JP3013852U - ゴム製スパイクピンおよび車両用タイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩耗及び破損が少なく、埋込を完全にして抜
け防止と共に路面温度を素早く関知出来るものを提供す
る。 【構成】 氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有する
ゴム配合物で埋設基部２と突起部３とを有するピン本体
１を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部を
テーパー状にし、埋設基部と突起部との中心部に詰め物
穴５及び縦穴４を連通状に設け、埋設基部には縦穴より
大径またはほぼ同径の詰め物穴５を設け、該詰め物穴に
抜け防止材６を詰め込んだこと及び前記ピン本体の縦穴
及び詰め物穴に炭素繊維体を詰め込んだことによりゴム
製スパイクピンを構成すると共に該スパイクピンをタイ
ヤトレッド部ａに設けた取付孔ｂに埋設し、ピン本体の
埋設基部を密着状に嵌合すると共に突起部と孔縁との間
に空隙ｃを設け、突起部の先端をトレッド部の面と面一
状に形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、氷雪路でのスリップを防止するために用いるゴム製スパイクピン及 びこのスパイクピンを取り付けた車両用タイヤに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来この種のものとして金属製のピンがある。しかしながら路面を削り取り、 粉塵公害の社会問題となっている。そこで金属に変えたゴム製のピンが提案され 使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところがこのゴム製のピンにかかる抵抗が大きく、摩耗及び破損が生じやすい と共にピンが抜け易くスパイク効果が十分に発揮され得ないものであった。

【０００４】 本考案は、従来技術において有するこのような問題点に鑑みなされたものであ り、その目的とするところは、摩耗及び破損が少なく、埋込を完全にして抜け防 止と共に路面温度を素早く関知出来るものを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために本考案がなした技術的手段は、氷点下で硬化し常温 で軟化する性質を有するゴム配合物で埋設基部と突起部とを有するピン本体を形 成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部をテーパー状にし、埋設基部と突 起部との中心部に詰め物穴と縦穴とを連通状に設け、埋設基部の詰め物穴を突起 部の縦穴より大径又はほぼ同径とし、埋設基部の詰め物穴に抜け防止材を詰め込 んで或いは両穴に炭素繊維体を詰め込んで又は詰め物穴に抜け防止材を詰め込む ようにしてゴム製スパイクピンを構成すると共に該スパイクピンをタイヤトレッ ド部に設けた取付孔に埋設し、ピン本体の埋設基部を密着状に嵌合すると共に突 起部と孔縁との間に空隙を設け、突起部の先端をトレッド部の面と面一状に形成 した車両用タイヤである。

【０００６】

【作用】

上記技術的手段により、ピン本体の埋設基部がタイヤのトレッド部に嵌合密着 して抜ける恐れが無く、スパイク効果を十分に発揮し得る。

【０００７】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基ずいて説明すると、ピン本体１は氷点下で硬化し常 温で軟化する性質を有するゴム配合物で形成するものであり、該ゴム配合物はこ の種の技術分野において周知のゴム配合物である。この氷点下で硬化し常温で軟 化する性質とは必ずしも外気温が氷点下の場合に硬化するというのでは無く、路 面の氷雪温度及び接地部の温度を感知して、低温で氷雪がタイヤトレッド部に設 けた取付孔とピンの突起部との空隙に付着すると硬化し氷雪が脱落するとタイヤ の内部の発熱が伝達され軟化することをも意味するもので、前記のように周知の ゴム配合物であることから言葉通りに厳密に解釈されるものでないことは当然で ある。

【０００８】 このピン本体１は埋設基部２と突起部３とからなり、その埋設基部２を膨出状 に形成すると共に突起部３を先端に向かって小径となるテーパー状に形成し、こ の埋設基部２と突起部３の中心部に詰め物穴５と縦穴４とを連通させて設け、そ の詰め物穴５を縦穴４より大径に又はほぼ同径に設け、その詰め物穴５に抜け防 止材６を詰め込み、埋設基部２を変形膨大又は硬くさせる。

【０００９】 埋設基部２はタイヤのトレッド部に埋込み且つ抜け止めとなる部分であって、 フランジ状又は塊体状に膨出形成し、その内部に突起部３の縦穴４と連通させて 同径又はそれより大径に詰め物穴５を開穿せしめる。この埋設基部２はタイヤト レッド部ａに設けた取付孔ｂに埋設して孔内面に密着嵌合せしめる。

