JP3017623B2 - 石炭ガス化装置 - Google Patents

石炭ガス化装置

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JP3017623B2 JP5241362A JP24136293A JP3017623B2 JP 3017623 B2 JP3017623 B2 JP 3017623B2 JP 5241362 A JP5241362 A JP 5241362A JP 24136293 A JP24136293 A JP 24136293A JP 3017623 B2 JP3017623 B2 JP 3017623B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石炭ガス化装置に係
り、特にガス化ガス中に含まれている溶融スラグを冷却
し固化して落下させ、熱交換用の伝熱管への溶融スラグ
の付着を防止するために好適な石炭ガス化装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種石炭ガス化装置の従来技術は、図
8に示すように、石炭ガス化炉1と、これの上部に連結
されたラジアントクーラ2と、これに配管3を介して連
結された熱回収ボイラ4と、石炭ガス化炉1の下部に設
けられたスラグタップ9とを備えている。
【0003】前記石炭ガス化炉1には、ミルにより微粉
砕された微粉炭5と、酸化剤6とが供給され、高温下で
ガス化ガス7が生成される。そして、ガス化ガス7中の
灰分は溶融スラグ8として、スラグタップ9を通って石
炭ガス化炉1の下部に排出される。一方、ガス化ガス7
はラジアントクーラ2により冷却され、ついで配管3を
通り、流れ方向を変換された後、熱回収ボイラ4に導か
れ、この熱回収ボイラ4により熱回収され、さらに温度
が低下した後、熱回収ボイラ4よりガス精製設備に供給
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術では石炭ガス化炉1の出口においてガス化ガス7
中の溶融スラグを固化する手段を有していない。このた
め、溶融スラグがラジアントクーラ2に付着し、伝熱性
能を変化させることがある。また、ラジアントクーラ2
の伝熱管は炉壁面に、ガス化ガス7の流れ方向に対して
平行に配置されており、輻射熱伝達が主であり、対流熱
伝達は補助的であるため、ラジアントクーラ2の容積効
率が低い。さらに、ラジアントクーラ2から熱回収ボイ
ラ4へ、ガス化ガス7が配管3でいったん流れ方向が変
換されてから導かれ、下降流のガス化ガス7中に熱回収
ボイラ4の伝熱管が配置されているため、伝熱管上部に
灰分などが堆積し、対流熱伝達率を低下させると同時
に、チャーなどの粒子による伝熱促進効果も阻害される
という問題があった。
【0005】本発明の目的は、ガス化ガス中の溶融スラ
グの伝熱管への付着による伝熱性能の劣化を防止し得る
石炭ガス化装置を提供することにある。
【0006】また、本発明の他の目的はガス化ガス中の
チャーなどの粒子と伝熱管との衝突や接触による接触熱
伝導効果と、チャーなどの粒子による温度境界層撹乱の
伝熱促進効果とを発揮させ得る石炭ガス化装置を提供す
ることにある。
【0007】さらに、本発明の他の目的はガス化ガス中
の灰分の伝熱管上部への堆積による回収熱量の低下を防
止し得る石炭ガス化装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、石炭ガス化
炉のガス化ガス出口部に、ガス化ガス中の溶融スラグを
冷却し固化して落下させる溶融スラグ冷却用熱交換器を
設置し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、ガス
化ガス中の熱を回収する熱回収用熱交換器の伝熱管を配
置したことにより、達成される。
【0009】また、前記目的は石炭ガス化炉のガス化ガ
ス出口部に、ガス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱交換器
ハウジングを連結し、この熱交換器ハウジング内におけ
るガス化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガス中の溶
融スラグを冷却し固化して落下させる溶融スラグ冷却用
熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上
方に、熱回収用熱交換器の伝熱管をガス化ガスの上昇流
に交差させて配置したことにより、達成される。
【0010】また、前記目的は石炭ガス化炉のガス化ガ
ス出口部に、ガス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボ
イラハウジングを連結し、この熱回収ボイラハウジング
内におけるガス化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガ
ス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させる溶融スラ
