JP3015315B2 - 木床構造及び木床施工方法 - Google Patents

木床構造及び木床施工方法

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JP3015315B2
JP3015315B2 JP9032456A JP3245697A JP3015315B2 JP 3015315 B2 JP3015315 B2 JP 3015315B2 JP 9032456 A JP9032456 A JP 9032456A JP 3245697 A JP3245697 A JP 3245697A JP 3015315 B2 JP3015315 B2 JP 3015315B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】この発明は、木床構造に係り、特に
屋外に配置される床構造に好適であり、コンクリートス
ラブ上に複数の木製の根太材を略平行に配置し、この根
太材上に木製のフローリング材を掛け渡して敷設して構
成した木床構造、及びこのような構造の木床を施工する
木床の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述したような木床構造は、一般には屋
外に敷設されたコンクリートスラブ上に、木製の根太材
を複数所定間隔を隔てて互いに平行に支承して、これら
の根太材の間に木製の床材(フローリング材)を敷設し
て固定するようにしている。
【0003】このような外部に配置される木床として例
えば図9に示すものがある。これはコンクリートスラブ
51上に根太材52をねじ棒56で支承する構造を採用
するものである。
【0004】一般にこのような構造において、水はけを
良好にするため、コンクリートスラブは外側に向け所定
の傾きをもって下降するように形成する。そして、この
コンクリートスラブ51の養生が終了した後、スラブ5
1の上に配置すべき部材の位置決めのための墨付けを行
う。
【0005】この墨付けは、コンクリートスラブ51上
に立設するねじ棒56の立設位置、木製の根太材52、
木製のフローリング材53の配置位置を必要に応じてコ
ンクリートスラブ51上に記載するものである。
【0006】そして、この墨付けの位置に従って、コン
クリートスラブ51に、振動ドリル等の工具で孔部54
を開設し、図9に示すように、孔部54内にエポキシ系
の接着剤55を注入した後ねじ棒56を立設し、このね
じ棒56の回りにモルタル57を配置し、これらの接着
剤55及びモルタル57によって、ねじ棒56を固定す
るものである。
【0007】このとき、接着剤55及びモルタル57の
硬化前、根太材52がまだコンクリートスラブ51に固
定されていないときに、根太材52をこれらのねじ棒5
6に取り付け根太材52のレベルを合わせを行なう。こ
のレベル合わせは、それぞれの根太材の高さ調整と、複
数の根太材の上面で構成される平面が水平になるように
水準を合わせることとが行われる。なお、根太材52に
は、予めねじ棒56が立設される個所に相当する個所に
ねじ挿入孔59と、座ぐりしたナット取付孔60を開設
しておく、
【0008】即ち、根太材52の下部を支えて根太材5
2の位置を確定するため、根太材52両端部に例えば木
製の楔材58,59を配置して、根太材52の両端部の
高さ調整を行うのである。このとき、根太材52が水平
となるよう楔材58,58の位置合わせを行い、モルタ
ル57が固化するまでの間仮に固定しておく。
【0009】根太材52がそれぞれ水平状態を保ち、複
数の根太材52の上面52aが全体として、水平に配置
されるよう設置されてモルタル57が硬化した後、ねじ
棒56に上方からスプリングワッシャ62を嵌め、更に
ナット61をねじ込み、ねじ棒56に根太材52を固定
する。
【0010】また、根太材52の上面52aから上側に
ねじ棒56がはみ出しているときには、根太材52の上
面52aからはみ出た突出部分56a(図9中に斜線を
付した)を電動グラインダ等の工具を用いて切断あるい
は研削して、ねじ棒56が根太材52の上方に突出しな
いようにする。
【0011】その後、上記根太材52上に木製のフロー
リング材53を根太材52の延設方向と直角且つそれぞ
れ所定間隔を開けて平行に位置決めして敷設する。この
フローリング材53の敷設に際しては、フローリング材
53に、ねじ止め用の下穴を開設した後、順次木ねじ
(図示していない)等の取付手段で固定する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の木床構造及び木床施工方法にあっては、根太材52
