【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、防音型空気圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の防音型空気圧縮機は図8に示すように圧縮空気を冷却するアフタクーラ を備えない防音型空気圧縮機と図9に示すようにアフタクーラを備えた防音型空 気圧縮機が知られている。図8のものを説明すると、1はフレーム2上に設けた 防音箱であり、このフレーム2上には吐出し式ファン3を装備したエンジン4が 配置され、このエンジン4には油冷式の圧縮機本体5が連結され、さらにこの圧 縮機本体5の後方(図中右側)にはオイルセパレータ(図示せず)を有するレシ ーバタンク6が配置されている。一方、フレーム2上の他側には前記吐出し式フ ァン3に対向してエンジン用ラジエータ7、圧縮機の潤滑油冷却用のオイルクー ラ8が配置されている。尚、9は前記レシーバタンク6と配管を介して連結した 消費側に対する圧縮空気供給弁である。
【0003】 そして図8の防音型空気圧縮機の運転時には、エンジン4により圧縮機本体5 が駆動される。この圧縮機本体5には潤滑や冷却のために、レシーバタンク6か ら圧縮機用オイルクーラ8を介して冷却された油が圧送供給される。そして圧縮 機本体5からは、前記油を含んだ圧縮空気(吐出空気)が吐出する。この圧縮空 気はレシーバタンク6に内蔵のオイルセパレータ(図示せず)を通り、ここで圧 縮空気と油に分離される。分離された油はレシーバタンク6内で重力により流下 し貯溜される。一方、油と分離された圧縮空気は圧縮空気供給弁9を介して空気 圧工具等を駆動する消費側に供給される。前記エンジン用ラジエータ7はエンジ ン4の冷却水が通り、冷却風と熱交換するものである。さらに前記吐出し式ファ ン3は回転により冷却風は矢印で示すように、空気吸入口(図示せず)から防音 箱1内に冷却風を吸入し、エンジン用ラジエータ7、オイルクーラ8に冷却風を 送風して排風口から機外へ排出する。これにより前記エンジン用ラジエータ7、 圧縮機用オイルクーラ8が防音箱1内で冷却されるようになっている。
【0004】 図9に示したアフタクーラを備えた防音型空気圧縮機は、前記図8で示した防 音型空気圧縮機においてさらに、アフタクーラ11を配置すると共に、このアフタ クーラ11にフレーム2A上のー側に設けたドレーンタンク12を連結し、そしてこ のドレーンタンク12には消費側供給弁13が連結されている。尚、14はドレーン排 出用の弁である。
【0005】 したがって、レシーバタンク6から吐出された圧縮空気はアフタクーラ13によ り冷却され、そこで凝縮した空気中の水分はドレーンタンク12によって圧縮空気 と分離され、凝縮した圧縮空気中の水分が捕捉されたドレーンはドレーンタンク 12に貯溜される。したがって、アフタクーラ12を設けることにより圧縮空気を予 め摂氏20度乃至40度に冷却し、消費側に供給する前に圧縮空気中の水分を除 去することができる。
【0006】 しかしながら、アフタクーラがない図8のものにおいては、空気圧工具等の駆 動部に腐食を生じせ閉めるという不都合があった。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
前記図8で示したアフタクーラ及びその付属装置を有しない機種の防音型空気 圧縮機、図9で示したアフタクーラ及びその付属装置を有する防音型空気圧縮機 を選ぶかは、ユーザーの使用用途等によって決定されるものであるが、そのため に製造過程においては夫々を区別して製作する必要がある。このように夫々専用 のフレームを製作することが生産コストを高くしている要因であった。
【0008】 このために部品の共通化という見地からフレームの共通化が課題となっていた 。すなわち、アフタクーラ及びその付属品を有しない機種にアフタクーラ等を有 する機種の防音型空気圧縮機のフレームを兼用することで部品の共通化を図るも のである。
【0009】 しかしながら、上述のようにアフタクーラ等を有しない機種にアフタクーラ等 を有する機種の防音型空気圧縮機のフレームを兼用した場合には、予めアフタク ーラ、ドレーンタンクのスペースを設けておく必要があるので、図8のものを組 立てる場合には、図9においてアフタクーラ11、ドレーンタンク12を無くすこと になるので、該箇所に空洞部が生じ、この結果アフタクーラ等を有しない機種の 防音型空気圧縮機においては無用に大型化するという問題があった。
【0010】 また、図9の防音型空気圧縮機の場合には、例えば圧縮機本体5から吐出され る圧縮空気の量が少ないときには、レシーバタンク6の温度が低下し、この結果 レシーバタンク6内で結露が生じてしまい、圧縮機本体5に供給される冷却、潤 滑用の油に水分が混入していわゆる油の乳化現象が起きる虞もあった。
【0011】 そこで、本考案はフレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファンを装着 したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レシーバ タンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気冷却用 のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備えた防 音型空気圧縮機において、アフタクーラ等のない機種にもフレームの共通化を図 れる防音型空気圧縮機を提供することを目的とする。さらに本考案はレシーバタ ンク内の結露を防止できる防音型空気圧縮機を提供することを目的とする。また 、本考案はアフタクーラ等をコンパクトに収納できる防音型空気圧縮機を提供す ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の防音型空気圧縮機は、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐 出し式ファンを装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮 機本体と、レシーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラ と、圧縮空気冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーン タンクとを備えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱に配置される第1のフ レーム上に前記エンジン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ 及び圧縮機用オイルクーラを配置すると共に前記エンジン用ラジエータと圧縮機 用オイルクーラを前記吐出し式ファンに対向させ、前記第1のフレームのー側に 配置され該第1のフレームに選択的に着脱自在な第2のフレーム上に前記アフタ クーラ及びドレーンタンクを配置したことを特徴とする。
【0013】 請求項2記載の防音型空気圧縮機は、前記防音箱の一側に冷却風の吸入口を設 けると共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタ クーラの他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが対向して配置さ れていることを特徴とする。
