JP3013527B2 - 多層塗工紙の製造方法 - Google Patents

多層塗工紙の製造方法

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JP3013527B2 JP3205216A JP20521691A JP3013527B2 JP 3013527 B2 JP3013527 B2 JP 3013527B2 JP 3205216 A JP3205216 A JP 3205216A JP 20521691 A JP20521691 A JP 20521691A JP 3013527 B2 JP3013527 B2 JP 3013527B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層塗工紙の製造方法
に関し、特にブレード塗工によるストリークやスクラッ
チ等の条跡トラブルが発生しない多層塗工紙の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷物の多様化や情報記録用紙
(感圧複写紙、感熱記録紙、静電記録紙等)の利便性に
伴い、印刷用塗工紙や情報記録用紙は印刷物或いは記録
媒体として、より一層の高品質化、高級化が要請されて
いる。一方、これらの用紙を製造するメーカーにおいて
は、優れた品質を有する製品をその用途、目的に応じて
操業性や経済性等を勘案しながら効率良く、且つ収益性
を考慮した製造手段の選択が不可欠となっている。
【0003】一般に、顔料と接着剤を主成分とする塗被
液を原紙に塗工し、乾燥して仕上げる塗被紙の製造方法
においては、塗工装置としてサイズプレスコーター、バ
ーコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、
ロッドブレードコーター、ドクターブレードコーター等
が使用されており、これらの塗工装置は最終製品の品質
設計や、その製品の使用目的や用途に応じて単独、或い
は同種のコーターを複数台並べたり、異種のコーターを
適宜組合わせて使用され、1度塗り、或いは多層塗工に
利用されている。
【0004】ところで、印刷用塗被紙の製造の場合に
は、これらの塗工装置(以後、コーターと称する)の中
でも、50〜70重量%といった高固形分濃度の塗被液を使
用するブレード塗工方式は塗被液層の乾燥が速いので、
乾燥に要する設備、エネルギー経費を節減でき、高速塗
工が可能であるのみならず、塗被液層が原紙(下塗り塗
被層)の凹凸面に沿って移動する以前に固化するので、
高平滑性を有する塗被層面を形成させることができ、特
に印刷用塗被紙を製造する場合の主要なコーターとなっ
ている。
【0005】一方、ブレード塗工は上述したように、高
速度で、高平滑な塗被層面が得られる反面、塗被液中に
混在する微小な異物や塗被液の塊等に起因して塗被層面
にストリークやスクラッチと呼ばれる条跡トラブルを誘
発させ易く、ブレード塗工の抱える難点である。これら
のストリークやスクラッチは操業上、或いは製品品質面
に大きな悪影響を及ぼすものであり、特に高級印刷用塗
被紙の製造に際し、しばしば用いられる多層ブレード塗
工時に条跡トラブルが発生し易く、改善が急がれる重要
な課題となっている。
【0006】従来、ブレード塗工に付随する条跡トラブ
ルを改善する方法として、幾つかの提案がなされてい
る。例えば特開平3−59195 においては、塗被液の保水
性に着目し、塗被液が紙匹に転移された後、ブレードで
掻き取り、レベリング(平準化)される迄の時間に塗被
液中の水分が紙匹に吸収され、塗被層液の固形分濃度が
高くなることによる高粘度化を防止してストリークやス
クラッチの発生を抑制することが提案されているが、微
少な金属、鉱物或いはプラスチック等の異物が混在して
いる塗被液に対しては条跡トラブルの防止効果を期待で
きない。
【0007】また、特開平2−234998においては、塗工
紙の良好な平滑性と光沢を得るために、基紙の片面当た
り1〜8g/m2 の下塗り塗被層を設けた後、平滑化処
理して下塗り塗被層のスムスーター(東英電子工業社
製)平滑度測定値を100 〜 500mmHgに規定し、その
下塗り塗被層上にフラデッドニップブレードコーターで
上塗り塗工層を設けることが開示されている。
【0008】抄紙機で抄紙された凹凸の大きい、平滑度
の低い原紙に直接ブレード塗工するよりも、原紙を一旦
