JP3018309B2 - 電磁流量計の空検出方法 - Google Patents

電磁流量計の空検出方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁流量計の空検出方
法に関し、特に電磁流量計により流量を測定する管の内
部が流体で満たされているか否かを検出する電磁流量計
の空検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁界中の流体から得られる信号起
電力に基づき流量を測定する電磁流量計では、図4に示
すような構成により流体の空検出を実施していた。同図
において、1は所定の磁界を発生させるとともに流体か
ら信号起電力を検出する検出部、10は検出器1からの
信号起電力を信号処理して流量を算出し、所定のプロセ
ス制御信号に変換出力する変換器である。検出器1にお
いて、2は所定の磁界を発生させるコイル、3は測定さ
れる流体が流れる管、4a,4bは管3の内側面に対向
して流体に接液するように配設された検出電極、5は管
3内の流体に管3と同一の電位(接地電位)を与えるた
めのコモン電極(アースリング)である。
【0003】変換器10において、11はプロセス制御
装置(図示せず)から供給されるループ電流から所定の
電源電圧を生成する電源部、12は所定周波数の励磁電
流をコイル2に出力する励磁部、13はバッファ、14
は検出電極4a,4bから得られた信号起電力を差動増
幅する交流増幅部、15は交流増幅部14の出力のうち
流体ノイズなどの低周波成分を減衰させるハイパスフィ
ルタ、16はハイパスフィルタ15の出力を所定間隔で
サンプリングするとともにディジタル情報に変換するA
/D変換部、17はA/D変換部16の出力から流量を
算出するとともに変換器10内の各部を制御する制御
部、18は制御部17からの流量情報に基づき所定のプ
ロセス制御信号を出力する出力インターフェース部であ
り、14〜17により流量検出系が構成されている。
【0004】Ra,Rbは検出電極4a,4bに対して
空検出のための微少な電流を供給する抵抗、19はバッ
ファ13を介して得られた検出電極4a,4bの電位と
各検出電極4a,4bに対して設けられた基準電圧V
a,Vbとを比較するコンパレータ19a,19bを有
し、各検出電極4a,4bの電位がそれぞれ対応する基
準電圧Va,Vbを越えた場合に空検出信号を制御部1
7に出力する空検出部である。なお、+Vは接地電位よ
り高い正の電源電圧、−Vは接地電位より低い負の電源
電圧であり、また基準電圧Va,Vbは、それぞれ電源
電圧+V,−Vと接地電位との間の所定値に設定されて
いる。
【0005】次に、電磁流量計における従来の空検出方
法について説明する。図5は、空検出に関する回路部分
を示す説明図であり、(a)は図4に示す電磁流量計の
うち空検出に関する回路部分を示す説明図、(b)は検
出電極4a側を示す説明図である。図5において、Z
a,Zbは流体により検出電極4a,4bとコモン電極
5との間にそれぞれ発生する流体抵抗、Iaは電源電圧
+Vから抵抗Ra、検出電極4a、流体抵抗Zaおよび
コモン電極5を介して接地電位に流れる電流、Ibは接
地電位からコモン電極5、流体抵抗Rb、検出電極4b
および抵抗Rbを介して電源電圧−Vに流れる電流であ
る。
【0006】流体が管3内を流れる場合、検出電極4
a,4bとコモン電極5との間に流体抵抗Za,Zb、
例えば水の場合には数KΩから十数KΩ程度の流体抵抗
を発生させることが知られており、その変化により流体
の有無すなわち空検出を行うことが可能となる。実際に
は、図5(b)に示すように、抵抗Raを介して電源電
圧+Vから流体抵抗Zaに対して、常時、微少な電流I
aを供給しておき、抵抗Raと流体抵抗Zaとの中点電
位すなわち検出電極4aの電位と基準電圧Vaとをコン
パレータ19aにより比較することにより、流体抵抗Z
aの変化に伴う電流Iaの変化を検出している。
【0007】この場合には、流量の減少により流体が検
出電極4aに接液しなくなって流体抵抗Zaが増加しあ
るいは無限大となり、検出電極4aの電位が基準電圧V
aより上昇した場合に、コンパレータ19aの出力が反
転し、管3内の流体、特に検出電極4aとコモン電極5
側の流体が空状態であると検出出力され、直前に検出さ
