JP3011272U - 着生蘭栽培植木鉢 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 この考案は、植木鉢の内部の底面に筒状仕
切材の一端を取り付け、更に筒状仕切材に支柱受けのた
めの中空状パイプを取り付けて鉢の中で植物を安定に保
持でき、更に根が鉢の中央部付近で生育活動できるよう
にする装置である。 【構 成】（イ）植木鉢（１）の内部の底面（４）に水
抜き穴（３）より断面が同等または大きい筒状仕切材
（２）の一端を取り付ける。 （ロ）筒状仕切材（２）に中空状パイプ（６）を取り付
け更に底面（４）に通水穴（５）をもうける。 以上の如く構成された、着生蘭栽培植木鉢。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、植木鉢の内部の底面に筒状仕切材の一端を取り付け、更に筒状仕 切材に支柱受けのための中空状パイプを取り付ける構造で、鉢の中で植物を安定 に保持でき、更に根が鉢の中央部付近で生育活動できるようにする装置である。

【０００２】

【従来の技術】

植物を着生蘭、特に洋蘭であるカトレアについて記述すると、この蘭は樹の幹 や枝、岩肌に根を付着して大気中の水分や空気、雨を吸収して生育する性質を持 っている。 日本の気候ではこの状態の栽培は困難であるので通常、素焼き鉢内で育て、水 ごけを入れて保湿している。更にこの水ごけの植え込み材料に支柱を突き刺し、 紐で植物と支柱を結びつけてぐらつかないようにして安定化を計っている。 この場合、植え込み材料を固く詰め込むと、これに突き刺した支柱はぐらつき にくく植物は安定するが、植物の根にとって自然環境と大幅に違った環境となり 根腐れ状態となる。 逆に植え込み材料を極少なくすると根にとって自然環境に近ずく代わりに支柱 がぐらついて植物を安定に保持できない欠点があった。 植え込み材料として水ごけを用いた素焼き鉢内では植物の根は鉢の壁面に良く 付着して生育するが、鉢中央部は通気不足と過湿が原因の根腐れ状態のため根張 りは良くなかった。この鉢中央部付近にも良好な根張りが可能となると、植物の 成長が早くなると思われていたが今まで実施できなかった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

鉢中央部付近で根腐れを防止し、根張りを良くするために各メーカーは植えこ み材料の種類の研究をした。従来より使用されている水ごけに比べ粒度を荒くし た樹皮等を使用すると排水性は良くなるが保水性が悪くなり、鉢中央部付近の根 腐れは起こらない代わりに素人の愛好家には、適度な湿度の管理が困難であった 。更に植え込み材料の粒度が荒いため支柱が突き刺ささらない欠点があった。こ のような理由から着生蘭栽培の植え込み材料は現在でも水ごけが良く使用されて いる。蘭愛好家に好まれるこの水ごけを使って鉢中央部付近の根腐れを防止し、 根張りを良くしたい、更に植え込み材料の詰め具合に関係無く植物を鉢内で安定 に保持できないか、このような蘭愛好家の強い要望に答えるために考案されたも のである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

いまその構成を説明すると （イ）植木鉢（１）の内部の底面（４）に水抜き穴（３）より断面が同等または 大きい筒状仕切材（２）の一端を取り付ける。 （ロ）筒状仕切材（２）に中空状パイプ（６）を取り付け更に底面（４）に通水 穴（５）をもうける。 以上の如く構成された、着生蘭栽培植木鉢。

【０００５】

【作用】

本案は以上のような構造であるからこれを使用する時は、着生蘭の根をほぐし て筒状仕切材（２）の上方から下方へ包み込むように植え込む。さらに鉢内の残 り空間には水ごけを充填し、中空状パイプ（６）に支柱（７）を差し込みこの支 柱（７）と植物を紐で結びつけると安定化が計れる。 筒状仕切材（２）は常に通気性を有しているのでこの状態で栽培すると根は、植 木鉢（１）の水抜き穴（３）を通った空気を筒状仕切材（２）を通して吸収、生 育し、さらに周囲に植え込まれた水ごけの湿度によって筒状仕切材（２）の鉢中 央部付近で生育活動する。水抜き穴（３）より空気が筒状仕切材（２）を通過し て根に作用するため、鉢中央部付近の過湿や通気不足は無くなり、そのため根腐 れは皆無となる。

