の交換無しに用いることがで
きる。また本実施例においては、絞り90に当たる電子
線量を微動センスアンプ92でモニタし、圧電素子ドラ
イバ93により基板支持台50を微動させ電子線量が最
大となる場所を探すという方法で、自動的に電子引き出
し電極11と基板支持台50との位置の最適化を行って
いる。このため、電子放出源の交換が短時間でかつ容易
に行えるという利点がある。
【0035】以上、本電子源の一利用装置例を示した。
本実施例において、レンズや偏向器の数や配置は本実施
例に限らず、本発明を実施できることはいうまでもな
い。
【0036】また、本実施例において走査電子顕微鏡を
例にとり、本発明の有効性を示したが、この電子線源を
半導体生産工程で用いられている電子線描画装置に応用
しても有用である。電子線描画法においては、高速で描
画するために電子線源の放射角電流密度にして約1mA
/sr程度の大電流密度を必要としており、電子線源の
不安定化や劣化を招くという問題があった。本発明によ
る電子線源を用いれば、多数の電子放出源を一つずつ使
用することができるため、この問題は、容易に解決され
る。
【0037】
【発明の効果】以上実施例を用いて説明して来たよう
に、本発明を用いることによって、基板上に形成した電
子放出源から、高品質の電子線を得ることができる。ま
た、電子放出源の乗った基板を交換することなしに装置
を長時間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の構造を示す図(a)と電子
放出源付近の拡大図(b)。
【図2】従来の電子線装置の模式図。
【図3】本発明の実施例1の原理を示す図(a)と電子
線強度と移動距離の関係図(b)と各部の寸法の説明図
(c)。
【図4】本発明の実施例1の電子放出源付近の断面構造
を示す図(a)とその電子エネルギー図(b)。
【図5】本発明の実施例1の圧電素子による移動機構の
概略図(a)と装置の断面模式図(b)とより移動量の
大きい機構図(c)。
【図6】本発明の実施例2の電子放出源の平面図(a)
と装置断面模式図(b)と電子エネルギー図(c)。
【図7】本発明の実施例3の装置の模式図(a)
(b)。
【図8】本発明の実施例4の装置の模式図。
【図9】本発明の実施例5の装置の模式図。
【符号の説明】
1…微小電子線源、2…引出電極、3…引出電極、4…
偏向板、5…微小電子線源、6…引出電極、7…駆動手
段、8…駆動手段、10…電子放出源の乗った基板、1
1…電子引き出し電極、12…カソード支持筒、13…
平行移動装置、14…ベローズ、15…電子装置容器、
16…ヒーター、17…アノード支持筒、18…真空容
器、19…電子放出源、20…Si基板、21…Wのコ
ーン型エミッタ、22…引き出し電極、23…絶縁膜、
24…放出される電子線、40…n+GaAs基板、4
1…AlAs障壁層、42…GaAs量子井戸層、43
…真空準位による障壁層、50…基板支持台、51…x
方向移動用圧電素子、52…y方向移動用圧電素子、5
3…加速電極、54…ハウジング、55…フレーム、6
0…p+GaAs基板、61…GaAs層、62…Cs
吸着層、63…絶縁膜、64…電子放出源、65…光、
70…単結晶W針、71…Wワイヤ、72…ピン、73
…碍子台、74…フラッシングピン、81…基板、82
…針状結晶、90…絞り、92…微動センスアンプ、9
3…圧電素子ドライバ、94…コンデンサレンズ、95
…電磁レンズ、96…偏向器、97…試料、98…二次
電子検出器。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された複数の電子放出源と、
    上記電子放出源の一つに向かって凸型に形成された先端
    部を有し、かつ電子線を通過させる開口部を有する引出
    電極と、上記電子放出源が形成された基板と上記引出電
    極との間で相対位置を移動させる移動手段とからなるこ
    とを特徴とする電子線源。
  2. 【請求項2】上記電子放出源の一つと上記引出電極に局
    部的に電界を印加する手段を有することを特徴とする請
    求項1に記載の電子線源。
  3. 【請求項3】基板上に形成された微細構造からなる電子
    放出源と、上記電子放出源に向かって凸型に形成された
    先端部を有し、かつ電子線を通過させる開口部を有する
    引出電極と、上記電子放出源が形成された基板と上記引
    出電極との間で相対位置を移動させる移動手段とからな
    ることを特徴とする電子線源。
  4. 【請求項4】上記電子放出源の一部と上記引出電極に電
    界を印加する手段を有することを特徴とする請求項3に
    記載の電子線源。
  5. 【請求項5】上記移動手段は、上記電子放出源が形成さ