【００１０】 突起部３は前記のゴム配合物によって氷点下で硬化し常温で軟化してスパイク 効果を発揮するピンとなる部分であり、埋設基部２の中心部から先端に向かって 暫次小径となるようにテーパー状に形成し、この突起部３の中心部に縦穴４を設 ける。ピン本体１を前記タイヤトレッド部ａに埋設した場合に突起部３と取付孔 ｂの孔縁との間ｃに空隙が形成され、先端がトレッド面と面一状になる長さに設 ける。

【００１１】 縦穴４及び詰め物穴５は本体１の突起部３の中心部及び埋設基部２の内部にそ れぞれ連通状に開穿し、詰め物穴５を縦穴４より大径に又はほぼ同径に設け、該 詰め物穴５内又は詰め物穴５と縦穴４内に抜け防止材６を詰め込み埋設基部２を 変形膨大又は硬くさせる。

【００１２】 抜け防止材６は合成ゴム、合成樹脂、繊維材料などのある程度の固さを有する 材料からなるもので舗装された道路を損傷する恐れのない物質からなり、詰め物 穴５や縦穴４とほぼ同じ大きさ又はやや大きく形成したものであり、詰め物穴５ に詰め込んで（充填して）埋設基部２を変形膨大又は硬くさせて強靭にし、取付 孔ｂに埋設した場合に該基部が取付孔ｂに密着して抜け止めとなるようにすると 共に縦穴４に詰め込んだ（充填した）場合には接地部（路面）の温度を感知して 突起部３のゴムに伝達し該部分が素早く固く或いは柔らかくなるようにするもの である。

【００１３】 この抜け防止材６は詰め物穴５には必ず詰め込む（充填する）が、縦穴４には 詰め込まないこともあり、また、縦穴４に詰め込む場合でも先端まで或いは途中 部分まで等任意に選択して充填し得るものであるが、前記したように路面温度を 感知して突起部３を硬軟に仕分けるためには先端まで或いは先端近くまで詰め込 んだ方がよく、その場合の抜け防止材６としては炭素繊維体や熱伝導率の良い物 質が好ましいものである。したがって本考案において炭素繊維体の場合は詰め物 穴５及び縦穴４にも詰め込むと折損防止材ともなる。

【００１４】 上記のように構成したゴム製のスパイクピンをタイヤトレッド部ａに設けた取 付孔ｂに埋設し、埋設基部２を密着状に嵌合すると共に突起部３と孔縁との間に 空隙ｃを設け、突起部３の先端をトレッド部ａ面と面一状に形成せしめる。この スパイクピンを埋設する場合、詰め物穴５に抜け防止材６を詰め込でから取付孔 ｂに埋設すること若しくは取付孔ｂに埋設した後に詰め物穴５に抜け防止材６を 詰め込むことが可能であり、又、取付孔ｂの形状も埋設基部２が嵌合する嵌合部 ｂ”を形成してある場合と嵌合部ｂ”が無いストレートの場合とのいずれでも任 意に選択することが出来るものである。

【００１５】 嵌合部ｂ”が形成されている場合は埋設基部２が嵌合部ｂ”に嵌合してピンの 抜け防止となるが、嵌合部ｂ”が無いストレートの取付孔ｂの場合でも該孔径が 埋設基部２よりやや小径の場合及び抜け防止材６を詰め込んで無いピンを取付孔 ｂに埋設した後に縦穴４及び詰め物穴５よりも大径（大きい）の抜け防止材６を 詰め物穴５に詰め込むことにより、埋設基部２が膨大し硬くなって取付孔ｂの内 面を膨らますように密着するため抜け防止となる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有するゴム配合物で埋設基部と 突起部とを有するピン本体を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部を テーパー状にし、埋設基部と突起部の中心部に詰め物穴と縦穴とを連通状に設け 、埋設基部の詰め物穴を突起部の縦穴より大径又はほぼ同径とし、埋設基部の詰 め物穴に抜け防止材を詰め込んだことにより、このゴム製スパイクピンをタイヤ トレッド部に設けた取付孔に埋設した場合、埋設基部が取付孔に密着状態で嵌合 され抜け（脱落）防止となると共に詰め物穴に抜け防止材を詰め込んでいないピ ン本体を取付孔に埋設した場合には埋設した後に防止材をその詰め物穴に詰め込 むことにより、埋設基部が膨らみ取付孔をも膨出状にさせて密着し抜け防止とな る。そして突起部が柔軟性を有するものであるから摩耗が少ないにもかかわらず スパイク効果を有するものである。また、炭素繊維体を詰め物穴及び縦穴に詰め 込むことにより、接地部（路面）の温度を感知して突起部のゴムが素早く固く或 いは柔らかくなりスパイク効果を大ならしめるものである。

