JP3012650B2 - 舶用推進装置用のボール・クラッチ型変速機 - Google Patents

舶用推進装置用のボール・クラッチ型変速機

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JP3012650B2
JP3012650B2 JP63156635A JP15663588A JP3012650B2 JP 3012650 B2 JP3012650 B2 JP 3012650B2 JP 63156635 A JP63156635 A JP 63156635A JP 15663588 A JP15663588 A JP 15663588A JP 3012650 B2 JP3012650 B2 JP 3012650B2
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アウトボード・マーリン・コーポレーション
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、舶用推進装置の変速機に関し、特に舶用推
進装置のボール・クラッチ式変速機に関する。
〔従来の技術〕
舶用推進装置のボール・クラッチ変速機の一例は、米
国特許第4,395,240号に開示されている。また、下記の
米国特許を参照されたい。米国特許番号 発行月日 発明者名 2,772,578 1956年12月 4日 Kling 2,843,237 1958年 4月15日 Carr 2,870,892 1959年 1月27日 Hiner 3,931,783 1976年 1月13日 Croisant 4,223,773 1980年 8月23日 Bankstahl 4,510,816 1985年 4月16日 Linden 4,527,441 1985年 4月 9日 Nakahama 4,570,776 1986年 2月18日 Iwashita 4,579,204 1986年 4月 1日 Iio [発明が解決しようとする課題] 本発明は、舶用推進装置のボール・クラッチ式変速機
において、駆動状態から中立状態への切換操作を円滑、
容易にすることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明は、下部装置に対し回転運動するように支持さ
れたプロペラ軸を含み、前記プロペラ軸は軸方向内孔と
連通する半径方向に延在する開口が貫通した環状壁面を
画成する前記軸方向内孔を有し、前記下部装置および前
記プロペラ軸に対して回転するように該プロペラ軸とほ
ぼ同軸状に前記下部装置に取付けられたベベル・ギアを
含み、該ベベル・ギアは前記プロペラ軸が貫通しかつ前
記開口と軸方向に重なりかつ半径方向内方に延在する面
部を備えた内面を有する軸方向通路を有し、前記開口内
に置かれかつ前記面部と係合するように半径方向外方に
運動自在なボールと、前記軸の前記軸方向内孔に延在し
かつ軸方向に間隔を置いた駆動位置と中立位置との間を
運動自在なアクチュエータとを含み、該アクチュエータ
は前記ボールと選択的に係合して駆動状態および中立状
態を確立するボール係合手段を有し、該ボール係合手段
は前記アクチュエータに設けられた軸方向に延在する溝
を含み、該溝は、前記アクチュエータが前記中立位置に
ある時前記開口と軸方向に整合して前記ボールの少くと
も一部を収容して該ボールが前記面部と係合しないよう
にすることができる深い部分を有し、前記溝は又、前記
アクチュエータが前記駆動位置にある時前記開口と軸方
向に整合して前記ボールと係合し該ボールを前記開口に
対し半径方向外方に強制して該ボールが前記面部と係合
し前記プロペラ軸の前記ベベル・ギアによる回転駆動を
確立することができる浅い部分を有し、前記アクチュエ
ータが前記駆動位置から外れる運動を助けるための手段
として、前記溝の前記浅い部分は前記深い部分へ向って
半径方向内方へ傾斜する緩傾斜部を有し、前記ボールが
前記溝の浅い部分において該緩傾斜部に加える力によ
り、前記アクチュエータが前記中立位置の方へ偏倚され
ることを特徴とする舶用推進装置を提供する。
[発明の効果] 本発明の舶用推進装置は、駆動状態と中立状態との間
を切換えるためのアクチュエータのボール係合手段の溝
において、溝の浅い部分が深い部分へ向って半径方向内
方へ傾斜する緩傾斜部を有し、溝の浅い部分が有する該
緩傾斜部に対するボールの半径方向内向きの力が、駆動
状態の間にアクチュエータに軸方向の成分の力を作用さ
せるので、アクチュエータの駆動位置から中立位置への
切換運動がこの力により補助され、切換操作が円滑、容