れた流量の有効無効判断や空検出警報の出力に利用され
る。なお、電源電圧−Vが常時供給される検出電極4b
では、前述とは逆に中点電位すなわち検出電極4bの電
位が基準電圧Vbより降下した場合に空状態が検出出力
される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、このよう
な従来の電磁流量計における空検出方法では、検出電極
4a,4bに対してそれぞれ電源電圧+V,−Vから常
時電流を供給しているため、流体抵抗Za,Zbを介し
て一方向に電荷の移動が発生し、この電荷により検出電
極4a,4bの材質と流体との関係から、検出電極4
a,4bと流体との界面で電気化学反応が起こって、検
出電極4aまたは4bの接液表面に絶縁物が付着し、こ
の絶縁物により流体との接触抵抗が増大するものとな
り、本来の流量を示す信号起電力を検出電極4a,4b
により正確に検出することが不可能となるという問題点
があった。
【0009】また検出電極4a,4bとして電気化学反
応が起こりにくい金属、例えば白金などを使用する方法
もあるが、これらの希少金属は高価であり装置としてか
なり高価なものとなってしまうという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、
検出電極における絶縁物生成速度を抑制し、長期間にわ
たって正確な流量を安定して検出することができる電磁
流量計の空検出方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による電磁流量計の空検出方法は、検
出電極への電流を供給/遮断制御する電流制御手段と、
検出電極の電位を保持し、また保持した電位を検出電極
に復帰出力する電圧保持手段とを設けて、流量測定時に
は、電流制御手段により検出電極への電流供給を遮断す
るとともに、電圧保持手段を検出電極から切り離すこと
により空検出を停止し、空検出時には、流量測定を停止
して、直前の検出電極の電位を電圧保持手段により保持
したのち、電流制御手段により検出電極に対して電流を
供給して空検出を実施し、空検出終了後、電圧保持手段
により保持しておいた電位を検出電極に復帰出力するよ
うにしたものである。
【0011】
【作用】したがって、流量測定時には、電流制御手段に
より検出電極への電流供給が遮断されるとともに、電圧
保持手段が検出電極から切り離され、空検出時には、直
前の検出電極の電位が電圧保持手段により保持されたの
ち、電流制御手段により検出電極に対して電流が供給さ
れて空検出が実施され、空検出終了後、電圧保持手段に
より保持しておいた電位が出力されて検出電極の電位が
空検出実施直前の電位となる。
【0012】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は本発明の一実施例である電磁流量計を示すブ
ロック図であり、同図において、前述の説明と同じまた
は同等部分には同一符号を付してある。図1において、
21は制御部17からの制御信号に応じて空検出のため
に検出電極4a,4bに供給される電流を制御する電流
制御部、22は空検出実施前の検出電極4a,4bの電
位を保持し、空検出終了後に保持していた電位を検出電
極4a,4bに出力する電圧保持部である。
【0013】次に、本発明の動作を図2および図3を参
照して説明する。図2は、空検出に関する回路部分示す
説明図であり、A/D変換部16において、16bは入
力信号電圧を保持出力するS/H回路、16aは制御部
17からの制御信号に基づきハイパスフィルタ15の出
力をS/H回路16bに入力するスイッチ、16cはS
/H回路16bにより保持出力された電圧信号をディジ
タル情報に変換出力するA/D変換回路である。電流制
御部21において、21a,21bは制御部17からの
制御信号に応じて動作する独立した2つのスイッチであ
り、電圧保持部22において、22c,22dは入力電
位を保持出力するサンプルホールド回路(以下、S/H
回路という)、22a,22bは制御部17からの制御
信号に応じてS/H回路22c,22dに検出電極4
a,4bの電位を入力するスイッチ、22e,22fは
S/H回路22c,22dからの出力を検出電極4a,
4bの電位として出力するスイッチである。
【0014】図3は、図2における各スイッチの動作を