【0014】 請求項3記載の防音型空気圧縮機は、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐 出し式ファンを装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮 機本体と、レシーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラ と、圧縮空気冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーン タンクとを備えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱のー側に冷却風の吸入 口を設けると共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記 アフタクーラの他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置され 、さらに前記防音箱の他側には前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルクー ラを前記吐出し式ファンに対向させて配置していることを特徴とする。
【0015】 請求項4記載の防音型空気圧縮機は、前記アフタクーラとドレーンタンクを並 列に配置したことを特徴とする。
【0016】
【作用】
前記請求項1記載の防音型空気圧縮機では、吐出し式ファンを装備したエンジ ン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ及び圧縮機用オイルク ーラを配置した第1のフレームによりアフタクーラのない機種に対応でき、一方 前記エンジン等を配置した第1のフレームに、アフタクーラ及びドレーンタンク を配置した第2のフレームを連結することによりアフタクーラのある機種に対応 できる。
【0017】 前記請求項2,3記載の防音型空気圧縮機では、吸入口から導入された冷却風 がアフタクーラにより暖められ、そしてこの冷却風がレシーバタンクに当たり、 該レシーバタンク内での結露を防止できる。
【0018】 前記請求項4記載の防音型空気圧縮機では、前記アフタクーラ及びドレーンタ ンクを並列に配置したことにより、前記第2のフレームを短くでき、防音型空気 圧縮機自体の全長も短くできる。
【0019】
【実施例】
以下、本考案のー実施例を図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図5に おいて、21は防音箱であり、この防音箱21はその底部に鋼製の第1のフレーム22 が設けられると共にこの第1のフレーム22のー側に第2のフレーム23が着脱自在 に連結されている。さらに前記第1のフレーム22上に一部を開閉するためのボン ネット24Aを備えたカバー本体24が設けられ、さらに前記第2のフレーム23上に 延長カバー25が設けられている。前記第1のフレーム22と第2のフレーム23の連 結は前記第1のフレーム22のー側にフランジ22Aを設け、一方第2のフレーム23 の他側に前記フランジ22Aに対向してフランジ23Aを設け、そしてこれらフラン ジ22A,23Aをボルト23B,ナット22Bにより連結することにより、選択的に連 結できるようになっている。さらに、前記第2のフレーム23のー側側面には冷却 風の吸入口26が一方へやや偏って開口形成されており、一方前記カバー本体24の 他側には排風口27が形成されている。尚、前記吸入口26には吸入空気量を制御す る調節板26Aが昇降自在に設けられている。
【0020】 そして、前記防音箱1内には、吐出し式ファン28を装備したエンジン29と、こ のエンジン29により駆動される油冷式の圧縮機本体30と、オイルセパレーターを 内蔵したレシーバタンク31と、エンジン用ラジエータ32と、隔板式熱交換器から なる圧縮機用オイルクーラ33と、圧縮空気冷却用のアフタクーラ34と、このアフ タクーラ34に接続されるドレーンタンク35とが配置されている。
【0021】 前記吐出し式ファン3は防音箱1内から熱交換器を介して防音箱1外へ冷却風 を排出するものであり、前記レシーバタンク6は圧縮空気と圧縮機本体5に供給 する潤滑油を貯溜するものであり、前記エンジン用ラジエータ7はエンジン4に 供給される冷却水を冷却するものである。さらに前記圧縮機用オイルクーラ8は 圧縮機本体5内に供給される潤滑油を冷却するものであり、前記アフタクーラ11 はレシーバタンク6を経て後述する消費側に供給する圧縮空気を冷却して水分を 凝縮させるものであり、そして前記ドレーンタンク12は前記凝縮した圧縮空気中 の水分を貯溜するものである。
【0022】 前記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33は、外気に連通する前 記排風口27と連通したダクト27A内に配置されており、そしてこれらエンジン用 ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33のー側に吐出し式ファン28を備えた前記 エンジン29が配置されると共に、前記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイル クーラ33を前記吐出し式ファン28に対向させている。さらにこのエンジン29のー 側には該エンジン29により駆動される前記圧縮機本体30が配置されている。また この圧縮機本体30のー側には前記レシーバタンク31が前述のように一方へ偏って 配置された吸入口26に対向するように配置されている。これら吐出し式ファン28 、エンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、エンジン用ラジエータ32及び 圧縮機用オイルクーラ33は前記第1のフレーム22に配置されている。そして、前 記エンジン4とエンジン用ラジエータ7との間には冷却水循環路36が連結され、 また前記圧縮機本体30には油を含んだ圧縮空気(吐出空気)がレシーバタンク31 に吐出される吐出路37が連結されている。さらに前記レシーバタンク31と圧縮機 用オイルクーラ33との間、及び該圧縮機用オイルクーラ33と前記エンジン29との 間には、油循環路38,39が夫々連結されている。
【0023】 前記アフタクーラ34は前記レシーバタンク6と吸入口26との間で該吸入口26に 対向して前記第2のフレーム23に配置されており、吸入口26と圧縮機用オイルク ーラ33との間にはダクトからなる外気導入路40が設けられ、吸入口26から流入し た冷却風はダクト入り口40Aから外気導入路40に導かれてアフタクーラ34を通り 、そして暖められた冷却風がそのまま流れて前記アフタクーラ34に対向する前記 レシーバタンク31に当たる。すなわち前記冷却風は、前記第2のフレーム23と延 長カバー25に囲まれた空間により形成される空気導入路41を通ってレシーバタン ク31に当たるようになっている。また前記ドレーンタンク35は前記アフタクーラ 34と並列に配置されるように前記第2のフレーム23の他方へ偏って設けられてお り、このアフタクーラ34は前記第2のフレーム23より立設したブラケット23Cに より固定されており、その下部にはドレーン排出用の弁42が設けられている。ま た前記アフタクーラ34の上部には連結パイプ43を介してマニホールド44が連結さ れており、このマニホールド44に複数の消費側供給弁45が前記延長カバー25の側 面より突設して設けられている。
