JP3013293B2 - 瓦桟の案内固定具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は屋根瓦を葺き替える
際、或いは新築家屋に屋根瓦を葺く際に、予め施工され
る瓦桟を定間隔に付設するために供せられる瓦桟の案内
固定具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より屋根瓦を葺く際には、桟瓦を引
っ掛けて瓦のずり落ちを防止するために、野地板並びに
棟から軒先に渡して屋根下地を支える垂木に、瓦桟と称
する細長い木の桟を軒先と並行に一定間隔に打ち付け
て、而して多数枚の当該瓦を敷設するものである。

【０００３】斯かる瓦桟は、敷設される屋根瓦の歪や狂
いを是正し、且つ強固に屋根瓦を維持するために、常に
瓦桟を一定間隔に配列し、垂木に正確な打ち付け固定が
要求されるのであるが、在来より実施される瓦桟の敷設
法では、一定幅を有した長尺棒片に一定間隔の切欠部を
設け、該切欠部内に瓦桟を挿通して垂木に瓦桟を固定す
るものであるため、瓦桟の幅員が一定では無く、仮令並
行に配置出来ても瓦桟の位置修正が余儀無くされ、且つ
一本毎に瓦桟を固定するので非常に面倒であるばかり
か、垂木に釘で瓦桟を打ち付ける際には、通常黒色の防
水紙の下面に縦方向に垂木が配設されるため、凡その見
当を付けて釘打ちをせねばならず、釘の打ち間違いが生
じて正確な釘打ちが実施出来ない欠陥を有するものであ
った。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然るに本発明が茲に開
発した瓦桟の案内固定具にあっては、既述在来の欠陥に
鑑みて鋭意研究の結果に提案されたものであって、屋根
瓦を葺き替える際や新築家屋に葺く際に実施される瓦桟
を、一定間隔で一度に多数本を釘打ち固定することが出
来、垂木の中央部分に釘打ちが実施出来て、瓦桟を強固
に固定し得る瓦桟の案内固定具を提供することを目的と
し、また瓦職人に熟練度を要求せずに正確な瓦桟の打ち
付け固定が可能となる瓦桟の案内固定具を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
がために本発明に於ける瓦桟の案内固定具にあっては、
底板２と側壁板３とにより成る断面Ｌ形の長尺フレーム
本体１と、該フレーム本体１上に軸受５で摺動自在に支
承される棒状のスライドシャフト４と、一定間隔を介し
てスライドシャフト４の外周に固定された一組の停止扞
６、６ａ内に亘って、一定間隔に長手方向に切欠された
底板２のスリット溝７に嵌通する移動ツメ８を備えた摺
動扞９を弾性的に付勢する圧縮コイルバネ１０を嵌入し
た弾発移動部材Ａと、各移動ツメ８と対峙して瓦桟を受
け止めるストッパー１１と、側壁板３より延出する突出
片１２を支点として軸承され、その先端をスライドシャ
フト４に突出固定されるロック機構１３に係合する回動
自在なレバー１４とによって構成される瓦桟の案内固定
具を特徴とし、またフレーム本体１の一端に、垂木位置
を選定する棒状片１５を摺動自在に連結固定する瓦桟の
案内固定具を特徴とし、またフレーム本体１の側壁板３
に運搬用の提手１６が形設される瓦桟の案内固定具を夫
々特徴としているものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の瓦桟の案内固定具にあっ
ては、底板２と側壁板３とで形成される断面形状をＬ形
とする長尺フレーム本体１と、前記フレーム本体１上に
軸受５を適数個配設し、該軸受５によって摺動自在に支
承される棒状のスライドシャフト４と、一定の間隔を介
してスライドシャフト４の外周に固定された一組の停止
扞６、６ａ内に亘って、一定間隔に長手方向に切欠され
た底板２のスリット溝７に嵌通する移動ツメ８を有した
摺動扞９を弾性的に付勢する圧縮コイルバネ１０を嵌入
した弾発移動部材Ａと、夫々の移動ツメ８と互いに対峙
して瓦桟を受け止めるストッパー１１と、側壁板３より
延出する突出片１２を支点として軸承され、その先端を
スライドシャフト４に突出固定されるロック機構１３に
係合する回動自在なレバー１４とによって瓦桟の案内固
定具が製出され、以って各ストッパー１１と移動ツメ８
との間に夫々瓦桟を案内した際には、レバー１４の移動
によって弾発移動部材Ａの移動ツメ８がスリット溝７に
沿って、ストッパー１１方向へと移動し、各瓦桟はスト
ッパー１１と移動ツメ８との間へ狭持され、常に一定間
隔に瓦桟が配列されて保持されるものとなり、当該瓦桟
を垂木に釘等を用いて打ち付け固定するのであり、この
際、垂木位置を予め選定する棒状片１５の先端を、相隣
接する垂木中心部へ位置させることで、垂木位置を認識
し得、狂いの無い正確な打ち付け固定が実施出来る作用
を呈する。

