JP3019051B2 - 内燃機関点火装置 - Google Patents

内燃機関点火装置

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JP3019051B2 JP9337722A JP33772297A JP3019051B2 JP 3019051 B2 JP3019051 B2 JP 3019051B2 JP 9337722 A JP9337722 A JP 9337722A JP 33772297 A JP33772297 A JP 33772297A JP 3019051 B2 JP3019051 B2 JP 3019051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、携帯用発
電機等のための内燃機関点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の携帯用発電機の自己バイアス方式
の内燃機関点火装置は、図1に示すように磁石1を含む
回転子2と、磁石1から発生する磁束が鎖交する発電機
の電機子巻線としての機能を有している1次巻線3と、
この1次巻線3に磁気コア4を介して電磁結合された2
次巻線5と、2次巻線5に対して直列に接続された点火
プラグ6と、1次巻線3に電流を選択的に流すための点
火用スイッチとしての第1のトランジスタ7と、この第
1のトランジスタ7の駆動手段としての第1の抵抗8
と、第1のトランジスタ7のオフ制御スイッチとしての
第2のトランジスタ9と、オフ時点を決定するための第
2及び第3の抵抗10、11並びにコンデンサ12と、
1次巻線3に並列に接続された第1及び第2の停止用ス
イッチ13、14とを具備している。
【0003】点火プラグ6は2次巻線5に対して直列に
接続されており、第1のトランジスタ7がオンからオフ
に転換する時に2次巻線5に誘起する電圧によって火花
放電する。なお、2次巻線5と点火プラグ6との直列回
路は1次巻線1に対して並列に接続されている。第1の
トランジスタ7は1次巻線3に対して並列に接続されて
おり、1次巻線3を流れる電流の経路を形成する。第1
の抵抗8は第1のトランジスタ7のコレクタとベースと
の間に接続されており、自己バイアス方式で第1のトラ
ンジスタ7のベース電流を供給する。第2のトランジス
タ9は第1のトランジスタ7のベース・エミッタ間に接
続されており、選択的にオンになって第1のトランジス
タ7のベース・エミッタ間を短絡してベース電流を遮断
し、第1のトランジスタ7をオフに制御する。第2の抵
抗10は1次巻線3の一端と第2のトランジスタ9のベ
ースとの間に接続されており、第2のトランジスタ9の
ベース電流を供給する。第3の抵抗11は第2のトラン
ジスタ9のベース・エミッタ間に接続されている。コン
デンサ12は第3の抵抗11に並列に接続されている。
第1の停止用スイッチ13は一般にキルスイッチと呼ば
れている常開接点構成のスイッチであり、点火動作を停
止する時に手動でオン操作し、このオン操作を回転子2
の回転が停止するまで手動で保持するものである。第2
の停止スイッチ14は、周知の内燃機関(図示せず)の
エンジンオイルのレベル検出スイッチであり、エンジン
オイルが所定レベルよりも低下した時にオン状態とな
り、エンジンが停止するまでこのオン状態を保持するよ
うに構成されているホールド機能付スイッチである。な
お、図1の点線13で囲んで示す部分は混成集積回路で
構成される。
【0004】図2は1次巻線3に電圧を発生させるため
の発電機の構成を示す。発電機の回転子2は永久磁石1
が固着された回転体(フライホイール)14から成り、
回転体14は内燃機関(図示せず)の回転軸12に固着
されている。電機子巻線として機能する1次巻線3は永
久磁石1の磁路に配置されている。従って、永久磁石1
から発生する磁束が1次巻線3に鎖交した時に1次巻線
3に電圧が誘起する。1次巻線3の電圧は回転体14の
回転速度に比例的に変化する。なお、回転子2は内燃機
関に連動する。
【0005】手動によって回転子2の回転を開始させる
ことによって1次巻線3に電圧が誘起すると、第1の抵
抗8を介して第1のトランジスタ7にベース電流が流
れ、第1のトランジスタ7がオンになる。この結果、1
次巻線3と第1のトランジスタ7の閉回路が形成されて