【0024】 そして前記レシーバタンク31の上部とアフタクーラ34の1次側34Aには第1の 空気流路46が連結されており、またアフタクーラ34の2次側34Bと前記ドレーン タンク35の上部に設けられた1次側35Aの間には第2の空気流路47が設けられて いる。そして前記ドレーンタンク35の上端に設けれた2次側35Bに前記連結パイ プ43が連結されている。
【0025】 図6及び図7は前記図1乃至図5で示した防音型空気圧縮機を利用してアフタ クーラが無い機種を示したものであり、前記第1のフレーム22にはカバー本体24 と前記延長カバー25に代えて短カバー51が前記ナット22B等を利用して設けられ 、また前記レシーバタンク31から空気路52を介して直接マニホールド53が連結さ れ、そしてこのマニホールド53に設けた消費側供給弁54が前記短カバー51の側面 より突設するようになっている。
【0026】 次に前記構成についてその作用を説明する。図1乃至図5に示したアフタクー ラ34を備えた防音型空気圧縮機の組立てにおいては、第1のフレーム22には前記 吐出し式ファン28を備えたエンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、エン ジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33等を配置すると共に、冷却水循 環路36、油循環路38,39を配管しておく。一方第2のフレーム23にはアフタクー ラ34及びドレーンタンク35等を配置すると共に、第2の空気流路47を配管してお く。そしてフランジ22A,23Aを当接した後にボルト23B,ナット22Bにより連 結して、第1のフレーム22に第2のフレーム23を連結する。この後に第1の空気 流路46をレシーバタンク31とアフタクーラ34の1次側34Aに連結するものである 。このように組立てた後にカバー本体24、延長カバー25を取付けて完成するもの である。
【0027】 一方、アフタクーラのない機種の場合には、前述のように第1のフレーム22に 前記吐出し式ファン28を備えたエンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、 エンジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33等を配置すると共に、冷却 水循環路36、油循環路38,39を配管し、さらに図6及び図7に示すようにマニホ ールド53等を第1のフレーム22側に取付けると共に、空気路52を配管し、そして カバー本体24、短カバー51を取付けて完成するものである。
【0028】 アフタクーラの有する機種(図1乃至図5)の運転時にはエンジン29により圧 縮機本体30が駆動される。この圧縮機本体30には冷却や潤滑のために、レシーバ タンク31から油が供給される。この油はレシーバタンク31から油循環路38を通っ て圧縮機用オイルクーラ33に入り、ここで冷却された後、油循環路39及びオイル フイルター(図示せず)を通って圧縮機本体30に供給される。
【0029】 圧縮機本体30では、エアクリーナ(図示せず)から外気が吸入され圧縮される 。そして圧縮機本体30からは、前記冷却や潤滑のために油を含んだ圧縮空気(吐 出空気)が吐出され、吐出路37を介してレシーバタンク31に至る。このレシーバ タンク31では内蔵されているオイルセパレータ(図示せず)により、圧縮空気か ら油が分離されてレシーバタンク31に回収される。一方、油と分離されたレシー バタンク31内の圧縮空気は第1の空気流路46を介してアフタクーラ34に入り、こ こで冷却風と熱交換により冷却される。さらにこの冷却された圧縮空気は第2の 空気流路47を介してドレーンタンク35に入る。この際前記アフタクーラ34により 凝縮した水分はドレーンタンク35内で捕捉されて貯溜される。そして水分が除去 されたドレーンタンク35内の圧縮空気は消費側供給弁45を介して空気圧工具(図 示せず)等に供給できるようになっている。
【0030】 尚、前記エンジン用ラジエータ32にはエンジン29の冷却水が冷却水循環路36を 介して供給されて、冷却風と熱交換により冷却される。
【0031】 また、エンジン29の吐出し式ファン28の回転により矢印で示すように、吸入口 26から外気導入路40を介して冷却風はまずアフタクーラ34を通る。これにより上 述のように該アフタクーラ34に流入した圧縮空気を冷却する。さらにこのアフタ クーラ34を通った冷却風は対向しているレシーバタンク31の周囲を通り、該レシ ーバタンク31を暖かい冷却風により暖める。このようにレシーバタンク31が暖め られることによりレシーバタンク31内の結露を防止できる。さらに、レシーバタ ンク31の周囲を通った冷却風はエンジン29の周囲を通ってからダクト27Aに至り 、そしてエンジン用ラジエータ32、圧縮機用オイルクーラ33を通ってから排風口 27より外部へと排気される。したがって、冬季等の寒いときでも、アフタクーラ 34で加熱された暖かい冷却風が防音箱21内を通ることにより、この防音箱21内の レシーバタンク31その他の制御機器やその制御用配管等が過冷却されることが防 止できる。これにより前記配管等に生ずる結露や水分の凍結を防止できる。
【0032】 以上のように、前記実施例においては請求項1に対応して、防音箱21のー側に 配置される第1のフレーム22上に前記エンジン29、圧縮機本体30、レシーバタン ク31、エンジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33を配置すると共に前 記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33を前記吐出し式ファン28に 対向させ、前記防音箱21の他側に配置され前記第1のフレーム22に選択的に着脱 自在な第2のフレーム23上に前記アフタクーラ34及びドレーンタンク35を配置し たことにより、図6及び図7に示すようにアフタクーラのない機種を製造する際 には、前記吐出し式ファン28を備えたエンジン29、エンジン用ラジエータ32、圧 縮機用オイルクーラ33及びレシーバタンク31を配置した第1のフレーム22をその まま利用して空気路52、マニホールド53及び消費側供給弁54等を取付けることに より製造でき、一方前述のように第1のフレーム22とアフタクーラ34とドレーン タンク35を配置した第2のフレーム23を連結することにより、アフタクーラ34を 備えた機種を製造できる。したがって工場での製造時においては第1のフレーム 22の共通部品化を図ることができる。またすでにユーザーがアフタクーラを備え ていない機種を使用している状態で、さらにアフタクーラ34が必要になったとき には、前述のアフタクーラ34等を配置してモジュール化された第2のフレーム23 を第1のフレーム22に連結するだけで、すなわち第1のフレーム22側を大幅に改 造しなくとも改造を行うことができる。しかもその改造の際には図6及び図7に 示した空気路52に代えて図1乃至図5に示した第1の空気流路46を取付けるだけ で済み、この結果前記各種の配管を交換する必要はなく、配管の交換に伴うエン ジン29或いは圧縮機本体30の油への塵芥の侵入を防止できる。
【0033】 さらに、本考案の実施例では請求項2に対応して、前記防音箱21のー側に冷却 風の吸入口26を設けると共に、この吸入口26に対向して前記アフタクーラ34を配 置し、かつ前記アフタクーラ34の他側に該アフタクーラ34と対向して前記レシー バタンク31が対向して配置されたことにより、アフタクーラ34を通って暖められ た冷却風がレシーバタンク31に当たり、このためにレシーバタンク31内の空気が 暖められるので、特に負荷量が少ないときはレシーバタンク31内で結露が生じや すくなるが、前述のようにレシーバタンク31が暖められるので、結露が防止され 、この結果油の乳化現象を防止できる。
