JP3016617B2 - 振動波モータ - Google Patents
振動波モータInfo
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Description
換素子に電圧を印加し、振動体に生ずる進行性振動波に
よって駆動する振動波モータに関する。
原理的概要は下記のようである。全長がある長さλの整
数倍であるような弾性体材料製のリング状の弾性体の片
面に、周方向に配列された二群の複数個の圧電素子を固
着したものを振動体(ステータ)とする。これらの圧電
素子は各群内ではλ/2のピッチにて、かつ交互に逆の
伸縮極性となるように配列されており、また両群間には
λ/4の奇数倍のずれがあるように配列されている。圧
電素子の両群にはそれぞれ電極膜が施されている。いず
れかの一群(以下A相と称す)のみに交流電圧を印加す
れば、上記振動体は、該群の各圧電素子の中央点及びそ
こからλ/2おきの点が腹の位置、また該腹の位置間の
中央点が節の位置であるような曲げ振動の定在波(波長
λ)が弾性体の全周にわたって発生する。他の一群(以
下B相と称す)のみに交流電圧を印加すれば同様に定在
波が生ずるが、その腹及び節の位置はA相による定在波
に対して、λ/4ずれたものになる。両A,B相に、周
波数が同じで、かつ互いに90°の時間的位相差を有す
る交流電圧を同時に印加すると、両者の定在波の合成の
結果、弾性体には周方向に振動する曲げ振動の進行波
(波長λ)が発生し、このとき、厚みを有する上記弾性
体の各点は、楕円運動をする。よって、弾性体の他面に
移動体(ロータ)として、例えばリング状の移動体を加
圧接触させておけば、該移動体は弾性体から周方向の摩
擦力を受け回転駆動される。
の周方向に複数個の径方向の溝をいれ、前記楕円運動の
周方向成分を増やすのが一般的で、効果が大きいことが
確認されている。また、この溝は摩耗粉除去の効果をも
あわせ持っている。
し、1は振動体で、リング状の弾性体3の底面に圧電素
子4を接着し、弾性体3の径方向溝により櫛歯3aを多
数形成している。2は移動体で、リング6の外縁部に摺
動材5が取り付けられ、この摺動材5が弾性体3の表面
に不図示のバネ等の加圧手段の加圧力により接触してい
る。
特徴として 1)無通電時、保持トルクを有し、しかもハンチングを
起こさない。
い。(機械的時定数が小さい)こと等が挙げられてい
る。
本質的に適しているといえるが、図7に示す従来の振動
波モータにおいて、移動体2の摺動面をなす摺動材5に
炭素繊維充填ポリイミド(樹脂)、振動体1の弾性体3
の摺動面にWC−Co(サーメット)を配し、振動波モ
ータを構成し、実際に位置決め駆動を行うと、初期状態
では精度が安定しているが、経時的に位置決め精度が劣
化した。
移動体2の摺動面が振動体1の弾性体3に設けられた溝
及び突起の形状で、周方向にサブミクロンオーダの段差
を生じ、その結果、段差部と振動体突起のエッジで引っ
かかりを起こしていることがわかった。
動、停止時に、局所的にすべり摩耗を生じて、前記段差
摩耗を形成していることがわかった。そのため、段差摩
耗の対策として、振動体1の摺動面として前記樹脂、ま
た、移動体2の摺動面にWC−Coを配し、位置決め駆
動を行ったところ、周方向の段差摩耗は発生しなかっ
た。
面より、振動体1の摺動面の方が柔らかいため、振動体
1の摺動面(樹脂)の摩耗が多く、摺動部に周方向の溝
が生じ、摩耗粉の排出がよりなされにくくなり、また、
移動体2の摺動部内外周のエッジが、溝の縁に当たるよ
うになるため、異常摩耗や出力変動の原因になってい
た。
する課題は、振動体と移動体との接触面をなす双方の摺
動部材の硬度が、振動体の摺動部材の方が柔らかい場合
に、異常摩耗や出力変動は生じることにある。
第1の構成は、電気−機械エネルギー変換素子への信号
供給により接合された弾性体に振動を発生させ、前記振
動によって前記弾性体に加圧接触する接触体を相対移動
させる振動波モータにおいて、前記弾性体には前記接触
体の移動方向に沿って複数の櫛歯状の突起が形成され、
前記各突起の摺動側には摺動部材が固着されて摺動部が
更に突出するようにしており、前記弾性体での摺動部材
の硬度を前記接触体での摺動部の硬度よりも低くすると
共に、前記摺動部材の摺動部の前記相対移動方向に略直
交する方向での幅を、前記接触体の前記摺動部の同方向
での幅より小さくしたものである。 本発明の振動波モー
タの第2の構成は、前記摺動部材の摺動部の前記相対移
動方向に略直交する方向での幅を、前記弾性体の前記櫛