1次電流が流れる。1次巻線3はインダクタンスを有す
るので、1次電流はインダクタンスに制限されて流れ
る。1次巻線3に電圧が発生すると、第2の抵抗10を
介してコンデンサ12の充電が開始する。コンデンサ1
2の電圧が第2のトランジスタ9のしきい値以上になる
と第2のトランジスタ9がオンになり、第1のトランジ
スタ7がオフになり、1次電流が遮断される。1次電流
が遮断されると、1次電流が流れている期間に1次及び
2次巻線3、5とコア4から成るトランス(点火コイ
ル)に蓄積された磁気エネルギーの放出が生じ、2次巻
線5に点火開始電圧以上の電圧が発生し、点火プラグ6
に火花放電(点火)が生じる。トランジスタ7、9を順
バイアスする向きの電圧は1次巻線3から間欠的に発生
するので、順バイアス方向の電圧が発生していない期間
にコンデンサ12の放電が第3の抵抗11を介して生じ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、マニアルホ
ールドキルスイッチと呼ばれている第1の点火停止スイ
ッチ13で点火動作を停止する時にはエンジンが停止す
るまで即ち回転子2の回転が停止するまでスイッチ13
のオン操作を継続しなければならず操作性が悪かった。
また、エンジンオイルレベル検出スイッチとしての第2
の点火停止スイッチ14はホールド機能付スイッチであ
るので、高コストとなるという欠点及び耐久性に劣ると
いう欠点を有する。また、第1及び第2の点火停止スイ
ッチ14は1次巻線3に直接に並列接続されているの
で、ここには1次巻線3に流れる電流と同一の電流が流
れ、このスイッチ接点の溶着や接触不良が発生した。
【0007】そこで、本発明の目的は、点火停止スイッ
チの損傷防止及び低コスト化を図ることができる内燃機
関点火装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し、上記
目的を達成するための本発明は、磁石を含む回転子と、
前記磁石から発生する磁束が鎖交するように配置された
1次巻線と、前記1次巻線に電磁結合された2次巻線
と、前記2次巻線に接続された内燃機関の点火プラグ
と、前記1次巻線に並列に接続された点火用トランジス
と、前記回転子の回転に基づいて前記1次巻線に誘起
した電圧によって前記点火用トランジスタをオン駆動す
るために前記1次巻線の一端と前記点火用トランジスタ
のベースとの間に接続されたトランジスタ駆動用抵抗
と、前記抵抗を介して前記点火用トランジスタに供給す
るベ−ス電流を阻止して前記点火用トランジスタをオフ
に制御するために前記点火用トランジスタのベースと前
記1次巻線の他端との間に接続されたオフ制御用半導体
スイッチと、前記点火用トランジスタに電流が流れてい
る期間内のある時点で前記点火用トランジスタをオフに
するように前記オフ制御用半導体スイッチを制御するも
のであって、前記点火用トランジスタを流れる電流の検
出信号に基づいて前記オフ制御用半導体スイッチを断続
的にオンに制御する断続制御回路と、前記点火プラグの
点火動作を停止させるための点火停止用スイッチと、前
記点火停止用スイッチの操作に応答して前記オフ制御用
半導体スイッチの前記断続制御回路に基づく断続動作を
阻止する停止制御回路とを備えている内燃機関点火装置
であって、前記断続制御回路は、前記点火用トランジス
タを通って流れる電流を検出する電流検出手段と、前記
電流検出手段から得られた前記電流に対応した検出電圧
と比較するための基準電圧として、時間の経過と共に徐
々に低下する傾斜部分を有する波形の基準電圧を発生す
る基準電圧回路と、前記検出電圧と前記基準電圧とを比
較する断続制御用比較器とを有して前記比較器から得ら
れた前記検出電圧が前記基準電圧に達したことを示す出
力によって前記オフ制御用半導体スイッチをオンに制御
するように形成され、前記比較器の電源電圧が前記点火
用トランジスタのベースと前記1次巻線の他端との間か
ら得られていることを特徴とする内燃機関点火装置に係
わるものである。なお、請求項に示すように、停止制
御回路を、第1及び第2のコンデンサと、基準電圧源
と、比較器と、断続制御信号を遮断するスイッチ等で構
成することが望ましい。
【0009】
【発明の効果】各請求項の発明によれば、点火停止用ス
イッチを1次巻線に直接に並列接続することが不要にな
り、ここに流れる電流が大幅に低下する。従って、点火