【0034】 また、本考案の実施例では請求項3に対応して、フレーム22,23上に設けられ た防音箱21内に、吐出し式ファン28を装着したエンジン29と、該エンジン29によ り駆動される油冷式の圧縮機本体30と、レシーバタンク31と、エンジン用ラジエ ータ32と、圧縮機用オイルクーラ33と、圧縮空気冷却用のアフタクーラ34と、こ のアフタクーラ34に連結されるドレーンタンク35とを備え、前記防音箱21のー側 に冷却風の吸入口26を設けると共に、この吸入口26に対向して前記アフタクーラ 34を配置し、かつ前記アフタクーラ34の他側に該アフタクーラ34と対向して前記 レシーバタンク31を対向して配置されたことにより、アフタクーラ34を通って暖 められた冷却風がレシーバタンク31に当たり、このためにレシーバタンク31内の 空気が暖められるので、特に負荷量が少ないときはレシーバタンク31内で結露が 生じやすくなるが、前述のようにレシーバタンク31が暖められるので、結露が防 止され、この結果油の乳化現象を防止できる。尚、実施例ではフレームを第1及 び第2のフレーム22,23により説明したが、同一のフレーム上に前記エンジン29 、アフタクーラ34を設けてもよいものである。
【0035】 さらに、本考案の実施例では請求項4に対応して、前記第2のフレーム23の一 方に偏ってアフタクーラ34が配置され、ドレーンタンク35が前記アフタクーラ34 と並列になるように前記第2のフレーム23の他方に偏って配置されることにより 、前記第2のフレーム23の長さLを短くでき、この結果全体をコンパクトにでき 、該防音型空気圧縮機を設置するスペースや配置する車両の大型化を招くことは ない。特に前述のようにアフタクーラを備えていない機種を使用している状態で 、さらにアフタクーラ34が必要になったときでも、全体の長さの増加が少ないの で、前記設置するスペースや配置する車両をそのまま利用することができる。ま た、同一フレームに前記エンジン29、アフタクーラ34を設けると共に、ドレーン タンク35、アフタクーラ34を並列に配置することによっても、フレーム全体の長 さも短くできる。
【0036】 尚、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である 。
【0037】
【考案の効果】
請求項1記載のものは、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファン を装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レ シーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気 冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備 えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱に配置される第1のフレーム上に前 記エンジン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ及び圧縮機用 オイルクーラを配置すると共に前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルクー ラを前記吐出し式ファンに対向させ、前記第1のフレームのー側に配置され該第 1のフレームに選択的に着脱自在な第2のフレーム上に前記アフタクーラ及びド レーンタンクを配置したことを特徴とする防音型空気圧縮機であり、アフタクー ラが無い機種においては前記圧縮機本体、エンジン等を配置した第1のフレーム を用い、一方アフタクーラを有する機種においては前述の第1のフレームに、ア フタクーラとドレーンタンクを配置した第2のフレームを連結することにより対 応でき、前記第1のフレームの共通使用が可能になる。このためにアフタクーラ が無い機種をある機種に改良する等のときに簡単に改良を行うことができる。し かも、アフタクーラとドレーンタンクとを配置してモジュール化しているので、 改造の際には一部の配管を連結するだけですみ、配管結合に伴う塵芥等の侵入を 防止できる。
【0038】 請求項2記載のものは、前記防音箱の一側に冷却風の吸入口を設けると共に、 この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタクーラの他側 に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが対向して配置されていること を特徴とする請求項1記載の防音型空気圧縮機であり、アフタクーラにより暖め られた冷却風をレシーバタンクに当てることにより、該レシーバタンク内での結 露を防止して、油の乳化現象等を防止することができる。
【0039】 請求項3記載のものは、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファン を装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レ シーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気 冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備 えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱のー側に冷却風の吸入口を設けると 共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタクーラ の他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置され、さらに前記 防音箱の他側には前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルクーラを前記吐出 し式ファンに対向させて配置していることを特徴とする防音型空気圧縮機であり 、アフタクーラにより暖められた冷却風をレシーバタンクに当てることにより、 該レシーバタンク内での結露を防止して、油の乳化現象等を防止することができ る。
【0040】 請求項4記載のものは、前記アフタクーラとドレーンタンクを並列に配置した ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防音型空気圧縮機であり 、フレームの長さを短くでき、この結果防音型空気圧縮機の全長も短くしてコン パクト化を図ることができる。
【提出日】平成7年7月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、防音型空気圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の防音型空気圧縮機は図8に示すように圧縮空気を冷却するアフタクーラ を備えない防音型空気圧縮機と図9に示すようにアフタクーラを備えた防音型空 気圧縮機が知られている。図8のものを説明すると、1はフレーム2上に設けた 防音箱であり、このフレーム2上には吐出し式ファン3を装備したエンジン4が 配置され、このエンジン4には油冷式の圧縮機本体5が連結され、さらにこの圧 縮機本体5の後方(図中右側)にはオイルセパレータ(図示せず)を有するレシ ーバタンク6が配置されている。一方、フレーム2上の他側には前記吐出し式フ ァン3に対向してエンジン用ラジエータ7、圧縮機の潤滑油冷却用のオイルクー ラ8が配置されている。尚、9は前記レシーバタンク6と配管を介して連結した 消費側に対する圧縮空気供給弁である。