をコンクリートスラブ51に固定するときには、根太材
52のレベル合わせのために、根太材52の下に設けた
楔部材58,58、及びモルタル57を用いて根太材5
2のレベル位置の調整する必要があるため、施工現場で
の作業に手間がかかりコストが嵩むという問題がある。
【0013】また、根太材52の高さ調整を楔部材5
8,58を用いて行ない、根太材52の高さの最終的な
高さ位置の設定をモルタル57で行なうようにしている
ため、根太53の高さ及びレベルの調整を微妙に行なう
には、施工者がこの作業に熟練している必要である。
【0014】モルタル57の固まりを用いて根太材53
のレベルを調整する場合には、一旦根太材53の位置を
低くしてしまった場合、再び根太材53の位置を高くす
るためには、再度根太材の下にモルタル57を補充して
高さ調整をやり直さなければならないから、手間がかか
り、この高さ調整を手際よく行なうのには熟練を要する
のである。
【0015】さらに、ねじ棒を電動グラインダ等で切断
する作業は手間がかかる。即ち、作業者は、安全眼鏡、
防塵マスク等の保安具を装着して作業を行なう必要があ
るし、また安全確保のため十分に注意を払って作業を行
なう必要がある。また、コンクリートスラブ51に近い
低い個所で作業を行なうので、作業者は屈み込んでねじ
棒56の切断、研削を行わなければならず、作業性が良
好でないのである。このように切断、または研削の作業
性が良好でないという問題は、ねじ棒56を防錆の目的
のためステンレススチール製にしている場合には、その
切断、研削速度が低下するため、特に大きくなるなる。
【0016】このため、従来木製床を施工するには手間
とコストが嵩むという問題がある。そこで、本発明は、
木製床を容易且つ低価格で施工することができる木床構
造及び木床施工方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本出願の第1の発明は、コンクリートスラブ51に
立設した複数の支持金具1で木製の根太材2を略平行に
複数配置し、この根太材2上に木製のフローリング材3
を前記根太材2に掛け渡し敷設して構成した木床構造に
おいて、上記支持金具1は、根太材2に取り付けられる
保持金具7とこの保持金具7の下方に延設されたねじ棒
6とからなり、上記保持金具7は、上記根太材2の底部
2aを保持する底板部7aと、上記底板部7aから根太
材2の側面に沿って立ち上がる立設板部7bと、上記立
設板部7bから内側に延び、上記根太材2の全長にわた
って両側面部2bに形成された溝部5に嵌まり込む水平
嵌入板部7cとを備えた木床構造である。
【0018】本出願の第2の発明は、コンクリートスラ
ブ51に複数の支持金具1で木製の根太材2を略平行に
複数配置し、この根太材2上に木製のフローリング材3
を前記根太材2に掛け渡し敷設して構成した木床構造に
おいて、上記支持金具1は、根太材2に取り付けられる
保持金具7と、コンクリートスラブ51上に立設される
ねじ棒6とからなり、上記保持金具7は、上記根太材2
の底部2aを保持すると共に上記ねじ棒6が貫通する貫
通孔8が開設される底板部7aと、上記底板部7aから
根太材2の側面に沿って立ち上がる立設板部7bと、上
記立設板部7bから内側に延び、根太材2の全長にわた
って両側面部2bに形成された溝部5に嵌まり込む水平
嵌入板部7cと、上記底板部7aの下側の前記貫通孔8
の開設位置に固着され、上記ねじ棒6がねじ込まれ、底
板部7aと上記ねじ棒6との取付位置を調整可能に連結
するナット9とを備えた木床構造である。
【0019】本出願の第3の発明は、上記第1、又は第
2の発明において、ねじ棒6の上端面6a及び下端面6
bの少なくとも一方には、ねじ棒回転駆動工具係合用の
係合溝10を備えた木床構造である。
【0020】本出願の第4の発明は、上記第1、第2又
は第3の発明において、ねじ棒6の下端部6cは、コン
クリートスラブ51に形成された孔部11内に接着剤1
3で固定される木床構造である。
【0021】本出願の第5の発明は、上記第1、第2又
は第3の発明において、コンクリートスラブ51の孔部
11には取付金具12が配置され、この取付金具12
は、内面に雌ねじを形成した有底筒体12aと、この有
底筒体12aの外側に固着され、取付金具12を上記コ
ンクリートスラブ51の上面に高さ方向に位置決めする
鍔部12bとからなり、上記ねじ棒6の下端部6cはこ
の取付金具12に上下方向の取付位置を調整可能にねじ
こまれて立設される木床構造である。