マシンキャレンダーで平滑化処理したり、原紙に予め予
備塗工してキャレンダー処理すると、上塗り塗被層は下
層が平滑なだけ、より平滑性に富んだ塗被層として仕上
がることは周知であり、従来より広く実施されている方
法である。ストリーク発生のメカニズムは塗被液に混在
する細かい異物がブレードと紙匹で形成される楔状ニッ
プに食い込むことで生じる。
【0009】なお、特開平2−234998にはスムスーター
平滑度値で下塗り塗被層を100 mmHg以下とした後、
その上にブレード塗工をするとストリークの発生を招く
ので好ましくないことが記載されている。スムースター
平滑度測定装置は底辺直径が約53mmの円筒底面に巾約
500μmのリング状接触面を複数本備え、リング間より
真空度760 mmHgで吸入するアタッチメント(測定ヘ
ッド)を被測定物面に押しつけて、その真空度の低下度
合いで平滑度とする測定方法である。従って、測定する
紙面の凹凸の大きさや状態によっては、平滑度値が微妙
に変化し、必ずしも忠実な平滑性を示さないこともあ
り、スムースター平滑度値が100 mmHg以下の場合で
もストリークが発生しないことも有り得る。換言する
と、スムスーター平滑度値でストリーク発生の有無を規
定することには再現性の点でやや難点を有するものであ
る。
【0010】ところで、印刷用塗工紙の場合、高級印刷
用塗被紙になる程、塗被量を多くする傾向にあり、また
その塗工方法もブレード塗工が主流を占め、高固形分濃
度の塗被液を用いて高速度塗工が可能となるような仕様
であり、且つ塗被層面が極めて平滑に仕上り易い。従っ
て、例えばブレードコーターだけによる多層塗工の場合
には、ブレードコーターで形成された下塗り層に格段の
平滑化処理(キャレンダー掛け等)を施さなくとも、平
坦化された塗被層面となり易いために、ストリークが多
発しやすく、未だに満足すべきストリーク解消策が見出
されていないのが実状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き実状から、
本発明者等は少なくともブレード塗工層を含む多層塗工
紙の製造方法において、ストリーク等の条跡トラブルの
発生しない塗工方法について鋭意、研究を行った結果、
ブレード塗工前の下塗り塗被層表面を規定される範囲で
粗面化した後、ブレード塗工を行うと、条跡トラブルを
誘発することなく、高品質の多層塗工紙が効率よく得ら
れる方法を見出したのである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、下塗り塗被層
を設けた支持体上に、少なくとも一層以上の上塗り塗被
層を設けてなる多層塗工紙の製造方法において、該上塗
り塗被層の一層以上がブレード塗工によって形成せしめ
られ、且つブレード塗工を実施する前の塗被層表面を硬
質粗面化ロールで表面処理して塗被層表面をJIS B0651
に規定される表面粗さ(Rmax )で8〜30μmとしたこ
とを特徴とする多層塗工紙の製造方法である。
【0013】
【作用】本発明は、ブレード塗工法を採用する塗被紙全
般に適用されるものであるが、特にブレード塗工層を少
なくとも1層以上設けた高級印刷用塗被紙(重塗被量か
らなる)の製造の場合に、本発明が所望とする効果が極
めて顕著に発揮されるので、以下高級印刷用塗被紙に適
用した場合について詳述することにする。
【0014】一般に、印刷用塗被紙の等級ランク付けは
主として、紙面の光沢度と平滑度の値で決められる。こ
れらの値を高めるには、従来その塗被量を多くすること
によって達成される。例えば印刷後の光沢や平滑性を強
く要望されないチラシ等に多く使用されている、所謂微
塗工紙は塗被量が乾燥重量で片面当たり5g/m2 程度
であり、中程度にランクされる塗工紙(A2 グレード)
で10〜20g/m2 、高級な美術印刷物やカタログ類に用
いられるアート紙(A1 グレード)では25〜40g/m2
を各種コーターを用いて、1層乃至は2〜4層にわけて
塗工される。
【0015】できるだけ平滑な塗被面を得るには、高濃
度塗料をブレードコーターで数回に分けて複層の塗工を
することが望ましい。しかしながら、ブレードコーター
で複層の塗工をする場合、先にブレードコーターで塗工
した塗被層面が平滑に仕上がって仕舞うために、その上
に続けてブレードコーターで塗工する際、塗被液中の微