【0003】 そして図8の防音型空気圧縮機の運転時には、エンジン4により圧縮機本体5 が駆動される。この圧縮機本体5には潤滑や冷却のために、レシーバタンク6か ら圧縮機用オイルクーラ8を介して冷却された油が圧送供給される。そして圧縮 機本体5からは、前記油を含んだ圧縮空気(吐出空気)が吐出する。この圧縮空 気はレシーバタンク6に内蔵のオイルセパレータ(図示せず)を通り、ここで圧 縮空気と油に分離される。分離された油はレシーバタンク6内で重力により流下 し貯溜される。一方、油と分離された圧縮空気は圧縮空気供給弁9を介して空気 圧工具等を駆動する消費側に供給される。前記エンジン用ラジエータ7はエンジ ン4の冷却水が通り、冷却風と熱交換するものである。さらに前記吐出し式ファ ン3は回転により冷却風は矢印で示すように、空気吸入口(図示せず)から防音 箱1内に冷却風を吸入し、エンジン用ラジエータ7、オイルクーラ8に冷却風を 送風して排風口から機外へ排出する。これにより前記エンジン用ラジエータ7、 圧縮機用オイルクーラ8が防音箱1内で冷却されるようになっている。
【0004】 図9に示したアフタクーラを備えた防音型空気圧縮機は、前記図8で示した防 音型空気圧縮機においてさらに、アフタクーラ11を配置すると共に、このアフタ クーラ11にフレーム2A上のー側に設けたドレーンタンク12を連結し、そしてこ のドレーンタンク12には消費側供給弁13が連結されている。尚、14はドレーン排 出用の弁である。
【0005】 したがって、レシーバタンク6から吐出された圧縮空気はアフタクーラ11によ り冷却され、そこで凝縮した空気中の水分はドレーンタンク12によって圧縮空気 と分離され、凝縮した圧縮空気中の水分が捕捉されたドレーンはドレーンタンク 12に貯溜される。したがって、アフタクーラ12を設けることにより圧縮空気を予 め摂氏20度乃至40度に冷却し、消費側に供給する前に圧縮空気中の水分を除 去することができる。
【0006】 しかしながら、アフタクーラがない図8のものにおいては、空気圧工具等の駆 動部に腐食を生じせしめるという不都合があった。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
前記図8で示したアフタクーラ及びその付属装置を有しない機種の防音型空気 圧縮機、図9で示したアフタクーラ及びその付属装置を有する防音型空気圧縮機 を選ぶかは、ユーザーの使用用途等によって決定されるものであるが、そのため に製造過程においては夫々を区別して製作する必要がある。このように夫々専用 のフレームを製作することが生産コストを高くしている要因であった。
【0008】 このために部品の共通化という見地からフレームの共通化が課題となっていた 。すなわち、アフタクーラ及びその付属品を有しない機種にアフタクーラ等を有 する機種の防音型空気圧縮機のフレームを兼用することで部品の共通化を図るも のである。
【0009】 しかしながら、上述のようにアフタクーラ等を有しない機種にアフタクーラ等 を有する機種の防音型空気圧縮機のフレームを兼用した場合には、予めアフタク ーラ、ドレーンタンクのスペースを設けておく必要があるので、図8のものを組 立てる場合には、図9においてアフタクーラ11、ドレーンタンク12を無くすこと になるので、該箇所に空洞部が生じ、この結果アフタクーラ等を有しない機種の 防音型空気圧縮機においては無用に大型化するという問題があった。
【0010】 また、図9の防音型空気圧縮機の場合には、例えば圧縮機本体5から吐出され る圧縮空気の量が少ないときには、レシーバタンク6の温度が低下し、この結果 レシーバタンク6内で結露が生じてしまい、圧縮機本体5に供給される冷却、潤 滑用の油に水分が混入していわゆる油の乳化現象が起きる虞もあった。
【0011】 そこで、本考案はフレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファンを装着 したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レシーバ タンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気冷却用 のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備えた防 音型空気圧縮機において、アフタクーラ等のない機種にもフレームの共通化を図 れる防音型空気圧縮機を提供することを目的とする。さらに本考案はレシーバタ ンク内の結露を防止できる防音型空気圧縮機を提供することを目的とする。また 、本考案はアフタクーラ等をコンパクトに収納できる防音型空気圧縮機を提供す ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の防音型空気圧縮機は、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐 出し式ファンを装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮 機本体と、レシーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラ と、圧縮空気冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーン タンクとを備えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱に配置される第1のフ レーム上に前記エンジン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ 及び圧縮機用オイルクーラを配置すると共に、前記エンジン用ラジエータと圧縮 機用オイルクーラを前記吐出し式ファンに対向させ、前記第1のフレームのー側 に配置され該第1のフレームに選択的に着脱自在な第2のフレーム上に前記アフ タクーラ及びドレーンタンクを配置したことを特徴とする。
【0013】 請求項2記載の防音型空気圧縮機は、前記防音箱の一側に冷却風の吸入口を設 けると共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタ クーラの他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置されている ことを特徴とする。
【0014】 請求項3記載の防音型空気圧縮機は、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐 出し式ファンを装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮 機本体と、レシーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラ と、圧縮空気冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーン タンクとを備えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱のー側に冷却風の吸入 口を設けると共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記 アフタクーラの他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置され 、さらに前記防音箱の他側には前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルクー ラを前記吐出し式ファンに対向させて配置していることを特徴とする。