【0022】本出願の第6の発明は、コンクリートスラ
ブ51に複数の支持金具1で木製の根太材2を略平行に
複数配置し、この根太材2上に木製のフローリング材3
を前記根太材2に掛け渡し敷設して構成する木床施工方
法において、根太材2の両側面部2b全長にわたって溝
部5を形成し、上記支持金具1を、根太材2に取り付け
られる保持金具7と、コンクリートスラブ51上に立設
されるねじ棒6とから構成し、上記保持金具7を上記ね
じ棒6が貫通する貫通孔8を形成した底板部7aと、底
板部7aの両端から立ち上がる立設板部7bと、立設板
部7bから内側に延びる水平嵌入板部7cと、上記底板
部7aの下側の前記貫通孔8の開設位置に固着され、上
記ねじ棒6がねじ込まれるナット9とから構成し、上記
保持金具7を、底壁部7aが上記根太材2の底部2aを
保持すると共に上記根太材2の溝部5に水平嵌入板部7
cを嵌入してに取り付け、保持金具7のナット9に上記
ねじ棒6をねじ込んでコンクリートスラブ51上に根太
2を配置する木床施工方法である。
【0023】本出願の第7の発明は、上記第6の発明に
おいて、上記保持金具7を底壁部7aが上記根太材2の
底部2aを保持すると共に上記根太材2の溝部5に水平
嵌入板部7cを嵌入させて、根太材2の端縁部から嵌め
込み、所定位置に配置し、根太材2の少なくとも2ヵ所
に設けた保持金具7のナット9にねじ棒6をねじ込んで
コンクリートスラブ51に対する根太材2のレベル位置
を決定し、その後、その他の保持金具7取り付け個所に
おける根太材2の高さ位置を調整してコンクリートスラ
ブ51に対して同じレベルに固定する木床施工方法であ
る。
【0024】本出願の第8の発明は、上記第6、又は第
7の発明において、コンクリートスラブ51上に複数の
木製の根太材2を平行に配置し、この根太材2上に木製
のフローリング材3を掛け渡し敷設する木床施工方法に
おいて、コンクリートスラブ51の所定個所に、根太材
2を支承するねじ棒6の下端部6cを挿入して固定する
孔部11を穿設し、根太材2に対するねじ棒6の上下位
置を調節可能とした保持金具7を根太材2に配置し、該
保持金具7を介して根太材2の両端個所を含む複数の個
所にねじ棒6を吊架し、根太材2の少なくとも2ヵ所に
設けたねじ棒6を上記コンクリ−トスラブ1の孔部11
に挿入して、該根太材2に設けた保持金具7に対するね
じ棒6のねじ込み具合を調整して、コンクリートスラブ
51に対する根太材2のレベル位置を決定し、その後、
その他のねじ棒6がねじ込まれたそれぞれの保持金具7
に対する各ねじ棒6のねじ込み位置を調節して、根太材
2をコンクリートスラブ51に対して同じレベルに固定
する木床施工方法である。
【0025】本出願の第9の発明は、上記第6、第7、
又は第8の発明において、上記ねじ棒の6の下端6b
に、内面に上記ねじ棒6の下端6bがねじ込まれる雌ね
じを形成した有底筒体12aと、この有底筒体12aの
外側に固着され、取付金具12を上記コンクリートスラ
ブ51の上面に位置決めする鍔部12bとを備えた取付
金具12を取り付け、上記取付金具12を介してコンク
リートスラブ51の孔部11に配置して固定する木床施
工方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る木床構造と木床
の施工方法の実施の形態ついて説明する。図1乃至図8
は、本発明に係る木床構造と木床の施工方法の実施の形
態を示すものである。
【0027】〔第1の形態の木床構造〕まず、発明に係
る木床構造の第1の形態について説明する。図1乃至図
6は第1の形態に係る木床構造を示すものである。
【0028】本例に係る木床構造は、図3及び図4に示
すように、コンクリートスラブ51に複数の支持金具1
で木製の根太材2を略平行に複数配置し、この根太材2
上に木製のフローリング材3を前記根太材2に掛け渡
し、敷設する構造である。
【0029】本例で、根太材2は、図1に示すように、
断面略矩形の梁状の硬質木製部材である。本例では、根
太材2の両側部2bである厚みの中央部に、上記支持金
具1の一部が挿入される溝部5が長さ方向に沿って溝切
りされている。また、この根太材2には取付金具7が取
り付けられる位置にねじ棒貫通孔4が、上下方向に貫通
して開設されている。
【0030】そして、この例では2本の根太材2の両端
が突き合わせれる個所(図4中Aで示した)には支持金
具部を1つ設け、1つの支持金具7で2つの根太材2を
支持するようにしている。
【0031】また、支持金具1は、図1及び図2に示す
ように、根太材2に取り付けられる保持金具7と、コン