示すタイミングチャートであり、31はA/D変換部1
6のスイッチ16a、32は電圧保持部22のスイッチ
22e,22fの動作タイミング、33は電流制御部2
1のスイッチ21a,21bの動作タイミング、34は
電圧保持部22のスイッチ22a,22bの動作タイミ
ング、35は制御部17の内部における空検出信号の読
み込みタイミングをそれぞれ示している。図3のタイミ
ングチャートに示したように、本発明では、流量測定と
空検出とを時分割で行っており、ここでは流量測定3回
に1回の割合で空検出を実施する場合を例に説明する。
【0015】時刻T0 において、制御部17からの制御
信号により、A/D変換部16のスイッチ16aが導通
状態「ON」となり(31)、検出電極4a,4bから
の信号起電力がバッファ13、交流増幅部14、ハイパ
スフィルタ15、スイッチ16aを介してS/H回路1
6bに入力される。この入力電圧が安定する所定期間
後、スイッチ16aが非導通状態「OFF」に制御さ
れ、そのときの入力電圧がS/H回路16bによって保
持され、A/D変換回路16cによりディジタル情報に
変換されて制御部17に入力され、流量が算出される。
この間、他のスイッチはすべて「OFF」となってい
る。
【0016】同様にして、時刻T1 ,T2 においても流
量測定が実施され、時刻T2 からの流量測定において、
スイッチ16aが「OFF」する時刻T3 以後、空検出
が開始される。まず、制御部17からの制御信号により
電圧保持部22のスイッチ22a,22bがそれぞれ
「ON」に制御され(32)、バッファ13の出力すな
わち時刻T2 からの流量測定直後の検出電圧4a,4b
の電位がS/H回路22c,22dに入力される。
【0017】この入力電圧が安定する所定時間後、スイ
ッチ22a,22bが「OFF」に制御され、そのとき
の入力電圧がS/H回路22c,22dによって保持さ
れたのち、制御部17からの制御信号により電流制御部
21のスイッチ21a,21bが「ON」に制御され
(34)、電源電圧+Vから抵抗Ra、スイッチ21
a、検出電極4a、流体抵抗Za、コモン電極5を介し
て接地電位に電流Iaが流れるとともに、接地電位か
ら、コモン電極5、流体抵抗Zb、検出電極4b、スイ
ッチ21b、抵抗Rbを介して電源電圧−Vに電流Ib
が流れる。このとき、スイッチ21a,21b以外のス
イッチは、すべて「OFF」となっているため、抵抗R
a,Rbと流体抵抗Za,Zbとにより分圧された電
位、すなわち検出電極4a,4bの電位は、それぞれバ
ッファ13を介して空検出部19の各コンパレータ19
a,19bに入力される。
【0018】ここで、各検出電圧14a,14bの電位
は、それぞれ基準電圧Va,Vbと比較され、管3内の
流体が減少して検出電極14a,14bと接液していな
い場合すなわち空状態の場合には、それぞれの流体抵抗
Za,Zbが増加しあるいは無限大となって検出電極1
4a,14bの電位が基準電圧Va,Vbを越えて電源
電圧+V,−V側に変化するため、コンパレータ19
a,19bの出力が反転し、空検出信号として制御部1
7に出力される。制御部17は、スイッチ21a,21
bを「ON」に制御してから、コンパレータ19a,1
9bの出力すなわち空検出信号が安定する所定時間後に
空検出信号を読み取り(35)、空状態を判定する。
【0019】空検出信号の読み取り終了後、スイッチ2
1a,21bが「OFF」に制御され、電圧保持部22
のスイッチ22e,22fが「ON」に制御されて(3
4)、S/H回路22c,22dに保持されていた空検
出実施直前の電位が検出電極4a,4bに出力され、検
出電極4a,4bの電位が安定した後スイッチ22e,
22fが「OFF」に制御され、時刻T4 以降、前述の
流量測定が繰り返し実施されるものとなる。
【0020】このように、空検出のための電流を制御す
る電流制御部21と、検出電極4a,4bの電位を保持
する電圧保持部22を設けて、流量測定時には検出電極
4a,4bに対する空検出のための電流を遮断し、空検
出時には電圧保持部22により空検出実施直前の検出電
極4a,4bの電位を保持しておき、空検出終了後保持
しておいた電位を出力して検出電極4a,4bの電位を
空検出実施直前の電位に復帰させるようにしたので、各
検出電極4a,4bの接液表面に付着する絶縁物の割合