歯状の突起の同方向での幅より小さくしたものである。
本発明の振動波モータの第3の構成は、前記接触体は回
転運動するものであり、前記弾性体の前記複数の櫛歯状
の突起は周方向に沿って配置され、前記摺動部材の摺動
部は前記突起の最外周より内径側に位置させたものであ
る。本発明の振動波モータの第4の構成は、上記した第
2の構成において、前記摺動部材の前記相対移動方向に
略直交する方向での全幅は、略前記櫛歯状の突起の同方
向での幅と同幅とし、前記摺動部材の摺動部だけを幅狭
くしたものである。 本発明の振動波モータの第5の構成
は、上記したいずれかの振動波モータにおいて、前記摺
動部材は、前記櫛歯状の突起とは異なる材料にしたもの
である。
細に説明する。
の一実施例を示している。図1中、1は振動体で、可撓
性を有する例えばステンレスやリン青銅からなるリング
状の金属弾性体3の一端面に、複数個に分極された2群
の圧電素子群を有するリング状に形成した圧電素子4を
耐熱性のエポキシ樹脂系接着剤で同心円状に接着し、も
う一方の端面に摺動材5をなす耐熱性の樹脂を同様に接
着しており、摺動部材5の接着面をなす弾性体3は、モ
ータ効率を上げるために複数の溝が周方向に規則的に形
成され、櫛歯3aが形成されている。
りねじ止めされた例えばアルミ合金等の金属からなるリ
ング状の支持体8の端面に、めっき、溶射などの皮膜も
しくは硬化処理を施しているリング状の摺動部材6をゴ
ムリング7を介して取り付けている。
10を介してケース本体13に固定されている。また、
出力軸12は、ケース本体13に取り付けられているベ
アリング9のインナーレースに軸方向移動可能に装着さ
れ、予圧カラー14,15及びねじ11により出力軸1
2にねじ止めされている加圧ボス17と予圧カラー14
間に弾装されている皿バネ16のバネ力により、移動体
2の摺動部材6は振動体1の摺動部材5に、例えば軸方
向に10kgfの荷重で加圧接触している。
る摺動部材5は、横断面凸形状に形成され、その凸部5
aに移動体2の摺動部材6が加圧接触している。摺動部
材5と6の摺動面双方の形状は図2のように、移動体2
の摺動部材6の方が径方向の幅が広く、かつ、摺動部材
6のエッジが振動体1の摺動部材5の摺動面に当たらな
いように配置されている。振動体摺動面の径方向の段差
は、振動体モータそれぞれの摩耗しろによって異なる
が、一般に硬度の低い材料(樹脂など)は、粘弾性損失
が比較的大きいため、振動を効率よく伝達するために
は、1mm以下が望ましい。
圧電素子からなる2群の圧電素子に振動体1の固有の周
波数の交流電圧を印加すると、振動体1は共振を起こ
し、その周方向に進行性振動波を生じ、振動体1に加圧
接触している移動体2が、振動体1と移動体2の摺動面
の摩擦力により、回転駆動される。
充填したポリイミド樹脂、移動体2の表面硬化処理とし
てWC−Coサーメットの溶射皮膜を施し、ポリイミド
樹脂に本実施例形状の有るものと無いものの2つの試料
を作り、10万回位置決め制御を行い、精度と摩耗状況
を見た。
ぐらいから、停止精度が劣化し10万回後、分解して摩
耗粉を観察すると、金属光沢を持った10μm位の粒が
いくつか認められた。しかし、本実施例の凸部5aを有
するものでは、10万回の範囲では、停止精度の劣化は
みられず、摩耗粉の中に金属光沢を持つものはなく、粒
径もミクロンオーダーだった。また、双方の樹脂摺動面
の摩耗状態を見ると、段差の無いものは、有るものにく
らべ明らかに面の荒れが多く、しかも摺動方向とは異な
る方向にアブレッシブ的な跡がついていた。
と、摺動部材に凸部の無い従来の方で駆動したものは、
駆動前と比べ内周のエッジが欠けており、本実施例の摺
動部材に凸部5aのあるもので駆動したものは、エッジ
の欠落はなく、径中央部あたりに樹脂の摺動跡があっ
た。以上のことから、前記、摩耗粉中の金属光沢を持つ
粒は、WCがエッジから脱落したものであり、停止精度
が劣化したのは、1つは、WC粒を摺動面に巻き込み、
振動波モータの振幅が1μm程度と小さいので、停止時
移動体が約10μmの粒にのりあげたため、もう1つ
は、WC粒が硬いので、樹脂面を攻撃し樹脂面が荒れた
結果、摺動面の摩擦伝達力が安定しなかったためと2つ
の原因が考えられる。
材6としてWC−Co溶射材を使用したが、他の溶射
材、もしくはめっき、他の硬化処理についても上記原因
から推測すれば同様の現象が起こり得るため、本実施例
のような形状にする必要がある。振動体1の弾性体と樹
脂との貼り付けと溝加工については、今回の試料では、
ステンレスのリングに90個の1mm幅の溝をフライス
