JP3018841U - ネオジムマグネットを利用したアルニコマグネット式スピーカーの磁気回路構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【考案の名称】 ネオジムマグネット式コーン型ス
ピーカーの磁気回路構造 【目的】 本考案は、コーン型スピーカーの磁気回路
構造に関するもので、特に、アルニコマグネット式スピ
ーカーのヨーク部分を改善してネオジムマグネットが利
用できるようにして既存のスピーカーより薄く軽いなが
らもその入力を約１５倍程度増加したネオジムマグネッ
トを利用したアルニコマグネット式スピーカーの磁気回
路構造に関するものである。 【構成】 スピーカーフレーム１に振動板２とヨーク
３を組み付け、かつヨーク３内に挿入固定したアルニコ
マグネット式マグネットとボイスコイル５により振動板
２を振動するようにしたコーン型スピーカーにおいて、
ヨーク３の内部空間部底面部７中央に薄い板状のネオジ
ムマグネット４Ｎをアルニコマグネットの代りに固定
し、底面部７の中央面７′を上側に突出させることによ
り、ボイスコイル５の振動間隔Ｖを拡張した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、コーン型スピーカーの振動板を駆動させる磁気回路の構造に関する もので、特に、アルニコ（Ａｌｎｉｃｏ）マグネット式スピーカーのヨーク部分 を改善してネオジム（Ｎｅｏｄｙｍ）マグネットを利用し、従来のスピーカーよ り薄くて軽くできる、ネオジムマグネットを利用するアルニコマグネット式スピ ーカーの磁気回路構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術と問題点】

電気的信号を機械的振動運動に変換して、これにより振動板を振動させ音を発 生するスピーカーは、いくつかの種類のものが存在しているが、その中でコーン （Ｃｏｎｅ）型スピーカーは、ヨーク（Ｙｏｋｅ）、マグネット（Ｍａｇｎｅｔ ）、ボイスコイル（Ｖｏｉｃｅ Ｃｏｉｌ）、振動板などで構成されており、こ れらによりスピーカーの音の強さと音質が左右されるのである。

【０００３】 従来のスピーカーは、前記の構成のうち、磁石（Ｍａｇｎｅｔ）の材質、種類 により大型のフェライトマグネット（Ｆｅｒｒｉｔｅ Ｍａｇｎｅｔ）と小型用 のアルニコマグネット（Ａｌｎｉｃｏ Ｍａｇｎｅｔ）などに区分される。 本考案に関する後者のアルニコマグネット式スピーカーは、マグネットが、ア ルミニウム（Ａｌｍｉｎｉｕｍ）、ニッケル（Ｎｉｃｋｅｌ）、コバルト（Ｃｏ ｂａｌｔ）を主成分とする合金からなる比較的高い円柱状のアルニコマグネット を使用するもので、音量などの性能は優秀である。しかし、上記成分のうちコバ ルトは、稀貴鉱石として、世界的に２〜３ヵ所（ロシア、ザイールなど）でしか 生産されておらず、供給が一定でなく原価が上昇するという欠点がある。

【０００４】 そのためマグネットを、埋蔵量が豊富で安定的な供給が可能なネオジム（Ｎｅ ｏｄｙｍ）、バリウム（Ｂａｒｉｕｍ）、鉄（Ｆｅ）を主成分とする合金からな る平たいプレート状のネオジムマグネットを使用したスピーカーが生産されてい るが、これは、薄いプレート状のマグネットのためボイスコイルの上下運動幅が 狭く、低出力のものしか生産できず、その性能がアルニコマグネット式スピーカ ーと比べて劣るという欠点がある。 このような欠点を解決するため単純にネオジムマグネットの厚さを増せば、原 価が上昇し、また、トッププレートの厚さを増せば、磁束密度が低下して音が小 さくなるという欠点があるため、その使用が敬遠されるという問題点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、小型のアルニコマグネット式スピーカーにおいて、前記のような欠 点を除去するため、そのマグネットを生産量が豊富で、安いネオジムマグネット で代替し、かつボイスコイルの振動間隔を拡張する手段として、底面板の中央面 を上側に突出させ、その優秀な性能を維持できるようにしたスピーカーを考案し たものである。

