JP3011277U - トラックの幌の収納装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案に係るトラックの幌の収納装置は、巻
き込み・引き出しを自在とした幌収納装置を運転席屋根
上に設置し、短時間かつ省力的に、幌布の張設または撤
収を行い、必要に応じては要部を自動化出来るという目
的を有する。 【構成】 幌収納ケース本体に、それを貫くシャフトと
それに接合する巻き取り軸を備え、減速したモーターの
回転を伝動することによって、その軸に結合したロープ
および幌布を容易に引き出しまたは収納可能とした。シ
ャフトは、一方向にのみ回転できる。幌布は、側面を折
り返して、簡便に幌上面に簡易接合される。幌骨は、車
体側壁に組み立てられ、位置換えも簡単にできる。モー
ターは、減速および正逆回転機構を備え、さらに遠隔操
作できる構成である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、トラックの幌の収納装置に関するものである。本考案に係るトラッ クの幌の収納装置では、巻き込み・引き出しを自在とした幌布収納装置を運転席 のほぼ上方に設置することを特徴とする。その結果、短時間かつ省力的に、幌布 の展設又は撤収を行える効果がある。さらに必要に応じては要部を自動化出来る という発展性も有する。

【０００２】

【従来の技術】

一般区域における貨物運搬車として従来から、平ボデー車が汎用されている。 しかし当該車種は、積み荷の形態に応じて比較的簡単に積み込み方を変えられる という利点はあるものの、積載荷物を日光・雨風から保護するための幌掛けがた いへんという難点がある。すなわち、運送作業従事者は、積載荷の状況や、天候 （とくに降雨）に応じて、高さ１．８メートル程度の車体並びに幌骨体上方に、 重さ約５０キログラムもある幌布を持ち上げ、大方は一人で、これを展設しなけ ればならない。また荷役後、彼らは、逆にそうした高所に上がり、幌布の掛かり を外し、それらを折り畳んでシート台等の上に撤収しなければならない。そうし た難点が、運送作業従事者に敬遠される要因となり、ひいては平ボデー車の活用 度合をせばめる結果を招来している。

【０００３】 そうした問題を克服するため従来から、容易に幌掛け・収納作業の可能な装置 や車両が提案・例示されている。例えば、実用新案公報 昭６２−５３９６号並 びに昭６２−３４８２２号。また、同平３−１６７３２号 等。 しかしながら、上記例示はいずれも、あらかじめ荷台及び幌等に特殊な装置・ 部材を装備しておく改善提案である。したがって、ごく一般的なトラック等の使 用者は、依然として幌掛けに苦心難行しているのが現状である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 本考案は、これらの欠陥を改良し、簡易的かつ省力的に、幌の展設・収納出来 る収納装置を提供するために、鋭意検討してなされたものである。本考案の適用 対象としては、一般的なトラック（いわゆる平ボデー車）を考えている。さらに 必要に応じては、要部を自動化することにより、極力運送作業従事者の労力を軽 減出来ることも課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、以下のように構成される。 （ａ）横長の箱状ケースを幌収納ケース本体とし、これをトラック運転席のほぼ 上方に設置する、設置場所は、さらに詳細には、運転台と荷台の連結部の補 強枠すなわち俗称“鳥居”の上に固定することが好ましい。 （ｂ）幌収納ケース本体の長辺内部を貫通して両壁に支持されるシャフト、およ びそれに接合し、かつ一方向のみに制限されて回転自在となるようにした巻 き取りドラムを設け、 （ｃ）当該シャフトの一端に動力受動端を接合し、 （ｄ）モーターに減速機構および動力伝達機構を設け、動力伝達手段により、（ ｃ）項のシャフトへ回転力を伝えるとともに、遠隔操作を可能とする電源線 およびスイッチボックスを結線する、 （ｅ）幌収納ケース本体の長辺部分を切り欠き、それを開閉自在となし、その部 分を引き出し・巻き取り口となす、