クリートスラブ51上に立設されるねじ棒6とからな
る。保持金具7及びねじ棒6はステンレススチール製、
又は溶融亜鉛メッキされた鋼製である。なお、根太材2
の両端部においては、図4のAに示したように上記ねじ
棒6は、根太材2のねじ棒貫通孔4内ではなく2本の根
太材2,2の端部の間に配置される。
【0032】保持金具7は、断面略C型をなし、上記根
太材2の底部2aを保持すると共に上記ねじ棒6貫通す
る貫通孔8が開設される底板部7aと、上記底板部7a
から根太材2の側面部2bに沿って立ち上がる立設板部
7bと、上記立設板部7bから内側に延び、根太材2の
両側面部2bに形成された溝部5に嵌まり込む水平嵌入
板部7cとが形成される。
【0033】また、上記底板部7aの下側の前記貫通孔
8の開設位置には、上記ねじ棒6がねじ込まれ、この保
持金具7の底板部7aと上記ねじ棒6との上下方向の位
置を調整可能にするナット9が溶接されて固定されてい
る。
【0034】また、本例では、上記ねじ棒6の上端面6
a及び下端面6bには、ねじ棒回転駆動工具のビット係
合用の係合溝10として十字溝が形成されている。
【0035】そして、この例では、コンクリートスラブ
51の孔部11には、取付金具12が配置され、この取
付金具12に上記ねじ棒6をねじ込んで取り付けるもの
としている。
【0036】この取付金具12は、図5に示すように、
内面12cに雌ねじ12dを形成しすると共に底板12
eを備えた有底筒体12aと、この有底筒体12aの外
側に溶接され、この取付金具12を上記コンクリートス
ラブ51の上面に高さ方向に位置決めする鍔部12bと
からなる。この取付金具12に上記ねじ棒6の下端部6
cがねじ込まれ上下方向の取付位置を調整可能される。
【0037】また、本例では、フローリング材3は、根
太材2に木ねじ14を用いて固定される。この例ではフ
ローリング材3も硬質の木材であり、木ねじ14はフロ
ーリング材3に下孔を開設してからねじ込まれる。
【0038】〔第1の形態の木床の施工方法〕次に本例
に係る木床を施工する方法について説明する。先ず、根
太材2は予め現場に搬入するより前に加工場、例えば輸
入する現地の木材加工場において、その両側部2bに溝
部5が形成され、また施工現場の仕様に基づいて、ねじ
棒貫通孔4が開設されている。
【0039】根太材2は、硬質の材木を使用するもので
あり、その断面寸法を例えば、6cm(幅寸法)×4c
m(高さ寸法)×180cm(長さ)として、両端から
約90cm離れた二個所にねじ棒貫通孔4(例えば直径
14mm)が貫通される。
【0040】また、根太材2の側部2aに設けられる溝
部5の寸法は、適宜定められるが、この溝部5は、例え
ば、図1に示すように、根太材の断面の上下方向の中央
部に設けられ、上下方向の約5mm,奥行き約8mmと
して開設されている。
【0041】そして、施工直前に支持金具1の保持金具
7の水平嵌入板部7cが上記溝部5に嵌め込まれ、上記
ねじ棒貫通孔4の位置に配置される。保持金具7は、例
えばステンレス製で厚さ約3mm程度の板材が使用さ
れ、上記根太材2の横断面寸法に合わせてプレス成形さ
れ、貫通孔8が開設され、コンクリートスラブ51に立
設するねじ棒6に適合したナット8が溶接されている。
【0042】施工現場においては、施工仕様に基づい
て、従来と同様にコンクリートスラブ51上に、根太材
2のピッチ寸法、孔部11の位置、床材の割りつけを墨
糸、その他の手段を用いて墨打ちをして、各部材の位置
決めする。
【0043】次に、このコンクリートスラブ51に墨付
けした孔部11の開設位置に、振動ドリル等の工具を用
いて、所定の直径の孔を所定の深さに孔部11を穿設す
る。このとき、コンクリートスラブ51に穿孔される孔
部11は、例えば、直径は約40mm、深さは約50m
mである。
【0044】複数の根太材2をコンクリートスラブ51
上に施工するに際しての手順に付いては種々あるが、先
ず最初に1つの根太材2をレベル合わせして、これに長
手方向に隣接する根太材2を順次レベル合わせする手順
について説明する。
【0045】初めに一本の根太材2をコンクリートスラ
ブに施工するときには、根太材2に設けた保持金具7の
底板部7aの貫通孔8が根太材2の2か所のねじ棒貫通
孔4に一致するように、根太材2に保持金具7を配置す
る。また、根太材の両端にも保持金具7を配置する。こ
の両端に配置する2つの保持金具7は、その貫通孔8が
根太材2の端部で塞がらない程度にまで根太材2に差し
込んで取付ける。
【0046】したがって、隣接する根太材2,2の施工
