JP3020059B1 - 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設 - Google Patents

昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設

Info

Publication number
JP3020059B1
JP3020059B1 JP10291550A JP29155098A JP3020059B1 JP 3020059 B1 JP3020059 B1 JP 3020059B1 JP 10291550 A JP10291550 A JP 10291550A JP 29155098 A JP29155098 A JP 29155098A JP 3020059 B1 JP3020059 B1 JP 3020059B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
facility
article
facilities
temple
restoring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10291550A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000103200A (ja
Inventor
龍夫 桃井
Original Assignee
龍夫 桃井
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 龍夫 桃井 filed Critical 龍夫 桃井
Priority to JP10291550A priority Critical patent/JP3020059B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3020059B1 publication Critical patent/JP3020059B1/ja
Publication of JP2000103200A publication Critical patent/JP2000103200A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cleaning By Liquid Or Steam (AREA)
  • Cleaning In General (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 修復作業をしている間でも一時中断して昔か
らの施設・物品を使用することができると共に、ほぼ最
初から作り直すのと変わらない位の大がかりな修復作業
が不要で著しく簡単な作業により修復することができ
る、昔からの施設・物品の修復方法を提供する。 【解決手段】 昔からの施設・物品の近くでその施設・
物品の修復作業をするための環境を整え、施設・物品を
洗浄して表面に付着していた汚れを除去し、洗浄した施
設・物品の水分を除去して乾燥させ、乾燥させた施設・
物品の表面の指で感じられる細かい凹凸を研磨して滑ら
かにし、施設・物品の元の色と同じ色合いに配合した合
成樹脂塗料を施設・物品の表面に塗布し、施設・物品の
表面全体に光沢復元剤を塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、昔からあ
る寺院の仏壇やその前の飾り門柱、或いはその横の階段
部の手摺り等の寺院施設とか、寺院に昔からある経机、
焼香机、書見台、中央香台、登高座、仏像等々の仏具等
を修復するための、昔からの施設・物品の修復方法及び
これを用いて修復した昔からの施設・物品に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば寺院の多くは古い時期(昔)に建
立されたものであり、このためその仏具等の備品も、昔
の大名や地域の有力者等から寄進されたりした昔からの
ものが多い。それらの昔からの寺院の施設や備品は、長
年の使用、或いは時間の経過によりすっかり劣化してし
まっている。
【0003】例えば、仏具の漆塗りの表面には大小のい
くつもの割れ、角の欠け、傷等が付いていて、これらは
乾燥により木の目に沿ってひび割れしたり、或いはそれ
らの持ち運びや移動するときに落したり何かにぶつけた
ときに出来たものと思われる。そして、そのような傷の
割れ目から空気中の水分や湿気が浸透すると、傷の周辺
を膨張させ、その膨張した部分がさらに内部から押し上
げられて、やがては亀裂を生じて漆は剥離してしまう。
【0004】また、仏具の表面に傷が付いていなくと
も、その漆塗りの表面はすっかりくすんだ色に変色して
しまっているが、これは数十年、数百年の間に線香や香
を焚いた煙りにより、すなわちその煙りに含まれている
油成分によって変色したものと思われる。或いは窓や出
入口等から射し込む日射しや紫外線が当って、漆が変質
することにより変色したものと思われる。