停止用スイッチの低コスト化又は耐久性の向上を図るこ
とができる。また、点火及び点火停止を比較的簡単な回
路で達成することができる。また、請求項1の発明によ
れば、基準電圧が時間の経過と共に低下する傾斜部分を
有しているので、種々の回転速度において最適又はこれ
に近い1次電圧遮断を実行することができる。また、請
求項の発明によれば、第2のコンデンサによる電圧保
持機能により、点火停止用スイッチを一度操作すると、
この操作を示す信号を保持して出力することができ、操
作性の良い点火装置を提供することができる。
【0010】
【実施形態及び実施例】次に、図3〜図8を参照して本
発明の実施形態及び実施例を説明する。但し、図3にお
いて図1と実質的に同一の部分には同一の符号を付して
その説明を省略する。
【0011】図3の携帯用発電機等のための内燃機関点
火装置は図1と同様に磁石1を有する回転子2、点火コ
イルとしての1次巻線3、磁気コア4、2次巻線5、点
火プラグ6、点火用スイッチとしてのトランジスタ
、点火用スイッチの駆動手段としての抵抗26を備え
ている。また、図1の第1及び第2の点火停止用スイッ
チ13、14に対応するものとして手動点火停止用スイ
ッチ13aとエンジンオイルレベル検出スイッチ14a
とを有しているが、これ等のスイッチ13a、14bの
電流容量は図1のスイッチ13、14のそれよりも小さ
い。また、図3のエンジンオイルレベル検出スイッチ1
4aはオンになった後にエンジンが停止するまでオンを
維持する機能を持たない安価なスイッチである。
【0012】図3で点線20で囲んでいる部分は混成集
積回路に構成されており、第1、第2及び第3の端子2
1、22、23を有する。第1の端子21は1次巻線3
の一端及びグランドに接続されている。第2の端子22
は1次巻線3の他端に接続されている。図1のトランジ
スタと同一の機能を有する点火用トランジスタ24は図
1と同様に1次巻線3に並列に接続されている。即ち点
火用トランジスタ24はNPN型であって、このコレク
タは第1の端子21を介して1次巻線3の一端に接続さ
れ、このエミッタは電流検出抵抗25と第2の端子22
を介して1次巻線3の他端に接続されている。駆動手段
としての抵抗26は第1の端子21と点火用トランジス
タ24のベースとの間に接続されている。
【0013】点火用トランジスタ24のオフ制御用スイ
ッチとしてサイリスタ29がトランジスタ24のベース
と1次巻線3の他端との間に接続されている。また、点
火用トランジスタ24の断続制御回路として、電流検出
手段としての電流検出抵抗25と、基準電圧回路27
と、比較手段としての電圧比較器28と、抵抗30とが
設けられている。電流検出抵抗25はトランジスタ24
と1次巻線3との閉回路に流れる1次電流を検出するた
めにトランジスタ24に直列に接続されている。基準電
圧回路27の一方の電源端子はトランジスタ24のベー
スに抵抗30を介して接続され、この他方の電源端子は
第2の端子22即ち1次巻線3の下端に接続されてい
る。比較器28の正入力端子は電流検出抵抗25のトラ
ンジスタ側端子に接続され、負入力端子は基準電圧回路
27の基準電圧出力ライン27aに接続されている。サ
イリスタ29のゲート(制御端子)は比較器28の出力
端子に接続されている。なお、比較器28の電源端子は
抵抗30を介してトランジスタ24のベースに接続され
ている。
【0014】基準電圧回路27は、図4に示すようにコ
ンデンサCと2つの抵抗R1 、R2で構成されている。
コンデンサCと2つの抵抗R1 、R2 の直列回路は微分
回路を形成するようにトランジスタ24のベースと第2
の端子22との間に抵抗30を介して接続されている。
基準電圧出力ライン27aは2つの抵抗R1 、R2 の分
圧点に接続されている。
【0015】手動点火停止用スイッチ13a及びエンジ
ンオイルレベル検出スイッチ14aとによって点火プラ
グ6における点火を禁止させるための停止制御回路とし
て抵抗31、32、33、34、35、36と、第1及
び第2のコンデンサ37、38と、ダイオード39、4
0、41と、5個のダイオードの直列回路42と、トラ
ンジスタ43、44と、比較器45と、サージ保護誤動
作防止回路46とが設けられている。これ等の接続関係
を説明すると、電源としての機能を有する第1のコンデ
