JP3011965B2 - パルス幅変調回路の故障診断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、パルス幅変調回路の故障診断装置に関し、
特に、故障診断の応答速度および故障診断精度を向上さ
せることができるパルス幅変調回路の故障診断装置に関
する。

（従来の技術） 従来のパルス幅変調回路（以下、PWM回路という）の
故障診断装置のブロック図を第３図に示す。

同図において、変調すべきテジタル信号が信号源１か
らPWM回路２に入力され、入力された信号の大きさに応
じたパルス幅（デューティ比）の信号が出力される。PW
M回路２の出力信号はローパスフィルタ３で平滑化さ
れ、A/D変換器４でデジタル信号に変換された後、比較
器５に入力される。該比較器５では、A/D変換器４から
入力される信号と前記信号源１からの信号とが比較さ
れ、該２つの信号の一致および不一致を示す信号が出力
される。故障診断部６では、比較器５から前記２つの信
号の不一致を示す信号が供給された場合に故障判定信号
を出力する。

（発明が解決しようとする課題） 上記の故障診断装置では、次のような問題点がある。

ローパスフィルタ３に入力された信号が平滑化され、
安定した信号となって出力されるまでの過渡期において
は、ローパスフィルタ３の出力信号と信号源１からの信
号とを比較した場合、該２つの信号は不一致となり、PW
M回路２が故障であると判定される。すなわち、ローパ
スフィルタ３の時定数が大きいと、正確な故障診断がで
きるようになるまで時間がかかるという問題点があっ
た。

一方、ローパスフィルタ３の時定数を小さくすると、
出力信号の精度が劣化して誤った故障診断が行われるこ
とがあるという問題点がある。

本発明の目的は、上記の問題点を解決し、ローパスフ
ィルタ３の出力信号が安定するまでの過渡期においても
正確な故障診断を行えるようにしたパルス幅変調回路の
故障診断装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段および作用） 前記の問題点を解決し、目的を達成するために、本発
明は、PWM回路の出力信号を平滑化するローパスフィル
タと、該ローパスフィルタの出力信号をA/D変換するた
めのA/D変換器と、前記PWM回路の入力信号を供給されて
前記ローパスフィルタの出力信号に近似させて模擬信号
を発生するデジタルフィルタと、前記A/D変換器から出
力される信号および前記デジタルフィルタから出力され
る模擬信号を比較する比較器と、前記A/D変換器から出
力される信号および模擬信号が不一致の場合に故障判定
信号を出力する故障診断部とを具備した点に特徴があ
る。

上記の構成を有する本発明では、A/D変換されたロー
パスフィルタの出力信号と、これに近似するデジタルフ
ィルタの出力信号とを比較することができるので、PWM
回路に入力される信号の切換え時、つまり過渡期におい
ても、ローパスフィルタから出力される信号に基づいて
故障診断を行うことができる。

（実施例） 以下に図面を参照して、本発明の一実施例を説明す
る。

第１図は本発明の実施例を示す回路図であり、第３図
と同符号は同一または同等部分を示す。

第１図に示した回路は、自動車用電動パワーステアリ
ングシステムのモータトルクを制御するための制御回路
であり、PWM回路２からの出力信号によって負荷（モー
タ）に対する通電時間（デューティ比）が制御されてモ
ータトルクが制御される。

同図において、図示しないセンサの検出信号、例えば
ステアリングのトルク検出信号が制御回路８に入力され
ると、制御回路８では該センサの検出信号に基づいて前
記負荷７に対する通電時間が算出される。デューティ比
設定部９では、算出された通電時間に基づいてデューテ
ィ比を決定し、該デューティ比に応じたデジタル信号を
PWM回路２に供給する。

PWM回路２では、供給されたデジタル信号がパルス幅
変調される。パルス幅変調された信号はトランジスタ10
のベースに印加され、該信号に応じたデューティ比でト
ランジスタがオン状態となり、前記デューティ比に応じ
た大きさの電流が電源11か負荷７に供給される。