【0005】また、金箔を張った部分は漆塗りの部分よ
り軟らかくて傷が付き易く、そして剥がれ易いと共に、
線香や香を焚いた煙りに含まれている油成分が付着して
汚れとなり、その金箔の元の輝きはすっかり失われてし
まっている。
【0006】さらに、漆塗りの部分の内部の木部にも変
化は及び、仏具の角が欠けたり、木と木の接着部が離れ
て口を開けたりしている。この接着部の離れは、その接
着部の表面の漆が剥離して、接着部に用いられていたニ
カワ(膠)が露出して、外側からの湿気や汚れ等に曝さ
れて、ニカワが変質,劣化してその接着力を失ったため
に生じたものと思われる。
【0007】このように劣化してしまった仏具等を少し
でも綺麗にしようと思って、へたに水を含ませて雑巾掛
けでもしようものなら、さらに漆や金箔,木部等の、剥
離や変色,割れ等を招くという逆効果を生じてしまいか
ねず、手の施しようがなくなっているものが多数ある。
【0008】このように仏具等が劣化してしまっている
にもかかわらず、現在でも使用されているものが沢山あ
る。また使用されていなくとも、それらの仏具等を捨て
るわけにもいかず、古くなったまま保管されている。昔
その仏具等を寄進した先祖の代々の子孫がまだ檀家とし
て続いていたり、数十年、数百年、或いはそれ以上にわ
たって使用されてきた仏具や仏像には、人の魂がこもっ
ていると宗教的に考えられるようなことに起因するもの
と思われる。
【0009】しかし寺院としては、あまりにも古びて劣
化してしまったそのような仏具等を、なんとか修復して
見映えを良くし、気持ち良く使えるようにすることはで
きないものか、との思いがあるのは当然であるが、後述
するような理由により思うようにいってはいないようで
ある。
【0010】従来の寺院の仏具等の修復方法としては、
まずその仏具等を寺院から運び出して修復業者の工場へ
持ち込み、その工場で修復作業を行なうようになってい
る。そしてその修復作業としては、初めに、仏具等の表
面の漆塗り等の旧塗膜を、砥粒を付着させた円板状の研
磨板を回転させて研磨作業に用いる電気サンダーのよう
な電動工具、或いは鉋等を用いて削り落し、金箔も剥離
させる。
【0011】そして、旧塗膜の下から出てきた下地の木
部全体を、電気サンダーやサンドペーパー等を使って、
目の粗さを粗い方から細かい方に順次変えていき、表面
を何度も磨いて平滑にする。また、変形した木材部分は
新しい木材と部分的に交換して復元する。そして、やは
り表面を何度も磨いて平滑にする。
【0012】それから、平滑にされた下地の木部の表面
に、漆の下塗りを数回、中塗りを数回、上塗りを数回行
ない、それらの塗りの都度乾燥させる。そして、仏具等
の金箔を貼るべき箇所には、箔下漆を塗ってから金箔を
貼るようにして、最初から作り直すのと変わらない位の
大がかりな修復作業が行なわれる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の寺院の仏具等の修復方法においては、仏具等
を寺院から遠く離れた修復業者の工場へ運び出して行な
う上に、その修復は最初から作り直すのと変わらない位
の大がかりな修復作業を行なうために2、3ヵ月位かか
ってしまうので、その間寺院ではその仏具が使えなくな
り、寺院における各種の仏事、催し事を行なうのに支障
を来すという問題がある。
【0014】また、上記のような最初から作り直すのと
変わらない位の大がかりな修復作業を行なうために、新
品を作るのと変わらない位の費用がかかる他、寺院と工
場の間の運搬費や消費税等を入れると、恵まれた有名な
ごく一部の寺院を除き、ほとんどの寺院にとってはとて
も払いきれないような高い費用がかかってしまう。
【0015】このようなことから、寺院としては仏具等
を修復したくとも容易にはできない状況にあった。ま
た、寺院の建物に作り付けの仏壇や、その前の飾り門
柱、或いはその横の階段部の手摺り等の固定施設部分に
あっては、寺院からそれらを外して持ち出すことができ
ないので、それらの修復も工場ではできないというよう
な問題があった。
【0016】そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、修
復作業をしている間でも一時中断して昔からの施設・物
品を使用することができると共に、ほぼ最初から作り直
すのと変わらない位の大がかりな修復作業が不要で著し
く簡単な作業により修復することができる、昔からの施
設・物品の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの
施設・物品を提供することを課題とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明による昔からの施設・物品の修復方法は、昔
からの施設・物品の近くでその施設・物品の修復作業を
するための環境を整える第1工程と、前記施設・物品を
洗浄して表面に付着していた汚れを除去する第2工程
と、前記洗浄した施設・物品の水分を除去して乾燥させ