【０００７】

【実施例】次いで本発明による瓦桟の案内固定具につい
て、その実施の一例を以下に詳述する。

【０００８】本発明の瓦桟の案内固定具は、図１にはそ
の平面図が、図２にはその正面図が、更に図３にはその
底面図が夫々図示されており、全体として1750mmの長尺
なフレーム本体１であり、該フレーム本体１を形成する
底板２はその幅員を50mm、側壁板３はその幅員を40mmと
なし、断面形状をＬ形とする外観を具備するものであっ
て、鉄或いはアルミニウムその他の金属製部材によって
形成されている。

【０００９】斯かる断面Ｌ形を呈する長尺フレーム本体
１には、その内側面即ち底板２と側壁板３の夫々内側面
に位置する部位に、フレーム本体１と同長若しくはそれ
より稍々長い直径10mmの棒状を呈したスライドシャフト
４が長手方向に沿って摺動自在に配設され、該スライド
シャフト４は底板２上に適数個固定された軸受５によっ
て支承されている。

【００１０】スライドシャフト４の外周には、一定間隔
を介して一組の停止扞６、６ａが固定されており、その
一方の停止扞６のいずれかは、少なくとも前記スライド
シャフト４の軸受５によって一定の停止位置が確保され
ると共に、両停止扞６、６ａ内に亘って配される後述弾
発移動部材Ａの移動位置を規制する役割を演ずるもので
あり、一組の停止扞６、６ａの間隔は105mm程度として
いる。

【００１１】この一組の停止扞６、６ａ内に亘っては、
弾発移動部材Ａが配設されて構成されるのであるが、該
弾発移動部材Ａは、下方に移動ツメ８を連結一体化した
摺動扞９と圧縮コイルバネ１０とをスライドシャフト４
の外周に摺動自在に嵌入して構成され、瓦桟１７の狭持
前には弾発移動部材Ａは他方の停止扞６ａに圧縮コイル
バネ１０によって弾性的に当接されている。

【００１２】摺動扞９の下方に連結一体化された移動ツ
メ８は、長手方向に沿って高さ20mm、幅員15mm、厚身 5
mmとする矩形状の平板を突出させた外観を備え、当該移
動ツメ８はフレーム本体１の底板２に穿設された長手方
向に沿うスリット溝７内に摺動自在に嵌通するものであ
り、瓦桟１７の狭持前にはスリット溝７の下流側に位置
するように構成されており、また前述スリット溝７の長
さは80mm程度としている。尚、移動ツメ８は前記した外
観に特定されず、他の形状のツメを用いることも適宜実
施し得ることは言うまでもない。

【００１３】このフレーム本体１の底板２より突出する
移動ツメ８に対峙して、その移動ツメ８の上流側の底板
２には、長手方向と直交する方向に高さ20mm、幅員40mm
程度のストッパー１１が突設形成され、放射状にレバー
１４の操作を行うことで、ストッパー１１と移動ツメ８
との間に案内された各瓦桟１７は、スライドシャフト４
の摺動に伴いストッパー１１と移動ツメ８との間に弾発
的の狭持されるものとなる。斯かる弾発移動部材Ａとス
トッパー１１はフレーム本体１に一定間隔に、例えば７
個構成されている。

【００１４】側壁板３の中心部位には、平板状の突出片
１２が上方に向って突出固定され、この突出片１２にレ
バー１４の基端寄りの部位をダブリュナットによって放
射状に回動自在に軸承させ、その連結部分で以って支点
を形成している。

【００１５】斯かるレバー１４の基端部分は、スライド
シャフト４に固定された停止扞６より上方に向って突出
固定された平板状のロック機構１３にベアリング１９を
介して係合しており、該ロック機構１３は突出片１２の
支点によってレバー１４が放射状に回動した際に、ロッ
ク機構１３の平板内を連結移動自在となすように切欠さ
れると共に、レバー１４の位置をロック出来るように切
欠構成されている。