【００１７】 又、上記ゴム製スパイクピンをタイヤトレッド部に設けた取付孔に埋設し、ピ ン本体の埋設基部を密着状に嵌合すると共に突起部と孔縁との間に空隙を設け、 突起部の先端をトレッド部の面と面一状に形成したから、突起部のテーパー状に より急スタート、急ブレーキ、コーナーリング等によって前後左右から受ける無 理な抵抗を防止（回帰）し得て路面を傷めること無く空隙に氷雪が付着するとス パイク機能を発揮し、氷雪が脱落すると温度感知により通常通りのタイヤとして 機能を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案ゴム製スパイクピンの実施の一例を示
す断面図。

【図２】 他の実施例を示す断面図。

【図３】 ゴム製スパイクピンをタイヤトレッド部に取
付けた状態図

【図４】 タイヤトレッド部に取付けた状態の分離状態
図

【図５】 他の実施例のゴム製スパイクピンを示す断面
図。

【図６】 同実施例のスパイクピンをタイヤトレッド部
に取付ける前の状態を示す分離状態図

【符号の説明】

１：ピン本体、２：埋設基部、３：突起部、４縦穴、
５：詰め物穴、６：抜け防止材、ａ：タイヤトレッド
部、ｂ：取付孔、ｂ”：嵌合部、ｃ：空隙

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有
   するゴム配合物で埋設基部と突起部とを有するピン本体
   を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部をテ
   ーパー状にし、埋設基部と突起部の中心部に詰め物穴と
   縦穴とを連通状に設けて埋設基部の詰め物穴を突起部の
   縦穴より大径とし、埋設基部の詰め物穴に抜け防止材を
   詰め込んだことを特徴とするゴム製スパイクピン
2. 【請求項２】 氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有
   するゴム配合物で埋設基部と突起部とを有するピン本体
   を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部をテ
   ーパー状にし、埋設基部と突起部の中心部に詰め物穴と
   縦穴とを連通状に設けて埋設基部の詰め物穴を突起部の
   縦穴より大径とし、詰め物穴と縦穴とに炭素繊維体を詰
   め込んだことを特徴とするゴム製スパイクピン
3. 【請求項３】 請求項１に記載のゴム製スパイクピンを
   タイヤトレッド部に設けた取付孔に埋設し、ピン本体の
   埋設基部を密着状に嵌合すると共に突起部と孔縁との間
   に空隙を設け、突起部の先端をトレッド部の面と面一状
   に形成した車両用タイヤ
4. 【請求項４】 請求項２に記載のゴム製スパイクピンを
   タイヤトレッド部に設けた取付孔に埋設し、ピン本体の
   埋設基部を密着状に嵌合すると共に突起部と孔縁との間
   に空隙を設け、突起部の先端をトレッド部の面と面一状
   に形成した車両用タイヤ
5. 【請求項５】 氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有
   するゴム配合物で埋設基部と突起部とを有するピン本体
   を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部をテ
   ーパー状にし、埋設基部と突起部の中心部に詰め物穴と
   縦穴とをほぼ同径で連通状に設け、タイヤトレッド部に
   設けた取付孔に前記ピン本体を埋設して埋設基部の詰め
   物穴に抜け防止材を詰め込んで埋設基部が取付孔に密着
   嵌合するようにしたことを特徴とするゴム製スパイクピ
   ン
6. 【請求項６】 氷点下で硬化し常温で軟化する性質を有
   するゴム配合物で埋設基部と突起部とを有するピン本体
   を形成し、該埋設基部を膨出状にすると共に突起部をテ
   ーパー状にし、埋設基部と突起部の中心部に詰め物穴と
   縦穴とをほぼ同径で連通状に設け、このピン本体を、タ
   イヤトレッド部に設けられ且つ埋設基部と同径又はやや
   小径のストレートな取付孔に埋設し、突起部と孔縁との
   間に空隙を設け、突起部の先端をトレッド部の面と面一
   状に形成し、前記埋設基部の詰め物穴に抜け防止材を詰
   め込み、埋設基部を膨出硬化させて該取付孔に密着嵌合
   せしめてなることを特徴とする車両用タイヤ