【０００６】 （ｆ）幌布をトラックの荷台上面及び側面が覆い尽くされる形状とし、その側面 を折り返えす、とともに折り返し後は上面部に簡易接合できる接合具を随所 に設ける、 （ｇ）幌上面と側面が稜線を成す部分にロープを設ける、当該ロープの長さは、 幌布の２倍以上を有し、一端は巻き取りドラムに結線される、とともに他端 はトラック最後部の滑車を経て再び巻き取りドラムに戻される、 （ｈ）当該滑車は、その高さが調整可能であるように設けられる、 （ｇ）各幌骨の上方二ないし三カ所にはローラーを配備し、幌骨をトラックの側 壁板に取り付けた幌骨受けに、簡易的に固定する、その形状ははほぼ荷台を 覆う立体形とする、 以上のように構成されることを特徴とする、トラックの幌の収納装置である。

【０００７】 さらに上記構成に加え、（ｉ）モーターに、正逆回転機構および遠隔操作スイ ッチボックスを使用することを特徴とする、トラックの幌の収納装置である。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案をさらに具体的に明らかにするために、本考案に係る実施例につ いて図面を参照しながら説明する。第一実施例 本考案に係る幌収納装置の概観は、図１に示される。その主要な装 備としては、幌収納ケース本体１、幌布２、幌骨３、その他から構成されている 。 幌収納ケース本体および内部装備は、図２に示される。横長の箱状ケースを幌 収納ケース本体１とし、これをトラック運転席４と荷台の連結部、すなわち鳥居 型補強枠（俗称“鳥居”）１２の上方部に設置する。幌収納ケース本体の長辺内 部を貫通して両壁の支持ドラム１６により支持されるシャフト５、およびそれに 接合し、かつ一方向のみに制限されて回転自在となるようにした巻き取りドラム ６を設け、当該シャフト５の一端に動力受動端７を接合する。モーター１０に減 速機構および動力伝達端９を設け、動力伝達手段（チェーン）８により、シャフ ト５へ回転力を伝えるとともに、遠隔操作を可能とする電源線およびスイッチボ ックス１１を結線する。幌収納ケース本体１の長辺部分を切り欠き、それを開閉 自在となし、その部分を引き出し・巻き取り口１３となす。

【０００９】 幌布の概観は、図３に示される。幌布をトラックの荷台上面及び側面が覆い尽 くされる形状とするため、幌布（上面）２、及び幌布（側面）１７，１７を接合 する。とともに側面を折り返えした後は上面部に簡易接合できる面ファスナー１ ９を両面の随所に設ける。幌上面２と側面１７が稜線を成す部分にロープ１８， １８を設ける。当該ロープ１８の長さは、幌布２の２倍以上を有し、一端は巻き 取りドラム６に結線される。とともに他端はトラック最後部の滑車２４を経て再 び巻き取りドラム６に戻される。 当該滑車の取り付け詳細は、図７に示される。トラック荷台に固定され、適宜 穴をあけた滑車固定管２５ａに、滑車支持管２５ｂを接合し、固定棒２５ｃで適 宜高さを選定することにより任意の高さに調整できる。なお、その高さ調整方法 は、当実施例の外に、種々の既知技術を利用してもよい。 幌布およびロープを展設した状態は、図４に示される。巻き取りドラム６に接 合されたロープ１８および幌布２は、幌骨３およびローラー２１の上を引き延ば されて、滑車２４で折り返される。ロープ１８はさらに引き延ばされ、再び巻き 取りドラム６に返され・接合される。