【００１６】而して、レバー１４の位置が上流方向に在
る場合には、ストッパー１１と摺動扞９の移動ツメ８と
の間は広く開放された全開状態の位置に配されるが、レ
バー１４の位置を下流方向へ放射状に回動された場合に
は、スライドシャフト４が上流側へ摺動する結果、摺動
扞９の移動ツメ８もそれに伴い上流側へ移行し、これに
よってストッパー１１と移動ツメ８との間は狭く閉鎖さ
れた位置となるが、ストッパー１１と移動ツメ８との間
に配置された瓦桟１７に、移動ツメ８が弾性的に当接さ
れることで、瓦桟１７はストッパー１１と移動ツメ８の
圧縮コイルバネ１０の弾性的に付勢する作用によって狭
持されるものとなり、一定幅以上無理に瓦桟１７へ喰い
込む欠陥が防止出来、また瓦桟１７の幅員が不揃いであ
っても、常に一定の間隔に瓦桟１７を垂木１８へ釘打ち
固定が容易に実施出来るものとなる。

【００１７】またフレーム本体１の一端部位に、防水紙
等で被覆され、その下方に固定された垂木１８の位置を
選定するために、適宜長さの棒状片１５をフレーム本体
１と直交方向に摺動自在に蝶ボルト２０によって連結固
定し、垂木１８の位置決めと釘打ちの作業性向上を図っ
ている。

【００１８】更にフレーム本体１の側壁板３の中央部位
には、本発明の瓦桟の案内固定具を運搬移動させるため
に、適宜形状の提手１６が付設されている。

【００１９】本発明の瓦桟の案内固定具を用いて施工す
る場合は、先ず基本となる瓦桟を固定し、その瓦桟を基
準として本発明の瓦桟の案内固定具を当てがうと共に、
他の瓦桟を夫々ストッパー１１と移動ツメ８との間の固
定部へ案内し、次いでスライドシャフトの移動によって
ストッパー１１と移動ツメ８内の瓦桟１７を弾性的に狭
持して一定間隔に固定せしめ、釘打ち固定をした後、更
スライドシャフト４を元の位置へ復帰させ、30乃至32cm
程度フレーム本体１を移動させて順次垂木へ釘打ちを行
うものである。

【００２０】

【発明の効果】本発明の瓦桟の案内固定具によれば、寸
分の狂い無く横方向に一定間隔で一度に多数本の瓦桟を
垂木に対して正確に釘打ち固定することが出来、湾曲等
の歪のない屋根瓦を正確に敷設し得るものとなり、また
防水紙等によって隠蔽された垂木の中心部分に瓦桟を打
ち付け固定が出来、瓦桟を常に強固に固定することが出
来ると同時に、瓦職人の熟練度が要求されず、経験の浅
い職人であっても、極めて容易に短時間で正確な瓦桟の
打ち付け固定が可能となる作業性に優れた効果を奏する
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】瓦桟の案内固定具の全体平面図である。

【図２】瓦桟の案内固定具の全体正面図である。

【図３】瓦桟の案内固定具の全体底面図である。

【図４】瓦桟の案内固定具のレバー部分の一部切欠平面
見取図である。

【符号の説明】

１ フレーム本体 ２ 底板 ３ 側壁板 ４ スライドシャフト ５ 軸受 ６ 停止扞 ６ａ 停止扞 ７ スリット溝 ８ 移動ツメ ９ 摺動扞 １０ 圧縮コイルバネ １１ ストッパー １２ 突出片 １３ ロック機構 １４ レバー １５ 棒状片 １６ 提手 １７ 瓦桟 １８ 垂木 １９ ベアリング ２０ 蝶ボルト Ａ 弾発移動部材

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底板（２）と側壁板（３）とにより成る
   断面Ｌ形の長尺フレーム本体（１）と、該フレーム本体
   （１）上に軸受（５）で摺動自在に支承される棒状のス
   ライドシャフト（４）と、一定間隔を介してスライドシ
   ャフト（４）の外周に固定された一組の停止扞（６，６
   ａ）内に亘って、一定間隔に長手方向に切欠された底板
   （２）のスリット溝（７）に嵌通する移動ツメ（８）を
   備えた摺動扞（９）を弾性的に付勢する圧縮コイルバネ
   （１０）を嵌入した弾発移動部材（Ａ）と、各移動ツメ
   （８）と対峙して瓦桟を受け止めるストッパー（１１）
   と、側壁板（３）より延出する突出片（１２）を支点と
   して軸承され、その先端をスライドシャフト（４）に突
   出固定されるロック機構（１３）に係合する回動自在な
   レバー（１４）とによって構成される瓦桟の案内固定
   具。
2. 【請求項２】 フレーム本体（１）の一端に、垂木位置
   を選定する棒状片（１５）を摺動自在に連結固定する請
   求項１記載の瓦桟の案内固定具。
3. 【請求項３】 フレーム本体（１）の側壁板（３）に運
   搬用の提手（１６）が形設される請求項１記載の瓦桟の
   案内固定具。