る第3工程と、前記乾燥させた施設・物品の表面の指で
感じられる細かい凹凸を研磨して滑らかにする第4工程
と、前記施設・物品の元の色と同じ色合いに配合した合
成樹脂塗料を施設・物品の表面に塗布する第5工程と、
前記施設・物品の表面全体に光沢復元剤を塗布する第6
工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】このような構成の昔からの施設・物品の修
復方法によれば、昔からの施設や物品が昔からあるその
場所の近くで修復作業をするため、修復作業をしている
間でも一時中断して昔からの施設・物品を使用すること
ができると共に、建物に作り付けの固定施設部分にあっ
ても修復作業が可能となる。また、従来のようなほぼ最
初から作り直すのと変わらない位の大がかりな修復作業
が不要で著しく簡単な作業で済むので、著しく安価な費
用で修復作業をすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面に基づいて具体的に説明する。図1及び図2
は、本発明による昔からの施設・物品の修復方法及びこ
れを用いて修復した昔からの施設・物品の第1の実施の
形態について説明するために参照する図である。
【0020】図1は、寺院で用いられる昔からの施設・
物品の一つとしての仏具を示すものである。同図に示す
仏具10は、書見台等を上に載せる台のようなものであ
り、その表面の大部分には漆塗りが施されており、内部
の下地は木材が用いられた木部となっていて、その木部
により仏具10の外形が形成されている。
【0021】このような仏具10の側部には飾り模様1
2が凹んで形成されており、この飾り模様12の凹んで
引込んだ面には金箔が張られている。また、仏具10の
上下2枚の板部14,15の四隅部には、真鍮のような
材料で作られた飾り板20が取り付けられている。ま
た、中間胴部17の四隅部や、中間胴部17の長さ中央
部に設けられた柱部材19の各々の両端部にも、上記飾
り板20が取り付けられている。
【0022】このような昔からの仏具10は、従来の技
術の欄で詳しく説明したように、長年の使用や時間の経
過によりすっかり風化、劣化したり、かなり傷んでお
り、このような昔からの仏具10の修復方法について、
図2のフローチャートに基づいて、以下に説明する。
【0023】まず、昔からの仏具10が使われている場
所、又はそれが保管されている場所の近くで、仏具10
の修復作業を行なうのに適当な広さのある場所、例えば
寺院の本堂とか庫裡(庫裏)等に、仏具10の修復作業
を行なうのに適した環境を整える(図2のステップS
1)。すなわち、仏具10の修復作業のために、その作
業現場は散らかったり汚れたりするので、床や畳の上を
汚さないようにその上にマスキングテープを貼ったりビ
ニールシート等を敷く。
【0024】それからその作業現場に仏具10を運んで
来て、その仏具10の修復作業を開始する。もちろん、
仏具10以外の仏具や備品もいくつか同時に修復作業を
行なうことは可能であり、そのようにする方が効率的で
あるので、ほとんどの場合は複数の仏具や備品が同時に
修復作業を行なわれることになると考えられる。
【0025】次に、仏具10を洗浄してその表面の汚れ
を除去する(図2のステップS2)。例えば仏具10は
洗剤をスプレー等により吹き付けて洗剤により洗浄し、
細かい部分や狭い部分も隅々まで洗浄する。その後水を
スプレー等により吹き付けて洗剤を落とし、その後、タ
オルや雑巾等で水を拭き取って乾燥させる(図2のステ
ップS3)。
【0026】上記洗浄に用いる洗剤としては、業務用特
殊中性洗剤(汎用、表面洗剤、有機溶剤、液性、再汚染
防止、光沢低下防止、除菌剤配合、無アルカリ性、特殊
界面活性剤、天然香料等が入った洗剤)が用いられる
が、このような、アルカリ性等の強い溶解性を有する薬
品等が入っていない洗剤を使用することにより、汚れ以
外の漆の塗膜等を落とすことなく、汚れだけを確実に落
とすことができる。
【0027】金箔の部分も、洗剤をスプレー等により吹
き付けた後、毛の柔らかい刷毛で軽く拭くようにして汚
れを落とす。その後水をスプレー等により吹き付けて洗
剤を残さないように落とした後、脱脂綿で押えて水分を
吸い取って乾燥させる。このことにより汚れを完全に落
とすことができ、飾り模様12の金箔の元の光沢が甦
り、洗浄により金箔が落ちることを防止することができ
る。
【0028】仏具10の乾燥後2時間位したら、最も目
の細かい水ペーパーで、水を付けながら、金箔以外の漆
塗り部を、拭くように全体をなぞるようにして磨くこと
により、表面の指で触るとざらざらした細かい粒子を摩
滅させて滑らかにする(図2のステップS4)。このこ
とにより、漆塗り部と共に真鍮のような材料で作られた
飾り板20も元の光沢が甦る。そしてその後、濡らした
タオル等により水拭きして乾燥させる。
【0029】次に、漆塗りの艶に最も近いとされる合成
樹脂塗料を、必要に応じて赤、黒、えび茶、白等の色同
