JP3010739B2 - 化合物半導体結晶の成長方法及び装置 - Google Patents

化合物半導体結晶の成長方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、化学気相成長(CVD)法の一つである有機
金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy
(MOVPE))を利用して製造される化合物半導体に関す
る。本発明は、特にIII−V族化合物半導体結晶を成長
させる方法及び装置に関する。
背景技術 近年、電子、光デバイス等の構造、特性等が高度化し
ていくのに伴い、デバイスの母体となる半導体エピタキ
シャル成長膜に対し、その膜厚、組成等にもより高度な
均一性が要求されるようになってきている。
従来、化合物半導体結晶は液相エピタキシャル成長法
にて形成されてきたが、この成長法は成長速度が速いこ
とから制御が難しく、近年の高度な要求を満足させるこ
とは困難となってきた。
このため液相エピタキシャル成長法に代わる技術とし
て、気相で有機金属と水素化物を熱分解して半導体結晶
を成長させるMOVPE法が、高均一な化合物半導体結晶を
大面積基板或いは多数枚の基板上にエピタキシャル成長
する技術として注目を集めている。
MOVPE結晶成長炉は、その構造から大きく分けて横型C
VD炉と縦型CVD炉とに分類される。
第1図〜3図は、主な横型炉を示す説明図であり、図
中1は成長ガスを導入する導入口であるガスインジェク
タ、2は反応管、3は成長を行う基板、4は該基板3を
支持するサセプタ、5はガス排気口である。
第1図は、典型的な横型CVD炉を示す図である。
同図の横型炉においては、反応管2内に設けられたサ
セプタ4上に水平に基板3が設置される。そして該基板
3に対してほぼ平行に、成長用原料を含んだ成長ガスが
供給される。
また第2図は、横型CVD炉の一種であるバレル型炉を
示す図である。
同図の横型炉においては、反応管2内に設けられたサ
セプタ4の側面に、複数の基板3が設置される。そして
該複数の基板3に対し、反応管2の上方より該基板3に
ほぼ平行に成長ガスが供給される。この際複数の基板3
上に成長する結晶が基板ごとにばらつかないように、前
記サセプタ4が回転するようになっている。また個々の
基板3も、面内の成長の均一化を図るために回転するよ
うになっている。
第3図は、同じく横型CVD炉の一種であるプラネタリ
ー型炉を示す図である。
同図の横型炉においては、反応管2内に水平に設けら
れたサセプタ4上に複数の基板3が設置される。そして
反応管2の上方より導入された成長ガスが該サセプタ4
の略中央より該サセプタ4に沿って平行に流され、該複
数の基板3に供給される。
これらの横型炉は、ガスの流れが比較的単純である点
や、構造上大面積基板、多数枚の基板の成長が容易であ
る点などから、MOVPE法による高速デバイス用GaAsや、
短波長光デバイス用AlGaAs/GaAs系のエピタキシャル成
長などによく用いられている。
しかしながら横型炉は、以下のような三つの大きな問
題点を有している。
第一に、横型炉は成長ガスが基板表面に沿って一方向
から導入されるため、基板表面での結晶成長、すなわち
成長ガスの消費に伴い、該成長ガス濃度がガス流の上流
から下流に向かって薄くなるという問題点があった。こ
の結果成長基板表面における結晶の成長速度は、ガス流
の上流から下流に向かって遅くなってしまったのであ
る。
第二に、横型炉に導入された成長ガスは、ガス流の上
流から下流に向かって基板上にて徐々に加熱されるた
め、基板上において成長ガスの温度に分布が生じてしま
うという問題点があった。この結果成長基板上において
成長ガスの分解状態にも分布が生じ、該基板表面におけ
る成長結晶にも組成分布が生じてしまったのである。
第三に、横型炉では成長基板に近接して反応管の天井