細な異物が紙匹上に転移し、既にブレード塗工で設けら
れた平滑な塗被面とブレード先端とで形成されるニップ
に食い込み、新たに形成される塗被層面にストリークを
発生させる。このストリークの発生はブレード塗工する
紙面の凹凸に極めて左右され易い。
【0016】因みに、適当なスクリーング処理を施した
塗被紙用塗料を原紙に直接ブレード塗工する場合は、ス
トリークの発生が極めて少ない。原紙に1度ブレード塗
工して設けた塗被層面上に2度目のブレード塗工をする
とストリークの発生が有り、更にその上に3度目のブレ
ード塗工を実施するとストリークが多発し易い。
【0017】他方、原紙にエアーナイフで塗工した塗被
層面上にブレード塗工を実施しても、発生するストリー
クは軽微であるが、このエアーナイフで塗工した塗被面
を通常の表面平坦な金属ロールと弾性ロールで構成する
ソフトキャレンダーで表面処理して表面粗さ(Rmax )
を3〜4μm迄平滑化した塗被層面にブレード塗工を行
うと、ストリークが多発し易い。
【0018】本発明は、ブレード塗工によって平滑化さ
れた塗被層面を硬質粗面化ロールによって処理し、その
塗被層表面の表面粗さRmax 値を8〜30μmとなるよう
に粗面化することにより、その上にブレード塗工をして
もストリークやスクラッチ等の条跡トラブルが発生しな
いことを特徴とする塗工紙の製造方法である。この場
合、塗被液中に混在する異物の大きさと塗被層表面の粗
さ及び塗工時の塗被液層の厚さとの間に密接な関係があ
る。
【0019】即ち、塗被液中の異物の大きさが 250μm
(篩網の網目の開度60メッシュ相当)以上では操業時断
紙を伴うような重大欠陥となることもある。篩網として
市販されているものの内、最も網目の開度の狭い 325〜
400 メッシュ(目開き44〜37μm)でスクリーン処理す
ると発生するストリークは軽減されるが、塗被液の濾過
性能が極端に低下し、その難点を回避するには多大な設
備が必要となり、実用的ではない。従って、設備、操業
面より経済性を勘案して一般的には篩網 200メッシュ
(目開き74μm)程度のスクリーンが広く用いられてい
る。
【0020】上記のことより、200 メッシュ篩網処理
(スクリーング)を行った塗被液を用いて通常のブレー
ドコーターの操業を行う場合、最大74μm以下の異物の
混在を考慮する必要がある。塗工時、塗被液層の厚さに
ついては、異物の大きさよりも塗被液層の厚さが大きい
と理論上ストリークは発生せず、反対に塗被液層の厚さ
が異物より小さいとストリークを生ずることになる。例
えば濃度58重量%、比重1.5 の塗被液をブレードコータ
ーで乾燥後の塗被量が22g/m2 となるように塗工した
場合、塗被液層の厚さは約25μm、また塗被量が15g/
2 の場合は約17μmであって、それぞれの厚さより大
きい異物が塗被液中に混在するとストリークが発生する
ことになる。
【0021】しかしながら、未塗工の紙面、即ち原紙
(表面粗さRmax =25〜35μm)や原紙にエアーナイフ
コーターで1度塗りした下塗り塗被層面(表面粗さRma
x =約15μm)に200 メッシュスクリーン(目開き74μ
m)処理した塗被液を用いて、ブレード塗工を行った場
合にはストリークトラブルは殆ど発生しない。このこと
は、異物の大きさが塗被液層の厚さ+塗工紙面Rmax よ
りも大きい場合でも、ブレード塗工前の紙面に或る程度
の表面粗さを付与してやると、ストリークの発生が抑制
されることを物語っている。
【0022】上記より、本発明者等は塗被層表面の粗さ
に着目し、例えばブレード塗工だけで2度塗りして、そ
の第1層目の塗被面の表面粗さRmax が5〜7μmとい
った平坦な塗被層面上に、更にブレード塗工するとスト
リークが多発して製品化が困難であるが、予めその平坦
な塗被面を硬質粗面化ロールで処理して、その塗被面の
表面粗さRmax を8μm以上となるように粗面化した
後、その上にブレード塗工するとストリークの発生が顕
著に抑制されることを見出し、遂に本発明を完成させた
のである。
【0023】即ち、ストリーク発生を防止するために塗
被層面の粗面化程度を大きくする方が望ましいが、粗面
化度合いを大きくし過ぎると、最終的にブレード塗工し
た仕上がり面が、その後にスーパーキャレンダー等の平
滑化処理を行っても、それ迄に粗面化されてできた大き
な凹凸の影響を受け高平滑性のある塗被面を得るのが困