のカッターで入れ、その後樹脂を貼り付け再度フライス
のカッターで同数の0.7mmの切れ目を樹脂にいれ
た。樹脂の切れ目がステンレスの溝よりも狭いのは、割
り出しを容易にするためである。もちろん、樹脂と弾性
体3の接着力が強いときは樹脂を弾性体に貼り付けた
後、両部材一緒に溝をつけても良い。その他、溝をいれ
た弾性体の櫛歯状の突起の上にあらかじめチップ状に加
工された樹脂を貼り付け、その後、旋削加工やラップ加
工を行い、必要に応じ段差加工も含め、表面仕上げをし
ても良い。この方法では、樹脂などの摺動材をリングで
つくる必要がなく、材料の無駄がない。
性体に直接アウトサート成形により固着することが可能
で接着の手間が省かれる。
いたため、相手材に超硬材を用いたが、無充填樹脂、ま
たはフッ素系複合樹脂などの軟質系樹脂に対しては、移
動体に特別な硬化処理をする必要はなく、ビッカース硬
度200程度のステンレス、180程度の黄銅などでも
使用可能である。
を移動体として加圧接触させ、振動体上に発生した進行
性振動波により振動体自身を移動させるような場合は、
平板上の支持部材に硬化処理をし、振動体には本実施例
と同様に樹脂を張り付けてもよい。
矩形状の凸部5aを形成しているが、図4に示すように
凸部5aを台形状に形成してもよい。又、図5,図6に
示すように摺動部材5自体を断面矩形状に形成(幅は摺
動部材6よりも狭い)して、弾性体3に対して突出させ
るようにしてもよく、図5の場合には弾性体3の表面に
直接接着させ、図6の場合には弾性体3の表面に嵌合溝
3bを形成し、そこに嵌合させて接着固定している。
接触体との摺動に際して、弾性体の摺動部は摩耗する
が、弾性体の摺動部には摩耗溝ができないので、摩耗粉
が摺動部にたまりにくく、また従来のように接触体の摺
動部の溝によるエッジが生じて問題を起こすこともな
く、さらには弾性体の複数の櫛歯状の突起に形成された
摺動部側が摩耗するので、従来問題となった櫛歯状の突
起のエッジでの引っかかりも生じにくくすることもで
き、結果として位置決め制御性を高精度化できる振動波
モータを得ることができる。 請求項2に係る発明によれ
ば、弾性体での摺動部の幅より弾性体の幅を大きくする
ので、弾性体の質量を大きくして振動エネルギーを大き
くでき、高トルク化を実現できる振動波モータを得るこ
とができる。 請求項3に係る発明によれば、弾性体の最
外周は外乱の影響を受けやすいので、最外周より内径側
で弾性体と接触体とを接触させることにより、安定した
駆動が行える振動波モータを得ることができる。 請求項
4に係る発明によれば、弾性体と摺動部材との接触面積
を大きくして、より強固な接着力をもたせた振動波モー
タを得ることができる。 請求項5に係る発明によれば、
弾性体の櫛歯状突起と摺動部材の材質を変えることによ
り、摺動部材の硬さに影響されずに弾性体の振動特性に
合わせた材料で弾性体を作ることができる。
面図。
Claims (5)
- 【請求項1】 電気−機械エネルギー変換素子への信号
供給により接合された弾性体に振動を発生させ、前記振
動によって前記弾性体に加圧接触する接触体を相対移動
させる振動波モータにおいて、 前記弾性体には前記接触体の移動方向に沿って複数の櫛
歯状の突起が形成され、前記各突起の摺動側には摺動部
材が固着されて摺動部が更に突出するようにしており、
前記弾性体での摺動部材の硬度を前記接触体での摺動部
の硬度よりも低くすると共に、前記摺動部材の摺動部の
前記相対移動方向に略直交する方向での幅を、前記接触
体の前記摺動部の同方向での幅より小さくした ことを特
徴とする振動波モータ。 - 【請求項2】 前記摺動部材の摺動部の前記相対移動方
向に略直交する方向での幅を、前記弾性体の前記櫛歯状
の突起の同方向での幅より小さくしたことを特徴とする
請求項1記載の振動波モータ。 - 【請求項3】 前記接触体は回転運動するものであり、
前記弾性体の前記複数の櫛歯状の突起は周方向に沿って
配置され、前記摺動部材の摺動部は前記突起の最外周よ
り内径側に位置させたことを特徴とする請求項2記載の
振動波モータ。 - 【請求項4】 前記摺動部材の前記相対移動方向に略直
交する方向での全幅は、略前記櫛歯状の突起の同方向で
の幅と同幅とし、前記摺動部材の摺動部だけを幅狭くし
たことを特徴とする請求項2記載の振動波モータ。 - 【請求項5】 前記摺動部材は、前記櫛歯状の突起とは
異なる材料にしたことを特徴とする請求項1、2、3ま
たは4記載の振動波モータ。
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