【０００６】

【実施例】

なお本案の実施にあたって次のごとくができる。 （イ）筒状仕切材（２）の筒状上部は閉じても開放のままでも同じ効果がある。 （ロ）植木鉢（１）の内部空間に取り付ける筒状仕切材（２）の数は複数個でも 同程度の効果がある。 （ハ）集中配管用チューブを植木鉢（１）の水抜き穴（３）より通し、筒状仕切 材（２）の内側に連結しておくと栽培数の多い時の集中水やり、液肥やりに便利 である。 （ニ）筒状仕切材（２）への中空状パイプ（６）の取り付け方は筒状仕切材（２ ）の筒状の内側や外側、または成型時に埋め込む方法等がある。 （ホ）筒状仕切材（２）を通気性を有した素焼き物状で作った円形筒物。 （ヘ）筒状仕切材（２）をドリルで穴を開けたごとく穴開き円形筒物。 （ト）筒状仕切材（２）を金網状の円形筒物。 （チ）筒状仕切材（２）を）ラセン状ワイヤーからなる円形筒物。 （リ）筒状仕切材（２）を植木鉢（１）の内部で水平方向に取り付けても同程度 の効果がある。 （ヌ）筒状仕切材（２）の断面を円形以外に三角形、四角形、五角形、の如き多 角形でも効果は同程度である。 （ル）筒状仕切材（２）に取り付ける中空状パイプ（６）が無い場合でも鉢中央 部付近の根腐れ防止効果は変わらない。

【０００７】

【考案の効果】

本考案の植木鉢を用いた実際を説明すると、着生蘭の根は植木鉢（１）の水抜 き穴（３）を通った空気を筒状仕切材（２）を通して吸収し生育するため、鉢中 央部付近で根腐れを起こさずに生育する効果がある。従来から植え込み材料とし て愛用されている水ごけを使用した場合でも本考案は鉢中央部付近での根腐れを 皆無とすることができ、このため鉢中央部付近の根張りが良くなりその結果、植 物の成長が早くなる効果がある。 本考案の着生蘭の根は筒状仕切材（２）を通した空気を吸収し、周囲に植え込 んだ水ごけの湿度を利用して筒状仕切材（２）を樹の幹や枝と錯覚して付着生育 する。本考案はこのような栽培環境を従来の栽培法と比べ、自然な栽培環境に近 ずける効果がある。 更に筒状仕切材（２）に取り付けた中空状パイプ（６）に支柱（７）を差し込 み利用できるので、植え込み材料の詰め具合に関係なく、また植え込み材料の種 類に関係なく鉢内の植物を安定に保持できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の筒状仕切材を通気性を有した素焼き物
状で作って円形筒物にした実施例を示す斜視図

【図２】本考案の断面図

【図３】本考案の筒状仕切材をドリルで穴を開けたごと
く穴開き円形筒物にした実施例を示す斜視図

【図４】本考案の筒状仕切材を金網状の円形筒物にした
実施例を示す斜視図

【図５】本考案の筒状仕切材をラセン状ワイヤーからな
る円形筒物にした実施例を示す斜視図

【図６】本考案の栽培時の断面図

【図７】従来法の栽培時の断面図

【図８】本考案の中空状パイプを筒状仕切材の外側に取
り付ける実施例を示す一部の断面図

【図９】本考案の中空状パイプを筒状仕切材の内側に取
り付ける実施例を示す一部の断面図

【図１０】本考案の中空状パイプを筒状仕切材の成型時
に埋め込む取り付け実施例を示す一部の断面図

【符号の説明】

１は植木鉢 ２は筒状仕切材 ３は水抜き穴 ４は底面 ５は通水穴 ６は中空状パイプ ７は支柱

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】（イ）植木鉢（１）の内部の底面（４）に
   水抜き穴（３）より断面が同等または大きい筒状仕切材
   （２）の一端を取り付ける。 （ロ）筒状仕切材（２）に中空状パイプ（６）を取り付
   け更に底面（４）に通水穴（５）をもうける。 以上の如く構成された、着生蘭栽培植木鉢。