ンサ37の一端は逆流阻止用ダイオード39と電流制限
用抵抗31とを介して第1の端子21に接続され、この
他端は第2の端子22に接続されている。基準電圧源と
してのダイオード40はクランプ回路として働く5個の
ダイオードの直列回路42を介して第1のコンデンサ3
7に並列に接続されている。停止制御用比較器45の負
の入力端子はダイオード40のアノードに接続されてい
る。比較器45の正の入力端子は第2のコンデンサ38
に接続されている。第1のコンデンサ37と第2のコン
デンサ38との間にはトランジスタ43が接続されてい
る。PNP型のトランジスタ43のベースは抵抗32を
介して第3の端子23に接続されている。トランジスタ
43のエミッタとベースとの間には抵抗33及びサージ
保護誤動作防止回路46が接続されている。第2のコン
デンサ38に対して並列に放電用抵抗34が接続されて
いる。比較器45の一方の電源端子は抵抗30を介して
トランジスタ24のベースに接続され、他方の電源端子
は第2の端子22に接続されている。従って、比較器4
5は間欠的に駆動される。比較器45の出力端子とコン
デンサ38との間に逆流阻止用ダイオード41が接続さ
れている。また、比較器45の出力端子と第2の端子2
2との間に抵抗35、36の直列回路が接続されてい
る。断続制御を遮断即ち阻止するためのトランジスタ4
4は断続制御用比較器28の出力端子と第2の端子22
との間に接続され、このベースは2つの抵抗35、36
の接続点に接続されている。手動点火停止用スイッチ1
3a及びエンジンオイルレベル検出スイッチ14aは1
次巻線3の一端と第3の端子23との間にそれぞれ接続
されている。
【0016】
【基本動作】図3の点火装置において1次巻線3は回転
子2に対向配置されているので、回転子2が回転すると
1次巻線3に電圧が誘起する。1次巻線3にトランジス
タ24を順方向バイアスする向きの電圧が発生すると、
1次巻線3と抵抗26とトランジスタ24のベース・エ
ミッタ間と電流検出抵抗25との閉回路でベース電流が
流れ、トランジスタ24がオンになり、1次巻線3とト
ランジスタ24と検出抵抗25との閉回路で1次電流I
1 が流れる。1次電流I1 は図7(C)及び図8(C)
に示すように図7(A)及び図8(A)に示す1次巻線
3の電圧V1 の変化に応じて変化し、徐々に増大した後
に徐々に低下する。1次電流I1 が徐々に増大すると、
電流検出抵抗25から得られる検出電圧Vi も徐々に増
大する。検出電圧Vi が基準電圧回路27から発生して
いる基準電圧Vr を横切ると、比較器28の出力電圧が
低レベルから高レベルに転換し、サイリスタ29がトリ
ガされ、サイリスタ29がオン状態になる。この結果、
トランジスタ24のベース・エミッタ間が電流検出抵抗
25を介してサイリスタ29で短絡され、ベース電流が
サイリスタ29にバイパスすることによりトランジスタ
24はオフになる。トランジスタ24がオフになって1
次巻線3の電流I1 が遮断されると、2次巻線5に高電
圧(フライバック電圧)が発生し、点火プラグ6が点火
する。サイリスタ29は一度トリガされると、ここを流
れる電流が保持電流よりも低くなるまでオンを保持す
る。従って、比較器28の出力の低レベルへの変化に無
関係に、1次巻線3から順方向バイアス電圧が発生して
いる期間の終了近くまでサイリスタ29はオンを維持
し、その後にオフに転換する。1次巻線3にトランジス
タ24を順方向バイアスする向きの電圧が再び発生する
と、前述と同一の動作の繰返しが生じる。
【0017】図3においてトランジスタ24をオンにし
たままの1次電流I1 の波形に対応する電流検出電圧V
i は回転子2の回転速度の変化に応じて図5(A)の波
形a〜eに示すように変化する。なお、図5の波形a、
b、c、d、eはトランジスタ24で1次電流I1 を遮
断しない場合において回転速度を順次に高めた場合の電
流検出電圧の波形を示し、波形aが最も低い回転速度の
場合の1次電流の検出波形、波形eが最も高い回転速度
の場合の1次電流の検出波形である。これから明らかな
ように、回転速度が早くなるに従って1次電流I1 のピ
ーク値が高くなり、逆に電流が流れる時間幅は短くな
る。1次電流I1 の遮断時における2次巻線5の電圧を
高くするためには電流検出波形a〜eのピーク近くで1
次電流I1を遮断することが必要になる。図5(A)に