または壁が存在するため、これらが基板上の結晶成長に
影響を及ぼすという問題があった。すなわち、反応管内
にて結晶成長を繰り返すうちに反応管の天井または壁な
どに反応副生成物が付着し、これが成長ガスの分解の程
度に変化を与え、基板上に成長する結晶の膜厚や組成に
影響を与えてしまったのである。
第4、5図は上述の第一の問題点を説明する図であっ
て、第4図は基板上の等ガス濃度線の例を示す図であ
る。この等濃度線は、基板上において上流から下流に向
かうほど成長ガス濃度が薄くなっていくことを示してい
る。
そして第5図は、基板上の成長ガス濃度の分布という
第一の問題点による影響を示すものであり、横型炉にお
ける膜厚分布の例を示す図である。横軸は基板上の、上
流側からの距離であり、縦軸は成長膜厚である。同図の
如く、基板上の上流から下流側にかけて、基板上に成長
する膜厚が薄くなっているのが判る。
しかしこの第一の問題点は、成長基板を回転させるこ
とにより結晶の成長速度をある程度平均化することで解
決が可能である。そして更に、第二、第三の問題点は、
二元の化合物半導体や、III族が二元でV族が一元の三
元化合物半導体では対して顕在化せず、従ってAlGaAs/G
aAs系の結晶成長ではそれほど大きな影響を及ぼすこと
はなかった。
しかしながら、波長1μm帯の光デバイスに用いられ
るInGaAsP系の結晶、或いは可視光レーザに用いられるA
lGaInP系のような四元化合物半導体の結晶成長では、こ
の第二、第三の問題点が特に大きな影響を及ぼすように
なる。
まず、InGaAsPのMOVPE成長に一般的に用いられるV族
原料のAsH3(アルシン)とPH3(ホスフィン)の熱分解
効率が、温度によって大きく異なるため、基板上のガス
流の温度分布はInGaAsPのV族固相組成に大きな影響を
与えてしまう。このため横型炉における上記第二の問題
点は、InGaAsPのような四元化合物半導体の結晶成長に
おいて致命的であった。
前述した第4図は、基板上の等温度線にも対応してい
る。この場合は、等温度線は基板上において上流方向か
ら下流方向に向かうほど、成長ガスが高温となることを
示している。
第6図は、InGaAsP系の結晶成長における、成長基板
上のガス流の温度分布による影響を示すグラフであり、
横型炉における組成分布の例を示す図である。同図は成
長基板の上流側からの距離を横軸にとり、成長させたIn
GaAsP結晶のホトルミネセンス(PL)波長を縦軸にとっ
ている。PL波長は、物質にある光を照射した際にその物
質のバンドギャップに対応して発生するその物質特有の
光の波長である。
InGaAsP結晶の場合、III属元素であるInとGaは組成的
にほぼ均一に成長することが確認されているため、この
グラフは実質的にV属元素であるAs/Pの組成比に対応し
ていると考えることができる。そして同図においては、
成長基板上の成長結晶の組成が、上流側から下流側にか
けてAsが減少し、Pが増加していることを示している。
(Asを多く含む結晶の方がPを多く含む結晶よりPL波長
が長い。) また上記第三の問題点についても、反応管内の天井ま
たは壁への付着物がIII族固相組成、特にInとGaの組成
の均一性に大きな影響を及ぼすことが、現在までに実験
などで確認されている。
以上の点より、InとGa或いはAsとPとを同時に含んだ
III−V族化合物半導体結晶(InGaAsP,AlGaInPなど)の
高均一成長には、横型炉の使用は困難であるといえる。
一方縦型炉は、上述のような問題点が原理的に存在し
ない。
第7図は典型的な縦型CVD炉を示す図であり、第1図
と同一のものは同一の符号にて示している。
この縦型炉では、反応管2内に水平に設けられたサセ
プタ4上に基板3が設置されており、反応管2の上方に
設けられたガスインジェクタ1より導入された成長ガス
が、該基板3表面に垂直に供給される。