士を混合して古い漆塗りに近い色合わせを行ない、刷毛
で塗膜の厚さを薄くして2,3回、飾り模様12や飾り
板20以外の部分に塗る(図2のステップS5)。そし
て、その都度乾燥させながら、最も目の細かい水ペーパ
ーで磨き、上記のようなざらざらした細かい粒子を摩滅
させて滑らかにすることができる。
【0030】次に、仏具10の漆塗り部分、飾り模様1
2の金箔部分、及び飾り板20を含めて全体を、業務用
光沢復元水性樹脂ワックス(光沢復元剤)を平均5回、
状況に応じて6〜8回刷毛で塗布する(図2のステップ
S6)。そしてその都度2時間位自然に乾燥させるが、
2回目の乾燥後と、4回目の乾燥後に、最も目の細かい
水ペーパーで、ごく軽く磨いて上記のような細かい粒子
を摩滅させることにより、漆塗りの光沢と色合い、手触
りが元のように甦り、また、飾り模様12の金箔部分や
飾り板20も元のように輝きを取り戻すことができる。
【0031】このときに用いる業務用光沢復元水性樹脂
ワックスとしては、光沢復元性に優れ、激しい使用にも
耐えて剥がれることはなく、傷も付き難い強靱な材料で
あることが望ましい。
【0032】また、業務用光沢復元水性樹脂ワックスを
塗ることにより、漆表面の塗膜に直接当たる日射しや紫
外線から保護し、全体表面の風化を防止し、線香や香を
焚いた煙りが漆表面の塗膜に直接付着して、その煙りの
油成分により漆表面を変色させることを防止することが
できる。
【0033】業務用光沢復元水性樹脂ワックスとして
は、例えばアクリル系樹脂、アルカリ可溶性樹脂、合成
蝋、可塑剤等を含んだ樹脂を用いることができる。また
漆は天然の複合樹脂で、他の物質となじむ性質に優れて
おり、上記のような光沢復元剤との間で化学反応による
変色,変質等が起こる心配はない。
【0034】また上記のように業務用光沢復元水性樹脂
ワックスを塗った仏具10の表面は、漆塗りの塗膜の表
面より硬くなって傷が付き難いので、毎日埃や煙りの油
成分を落とすために拭き掃除をしても傷が付き難く、金
箔部分も毎日拭いても剥がれ落ちたり光沢が失われるこ
とはない。
【0035】このような特性は非常に耐久性に優れ、寺
院の屋内でおそらく20年以上にわたり、煙りや紫外線
に当たっても仏具10の表面が変色したり、自然剥離を
したり、樹脂ワックスの膜厚が摩滅したり、消滅したり
することを防止することができる。
【0036】図3は、本発明の第2の実施の形態に係る
昔からの施設・物品の修復方法の手順を示すフローチャ
ートである。前記第1の実施の形態においては、仏具1
0に形状が損なわれた箇所がなかった場合について説明
したが、この第2の実施の形態においては、仏具10に
形状が損なわれた箇所がある場合における昔からの施設
・物品の修復方法に係るものである。
【0037】図3に示すステップS1からステップS4
までの手順は前記第1の実施の形態と同様である。しか
し、ステップS4の次は、角が欠けたりつぶれたり凹ん
だりと、仏具10に形状が損なわれた箇所がある場合
は、それらを修復する(図3のステップS5)。
【0038】すなわち、仏具10の形状が損なわれた箇
所をサンドペーパーで磨いたり、鉋をかけたりして、ご
く小さな凹凸を均(なら)し、それから、サンドペーパ
ーによって削られて生じた粉末をエアーや洗浄により完
全に除去して乾燥させる。その後、パテのような形状復
元材を用いて、形状が損なわれた箇所に盛り付けたり、
埋めたりして形状を元通りに復元し、そのパテを乾燥さ
せて固まらせた後、サンドペーパーの目の粗い方から順
次細かいのを用いて、そのパテを磨いて滑らかにする。
【0039】その後は、前記第1の実施の形態のステッ
プS5と同様に仏具10の表面に色合わせの混合をした
合成樹脂塗料を塗布し(図3のステップS6)、それか
ら前記第1の実施の形態のステップS6と同様に仏具1
0の表面に光沢復元剤を塗布する(図3のステップS
7)。このような第2の実施の形態によれば、仏具10
に形状が損なわれた箇所があっても、前記第1の実施の
形態と同様に仏具10を元通りに修復することができ
る。
【0040】図4は、本発明の第3の実施の形態に係る
昔からの施設・物品の修復方法の手順を示すフローチャ
ートである。前記第1の実施の形態においては、仏具1
0に金箔部分に特に大きく損なわれた部分がなかった場
合について説明したが、この第3の実施の形態において
は、仏具10に金箔部分に特に大きく損なわれた部分が
ある場合における昔からの施設・物品の修復方法に係る
ものである。
【0041】図3に示すステップS1からステップS4
までの手順は前記第1の実施の形態と同様である。しか
し、ステップS4の次は、金箔部分に大きな剥離や、大
きな傷がある場合等、仏具10に甚だ損なわれた金箔部
分がある場合は、それらを修復する(図3のステップS
5)。
【0042】すなわち、金箔部分の大きな傷に対して
は、目が細かい水ペーパーにより水をつけながら磨いて
滑らかにする。それから、金粉、金泥等を膠水と水に溶