おいて点線で示す基準電圧Vr と各電流検出波形a〜e
が交差する時点で1次電流I1 が遮断されたと仮定すれ
ば、1次電流I1 は図5(B)に示すように流れ、2次
電圧V2 は図6に示すように回転数に応じて高くなる。
【0018】図5(A)に示す基準電圧Vr 又はこれに
近い波形は図4に示す基準電圧回路27に基づいて形成
される。図7は回転子2の回転速度が低い場合における
基準電圧Vr の形成を示すための図3の各部の波形図で
あり、図8は回転子2の回転速度が図7よりも高い場合
における基準電圧Vr の形成を示すための図3の各部の
波形図である。回転速度の変化によって1次巻線3の電
圧V1 は図7(A)及び図8(A)に示すように変化
し、又はトランジスタ24で電流を遮断しない場合の1
次電流I1 は図7(C)及び図8(C)に示すように変
化する。しかし、トランジスタ24のベースと第2の端
子22即ち1次巻線3の負側端子との間の電圧Vb は図
7(B)及び図8(B)に示すようにほぼ同一のレベル
にクランプされる。即ち、電圧Vb はトランジスタ24
のベース・エミッタ間電圧VBEと電流検出抵抗25の抵
抗値Rによる電圧降下I1 Rの和である。ベース・エミ
ッタ間電圧VBEは約1.2Vの一定値であり、電流検出
抵抗25は例えば0.1Ωのように極めて低く、ここを
流れる電流の最大値は例えば2A程度であるので、ここ
での電圧降下は約0.2Vである。従って、1次電流I
1 による電圧Vb の変化は極めて小さいので、図7
(B)及び図8(B)では電圧Vb がほぼ一定値にクラ
ンプされるように示されている。基準電圧回路27には
回転子2の回転速度の変化に拘らずほぼ一定の電圧Vb
が抵抗30を介して入力するので、基準電圧回路27か
ら発生する基準電圧Vr の波形は図7(D)及び図8
(D)に示すように回転速度の変化に応じてさほど変化
しない。基準電圧回路27はコンデンサCを含む微分回
路であるから、図7及び図8のt0 時点からの電圧Vb
の立上りに同期して上昇し、トランジスタ24がオンに
なるt1 時点の直後にピークになり、その後徐々に低下
する。これにより、回転速度の変化にさほど影響を受け
ないで図5に示す点線の基準電圧Vr に近い波形を得る
ことができる。基準電圧Vr の波形と電流検出波形a〜
eとの交差点の電圧は回転速度に比例的に変化してい
る。
【0019】上述から明らかなように本実施例では、1
次電流I1 を電流検出抵抗25で検出してこの遮断時点
を決定しているので、トランジスタ24、抵抗26、サ
イリスタ29等の特性のバラツキの影響をほとんど受け
ないで1次電流I1 が所望値になった時にこれを遮断す
ることができる。従って、図1の従来回路で必要であっ
たファンクション・トリミングを実行しないで1次電流
I1 を所望値又はこの近傍で遮断することが可能にな
る。即ち、図1の従来回路では1次電流の遮断時点が第
2のトランジスタ9と第2及び第3の抵抗10、11と
コンデンサ12とで決定される。しかし、第2及び第3
の抵抗10、11の抵抗値のバラツキ、コンデンサ12
の容量のバラツキ、第1及び第2のトランジスタ7、9
の電流増幅率hFE、コレクタ・エミッタ間の飽和電圧V
CE(sat )のバラツキ等によって1次電流を所望値で遮
断することは困難であった。従って、1次電流を所望値
で遮断するために例えば第3の抵抗11をファンクショ
ン・トリミングすることが必要になり、製造コストの上
昇を招いた。これに対し、本実施例では上述のようなフ
ァンクション・トリミングが不要になる。また、この実
施例ではほぼ一定とみなせる電圧Vb を微分して基準電
圧Vr を形成するので、各回転速度において最適又はこ
れに近い基準電圧Vr の波形を容易に得ることができ、
各回転速度において1次電流の遮断時点を常に最適又は
これに近い状態にすることができる。また、比較器28
の電源電圧もトランジスタ24のベースの電圧Vb を使
用しているので、比較器28の電源構成が簡単になる。
また、サイリスタ29を使用してトランジスタ24をオ
フ制御しているので、サイリスタ29のオン保持機能を
利用してトランジスタ24のオフの保持を容易に達成す
ることができる。
【0020】
【点火停止動作】次に、図9を参照して本発明に従う点
火停止動作を説明する。なお、図3においては第1の端
子21がグランドに接続されているが、図9の波形は説