が減少し、検出電極4a,4bにおける絶縁物生成速度
が抑制されるものとなり、より長い期間にわたって正確
な流量を安定して検出することができるとともに、空検
出における電流の供給により検出電極4a,4bの電位
が変動し、流体抵抗Za,Zbや配線などの容量成分に
より電位差が生じた場合でも、その後、直ちに流量測定
を実施することが可能となり、流量をより正確に間断な
く測定することが可能となる。
【0021】なお、前述の説明において、各部のスイッ
チを制御部17からの制御信号により制御するようにし
た場合について説明したが、これらスイッチの動作制御
を一括して制御するスイッチ制御部を設けてもよいし、
また制御部17からのクロック信号に基づき、各部で個
々に制御するようにしてもよい。また、流量測定と空検
出とを一定周期で時分割により実施するようにした場合
について説明したが、必要に応じて空検出を不定期に実
施するようにしてもよく、この場合にも前述と同様に、
電圧保持部22により空検出実施直前の検出電極4a,
4bの電位を保持しておき、空検出終了後保持しておい
た電位を出力して検出電極4a,4bの電位を空検出実
施直前の電位に復帰させることにより、前述と同様の作
用効果を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、空検出
のための電流を制御する電流制御手段と、検出電極の電
位を保持する電圧保持手段を設けて、流量測定時には検
出電極に対する空検出のための電流を遮断し、空検出時
には電圧保持手段により空検出実施直前の検出電極の電
位を保持しておき、空検出終了後保持しておいた電位を
出力して検出電極の電位を空検出実施直前の電位に復帰
させるようにしたので、各検出電極の接液表面に付着す
る絶縁物の割合が減少して絶縁物生成速度が抑制される
ものとなり、より長い期間にわたって正確な流量を安定
して検出することができるとともに、空検出における電
流の供給により検出電極の電位が変動し、流体抵抗や配
線などの容量成分により電位差が生じた場合でも、その
後、直ちに流量測定を実施することが可能となり、流量
をより正確に間断なく測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による電磁流量計のブロッ
ク図である。
【図2】 空検出に関する回路部分示す説明図である。
【図3】 図2の各スイッチの動作を示すタイミングチ
ャートである。
【図4】 従来の電磁流量計のブロック図である。
【図5】 従来の空検出に関する回路部分を示す説明図
である。
【符号の説明】
1…検出器、2…コイル、3…管、4a,4b…検出電
極、5…コモン電極、10…変換器、11…電源部、1
2…励磁部、13…バッファ、14…交流増幅部、15
…ハイパスフィルタ、16…A/D変換部、17…制御
部、18…出力インターフェース部、19…空検出部、
19a,19b…コンパレータ、Va,Vb…基準電
圧、21…電流制御部(電流制御手段)、Ra,Rb…
抵抗、22…電圧保持部(電圧保持手段)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流量に応じた信号起電力を検出する検出
    電極に対して所定の電流を供給するとともに、前記検出
    電極の電位と基準電圧とを比較し、この比較結果に応じ
    て被測定流体の空状態を検出する電磁流量計の空検出方
    法において、 前記検出電極への電流を供給/遮断制御する電流制御手
    段と、 前記検出電極の電位を保持し、また保持した電位を検出
    電極に復帰出力する電圧保持手段とを設けて、 流量測定時には、前記電流制御手段により前記検出電極
    への電流供給を遮断するとともに、前記電圧保持手段を
    前記検出電極から切り離すことにより空検出を停止し、 空検出時には、流量測定を停止して、直前の前記検出電
    極の電位を前記電圧保持手段により保持したのち、前記
    電流制御手段により前記検出電極に対して電流を供給し
    て空検出を実施し、空検出終了後、前記電圧保持手段に
    より保持しておいた電位を前記検出電極に復帰出力する
    ようにしたことを特徴とする電磁流量計の空検出方法。
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