JP3014930B2 - 弾性表面波デバイス - Google Patents

弾性表面波デバイス

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JP3014930B2
JP3014930B2 JP6260488A JP26048894A JP3014930B2 JP 3014930 B2 JP3014930 B2 JP 3014930B2 JP 6260488 A JP6260488 A JP 6260488A JP 26048894 A JP26048894 A JP 26048894A JP 3014930 B2 JP3014930 B2 JP 3014930B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はSAWフィルタやSAW
共振器のような弾性表面波デバイスに関するものであ
り、特にナチュラル単相形一方向性変換器(Natural Si
ngle-Phase Unidirectional Transducerを省略してNSPU
DTと呼ばれている) 特性を利用した弾性表面波デバイス
に関するものである。SAWフィルタやSAW共振器の
ような弾性表面波デバイスに使用される電極、特に圧電
性基板の表面に形成され、方向性を反転する機能を有す
る電極の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、弾性表面波デバイスの一つとし
て、圧電性基板の表面に単相信号源の位相が180 °異な
る2端子にそれぞれ接続される電極である正電極および
負電極をインターディジタル形(すだれ状)に組み合わ
せた送信側変換器と、同じく正電極および負電極をイン
ターディジタル形に組み合わせた受信側変換器とを所定
の間隔を置いて配置し、特定の周波数のみを選択的に取
り出すトランスバーサル型SAWフィルタが広く実用化
されている。
【0003】このようなSAWフィルタにおいては、挿
入損失を低く抑えるとともに帯域内でのリップルを小さ
く抑えることが要求されている。通常のインターディジ
タル形の電極構造を使用する場合には、両方向性となる
ため、理論的な最小挿入損失が6dBとなり、挿入損失
を低く抑えることができない欠点がある。一方、このよ
うな欠点を解消するために、複数の受信側変換器を複数
の送信側変換器の両側に配置した多電極構造(マルチト
ランスデューサ方式)が提案されている。このような多
電極構造のSAWフィルタでは、挿入損失を1.5 〜2dB
程度まで低くすることができるが、これら変換器の制御
が非常に難しく良好な位相特性や周波数特性が得られな
いばかりでなく、製造も非常に難しいという欠点があ
る。弾性表面波デバイスの性能を向上するには、低損失
化のみでなく位相特性の平坦化および通過域のリップ
ル、阻止域の抑圧といった周波数特性の改善も重要な問
題である。
【0004】上述した要求を満たすために、理想的には
1dB以下の挿入損失と良好な位相および周波数特性が
可能となる一方向性変換器が使用されている。この一方
向性変換器としては、種々の型式のものが提案されてい
るが、大別して(a) 多相形一方向性変換器と、(b) 単相
形一方向性変換器とがある。さらに、後者の単相形一方
向性変換器としては、電極構造の非対称性、質量負荷効
果による内部反射を用いた単相形一方向性変換器、励振
電極の間に反射バンクを配置した反射バンク形一方向性
変換器、浮き電極による反射を用いた単相形一方向性変
換器、基板の異方性を利用するナチュラル単相形一方向
性変換器などが提案されている。これらの一方向性変換
器を用いた弾性表面波デバイスでは、励振波と反射波と
の位相差が、前進方向では同相となり、それと反対の方
向では逆相となることによって方向性を持たせるように
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したナチュラル単
相形一方向性変換器以外の単相形一方向性変換器におい
ては、いずれも電極構造が複雑となり、特に電極エッジ
間の間隔および電極幅はλ/4よりも狭くする必要があ
り、動作周波数が高くなるのに伴ってこの寸法はきわめ
て小さくなり、所望の寸法を有する電極を正確に製造す
ることが困難となる欠点がある。
【0006】このような欠点を解消する手段の一つとし
て、圧電性基板自体の異方性によって電極エッジ間隔や
電極幅がλ/4の通常の電極を使用するにも拘らず、一方
向特性を持たせたナチュラル単相形一方向性変換器(NS
PUDT) が提案されている。このNSPUDT動作を採用した弾
性表面波デバイスにおいては、基板自体の異方性を利用