難となり、結果として、オフセット印刷やグラビア印刷
に際し、インキ転移不良や網点再現性の劣る、所謂印刷
適性不良な製品しか得られないことが判った。
【0024】本発明者等は、更に、この塗被層面の粗面
化程度について、鋭意検討、研究を重ねた結果、特に最
終にブレード塗工をされる前の塗被層面の表面粗さRma
x を8〜30μm、好ましくは12〜25μmに特定される表
面粗さに仕上げて、その上に最終のブレード塗工で仕上
げの塗被層を設けるとストリークやスクラッチの発生が
殆ど無く、且つ白紙外観でも表面の凹凸が認知されず、
極めて白紙外観及び印刷仕上りの良好な塗被紙が得られ
ることを見出したのである。
【0025】上述の如く、塗被液層厚さと塗工紙面Rma
x を加算した値より大きい異物を含んだ塗被液をブレー
ド塗工してもストリークトラブルが発生しない理由は、
必ずしも明らかではないが、異物が粗面化ロールによっ
て形成された塗被層表面の凹部に食い込み易く、その大
きさの全体もしくは数10%がくぼみに埋没してしまい、
結果として塗被層の厚みより小さい異物となり、塗工時
に紙匹と一緒に楔状ニップを通過していくために連続し
て長いストリークやスクラッチが発生するのを抑制して
いるものと推定される。
【0026】なお、塗工は片面のみならず、両面塗工も
可能であり、さらに片面当たり2層塗工は勿論、3層塗
工及びそれ以上の多層塗工も当然可能である。塗工に使
用するコーター及びその設置場所についても特に限定す
るものではなく、例えばコンビブレードコーター、フラ
デッドニップコーター、トレーリングブレードコータ
ー、ビルブレードコーター等、適宜使用することが可能
である。この場合、同種のコーター或いは異種のコータ
ーを適宜組合わせて用いても良い。また、コーターは抄
紙機上に設けられた、所謂オンマシンコーター方式、抄
紙機とは別のオフマシンコーター方式のいずれでも良
く、勿論両者を組合わせた形式での仕様でも可能であ
る。用いる塗被液の組成も同一塗料、或いは異種の塗料
を適宜その目的に応じて使用することが可能である。
【0027】塗工時の塗被液の固形分濃度、粘度等につ
いても特定されるものではないが、条跡トラブルの原因
となる異物除去のために、目開き74μm(スクリーン網
200メッシュ相当)程度のスクリーン掛けした塗被液を
用いることが望ましい。本発明では、1回当たりのブレ
ード塗工で塗工する塗被量を可能な限り多量の塗被量と
することが望ましい。因みに、少量であると、例えば74
μm目開きのスクリーンを通過させた塗液を使用した場
合、それ以下の細かい金属異物等の混在を防ぐことが出
来ない。そのために、少量の塗被量をブレード塗工する
場合には、その分ストリークやスクラッチ等の条跡トラ
ブルが発生し易くなる。従って、本発明では、出来れ
ば、ブレード塗工での塗被量の最低量を乾燥重量で15g
/m2 程度にすることが望ましい。
【0028】本発明の方法において、用いられる硬質粗
面化ロールのロールの材質や粗面化方法については特に
限定されるものではなく、一般に当業界で広く使用され
る金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等の材質で
構成された硬質ロールの表面をサンドブラスト法、腐食
法、プラズマ法等によって加工し、凹凸のパターンを設
けたものを適宜用いることができる。また、硬質ロール
の表面粗さは塗被層表面をRmax 値で8〜30μm程度に
粗面化処理が可能であれば、特に限定するものではない
が、通常は8〜60μm程度の粗面化ロールが用いられ
る。
【0029】粗面化ロールの対向ロールとして使用され
る弾性ロールの材質や硬度についても、特に限定される
ものではないが、例えば天然ゴム、合成ゴム、各種プラ
スチック樹脂、コットン、ペーパー、ウール、テトロ
ン、ナイロン、或いはこれらの混合物等で形成された弾
性体で、ショアーD硬度で80〜95°のものが例示され
る。なお、粗面化ロールの使用形式はスーパーキャレン
ダー、ソフトコンパクトキャレンダー、エンボスマシン
等のいずれの形式を用いても良い。また、設置場所は抄
紙機上、塗工機上或いはこれらと離して単独であっても
良く、加圧ニップ条件や線圧等は塗被量や塗被層の含有
水分等に応じて適宜調節される。
【0030】次に、本発明で使用される塗被液は、通常
塗工紙に用いられる塗被液であれば良く、構成成分とな