かして、それを刷毛で傷のある部分に塗ることにより、
金箔部分の大きな傷に対する修復を行なうことができ
る。
【0043】金箔が大きく(例えば直径10〜20cm
の円形に)剥離した部分に対しては、目が細かい水ペー
パーにより水をつけながら金箔の下地を磨いて滑らかに
し、それから膠水を薄めて金箔の下地に刷毛で塗って、
その金箔の剥離した部分に新たに金箔を貼る。そして、
その金箔の表面を脱脂綿で静かに軽く押して密着させ、
自然乾燥させた後で、金箔の表面の汚れや油分を脱脂綿
等で拭き取る。
【0044】その後は、前記第1の実施の形態のステッ
プS5と同様に仏具10の表面に色合わせの混合をした
合成樹脂塗料を塗布し(図4のステップS6)、それか
ら前記第1の実施の形態のステップS6と同様に仏具1
0の表面に光沢復元剤を塗布する(図4のステップS
7)。このような第3の実施の形態によれば、仏具10
に金箔部分に特に大きく損なわれた部分があっても、前
記第1の実施の形態と同様に仏具10を元通りに修復す
ることができる。
【0045】図5は、本発明の第4の実施の形態に係る
昔からの施設・物品の修復方法の手順を示すフローチャ
ートである。この第4の実施の形態は、前記第2,第3
の実施の形態を互いに兼ね備えたものである。すなわ
ち、本実施の形態のステップS1〜S4は前記第2,第
3の実施の形態におけるステップS1〜S4と同じであ
る。
【0046】そして、前記第2の実施の形態における図
3のステップS5と同じ作業を本実施の形態を示す図5
のステップS5において行ない、前記第3の実施の形態
における図4のステップS5と同じ作業を本実施の形態
を示す図5のステップS6において行なうようになって
いる。
【0047】そして、本実施の形態のステップS7,S
8は前記第2,第3の実施の形態における図3,図4の
ステップS6,S7と同じ作業を行なうものである。こ
のような第4の実施の形態によれば、前記第2,第3の
実施の形態と同様に仏具10を元通りに修復することが
できる。
【0048】なお、前記第1〜第4の実施の形態におい
ては、図1に示す仏具10のような、独立して持ち運び
できるような物品の修復方法について説明したが、本発
明は、昔からの施設が使われている場所の近くでその修
復作業を行なうので、図6に示す第5の実施の形態のよ
うに、独立して持ち運びできない、寺院の建物に作り付
けの仏壇22や、その前の飾り門柱24、或いはその横
の階段部の手摺り26等の固定施設部分にあっても、そ
れらについた汚れや傷等の修復において本発明を適用す
ることが可能である。
【0049】また、前記第1〜第4の実施の形態におい
ては、仏具10のような仏具について本発明を適用した
場合について説明したが、本発明は、仏像や仁王像等
の、他の仏具や備品、或いはこれらに類似する物品につ
いても適用することができる。
【0050】以上、本発明の実施の形態について具体的
に述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の技術的思想に基づいて、その
他にも各種の変更が可能なものである。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
昔からの施設や物品が昔からあるその場所の近くで修復
作業をするため、修復作業をしている間でも一時中断し
て昔からの施設・物品を使用することができると共に、
建物に作り付けの固定施設部分にあっても修復作業が可
能となる。また、従来のようなほぼ最初から作り直すの
と変わらない位の大がかりな修復作業が不要で著しく簡
単な作業で済むので、著しく安価な費用で修復作業をす
ることができる。
【0052】また、従来修復に必要とされた2,3ヵ月
よりもはるかに短い期間、例えば1週間から1ヵ月前後
で修復作業は終わるので、寺院における各種の仏事、催
し事を行なうのに支障を来すことを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】昔からの仏具10を示すその斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る昔からの施設
・物品の修復方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る昔からの施設
・物品の修復方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る昔からの施設
・物品の修復方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る昔からの施設
・物品の修復方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る寺院内の作り
付けの固定施設部分を示す正面図である。
【符号の説明】
10 仏具 12 飾り模様 14,15 板部 17 中間胴部 19 柱部材 20 飾り板 22 仏壇 24 飾り門柱 26 手摺り