しているが、このような異方性により一方向性(NSPUDT
特性) を示す圧電性基板としては、従来から水晶基板、
LiNbO3基板、LiTaO3基板が知られている。本発明者等は
さらに、リチウムテトラボレートの特殊なカットにおい
てもNSPUDT特性が現れることを確認した。特に、このリ
チウムテトラボレート基板は、従来のナチュラル単相形
一方向性変換器特性を有する基板に比べて、電気機械結
合係数K2が大きいこと、零遅延時間温度係数が存在する
こと、パワーフロー角が零であることなどの理由のた
め、理想的な弾性表面波デバイスが得られるものであ
る。
【0007】しかしながら、上述したNSPUDTを用いる弾
性表面波デバイスにおいては、基板自体の異方性を利用
しているため、出力側すなわち送信側変換器および入力
側すなわち受信側変換器として順方向が互いに向かい合
った一方向性変換器が得られないことが問題となる。こ
の問題を解決するために、送信側または受信側変換器の
何れか一方の変換器に反射係数の位相が180 °異なる材
料の電極を用いて方向性を反転させる方法や、基板の表
面に溝を施し、溝の中に電極を埋め込んで方向性を反転
させる方法などが提案されている。しかしながら、この
ように異なる材料の電極を形成したり埋め込み電極を形
成することは製造プロセスや設計が複雑になり、高価と
なる欠点があるとともに所望の精度を得ることが困難と
なり、所望の周波数特性や位相特性が得られないという
欠点がある。出願人は、NSPUDT特性のないSTX水晶に
ついて、一方向性を有する電極構造を特開平5-347535号
公報において提案しているが、この電極は電極幅および
電極エッジ間隔をλ/12 を基準としており、微細な加工
技術が要求される欠点がある。特に、最近では高周波数
化が進んでいるので、これらの寸法はきわめて小さなも
のとなり、ますます製造が困難となる傾向にある。
【0008】本発明の目的はこのような従来のNSPUDTを
用いる弾性表面波デバイスの欠点を解消もしくは軽減
し、製造が容易で優れた周波数特性や位相特性を有する
弾性表面波デバイスを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による弾性表面波
デバイスは、ナチュラル単相形一方向性変換器特性を有
するようにカットされた圧電性基板と、その平坦な表面
に均一の膜厚を以て同じ電極材料から形成され、弾性表
面波の波長λ、単相信号源あるいは負荷の位相が180 °
異なる2端子に接続される電極をそれぞれ正電極および
負電極とするとき、電極幅はともにほぼλ/8の正電極お
よび負電極をエッジ間隔がほぼλ/8となるように順次に
配置し、さらに電極幅がほぼ 3λ/8の浮き電極を正電極
に対してほぼλ/8のエッジ間隔を以て配置した構成を基
本構造とする方向性反転電極とを具えることを特徴とす
るものである。
【0010】
【作用】このような本発明による弾性表面波デバイスに
おいては、送信側の電極と受信側の電極とを同一の材料
で形成することができるとともに電極幅および電極エッ
ジ間隔をλ/8を基準としているので、製造は容易とな
り、所望の特性を有する弾性表面波デバイスが得られる
ことになる。また、本発明を実施するに当たっては、前
記ナチュラル単相形一方向性変換器特性を有する圧電性
基板は、STX+25°カットの水晶、オイラー角( ψ,
θ,φ) で表されるカット角が(45 °, 55°, 0 °) カ
ットの水晶、YZ+51.25 °カットのタンタル酸リチウ
ム(LiTaO3)、Y−θX(θ=25°〜45°)カット或いは
128 °回転されたYカットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)
およびオイラー角で表されるカット角がψ=+5°〜-5
°、θ=9°〜29°、32°〜86°、φ=85 °〜95°となる
ようにカットされたリチウムテトラボレート(Li2B4O7)
より成るグループから選択することができる。また、本
発明においては、上述した電極構造を基本構造とするも
のであるが、基板の材料やカット角に応じて、浮き電極
の位置を弾性表面波の伝播方向にずらすこともできる。
例えば、オイラー角で表されるカット角が(0°, 78
°, 90°) のリチウムテトラボレート基板を使用する場
合には、浮き電極の位置をほぼ2λ/56 だけずらすこと
により、方向性のずれを修正することができる。さら
に、正負の電極幅やエッジ間隔をほぼλ/8とし、浮き電
極の幅をほぼ 3λ/8とし、負電極と浮き電極とのエッジ
間隔をほぼλ/8としているが、これは微細加工の精度上
±10% 程度以内の誤差を許容するものである。
【0011】