【0015】 請求項4記載の防音型空気圧縮機は、前記アフタクーラとドレーンタンクを並 列に配置したことを特徴とする。
【0016】
【作用】
前記請求項1記載の防音型空気圧縮機では、吐出し式ファンを装備したエンジ ン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ及び圧縮機用オイルク ーラを配置した第1のフレームによりアフタクーラのない機種に対応でき、一方 前記エンジン等を配置した第1のフレームに、アフタクーラ及びドレーンタンク を配置した第2のフレームを連結することによりアフタクーラのある機種に対応 できる。
【0017】 前記請求項2,3記載の防音型空気圧縮機では、吸入口から導入された冷却風 がアフタクーラにより暖められ、そしてこの冷却風がレシーバタンクに当たり、 該レシーバタンク内での結露を防止できる。
【0018】 前記請求項4記載の防音型空気圧縮機では、前記アフタクーラ及びドレーンタ ンクを並列に配置したことにより、前記第2のフレームを短くでき、防音型空気 圧縮機自体の全長も短くできる。
【0019】
【実施例】
以下、本考案のー実施例を図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図5に おいて、21は防音箱であり、この防音箱21はその底部に鋼製の第1のフレーム22 が設けられると共にこの第1のフレーム22のー側に第2のフレーム23が着脱自在 に連結されている。さらに前記第1のフレーム22上に一部を開閉するためのボン ネット24Aを備えたカバー本体24が設けられ、さらに前記第2のフレーム23上に 延長カバー25が設けられている。前記第1のフレーム22と第2のフレーム23の連 結は前記第1のフレーム22のー側にフランジ22Aを設け、一方第2のフレーム23 の他側に前記フランジ22Aに対向してフランジ23Aを設け、そしてこれらフラン ジ22A,23Aをボルト23B,ナット22Bにより連結することにより、選択的に連 結できるようになっている。さらに、前記第2のフレーム23のー側側面には冷却 風の吸入口26が一方へやや偏って開口形成されており、一方前記カバー本体24の 他側には排風口27が形成されている。尚、前記吸入口26には吸入空気量を制御す る調節板26Aが昇降自在に設けられている。
【0020】 そして、前記防音箱21内には、吐出し式ファン28を装備したエンジン29と、こ のエンジン29により駆動される油冷式の圧縮機本体30と、オイルセパレーターを 内蔵したレシーバタンク31と、エンジン用ラジエータ32と、隔板式熱交換器から なる圧縮機用オイルクーラ33と、圧縮空気冷却用のアフタクーラ34と、このアフ タクーラ34に接続されるドレーンタンク35とが配置されている。
【0021】 前記吐出し式ファン28は防音箱21内から熱交換器を介して防音箱21外へ冷却風 を排出するものであり、前記レシーバタンク31は圧縮空気と圧縮機本体30に供給 する潤滑油を貯溜するものであり、前記エンジン用ラジエータ32はエンジン29に 供給される冷却水を冷却するものである。さらに前記圧縮機用オイルクーラ3 3は 圧縮機本体30内に供給される潤滑油を冷却するものであり、前記アフタクーラ34 は レシーバタンク31を経て後述する消費側に供給する圧縮空気を冷却して水分を 凝縮させるものであり、そして前記ドレーンタンク35は前記凝縮した圧縮空気中 の水分を貯溜するものである。
【0022】 前記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33は、外気に連通する前 記排風口27と連通したダクト27A内に配置されており、そしてこれらエンジン用 ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33のー側に吐出し式ファン28を備えた前記 エンジン29が配置されると共に、前記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイル クーラ33を前記吐出し式ファン28に対向させている。さらにこのエンジン29のー 側には該エンジン29により駆動される前記圧縮機本体30が配置されている。また この圧縮機本体30のー側には前記レシーバタンク31が前述のように一方へ偏って 配置された吸入口26に対向するように配置されている。これら吐出し式ファン28 、エンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、エンジン用ラジエータ32及び 圧縮機用オイルクーラ33は前記第1のフレーム22に配置されている。そして、前 記エンジン29とエンジン用ラジエータ32との間には冷却水循環路36が連結され、 また前記圧縮機本体30には油を含んだ圧縮空気(吐出空気)がレシーバタンク31 に吐出される吐出路37が連結されている。さらに前記レシーバタンク31と圧縮機 用オイルクーラ33との間、及び該圧縮機用オイルクーラ33と前記圧縮機本体30と の間には、油循環路38,39が夫々連結されている。
【0023】 前記アフタクーラ34は前記レシーバタンク31と吸入口26との間で該吸入口26に 対向して前記第2のフレーム23に配置されており、吸入口26と圧縮機用オイルク ーラ33との間にはダクトからなる外気導入路40が設けられ、吸入口26から流入し た冷却風はダクト入り口40Aから外気導入路40に導かれてアフタクーラ34を通り 、そして暖められた冷却風がそのまま流れて前記アフタクーラ34に対向する前記 レシーバタンク31に当たる。すなわち前記冷却風は、前記第2のフレーム23と延 長カバー25に囲まれた空間により形成される空気導入路41を通ってレシーバタン ク31に当たるようになっている。また前記ドレーンタンク35は前記アフタクーラ 34と並列に配置されるように前記第2のフレーム23の他方へ偏って設けられてお り、このアフタクーラ34は前記第2のフレーム23より立設したブラケット23Cに より固定されており、その下部にはドレーン排出用の弁42が設けられている。ま た前記ドレーンタンク35の上部には連結パイプ43を介してマニホールド44が連結 されており、このマニホールド44に複数の消費側供給弁45が前記延長カバー25の 側面より突設して設けられている。
【0024】 そして前記レシーバタンク31の上部とアフタクーラ34の1次側34Aには第1の 空気流路46が連結されており、またアフタクーラ34の2次側34Bと前記ドレーン タンク35の上部に設けられた1次側35Aの間には第2の空気流路47が設けられて いる。そして前記ドレーンタンク35の上端に設けれた2次側35Bに前記連結パイ プ43が連結されている。
【0025】 図6及び図7は前記図1乃至図5で示した防音型空気圧縮機を利用してアフタ クーラがない機種を示したものであり、前記第1のフレーム22にはカバー本体24 と前記延長カバー25に代えて短カバー51が前記ナット22B等を利用して設けられ 、また前記レシーバタンク31から空気路52を介して直接マニホールド53が連結さ れ、そしてこのマニホールド53に設けた消費側供給弁54が前記短カバー51の側面 より突設するようになっている。