【０００６】

【実施例】

本考案の要旨を添付図面の実施例により詳細に説明すれば以下のとおりである 。図１は本考案の一実施例であるコーン型スピーカーを示す。従来のアルニコマ グネット式スピーカーのヨーク上端に適宜方法でスピーカーフレーム１を組み付 け、その周縁にボイスコイル５が取り付けられた振動板２を張設する。ヨーク３ 内の内部空間部６の底面７に比較的薄い板状のネオジムマグネット４Ｎを挿入固 定する。該ネオジムマグネット４Ｎは、アルニコマグネット式コーン型スピーカ ーの高い円柱状のアルニコマグネットから変更したものであり、そのままだとボ イスコイルの巻線部も変更しなければならなくなるので、底面板７の中央面７′ を上側に突出させ、ボイスコイル５が位置した周延部の底面板７とボイスコイル ５間の距離、即ちボイスコイルの振動間隔Ｖを拡張する。 これにより、従来のアルニコマグネット式コーン型スピーカーのヨークを変更 することなくネオジムマグネットを使用でき、後述の表に示すようにその性能も 劣ることがなくなった。

【０００７】 また、第２図は別の実施例であり、深く形成されたヨーク３の底面板７とネオ ジムマグネット４Ｎの間に間隔調節用プレート８を挿入し、ボイスコイルの振動 間隔Ｖを拡張するようしたものである。 なお、説明しなかつた図面中の符号９は上部プレート、４Ａはアルニコマグネ ットである。

【０００８】

【考案の効果】

本考案は以上のような構成であって、アルニコマグネット式コーン型スピーカ ーのヨークを、前記のように底面板の中央面を上側に突出させたり、底面板とネ オジムマグネットの間に間隔調節用プレートを挿入して形成することにより、ネ オジムマグネットの後面に位置したボイスコイルの下端とヨークの底面板との間 隔が、ネオジムマグネットをヨーク底面に直接固着するより、長くすることがで き、ボイスコイルの振動間隔が大きくなる。 したがって、スピーカーに大きな出力が認められたとしても、ボイスコイルの 振動時に従来のネオジムマグネット式スピーカーのようにその振動幅が、薄い板 状のネオジムマグネットの厚さにだけ限定されず、ボイスコイルの下端がヨーク の底面板に接触せずに振動幅を大きくできるので、その性能が低下しない。 また、その入手が容易で、価格が安いネオジム（Ｎｅｏｄｙｕｍ）マグネット を使用しても、第４図のアルニコマグネット式コーン型スピーカーと本考案によ るスピーカーの周波数特性を比較したグラフで見るように、入手しがたく価格が 高いアルニコマグネットを使用したものと性能が同じか、かえって出力音圧（Ｓ ．Ｐ．Ｌ）が１〜２デシベル（ｄＢ）上昇する効果があることがわかる。

【０００９】 また、次の比較表で見るように、性能は、同一又は優秀さを維持しながらも 、アルニコマグネット式スピーカーに比べ、スピーカーのマグネットの厚さは６ 分の１に減少することができ、スピーカー全体の高さも約６．１ｍｍ低くするこ とができ、さらに重量は、２７．２７ｇ軽くすることができるとともに、その原 価を約２７％節減する効果がある。 以上のように本考案は、アルニコマグネット式コーン型スピーカーにおいて、 その磁気回路の構造内のマグネットをネオジムマグネットで交替しながら、振動 間隔を拡張して、その製作が容易で原価が節減するのはもちろん、スピーカーの 小型化と軽量化を実現しながらも、その性能は通常のアルニコマグネット式スピ ーカーと同一又は優秀な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例の断面説明図である。

【図２】 本考案の第２実施例の断面説明図である。

【図３】 従来のスピーカーについての断面説明図であ
り、（イ）は、アルニコマグネット式コーン型スピーカ
ー、（ロ）は、ネオジムマグネット式コーン型スピーカ
ーを示す。

【図４】 本考案と従来のアルニコマグネット式コーン
型スピーカーの周波数特性の比較グラフである。

【符号の説明】

１ スピーカーフレーム ２ 振動板 ３ ヨーク ４Ａ アルニコマグネット ４Ｎ ネオジムマグネット ５ ボイスコイル ６ ヨークの内部空間部 ７ ヨークの底板 ７′ 底板の中央面 Ｖ 振動間隔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スピーカーフレームに振動板とヨーク
   を組み付け、かつヨーク内に挿入したマグネットとボイ
   スコイルにより振動板を振動するようにしたコーン型ス
   ピーカーにおいて、ヨークの内部空間部底面に薄い板状
   のネオジウムマグネットを挿入し、ボイスコイルの振動
   間隔を拡張する手段として、底面板の中央面を上側に突
   出させたことを特徴とするネオジムマグネットを利用し
   たアルニコマグネット式スピーカーの磁気回路構造。
2. 【請求項２】 第１項のスピーカーにおいて、振動間
   隔の拡張手段として底面板とネオジムマグネットの間に
   間隔調節用プレートを挿入したことを特徴とするネオジ
   ムマグネットを利用したアルニコマグネット式スピーカ
   ーの磁気回路構造。