【００１０】 幌骨３は、トラックの荷台上面及び側面が覆い尽くされるようほぼ門形とし、 それぞれの上方二ないし三カ所にローラーを配備する。それらの組み立て状態は 、図５に示される。幌展設の場合は、トラックの荷台をまたがって両側壁板の幌 骨受け、２２ａ，２２ａにはめ合わされ、ねじ２３ａ，２３ａで簡易的に固定さ れる。展設以外の不要時は、同じ側の側壁板に設けた幌骨受け２２ｂおよびねじ ２３ｂで簡易的に固定される。 収納ケース本体１の要部は、図６に示される。幌収納ケース本体１の長辺内部 を貫通して両壁の支持ドラム１６により支持されるシャフト５、およびそれに接 合する巻き取りドラム６を設ける。シャフト５の一端には、カムクラッチ部１４ およびベアリング部１５がはめ合わされ、回転が一方向のみに制限されるように 構成されている。そのシャフト５の一端には動力受動端７を接合し、チェーン８ および動力伝達端９により、モーターの回転力が伝えられる。モーター１０は、 その内部に減速機構およびその外部に動力伝達端９を装備する。 なおこの実施例における動力伝達手段としては、チェーンとギアー、ベルトとプ ーリー、歯車とシャフト等、既知技術の組み合わせを選定利用する。

【００１１】 第二実施例 第一実施例とほぼ同様の構成であるが、モーターの機構が以下のような特徴を 有する。モーター１０が正逆回転可能で、かつ遠隔操作可能の構造であるギアー ドモーター（例：日本ホイスト製ＭＤ０６ＴＤ型）を利用した。 これにより、幌布の引き出し・収納ともほとんど機械力で行うことが出来、短 時間で省力された幌の展設・撤収が達成される。

【００１２】

【作用】

本考案は、以上のような構成であるので、これを使用するには、次のように行 われる。 （イ）幌を展設する場合、あらかじめ適当数の幌骨３を荷台上に組み立て、また 滑車の高さを適宜調整する。次いで人手によりロープ１８を引き出し、幌布２を 引き出す。ロープを滑車２４の位置まで出し、それに掛ける。この引き出し作業 は、ロープおよび幌布がローラー２１で回転支持されるため、たいへん軽く簡単 である。幌全体を引き延ばし終わったら、随所の面ファスナー１９を外し幌側面 を下方に下げ、はと目２０にゴムまたは紐を通してトラック側壁の固着する。（ 図１のトラック側壁部分参照）こうして幌の展設は完結する。

【００１３】 （ロ）幌を収納する場合、遠隔操作スイッチボックス１１を操作して、モーター １０を起動し、巻き取り方向の回転を動力伝達端９→チェーン８→動力受動端７ →シャフト５および巻き取りドラム６の順に伝える。巻き取りドラム６は、カム クラッチ１４の作用で一方向（＝巻き取り方向）しか回転しないよう制限されて いる。したがって（イ）のように人力で幌を引き出す場合は、巻き取りドラム６ は逆方向（引き出しの方向）に回転するものの、シャフト５およびそれ以降のモ ーター側へ逆回転力が伝わることは避けられる。また（ロ）の場合では、モータ ーの回転力が伝達され、幌が巻き取られる構造となっている。

【００１４】 （ハ）幌布を巻き取り終わったら、幌骨受け２２のねじ２３をゆるめて、幌骨３ の方向をトラックの同方向の側面板の幌骨受け２２ｂに差し替える。数本の幌骨 をこのように同方向に差し替えることによって、トラックのもう一方の壁面板に は障害物がなくなる。よって、リフト等による機械積み、あるいは人手による積 み込み等の際、効率的な作業が可能となる。

【００１５】 （ニ）モーター１０に正逆回転可能な型式のものを設置した場合は、幌骨３を組 み立て、ロープ１８を滑車２４にセットするだけで、幌布の展設および収納が随 意に可能となる。遠隔操作スイッチボックス１１のリード線を長くしたり、無線 式のものを採用することにより、トラック本体から極力離れた幌掛け作業も可能 となり、さらに便利である。