る顔料、接着剤、その他の助剤については特に限定され
るものではない。因みに、塗被液を構成する顔料として
は、例えばクレー、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、タルク、酸化亜鉛、二酸化チタン、サチ
ンホワイト、プラスチックピグメント、バインダーピグ
メント等の通常の塗被紙用顔料に一種又は二種以上が適
宜選択して使用される。
【0031】さらに、接着剤としては、例えばカゼイ
ン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、スチレン−ブタ
ジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの
重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、
エチレン−酢酸ビニル重合体等のビニル系重合体ラテッ
クス、酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、エーテ
ル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の通
常の塗被紙用接着剤の一種又は二種以上が適宜選択して
使用される。
【0032】なお、接着剤は顔料100 重量部に対し、4
〜50重量部、好ましくは10〜30重量部程度の範囲で調節
される。また、塗被液中には必要に応じて消泡剤、着色
剤、離型剤、流動変性剤、防腐剤等の各種助剤が適宜配
合される。
【0033】本発明の方法で使用される原紙としては、
一般に晒や未晒しのクラフトパルプ又は未晒しの高歩留
パルプ、メカニカルパルプ、及びこれらを使用した紙の
再生紙を用いて酸性又は中性で抄紙された上質塗工用原
紙や中質塗工用原紙が用いられるが、勿論これらに限定
されるものではなく、合成紙やプラスチックフィルム、
不織布を原紙代わりに用いることも可能である。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論それらに限定されるものではない。
なお、特に断らない限り、例中の部及び%は、それぞれ
重量部及び重量%を示す。
【0035】実施例1〜実施例3
【0036】〔原紙の作成〕NBKP20部及びLBKP
80部からなる叩解されたパルプ分散液にロジンサイズ
0.3部、填料として抄紙用タルク15部を添加し、硫酸バ
ンドでpH4.5 に調整して紙料を調成し、長網抄紙機を
用いて原紙を抄造し、この原紙の両面にオンマシンサイ
ズプレス装置により酸化澱粉液を乾燥重量で 1.5g/m
2 となるようにサイズプレス塗被を行い、乾燥後米坪64
g/m2 の塗被加工紙用原紙を得た。
【0037】〔塗被液A、Bの調製〕顔料としてカオリ
ン65部、平均粒子径が 1.8μmの炭酸カルシウム25部及
びサチンホワイト10部、さらに、接着剤として25%澱粉
水溶液7部(固形分)及びスチレン−ブタジエン共重合
体ラテックス10部(固形分)よりなる塗料組成物をコー
レス分散機を用いて、攪拌、混合し固形分濃度が57%の
塗被液を調製した後、その一部を目開き 0.074mm(20
0 メッシュ篩)の振動篩に通して異物をスク−リング処
理して塗被液Aを得た。また、残りの塗被液を目開き0.
25mm(60メッシュ篩)の振動篩に通して粗大異物をス
ク−リング処理して塗被液Bを得た。
【0038】〔塗被液C、Dの調製〕顔料としてカオリ
ン50部と平均粒子径が 2.5μmの炭酸カルシウム50部、
さらに、接着剤として25%澱粉水溶液6部(固形分)及
びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス7部(固形
分)よりなる塗料組成物をコーレス分散機を用いて、攪
拌、混合し固形分濃度が60%の塗被液を調製した後、そ
の一部を目開き 0.074mm(200 メッシュ篩)の振動篩
に通して異物をスク−リング処理して塗被液Cを得た。
また、残りの塗被液を目開き0.25mm(60メッシュ篩)
の振動篩に通して粗大異物をスク−リング処理して塗被
液Dを得た。
【0039】〔コーター〕コーターとして、片面ブレー
ドコーターヘッド4基を装備し、第1と第3ブレードヘ
ッド(コーターの前部より、各コーターヘッドユニット
について、それぞれ第1、第2、第3及び第4ブレード