グ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交
換器の上方に、熱回収ボイラの蒸発器の伝熱管をガス化
ガスの上昇流に交差させて配置したことにより、達成さ
れる。
【0011】また、前記目的は石炭ガス化炉のガス化ガ
ス出口部に、ガス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボ
イラハウジングを連結し、この熱回収ボイラハウジング
内におけるガス化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガ
ス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させる溶融スラ
グ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交
換器の上方に、熱回収ボイラの蒸発器と予熱器とを、各
々の伝熱管をガス化ガスの上昇流に交差させて配置した
ことにより、達成される。
【0012】また、前記目的は石炭ガス化炉のガス化ガ
ス出口部に、ガス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボ
イラハウジングを連結し、この熱回収ボイラハウジング
内におけるガス化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガ
ス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させる溶融スラ
グ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交
換器の上方に、熱回収ボイラの過熱器と蒸発器と予熱器
とを、各々の伝熱管をガス化ガスの上昇流に交差させて
配置したことにより、達成される。
【0013】また、前記目的は前記溶融スラグ冷却用熱
交換器に、冷却媒体の流量を間欠的に変化させて供給す
る冷却媒体供給手段を接続したことにより、達成され
る。
【0014】さらに、前記目的は前記熱回収用熱交換器
または熱回収ボイラに、前記伝熱管の上部に堆積した灰
分を吹き落すスートブロー設備を設置したことにより、
達成される。
【0015】そして、前記目的は前記熱回収用熱交換器
または熱回収ボイラに、前記伝熱管の上方から石炭粒子
を噴出させ、伝熱管の上部に堆積した灰分を払い落す石
炭粒子噴出装置を設置したことにより、達成される。
【0016】
【作用】本発明では、石炭ガス化炉のガス化ガス出口部
に設置された溶融スラグ冷却用熱交換器により、石炭ガ
ス化炉のガス化ガス出口部でガス化ガス中の溶融スラグ
を冷却し固化して落下させる。これにより、溶融スラグ
冷却用熱交換器の下流側への、ガス化ガス中の溶融スラ
グの飛散を回避することができる。したがって、溶融ス
ラグ冷却用熱交換器の上方に配置された熱回収用熱交換
器への溶融スラグの付着を防止し、溶融スラグの付着に
よる熱回収用熱交換器の伝熱性能の劣化を防止すること
ができる。
【0017】また、本発明ではチャーなどの固体粒子を
含むガス化ガスの上昇流中に、熱回収用熱交換器の伝熱
管や熱回収ボイラの伝熱管を交差させて、つまり前記上
昇流に対して伝熱管を直交または傾斜させて配置し、灰
分などが堆積している伝熱管上部ではなく、灰分などが
堆積していない伝熱管下部にガス化ガス中のチャーなど
の粒子が盛んに衝突または接触するようにしているの
で、チャーなどの粒子と伝熱管との接触熱伝導効果と、
チャーなどの粒子による温度境界層撹乱の伝熱促進効果
とにより、伝熱管外の熱伝達率を向上させることがで
き、ひいては熱回収用熱交換器や熱回収ボイラの小型化
を図ることが可能となる。
【0018】さらに、本発明では冷却媒体供給手段によ
り、溶融スラグ冷却用熱交換器に冷却媒体として、例え
ば水,冷却液または冷却空気の流量を間欠的に変化させ
て供給し、溶融スラグ冷却用熱交換器の伝熱管の温度を
間欠的に変化させ、前記伝熱管を伸縮させ、溶融スラグ
冷却用熱交換器への付着物を離脱させるようにしている
ので、溶融スラグを冷却し固化する機能を継続して発揮
させることができる。
【0019】そして、本発明では熱回収用熱交換器また
は熱回収ボイラに、スートブロー設備や石炭粒子噴出装
置を設置し、熱回収用熱交換器または熱回収ボイラの伝
熱管の上部に堆積した灰分を積極的に取り除くようにし
ているので、伝熱管への灰分の堆積によるガス化ガスか
らの回収熱量の低下を防止することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。
【0021】図1は本発明の第1の実施例を示す縦断面
図である。
【0022】この図1に示す第1の実施例では、石炭ガ
ス化炉1の上部に、熱回収用熱交換器10が連結されて
いる。
【0023】前記石炭ガス化炉1には、図8に示す従来
技術と同様、ミルにより微粉砕された微粉炭5と、酸化
剤6とが供給され、高温下でガス化ガス7を生成するよ