【実施例】図1は本発明による弾性表面波デバイスの方
向性反転電極の基本構造を示す平面図である。正電極11
および負電極12はそれぞれλ/8の電極幅を有し、λのピ
ッチで配列された電極指11a および12a を有し、これら
を矢印で示す弾性表面波の伝搬方向に見てλ/8のエッジ
間隔を置いてインターディジタルに組み合わせてある。
さらに、本発明による方向性反転電極においては、負電
極指12a と正電極指11a との間に、 3λ/8の電極幅を有
する浮き電極13を負電極指12aおよび正電極指11a との
間にλ/8のエッジ間隔を置いて配置する。正電極11の電
極指11aと負電極12aとの重なった部分の長さとして定
義される開口長Aは、例えばリチウムテトラボレート基
板では200 λとすることができる。以下に、このような
構造の電極が方向性反転機能を有することを説明する。
【0012】通常使用されているアルミニウムあるいは
金を材料とする正規形電極を、NSPUDT特性を有しない通
常の圧電性基板、例えばST水晶の圧電性基板上に形成
したときの弾性表面波の励振および反射の中心位置は、
それぞれ図2Aおよび2Bに示すようになる。ここで、
白矢印XE は励振中心を表す。また、黒矢印XR は電極
の反射中心を示し、反射係数を
【外1】 と仮定する。このような正規形電極では右向きおよび左
向きのいずれにおいても励振される弾性表面波および反
射波に差異はなく、方向性は現れない。
【0013】図3は単相一方向性変換器(Single-Phase
Unidirectional Transducer)の動作原理を示すものであ
る。何らかの方法により励振中心XE および反射中心X
R を図3に示すように距離LAB= 3λ/8 + nλ/2, LAC
=λ/8 + nλ/2(n=0, 1, 2, ---)となるようにシフトさ
せることができれば、矢印で示す右へ進む弾性表面波に
ついて考えた場合、励振中心XE を位置の基準として左
側の反射中心XR よりの反射波の伝播距離を反射位相を
も考慮して求めると、(3λ/8+nλ/2) ×2 +λ/4=λ
+nλ(n=0, 1, 2 ---)で励振中心XE よりの励振波
と同相となり、右へ進行する弾性表面波を強めることに
なる。同様に、左へ進む弾性表面波について考えた場合
には、右側の反射中心XR よりの反射波の伝播距離を求
めると、(λ/8+nλ/2) ×2 +λ/4=λ/2+nλで逆
相となり、左へ進行する弾性表面波は打ち消されること
になる。
【0014】図4は本発明による弾性表面波デバイスに
用いるNSPUDT特性を有するSTX+25°水晶基板上に正
規形電極を設けた場合の動作原理を示すものである。NS
PUDT特性を有する圧電性基板の場合、基板の異方性のた
めに、図2に示した場合に比べて反射中心XR が右にλ
/8だけシフトする。いま、アルミニウムより成る正規形
電極を示す図2Aにおいて反射中心XR が右にシフトす
ると、図3について説明した原理によって図4Aに示す
ように右向きの方向性が生じることになる。一方、金よ
り成る正規形電極を示す図2Bで反射中心XR が基板の
有するNSPUDT特性により右にシフトすると、方向性は図
4Bに示すように左向きの方向性が生じることになる。
このように、反射中心のシフト方向が同じでも、STX
+25°水晶基板の場合、電極材料がアルミニウムと金と
では反射係数の符号が異なるため逆の方向性が得られる
ことになる。
【0015】したがって、本発明のようにNSPUDT特性を
有する基板を用いる場合には、送信側および受信側の電
極としてそれぞれアルミニウムおよび金より成る正規形
電極を設ければ方向性が互いに向かい合い、所望の動作
特性が得られることがわかる。しかしながら、このよう
に電極材料を異ならせると、プロセスが複雑になり、歩
留りが悪くなり、したがって高価となる欠点がある。ま
た、基板によっては金とアルミニウムの反射係数の符号
が同じで、この方法が使えない場合もある。これに対
し、本発明では同じ材料で作られた電極を用いることが
できる。すなわち、図2Bに示すような基板に異方性が
ない状態で励振中心XE と反射中心XR がλ/4だけずれ
た電極構造をアルミニウムだけで構成すれば、NSPUDT基
板上では図4Bの場合と同様に、異方性によって反射中
心が右にシフトすると方向性は左向きになって図4Aと
は方向性が逆転することになる。図1に示した本発明に
よる方向性反転電極はこのような観点から設計されたも
のである。
【0016】異方性のない基板で、図1に示す構造の電
極においては、位置x0を基準としてXR =λ/8, X
E =−λ/8, XR −XE =λ/4 となって、図2Bと