ヘッドと呼称する)の前方に図1に示す粗面化装置(粗
面化ロール/サンドブラスト法による表面粗さRmax 8
〜60μmの金属性ロール、対向弾性ロール/コットン、
テトロン混合繊維、圧搾巻きしめ=ショアーD硬度80
度)を備えたオフマシンコーターを用いた。
【0040】〔塗工方法〕上記のオフマシンコーター
(図示せず)のアンワインダーに、前述の塗工用原紙
(64g/m2 )を配置し、コーター操業速度1200m/分
で走行させ、下記の方法で塗工を行った。即ち、塗被液
Cを第1ブレードヘッドを用いて、乾燥重量で15g/m
2 となるように塗工後、熱風乾燥し、次いで第2ブレー
ドヘッドにより、反対面(非塗被面)に、乾燥重量で15
g/m2 となるように塗工後、熱風乾燥し、表裏各1層
の塗被層面を有する塗被紙を得た。
【0041】次ぎに、第3ブレードヘッドの前部に配置
されている第2粗面化装置(粗面化ロール=サンドブラ
スト法による表面粗さRmax 47μmの金属性ロールを第
1胴、Rmax 38μmの金属性ロールを第2胴としてそれ
ぞれ配置した)で、塗被層の各面を、線圧を変えて表1
に示すような塗被層面の粗面化(Rmax )状態のものを
作成した(実施例1〜実施例3)。さらに、続けて第
3、第4ブレードヘッドにより、塗被液Cを片面当たり
乾燥重量で18g/m2 となるようにそれぞれの面に塗
工、乾燥して、片面それぞれ2層からなる両面塗被紙を
一旦巻取った。
【0042】上記の片面2度塗りの塗工紙を再度同じコ
ーターのアンワインダーに取付け、以下の方法で続けて
ブレード塗工を行い、合計片面当たりそれぞれ4層から
なる両面塗被紙を得た。即ち、上記の片面が2度塗りさ
れた両面塗被紙をオフマシンコーターのアンワインダー
に再度取付け、1000m/分の操業速度で走行させなが
ら、第1ブレードヘッドの前方に設置されている第1粗
面化装置(粗面化ロール=サンドブラスト法による表面
粗さRmax 29μmの金属性ロールを第1胴、Rmax 22μ
mの金属性ロールを第2胴としてそれぞれ配置した)
で、表1に示すように線圧を変えて2度塗り目の塗被層
各面を粗面化処理し、続いて塗被液Aを第1ブレードヘ
ッド及び第2ブレードヘッドにより、それぞれ表裏の塗
被層面に乾燥重量で20g/m2 となるようにブレード塗
工し、熱風乾燥した。
【0043】さらに、第3ブレードヘッド前に配置され
ている第2粗面化装置(粗面化ロール=サンドブラスト
法による表面粗さRmax 22μmの金属性ロールを第1
胴、Rmax 18μmの金属性ロールを第2胴としたもの)
で、表1に示すように線圧を変えて、第3層目の塗被層
表面を粗面化し、続いて塗被液Aを第3ブレードヘッド
及び第4ブレードヘッドを用いて、それぞれ表裏面に乾
燥重量で20g/m2 となるようにブレード塗工し、熱風
乾燥した。このようにして、片面当たり4層からなる両
面印刷用塗被紙を得た。このようにして得た多層塗工紙
を通常のスーパーキャレンダーに通して平滑処理を行
い、印刷用塗被紙を得た。
【0044】実施例4実施例1において、第2層を塗工
するに当たり、粗面化装置を使用せずに、多層ブレード
塗工した以外は、実施例1と同様にして片面当たり4層
からなる両面印刷用塗被紙を得た。
【0045】実施例5 実施例1において、第2層及び第3層を塗工するに当た
り、粗面化装置を使用せず、第4層目を塗工する前に粗
面化装置を使用した以外は、実施例1と同様にして片面
当たり4層からなる両面印刷用塗被紙を得た。
【0046】実施例6 実施例1と同じ原紙及びコーターを用いて、塗工速度1,
000 m/分で走行しながら、塗被液Aを第1及び第2ブ
レードヘッドを用いて、乾燥重量で片面25g/m2 づつ
塗工、乾燥して両面塗工し、次いで第2粗面化装置(表
面粗さが22μmと18μmとを第1胴及び第2胴とする金
属粗面化ロールを使用したもの)に通紙し、塗被層面を
粗面化し、さらに第3及び第4ブレードヘッドを用いて
第1塗被層の各面に塗被液Aを、それぞれ25g/m2
つ塗工、乾燥して、片面当たり2層からなる両面塗被紙
を得た。このようにして得られた塗被紙を実施例1と同
様にしてスーパーキャレンダーに通して平滑処理を行
い、両面印刷用塗被紙を得た。
【0047】実施例7 実施例1において、各塗被量を第1層目8g/m2 、第
2層目8g/m2 、第3層目16g/m2 及び第4層目16