うになっている。また、ガス化ガス7に含まれている溶
融スラグ8は石炭ガス化炉1の下部に設けられたスラグ
タップ9を通って排出されるようになっている。
【0024】前記熱回収用熱交換器10は、ガス化ガス
7を真っ直ぐ上方に導く熱交換器ハウジング11を有し
ている。この熱交換器ハウジング11の内部におけるガ
ス化ガス7の上昇流の最上流側に当たる位置、すなわち
石炭ガス化炉1のガス化ガス出口部に、溶融スラグを冷
却し固化して落下させるための溶融スラグ冷却用熱交換
器12が設置されている。また、前記熱交換器ハウジン
グ11の内部における溶融スラグ冷却用熱交換器12の
上方には、熱回収用熱交換器10の伝熱管13が多段に
配置されている。各伝熱管13は、ガス化ガス7の上昇
流に対して交差させて、つまりガス化ガス7の上昇流に
対して直交または傾斜させて配置されている。
【0025】ところで、この第1の実施例では石炭ガス
化炉1で生成されたガス化ガス7はその出口部を通って
熱回収用熱交換器10の熱交換器ハウジング11内に導
かれ、真っ直に上昇する。
【0026】そして、ガス化ガス7中に含まれている溶
融スラグは、石炭ガス化炉1のガス化ガス出口部に当た
る熱交換器ハウジング11の最上流側で、溶融スラグ冷
却用熱交換器12で冷却され、固化して落下する。した
がって、溶融スラグ冷却用熱交換器12を通過したガス
化ガス7中には溶融スラグが含まれていないため、溶融
スラグ冷却用熱交換器12の上方の伝熱管13には溶融
スラグが付着しない。その結果、熱回収用熱交換器10
の伝熱管13への溶融スラグの付着による伝熱性能の劣
化を防止することができる。
【0027】また、熱回収用熱交換器10の伝熱管13
は、ガス化ガス7の上昇流に対して交差させて配置され
ているため、ガス化ガス7中に含まれているチャーなど
の粒子は、灰分などが堆積していない伝熱管13の下部
に盛んに衝突または接触する。したがって、チャーなど
の粒子と伝熱管13の接触熱伝導効果と、チャーなどの
粒子による温度境界層撹乱の伝熱促進効果とにより、伝
熱管外の熱伝達率を向上させることができ、ひいては熱
回収用熱交換器10の小型化を図ることが可能となる。
【0028】前記熱回収用熱交換器10の各段の伝熱管
13で熱交換し温度が低下したガス化ガス7は、ガス精
製設備へ供給される。
【0029】次に、図2は本発明の第2の実施例を示す
縦断面図である。
【0030】この図2に示す第2の実施例では、石炭ガ
ス化炉1のガス化ガス出口部に、熱回収用熱交換器10
に代えて熱回収ボイラ14が連結されている。
【0031】前記熱回収ボイラ14は、熱回収ボイラハ
ウジング15と、ドラム20と、蒸発器23とを備えて
構成されている。
【0032】前記熱回収ボイラハウジング15は、石炭
ガス化炉1のガス化ガス出口部に連結され、ガス化ガス
7を真っ直ぐ上方に導くようになっている。この熱回収
ボイラハウジング15の内部には、ガス化ガス7の上昇
流の最上流側に溶融スラグ冷却用熱交換器16が設置さ
れ、その上方に熱回収ボイラ14の蒸発器23が配置さ
れている。また、熱回収ボイラハウジング15の外部に
は前記熱回収ボイラ14のドラム20が設置されてい
る。
【0033】前記溶融スラグ冷却用熱交換器16は、配
管17を介して冷却媒体供給手段(図示せず)に接続さ
れている。この冷却媒体供給手段は、溶融スラグ冷却用
熱交換器16に冷却媒体18の流量を間欠的に変化させ
て供給するようになっている。前記冷却媒体には、例え
ば水,冷却液または冷却空気が用いられる。
【0034】前記蒸発器23は、熱回収ボイラハウジン
グ15の内部において前記溶融スラグ冷却用熱交換器1
6の上方に、ガス化ガス7の上昇流に対して交差させて
配置されている。また、蒸発器23は配管21を介して
ドラム20に接続されている。
【0035】前記ドラム20には、ボイラ給水19が送
られるようになっている。なお、ボイラ給水19と前記
冷却媒体18とは、全く別系統から送られるようになっ
ている。
【0036】そして、この第2の実施例では冷却媒体供
給手段から配管17を通じて溶融スラグ冷却用熱交換器
16に冷却媒体18が供給されるが、冷却媒体18の流
量は図7に示すように、間欠的に変化させて供給され
る。その結果、溶融スラグ冷却用熱交換器16の伝熱管
表面温度は図7からも分かるように、冷却媒体18の流
量が多くなると低くなり、少なくなると高くなる。ま
た、伝熱管は図7から分かるように、冷却媒体18の流
量が多くなると収縮し、少なくなると伸長する。前述の
ごとく、溶融スラグ冷却用熱交換器16の伝熱管表面温
度が変化したり、伝熱管自体が伸縮することにより、溶
融スラグ冷却用熱交換器16への付着物が離脱し、落下
する。これにより、溶融スラグ冷却用熱交換器16の溶
融スラグを冷却し固化して落下させる機能を継続して発
揮させることができる。
【0037】一方、ボイラ給水19はまず最初にドラム
20に入った後、配管21を通じて蒸発器23に入り、
ここで蒸発し、蒸気が発生する。この蒸気は、ドラム2
0を経て熱回収ボイラ14より流出する。
【0038】この第2の実施例においても、溶融スラグ