等価な構造が実現されることになる。すなわち、正電極
指11a の中心位置x0 を反射の基準面にとったとき、3
つの電極の反射の位相ダイアグラムは図5に示すように
なり、電極の中心位置x0 から見たトータルの反射係数
は、
【数1】 となり、反射中心が右にλ/8シフトしたことと等価とな
る。また、浮き電極13は励振電極11および12から完全に
浮いた状態となっているので、励振電位の電界分布が非
対称となり、励振中心XE のシフトを与えることにな
る。図6は本発明による電極構造の励振中心XE と反射
中心XR の位置を示すものである。図6AはNSPUDT特性
を有しない通常の圧電性基板、例えばSTX水晶基板に
おける励振中心および反射中心の位置を示したものであ
る。電界分布を求め、その基本波成分の分布より励振中
心の位置は正電極指11a の中心位置X0より−λ/8だけシ
フトしていることがわかる。また、上記弾性表面波のト
ータルの反射係数より反射中心XR の位置は中心位置X0
よりλ/8シフトしており、図2Bの状態に相当する。す
なわち、方向性は現れず、両方向性となる。本発明の電
極構造をNSPUDT特性を有するSTX+25°カットの水晶
基板上に形成した場合を図6Bに示す。励振中心はその
ままで、反射中心は基板のNSPUDT特性により右にλ/8シ
フトして図6Bにおいて左向きの方向性が得られる。ま
た、図6Cは、(0°, θ, 90°) カット( θ=32 °〜86
°) のリチウムテトラボレートを基板として用いた場合
を示すものであり、この基板の持つNSPUDT特性によりS
TX+25°水晶の場合とはシフトの方向が異なり、反射
中心の位置が左にλ/8シフトし、図6Cにおいて右向き
の方向性が得られる。
【0017】図7は本発明による弾性表面波デバイスの
一実施例の構成を示す平面図であり、本例では波長λが
15μm の弾性表面波を用いるSAWフィルタとして構成
したものである。本例の圧電性基板は、オイラー角(
ψ, θ, φ) で表されるカット角がψ= 0°、θ=51
°、φ=90 °となる理想的なNSPUDT特性を与える角度で
カットされたリチウムテトラボレート(Li2B4O7) 基板21
を用いる。この基板21の表面上に膜厚が 0.37 μm のア
ルミニウムよりなる送信側変換器22および受信側変換器
23を配置する。送信側変換器22は、正規形のインターデ
ィジタル構造を有する電極で構成されており、それぞれ
λ/4、すなわち15/4μm の電極幅を有する正電極指22a
および負電極指22b をλ/4のエッジ間隔で交互に配列し
たものであり、対の個数は50とした。また、開口長Aは
200 λ、すなわち15×200 μm とした。受信側変換器23
として図1に示す方向性反転電極を配置した。この方向
性反転電極は、それぞれλ/8の電極幅を有する正電極指
23a および負電極指23b をλのピッチで、エッジ間隔が
λ/8となるように配置し、負電極指23b と正電極指23a
との間に、幅が 3λ/8の浮き電極23c を両側の電極との
間にλ/8のエッジ間隔が得られるように配置した構造の
ものである。この受信側の方向性反転電極の開口長Aも
200 λとした。
【0018】本例の受信側変換器23の変換損失特性を図
8に示す。受信側変換器としてこのような方向性反転電
極を用いることにより、正規形電極よりなる送信側変換
器22から伝搬される弾性表面波を効率良く受信すること
ができ、挿入損失が少なくリップルも少ない優れた位相
特性を有するSAWフィルタを得ることができる。
【0019】図9はNSPUDT特性を有するSTX+25°カ
ットの水晶の基板座標(x, y, z)と結晶軸との関係を示
すものである。また、図10はこのような水晶基板にλ
/4の正規形電極を設けた場合の変換損失を示すグラフで
あり、図11は同じくNSPUDT特性を有するSTX+25°
カットの水晶に本発明による方向性反転電極を設けた場
合の変換損失を示すグラフである。これらのグラフにお
いて、実線は+x方向における変換損失を示し、破線は
−x方向での変換損失を示すものである。これらのグラ
フを比較すると本発明による電極ではNSPUDT特性により
方向性が反転していることがわかる。
【0020】図12は本発明による弾性表面波デバイス
の第2の実施例の構成を示すものであり、本例でもSA
Wフィルタとして構成したものである。本例において
は、基板としてSTX+25°カットの水晶基板31を用
い、その表面にλ/4の正規形電極より成る送信変換器32
と、方向性反転電極より成る受信側変換器33とを配置し
たものである。これら送信側および受信側変換器32およ
び33の構成は図7に示したものと同一である。図13は