【0026】 次に前記構成についてその作用を説明する。図1乃至図5に示したアフタクー ラ34を備えた防音型空気圧縮機の組立てにおいては、第1のフレーム22には前記 吐出し式ファン28を備えたエンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、エン ジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33等を配置すると共に、冷却水循 環路36、油循環路38,39を配管しておく。一方第2のフレーム23にはアフタクー ラ34及びドレーンタンク35等を配置すると共に、第2の空気流路47を配管してお く。そしてフランジ22A,23Aを当接した後にボルト23B,ナット22Bにより連 結して、第1のフレーム22に第2のフレーム23を連結する。この後に第1の空気 流路46をレシーバタンク31とアフタクーラ34の1次側34Aに連結するものである 。このように組立てた後にカバー本体24、延長カバー25を取付けて完成するもの である。
【0027】 一方、アフタクーラのない機種の場合には、前述のように第1のフレーム22に 前記吐出し式ファン28を備えたエンジン29、圧縮機本体30、レシーバタンク31、 エンジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33等を配置すると共に、冷却 水循環路36、油循環路38,39を配管し、さらに図6及び図7に示すようにマニホ ールド53等を第1のフレーム22側に取付けると共に、空気路52を配管し、そして カバー本体24、短カバー51を取付けて完成するものである。
【0028】 アフタクーラを有する機種(図1乃至図5)の運転時にはエンジン29により圧 縮機本体30が駆動される。この圧縮機本体30には冷却や潤滑のために、レシーバ タンク31から油が供給される。この油はレシーバタンク31から油循環路38を通っ て圧縮機用オイルクーラ33に入り、ここで冷却された後、油循環路39及びオイル フイルター(図示せず)を通って圧縮機本体30に供給される。
【0029】 圧縮機本体30では、エアクリーナ(図示せず)から外気が吸入され圧縮される 。そして圧縮機本体30からは、前記冷却や潤滑のために油を含んだ圧縮空気(吐 出空気)が吐出され、吐出路37を介してレシーバタンク31に至る。このレシーバ タンク31では内蔵されているオイルセパレータ(図示せず)により、圧縮空気か ら油が分離されてレシーバタンク31に回収される。一方、油と分離されたレシー バタンク31内の圧縮空気は第1の空気流路46を介してアフタクーラ34に入り、こ こで冷却風と熱交換により冷却される。さらにこの冷却された圧縮空気は第2の 空気流路47を介してドレーンタンク35に入る。この際前記アフタクーラ34により 凝縮した水分はドレーンタンク35内で捕捉されて貯溜される。そして水分が除去 されたドレーンタンク35内の圧縮空気は消費側供給弁45を介して空気圧工具(図 示せず)等に供給できるようになっている。
【0030】 尚、前記エンジン用ラジエータ32にはエンジン29の冷却水が冷却水循環路36を 介して供給されて、冷却風と熱交換により冷却される。
【0031】 また、エンジン29の吐出し式ファン28の回転により矢印で示すように、吸入口 26から外気導入路40を介して冷却風はまずアフタクーラ34を通る。これにより上 述のように該アフタクーラ34に流入した圧縮空気を冷却する。さらにこのアフタ クーラ34を通った冷却風は対向しているレシーバタンク31の周囲を通り、該レシ ーバタンク31を暖かい冷却風により暖める。このようにレシーバタンク31が暖め られることによりレシーバタンク31内の結露を防止できる。さらに、レシーバタ ンク31の周囲を通った冷却風はエンジン29の周囲を通ってからダクト27Aに至り 、そしてエンジン用ラジエータ32、圧縮機用オイルクーラ33を通ってから排風口 27より外部へと排気される。したがって、冬季等の寒いときでも、アフタクーラ 34で加熱された暖かい冷却風が防音箱21内を通ることにより、この防音箱21内の レシーバタンク31その他の制御機器やその制御用配管等が過冷却されることが防 止できる。これにより前記配管等に生ずる結露や水分の凍結を防止できる。
【0032】 以上のように、前記実施例においては請求項1に対応して、防音箱21のー側に 配置される第1のフレーム22上に前記エンジン29、圧縮機本体30、レシーバタン ク31、エンジン用ラジエータ32及び圧縮機用オイルクーラ33を配置すると共に前 記エンジン用ラジエータ32と圧縮機用オイルクーラ33を前記吐出し式ファン28に 対向させ、前記防音箱21の他側に配置され前記第1のフレーム22に選択的に着脱 自在な第2のフレーム23上に前記アフタクーラ34及びドレーンタンク35を配置し たことにより、図6及び図7に示すようにアフタクーラのない機種を製造する際 には、前記吐出し式ファン28を備えたエンジン29、エンジン用ラジエータ32、圧 縮機用オイルクーラ33及びレシーバタンク31を配置した第1のフレーム22をその まま利用して空気路52、マニホールド53及び消費側供給弁54等を取付けることに より製造でき、一方前述のように第1のフレーム22とアフタクーラ34とドレーン タンク35を配置した第2のフレーム23を連結することにより、アフタクーラ34を 備えた機種を製造できる。したがって工場での製造時においては第1のフレーム 22の共通部品化を図ることができる。またすでにユーザーがアフタクーラを備え ていない機種を使用している状態で、さらにアフタクーラ34が必要になったとき には、前述のアフタクーラ34等を配置してモジュール化された第2のフレーム23 を第1のフレーム22に連結するだけで、すなわち第1のフレーム22側を大幅に改 造しなくとも改造を行うことができる。しかもその改造の際には図6及び図7に 示した空気路52に代えて図1乃至図5に示した第1の空気流路46を取付けるだけ で済み、この結果前記各種の配管を交換する必要はなく、配管の交換に伴うエン ジン29或いは圧縮機本体30の油への塵芥の侵入を防止できる。
【0033】 さらに、本考案の実施例では請求項2に対応して、前記防音箱21のー側に冷却 風の吸入口26を設けると共に、この吸入口26に対向して前記アフタクーラ34を配 置し、かつ前記アフタクーラ34の他側に該アフタクーラ34と対向して前記レシー バタンク31が対向して配置されたことにより、アフタクーラ34を通って暖められ た冷却風がレシーバタンク31に当たり、このためにレシーバタンク31内の空気が 暖められるので、特に負荷量が少ないときはレシーバタンク31内で結露が生じや すくなるが、前述のようにレシーバタンク31が暖められるので、結露が防止され 、この結果油の乳化現象を防止できる。