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昔からの寺院内の木製の物品や施設を修
    復するための方法であって、 寺院内で前記物品や施設 の修復作業をするための環境を
    整える第1工程と、 前記物品や施設を強い溶解性を有する液体が入っていな
    い中性洗剤又はこれと同等の洗剤を、家庭用の簡易な霧
    吹き器のようなスプレー等により吹き付けると共に/又
    は刷毛等を用いて洗浄して表面に付着していた汚れを除
    去する第2工程と、 前記洗浄した物品や施設の水分を吸水材により吸い取る
    等して除去して乾燥させる第3工程と、 前記乾燥させた物品や施設の表面の指で感じられる細か
    い凹凸を最も目の細かい水ペーパー又はこれと同等のも
    のを用いて研磨して滑らかにする第4工程と、前記物品や施設に形状が損われた箇所があるときはこの
    箇所の形状を復元させる第5工程と、 前記物品や施設に金箔部分が損われた箇所があるときは
    この金箔部分に水等に溶かした金粉や金泥等を塗布した
    り、新たに金箔を貼って修復する第6工程と、 前記物品や施設の元の漆等 の色と同じ色合いに配合した
    合成樹脂塗料を繰り返し前記物品や施設の表面の金箔部
    分以外の部分に塗布する第7工程と、 前記物品や施設の表面全体に合成樹脂ワックス又はこれ
    と同等の光沢復元剤を繰り返し塗布する第8工程とを備
    えたことを特徴とする昔からの寺院内の物品や施設の修
    復方法。
  2. 【請求項2】 昔からの寺院内の木製の物品や施設を修
    復するための方法であって、 寺院内で前記物品や施設の修復作業をするための環境を
    整える第1工程と、 前記物品や施設を強い溶解性を有する液体が入っていな
    い中性洗剤又はこれと同等の洗剤を、家庭用の簡易な霧
    吹き器のようなスプレー等により吹き付けると共に/又
    は刷毛等を用いて洗浄して表面に付着していた汚れを除
    去する第2工程と、 前記洗浄した物品や施設の水分を吸水材により吸い取る
    等して除去して乾燥さ せる第3工程と、 前記乾燥させた物品や施設の表面の指で感じられる細か
    い凹凸を最も目の細かい水ペーパー又はこれと同等のも
    のを用いて研磨して滑らかにする第4工程と、 前記物品
    や施設に形状が損われた箇所があるときはこの箇所の形
    状を復元させる第5工程と、 前記物品や施設に金箔部分が損われた箇所があるときは
    この金箔部分に水等に溶かした金粉や金泥等を塗布した
    り、新たに金箔を貼って修復する第6工程と、 前記物品や施設の元の漆等の色と同じ色合いに配合した
    合成樹脂塗料を繰り返し前記物品や施設の表面の金箔部
    分以外の部分に塗布する第7工程と、 前記物品や施設の表面全体に合成樹脂ワックス又はこれ
    と同等の光沢復元剤を繰り返し塗布する第8工程と を備
    えた昔からの寺院内の物品や施設の修復方法を用いて修
    復した ことを特徴とする昔からの寺院内の物品や施設。
JP10291550A 1998-09-29 1998-09-29 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設 Expired - Fee Related JP3020059B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10291550A JP3020059B1 (ja) 1998-09-29 1998-09-29 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10291550A JP3020059B1 (ja) 1998-09-29 1998-09-29 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP3020059B1 true JP3020059B1 (ja) 2000-03-15
JP2000103200A JP2000103200A (ja) 2000-04-11