冷却用熱交換器16を通過したガス化ガス7中には溶融
スラグが含まれていないため、熱回収ボイラ14の伝熱
管である蒸発器23には溶融スラグが付着しないので、
蒸発器23への溶融スラグの付着による伝熱性能の劣化
を防止することができる。また、蒸発器23はガス化ガ
ス7の上昇流に対して交差させて配置されており、ガス
化ガス7中に含まれているチャーなどの粒子が、灰分な
どが堆積していない蒸発器23の下部に盛んに衝突しま
たは接触するので、チャーなどの粒子と蒸発器23の接
触熱伝導効果と、チャーなどの粒子による温度境界層撹
乱の伝熱促進効果とにより、伝熱管外の熱伝達率を向上
させることができる。
【0039】この第2の実施例の他の構成,作用につい
ては、前記第1の実施例と同様である。
【0040】ついで、図3は本発明の第3の実施例を示
す縦断面図である。
【0041】この図3に示す第3の実施例では、熱回収
ボイラ14が熱回収ボイラハウジング15の内部に2段
に配置された予熱器22および蒸発器23と、熱回収ボ
イラハウジング15の外部に設置されたドラム20とを
備えて構成されている。
【0042】前記蒸発器23は、熱回収ボイラハウジン
グ15の内部において溶融スラグ冷却用熱交換器16の
上方に配置され、前記予熱器22は蒸発器23の上方に
配置されている。前記蒸発器23と予熱器22とは、そ
れぞれガス化ガス7の上昇流に対して交差させて配置さ
れており、また配管21を介して前記ドラム20に接続
されている。
【0043】そして、この第3の実施例ではボイラ給水
19はまず最初に予熱器22に入り、加熱された後、ド
ラム20に入り、ついで蒸発器23に入って蒸発し、蒸
気が発生する。この蒸気は、ドラム20を介して熱回収
ボイラ14より流出する。
【0044】この第3の実施例では、予熱器22を備え
ている分、回収熱量が多くなる他は、前記第2の実施例
と同様である。
【0045】続いて、図4は本発明の第4の実施例を示
す縦断面図である。
【0046】この図4に示す第4の実施例では、熱回収
ボイラ14が熱回収ボイラハウジング15の内部に多段
に配置された予熱器22,蒸発器23および過熱器24
と、熱回収ボイラハウジング15の外部に設置されたド
ラム20とを備えて構成されている。
【0047】前記過熱器24は、熱回収ボイラハウジン
グ15の内部において溶融スラグ冷却用熱交換器16の
上方に配置され、前記蒸発器23は過熱器24の上方に
配置され、前記予熱器22は蒸発器23の上方に配置さ
れている。前記過熱器24,蒸発器23および予熱器2
2は、それぞれガス化ガス7の上昇流に対して交差させ
て配置されており、また配管21を介して前記ドラム2
0に接続されている。
【0048】而して、この第4の実施例ではボイラ給水
19はまず最初に予熱器22に入り、加熱された後、ド
ラム20に入り、ついで蒸発器23に入って蒸発し、蒸
気が発生する。この蒸気は、いったんドラム20に入
り、ついで過熱器24に送られ、過熱された後、ドラム
20を介して熱回収ボイラ14より流出する。
【0049】この第4の実施例では、予熱器22と過熱
器24を備えている分、回収熱量が多くなる他は、前記
第2の実施例と同様である。
【0050】さらに、図5は本発明の第5の実施例を示
す縦断面図である。
【0051】この図5に示す第5の実施例では、熱回収
用熱交換器10の熱交換器ハウジング11の周りに、円
周方向に等間隔をおいてスートブロー設備25が設置さ
れている。このスートブロー設備25は、熱交換器ハウ
ジング11内に配置された各段の伝熱管13の上部に向
かってスートブロー用ガス26を吹き付けるようになっ
ている。このスートブロー用ガス26としては、例えば
ガス化ガス7の精製ガス、窒素ガスを用いる。
【0052】このように、スートブロー設備25により
熱回収用熱交換器10の伝熱管13の上部に向かってス
ートブロー用ガス26を吹き付け、伝熱管13の上部に
堆積している灰分を積極的に吹き落すようにしているの
で、伝熱管13への灰分の堆積によるガス化ガス7から
の回収熱量の低下を防止することができる。
【0053】また、伝熱管13から吹き落された大きな
灰の塊は、石炭ガス化炉1に落下し、ここでガス化され
る。
【0054】この第5の実施例の他の構成,作用につい
ては、前記第1の実施例と同様である。
【0055】なお、この第5の実施例に示すスートブロ
ー設備25を前記第2,第3および第4の実施例にも適
用することができる。
【0056】ついで、図6は本発明の第6の実施例を示
す縦断面図である。
【0057】この図6に示す第6の実施例では、熱回収
用熱交換器10の熱交換器ハウジング11に、石炭粒子
噴出装置27が設置されている。この石炭粒子噴出装置
27は、熱交換器ハウジング11内に配置されている伝
熱管13の上部に向かって石炭粒子28を噴出させ、伝
熱管13の上部に堆積した灰分を払い落すようになって
いる。なお、前記石炭粒子28としては石炭粉砕用のミ
ルで粉砕された石炭粒子のうちの比較的大きい余剰石炭
粒子を用いる。
【0058】この第6の実施例では、石炭粒子噴出装置