明の都合上第2の端子22を基準電位(共通電位)とし
て示されている。1次巻線3から図9(A)に示すよう
に電圧V1 が発生している期間には、抵抗31とダイオ
ード39を介してコンデンサ37に充電電流が流れ、こ
の電圧V37は図9(B)に示す値になる。即ち、コンデ
ンサ37はダイオード直列回路42と5個のダイオード
40との合計で決定されたクランプ電圧に充電され、ほ
ぼ一定の電圧源として機能する。
【0021】手動点火停止用スイッチ13をオン操作す
ると、トランジスタ43のエミッタ・ベース間と抵抗3
2と手動点火停止用スイッチ13aと1次巻線3とから
成る回路でトランジスタ43のベース電流が流れ、この
トランジスタ43がオンになる。これにより、第1のコ
ンデンサ37から第2のコンデンサ38にトランジスタ
43を介して充電電流が流れ、図9(C)に示すように
t1 時点でコンデンサ38の電圧V38が所望値まで立上
る。コンデンサ38には高抵抗34が並列に接続されて
いるので、コンデンサ38は放電するが、コンデンサ3
8の放電時定数はエンジン点火開始時における回転子2
の回転速度150rpm における点火周期よりも十分に長
く設定されているので、コンデンサ38の電圧V38は急
激には低下しない。第2の比較器45の正入力端子には
図9(C)に示すコンデンサ38の電圧V38が入力し、
負入力端子にはダイオード40の順方向電圧からなる図
9(C)で破線で示す基準電圧Vthが入力する。t1 時
点でコンデンサ38が充電され、第2の比較器45の正
入力端子の電圧V38が負入力端子の電圧Vthよりも高く
なるが、1次巻線3から電圧が発生していないので、比
較器45の出力状態の転換は発生しない。その後、t2
〜t3 期間に図9(A)に示すように所定レベル以上の
電圧V1 が発生すると、比較器45が正常に動作し、こ
の出力電圧V45は図9(D)に示すように高レベルにな
る。これにより、ダイオード41を介してコンデンサC
38が充電され、コンデンサC38の電圧V38は基準電圧V
thよりも高い値に保たれる。t2 〜t3 期間で比較器4
5の出力電圧V45が高レベルになると、抵抗35を介し
てトランジスタ44にベース電流が流れ、図9(E)に
示すようにトランジスタ44がオンになる。トランジス
タ44がオンになると、サイリスタ29のゲートとカソ
ード間が短絡され、サイリスタ29のゲートに対するト
リガの供給が阻止される。既に説明したようにサイリス
タ29のトリガ信号はt2 〜t3 期間の1次巻線3の電
圧が発生している期間に発生する。即ち1次電流I1 が
流れると、トランジスタ24がオンになり、電流検出電
圧Vi が立上り、第1の比較器28からトリガ信号が発
生する。しかし、点火停止用スイッチ13aを操作した
時にはトランジスタ44によってトリガ信号が阻止さ
れ、サイリスタ29のオンが阻止され、サイリスタ29
がオフの状態を保持するので、トランジスタ24はt2
〜t3 期間にオフに転換することはない。この結果、2
次巻線5に点火プラグ6を点火する電圧が得られず、点
火停止状態になる。オイルレベル検出スイッチ14aが
オンになった時にも手動点火停止用スイッチ13aを操
作した時と同様な動作が生じる。オイルレベル検出スイ
ッチ14aは保持機能を持たない比較的安価なスイッチ
であるが、これが1回オン状態になるとコンデンサ38
が充電され、この電圧V38が基準電圧Vthよりも高い状
態に保持されるために点火停止を継続させることができ
る。なお、点火停止を継続すると回転子2の回転速度が
低下し、1次巻線3の電圧も徐々に低下し、最終的に1
次電流I1 が全く流れなくなる。この結果、コンデンサ
38の電荷は抵抗34を介して放出され、コンデンサ3
8の電圧V38は基準電圧Vth以下になり、次の点火停止
動作が可能な状態が得られる。
【0022】上述から明らかなように本実施例では、手
動点火停止用スイッチ13a及び内燃機関のオイルレベ
ルの検出スイッチ14aが1次巻線3の主電流が流れる
経路に接続されていないので、これ等を小電流容量の安
価なスイッチにすることができるばかりでなく、接点の
損傷が少なくなり、これ等の耐久性を大幅に向上させる
ことができる。また、オイルレベル検出スイッチ14a
が保持機能を持つ必要がなくなるため、コストの低減を
図ることができる。また、コンデンサ38による保持機