易に行われる。
〔実施例〕
本発明を実施した舶用推進装置10が図面に示されてい
る。第1図に示されるように、この舶用推進装置10は、
艇体の船尾梁材12に取付けられた支持組立体を有する。
種々の適当な支持組立体を用いることができるが、望ま
しい実施態様においては、この支持組立体は、船尾梁材
12に固定的に取付けられた船尾梁材ブラケット14と、こ
の船尾梁材ブラケット14上でこれに対し略々水平な傾斜
軸心18の周囲に枢動運動するように支持された旋回ブラ
ケット16とを含む。
舶用推進装置10はまた、前記旋回ブラケット16上でこ
れに対して略々垂直な操舵軸心22の周囲で枢動運動する
ように、また傾斜軸心18の周囲で共に運動するように支
持された推進装置20を含む。推進装置20は、下部装置24
に対して回転運動するようにプロペラ28を載置したプロ
ペラ軸26(第2図)を支持しまた略々垂直な軸心の周囲
に回転運動するように駆動ベベル・ギア30を支持する下
部装置24を含んでいる。推進装置20はまた、従来周知の
駆動系34(部分的に示す)により、駆動ベベル・ギア30
と駆動作用的に結合された機関32を含む。
舶用推進装置10はまた、駆動ベベル・ギア30をプロペ
ラ軸26に対して選択的に駆動作用的に結合および遮断す
るための変速機36を含む。望ましい実施態様において
は、この変速機36は逆転可能なボール・クラッチ型変速
機であり、前進駆動、中立および後退駆動の諸状態を有
する。このような変速機の一例は、参考のため本文に触
れたBlanchardの米国特許第4,395,240号において開示さ
れている。別の実施態様においては、変速機36は中立状
態と1つの駆動状態のみを持ち得る。
第2図に示されるように、変速機36は、下部装置24お
よびプロペラ軸26に対して回転するように、また下部装
置24およびプロペラ軸26に対しては軸方向に運動しない
ようにプロペラ軸26と略々同軸状に支持された1対の軸
方向に隔てられた対向する被駆動ベベル・ギア38および
40を含む。ギア38、40は、適当な支持装置(図示せず)
により下部装置24内に支持されている。
被駆動ベベル・ギア38および40の各々は、2つの部
分、即ち一方はギアをプロペラ軸26上に支持するための
支持装置41を有する部分と、他方はプロペラ軸26の選択
的な駆動のための体表面43(第3図および第4図)を有
する部分に分割された軸方向通路42を含む。ギア38およ
び40の各々は、駆動ベベル・ギア30と噛合い状態にあ
り、そのため機関32が運転中ギア38および40が常に回転
するも反対方向に回転するようにする。
変速機36はまた、プロペラ軸26の前端部から延在しか
つプロペラ軸26の環状壁面46を画成する軸方向内孔44を
プロペラ軸26に有し、この環状壁面46は均一な半径方向
肉厚を有する。望ましい実施態様においては、この内孔
44は端部壁49を有する盲穴である。プロペラ軸26の環状
壁面46は、それぞれ半径方向に延在する軸心を有しかつ
軸方向内孔44と連通する周方向に隔てられた円筒状開口
52の軸方向に隔てられた前後の開口連部48、50を有す
る。この連部48および50はそれぞれ、被駆動ベベル・ギ
ア38および40と対応している。望ましい実施態様におい
ては、開口連部48、50は各々、2つの直径方向に対向す
る開口52を有する。別の実施態様においては、この連部
は各々2つより少ないかあるいは多い開口52を持ち得、
各ギアは1つ以上の関連し開口52の連部を持つことがで
きる。
変速機36はまた、それぞれ開口52の前後の連部48、50
に置かれたボールの前後の連部54および56を有する。ボ
ール58の各々は、開口52の直径より小さくかつ環状壁面
46の半径方向肉厚よりは大きな直径を有する。開口52
は、以下に述べるように、ベベル・ギア38、40と噛合い
離脱するボール58の半径方向運動を許容する。
変速機36は更に、後退ベベル・ギア40の内表面43を含
み(第3図参照)、この内面43がプロペラ軸26の開口52
の後方の連部50と軸方向に重なっている。ギア40の内面
43は、半径方向に最も外方の湾曲した面部62と、周方向
に隔てられた内方に突出するローブ部87の連部64とを有
する。変速機36はまた、前進ベベル・ギア38の内表面43
を含み、この内表面43はプロペラ軸36の開口52の前方の
連部48と軸方向に重なっている。ギア38の内表面43は、
半径方向に最も外方の湾曲した面部62と、周方向に隔て
られかつ内方に突出するローブ部分87の連部60とを含
む。
前進ギア38および後退ギア40の双方においては、最も
外方の湾曲した面部即ち内側の円筒状の弓部62と、プロ
ペラ軸26と軸方向に重なる隣接した内方に突出するロー
ブ87とが、円弧状の即ち部分的に環状のボール収受空間
63を形成している。前記ローブ87は、半径方向に最も内
側の湾曲した面部86と、前方のボール駆動面部82とを有
する。ローブ87の各連部60および64は、開口52の関連す
る連部48および50における開口52の数に等しいかあるい
はその倍数のローブ87を含む。
これまでは、ベベル・ギアとボールとの間の最も優れ
た駆動係合状態は、ギアにおいてボールを収受しかつ扁
平な球状の輪郭を持つソケットを提供することにより達
成されるものと考えられてきた。このような構成の不利
な点は、製造上公差の故に、ソケットがボールとの最適
な駆動係合状態を生じるように適正に配置できないこと
である。現在では、ギアにボールと噛合う平坦面を設け
ることにより優れた全体的な伝達性能が達成されること
が判った。この平坦面は、実際には変形してボールと係
合するため適正に配置されかつ適正な寸法である凹部を
持つことになる。従って、望ましい実施態様において
は、各ボールの駆動面部82は略々平ら即ち平坦である
(第3図および第4図参照)。
このように、各ボール58は、プロペラ軸26の関連した
開口52から部分的に出るように、また関連した平坦面部
82が係合する関連したギア38または40の収受空間63に部
分的に入るように運動自在である。各平坦面部82は、関
連したボール58と係合して関連したギア38または40によ
るプロペラ軸26の駆動する係合状態を生じるように配置
されている。
望ましい実施態様においては、ローブの連部60および
64の各々は、90゜より小さな合計弧度を持ちかつその間
に270゜より大きな合計弧度を持つボール収受空間63を
持つ多数の隔てられたローブ87を含む。例示された構造
においては、ローブの連部60および64は各々、2つの直
径方向に対向するローブ87を有する。各ローブ87は、45
゜より小さな弧度を持ち、また各ボール収受空間63は13
5゜より大きな弧度を持つ。空間63の弧度がより大きい
故に、開口52から外れようとするボール58は、1つのロ
ーブ87の最も内方の湾曲面部86と接触状態になるのでは
なく、ローブ87間の空間63の1つに入ろうとする。従っ
て、どれかのボール58がローブ87の平坦面部82と駆動作
用的に係合状態になる前に、このボールの半径方向外方
への運動に対しては最小限の抵抗しか生じない。
例示した構造においては前進ベベル・ギア38が前進駆
動ギアであり後退ベベル・ギア40が後退運動逆転駆動ギ
アであったが、別の実施態様においては、舶用推進装置
10は反転するプロペラを有することができる、即ち前進
ベベル・ギア38は後退駆動ギアであり、後退ベベル・ギ
ア40は前進駆動ギアでよい。
変速機36はまた、プロペラ軸26の軸方向内孔44に延在
しかつプロペラ軸26の前端部から突出する前方端部68を
持つアクチュエータ66を有する(第2図、第6図および
第7図参照)。望ましい実施態様においては、アクチュ
エータ66の前端部68は円錐状であり、また球の半径を持
つ鈍な頂部を有する。アクチュエータ66の前方端部68
は、アクチュエータ66を後方へ移動あるいは押圧させ
て、変速機36を前進位置から中立位置へ、また中立位置
から後退位置へ切換えるため、前進、中立および後退の
各位置間で運動自在であるカム装置と係合することがで
きる。種々の適当なカム装置が使用可能であるが、望ま
しい実施態様においては、このカム装置は、略々垂直な
軸心90周囲で枢動運動するように下部装置24に支持され
たカム80を有する(第2図および第5図参照)。このカ
ム88は、適当な手段(図示せず)により回転させること
ができ、またシフト・レバー92(第1図)のオペレータ
の操作に応答して回転させられることが望ましい。カム
88は、アクチュエータ66の前方端部68と係合する表面94
を有する。
カムの表面94は、カム88が前進位置にある時アクチュ
エータと係合する前進点96と、カム88が中立位置にある
時アクチュエータ66と係合する中立点98と、カム88が後
退位置にある時アクチュエータ66と係合する後退点100
とを有する(第5図参照)。
カム88が回転させられて変速機36を後退位置から中立
へまた中立位置から前進位置へ切換える時アクチュエー
タ66をカム面94に追従させるために、変速機36は更に、
アクチュエータ66を後退駆動位置からの前進駆動位置へ
偏倚させるためカム面94と係合状態を維持するようにア
クチュエータ66と係合することができるばね装置を含
む。種々の適当なばね装置を用いることができるが、望
ましい実施態様においては、このばね装置は、プロペラ
軸26の軸方向内孔44の内部でアクチュエータ66と内孔44
の端壁部49との間に置かれた圧縮ばね106を含む。この
ため、アクチュエータ66はばね106によって押圧され、
後退駆動位置から前進駆動位置に向ってカム面94に追従
する。
アクチュエータ66はまた、ボール56の前後の連部54、
56と選択的および交互に係合して前進駆動および後退駆
動状態を確立する装置を含む。この装置は、アクチュエ
ータ66において、開口52の連部48、50の各々における開
口52の数と同数の一連の角度をおいて隔てられた軸方向
に延在し、かつ開口52に対して周方向に整合された溝70
を有する。プロペラ軸26の開口52に対するアクチュエー
タ66の溝70の周方向の整合状態は、ボール58によって制
御される。ボール58、開口52、ギアの最も外側の湾曲面
部62の直径の適正な相対寸法、および溝70の形状および
位置は、アクチュエータ66の回転運動を制限する。
第6図および第7図に示されるように、溝70は略々同
じであり、かつ各々が傾斜部79により前方の奥端部78に
対し、また傾斜部81により後方の奥端部80に対して結合
された浅い中心部72を有する。
奥端部78および80は各々、関連するボール58の一部の
受入れを許容する如き寸法の輪郭を持つアクチュエータ
66の軸心に対する凹状の断面を有する。奥端部78または
80が開口52の一方と軸方向に整合される時、関連するボ
ール58は開口52に対して半径方向内方へ変位され得る。
こののような半径方向内方への変位は、関連するベベル
・ギア38または40との駆動係合状態から外れて、ボール
58の一部を奥端部78または80内に、またプロペラ軸26内
部に置く。
傾斜部79、81は各々、アクチュエータ66の長手方向軸
心に対して角度が付されて、関連するボール58を奥端部
78、80から離れて浅い中心部72に向ってカム動作させ
る。傾斜部79、81は、開口52の連部48、50の軸方向空隙
より小さな距離だけ軸方向に隔てられている。
浅い中心部72は、ボール58の半径と略々等しい半径を
持つ凹部の少なくとも一部だけアクチュエータ66の軸心
に食込む凹状の断面を呈する。この浅い中心部72が開口
52の一方と軸方向に整合される時、関連したボール58は
開口52に対して半径方向外方に変位させられる。このよ
うな半径方向外方への変位は、ボール58の一部をプロペ
ラ軸26から外れて、関連するベベル・ギア38または40と
駆動係合状態になるように平坦面部82が接触するように
ボール収受空間63内に配置する。前掲のBlanchardの米
国特許に説4明されるように、ボール58および溝70の浅
い中心部72の部分の半径が同じである故に、ボール58と
溝70の浅い中心部72との間の作用力の伝達が、延長点で
はなく延長線に沿って生じる。このため、下部装置の圧
力を生じ、かつ疲労が小さくなる。
アクチュエータ66の浅い中心部72とボール58との間、
被駆動ベベル・ギア38または40の平坦面部82とボール58
との間、およびボール58とプロペラ軸26の開口52の円筒
状壁面との間の接触荷重を最適に配分するため、面部82
は面84(第3図)と交差するように配向され、前記面は
プロペラ軸26の軸心の半径方向にボール58の中心を通っ
て延在し、50および55゜の範囲内の、望ましくは略々52
゜の角度「X」を形成する。換言すれば、面部82に対し
直角をなしかつ面部82とボール58との間の接触点を通っ
て延長する線が面84と交差して、35および40゜の範囲内
と、望ましくは略々38゜の角度「Y」を形成する。
作用においては、カム88が中立位置から前進位置へ回
転されると、ばね106はアクチュエータ66を前進方向に
運動させて、カム面94上の前進点96と係合させ、この状
態がアクチュエータ66を前進駆動位置に置く。従って、
溝70の浅い中心部72は、開口52の前方の連部48と軸方向
に整合状態に置かれる。
このように、溝70の前方の傾斜部79は、ボール58の前
方の連部54を半径方向外方に浅い中心部72に向ってカム
動作させて、ボール58の外方への部分的な変位を前方の
ベベル・ギア38の面部82と接触するように収受空間63内
に維持し、これによりプロペラ軸がギア38と駆動係合状
態を生じる。同時に、開口52の後方の連部50におけるボ
ール58は、溝70の後方の奥端部80に位置したままであ
り、このため後退ベベル・ギア40によるプロペラ軸の回
転駆動は生じない。
カム88が前進位置から中立位置へ回転される時、カム
面94はアクチュエータ66をばね106に抗して後方へアク
チュエータ66がカム面94の中立点98と係合するまで移動
させ、このためアクチュエータ66を中立位置に置く。従
って、溝70の前方および後方の奥端部78および80はそれ
ぞれ、開口52の前方および後方の連部48および50に対し
て軸方向に整合させられる。このような整合状態におい
ては、回転す運動ギア38および40の平坦面部82は、ボー
ル58を奥端部78および80に向って半径方向内方へカム動
作させ、このためベベル・ギア38および40のいずれかに
よるプロペラ軸の回転駆動は生じない。
カム88が中立位置から後退駆動位置へ回転させられる
と、カム面94がアクチュエータ66をこれがカム面94の後
方点100と係合するまでばね106に抗して後方へ移動さ
せ、この状態がアクチュエータ66を後退駆動位置(第2
図)に置く。従って、溝70の浅い中心部72は、開口52の
後方連部70と軸心に整合状態に置かれる。このように、
溝70の後方の傾斜部分81は、ボール58の後方連部56を浅
い中心部72に向って半径方向外方にカム動作させて、後
退ベベル・ギア40の面部82と接触するようにボール58の
外方への部分的な変位を維持することにより、ギア40に
よるプロペラ軸26の駆動係合状態を生じる。同時に、開
口52の前方連部48におけるボール58は、溝70の前方の奥
端部78に置かれた状態を維持し、このため前進ベベル・
ギア38によるプロペラ軸26の駆動回転は生じない。
カム88が後退位置から中立位置へ回転されると、ばね
106はアクチュエータ66を前方へ移動させてカム面94の
中立点98と係合させ、この状態がアクチュエータ66を中
立位置に置く。従って、溝70の前方および後方の奥端部
78および80はそれぞれ、開口52の前方および後方の連部
48および50と軸方向に整合させられる。このような整合
状態においては、回転するギア38、40の平坦面部82はボ
ールを奥端部78および80に向って半径方向内方へカム動
作させ、そのためベベル・ギア38および40のいずれによ
ってもプロペラ軸の駆動回転は生じない。
これまで述べた如き実施態様においては、アクチュエ
ータ66が後退駆動位置に駆動作用的に係合させられカム
88が後退位置から中立位置へ回転される時、抵抗作用力
(後方のボール58およびアクチュエータ66間の摩擦作用
による)が圧縮ばね106の加えられる作用力よりも大き
くなることがあり得る。このため、カム88が後退位置か
ら中立位置へ回転される時アクチュエータ66がカム面94
に追従することを妨げることにより、アクチュエータ66
を後退駆動位置に保持するという望ましくない効果を生
じるおそれがある。従って、望ましい実施態様において
は、変速機36はまた、アクチュエータ66が後退駆動位置
に保持された状態になることを阻止し、あるいはアクチ
ュエータ66の後退駆動位置から外れる運動を助ける装置
を含む。種々の適当な手段が使用できるが、例示した構
造においては、このような阻止あるいは補助手段は、溝
70の中心に位置する浅い部分72は、溝70の後方の深い部
分80との段差に形成された傾斜部分81に隣接して深い部
分80に向って半径方向内方に緩やかに傾斜する緩傾斜部
108を有する(第6図、第7図および第10図乃至第13図
参照)。この傾斜部108は、アクチュエータ66が後退駆
動位置(第13図)にある時、傾斜部108が関連するボー
ル58と係合するように配置されている。関連するボール
58によりこの傾斜部108に対して及ぼされる半径方向内
方の作用力は、アクチュエータ66を前方即ち中立位置に
向って偏倚する成分を有する。このため、ボール58によ
り溝70の傾斜部108に対して及ぼされる作用力は、妨げ
られないアクチュエータ66が中立位置に移動することを
助けることになる。
更にまた、ばね106に対し直列に用いられる傾斜部108
は、比較的小さに作用力のばね装置を用いることを可能
にし、これはアクチュエータ66が後方へ移動させられる
常時に変速機の切換え機能の円滑さ即ち「感触」をかな
り強化し、またその結果構成要素の疲労を低減すること
になる。
このようなアクチュエータ66の運動を補助する装置は
また、カムおよびばね装置の代りに、アクチュエータ66
を前後に引張押圧するためのリンク装置を備えた変速機
にも使用するできることが理解されよう。
望ましい実施態様においては、カム88は、変速機36の
作動を改善しかつオペレータに対する変速機36の「感
触」を改善する形状を有する。一例として、中立点98と
後退点100との間のカム面94の形状について論述する。
中立点98および後退点100の他に、カム面94は、カム8
8が中立位置と後退位置との間の第1の中間位置にある
時アクチュエータ66と係合する第1の中間点102と、カ
ム88が前記第1の中間位置と後退位置との間における第
2の中間位置にある時アクチュエータ66と係合する第2
の中間点104とを有する(第5図参照)。第5図におい
ては、アクチュエータ66はこの第1の中間点102と第2
の中間点104との間で面部94と係合状態に示されてい
る。
アクチュエータ66の長手方向軸心と、カム面94とアク
チュエータ66の前端部68の球状部半径との間の接触点に
おけるカム面94に対する直角の線との間の角度「z」
は、カム88の変位の回転速度に対するアクチュエータ66
の軸方向の変位の比率を決定し、またカム88により課さ
れる入力作用力の結果としてアクチュエータ66に作用す
る側方および軸方向の成分の割合を決定する。
換言すれば、作用においては、角度Zが大きくなれば
なる程、アクチュエータ66の直線速度は大きくなり、ま
た長手方向の作用力に加えて、アクチュエータ66上の側
方作用力もまた大きくなる。
カム88が回転されてアクチュエータ66をカム面94の中
立点98から第1の中間点102へ移動させる時は、大きな
角度Zが望ましい。アクチュエータ66に対して及ぼされ
る側方の作用力における増加はアクチュエータ66とプロ
ペラ軸26の内孔44との間の摩擦抵抗を増大させるが、こ
の範囲ではアクチュエータ66の軸方向後方への運動に対
する他の唯一の抵抗がばね106からのものである故に、
この抵抗は許容し得る。更に、アクチュエータ66の軸方
向運動が早くなると、ボール58を外方に収受空間63に向
ってカム88の最小回転量だけ移動させる。角度Zが大き
い場合も、オペレータが更に大きな始動力を加えてシフ
ト・レバー92を運動させ、このためシフト・レバー92の
より早い追従運動を生じようとし、その結果良好な「感
触」をもたらすことになる。
カム88が中立位置98から回転させられてアクチュエー
タ66をカム面94の第1の中間点102に置く時、後方のボ
ール58は後退ベベル・ギア40のローブ87の半径方向の最
も内方の湾曲面部86と第1の接触状態になり、このため
これ以上のシフトに抵抗する。しかし、ボール58の最も
内方の湾曲面部86との実際の第1の接触は、ボール58が
傾斜面81上にあり(第1図参照)かつアクチュエータ66
の部分108に跨がる時、およびアクチュエータ66が第1
の中間点102と第2の中間点104との間にある場所におい
てカム面94と接触状態にある時、最もしばしば生じるこ
とになる。(第12図に示されるように、ボール58の半径
(R)がこの第1の接触点を通って延長し、浅い中心部
72の前端部または傾斜部108の後端部のいずれかと直角
をなす時に跨がりが生じる。)従って、カム面94の第1
と第2の中間点102、104の間で、角度Zを減少するこ
と、またこれによりアクチュエータ66に対する長手方向
の作用力を増大させることが望ましい。
カム88が第1の中間点102から回転してアクチュエー
タ66をカム面94の第2の中間点104に置く時、後方のボ
ール58がアクチュエータ66の面108上に跨がる時、およ
びボール58が湾曲した面部86とギア40の平坦面部82との
交差点においてローブ87と係合した時、抵抗力が増加す
ると角度Zを減少させ続け、またこれによりアクチュエ
ータ66に対する長手方向作用力を増加させ続けることが
望ましい。
カムが第2の中間点104から回転されてアクチュエー
タ66をカム面94の後退点100に置く時、中立位置から後
退位置への切換えが完了し、角度Zは略々0゜となる。
従って、望ましい実施態様においては、カム面94は、
角度Zが中立点98と第1の中間点102との間で略々47゜
となり、第1の中間点102と第2の中間点104との間で略
々47゜から略々20゜に減少し、また第2の中間点104と
後退点100との間では略々20゜から略々0゜に減少する
ような形状となっている。
前進点96と中立点98との間のカム面94の部分は、ばね
106の抵抗がこの範囲内では小さく、かつカム88がアク
チュエータ66を駆動位置から中立位置へ移動させる故に
角度Zが僅かに大きいが、中立点98と後退点100との間
の形状と類似している。
本発明の別の実施態様を第8図および第9図に示す。
この別の実施態様においては、ベベル・ギア38および40
の被駆動部分に対しては1つの材料の使用を、またベベ
ル・ギア38および40の駆動部分に対しては別の材料の使
用を可能にするため、各ベベル・ギアは駆動ギア30によ
り回転駆動される主要部分200と、関連する面部82を有
する駆動部分202とを含む。この駆動部分202は、耐摩耗
材料から作られることが望ましい。更に、駆動部分202
は略々環状であり、かつ多くの点において先に述べた内
側面43と同じである開口204を含み、前記面43は少なく
とも部分的にベベル・ギアの軸方向通路42を画成し、ま
た関連する面部82を有する。
また、この別の実施態様においては、カム面94の摩耗
を減少するため、アクチュエータ66は軸方向の内孔208
を有する主要部206と、この主要部206の軸方向内孔208
に延長する端部210とを有し、この端部210に対する主要
部206の回転運動を許容する。更にまた、溝70が前記主
要部206に配置され、軸方向内孔208の端部と連通して前
記端部210および主要部206の境界面における潤滑を改善
し、かつ端部210に対する主要部206の回転を容易にす
る。従って、アクチュエータ66の主要部206がプロペラ
軸26と共に回転する間、端部210は相対的に静止状態を
維持し、従ってカム面94において大きな摩耗を生じるこ
とがない。
本発明の種々の特徴については頭書の特許請求の範囲
に記載される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施した舶用推進装置を示す側面図、
第2図は舶用推進装置のボール・クラッチ型変速機を示
す縦断面図、第3図は第2図の線3−3に関する断面
図、第4図は第3図と類似するもベベル・ギアのボール
と係合する面部の半径方向に最も内側の部分と接触する
ボールを示す図、第5図はカムの平面図、第6図は変速
機のアクチュエータを示す縦断面図、第7図はアクチュ
エータの平面図、第8図は本発明の別の実施例であるボ
ール・クラッチ型変速機を示す縦断面図、第9図は第8
図の線9−9に関する断面図、第10図乃至第13図はプロ
ペラ軸、アクチュエータ、ボールおよびベベル・ギア間
の相互作用を示す部分断面図で、第11図および第13図は
第4図および第3図にそれぞれ示される位置におけるボ
ールを示し、第14図は第12図に示された位置におけるボ
ールを示す第3図および第4図と類似の図である。 10……舶用推進装置、12……艇体の船尾梁材、14……船
尾梁材ブラケット、16……旋回ブラケット、18……傾斜
軸心、20……推進装置、22……操舵軸心、24……下部装
置、26……プロペラ軸、28……プロペラ、30……駆動ベ
ベル・ギア、32……機関、34……駆動系、36……変速
機、38、40……被駆動ベベル・ギア、43……内表面、44
……軸方向内孔、46……環状壁面、48、50……開口連
部、49……端部壁、52……円筒状開口、54、56、60、64
……連部、58……ボール、62……湾曲面部、63……ボー
ル収受空間、66……アクチュエータ、68……前方端部、
70……溝、72……浅い中心部、78……前方の奥端部、7
9、81……傾斜部、80……後方の奥端部、82、84……ボ
ール駆動面部、86……湾曲面部、87……ローブ部、88…
…カム、90……軸心、92……シフト・レバー、94……カ
ム面、96……前進点、98……中立点、100……後退点、1
02……第1の中間点、104……第2の中間点、106……圧
縮ばね、108……傾斜部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エドワード・ディー・マクブライド アメリカ合衆国イリノイ州60087,ウォ ークガン,ダコタ・ロード 2310 (56)参考文献 特開 昭58−118360(JP,A) 特開 昭61−21450(JP,A) 特公 昭54−6789(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63H 21/00 F16H 25/18 F16H 3/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下部装置に対し回転運動するように支持さ
    れたプロペラ軸を含み、前記プロペラ軸は軸方向内孔と
    連通する半径方向に延在する開口が貫通した環状壁面を
    画成する前記軸方向内孔を有し、前記下部装置および前
    記プロペラ軸に対して回転するように該プロペラ軸とほ
    ぼ同軸状に前記下部装置に取付けられたベベル・キアを
    含み、該ベベル・ギアは前記プロペラ軸が貫通しかつ前
    記開口と軸方向に重なりかつ半径方向内方に延在する面
    部を備えた内面を有する軸方向通路を有し、前記開口内
    に置かれかつ前記面部と係合するように半径方向外方に
    運動自在なボールと、前記軸の前記軸方向内孔に延在し
    かつ軸方向に間隔を置いた駆動位置と中立位置との間を
    運動自在なアクチュエータ(66)とを含み、該アクチュ
    エータは前記ボールと選択的に係合して駆動状態および
    中立状態を確立するボール係合手段を有し、該ボール係
    合手段は前記アクチュエータに設けられた軸方向に延在
    する溝(70)を含み、該溝は、前記アクチュエータが前
    記中立位置にある時前記開口と軸方向に整合して前記ボ
    ールの少くとも一部を収容して該ボールが前記面部と係
    合しないようにすることができる深い部分(80)を有
    し、前記溝は又、前記アクチュエータが前記駆動位置に
    ある時前記開口と軸方向に整合して前記ボールと係合し
    該ボールを前記開口に対し半径方向外方に強制して該ボ
    ールが前記面部と係合し前記プロペラ軸の前記ベベル・
    ギアによる回転駆動を確立することができる浅い部分
    (72)を有し、前記アクチュエータが前記駆動位置から
    外れる運動を助けるための手段として、前記溝の前記浅
    い部分(72)は前記深い部分(80)へ向って半径方向内
    方へ傾斜する緩傾斜部(108)を有し、前記ボールが前
    記溝の浅い部分において該緩傾斜部に加える力により、
    前記アクチュエータが前記中立位置の方へ偏倚されるこ
    とを特徴とする舶用推進装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の舶用推進装置において、前
    記アクチュエータと係合自在であり、かつ前記アクチュ
    エータを前記中立位置および前記駆動位置の一方から該
    中立位置および該駆動位置の他方へ移動させるため、第
    1の位置から第2の位置へ運動自在なカム手段と、前記
    アクチュエータと係合自在であり、かつ該アクチュエー
    タを前記他方の位置から前記一方の位置へ偏倚させるば
    ね手段とを更に設け、以て前記カム手段が前記第2の位
    置から前記第1の位置へ移動する時、前記アクチュエー
    タが前記ばね手段の作用下で前記他方の位置から前記一
    方の位置へ移動することを特徴とする舶用推進装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の舶用推進装置において、前
    記アクチュエータが長手方向軸心を有し、前記ベベル・
    ギアは半径方向に最も内方の部分を有し、前記アクチュ
    エータと係合自在で該アクチュエータを前記中立位置か
    ら前記駆動位置へ選択的に移動させるカム手段を更に含
    み、該カム手段は前記アクチュエータが前記中立位置に
    ある第1の位置、前記アクチュエータが前記駆動位置に
    ある第2の位置、該第1の位置と該第2の位置との間に
    位置しかつ前記アクチュエータの前記ボールとの係合状
    態が該ボールを前記の半径方向に最も内方の部分に対し
    接線方向に整合させる第1の中間位置、および前記第1
    の中間位置と前記第2の位置との間に置かれかつ前記浅
    い部分が前記ボールに対して接線方向に延在する第2の
    中間位置へ運動自在であり、該カム手段は、前記アクチ
    ュエータと係合する面を有し、該面は、前記長手方向軸
    心および前記面と前記アクチュエータとの間の接触点に
    おける前記面に対し直角をなす線により形成される角度
    が、前記カム手段が前記第1の位置と前記第1の中間位
    置との間にある時ほぼ47゜であり、前記カム手段が前記
    第1の中間位置と前記第2の中間位置との間にある時ほ
    ぼ47゜からほぼ20゜へ減少し、また前記カム手段が前記
    第2の中間位置と前記第2の位置との間にある時ほぼ20
    ゜からほぼ0゜へ減少するような形状を呈し、前記アク
    チュエータを前記駆動位置から前記中立位置へ選択的に
    移動させる手段を有することを特徴とする舶用推進装
    置。
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