JP3016397B2 - ニトリル基含有不飽和共重合体の水素化方法 - Google Patents

ニトリル基含有不飽和共重合体の水素化方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ニトリル基を含有する共役ジエン系重合体
の炭素−炭素二重結合を効率的に水素化する方法に関す
る。
〔従来の技術〕
共役ジエン系重合体の炭素−炭素二重結合を水素化す
る方法として従来より周期表第VIII族の金属触媒を用い
る方法が知られており、この触媒としては大きく分けて
カーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等への担体
に金属を担持させた担持型不均一系触媒と、金属錯体
触媒やチーグラー型触媒等の均一系触媒がある。特にア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体(以下NBRと略
す)のようにニトリル基が還元されると耐油性が著しく
低下する場合には重合体中の共役ジエン部分の炭素−炭
素二重結合のみが選択的に水素化されなければならず、
このような選択性を有する触媒としてはRh、Pt、Pdのよ
うな高価な貴金属が多用される。例えば、NBRのブタジ
エン部の炭素−炭素二重結合を選択的に(部分)水素化
する方法としては特開昭56−81305号、及び同56−81306
号各公報に記載のようにPdと他の元素とを同時に担体に
担持させて触媒活性を高めた担体担持型不均一系触媒を
用いる方法、米国特許第3700637号明細書やドイツ特許
公開第2539132号公報に記載のように過剰の錯体配位子
とロジウム錯体化合物を組合せた均一系触媒を用いる方
法、及び特開昭61−78802号、同62−125858号、同62−4
2937号各公報に記載のようにルテニウム錯体を用いた均
一系触媒を用いる方法が知られている。
これらはいずれも共役ジエン系重合体の炭素−炭素二
重結合を(部分)水素化して耐候性、耐オゾン性及び耐
熱性等を改善する目的のために開発された方法である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら不均一系触媒を用いた高分子量重合体の
水素化反応の場合にはそれに起因した立体障害の影響、
重合体による触媒細孔の閉塞、あるいは高粘度化による
かくはん効率の低下等の影響で触媒との接触効率が悪化
することから比較的多量の触媒が必要とされる。
一方均一系触媒は、不均一系触媒と較べて一般に活性
が高いものの高価な触媒金属の回収が困難であることか
ら触媒量の低減化のできる高活性触媒の開発が望まれ
る。
本発明の目的は共役ジエン系重合体の炭素−炭素二重
結合を効率的に水素化する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明はニトリル基含有不飽和
共重合体の水素化方法に関する発明であって、共役ジエ
ン及び(メタ)アクリロニトリルを必須成分とするニト
リル基含有不飽和共重合体の炭素−炭素二重結合を選択
的に水素化するに際し、単独で供給する有機ホスフィ
ン、金属ルテニウム、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニ
ウム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテ
ニウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテ
ニウム、トリス(アセチルアセトン)ルテニウム、ヘキ
サクロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルル
テニウム酸ナトリウム、ペンタカルボニルルテニウム、
シクロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロ
モトリカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリル
ルテニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテ
ニウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセ
シウムから選ばれるルテニウム触媒、周期表I A若しく
はII A族金属の塩化物、及びアルキルアンモニウム塩化
物よりなる群から選択した助剤の存在下で水素化を行う
ことを特徴とする。
本発明者らは、前記した状況下、鋭意検討を重ねた結
果、上記したルテニウム触媒と助剤を用いることによ
り、従来のルテニウム触媒に較べ著しく活性が上がり同
一条件で大幅に高い水素化率を得ることを見出した。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される共役ジエン系重合体は(メタ)ア
クリロニトリルと共役ジエンモノマーとの共重合体であ
る。共役ジエンモノマーとして1,3−ブタジエン、2,3−
ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエ
ン、1,3−シクロペンタジエンが挙げられるが、1,3−ブ
タジエンが好適に用いられる。
本発明においては、(メタ)アクリロニトリル及びこ
れらの共役ジエンと共重合可能な1種あるいはそれ以上
のモノマーとの共重合体を用いてもよい。
(メタ)アクリロニトリル及びこれらの共役ジエンと
共重合可能なモノマーとしてはスチレン、α−メチルス
チレン及びジビニルベンゼン等のアルケニル芳香族炭化
水素、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸
及びエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル
酸等のα,β−不飽和カルボン酸、及びそのエステルで
あるα,β−不飽和カルボン酸エステル、あるいは下記
一般式(I)から(IV)で表される分子内にアミノ基若
しくはイミノ基を少なくとも1個含有したビニル系化合
物が挙げられる。
式中、R1、R2は水素、塩素、臭素又は炭素数1〜12の