については、隣接する根太材の端部に保持金具7が取り
付けられているので、反対側の端部にだけ、保持金具7
を取り付ければよい。
【0047】そして、各保持金具7に取り付けられたナ
ット9にねじ棒6をねじ込む。ねじ棒の直径は適宜選択
できるが、この例では12mmのものを使用している。
従って、上記ナット9も12mm用のものを用い、保持
金具7の貫通孔8及び根太材2のねじ棒貫通孔4の直径
は12mm以上のものとする。
【0048】通常、ねじ棒6を保持金具7のナット9側
からねじ棒6をねじ込むほうが、ねじ棒6の挿入に必要
なねじ棒の回転数が少ないため有利である。このときに
は、ねじ棒6の下端面6bに形成した係合溝10に回転
工具のビットを係合させて回転させる。また、保持金具
7を取り付けた根太材2のねじ棒貫通孔4側からねじ棒
6をねじ込んでもよい。
【0049】本例では、ねじ棒6をコンクリートスラブ
51に取付けるのに取付金具12を使用するので、この
段階でねじ棒6の先端に取付金具12を取り付けてお
く。
【0050】次に、根太材をコンクリートスラブ51上
に配置してレベル合わせを行なう。根太材2の両端に相
当する個所のコンクリートスラブ上の孔部11にエポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂等からなる接着剤13を充填し
て、根太材2を、コンクリートスラブ51上の所定の個
所に配置し、根太材2の両端に配置したねじ棒6の先端
を差し込む。このときねじ棒6の先端に取付金具12が
取り付けられているので、取付金具12の先端が孔部1
1に入り込む。
【0051】根太材2の上方から、根太材2の両端に取
り付けらたねじ棒6の上端面6aの係合溝10に回転工
具のビットを係合させて回転させることにより、取付金
具の鍔部12bがコンクリートスラブ52に接触するま
でねじ棒6を回転させた後、ねじ棒6の下部に取り付け
ている取付金具12を手指で回転させて根太材2が水平
で所定の高さになるように調整する。この調整は接着剤
13が硬化する前に行なう。
【0052】この例によれば、同一長さのねじ棒6を使
用したとき、根太材2とコンクリートスラブ51との間
隔を、最大から最小まで、根太材2のボルト貫通孔の深
さ分(根太材の厚み分)と、取付金具12の雌ねじ12
dの長さとを加えた長さ分だけとることができ、同一長
さのねじ棒で様々な寸法調整ができる。これにより、特
に、水はけ用に傾斜して形成したコンクリートスラブ5
1上に木床を施工するとき、同一長さのねじ棒で、コン
クリートスラブ51と根太材2との間隔が異なる個所を
施工することができるものとなる。
【0053】この調整に当たっては、トランシット、水
準器、張り糸等、を適宜用いる。根太材のレベル調整が
終了すると、次に根太材2の間に位置する2本のねじ棒
をコンクリートスラブ51に取り付ける。
【0054】次に、コンクリートスラブ51上の他の孔
部11に接着剤13を充填し、上記レベル合わせした両
端の支持金具1の間に位置する支持金具の設定を行な
う。これらの支持金具1のねじ棒6を、根太材2に設け
られたねじ棒貫通孔4の上側からねじ棒6の係合溝10
に回転工具のビットを係合させて回転させることによ
り、取付金具12の鍔12bがコンクリートスラブ51
の上面に接触するまでねじ棒6を回転させて下方に移動
させる。
【0055】この場合、取付金具12の鍔12bがコン
クリートスラブ51の上面に接触した後まで、ねじ棒6
を回転させても、ねじ棒6が取付金具12にねじ込まれ
るだけで、根太材2の高さは変化しない。これにより、
両端の支持金具1によってレベル合わせされた根太材2
の中間部における位置決めを行なうことができる。
【0056】また、この部分においても、必要に応じて
取付金具12を回転させることにより、該当部分の高さ
を調整することができる。この状態においては、接着材
はまだ硬化しておらず、根太材のレベル調整を行なうこ
とができる。
【0057】そして、1つ根太材の位置が定まったら順
次、次の長さ方向に隣合う根太材の設置を行なう。この
場合、既にコンクリートスラブ52に取り付けられた隣
の根太材2が上述したようにレベル合わせされているか
ら、このすでに取り付けられている根太材2の取付金具
1に、新たに取付ける根太材2を取付けることとなる。
【0058】したがって、上述したように、新たにコン
クリートスラブ52に取付ける根太材2には、保持金具
7を、上記既に取り付けられた支持金具1に取付ける側
と反対側の端部に1個所、根太材2の中間部の2個所、
計3個所にだけ取付ければ足りる。そして、この3個所