本例のSAWフィルタの理論的挿入損失を示すグラフで
ある。参考のために本例と同じ水晶基板の上に受信側変
換器として方向性のないλ/8のダブル電極を設け、送信
側変換器としてNSPUDT特性を有する正規形電極を設けた
従来のSAWフィルタの挿入損失を図14に示す。これ
らのグラフを比較することにより、本発明では所定の周
波数域におけるリップルが殆どなく、また挿入損失も小
さいことがわかる。
【0021】本発明は上述した実施例にのみ限定される
ものではなく、幾多の変更や変形が可能である。例え
ば、上述した実施例においては、圧電性基板としてオイ
ラー角( ψ, θ, φ) で表されるカット角がψ= 0°、
θ=51 °、φ=90 °となるようにカットされたリチウム
テトラボレート基板とSTX+25°水晶基板とを用いた
が、NSPUDT特性を示す他のカットのリチウムテトラボレ
ート基板を用いることができる。すなわち、カット角が
ψ=+5°〜-5°、θ=9°〜29°、32°〜86°、ψ=85°
〜95°となるようにカットされたリチウムテトラボレー
ト基板を用いることもできる。さらに、リチウムテトラ
ボレートや水晶以外の基板を用いることもできる。すな
わち、NSPUDT特性を示すことが知られているYZ+51.2
5 °カットのタンタル酸リチウム(LiTaO3)やY−θX
(θ=25°〜45°)カット或いは128 °回転されたYカ
ットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの基板を用いるこ
ともできる。さらに上述した実施例では、正負の電極幅
およびエッジ間隔をλ/8とし、浮き電極の幅を3 λ/8と
し、これと正負の電極とのエッジ間隔をλ/8としたが、
微細加工による精度上から、±10% 程度以内の誤差があ
っても所期の目的を達成することができる。さらに、基
板の材料やカット角などにより方向性がずれるような場
合には浮き電極の位置を変化させてこのずれを修正する
こともできる。したがって、本発明においては、方向性
反転電極の基本構造を、電極幅はともにほぼλ/8の正電
極および負電極をエッジ間隔がほぼλ/8となるように順
次に配置し、さらに電極幅がほぼ 3λ/8の浮き電極を正
電極に対してほぼλ/8のエッジ間隔を以て配置した構成
とし、これをさらに修正した電極構造も包含するもので
ある。
【0022】
【発明の効果】上述したように、本発明による弾性表面
波デバイスにおいては、NSPUDT特性を有する正規形電極
に対して方向性反転電極を、正規形電極と同じ材料でし
かも一度の微細加工で形成することができるので製造プ
ロセスは簡単となり、歩留りも向上し、コストを低減す
ることができる。さらに、この方向性反転電極は、λ/8
を基本寸法とするものであるので、従来のλ/12 を基本
寸法とする方向性電極に比べて製造が容易となり、寸法
精度を容易に確保できるのでNSPUDT特性を示す圧電性基
板との組み合わせによって挿入損失を著しく小さく抑え
ることができるとともに周波数特性および位相特性を向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性表面波デバイスに用いる方向
性反転電極の構造を示す平面図である。
【図2】AおよびBはNSPUDT特性のない基板上における
正規形電極の動作を説明するための励振および反射中心
を示す線図である。
【図3】方向性を持たせる動作原理を示す線図である。
【図4】AおよびBはNSPUDT特性を有する基板と正規形
電極との組み合わせにおける励振および反射中心を示す
線図である。
【図5】NSPUDT特性を示さない基板において図1の電極
構造の各電極指の反射位相を示す線図である。
【図6】A,BおよびCは本発明による電極構造を種々
の圧電性基板に形成した場合の励振中心および反射中心
の位置を示す線図である。
【図7】本発明による弾性表面波デバイスの第1の実施
例の構成を示す平面図である。
【図8】本発明による方向性反転電極の変換損失の理論
値を示すグラフである。
【図9】STX+25°水晶基板の基板座標と結晶軸との関係
を示す線図である。
【図10】STX+25°水晶に正規形電極を形成した場合の
変換損失の理論値を示すグラフである。
【図11】STX+25°水晶に本発明による方向性反転電極
を形成した場合の変換損失の理論値を示すグラフであ
る。
【図12】本発明による弾性表面波デバイスの第2の実
施例の構成を示す平面図である。
【図13】同じくその挿入損失の理論値を示すグラフで
ある。
【図14】従来のSAWフィルタの挿入損失の理論値を
示すグラフである。
【符号の説明】
11 正電極、 11a 正電極指、 12 負電極、 12a 負電