能があるので、手動点火停止用スイッチ13aを瞬間的
にオン操作すると、点火停止動作が保持される。従っ
て、従来のようにスイッチ13aを内燃機関が停止する
まで押し続けることが不要になり、操作性が向上する。
【0023】
【変形例】本発明は上述の実施例に限定されるものでな
く、例えば次の変形が可能なものである。 (1) トランジスタ24、44を電界効果トランジス
タ等の半導体スイッチとすること、サイリスタ29をト
ランジスタ、電界効果トランジスタ又はこれを含むスイ
ッチ回路にすることができる。 (2) 2次巻線5と点火プラグ6との間に逆電圧阻止
用ダイオードを接続することができる。即ち、トランジ
スタ24のオン期間に2次巻線5に発生する電圧を阻止
するダイオードを付加することができる。 (3) 電流検出手段として抵抗25の代りにCT又は
ホール素子のような磁電変換素子を設けることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の点火装置を示す回路図である。
【図2】発電機部分を原理的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施例の点火装置を示す回路図であ
る。
【図4】図3の基準電圧発生手段及びこの近傍を示す回
路図である。
【図5】図3の点火装置における電流検出波形と基準電
圧との関係及び遮断した状態の1次電流I1 を示す波形
図である。
【図6】回転子の回転数と2次電圧の関係を示す図であ
る。
【図7】回転速度の低い場合の図3の各部の状態を示す
波形図である。
【図8】回転速度の高い場合の図3の各部の状態を示す
波形図である。
【図9】図3の各部の状態を示す波形図である。
【符号の説明】
3 1次巻線 5 2次巻線 6 点火プラグ 13a 手動点火停止用スイッチ 14a オイルレベル検出スイッチ 24 トランジスタ 25 電流検出抵抗 27 基準電圧回路 28、45 比較器 29 サイリスタ 38 保持用コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 1/00 - 17/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石を含む回転子と、 前記磁石から発生する磁束が鎖交するように配置された
    1次巻線と、 前記1次巻線に電磁結合された2次巻線と、 前記2次巻線に接続された内燃機関の点火プラグと、 前記1次巻線に並列に接続された点火用トランジスタ
    と、 前記回転子の回転に基づいて前記1次巻線に誘起した電
    圧によって前記点火用トランジスタをオン駆動するため
    に前記1次巻線の一端と前記点火用トランジスタのベー
    スとの間に接続されたトランジスタ駆動用抵抗と、 前記抵抗を介して前記点火用トランジスタに供給するベ
    −ス電流を阻止して前記点火用トランジスタをオフに制
    御するために前記点火用トランジスタのベースと前記1
    次巻線の他端との間に接続されたオフ制御用半導体スイ
    ッチと、 前記点火用トランジスタに電流が流れている期間内のあ
    る時点で前記点火用トランジスタをオフにするように前
    記オフ制御用半導体スイッチを制御するものであって、
    前記点火用トランジスタを流れる電流の検出信号に基づ
    いて前記オフ制御用半導体スイッチを断続的にオンに制
    御する断続制御回路と、 前記点火プラグの点火動作を停止させるための点火停止
    用スイッチと、 前記点火停止用スイッチの操作に応答して前記オフ制御
    半導体スイッチの前記断続制御回路に基づく断続動作
    を阻止する停止制御回路とを備えている内燃機関点火装
    置であって、前記断続制御回路は、前記点火用トランジスタを通って
    流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手
    段から得られた前記電流に対応した検出電圧と比較する
    ための基準電圧として、時間の経過と共に徐々に低下す
    る傾斜部分を有する波形の基準電圧を発生する基準電圧
    回路と、前記検出電圧と前記基準電圧とを比較する断続
    制御用比較器とを有して前記比較器から得られた前記検