に保持金具7を取り付けた根太材2を配置して、レベル
合わせを行なう。このレベル合わせは、既にコンクリー
トスラブ51にレベル合わせされてとりつけられた根太
材2を基準にして行なうことができる。即ち、後から取
付ける根太材2の一端を既に取り付けられた根太材2の
端部に設けた保持金具7に差し込み、この高さを基準と
して根太の他端の高さを調整する。
【0059】このように、所定の領域の根太材について
施工を行ったのち、隣接する根太材間に板材等を釘付け
して接着剤が硬化するまで、仮止めを行う。これによ
り、コンクリートスラブ上への根太材の設置は終了す
る。また、この段階で、根太材2のねじ棒貫通孔4の内
部に接着材を注入して、根太材2と支持金具1とを固定
することができる。
【0060】コンクリートスラブ上への根太材の施工
は、上述した手順のように根太材を順次配置しながら行
わなくとも、全ての根太材をコンクリートスラブ上に配
置してから、根太材のレベル合わせを順次行なうことが
できる。
【0061】また、隣合う根太材を、1つの保持金具で
支承しなくてもよい。この場合には一本づつの根太材を
複数の支持金具で独立してコンクリートスラブ上に支持
してレベル合わせを行なう。
【0062】所定の範囲のコンクリートスラブ上に根太
材設置したのち、フローリング材を取付ける。フローリ
ング材3は、図3及び図4に示すように、根太材に対し
て直交方向に取りつけられる。フローリング材3は通常
厚さ20〜30mm、幅100〜300mm、長さ12
00〜3000mmであり、それぞれのフローリング材
3は、雨水等を排水するためそれぞれ幅方向には約5m
m〜7mmの間隔を設けて配置される。
【0063】この例では、上述したようにフローリング
材3は、根太材2に木ねじ14を用いて固定される。木
ねじ14の上には図1及び図2に示すように木栓15を
配置して、木ねじ14の頭が見えないようにすることが
できる。
【0064】また、本発明では、図7に示すようにねじ
棒6の下端部6cを、コンクリートスラブ51に形成さ
れた孔部11内に接着剤13で固定することができる。
この場合には取付金具12は使用せずに、内孔に雌ねじ
がねじ切りされた鍔部材32を使用する。
【0065】この場合には、図7に示すようにねじ棒6
を根太材2の上方から回転させることにより根太材2の
レベル調整を行なう。まず、コンクリートスラブ51の
孔部11に接着剤13を充填しておく。そして、鍔部材
32をねじ棒6の中間部付近まで移動させておき、ねじ
棒6を回転させ、下方に移動させる。ねじ棒6の下端
を、コンクリートスラブ51の接着剤13が充填された
孔部11の底壁11aに接触させる。この場合ねじ棒の
保持金具からの繰り出し量により根太材の高さ調整を行
なうことができる。高さ調整の終了後、鍔部材32を回
転下降させ、コンクリートスラブ52の上面に接触さ
せ、ねじ棒6の安定させる。この例によればば、取付金
具12が不要となり構成が簡単でコストが低下する。
【0066】さらに、本発明の他の実施の形態として図
8に示すように、支持金具1を根太材2に取り付けられ
る保持金具7と、この保持金具7の下方に溶接され延設
されたねじ棒6とから構成することができる。この場合
も、保持金具7は、上記根太材2の底部2aを保持する
底板部7aと、上記底部7aから根太材2の側面部2b
に沿って立ち上がる立設板部7bと、上記立設板部7b
から内側に延び、上記根太材2の両側面部2bに形成さ
れた溝部5に嵌まり込む水平嵌入板部7cとを備える。
【0067】そして、この例では、ねじ棒6の下端には
上述した支持金具1を設けることにより、根太材2の高
さ調整ができるものとしている。このような構成の支持
金具は、特に根太材2の中央部を支持する場合に好適で
あり、支持金具1の構成が簡単となり木床施工のコスト
を低減させることができる。
【0068】尚、本発明にかかる木床構造は、施工する
木床の全ての部分に使用することができるほか、その一
部について使用することができる。即ち、根太材の両端
部に本発明の第1の実施形態にかかる床構造を採用し
て、第1の実施形態に係る支持金具を使用するものと
し、他の部分、例えば、根太材の中間の部分について
は、他の実施形態、あるいは他の構成を有する根太支持
金具を使用することができる。これらの選択は、各施工
個所により適宜選択することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コンクリートスラブ上に木製の根太材を取付金具を用い
て迅速に施工することができるので、木製床を容易且つ