電源11からの電流によって負荷７の両端に生ずる電圧
信号は、増幅器12で増幅されてローパスフィルタ３に入
力される。A/D変換器４はローパスフィルタ３から供給
される信号をデジタル化して比較器５に出力する。

デジタルフィルタ13は、該デジタルフィルタ13に入力
された信号を前記ローパスフィルタ３の平滑化特性に近
似した特性で信号変換する演算機能を有する。該デジタ
ルフィルタ13には前記デューティ比設定部９の出力（デ
ジタル）信号が取込まれて演算処理が加えられる。

比較器５では、デジタルフィルタ13で演算処理された
信号と、A/D変換器４の出力信号とが比較され、該２つ
の信号の一致または不一致を示す信号が故障診断部６に
供給される。なお、該２つの信号の一致は予定の許容範
囲内での一致を意味することは当然である。

また、信号遅延時間や演算時間を考慮して比較器５の
２つの入力信号の入力タイミングを合わせることも当然
である。

同図において、鎖線で囲まれた部分はマイクロコンピ
ュータ（CPU）で構成することができる。

次に、上記のように構成された本実施例の作用を説明
する。

第２図は、PWM回路２への入力がステップ状に変化し
た時の信号変換の様子を示す信号波形の模式図である。

同図において、デューティ比設定部９の出力信号、つ
まりPWM回路２の入力信号は波形ａで示し、PWM回路２の
出力信号は波形ｂで示す。また、PWM回路２の出力信号
によって制御された負荷７のの電流をローパスフィルタ
３で平滑化した後の信号を波形ｃ、デューティ比設定部
９の出力信号をデジタルフィルタ13で演算処理した後の
信号を波形ｄで示す。

同図に示したように、デジタルフィルタ13では、その
出力特性をローパスフィルタ３の平滑特性に近似させる
ように演算処理が行われるので、波形ｃおよび波形ｄは
近似する。

特に、デューティ比設定部９の出力信号が変化した後
の過渡期（図中の範囲Ｇ）において、従来の装置では一
致することがなかった波形ｃおよび波形ｄを一致させる
ことができる。

すなわち、第３図に示した従来の装置では、PWM回路
２に入力される信号、つまり波形ａの信号が比較器５に
供給され、ローパスフィルタ３の出力信号（波形ｃ）の
A/D変換信号と比較される。したがって、デューティ比
設定部９の出力信号（波形ａ）が変化してしばらくの間
は、波形ａと波形ｃとは一致しないため、故障診断部６
で故障の判断をしてしまうが、本発明ではこのようなこ
とはない。

以上の説明のように、本実施例では、デジタルフィル
タ13によって、PWM回路２の正常状態におけるローパス
フィルタ３の模擬出力信号を得るようにした。したがっ
て、PWM回路２が故障していない場合は、比較器５に入
力される２つの信号は一致する。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、PW
M回路に入力される信号が変化した後の過渡期において
も正確な故障診断が行えるので、故障診断の速度および
精度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す回路図、第２図は信号
波形の模式図、第３図は従来技術の例を示す回路図であ
る。 ２……PWM回路、３……ローパスフィルタ、４……A/D変
換器、５……比較器、６……故障診断部、９……デュー
ティ比設定部、13……デジタルフィルタ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パルス幅変調回路の出力信号を平滑化する
   ローパスフィルタと、 該ローパスフィルタの出力信号をA/D変換するためのA/D
   変換器と、 前記パルス幅変調回路の入力信号が供給されて前記ロー
   パスフィルタの出力信号に近似させた模擬信号を発生す
   るデジタルフィルタと、 前記A/D変換器の出力信号、およびデジタルフィルタか
   ら出力される模擬信号を比較する比較器と、 前記A/D変換器の出力信号および模擬信号が不一致の場
   合に故障判定信号を出力する故障診断部とを具備したこ
   とを特徴とするパルス幅変調回路の故障診断装置。