    れた基板と上記引出電極とを電子線引出方向と垂直な方
    向に相対的に移動させる構造からなることを特徴とする
    請求項1から4に記載の電子線源。
  6. 【請求項6】上記移動手段は、ベローズシールあるいは
    磁気カップリング等の直線式移動手段、または回転導入
    器等の回転式移動手段、または圧電素子等からなること
    を特徴とする請求項5に記載の電子線源。
  7. 【請求項7】上記引出電極の凸型先端部の幅l(エル)
    は、基板表面上の目的とする電子放出源と近接する他の
    電子放出源との距離Lの1.5倍と同程度かそれ以下、
    上記引出電極の凸型先端部と電子放出源との距離Hは前
    記距離Lの5倍以下、上記電子線引出方向と前記引き出
    し電極の凸型先端部から基部に向かった稜線とのなす角
    θは20度以上70度以下の構造からなることを特徴と
    する請求項1から5のいずれか記載の電子線源。
  8. 【請求項8】上記電子放出源が形成された基板の近傍
    に、上記電子放出源を加熱する加熱手段を有することを
    特徴とする請求項1から4に記載の電子線源。
  9. 【請求項9】上記電子放出源は、針状に形成された先端
    部を有し、上記電子放出源は基板の表面から前記先端部
    までの高さhが上記開口部の幅kの10分の1よりも大
    きく、特にh>kを好適とし、かつ先端付近に電界集中
    する構造からなることを特徴とする請求項1から4に記
    載の電子線源。
  10. 【請求項10】上記電子放出源の先端部は、電子に対す
    る障壁層と量子井戸層及び高電界で形成された真空準位
    による二重障壁層を有し、上記二重障壁層が共鳴トンネ
    ル効果を得る構造からなることを特徴とする請求項9に
    記載の電子線源。
  11. 【請求項11】上記電子放出源及びその基板を構成する
    材料の一部或いは全部が単結晶GaAs等の半導体材料
    からなり、上記電子放出源の表面にCs或いはCs酸化
    物等の仕事関数の低い材料の薄膜の被覆を有し、前記半
    導体材料にそのバンドギャップより高いエネルギーの光
    を照射する機構を備えたことを特徴とする請求項1から
    10のいずれか記載の電子線源。
  12. 【請求項12】上記電子放出源は、W等の高融点金属の
    単結晶針からなり、上記単結晶針はW等の高融点金属の
    針金を介して絶縁体の基体に備え付けられていることを
    特徴とする請求項1から11のいずれか記載の電子線
    源。
  13. 【請求項13】上記電子放出源は、結晶体あるいは多結
    晶体の基体上に気相成長法等により形成された複数の針
    状結晶であることを特徴とする請求項1から11のいず
    れか記載の電子線源。
  14. 【請求項14】上記電子放出源は、W,Mo等の高融点
    金属の単結晶もしくは多結晶体を含み、その金属の表面
    にTi,Zr,Hf,Y,Nb,Th,Mg等の電気陰
    性度が小さい金属元素のうちの少なくとも一つと酸素を
    同時或いは別々に1400Kから2000Kの温度に加
    熱して表面拡散により補給する、拡散補給型電子線源で
    あること特徴とする請求項1から13のいづれか記載の
    電子線源。
  15. 【請求項15】請求項1から14のいづれか記載の電子
    源を用いたことを特徴とする分析、計測装置あるいは電
    子線描画装置などの電子線応用装置。
  16. 【請求項16】請求項15の電子線応用装置において、
    電子線源から放出された電子線経路中に置かれた電子線
    量を計測する手段と電子放出源と電子引き出し電極との
    相対位置を電気信号により移動させる手段と計測された
    電子線量の大きさに基づいて電気信号を発生させる手段
    とを持ち、既電子線量を電子放出源と電子引き出し電極
    との相対位置にフィードバックさせること特徴とする電
    子線応用装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008021535A (ja) * 2006-07-13 2008-01-31 Sumitomo Electric Ind Ltd 電子放射源
WO2008133275A1 (ja) 2007-04-25 2008-11-06 Crestec Corporation 面放出型電子源および描画装置
JP2012142269A (ja) * 2010-12-31 2012-07-26 Fei Co 選択可能な複数の粒子放出器を備える荷電粒子源

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