アルキル基、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、
R4は水素、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12
のアリール基、 但しnは2〜8の整数を示す。
一般式(I)の例としてはN−(4−アニリノフェニ
ル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メ
タクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナ
ムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミ
ド、N−〔4−(4−メチルアニリノ)フェニル〕アク
リルアミド、N−〔4−(4−メチルアニリノ)フェニ
ル〕メタクリルアミド、3−N−(4−アニリノフェニ
ル)アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエ
ーテル、10−N−(4−アニリノフェニル)アミノ−9
−ヒドロキシ−10−n−オクチルデシル(メタ)アクリ
レート、5−N−(4−アニリノフェニル)アミノ−2
−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−N−
(4−アニリノフェニル)アミノエチル(メタ)アクリ
レート等が挙げられる。
また、一般式(II)の例としては、N−(4−アニリ
ノフェニル)マレイミド、N−〔4−(4−メチルアニ
リノ)フェニル〕マレイミド等が挙げられる。
また、一般式(III)の例としては、N−フェニル−
4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン等、一般式
(IV)の例としては、N−フェニル−4−(4−ビニル
ベンジルオキシ)アニリン等が挙げられる。そして、こ
れらの量比としては好ましくは約45〜85重量%の共役ジ
エン、約15〜55重量%の(メタ)アクリロニトリル及び
約0〜10重量%の他の単量体からなるものである。
これらの共重合体は乳化重合、溶液重合、塊状重合な
どいずれの重合方式で製造されたものであっても良いが
本発明のメリットをより有効に生かす意味で重合体の数
平均分子量は5000以上のものが好ましい。該共重合体は
溶液重合で重合した重合体を使用するときは重合体溶液
をそのままの状態で水素化反応に供することができ、乳
化重合で重合した重合体を使用するときはエマルジョン
のままで水素化反応に供することもできるが、固体の重
合体を水素化するときは、適当な有機溶媒に溶解させて
行うことにより良好な水素化反応を行うことができる。
かかる溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類、ジエチルエーテル、アニソール、テトラヒド
ロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香
族炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド等のカルボン酸アミド、クロロホルム、
クロルベンゼン、塩化メチレン等のハロゲン化炭素水
素、酢酸エチル、安息香酸ベンジル等のエステル類、ア
セトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類が挙げら
れる。
これらの溶媒は、混合溶媒としても使用することもも
ちろん可能である。溶媒は上記の溶媒を基にして好まし
くは1〜30重量%、特に好適には2.5〜15重量%の共重
合体を含有している。
ルテニウム源としては、金属ルテニウム及びルテニウ
ム化合物のいずれもが使用可能である。この場合のルテ
ニウム化合物は、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウ
ム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニ
ウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニ
ウム、トリス(アセチルアセトン)ルテニウム、ヘキサ
クロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテ
ニウム酸ナトリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シ
クロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモ
トリカルボニルルテニウム、ドデカカルボニルトリルル
テニウム、テトラヒドリドデカカルボニルテトラルテニ
ウム、オクタデカカルボニルヘキサルテニウム酸ジセシ
ウムから選ばれる。
溶解された共重合体を基にして好ましくは0.001〜10
重量%、特に好適には0.005〜2重量%の金属ルテニウ
ムあるいはルテニウム化合物を使用する。
本発明の方法においては、ルテニウム源と共に有機ホ
スフィンの使用が必要であって、このものは主触媒であ
るルテニウムの電子状態を制御したり、ルテニウムの活
性状態を安定化するのに寄与するものと考えられる。か
かる有機ホスフィンの具体例としては、トリ−n−ブチ
ルホスフィン、ジメチル−n−オクチルホスフィン等の
トリアルキルホスフィン類、トリシクロヘキシルホスフ
ィン等のトリシクロアルキルホスフィン類、トリフェニ
ルホスフィン等のトリアリールホスフィン類、ジメチル
フェニルホスフィン等のアルキルアリールホスフィン
類、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の多
官能性ホスフィン類等が挙げられる。
これらの有機ホスフィンの使用量は、主触媒のルテニ
ウム1モルに対して好ましくは0.1〜1000モル、特に好
適には1〜100モルの範囲である。
また、これらの有機ホスフィンは、それ自体単独で反
応系に供給する。
水素化反応主触媒のルテニウム触媒に対する付加的な
促進剤となる助剤として周期表I A若しくはII A族金属
の塩化物あるいはアルキルアンモニウム塩化物を用いる