27により、伝熱管13の上部に向かって石炭粒子28
を噴出させ、伝熱管13の上部に堆積している灰分を積
極的に払い落すようにしているので、伝熱管13への灰
分の堆積によるガス化ガス7からの回収熱量の低下を防
止することができる。
【0059】この第6の実施例の他の構成,作用につい
ては、前記第1の実施例と同様である。
【0060】また、図6に示す実施例では最上段の伝熱
管13の上方にのみ石炭粒子噴出装置27を設置してい
るが、それぞれの伝熱管13に対して設置してもよい。
さらに、この第6の実施例に示す石炭粒子噴出装置27
を前記第2,第3,第4の実施例にも適用することがで
きる。
【0061】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1記載の発
明によれば、石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガス
化ガス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させる溶融
スラグ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却用
熱交換器の上方に、ガス化ガス中の熱を回収する熱回収
用熱交換器の伝熱管を配置しており、前記溶融スラグ冷
却用熱交換器により、石炭ガス化炉のガス化ガス出口部
でガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させ
るようにしているので、溶融スラグ冷却用熱交換器の下
流側への、ガス化ガス中の溶融スラグの飛散を回避する
ことができ、したがって溶融スラグ冷却用熱交換器の上
方に配置された熱回収用熱交換器への溶融スラグの付着
を防止することができるため、溶融スラグの付着による
熱回収用熱交換器の伝熱性能の劣化を防止し得る効果が
ある。
【0062】本発明の請求項2記載の発明によれば、石
炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガス化ガスを真っ直
ぐ上方に導く熱交換器ハウジングを連結し、この熱交換
器ハウジング内におけるガス化ガスの上昇流の最上流側
に、ガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化して落下さ
せる溶融スラグ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラ
グ冷却用熱交換器の上方に、熱回収用熱交換器の伝熱管
をガス化ガスの上昇流に交差させて配置しており、前記
溶融スラグ冷却用熱交換器により、石炭ガス化炉のガス
化ガス出口部でガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化
して落下させ、溶融スラグ冷却用熱交換器の下流側へ
の、ガス化ガス中の溶融スラグの飛散を回避することが
でき、したがって溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に配
置された熱回収用熱交換器への溶融スラグの付着を防止
することができるため、溶融スラグの付着による熱回収
用熱交換器の伝熱性能の劣化を防止し得る効果があり、
さらにチャーなどの固体粒子を含むガス化ガスの上昇流
中に、熱回収用熱交換器の伝熱管を交差させて配置して
おり、灰分などが堆積していない伝熱管下部にガス化ガ
ス中のチャーなどの粒子が盛んに衝突または接触するよ
うにしているので、チャーなどの粒子と伝熱管との接触
熱伝導効果と、チャーなどの粒子による温度境界層撹乱
の伝熱促進効果とにより、伝熱管外の熱伝達率を向上さ
せ得る効果があり、ひいては熱回収用熱交換器の小型化
を図り得る効果がある。
【0063】本発明の請求項3記載の発明によれば、石
炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガス化ガスを真っ直
ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジングを連結し、この熱
回収ボイラハウジング内におけるガス化ガスの上昇流の
最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化し
て落下させる溶融スラグ冷却用熱交換器を設置し、この
溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、熱回収ボイラの蒸
発器の伝熱管をガス化ガスの上昇流に交差させて配置し
ており、前記溶融スラグ冷却用熱交換器により、石炭ガ
ス化炉のガス化ガス出口部でガス化ガス中の溶融スラグ
を冷却し固化して落下させるようにしているので、本発
明においても溶融スラグ冷却用熱交換器の下流側への、
ガス化ガス中の溶融スラグの飛散を回避することがで
き、したがって溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に配置
された熱回収ボイラの蒸発器への溶融スラグの付着によ