極指、 13 浮き電極、21 圧電性基板(Li2B4O7) 、
22 送信側変換器(正規形電極)、 22a 正電極指、
22b 負電極指、 23 受信側変換器(方向性反転電
極)、 23a 正電極指、 23b 負電極指、 23c 浮き電
極、31 圧電性基板(STX+25 °水晶)、 32送信側変換
器(正規形電極)、 33 受信側変換器(方向性反転電
極)
フロントページの続き (72)発明者 竹内 正男 宮城県名取市上余田字千刈田691番地の 24 (72)発明者 山之内 和彦 宮城県仙台市太白区松が丘37−13 (72)発明者 小田川 裕之 宮城県仙台市太白区富沢4−15−23 フ ラワーコート101 (72)発明者 田中 光浩 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子株式会社内 審査官 村上 友幸 (56)参考文献 特開 平5−308242(JP,A) 児玉利一、佐藤考治「分布音響反射型 トランスジューサ(DART)の基本特 性」、昭和59年度電子通信学会総合全国 大会講演論文集 85、1−85 C.S.Lam and D.Gun es”A Low−Loss SAW Filter Using Two−F inger Per Waveleng th Electrodes on t he NSPUDT Orientat in Quartz”,1993 ULTR ASONICS SYMPOSIUM 185−188 1994年電子情報通信学会秋季大会−ソ サイエティ先行大会−講演論文集 基 礎・境界(1994年9月26日から29日)S A−11−9、竹内正男、小田川祐之、山 之内和彦「Li2B4O7基板のNSP UDTカット」,pp311−312 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 9/145

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナチュラル単相形一方向性変換器特性を
    有するようにカットされた圧電性基板と、その平坦な表
    面に均一の膜厚を以て同じ電極材料から形成され、弾性
    表面波の波長λ、単相信号源あるいは負荷の位相が180
    °異なる2端子に接続される電極をそれぞれ正電極およ
    び負電極とするとき、電極幅はともにほぼλ/8の正電極
    および負電極をエッジ間隔がほぼλ/8となるように順次
    に配置し、さらに電極幅がほぼ 3λ/8の浮き電極を正電
    極に対してほぼλ/8のエッジ間隔を以て配置した構成を
    基本構造とする方向性反転電極とを具えることを特徴と
    する弾性表面波デバイス。
  2. 【請求項2】 前記ナチュラル単相形一方向性変換器特
    性を有する圧電性基板として、STX+25°カットの水
    晶、オイラー角( ψ, θ, φ) で表されるカット角が
    (45°, 55°, 0 °) カットの水晶、YZ+51.25 °カ
    ットのタンタル酸リチウム(LiTaO3)、Y−θX(θ=25
    °〜45°)カット或いは128 °回転されたYカットのニ
    オブ酸リチウム(LiNbO3)およびオイラー角で表されるカ
    ット角がψ=+5°〜-5°、θ=9 °〜29°、32°〜86
    °、φ=85 °〜95°となるようにカットされたリチウム
    テトラボレート(Li2B4O7) より成るグループから選択し
    たことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイ
    ス。
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1994年電子情報通信学会秋季大会−ソサイエティ先行大会−講演論文集 基礎・境界(1994年9月26日から29日)SA−11−9、竹内正男、小田川祐之、山之内和彦「Li2B4O7基板のNSPUDTカット」,pp311−312
C.S.Lam and D.Gunes"A Low−Loss SAW Filter Using Two−Finger Per Wavelength Electrodes on the NSPUDT Orientatin Quartz",1993 ULTRASONICS SYMPOSIUM 185−188
児玉利一、佐藤考治「分布音響反射型トランスジューサ(DART)の基本特性」、昭和59年度電子通信学会総合全国大会講演論文集 85、1−85

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