ことによって水素化触媒活性の向上がはかられる。
上記塩化物としては、塩化カリウム、塩化リチウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、テトラメチルアン
モニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロラ
イド等が挙げられる。
これらの塩化物の使用量はルテニウム1モルに対して
好ましくは0.1〜500モル、特に好適には1〜100モルの
範囲である。
本発明の方法により水素化反応を行うためには、反応
容器に好ましくは1〜30重量%、特に好適には2.5〜15
重量%の共重合体を含有している溶液に触媒成分及び助
剤を装入し窒素や二酸化炭素等の不活性なガスで系内を
置換し、反応温度まで加熱後水素を反応圧力まで導入す
る。あるいは当該共重合体溶液に助剤を装入し水素導入
後反応温度まで加熱し触媒成分を後添加してもよい。前
者の方法がより好適である。
水素は窒素や二酸化炭素等の反応に不活性なガスで希
釈されたものであってもよい。
反応温度は通常50〜200℃好ましくは70〜160℃であ
る。反応系内の水素分圧は通常1〜300kg/cm2好ましく
は10〜200kg/cm2である。もちろん更に低い圧力又は高
い圧力下で実施することも不可能ではないが工業的に有
利でない。
水素化生成物は常法によって例えば蒸発、水蒸気の導
入又は貧溶媒の添加によって溶液から取出される。本発
明に従って水素化された重合体は常法に従いパーオキシ
ド又は硫黄での架橋によって硬化させることができる。
〔実施例〕
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、
本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定
されるものではない。重合体の水素化率はヨウ素価法に
より求め、ルテニウム化合物のルテニウム含有率はICP
発光分析法による分析値を採用した。
実施例1 1000mlオートクレーブ中にNBR〔結合アクリロニトリ
ル量38重量%、ML1+4(100℃)25〕75.0gとアセトン425
gを加え溶解させた後、塩化ルテニウム(III)・三水和
物(Ru含有率38.0重量%)14.6mg、トリフェニルホスフ
ィン93.4mg、及びテトラエチルアンモニウムクロライド
0.85gを添加し、系内を窒素で置換後140℃に昇温し、全
圧100kg/cm2まで水素を導入し、145℃で5時間反応させ
た。その結果を他の例と共に後記第1表に示す。
実施例2 テトラエチルアンモニウムクロライドの替わりに塩化
リチウム0.21gを使用した以外実施例1と同様の反応を
行った。その結果を第1表に示す。
参考例1 テトラエチルアンモニウムクロライドの替わりにトリ
エチルアミン塩酸塩0.35gを使用した以外実施例1と同
様の反応を行った。その結果を第1表に示す。
比較例1 1000mlオートクレーブ中にNBR〔結合アクリロニトリ
ル量32重量%、ML1+4(100℃)32〕50.0gとアセトン450
gを加え溶解させた後、ジクロロトリストリフェニルホ
スフィンルテニウム(Ru含有率7.7重量%)59.7mg、を
添加し、その後は実施例1と同様に反応を行った(ただ
し、反応時間は4時間)。その結果を第1表に示す。
比較例2 テトラエチルアンモニウムクロライドを添加しなかっ
た以外実施例1と同様の反応を行った。その結果を第1
表に示す。
〔発明の効果〕 第1表から明らかなように、本発明範囲の塩化物を助
剤として用いることにより共役ジエン系重合体の炭素−
炭素二重結合の水素化活性を著しく向上させることがで
きる。
フロントページの続き (72)発明者 竹内 健 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化成 株式会社四日市工場内 (56)参考文献 特開 昭64−45403(JP,A) 特開 昭64−45404(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 8/04 C08F 236/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共役ジエン及び(メタ)アクリロニトリル
    を必須成分とするニトリル基含有不飽和共重合体の炭素
    −炭素二重結合を選択的に水素化するに際し、単独で供
    給する有機ホスフィン、金属ルテニウム、二酸化ルテニ
    ウム、四酸化ルテニウム、二水酸化ルテニウム、塩化ル
    テニウム、臭化ルテニウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ル
    テニウム、酢酸ルテニウム、トリス(アセチルアセト
    ン)ルテニウム、ヘキサクロロルテニウム酸ナトリウ
    ム、テトラカルボニルルテニウム酸ナトリウム、ペンタ
    カルボニルルテニウム、シクロペンタジエニルジカルボ
    ニルルテニウム、ジブロモトリカルボニルルテニウム、
    ドデカカルボニルトリルルテニウム、テトラヒドリドデ
    カカルボニルテトラルテニウム、オクタデカカルボニル
    ヘキサルテニウム酸ジセシウムから選ばれるルテニウム
    触媒、周期表I A若しくはII A族金属の塩化物、及びア
    ルキルアンモニウム塩化物よりなる群から選択した助剤
    の存在下で水素化を行うことを特徴とするニトリル基含
    有不飽和共重合体の水素化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012174734A1 (en) * 2011-06-24 2012-12-27 Lanxess Deutschland Gmbh Solution polymerization/co-polymerization of dienes, hydrogenation of dienerubbers and hydrogenated dienerubbers

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