る蒸発器の伝熱性能の低下を防止し得る効果があり、さ
らに灰分などが堆積していない蒸発器下部にガス化ガス
中のチャーなどの粒子が盛んに衝突または接触するよう
にしているので、前記粒子と蒸発器との接触熱伝導効果
と、前記粒子による温度境界層撹乱の伝熱促進効果とに
より、伝熱管外の熱伝達率の向上を図り得る効果があ
り、ひいては熱回収ボイラの小型化を図り得る効果があ
る。
【0064】本発明の請求項4記載の発明によれば、石
炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガス化ガスを真っ直
ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジングを連結し、この熱
回収ボイラハウジング内におけるガス化ガスの上昇流の
最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化し
て落下させる溶融スラグ冷却用熱交換器を設置し、この
溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、熱回収ボイラの蒸
発器と予熱器とを、各々の伝熱管をガス化ガスの上昇流
に交差させて配置しているので、蒸発器の他に予熱器を
備えている分、ガス化ガスからの回収熱量を多くなし得
る効果がある。
【0065】本発明の請求項5記載の発明によれば、石
炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガス化ガスを真っ直
ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジングを連結し、この熱
回収ボイラハウジング内におけるガス化ガスの上昇流の
最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化し
て落下させる溶融スラグ冷却用熱交換器を設置し、この
溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、熱回収ボイラの過
熱器と蒸発器と予熱器とを、各々の伝熱管をガス化ガス
の上昇流に交差させて配置しているので、蒸発器の他に
予熱器と過熱器とを備えている分、ガス化ガスからの回
収熱量をより一層多くなし得る効果がある。
【0066】また、本発明の請求項6記載の発明によれ
ば、前記溶融スラグ冷却用熱交換器に、冷却媒体の流量
を間欠的に変化させて供給する冷却媒体供給手段を接続
しており、溶融スラグ冷却用熱交換器に供給する冷却媒
体の流量を間欠的に変化させ、溶融スラグ冷却用熱交換
器の伝熱管の温度を間欠的に変化させ、前記伝熱管を伸
縮させ、溶融スラグ冷却用熱交換器への付着物を離脱さ
せるようにしているので、溶融スラグを冷却し固化する
機能を継続して発揮させ得る効果がある。
【0067】さらに、本発明の請求項7記載の発明によ
れば、前記熱回収用熱交換器または熱回収ボイラに、前
記伝熱管の上部に堆積した灰分を吹き落すスートブロー
設備を設置しており、熱回収用熱交換器の伝熱管や熱回
収ボイラの伝熱管の上部に堆積した灰分を積極的に吹き
落すようにしているので、伝熱管への灰分の堆積による
ガス化ガスからの回収熱量の低下を防止し得る効果があ
る。
【0068】そして、本発明の請求項8記載の発明によ
れば、前記熱回収用熱交換器または熱回収ボイラに、前
記伝熱管の上部から石炭粒子を噴出させ、伝熱管の上部
に堆積した灰分を払い落す石炭粒子噴出装置を設置して
おり、熱回収用熱交換器の伝熱管や熱回収ボイラの伝熱
管の上部に堆積した灰分を積極的に吹き落すようにして
いるので、伝熱管への灰分の堆積によるガス化ガスから
の回収熱量の低下を防止し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第5の実施例を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第6の実施例を示す縦断面図である。
【図7】本発明において溶融スラグ冷却用熱交換器に供
給する冷却媒体の流量を間欠的に変化させたときの、流
量と伝熱管表面温度および伸縮関係を模式的に示した図
である。
【図8】従来技術を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…石炭ガス化炉、7…ガス化ガス、9…スラグタッ
プ、10…熱回収用熱交換器、11…熱交換器ハウジン
グ、12…溶融スラグ冷却用熱交換器、13…熱回収用
熱交換器の伝熱管、14…熱回収ボイラ、15…熱回収
ボイラハウジング、16…溶融スラグ冷却用熱交換器、
18…冷却媒体、19…ボイラ給水、20…熱回収ボイ
ラのドラム、22…同予熱器、23…同蒸発器、24…
同過熱器、25…スートブロー設備、26…スートブロ
ー用ガス、27…石炭粒子噴出装置、28…噴出用の石
炭粒子。