g/m2 となるように塗工した以外は、実施例1と同様
にして片面当たり4層からなる両面印刷用塗被紙を得
た。
【0048】実施例8 実施例1において、各塗被量を第1層目16g/m2 、第
2層目16g/m2 、第3層目8g/m2 及び第4層目8
g/m2 となるように塗工した以外は、実施例1と同様
にして片面当たり4層からなる両面印刷用塗被紙を得
た。
【0049】実施例9 実施例1において、塗被液Dを第1ブレードヘッドと第
2ブレードヘッドに、また、塗被液Bを第3ブレードヘ
ッドと第4ブレードヘッドに用いた以外は、実施例1と
同様にして片面当たり4層からなる両面印刷用塗被紙を
得た。
【0050】実施例10 実施例6において、塗被液Aを塗被液Bに変えた以外
は、実施例6と同様にして片面当たり4層からなる両面
印刷用塗被紙を得た。
【0051】比較例1 実施例1において、第2層、第3層、及び第4層を塗工
する前に粗面化装置を使用せずに、片面当たり4層塗工
した以外は、実施例1と同様にして片面当たり4層から
なる両面塗被紙を得た。
【0052】比較例2 実施例6において、第2層を塗工するに当たり、第2粗
面化装置を使用せずに、片面当たり2層塗工した以外
は、実施例6と同様にして両面印刷用塗被紙を得た。
【0053】かくして得られた多層塗工紙について、各
段階における表面粗さ、ストリーク評価及び得られた塗
被紙の品質結果を表1に示した。なお、品質評価は下記
の方法に準じて行った。
【0054】〔表面粗さRmax 〕万能表面形状測定器
(測定器:形式/SE−3C;(株)小坂研究所製)を用
いて測定した。
【0055】〔ストリーク〕試料巾 160cm、長さ1000
mに亘り、発生したストリークを目視観察し、評価し
た。 ◎:ストリークを殆ど発見できない。 〇:長さ1cm
以下のストリークが10個以下。 △:長さ1cm〜100
cmまでのストリークが10個以下。 ×:長さ100 cm
以上のストリークが10個以上。
【0056】〔印刷平滑性及びインキ受理性〕ローラン
ドオフセット印刷機を用いて、5000枚/時間の印刷速度
で印刷した印刷物の印刷平滑性及びインキ受理性を目視
判定した。 ◎:非常に優れている。 〇:優れている。 △:やや
劣るが、実用上は問題ない。 ×:極めて劣る(特に、
インキ転移不良箇所が目立つ)
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
の方法で得られたブレード多層塗工紙はストリーク等の
条跡トラブルも殆どなく、且つ得られた多層塗工紙の印
刷適性(印刷効果)も優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の方法で使用した粗面化装置の概
略(線)図である。
【符号の説明】 1・・・金属製第1粗面化ロール 2・・・金属製第2粗面化ロール 3・・・第1粗面化ロールと対向する弾性ロール 4・・・第2粗面化ロールと対向する弾性ロール 5・・・ガイドロール 6・・・ガイドロール 7・・・ガイドロール 8・・・紙匹(塗被紙)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下塗り塗被層を設けた支持体上に、少なく
    とも一層以上の上塗り塗被層を設けてなる多層塗工紙の
    製造方法において、該上塗り塗被層の一層以上がブレー
    ド塗工によって形成せしめられ、且つブレード塗工を実
    施する前の塗被層表面を硬質粗面化ロールで表面処理し
    て塗被層表面をJIS B0651 に規定される表面粗さ(Rma
    x )で8〜30μmとしたことを特徴とする多層塗工紙の
    製造方法。
  2. 【請求項2】下塗り塗被層がブレード塗工で形成されて
    なる請求項1記載の多層塗工紙の製造方法。
  3. 【請求項3】ブレード塗工における片面当たりの塗被量
    を少なくとも15g/m 2 以上とした請求項1記載の多層
    塗工紙の製造方法。
  4. 【請求項4】ブレード塗工に供される塗被液が篩網の目
    開き0.074 mm以下の網目を有するスクリーンで異物除
    去処理された塗被液である請求項1記載の多層塗工紙の
    製造方法。
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