Family

ID=17770376

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10291550A Expired - Fee Related JP3020059B1 (ja) 1998-09-29 1998-09-29 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3020059B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6828162B1 (en) 2001-06-28 2004-12-07 Advanced Micro Devices, Inc. System and method for active control of BPSG deposition

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004237191A (ja) * 2003-02-05 2004-08-26 Kenzaburo Sato 仏壇・仏具の洗浄方法
JP5736153B2 (ja) * 2010-11-12 2015-06-17 株式会社メイクリーン 宗教用有体物の一部表面の補修方法
JP2013053500A (ja) * 2011-08-31 2013-03-21 Serving Co Ltd フローリング等木質建材のリニューアル工法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6828162B1 (en) 2001-06-28 2004-12-07 Advanced Micro Devices, Inc. System and method for active control of BPSG deposition

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000103200A (ja) 2000-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106216210A (zh) 一种高品质家具的仿古油漆喷涂工艺
JP3020059B1 (ja) 昔からの寺院内の物品や施設の修復方法及びこれを用いて修復した昔からの寺院内の物品や施設
US11278931B2 (en) Wood treatment method
CN102824991A (zh) 一种古建筑木制品涂刷油漆的方法
CN107574994A (zh) 白色石材拼接工艺
KR20100041614A (ko) 목재 가구용 표면처리 방법
CN106111502A (zh) 一种红木家具烫蜡工艺
CN101638030B (zh) 现代家具装饰中仿古白脱落效果的施工方法
KR200245056Y1 (ko) 칠기공예 상
KR101604573B1 (ko) 가구용 천연석재의 제조방법 및 이를 이용하여 제조된 내오염성을 구비한 천연석재 가구
US10279374B1 (en) Methods and compositions for resurfacing wooden surfaces
CN100577379C (zh) 一种聚氨酯漆复合地板的制备方法
JP3318544B2 (ja) 木質系床の再塗装方法
Fomicheva Garden chair restoration
JP4381529B2 (ja) 塗装製品の色補修方法
CN116552160A (zh) 一种木雕贴金处理方法
JP2007152189A (ja) ハウスクリーニングシステム、床石クリーニングシステム、床防滑クリーニングシステム、カーペットクリーニングシステム及び総合クリーニングシステム
EP1700903B1 (en) Method for eliminating corrosion stains caused by acid foodstuffs from marble surfaces
Brown Care of wood finishes
McGibney Cinderella Furniture
Saunders School's Out Forever
JPS642958Y2 (ja)
CN102343737A (zh) 相册及图书制作行业快速高效打磨喷漆法
CN109420602A (zh) 在大型建筑装修中对木饰面装饰板油漆快速施工的工艺
KR20080005305U (ko) 다중 화장보드

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080114

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090114

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090114

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100114

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees