JP3012503B2 - 車両位置検出装置 - Google Patents

車両位置検出装置

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JP3012503B2
JP3012503B2 JP31452995A JP31452995A JP3012503B2 JP 3012503 B2 JP3012503 B2 JP 3012503B2 JP 31452995 A JP31452995 A JP 31452995A JP 31452995 A JP31452995 A JP 31452995A JP 3012503 B2 JP3012503 B2 JP 3012503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車載用ナビゲーシ
ョン装置のマップマッチング装置に用いられる車両位置
検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ナビゲーション装置は、自動車などの移
動体の走行した経路を算出し、表示装置に表示される地
図画面に車両が現在走行している現在位置を表示して、
運転者を支援する装置である。車両の現在位置は、たと
えばGPS(GlobalPositioning System;全世界測位シ
ステム)によって計測される。また現在位置は、車速セ
ンサで計測される車両の走行距離とジャイロで計測され
る車両の相対的な進行方位とを用いて求めてもよい。進
行方位とは、現在位置を通過したときにおける車両の進
行する方向に沿った方位である。
【0003】このようにして求められる車両の現在位置
は、実際の車両の現在位置からずれていることが多い。
たとえばGPSは、複数の測位衛星を用いて三角測量を
行うので、各測位衛星の位置が見かけ上近接するほど、
計測誤差が大きくなる。また計測に用いられる測位衛星
の数が少ないときも、計測誤差が大きくなる。車速セン
サを用いて走行距離を計測するとき、走行距離は車輪の
回転数から求められるので、車輪のスリップなどによっ
て計測誤差を生じる。またジャイロは温度変化などによ
って出力信号のオフセットなどの特性が経時変化して、
測定される進行方位の誤差の原因となる。
【0004】また、たとえばジャイロおよび車速センサ
を組み合わせて車両の現在位置を計測する装置では、現
在位置は、過去の現在位置から計測された最新の進行方
位に最新の走行距離だけ走行した位置として逐次的に推
定される。ゆえに、この過去の現在位置が補正によって
実際の現在位置からずれると、以後計測される現在位置
も順次ずれることになる。
【0005】このように、計測された車両の現在位置に
は計測誤差が含まれる。ゆえに、ナビゲーション装置に
はマップマッチング装置が設けられ、車両の現在位置を
補正するマッチング処理を行う。ナビゲーション装置
は、補正された現在位置を、目視表示された地図画面上
に目視表示して、ナビゲーションを行う。
【0006】マッチング処理では、車両の走行軌跡と道
路形状とを比較して、走行軌跡が道路形状と類似してい
る場合に、車両の現在位置を道路上に補正する。すなわ
ち、車両が道路を走行していると仮定して、車両の位置
補正を行う。マッチング処理をおこなうとき、計測され
た現在位置の近傍に複数の道路が存在することがある。
このときマッチング装置は、道路を曲り角および交差点
などを両端とした複数の直線形状の道路部分に区分して
各道路部分に対する類似度を求め、類似度の最も大きい
道路部分上に、現在位置の補正位置を設定する。この道
路部分をリンクと称する。
【0007】類似度は、リンクの道路方位と車両の進行
方位との方位差分、および道路と車両の計測現在位置と
の距離に基づいて求められる。類似度は、方位差分が小
さいほど大きくなる。かつ距離が短いほど大きくなる。
たとえば、図9(1)に示すような浅い角度で分岐する
Y字路である道路1を、リンクA1,A2,A3の順で
車両が走行するとする。分岐直後のリンクA2,A4
は、その道路方位の差が小さい。図9(2)は、分岐後
の道路1を走行するときのリンクA2,A3、およびリ
ンクA4,A5に対する類似度の累積加算結果である累
積類似度の時間変化を示すグラフである。直線3はリン
クA2,A3に対する累積類似度の時間変化を示す。直
線4はリンクA4,A5に対する累積類似度の時間変化
を示す。
【0008】車両が分岐点pを通過した直後の時刻t1
において、現在位置を計測し、計測された現在位置を道
路1上に補正する。現在位置は補正点pa1,pb1に
それぞれ補正されると仮定する。このとき、現在位置の
計測誤差などによって、車両はリンクA2を走行してい
るにもかかわらず、リンクA2に対する類似度よりもリ
ンクA4に対する類似度の方が大きくなることがある。
【0009】続いて時刻t2,t3,t4において現在
位置を計測すると、各リンクA2,A3;A4,A5を
それぞれ車両が走行すると仮定して、並列して類似度を
演算し累積加算する。時刻t2,t3では、現在位置は
それぞれ補正点pa2,pb2:pa3,pb3に補正
され、累積類似度はほぼ同じように増加する。時刻t4
では、車両が実際にはリンクA2,A3を走行している
ので、補正点pb4がリンクA4,A5から外れ、類似
度が極めて小さくなる。リンクA3に対する類似度は時
刻t3で求められたものと同程度の大きさを有する。こ
れによって、累積類似度の大きさが逆転する。これによ
って、リンクA4,A5よりもリンクA2,A3のほう
が車両が走行している可能性が高いと判定される。この
ように、分岐直後の分離度だけに基づいて車両が走行す
るリンクを判断すると、浅い角度で分岐する道路では、
走行するリンクを誤り易い。
【0010】特開平3−265887号公開公報には、
交差点で道路が浅い各度で分岐しているときに、確実に
車両が走行している道路に対してマップマッチング処理
を行うための技術が開示されている。本公報のナビゲー
ション装置は、道路が分岐すると、分岐した2本の道路
それぞれに、車両の位置を補正するべき候補点を設定す
る。この候補点それぞれに対して、評価値を算出する。
この評価値は、現在位置および進行方位と、道路方向と
の一致度などから決定される。各道路に対する評価は、
交差点で候補点が生成されてから、候補点に対する評価
値が予め定める値以下に連続して低下するまで続けられ
る。これによって、複数の道路に対して並行に評価が行
われることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなナビゲ
ーション装置では、分岐した道路のいずれに車両が進行
したかを誤りなく判定することができる。すなわち、車
両の走行方向と直交する方向への現在位置の誤差を補正
する。このナビゲーション装置では、道路に分岐が生じ
たときだけ道路に対する並行評価を行い、評価値の誤差
を軽減する。ゆえに、たとえば高速道路など道路の分岐
が少ない道路では並行評価を行う回数が激減するので、
誤差を軽減することが困難となる。
【0012】またナビゲーション装置で計測される現在
位置は、車両の走行方向に平行な方向だけでなく、車両
の走行方向に沿う方向にも誤差を生じる。この誤差は、
たとえば車両の現在位置を計測するときに、車輪がスリ
ップして計測される走行距離が実際の走行距離とずれた
ときに生じる。このような誤差は、たとえば砂利道およ
び雪道など車輪が滑り易い道路で多く発生する。現在位
置が走行距離および旋回量に基づいて求められるとき、
計測される走行距離と実際の走行距離とがずれている
と、求められた現在位置が、実際の現在位置から車両の
進行方向に沿う前後方向にずれて設定される。
【0013】また前述した誤差は、マッチング処理にお
いて使用される道路データにおいて道路が簡略化されて
データ化されているためにも生じる。ナビゲーション装
置では、記録するデータ量を減少させるために、道路は
道路の長さおよび走行可能方向だけを示す線分として簡
略化されて表される。ゆえに車両が交差点で右左折する
とき、交差点進入位置から交差点通過位置までの車両の
走行距離は、交差点進入時から通過時までの車両の走行
軌跡によって異なる。特に幅の広い道路では、交差点進
入時および通過時において車両が道路の幅方向のどのよ
うな位置を通過したかによって異なる。
【0014】現在位置が走行距離および旋回量に基づい
て求められるとき、上述した道路データから求められる
走行距離と実際の走行距離とがずれていると、求められ
た現在位置が実際の現在位置から前記前後方向にずれて
設定される。このような走行距離のずれは、簡略化され
た道路データからは求めることが難しい。
【0015】また道路データは、上空から見た平面図と
して表示され、道路の小さな勾配および曲がりが簡略化
される。これによって、実際の道路の長さと道路データ
上での道路の長さとが異なることがある。さらに、カー
ブをデジタル化する際のデフォルメがある。特に山道で
は道路勾配が大きく、カーブが多いので、道路データの
精度誤差が大きくなる。ゆえに、道路データ上で車両が
走行すべき走行距離と実際に計測される走行距離が異な
り、道路データ上に定められる現在位置のずれの原因と
なる。
【0016】本発明の目的は、車両が交差点など道路の
分岐点の有無に拘わらず、現在位置の誤差を補正するこ
とができる車両位置検出装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の道路部
分から構成される道路データが記録された道路データ記
録手段と、道路データ記録手段から、道路データを読出
す読出し手段と、車両の現在位置および進行方向を検出
する位置方位検出手段と、読出し手段、位置方位検出手
段の出力に応答し、車両の現在位置を補正するマップマ
ッチング手段とを含む車両位置検出装置であって、前記
マップマッチング手段は、車両の現在位置に対応する複
数の補正候補点を求め、各補正候補点に対して並列に各
補正候補点が属する道路部分と車両の走行軌跡との類似
度を求める毎に累積し、この類似度の累積結果に基づき
いずれかの補正候補点を車両の現在位置とすることを特
徴とする車両位置検出装置である。本発明に従えば、車
両位置検出装置は、車両の現在位置を検出し、その現在
位置を複数の道路部分と車両の走行軌跡とに基づいて補
正して、最終的な現在位置を得る。車両の現在位置は、
たとえばGPSなどの現在位置検出手段によって検出さ
れる。GPSを用いて検出される現在位置は、たとえば
緯度経度で表される絶対位置で表される。GPSを用い
て検出された現在位置には、たとえばGPSの測位衛星
の位置などに起因する検出誤差が含まれる。また現在位
置は、車両の走行距離と車両の進行方向変化に応じて、
相対的に求められてもよい。このとき走行距離および進
行方向変化に誤差があると、その誤差は現在位置を求め
る過程で蓄積され、誤差発生後に求められる全ての現在
位置に誤差が生じる。現在位置における進行方位は、車
両方位検出手段によって検出される。進行方位とは、現
在位置を車両が通過した瞬間における車両の走行方向を
示し、車両の走行方向に対応する。いわば進行方位は、
現在位置における車両の走行軌跡の接線方向であり、そ
の向きは車両の走行方向に等しい。たとえば進行方位
は、車両の旋回時にジャイロによって車両の旋回量を検
出し、その旋回量を累積して相対的に求められる。ま
た、地磁気センサなどを用いて検出されてもよい。地磁
気センサによって検出される進行方位は、たとえば北を
基準の0度として表される絶対方位である。これらの進
行方位もまた、検出時に誤差が生じることが多い。車両
の現在位置および進行方向は、マップマッチング手段に
与えられる。前述したように、検出される車両の現在位
置および進行方向は検出誤差を含んでいる。この誤差を
軽減するために、マップマッチング手段では、車両が道
路を走行しているものと仮定して、検出された現在位置
を、記録される道路上に移動させて補正する。まずマッ
プマッチング手段は、読出し手段に車両の現在位置周辺
の道路に関する道路データを道路データ記録手段から読
出させる。現在位置記録手段に記録される道路は、たと
えば道路の長さおよび方向だけを示す線分であるリンク
として簡略化して表される。曲線の道路は、たとえば複
数の線分で表される道路部分が、順次的にリンクの端部
で接続された構成で近似される。道路部分の両端は、道
路の曲がり角および交差点などのノードである。道路デ
ータは、これら道路部分の線分を示すデータである。こ
のように、各道路部分の道路データでは、勾配および微
小のカーブなどを簡略化してある。ゆえに、たとえば幅
の広い道路の交差点の通過時において交差点を走行軌跡
が大きな曲率の曲線を描くように曲がったために走行距
離が伸びたとき、この距離の伸びを道路データから求め
ることは困難である。検出された現在位置が道路データ
上での道路上の位置と一致しない原因として、上述した
現在位置の計測誤差の他にも、このような道路データの
簡略化が挙げられる。特に、計測される車両の走行距離
と道路データから求められる走行距離とが異なるとき、
道路上での車両の現在位置が、車両の走行方向に沿う方
向で前後にずれることがある。マッチング手段は、計測
された現在位置近傍の道路部分のうち、後述する条件を
満たす道路部分の上に複数の補正候補点を設定する。こ
の補正候補点は、たとえば同一または連続する道路部分
において、車両の走行方向に沿う方向で相互に前後とな
るように設定される。また、現在位置および進行方位の
最新の補正の前に行われた補正において既に複数の補正
候補点が設定されているとき、続いて設定される補正候
補点は、前回の補正において現在位置が各補正候補点に
補正されたものと見なし、その補正候補点を基準にして
設定される。また、道路の分岐点を通過するとき、分岐
した2本の道路上にそれぞれ設定されてもよい。マッチ
ング手段は、車両の現在位置をこれらの補正候補点にそ
れぞれ仮に補正し、各補正候補点に対して並列に類似度
を求める。類似度とは、各補正候補点を基準として、補
正候補点が属する道路部分と車両の走行軌跡との類似性
を示す判定指標である。類似度の値が大きいほど道路形
状と走行軌跡との類似性が高く、車両の実際の現在位置
がその補正候補点である可能性が大きいことを示す。た
とえば、車両の走行距離および進行方位に基づいて車両
の現在位置が求められるものとする。車両が直線状の道
路を直進走行しているとき、車両の計測された走行距離
と道路データ上での走行距離とがずれていても、車両の
進行方位は等しいので、走行軌跡は道路形状と一致す
る。この車両が道路の折曲がり部分などの変曲点を通過
するとき、走行距離のずれ分や道路データの誤差分だけ
走行軌跡が曲がるタイミングがずれる。たとえば計測さ
れる現在位置が実際の現在位置より走行方向上流側にず
れているとき、車両が実際に道路の変曲点を通過する
と、計測される現在位置から求められる走行軌跡は、道
路データ上の変曲点の手前で曲がる。このずれによっ
て、変曲点近傍では類似度が減少する。車両が変曲点を
通過し補正候補点が道路上で変曲点の前後に設定される
と、各補正候補点が属する道路部分の道路方位が異な
る。これによって、各補正候補点に対する類似度が一致
しなくなる。これら各補正候補点に対する類似度の差
は、変曲点における道路形状の変化に対応し、変曲点前
後の道路部分の道路方位の差が大きいほど大きい。この
ように求められた類似度は、各補正候補点毎に累積す
る。マッチング手段は、この累積結果が最大である補正
候補点を、車両の現在の補正結果と見なし、この補正候
補点に基づいてナビゲーションを行う。すなわちマップ
マッチング手段では、各補正候補点に対する類似度の累
積結果に基づいて、実際の車両の現在位置に最も近いと
予想される補正候補点を選ぶ。前述したように、道路の
変曲点での形状変化が小さいと、類似度の差が小さい。
ゆえに、走行距離のずれによる類似度の低下分と、現在
位置の計測誤差および道路データの精度誤差などに起因
する類似度の低下分との区別がつかないことがある。こ
のとき車両が変曲点および分岐点など、道路形状が変化
する点を多く通過すると、車両の実際の位置から外れて
設定された補正候補点に対する類似度は、変曲点および
分岐点を通過するたびに減少する。このように類似度の
差が生じる回数が多ければ、その類似度を累積すること
によって類似度の差が増大される。これによって、実際
の現在位置に最も近い最良の補正候補点の対する類似度
の累積結果が最も大きくなる。ゆえに、変曲点を有する
道路であれば、複数の補正候補点を用いて最良の補正候
補点を選ぶことができる。これによって、車両進行方位
に沿った補正候補点のずれを、補正することができる。
また車両の現在位置のずれを、道路の分岐点が存在しな
いときでも補正することができる。
【0018】また本発明は、複数の道路部分から構成さ
れる道路データが記録された道路データ記録手段と、道
路データ記録手段から、道路データを読出す読出し手段
と、車両の現在位置および進行方向を検出する位置方位
検出手段と、読出し手段、位置方位検出手段の出力に応
答し、車両の現在位置を補正するマップマッチング手段
とを含む車両位置検出装置であって、前記マップマッチ
ング手段は、記録された道路データから、検出された現
在位置に近い道路部分を検索する道路検索手段と、道路
検索手段の出力に応答し、道路部分上に複数の補正候補
点を設定する候補点設定手段と、候補点設定手段の出力
に応答し、各補正候補点毎に車両の現在位置と候補点と
の距離、および候補点が属する道路部分の道路方位と車
両の進行方位との方位差分に基づいて類似度を演算し累
積する類似度演算累積手段とを備え、類似度演算累積手
段が類似度を求める毎に、各補正候補点の類似度の累積
結果を比較して、いずれかの補正候補点を車両の現在位
置とすることを特徴とする車両位置検出装置である。ま
た本発明の前記マップマッチング手段は、記録された道
路データから、検出された現在位置に近い道路部分を検
索する道路検索手段と、道路検索手段の出力に応答し、
道路部分上に複数の補正候補点を設定する候補点設定手
段と、候補点設定手段の出力に応答し、各補正候補点毎
に車両の現在位置と候補点との距離、および候補点が属
する道路部分の道路方位と車両の進行方位との方位差分
に基づいて類似度を演算し累積する類似度演算累積手段
とを備え、類似度演算累積手段の出力に応答し、各補正
候補点の類似度の累積結果を比較して、各補正候補点の
累積結果のうち類似度が最大の累積結果を基準として予
め定める許容範囲外となる小さい他の累積結果を有する
補正候補点を、以後の類似度演算から除外する候補点除
外手段とを含むことを特徴とする。本発明に従えば、マ
ップマッチング手段は、道路の変曲点通過時などに複数
の補正候補点を設定して、各補正候補点に対する類似度
を並列評価する。まず道路検索手段は、道路データ記録
手段から読出された道路データに基づいて、検出された
車両の現在位置に近い位置にある道路部分を検索する。
検索された道路部分は、計測された現在位置を補正する
べき補正候補の道路と見なされる。道路検索手段は、た
とえば現在位置を中心とした予め定める領域内部に位置
する複数の道路部分を検索して、これら全ての道路部分
を補正候補と見なす。補正候補の道路部分が検索される
と、候補点設定手段は、検索された道路部分上に現在位
置を補正すべき補正候補点を設定する。補正候補点は、
たとえば車両の走行方向に沿う方向に複数設定される。
これら補正候補点は、たとえば端部が接続され連続した
複数の道路部分の各道路部分上にそれぞれ設定される。
また同一の道路部分上に設定されても良い。補正候補点
が設定されると、類似度演算累積手段は各補正候補点に
対して個別的に類似度を演算し、各補正候補点毎に累積
する。類似度とは、走行軌跡と道路形状との類似性の大
きさを数値化した判定指標であり、たとえば値が大きい
ほど類似性が高い。この類似度は、たとえば道路部分の
道路方位、車両の現在位置および進行方位に基づいて演
算される。補正候補点は、変曲点通過時などに複数生成
されると、次の現在位置および進行方位検出時には、前
回これらの補正候補点に現在位置を補正したものと見な
し、前回の各補正候補点を基準として設定される。類似
度演算累積手段では、ある点で生成された複数の補正候
補点それぞれに対して、その補正候補点を基準として続
けて設定され評価される補正候補点の類似度を累積す
る。類似度の累積結果は候補点除外手段に与えられ、最
良の補正候補点を選ぶための判定指標として用いられ
る。たとえば複数の道路部分の類似度の累積結果を比較
し判定して、累積結果の値が最大であるものを最良の補
正候補点として選ぶ。このとき、最大の累積結果を基準
として累積結果の許容範囲を決定する。許容範囲は、た
とえば上限値が最大の累積結果の値であり、下限値が最
大の累積結果の値から予め定める値だけ減少された値で
ある。候補点除外手段は、各補正候補点の累積結果の値
が許容範囲に含まれるか否かを判断する。累積結果が許
容範囲外となった補正候補点は、実際の車両の現在位置
とは大きくずれていると考えられる。ゆえに候補点除外
手段は、この補正候補点に関する類似度演算を打切る。
すなわち、次回以後の計測時において、この補正候補点
を基準として次の補正候補点を設定し類似度を演算する
動作を行わない。前述したように、マップマッチング手
段では、複数の補正候補点を設定し、これらの補正候補
点に現在位置を補正したと見なして、各補正候補点毎に
対して並列に類似度演算を行う。これら補正候補点は、
走行距離のずれなどの影響が大きく実際の現在位置から
ずれるほど、類似度が小さくなる。ゆえに類似度の累積
結果の増加率が低下し、最良の補正候補点の類似度の累
積結果と比較して、その値が小さくなる。したがって、
累積結果の値が最良の補正候補点に対する累積結果から
予め定める下限値を越えて下回るとき、補正候補点は実
際の現在位置から大きくずれていて、類似度が再び増加
する可能性は低いと見なされる。このように、累積結果
の値が最大の累積結果を基準とした予め定める許容範囲
を下回る補正候補点を順次除外して行くことによって、
最終的に最大の累積結果を有する補正候補点を残すこと
ができる。これによって、最良の補正候補点を選ぶこと
ができる。また類似度は、現在位置の計測誤差および道
路データの精度誤差などによっても小さくなる。これら
の誤差に起因する類似度の減少分によって累積結果が狂
い、類似度の最大累積結果を有する補正候補点が実際の
現在位置から外れた点であることが考えられる。ゆえに
前述した許容範囲は、この誤差による類似度のずれが影
響しない程度に大きく設定されることが好ましい。
【0019】また本発明の前記候補点設定手段は、前記
道路検索手段によって検索された複数の道路部分のう
ち、過去の現在位置が補正された道路部分およびその道
路部分に接続され、道路部分の道路方位と計測された進
行方位との方位差分、および道路部分と計測された現在
位置との距離のうち少なくとも一方が予め定める範囲に
含まれる複数の道路部分上に、それぞれ補正候補点を設
定することを特徴とする。本発明に従えば、前記候補点
設定手段は、前記道路検索手段によって検索された補正
候補の道路部分のうち、過去の現在位置が補正された道
路部分およびその道路部分に接続される道路部分の上
に、複数の補正候補点を設定する。このとき補正候補点
は、道路部分の道路方位と計測された進行方位との方位
差分、および道路部分と計測された現在位置との距離の
うち少なくとも一方が予め定める範囲に含まれるように
設定される。すなわち、類似度を求めるために用いられ
パラメータが類似の値を示し、類似度がほぼ等しい値と
なると予想される位置に設定される。たとえば実際の走
行距離と計測された走行距離とがずれている車両が道路
の変曲点を通過する。このとき、車両の進行方位と変曲
点前の道路部分の道路方位との方位差分は変曲点後の道
路部分との方位差分よりも大きいけれども、現在位置と
変曲点前の道路部分との距離は、変曲点後の道路部分と
の距離よりも小さいことがある。このとき、変曲点前、
および変曲点後の道路部分に対して類似度を求めると、
ほぼ等しい値となる事がある。このように、接続され単
一の道路を形成する道路部分であって、類似度を演算す
るときに値が等しくなると予想される複数の道路部分に
対して、それぞれ補正候補点を設定する。この補正候補
点は、たとえば変曲点を挟んで車両進行方向に沿う方向
の上流側および下流側に設定される。進行方向に沿う方
向に生じる2つの補正候補点のずれは、現在位置および
進行方位の計測誤差および精度誤差などによって生じる
走行距離のずれに起因したものと考えられ、いずれか一
方の補正候補点が、実際の車両の現在位置に対応してい
ると考えられる。このように、単一の道路を形成する複
数の道路部分の上に類似度の値がほぼ等しくなると予想
される道路部分上の点が複数存在するとき、この点をす
べて補正候補点として設定する。この補正候補点のうち
のいずれかを、前述した手法で選択すると、実際の車両
の現在位置に対応した補正候補点が得られると考えられ
る。従来技術のナビゲーション装置では、道路の並列評
価を行う補正候補点は、道路の分岐点を車両が通過する
ときだけ生成されていた。前述した条件を満たす補正候
補点は、道路の分岐点を通過するときだけでなく、たと
えば車両が道路の変曲点を通過するたびに生じると考え
られる。ゆえに、交差点など道路の分岐点がなくとも、
補正候補点を容易に設定することができ、車両の進行方
向に沿う方向の現在位置のずれを軽減することができ
る。したがって、高速道路などのように道路の分岐が極
めて少ない道路においても、現在位置の誤差を収束させ
ることができる。
【0020】また本発明の前記現在位置検出手段は、第
1の現在位置を検出する第1位置検出手段と、第1位置
検出手段とは異なる手法を用い、第2の現在位置を検出
する第2位置検出手段とをさらに含み、前記候補点設定
手段は、第1および第2位置検出手段の出力に応答し、
前記道路検索手段によって検索された道路部分の上に、
第1および第2の現在位置を補正すべき点をそれぞれ補
正候補点として設定することを特徴とする。本発明に従
えば、前記現在位置検出手段は、現在位置の検出手法が
異なる第1および第2位置検出手段を有する。第1位置
検出手段は、たとえばGPSであるように、車両の現在
位置の絶対的な位置座標を検出する手段である。この検
出手段では、車両の走行距離および進行方位などを用い
た相対的な位置検出を行わないことが好ましい。第2位
置検出手段は、たとえば車両の走行距離および進行方位
に基づいて、現在位置を検出する。前記候補点生成手段
は、第1および第2位置検出手段から、それぞれの検出
手段が検出した第1および第2の現在位置を得る。これ
ら第1および第2の現在位置に基づいて、補正候補点を
生成する。たとえば、前記道路検索手段によって検索さ
れた道路部分の上に、第1および第2の現在位置を補正
すべき点をそれぞれ設定して、この点を補正候補点とす
る。このように、2つの位置検出手段によって検出され
た現在位置が異なっているとき、この2つの現在位置の
補正すべき点をそれぞれ補正候補点とする。絶対位置で
ある第1の現在位置と相対位置である第2の現在位置の
差は、計測された走行距離のと実際の走行距離とのずれ
に対応していると考えられる。ゆえに、これらの補正候
補点を前述した手法を用いて判定すると、走行距離の誤
差を収束することができる。また、このように検出され
た現在位置に基づいて補正候補点を設定するので、車両
が走行する道路の変曲点の有無に拘わらず、補正候補点
を設定することができる。ゆえに、たとえば高速道路な
ど車両が直進することが極めて多い道路においても、誤
差を収束させることができる。またGPSなど絶対的な
位置座標を検出する検出手段では、計測された車両の走
行距離とは無関係に現在位置を計測するけれども、常時
使用することができないことが多い。たとえばGPS
は、測位衛星を用いた三角測量を行うので、測位衛星か
らの信号が受信されないときには、位置計測を行うこと
ができなくなる。けれども、補正候補点は、連続して位
置座標を検出する必要がない。ゆえに、位置計測が可能
なときにだけ現在位置を計測して、補正候補点を設定す
れば良い。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるナビゲーション装置11の機能的構成を示すブロッ
ク図である。図2は、ナビゲーション装置11の電気的
構成を示すブロック図である。図1および図2を併せて
説明する。
【0022】ナビゲーション装置11は、予め定める周
期毎に位置方位計測部13を用いて計測した車両の計測
現在位置および進行方位を、マップマッチング処理部1
4に与える。マップマッチング処理部14は、記憶装置
15から計測現在位置近傍の道路に関する道路データを
読出し、この道路データで表される道路に対して計測現
在位置のマップマッチング処理を行う。また、道路デー
タとは別に記憶装置15に記憶される表示地図を読出し
て、表示装置16の目視表示領域に目視表示させる。か
つ目視表示された地図データには、車両の計測現在位置
のマッチング結果である補正現在位置に対応する位置に
重ねて、たとえば予め定める図形が表示される。これに
よって、ナビゲーション装置11が認識する車両の現在
位置を、装置11の使用者に提示する。
【0023】位置方位計測部13は、たとえば方位セン
サ21、距離センサ22、GPS受信機23、およびセ
ンサ信号処理回路24を含んで構成される。方位センサ
21は、車両の進行方位を検出して、その出力をセンサ
信号処理回路24に導出する。
【0024】方位センサ21は、たとえば振動ジャイ
ロ、光ファイバジャイロ、ガスレートセンサなど、装置
内部の回転体の回転速度または回転角速度を出力する装
置で実現される。このような装置から出力が与えられる
と、センサ信号処理回路24は、出力に基づいて基準点
からの回転角度または回転角速度を算出し、基準となる
角度と加算することによって、進行方位を求める。この
ように振動ジャイロ、光ファイバジャイロ、ガスレート
センサなどを用いたとき、算出される進行方位は相対方
位となる。また、たとえば地球上の地磁気を検出して絶
対的な進行方位を出力する地磁気センサで実現されても
よい。
【0025】距離センサ22は、たとえば車速センサで
実現される。車速センサは、車両が予め定める単位走行
距離だけ走行する度にパルスを出力する車速パルス信号
をセンサ信号処理回路24に導出する。車速センサは、
たとえば車両の車輪に回転力を与える車軸などの構成の
近傍に取付けられ、この構成が回転するときの回転角度
に対応して、1回転あたり車両毎に設定された予め定め
る数のパルスを出力する。センサ信号処理回路24は、
出力された車速パルス信号のパルス数をカウンタによっ
て計数し、計数されたパルス数に基づいて、車両の走行
距離を求める。
【0026】GPS受信機23は、車両の現在位置を計
測する。GPS受信機23は、地球周回軌道を回る複数
の測位衛星25のうち、少なくとも4個以上の測位衛星
25からの信号を受信し、信号の到達時間差などから各
衛星25と車両との距離を求める。この求められた距離
から三角測量法に基づいて、車両の現在位置の緯度経度
など、絶対位置座標を求める。またGPS受信機23で
は、車両が予め定める速度以上で走行しているとき、測
位衛星25からの信号の周波数が移動方向に応じて推移
するドップラ効果を利用して、車両の進行方位を求める
ことができる。すなわち、車両および測位衛星25の位
置、ならびに信号の周波数の推移量から、車両の絶対的
な進行方位を求めることができる。求められた位置座標
および進行方位は、センサ信号処理回路24に与えられ
る。
【0027】位置方位検出部13では、たとえば緯度経
度で表される車両の現在位置の位置座標を求める。ま
た、たとえば北を基準の0度として示される車両の進行
方位を求める。この絶対的な現在位置および進行方位を
求めることができる構成であれば、上述した方位センサ
21、距離センサ22、GPS受信機23の一部だけを
備えていればよい。たとえば位置方位検出部3は、ジャ
イロである相対方位センサと、車速センサである距離セ
ンサとだけを備える。また、GPS受信機23だけを備
え、進行方位は測位衛星25からの信号のドップラ効果
を用いて求めてもよい。
【0028】中央処理装置26およびメモリ27は、セ
ンサ信号処理回路24およびマップマッチング処理部1
4の構成を兼ねる。各センサ21,22およびGPS受
信機23からの出力、ならびに位置方位計測部13から
マップマッチング処理部14に与えられる車両の計測現
在位置および進行方位は、メモリ27にストアされる。
中央処理装置26は、これら入力結果および記憶装置2
5からの道路データを用いて、各種の演算を行う。
【0029】記憶装置15は、道路データを記録する道
路データ記録媒体29に、各種の地図に対応する道路デ
ータを記録する。また記録媒体29には、前述した表示
地図の地図データが記録される。記録媒体29に記憶さ
れる道路は、道路の長さおよび走行可能方向だけを示す
線分として簡略化されて表される。道路の走行可能方向
を道路方位と称する。道路は、線分であるリンクが複数
接続されて構成される。リンクは、たとえば道路の曲が
り角および交差点などを両端とし、この端部をノードと
称する。
【0030】この記録媒体29は、CD−ROM、IC
カードなど、記憶装置15から着脱可能な構成で実現さ
れる。また、ハードディスク装置のディスクのように、
着脱不可な構成であってもよい。記録媒体29に記録さ
れる道路データは、道路データ読出し装置30を用いて
読出られ、マップマッチング処理部14の中央処理装置
26に与えられる。
【0031】図3は、ナビゲーション装置1のマップマ
ッチング処理部14において行われる位置検出動作を説
明するためのフローチャートである。ナビゲーション装
置1では、位置方位計測部3において計測された車両の
現在位置を、マップマッチング処理部4においてマッチ
ング処理して補正する。マッチング処理とは、予め記憶
される車両の走行軌跡と道路データによる道路形状とを
比較して、走行軌跡が道路形状と一定の範囲で類似する
場合に、車両の計測現在位置を道路上に補正する処理で
ある。このマッチング処理では、車両が道路を走行して
いると仮定して道路に対する類似度を計算し、この類似
度を判定指標として車両位置を補正する道路を選ぶ。マ
ッチング処理は、計測現在位置が計測される度に行われ
る。
【0032】最新の車両の計測現在位置が計測される
と、ステップa1からステップa2へ進む。ステップa
2では、最新の計測現在位置周辺の道路に関する道路デ
ータを記憶装置25から読出し、補正対象となる周辺リ
ンクを抽出する。
【0033】周辺リンクの検索は、以下の手法で行われ
る。たとえば車両の現在位置の計測が初回であるとき、
および計測現在位置の補正が不可能であるとして計測現
在位置の補正が行われなかった後に再度計測現在位置が
計測されたとき、第1の手法が用いられる。計測現在位
置の補正が不可能となるときは、たとえば車両が記録媒
体19に記録される道路以外の道路を走行したために、
計測現在位置が記録された道路のデータから大きくずれ
ているときである。第1の手法では、車両の計測現在位
置の位置座標を中心とした予め定める範囲に含まれるす
べてのリンクを抽出する。予め定める範囲とは、たとえ
ば半径が数百mの円内部である。
【0034】また、少なくとも1度計測現在位置の補正
が行われた後に連続して計測現在位置が計測されたと
き、第2の手法が用いられる。第2の手法では、前回の
計測現在位置の補正結果である過去の補正現在位置を基
準とした予め定める範囲内に含まれるリンクであって、
補正現在位置が存在するリンク、およびその両端のノー
ドと接続されるリンクだけを抽出する。予め定める範囲
とは、過去の補正現在位置から、前回の計測現在位置で
の走行速度で前回の計測から今回の計測までの間に走行
することができる最大距離の数倍の値だけ離れた位置ま
での範囲であり、たとえば経路長が数十mで接続する部
分(リンク)である。
【0035】このような手法で抽出されたリンクを、補
正対象の補正候補点が属するべき周辺リンクとする。リ
ンクを抽出すると、その抽出結果はメモリ27にストア
される。リンクの抽出が終了すると、ステップa2から
ステップa3に進む。ステップa3では、補正候補点h
1〜hNを設定する。この補正候補点は、抽出された周
辺リンク上の点であって、後述する条件を満たす点であ
る。
【0036】たとえば図4に示すように、周辺リンクと
して抽出されたリンクA11,A12がノードB11に
おいて接続されて構成される道路を、車両がリンクA1
1,A12をこの順で通過するように走行するものとす
る。ノードB11を境にして、リンクA11の道路方位
θD11とリンクA12の道路方位θD12とが異な
る。リンクA11には、最新の位置検出動作よりもひと
つ前の位置検出動作である過去の位置検出動作において
計測された計測現在位置の補正結果である過去の補正現
在位置p0が属する。最新の計測現在位置p1は、過去
の補正現在位置p0から進行方位θd方向に存在し、リ
ンクA11,A12のいずれにも属していない。
【0037】たとえば現在位置は相対位置であり、過去
に計測され補正された補正現在位置p0から、計測され
た最新の進行方位に最新の走行距離だけ走行した位置と
して推定されるものとする。相対位置を求めるために用
いられる走行距離は、たとえば車速センサを用い、車輪
が予め定める回転角度だけ回転するたびに出力されるパ
ルスの数から求められる。このとき走行する道路が砂利
道および雪道であるとき、車輪がスリップすることがあ
る。車輪がスリップするとその分だけ走行距離に誤差が
生じ、パルス数と車両の走行距離とが比例しなくなる。
【0038】また進行方位は、たとえばジャイロを用い
て車両の旋回量を計測し、過去の進行方位にこの旋回量
を加算して得られる。ジャイロは、温度変化などによっ
て出力信号のオフセットなどの特性が経時変化すること
がある。これによって、進行方位が狂い、その分だけ計
測される現在位置が狂うことがある。
【0039】さらに、現在位置を補正する基準となる道
路データは、前述したように簡略化されているので、道
路の道幅および勾配などに起因する距離のずれを得るこ
とが困難である。たとえば道路の車両が交差点で右左折
するとき、交差点進入位置から交差点通過位置までの車
両の走行距離は、交差点進入時から通過時までの車両の
走行軌跡によって異なる。特に幅の広い道路では、交差
点進入時および通過時において車両が道路の幅方向のど
のような位置を通過したかによって異なる。道路の道幅
に関するデータが簡略化されているとき、このように異
なる走行軌跡を加味して走行距離を把握することは困難
である。
【0040】このようなデータを用いて計測現在位置の
相対位置を得ると、実際に車両が存在する現在位置と、
計測される計測現在位置p1とがずれる。とくに走行距
離が異なるとき、実際の現在位置と計測現在位置p1と
は、車両の進行方向に沿う方向にずれる。
【0041】補正候補点h1,h2は、たとえばリンク
A11,A12上にそれぞれ設定される。補正候補点h
1は、リンクA11,A12の内で最新の計測現在位置
p1との距離Lが最短である。補正候補点h2は、進行
方位θdと道路方位θDとの方位差分Δθが最小である
リンクA12上に設定され、かつそのリンク上では最新
の計測現在位置p1との距離Lが最短である。距離Lと
方位差分Δθとは、後述する類似度を求めるためのパラ
メータである。
【0042】図5は、任意の周辺リンクAと計測現在位
置p1との位置関係を示す図である。方位差分Δθは、
周辺リンクAの道路方位θDを示すベクトルと進行方位
θdを示すベクトルとのなす鋭角である。方位差分Δθ
を求めるには、たとえばまず道路方位θDから進行方位
θdを減算し、この減算結果(θD−θd)の絶対値を
求める。求められた絶対値|θD−θd|が180度を
越えているとき、絶対値|θD−θd|から180度を
減算する。さらに減算結果が90度を越えているとき、
この減算結果を180度からさらに減算する。これによ
って、方位差分Δθを求めることができる。また、距離
Lは、計測現在位置p1と周辺リンクAとの最短距離で
ある。
【0043】このような補正候補点h1,h2に計測現
在位置p1を補正するとき、各補正候補点h1,h2に
対する類似度は、ほぼ等しくなると考えられる。このよ
うに、類似度を求めるためのパラメータを基準として、
類似度が等しくなると予想されるリンク上に補正候補点
を設定する。
【0044】たとえばマップマッチング処理部14で
は、距離Lおよび方位差分Δθの値の許容範囲を予め設
定して有している。複数の周辺リンクが求められると、
各周辺リンクに対して計測現在位置p1との距離Lおよ
び方位差分Δθを求め、この値が距離Lおよび方位差分
Δθの許容範囲にそれぞれ含まれるか否かを判断する。
含まれるときには、そのリンク上に補正候補点を設定す
る。この補正候補点h1,h2のずれは、前述した走行
距離などに起因すると考えられる。
【0045】また位置方位計測部13が計測現在位置を
計測する手段を複数備えているとき、補正候補点は以下
に示すように設定される。たとえば位置方位検出部13
がセンサ21,22およびGPS受信機23をすべて備
えるとき、計測現在位置p1の絶対位置p1aおよび相
対位置p1bをそれぞれ計測することができる。かつ、
車両の走行方位θdの絶対方位θdaおよび相対方位θ
dbをもそれぞれ計測することができる。
【0046】絶対位置p1aおよび相対位置p1bは、
図6に示すように異なることがある。また絶対方位θd
aおよび相対方位θdbもまた、図6に示すように異な
ることがある。このずれは方位θda,θdbおよび位
置p1a,p1bに含まれる誤差に帰因する。たとえば
絶対位置を計測するGPS受信機23では、複数の測位
衛星25からそれぞれ出力される信号を受信し、この信
号を用いて三角測量を行う。このとき、各測位衛星25
の位置が見かけ上近接すると、計測誤差が大きくなる。
また信号を受信することができる測位衛星の数が少ない
ときも、計測誤差が大きくなる。また、相対位置p1b
および相対方位θdbもまた、前述した誤差によって実
際の位置からずれていることがある。
【0047】このとき、絶対位置p1aおよび相対位置
p1bのいずれが実際の車両の現在位置により近いのか
を判断することは困難である。同様に、絶対方位θda
および相対方位θdbのいずれが実際の車両の進行方位
により近いのかを判断することは困難である。ゆえにこ
のとき、絶対位置p1aと絶対方位θdaとが正しい車
両の計測現在位置および走行方位であると仮定して、周
辺リンクの1つであるリンクA14上に絶対位置p1a
を補正すべき補正候補点h5を設定する。同様に、相対
位置p1bと相対方位θdbとが正しい車両の計測現在
位置および走行方位であると仮定して、周辺リンクの1
つであるリンクA14上に相対位置p1bを補正すべき
補正候補点h4を設定する。
【0048】このように、絶対位置p1aおよび相対位
置p1bを基準とすると、道路形状にかかわりなく補正
候補点を複数設定することができる。このような設定手
法を用いると、たとえば高速道路のように直線が多く単
一リンクの長さが長い道路においても、複数の補正候補
点を設定することができる。
【0049】GPS受信機23は、地球周回軌道を周回
する複数の測位衛星25からの信号を受信して、位置計
測を行う。ゆえにたとえばトンネルなど測位衛星25か
らの信号を受信することができない場所では、使用する
ことができない。また受信信号の電界強度が極端に弱ま
っていると、測定結果に誤差が大きくなる。また信号を
受信することができる測位衛星25の数が少なかった
り、信号を送信する複数の測位衛星25の位置が見かけ
上近接しているときにも、測定結果の誤差が大きくな
る。ゆえにGPS受信機23を用いて常時絶対位置p1
aを測定することは難しい。補正候補点h5を求めると
きは、単一回の計測時に絶対位置p1aおよび絶対方位
θdaを求めるだけでよい。ゆえに絶対位置p1aを用
いて補正候補点h5を設定する動作は、GPS受信機2
3を使用することができる時だけ行われるようにしても
よい。
【0050】また、車両が変曲点を通過しないとき、お
よびGPS受信機23が使用不可能であるときには、既
に設定されている補正候補点を用いて、次の補正候補点
を設定する。たとえば図4に示す補正候補点h1,h2
を前回の補正動作において設定したとする。この補正動
作に続いて行われる補正動作では、補正候補点h1,h
2から最新の進行方位に向かって最新の進行距離だけ走
行した位置を計測現在位置とそれぞれ見なし、この計測
現在位置との距離Lが最短であって方位差分Δθが最小
であるリンク上に新たな補正候補点を設定する。
【0051】複数の補正候補点を設定すると、その補正
候補点の数を変数Nに設定する。このように、補正候補
点h1〜hNが設定されると、ステップa3からステッ
プa4に進む。ステップa4では、類似度演算の初期設
定を行う。類似度は複数の補正候補点が属する周辺リン
クの中から実際に車両が走行している可能性が最も高い
リンクを判定するための判定指標であり、補正候補点h
1〜hNが属するリンクそれぞれに対して求められる。
【0052】ステップa4では、類似度演算が終了した
リンク数を計数するためのカウンタnに0が代入されて
リセットされる。また類似度の最大累積結果をストアす
るための変数である最大累積ΣEmaxに類似度Eの最
小値Eminがストアされる、類似度Eの最小値Emi
nは、たとえば記録媒体29に記録されていない道路を
車両が走行するときの類似度である。初期設定が終了す
ると、ステップa4からステップa5に進む。
【0053】ステップa5では、カウンタnの値が変数
Nよりも小さいか否か、すなわち抽出された全ての補正
候補点h1〜hNが属する各リンクに対して類似度演算
が終了したか否かが判断される。終了していないときに
は、ステップa6に進む。
【0054】ステップa6では、補正候補点h1〜hN
のうち、メモリにストアされた順序がカウンタnの値と
同一の補正候補点(以後、「補正候補点hn」と称す
る)が属するリンク(以後、「リンクAn」と称する)
に対して類似度演算を行う。類似度Eは、以下の式で求
められる。
【0055】 E = F×f + G×g …(1) fは方位類似度、gは距離類似度である。FおよびG
は、方位類似度および距離類似度に対する重み係数であ
る。
【0056】方位類似度fは、方位差分Δθに基づい
て、図7の実線41に示すように決定される。方位類似
度fは、方位差分Δθが最小である0のときに最大値f
maxであり、方位差分Δθが大きくなるほど線形的に
小さくなり、方位差分Δθ1で最小値である0となる。
距離類似度gは、距離Lに基づいて、図8の実線42に
示すように決定される。距離類似度gは、距離Lが最小
である0のときに最大値gmaxであり、距離Lが大き
くなるほど線形的に小さくなり、距離L1で最小値であ
る0となる。
【0057】重み係数F,Gは、方位類似度fおよび距
離類似度gにそれぞれ重みづけする。すなわち、マッチ
ング処理によって位置補正を行うときに、方位差分Δθ
が小さいことを重視するか、距離Lが小さいことを重視
するかによって定められる。この重み係数はF,Gは、
たとえば等しい値に設定される。
【0058】このように、補正候補点hnが属するリン
クAnに対して、方位差分Δθおよび距離Lに基づいた
類似度Eを求める。類似度Eが大きい程、過去の現在位
置の計測から最新の現在位置の計測までの間の車両の走
行軌跡がリンクAnの道路形状と類似していることを示
す。リンクAnに対する類似度Eが演算されると、ステ
ップa6からステップa7に進む。
【0059】ステップa7では、補正候補点hnの累積
類似度ΣEnを求める。図4および図5で示すように、
新たに補正候補点を設定したとき、各補正候補点h1,
h2;h4,h5の累積類似度ΣE1,ΣE2,ΣE
4,ΣE5の初期値は、過去の補正現在位置p0が有す
る累積類似度とする。また前述したように、補正候補点
hnが過去の補正候補点に基づいて設定されていると
き、補正候補点hnの累積類似度の最初の値は、この過
去の補正候補点が有する累積類似度である。これらの累
積類似度に、最新の補正動作において設定された補正候
補点hnに対する類似度Eを累積加算して、補正候補点
hnの累積類似度ΣEnを求める。
【0060】 ΣEn = ΣEn + E …(2) この累積類似度ΣEnは、後述するように、最終的な現
在位置を選択する選択指標として用いられる。かつ、次
回の補正動作において、補正候補点hnに基づいて新た
に補正候補点を設定するか否かを判定する判定指標にも
用いられる。累積類似度ΣEnと補正候補点hnとは、
たとえばメモリ27に関連されてストアされる。
【0061】累積類似度の演算が終了すると、ステップ
a7からステップa8に進む。ステップa8では、補正
候補点hnの累積類似度ΣEnが、演算された累積類似
度の最大値をストアするための変数である最大累積ΣE
maxにストアされる値よりも大きいか否かが判断され
る。
【0062】 ΣEn > ΣEmax …(3) 最大累積ΣEmaxの値よりも補正候補点hnの累積類
似度ΣEnが大きいとき、補正候補点hnが最新の計測
現在位置p1の補正現在位置である確率が、ステップa
1で抽出された全ての周辺リンクであって累積類似度Σ
Enの演算補正が終了した補正候補点のうちで最大であ
ると判断される。このときステップa8からステップa
9に進み、最大累積ΣEmaxに補正候補点hnの累積
類似度ΣEnを代入して更新する。最大累積ΣEmax
の更新が終了すると、ステップa10に進み、計測現在
位置p1の補正現在位置を、最適補正候補点hに代入す
る。設定すると、ステップa10からステップa11に
進む。またステップa8において、最大累積ΣEmax
の値よりも補正候補点hnの累積類似度ΣEnが小さい
とき、計測現在位置p1の補正現在位置は補正候補点h
n以外の別の補正候補点であると判断される。このとき
には、ステップa7からそのままステップa11に進
む。
【0063】計測現在位置p1には、前述した計測誤差
が含まれる。また道路データには道路を簡略化したため
に生じる精度誤差が含まれる。これらの誤差の兼合いに
よって、実際には最良であるはずの補正候補点の累積類
似度ΣEの値が、補正候補点h1〜hNの累積類似度の
中で最大ではないことがある。ゆえに、本実施形態のナ
ビゲーション装置11では、ある位置検出動作時に複数
の補正候補点を設定すると、その位置検出動作以後の位
置検出動作では、各補正候補点に基づいて新たに補正候
補点を設定し、その類似度を累積する。ある補正候補点
に基づいて順次設定されて行く補正候補点が実際の車両
の走行軌跡と一致するほど、累積類似度は大きくなる。
ゆえに一時的に最大類似度Eが誤っているときにも、位
置検出動作を繰返すことによって、累積類似度ΣEの値
が最大となる。
【0064】特に、計測現在位置p1が、車両の走行方
向に沿う方向にずれているとき、車両が変曲点を通過す
るとき走行軌跡と道路形状とにずれが生じる。この時、
各補正候補点h1〜hNに対する類似度に差が生じる。
このとき道路の形状変化が小さいと、各補正候補点h1
〜hN間の類似度の差分は小さく、計測現在位置p1お
よび道路データの誤差に起因する差分と区別がつかない
ことがある。類似度を累積すると、車両が変曲点を通過
する度に各補正候補点h1〜hN間の累積類似度の差分
が大きくなる。これによって、最良の補正位置を設定す
ることができる。
【0065】ステップa11では、補正候補点hnに対
する累積類似度ΣEnの演算および判定が終了したとし
て、カウンタnに1加算して更新する。カウンタnの更
新が終了すると、ステップa11からステップa5に戻
り、続いて補正候補点h(n+1)に対する累積類似度
ΣE(n+1)の演算および判定の動作を行う。このよ
うに、各補正候補点hnに対する累積類似度Enの演算
および判定の動作は、N回繰返される。
【0066】ステップa5でカウンタnの値が変数Nの
値以上となると、全ての補正候補点h1〜hNに対して
累積類似度Eの演算補正および判定動作が終了したと判
断する。動作が終了すると現在位置を補正するべき補正
候補点hが確定したと判断される。この補正候補点を用
いてナビゲーションが行われる。ナビゲーションとして
は、たとえば表示装置16の目視表示領域に車両の現在
位置を含む周辺の道路データを目視表示する。この道路
データの上において確定された補正候補点に対応した位
置に、たとえば予め定めるキャラクタなどを表示して、
装置11の使用者に車両の現在位置を提示する。
【0067】全ての補正候補点h1〜hNに対する演算
が終了すると、ステップa11からステップa11Aに
進み、カウンタnに0を代入してリセットする。カウン
タnをリセットすると、ステップa11Aからステップ
a12に進む。ステップa12では、カウンタnの値が
変数Nよりも小さいか否かが判断される。小さいときに
は、ステップa13に進む。ステップa13では、補正
候補点hnの累積類似度ΣEnと最大累積ΣEmaxと
の差の値が、予め定める差分ΔE以上であるか否かが判
断される。
【0068】 (ΣEmax − ΣEn)≧ ΔE …(4) 前述したように、累積類似度は、各補正候補点h1〜h
Nのうちで車両の現在位置を補正すべき最良の点を選択
する選択指標である。これら補正候補点h1〜hNは、
走行距離のずれなどの影響が大きく実際の現在位置から
ずれるほど、類似度Eが小さくなる。ゆえに累積類似度
の増加率が低下し、最良の補正候補点の累積類似度と比
較して、その値が小さくなると考えられる。したがっ
て、最大累積ΣEmaxから予め定める差分ΔEだけ小
さい値を下限値とすると、累積類似度ΣEnが下限値を
越えて下回るとき、補正候補点は実際の現在位置から大
きくずれていて、類似度が再び最大になる可能性は低い
と見なされる。
【0069】前記差の値が差分ΔE以上であるとき、ス
テップa13からステップa14に進み、補正候補点h
nを補正対象から除外して、ステップa15に進む。た
とえば補正候補点hnに関するデータをメモリ27から
削除する。これによって、以後の補正動作において、補
正候補点hnに基づいた新たな補正候補点は設定されな
い。前記差の値が差分ΔE未満であるとき、ステップa
13からそのままステップa15に進む。
【0070】ステップa11では、補正候補点hnの累
積類似度ΣEnの判定が終了したとして、カウンタnに
1加算して更新する。カウンタnの更新が終了すると、
ステップa15からステップa12に戻り、続いて補正
候補点h(n+1)の累積類似度ΣE(n+1)の判定
の動作を行う。このように、各補正候補点hnの累積類
似度Enの判定の動作は、N回繰返される。
【0071】このように、累積類似度ΣEnが最大累積
ΣEmaxを基準とした予め定める許容範囲を下回る補
正候補点hnを順次除外する。本フローチャートの位置
検出動作を複数回繰返し、そのたびに許容範囲外となる
補正候補点を除外して行くと、現在位置として可能性の
高い累積結果を有する補正候補点を残すことができる。
累積値が最大の補正候補点は、実際の車両の現在位置に
最も近いと考えられるので、車両の現在位置を最も実際
の位置に近い候補点に補正することができる。
【0072】また類似度は、現在位置の計測誤差および
道路データの精度誤差などによっても小さくなる。これ
らの誤差に起因する類似度の減少分によって累積結果が
狂い、類似度の最大累積結果を有する補正候補点が実際
の現在位置から外れた点であることが考えられる。ゆえ
に前述した差分ΔEは、この誤差による類似度のずれが
影響しない程度に大きく設定されることが好ましい。
【0073】ステップa12でカウンタnの値が変数N
の値以上となると、全ての補正候補点h1〜hNに対し
て累積類似度ΣEの除外動作が終了したと判断する。動
作が終了すると、ステップa12からステップa16に
進み、現在位置を最適補正候補点hに補正してステップ
a17に進み、当該フローチャートの処理動作を終了す
る。
【0074】これによって、計測現在位置をより確から
しい補正現在位置に補正することができる。また、補正
候補点を連続して接続されるリンクの道路方位に沿う方
向である前後方向に設定するので、この方向に生じる誤
差を収束することができる。
【0075】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、車両位置
検出装置は、車両の現在位置を検出し、その現在位置を
複数の道路部分と車両の走行軌跡とに基づいて補正し
て、最終的な現在位置を得る。このときマップマッチン
グ手段は、計測された現在位置近傍の道路部分に複数の
補正候補点を設定する。これら設定された補正候補点に
対して並行に、類似度演算を行い演算結果を累積加算す
る。この累積加算結果が最大である補正候補点を、現在
位置を補正すべき補正候補点であると判定する。
【0076】類似度の値は道路の変曲点で接続される2
本の道路部分の道路方位の差が大きいほど大きく変化す
る。ゆえに変曲点での道路の形状変化が小さいとき、類
似度が低下した原因が走行距離のずれおよび現在位置の
計測誤差のどちらであるか区別がつかないことがある。
このとき現在位置を設定された複数の補正候補点にそれ
ぞれ補正されたと仮定し、各補正候補点に基づいて以後
現在位置の仮補正を並列して行う。実際の車両の現在位
置と一致していない補正候補点を基準として現在位置の
補正を行うと、次の変曲点通過時にもまた類似度が減少
する。このように変曲点通過のたびに減少する類似度を
累積加算すると、実際の車両の位置と一致している補正
候補点に対する累積結果と、一致していない補正候補点
に対する累積結果との差が増大する。ゆえに実際の車両
の現在位置と一致または近接している補正候補点を確実
に選択することができる。
【0077】このように、変曲点を有する道路であれ
ば、複数の補正候補点を用いて最良の補正候補点を選ぶ
ことができる。これによって、車両進行方位に沿った補
正候補点の誤差を収束することができる。また車両の現
在位置のずれを、道路の分岐点が存在しないときでも補
正することができる。したがって、より正しい現在位置
を用いてナビゲーションを行うことができるので、実用
性の高いロケーション(マップマッチング)装置を有す
るナビゲーション装置を実現することができる。
【0078】また本発明によれば、マップマッチング手
段は、複数の補正候補点を設定して、各補正候補点に対
する類似度の累積結果を並列評価する。この累積結果
が、最大の累積結果を基準とした予め定める許容範囲外
となると、その累積結果を有する補正候補点を、現在位
置の補正候補から除外する。この許容範囲は、上限値が
最大の類似度の累積結果の値であり、下限値が最大の類
似度の累積結果から予め定める値だけ下回る値である。
【0079】補正候補点は、変曲点通過時などに複数生
成される。補正候補点を設定した補正動作後に行われる
次の補正動作時には、前回の補正動作で設定された各補
正候補点に現在位置をそれぞれ補正したものと見なし、
前回の各補正候補点を基準として設定される。このよう
に過去の補正候補点を基準として設定された最新の補正
候補点での類似度を、過去の補正候補点の累積結果に加
算して、最新の補正候補点での累積結果とする。
【0080】ゆえに、過去の補正候補点が実際の補正候
補点と一致または近接していないとき、この候補点を基
準とした補正候補点は、道路の変曲点通過前後における
補正動作において類似度が減少する。ゆえに、累積結果
が許容範囲の下限値を下回るとき、過去の補正候補点が
実際の現在位置と一致していなかったものと見なされ
る。ゆえに候補点除外手段は、この補正候補点に関する
類似度演算を打切り、補正候補から除外する。このよう
に、補正候補点が実際の現在位置から外れている可能性
が大きなものから順次補正候補から除外する。これによ
って、最終的に最良の補正候補点であるものが残され
る。このように複数の補正候補点を順次減少させるの
で、一回の補正動作における類似度演算の回数を順次減
少させることができる。ゆえにマップマッチング手段に
おける演算時間が短縮される。
【0081】また、計測誤差および道路データの精度誤
差などによって、計測された現在位置が道路データ上の
道路部分から外れ、類似度が小さくなることがある。こ
れによって類似度の累積結果の差が小さいときは、最大
の累積結果を有する補正候補点が入替わることがある。
前述したように、実際の現在位置から外れている可能性
が極めて大きい補正候補点から順次補正候補から除外す
ると、累積結果が類似する補正候補点は、類似度演算を
多数回繰返して累積結果の差が大きくなった後に判定さ
れることになる。ゆえに、最大の累積結果を有する補正
候補点が誤っているときでも、最良の累積結果を有する
補正候補点の判定を続行することができる。
【0082】さらにまた本発明によれば、前述した補正
候補点は、過去の現在位置が補正された道路部分および
その道路部分に接続される道路部分上に設定される。こ
れら補正候補点は、すなわち、類似度を求めるために用
いられパラメータが類似の値を示し、類似度がほぼ等し
い値となると予想される位置に設定される。このような
条件を満たす道路部分、たとえば道路の変曲点である。
従来技術の装置では、補正候補点は道路の分岐点を通過
するときだけ設定されていたけれども、本発明の装置で
は、道路が分岐している必要がない。ゆえに高速道路な
ど分岐が極めて少ない道路を車両が走行するときにも、
複数の補正候補点を設定することができる。
【0083】またこの補正候補点は単一道路を形成する
複数の道路部分上に設定される。このような道路上であ
って前述した条件を満たす点は、車両の進行方向に沿う
方向に並んで設定される。この補正候補点の位置のずれ
は、走行距離の計測誤差など前記沿う方向の誤差に起因
する。従来技術の装置では、前記沿う方向の誤差を収束
させることが困難であってけれども、本発明の装置で
は、容易にこの誤差を収束させることができる。
【0084】また本発明によれば、複数の補正候補点
は、異なる手法で計測された第1および第2の現在位置
を補正すべき点として設定される。たとえば、第1の現
在位置をGPSを用いて測定し、第2の現在位置を車両
の旋回量および走行距離から相対的に求めるとする。こ
のとき第1および第2の現在位置の差は計測された走行
距離のと実際の走行距離とのずれに対応する。ゆえに、
これらの補正候補点を前述した手法を用いて判定する
と、走行距離の誤差を収束することができる。これらの
補正候補点は、道路の変曲点の有無に拘わらず設定する
ことができる。ゆえに、たとえば高速道路など、車両が
直進することが極めて多い道路においても、走行方向に
沿う方向の誤差を収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるナビゲーション装
置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置1の電気的構成を示すブロ
ック図である。
【図3】ナビゲーション装置1において行われる位置検
出動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】道路の変曲点近傍において設定される補正候補
点h1,h2と、計測現在位置p1との位置関係を示す
図である。
【図5】周辺リンクAと計測現在位置p1との位置関係
を示す図である。
【図6】計測現在位置の絶対位置p1aおよび相対位置
p1bと、補正候補点h5,h4との位置関係を示す図
である。
【図7】方位類似度fと方位差分Δθとの関係を示すグ
ラフである。
【図8】距離類似度gと距離Lとの関係を示すグラフで
ある。
【図9】従来技術のナビゲーション装置において設定さ
れる補正候補点を示す図、および各補正候補点における
類似度の累積結果の時間変化を説明するためのグラフで
ある。
【符号の説明】
11 ナビゲーション装置 13 位置方位計測部 14 マップマッチング処理部 15 記憶装置 16 表示装置 21 方位センサ 22 距離センサ 23 GPS受信機 24 センサ信号処理回路 29 道路データ記録媒体 30 道路データ読出し回路 E 類似度 An;A11,A12;A14,A15;A;A リン
ク L 距離 p0 過去の補正現在位置 p1 計測現在位置 θd 進行方位 θD 道路方位 Δθ 方位差分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−29189(JP,A) 特開 平3−265887(JP,A) 特開 平6−129868(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 21/00 - 21/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の道路部分から構成される道路デー
    タが記録された道路データ記録手段と、 道路データ記録手段から、道路データを読出す読出し手
    段と、 車両の現在位置および進行方向を検出する位置方位検出
    手段と、 読出し手段、位置方位検出手段の出力に応答し、車両の
    現在位置を補正するマップマッチング手段とを含む車両
    位置検出装置であって、 前記マップマッチング手段は、車両の現在位置に対応す
    る複数の補正候補点を求め、各補正候補点に対して並列
    に各補正候補点が属する道路部分と車両の走行軌跡との
    類似度を求める毎に累積し、この類似度の累積結果に基
    づきいずれかの補正候補点を車両の現在位置とすること
    を特徴とする車両位置検出装置。
  2. 【請求項2】 複数の道路部分から構成される道路デー
    タが記録された道路データ記録手段と、 道路データ記録手段から、道路データを読出す読出し手
    段と、 車両の現在位置および進行方向を検出する位置方位検出
    手段と、 読出し手段、位置方位検出手段の出力に応答し、車両の
    現在位置を補正するマップマッチング手段とを含む車両
    位置検出装置であって、 前記マップマッチング手段は、 記録された道路データから、検出された現在位置に近い
    道路部分を検索する道路検索手段と、 道路検索手段の出力に応答し、道路部分上に複数の補正
    候補点を設定する候補点設定手段と、 候補点設定手段の出力に応答し、各補正候補点毎に車両
    の現在位置と候補点との距離、および候補点が属する道
    路部分の道路方位と車両の進行方位との方位差分に基づ
    いて類似度を演算し累積する類似度演算累積手段とを備
    え、 類似度演算累積手段が類似度を求める毎に、各補正候補
    点の類似度の累積結果を比較して、いずれかの補正候補
    点を車両の現在位置とすることを特徴とする車両位置検
    出装置。
  3. 【請求項3】 前記マップマッチング手段は、 記録された道路データから、検出された現在位置に近い
    道路部分を検索する道路検索手段と、 道路検索手段の出力に応答し、道路部分上に複数の補正
    候補点を設定する候補点設定手段と、 候補点設定手段の出力に応答し、各補正候補点毎に車両
    の現在位置と候補点との距離、および候補点が属する道
    路部分の道路方位と車両の進行方位との方位差分に基づ
    いて類似度を演算し累積する類似度演算累積手段とを備
    え、 類似度演算累積手段の出力に応答し、各補正候補点の類
    似度の累積結果を比較して、各補正候補点の累積結果の
    うち類似度が最大の累積結果を基準として予め定める許
    容範囲外となる小さい他の累積結果を有する補正候補点
    を、以後の類似度演算から除外する候補点除外手段とを
    含むことを特徴とする請求項1または2記載の車両位置
    検出装置。
  4. 【請求項4】 前記候補点設定手段は、前記道路検索手
    段によって検索された複数の道路部分のうち、過去の現
    在位置が補正された道路部分およびその道路部分に接続
    され、道路部分の道路方位と計測された進行方位との方
    位差分、および道路部分と計測された現在位置との距離
    のうち少なくとも一方が予め定める範囲に含まれる複数
    の道路部分上に、それぞれ補正候補点を設定することを
    特徴とする請求項2または3記載の車両位置検出装置。
  5. 【請求項5】 前記位置方位検出手段は、 第1の現在位置を検出する第1位置検出手段と、 第1位置検出手段とは異なる手法を用い、第2の現在位
    置を検出する第2位置検出手段とをさらに含み、 前記候補点設定手段は、第1および第2位置検出手段の
    出力に応答し、前記道路検索手段によって検索された道
    路部分の上に、第1および第2の現在位置を補正すべき
    点をそれぞれ補正候補点として設定することを特徴とす
    る請求項1〜4記載の車両位置検出装置。
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