【0034】 また、本考案の実施例では請求項3に対応して、フレーム22,23上に設けられ た防音箱21内に、吐出し式ファン28を装着したエンジン29と、該エンジン29によ り駆動される油冷式の圧縮機本体30と、レシーバタンク31と、エンジン用ラジエ ータ32と、圧縮機用オイルクーラ33と、圧縮空気冷却用のアフタクーラ34と、こ のアフタクーラ34に連結されるドレーンタンク35とを備え、前記防音箱21のー側 に冷却風の吸入口26を設けると共に、この吸入口26に対向して前記アフタクーラ 34を配置し、かつ前記アフタクーラ34の他側に該アフタクーラ34と対向して前記 レシーバタンク31を対向して配置されたことにより、アフタクーラ34を通って暖 められた冷却風がレシーバタンク31に当たり、このためにレシーバタンク31内の 空気が暖められるので、特に負荷量が少ないときはレシーバタンク31内で結露が 生じやすくなるが、前述のようにレシーバタンク31が暖められるので、結露が防 止され、この結果油の乳化現象を防止できる。尚、実施例ではフレームを第1及 び第2のフレーム22,23により説明したが、同一のフレーム上に前記エンジン29 、アフタクーラ34を設けてもよいものである。
【0035】 さらに、本考案の実施例では請求項4に対応して、前記第2のフレーム23の一 方に偏ってアフタクーラ34が配置され、ドレーンタンク35が前記アフタクーラ34 と並列になるように前記第2のフレーム23の他方に偏って配置されることにより 、前記第2のフレーム23の長さLを短くでき、この結果全体をコンパクトにでき 、該防音型空気圧縮機を設置するスペースや配置する車両の大型化を招くことは ない。特に前述のようにアフタクーラを備えていない機種を使用している状態で 、さらにアフタクーラ34が必要になったときでも、全体の長さの増加が少ないの で、前記設置するスペースや配置する車両をそのまま利用することができる。ま た、同一フレームに前記エンジン29、アフタクーラ34を設けると共に、ドレーン タンク35、アフタクーラ34を並列に配置することによっても、フレーム全体の長 さも短くできる。
【0036】 尚、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である 。
【0037】
【考案の効果】
請求項1記載のものは、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファン を装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レ シーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気 冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備 えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱に配置される第1のフレーム上に前 記エンジン、圧縮機本体、レシーバタンク、エンジン用ラジエータ及び圧縮機用 オイルクーラを配置すると共に、前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルク ーラを前記吐出し式ファンに対向させ、前記第1のフレームのー側に配置され該 第1のフレームに選択的に着脱自在な第2のフレーム上に前記アフタクーラ及び ドレーンタンクを配置したことを特徴とする防音型空気圧縮機であり、アフタク ーラがない機種においては前記圧縮機本体、エンジン等を配置した第1のフレー ムを用い、一方アフタクーラを有する機種においては前述の第1のフレームに、 アフタクーラとドレーンタンクを配置した第2のフレームを連結することにより 対応でき、前記第1のフレームの共通使用が可能になる。このためにアフタクー ラがない機種をある機種に改良する等のときに簡単に改良を行うことができる。 しかも、アフタクーラとドレーンタンクとを配置してモジュール化しているので 、改造の際には一部の配管を連結するだけですみ、配管結合に伴う塵芥等の侵入 を防止できる。
【0038】 請求項2記載のものは、前記防音箱の一側に冷却風の吸入口を設けると共に、 この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタクーラの他側 に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置されていることを特徴と する請求項1記載の防音型空気圧縮機であり、アフタクーラにより暖められた冷 却風をレシーバタンクに当てることにより、該レシーバタンク内での結露を防止 して、油の乳化現象等を防止することができる。
【0039】 請求項3記載のものは、フレーム上に設けられた防音箱内に、吐出し式ファン を装着したエンジンと、該エンジンにより駆動される油冷式の圧縮機本体と、レ シーバタンクと、エンジン用ラジエータと、圧縮機用オイルクーラと、圧縮空気 冷却用のアフタクーラと、このアフタクーラに連結されるドレーンタンクとを備 えた防音型空気圧縮機において、前記防音箱のー側に冷却風の吸入口を設けると 共に、この吸入口に対向して前記アフタクーラを配置し、かつ前記アフタクーラ の他側に該アフタクーラと対向して前記レシーバタンクが配置され、さらに前記 防音箱の他側には前記エンジン用ラジエータと圧縮機用オイルクーラを前記吐出 し式ファンに対向させて配置していることを特徴とする防音型空気圧縮機であり 、アフタクーラにより暖められた冷却風をレシーバタンクに当てることにより、 該レシーバタンク内での結露を防止して、油の乳化現象等を防止することができ る。
【0040】 請求項4記載のものは、前記アフタクーラとドレーンタンクを並列に配置した ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防音型空気圧縮機であり 、フレームの長さを短くでき、この結果防音型空気圧縮機の全長も短くしてコン パクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のー実施例を示す概略図である。
【図2】本考案のー実施例を示す縦断面図である
【図3】本考案のー実施例を示す平断面図である。
【図4】本考案のー実施例を示す側面の断面図である。
【図5】本考案のー実施例を示す斜視図である。
【図6】本考案のー実施例を示すアフタクーラのない機
種の斜視図である。
【図7】本考案のー実施例を示すアフタクーラのない機
種の側面図である。
【図8】従来例を示す概略図である。
【図9】他の従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
22 第1のフレーム 23 第2のフレーム 26 吸入口 28 吐出し式ファン 29 エンジン 30 圧縮機本体 31 レシーバタンク 32 エンジン用ラジエータ 33 圧縮機用オイルクーラ 34 アフタクーラ 35 ドレーンタンク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 防音型空気圧縮機
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のー実施例を示す概略図である。
【図2】本考案のー実施例を示す縦断面図である
【図3】本考案のー実施例を示す平断面図である。
【図4】本考案のー実施例を示す側面の断面図である。
【図5】本考案のー実施例を示す斜視図である。
【図6】本考案のー実施例を示すアフタクーラのない機
種の斜視図である
【図7】本考案のー実施例を示すアフタクーラのない機
種の側面図である。
【図8】従来例を示す概略図である。
【図9】他の従来例を示す概略図である。
【符号の説明】 22 第1のフレーム 23 第2のフレーム 26 吸入口 28 吐出し式ファン 29 エンジン 30 圧縮機本体 31 レシーバタンク 32 エンジン用ラジエータ 33 圧縮機用オイルクーラ 34 アフタクーラ 35 ドレーンタンク