低価格で施工することができる木床構造及び木床施工方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木床構造の実施の形態の一例を示
す断面図である。
【図2】図1に示した木床構造を示す図1中のII−II線
断面図である。
【図3】図1に示した木床構造を示す一部切欠き斜視図
である。
【図4】図1に示した木床構造を示す平面図である。
【図5】図1に示した木床構造の取付金具を示す断面図
である。
【図6】図1に示した木床構造のねじ棒の係合溝を示す
斜視図である。
【図7】本発明に係る木床構造の実施の形態の他の例を
示す断面図である。
【図8】本発明に係る木床構造の実施の形態の他の例を
示す断面図である。
【図9】従来の木床構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…支持金具 2…根太材 3…フローリング材 5…溝部 6…ねじ棒 7…保持金具 8…貫通孔 9…ナット 10…係合溝 11…孔部 12…取付金具 13…接着剤
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−169567(JP,A) 特開 平7−224515(JP,A) 実開 昭56−25143(JP,U) 実開 昭60−45744(JP,U) 実開 昭53−162523(JP,U) 実開 昭52−54123(JP,U) 実開 昭49−69704(JP,U) 実開 昭51−65516(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04B 5/43 E04F 15/00 101

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートスラブ(51)に立設した
    複数の支持金具(1)で木製の根太材(2)を略平行に
    複数配置し、この根太材(2)上に木製のフローリング
    材(3)を前記根太材(2)に掛け渡し敷設して構成し
    た木床構造において、 上記支持金具(1)は、根太材(2)に取り付けられる
    保持金具(7)とこの保持金具(7)の下方に延設され
    たねじ棒(6)とからなり、 上記保持金具(7)は、上記根太材(2)の底部(2
    a)を保持する底板部(7a)と、 上記底板部(7a)から根太材(2)の側面部(2b)
    に沿って立ち上がる立設板部(7b)と、 上記立設板部(7b)から内側に延び、上記根太材
    (2)の全長にわたって両側面部(2b)に形成された
    溝部(5)に嵌まり込む水平嵌入板部(7c)とを備え
    た木床構造。
  2. 【請求項2】 コンクリートスラブ(51)に複数の支
    持金具(1)で木製の根太材(2)を略平行に複数配置
    し、この根太材(2)上に木製のフローリング材(3)
    を前記根太材(2)に掛け渡し敷設して構成した木床構
    造において、 上記支持金具(1)は、根太材(2)に取り付けられる
    保持金具(7)と、コンクリートスラブ(51)上に立
    設されるねじ棒(6)とからなり、 上記保持金具(7)は、上記根太材(2)の底部(2
    a)を保持すると共に上記ねじ棒(6)が貫通する貫通
    孔(8)が開設される底板部(7a)と、 上記底板部(7a)から根太材(2)の側面部(2b)
    に沿って立ち上がる立設板部(7b)と、 上記立設板部(7b)から内側に延び、根太材(2)の
    全長にわたって両側面部(2b)に形成された溝部
    (5)に嵌まり込む水平嵌入板部(7c)と、 上記底板部(7a)の下側の前記貫通孔(8)の開設位
    置に固着され、上記ねじ棒(6)がねじ込まれ、底板部
    (7a)と上記ねじ棒(6)との取付位置を調整可能に
    連結するナット(9)とを備えた木床構造。
  3. 【請求項3】 上記ねじ棒(6)の上端面(6a)及び
    下端面(6b)の少なくとも一方には、ねじ棒回転駆動
    工具係合用の係合溝(10)を備えた請求項1又は請求
    項2記載の木床構造。
  4. 【請求項4】 上記ねじ棒(6)の下端部(6c)は、
    コンクリートスラブ(51)に形成された孔部(11)
    内に接着剤(13)で固定される請求項1、請求項2、
    又は請求項3記載の木床構造。
  5. 【請求項5】 コンクリートスラブ(51)の孔部(1
    1)には取付金具(12)が配置され、 この取付金具(12)は、内面に雌ねじを形成した有底