フロントページの続き (72)発明者 田村 善助 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社 日立製作所 内 (72)発明者 小橋 徹 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立 株式会社 呉工場内 (72)発明者 佐々木 俊彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10J 3/46 C10J 3/52

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガ
    ス化ガス中の溶融スラグを冷却し固化して落下させる溶
    融スラグ冷却用熱交換器を設置し、この溶融スラグ冷却
    用熱交換器の上方に、ガス化ガス中の熱を回収する熱回
    収用熱交換器の伝熱管を配置したことを特徴とする石炭
    ガス化装置。
  2. 【請求項2】 石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガ
    ス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱交換器ハウジングを連
    結し、この熱交換器ハウジング内におけるガス化ガスの
    上昇流の最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラグを冷却
    し固化して落下させる溶融スラグ冷却用熱交換器を設置
    し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、熱回収用
    熱交換器の伝熱管をガス化ガスの上昇流に交差させて配
    置したことを特徴とする石炭ガス化装置。
  3. 【請求項3】 石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガ
    ス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジング
    を連結し、この熱回収ボイラハウジング内におけるガス
    化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラ
    グを冷却し固化して落下させる溶融スラグ冷却用熱交換
    器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、
    熱回収ボイラの蒸発器の伝熱管をガス化ガスの上昇流に
    交差させて配置したことを特徴とする石炭ガス化装置。
  4. 【請求項4】 石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガ
    ス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジング
    を連結し、この熱回収ボイラハウジング内におけるガス
    化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラ
    グを冷却し固化して落下させる溶融スラグ冷却用熱交換
    器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、
    熱回収ボイラの蒸発器と予熱器とを、各々の伝熱管をガ
    ス化ガスの上昇流に交差させて配置したことを特徴とす
    る石炭ガス化装置。
  5. 【請求項5】 石炭ガス化炉のガス化ガス出口部に、ガ
    ス化ガスを真っ直ぐ上方に導く熱回収ボイラハウジング
    を連結し、この熱回収ボイラハウジング内におけるガス
    化ガスの上昇流の最上流側に、ガス化ガス中の溶融スラ
    グを冷却し固化して落下させる溶融スラグ冷却用熱交換
    器を設置し、この溶融スラグ冷却用熱交換器の上方に、
    熱回収ボイラの過熱器と蒸発器と予熱器とを、各々の伝
    熱管をガス化ガスの上昇流に交差させて配置したことを
    特徴とする石炭ガス化装置。
  6. 【請求項6】 前記溶融スラグ冷却用熱交換器に、冷却
    媒体の流量を間欠的に変化させて供給する冷却媒体供給
    手段を接続したことを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の石炭ガス化装置。
  7. 【請求項7】 前記熱回収用熱交換器または熱回収ボイ
    ラに、前記伝熱管の上部に堆積した灰分を吹き落すスー
    トブロー設備を設置したことを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の石炭ガス化装置。
  8. 【請求項8】 前記熱回収用熱交換器または熱回収ボイ
    ラに、前記伝熱管の上方から石炭粒子を噴出させ、伝熱
    管の上部に堆積した灰分を払い落す石炭粒子噴出装置を
    設置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の石炭ガス化装置。
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