【００１６】

【考案の効果】

本考案に係る幌の収納装置によれば、以下のような効果がある。 （１）幌の引き出し・展設が、運転作業従事者一人でも、短時間で、簡単に行え る。荷物の状況により、あるいは天候の変化に応じて、臨機応変に、その場 で幌掛け作業を行うことが可能である。 （２）幌の収納が、運転作業従事者一人でも、短時間で、簡単に行える。従来、 この幌の収納作業が煩雑ゆえに、必要以外のときでも幌を展設した状態で走 行することがあり、省エネ的でなかったり、風圧でハンドルをとられ易い等 の問題もみられた。簡単かつ迅速に幌の撤収が行えることにより、必要時の 外は幌を収納して走ることとなり、省エネ的にすぐれ、また走行時の安全運 転にも寄与できる。 （３）運送品を積み込む際、幌布を収納した後、幌骨をずらして、その位置を同 じ側壁に配置し（ただし仮止めの状態）、リフト車等により積み込むことが 可能である。 （４）従来の折り畳み方式の幌では、雨水を含んだ状態で幌を荷台上に置くこと がしばしばあり、荷物や荷台そのものを濡らしていた。本考案の装置では、 収納作業が簡単であるため、水をよく乾かした後収納することとなり、ボデ ー上が濡れることもなく、車体の長期使用にもすぐれた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】本考案の幌収納ケース本体の概観を示す斜視図
（内部透視）である。

【図３】本考案の幌の上面および側面の概観を示す斜視
図である。

【図４】本考案の幌を展設した場合の要部説明図（側部
断面）である。

【図５】本考案の幌骨を組み立てた状態を示す斜視図で
ある。

【図６】本考案の巻き取り軸およびモーターの連結関係
を示す正面断面図である。

【図７】本考案の滑車を組み立てた状態を示す斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 幌収納ケース本体 ２ 幌布（上面） ３ 幌骨 ４ トラック（運転席） ５ シャフト ６ 巻き取りドラム ７ 動力受動端 ８ 動力伝達用チェーン ９ 減速及び動力伝達端 １０ モーター １１ 遠隔操作スイッチボックス １２ （荷台最前列に設けられた鳥居型の補強枠）俗称
“鳥居” １３ 取り出し・巻き込み口 １４ カムクラッチ部 １５ ベアリング部 １６ 支持ドラム １７ 幌布（側面） １８ ロープ １９ 面ファスナー ２０ はと目 ２１ ローラー ２２ 幌骨受け ２３ ねじ ２４ 滑車 ２５ａ滑車固定管 ２５ｂ滑車支持管 ２５ｃ固定棒

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】（ａ）横長の箱状ケースを幌収納ケース本
   体とし、これをトラック運転席のほぼ上方に設置し、
   （ｂ）幌収納ケース本体の長辺内部を貫通して両壁に支
   持されるシャフト、およびそれに接合し、かつ一方向の
   みに制限されて回転自在となるようにした巻き取りドラ
   ムを設け、（ｃ）当該シャフトの一端に動力受動端を接
   合し、（ｄ）モーターに減速機構および動力伝達機構を
   設け、動力伝達手段により、（ｃ）項のシャフトへ回転
   力を伝えるとともに、遠隔操作を可能とする電源線およ
   びスイッチボックスを結線し、（ｅ）幌収納ケース本体
   の長辺部分を切り欠き、それを開閉自在となし、その部
   分を引き出し・巻き取り口となし、（ｆ）幌布をトラッ
   クの荷台上面及び側面が覆い尽くされる形状とし、その
   側面を折り返えす、とともに折り返し後は上面部に簡易
   接合できる接合具を随所に設ける、（ｇ）幌上面と側面
   が稜線を成す部分にロープを設け、当該ロープの長さ
   は、幌布の２倍以上を有し、一端は巻き取りドラムに結
   合される、とともに他端はトラック最後部に設けた高さ
   調整可能な滑車を経て再び巻き取りドラムに戻され、
   （ｈ）各幌骨の上方二ないし三カ所に高さ調整可能なロ
   ーラーを配備し、幌骨をトラックの側壁板に取り付けた
   幌骨受けに、簡易的に固定する、その形状ははほぼ荷台
   を覆う立体形とすることを特徴とする、トラックの幌の
   収納装置。
2. 【請求項２】請求項１のモーターが、正逆回転可能でか
   つ遠隔操作できることを特徴とする、請求項１の、トラ
   ックの幌の収納装置。