    筒体(12a)と、この有底筒体(12a)の外側に固
    着され、取付金具(12)を上記コンクリートスラブ
    (51)の上面に高さ方向に位置決めする鍔部(12
    b)とからなり、 上記ねじ棒(6)の下端部(6c)はこの取付金具(1
    2)に上下方向の取付位置を調整可能にねじこまれて立
    設される請求項1、請求項2、又は請求項3、記載の木
    床構造。
  6. 【請求項6】 コンクリートスラブ(51)に複数の支
    持金具(1)で木製の根太材(2)を略平行に複数配置
    し、この根太材(2)上に木製のフローリング材(3)
    を前記根太材(2)に掛け渡し敷設して構成する木床施
    工方法において、 根太材(2)の両側面部(2b)全長にわたって溝部
    (5)を形成し、上記支持金具(1)を、根太材(2)
    に取り付けられる保持金具(7)と、コンクリートスラ
    ブ(51)上に立設されるねじ棒(6)とから構成し、 上記保持金具(7)を上記ねじ棒(6)が貫通する貫通
    孔(8)を形成した底板部(7a)と、底板部(7a)
    の両端から立ち上がる立設板部(7b)と、立設板部
    (7b)から内側に延びる水平嵌入板部(7c)と、上
    記底板部(7a)の下側の前記貫通孔(8)の開設位置
    に固着され、上記ねじ棒(6)がねじ込まれるナット
    (9)とから構成し、 上記保持金具(7)を、底壁部(7a)が上記根太材
    (2)の底部(2a)を保持すると共に上記根太材
    (2)の溝部(5)に水平嵌入板部(7c)を嵌入して
    に取り付け、 保持金具(7)のナット(9)に上記ねじ棒(6)をね
    じ込んでコンクリートスラブ(51)上に根太(2)を
    配置する木床施工方法。
  7. 【請求項7】 上記保持金具(7)を底壁部(7a)が
    上記根太材(2)の底部(2a)を保持すると共に上記
    根太材(2)の溝部(5)に水平嵌入板部(7c)を嵌
    入させて、根太材(2)の端縁部から嵌め込み、所定位
    置に配置し、 根太材(2)の少なくとも2ヵ所に設けた保持金具
    (7)のナット(9)にねじ棒(6)をねじ込んでコン
    クリートスラブ(51)に対する根太材(2)のレベル
    位置を決定し、 その後、その他の保持金具(7)取り付け個所における
    根太材(2)の高さ位置を調整してコンクリートスラブ
    (51)に対して同じレベルに固定する請求項6記載の
    木床施工方法。
  8. 【請求項8】 コンクリートスラブ(51)上に複数の
    木製の根太材(2)を平行に配置し、この根太材(2)
    上に木製のフローリング材(3)を掛け渡し敷設する木
    床施工方法において、 コンクリートスラブ(51)の所定個所に、根太材
    (2)を支承するねじ棒(6)の下端部(6c)を挿入
    して固定する孔部(11)を穿設し、 根太材(2)に対するねじ棒(6)の上下位置を調節可
    能とした保持金具(7)を根太材(2)に配置し、該保
    持金具(7)を介して根太材(2)の両端個所を含む複
    数の個所にねじ棒(6)を吊架し、 根太材(2)の少なくとも2ヵ所に設けたねじ棒(6)
    を上記コンクリ−トスラブ(1)の孔部(11)に挿入
    して、該根太材(2)に設けた保持金具(7)に対する
    ねじ棒(6)のねじ込み具合を調整して、コンクリート
    スラブ(51)に対する根太材(2)のレベル位置を決
    定し、その後、その他のねじ棒(6)がねじ込まれたそ
    れぞれの保持金具(7)に対する各ねじ棒(6)のねじ
    込み位置を調節して、根太材(2)をコンクリートスラ
    ブ(51)に対して同じレベルに固定する請求項6又は
    請求項7記載の木床施工方法。
  9. 【請求項9】 上記ねじ棒の(6)の下端(6b)に、
    内面に上記ねじ棒(6)の下端(6b)がねじ込まれる
    雌ねじを形成した有底筒体(12a)と、この有底筒体
    (12a)の外側に固着され、取付金具(12)を上記
    コンクリートスラブ(51)の上面に位置決めする鍔部
    (12b)とを備えた取付金具(12)を取り付け、 上記取付金具(12)を介してコンクリートスラブ(5
    1)の孔部(11)に配置して固定する請求項6、請求
    項7、又は請求項8記載の木床施工方法。
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