    出電圧が前記基準電圧に達したことを示す出力によって
    前記オフ制御用半導体スイッチをオンに制御するように
    形成され、 前記比較器の電源電圧が前記点火用トランジスタのベー
    スと前記1次巻線の他端との間から得られていることを
    特徴とする 内燃機関点火装置。
  2. 【請求項2】 磁石を含む回転子と、 前記磁石から発生する磁束が鎖交するように配置された
    1次巻線と、 前記1次巻線に電磁結合された2次巻線と、 前記2次巻線に接続された内燃機関の点火プラグと、 前記1次巻線に並列に接続された点火用トランジスタ
    と、 前記回転子の回転に基づいて前記1次巻線に誘起した電
    圧によって前記点火用トランジスタをオン駆動するため
    に前記1次巻線の一端と前記点火用トランジスタのベー
    スとの間に接続された点火用トランジスタ駆動用抵抗
    と、 前記抵抗を介して前記点火用トランジスタに供給するベ
    −ス電流を阻止して前記点火用トランジスタをオフに制
    御するために前記点火用トランジスタのベースと前記1
    次巻線の他端との間に接続されたオフ制御用半導体スイ
    ッチと、 前記点火用トランジスタに電流が流れている期間内のあ
    る時点で前記点火用トランジスタをオフにするように前
    記オフ制御用半導体スイッチを制御するものであって、
    前記点火用トランジスタを流れる電流の検出信号に基づ
    いて前記オフ制御用半導体スイッチを断続的にオンに制
    御する断続制御回路と、 前記点火プラグの点火動作を停止させるための点火停止
    用スイッチと、 前記点火停止用スイッチの操作に応答して前記オフ制御
    用半導体スイッチの前記断続制御回路に基づく断続動作
    を阻止する停止制御回路とを備えている内燃機関点火装
    置であって、 前記断続制御回路は、前記点火用トランジスタを通って
    流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手
    段から得られた前記電流に対応した検出電圧と比較する
    ための第1の基準電圧を発生する基準電圧回路と、前記
    検出電圧と前記第1の基準電圧とを比較する断続制御用
    比較器とを有して前記断続制御用比較器から得られた前
    記検出電圧が前記第1の基準電圧に達したことを示す出
    力によって前記オフ制御用半導体スイッチをオンに制御
    するように形成され、 前記断続制御用比較器の電源電圧が前記点火用トランジ
    スタのベースと前記1次巻線の他端との間から得られ、 前記停止制御回路は、 前記1次巻線の一端と他端との間に逆流阻止用ダイオー
    ド(39)を介して接続された第1のコンデンサ(3
    7)と、 前記点火停止用スイッチ(13a)のオン操作に応答し
    てオンになる充電制御用スイッチ(43)を介して前記
    第1のコンデンサ(37)に接続された第2のコンデン
    サ(38)と、 前記第1のコンデンサ(37)の電圧に基づいてこの電
    圧よりも低い第2の基準電圧(Vth)を得るための基準
    電圧源(40)と、 一方の入力端子が前記第2のコンデンサ(38)に接続
    され、他方の入力端子が前記基準電圧源(40)に接続
    され、前記点火用トランジスタ(24)のベースと前記
    1次巻線(3)の他端との間の電圧を電源電圧として使
    用している停止制御用比較器(45)と、 前記停止制御用比較器(45)の出力で前記第2のコン
    デンサ(38)を充電するように前記停止制御用比較器
    (45)の出力端子と前記第2のコンデンサ(38)と
    の間に接続された逆流阻止用ダイオード(41)と、 前記断続制御用比較器(28)の出力によって前記オフ
    制御半導体スイッチ(29)をオンに制御することを
    阻止するものであって、前記停止制御用比較器(45)
    の出力に応答して前記断続制御用比較器(28)の出力
    の前記オフ制御用半導体スイッチ(29)の制御端子に
    対する伝送を遮断するスイッチ(44)とを備えている
    ことを特徴とする内燃機関点火装置。
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