横型炉の場合、基板に対して成長ガスが平行に供給さ
れたのに対し、縦型炉は基板に対して成長ガスが垂直に
供給されるため、理想的なガスの流れが実現すれば、上
記第一、第二の問題点は原理的に発生しない。また基板
の表面に対して近接する反応管の天井或いは壁が存在し
ないため、構造的に上記第三の問題も発生しない。
縦型炉においては、成長基板の表面全面に対して均等
な濃度を有するガスを均等な速度にて供給することが理
想的である。この条件を満足することができれば基板表
面を全て同一の条件とすることができるため、基板上に
均一の膜厚、均一の組成にて結晶を成長させることがで
きる。
しかしながら一般的に、ガスインジェクタの直径(通
常1cm未満)を基板の直径(一般に5〜8cm)に近づける
ことは極めて困難であり、仮にそうしたとしても、大き
な径を有するガスインジェクタより均一な濃度を有する
成長ガスを供給することは難しい。このため実際には、
基板の直径に対して小さな径を有するガスインジェクタ
を、基板の中央上方に設けざるを得なかった。この結果
第7図の如く、ガスインジェクタより導入された成長ガ
スは、基板の中央部に集中して供給されてしまったので
ある。
第8図は、従来の縦型炉における基板上の等ガス濃
度、等温度線の例を示す説明図である。本図において
は、等ガス濃度線は基板に近づくほど低濃度となり、等
温度線は基板に近づくほど高温となる。
前述の如く成長ガスが基板の中央部に集中して供給さ
れるため、同図の如く等ガス濃度、等温度線は基板中央
にて大きく変化してしまうことが判る。
また第9図は、従来の縦型炉において基板上に成長し
たInGaAsP結晶の膜厚分布の例を示すグラフである。第
8図に示した通り基板上の中央付近でガス濃度が大きく
変化する結果、基板上に成長させた結晶膜厚も、中央付
近で最大となる分布を有してしまうのである。
同じく第10図は、従来の縦型炉において基板上に成長
したInGaAsP結晶の組成分布の例を示すグラフである。
本図においても第6図と同様に、基板の面内におけるPL
波長を検出することでAs/Pの組成比を判断することがで
きる。そして同図に示す通り、やはり基板上の中央付近
でガス温度が大きく変化する結果、基板上に成長させた
結晶は大きな変化を持った組成分布を有してしまうこと
が判る。
更に縦型炉においては、前述の如く成長ガスが基板の
中央部に集中して供給されることから、第7図に示す如
く反応管内にて成長ガスの対流が発生した。このためこ
の対流によっても、基板上に成長した結晶の膜厚或いは
組成の均一性が変化してしまったのである。
また基板上にヘテロ接合を形成したときなどは、その
ヘテロ界面の急峻性などにも悪影響を与えることとなっ
た。
ところで上記の如き成長ガスの基板中央への集中を改
善するために、我々が特開平1−140712号公報にて既に
提案している流量制御技術を用いることもできる。この
技術は、複数のサブインジェクタを基板に対向するよう
に、且つ該基板の一中心線に沿うように設け、各サブイ
ンジェクタより所定の流量に制御されたガスを、回転す
る基板表面に向けて供給するものである。
この技術を利用すれば、GaAsのような二元化合物半導
体やGaInAsのような三元化合物半導体の結晶成長に関す
る限り、膜厚も組成も共に均一性を向上させることがで
きた。ところが、この技術を例えばInGaAsPのような四
元化合物半導体の結晶成長に応用した場合には、結果と
して、膜厚の均一性は良好であるが、組成の均一性(よ
り詳しく言えば、成長した結晶におけるV族のAsとPの
組成の均一性)には向上が見られなかった。と言うの
は、この場合に、基板の一中心線に沿って配列されたサ
ブインジェクタから成長ガスが直接垂直に供給されるの
は、基板の一部に過ぎないからである。
すなわち、特開平1−140712号公報所載の技術にあっ
ては、サブインジェクタから供給される成長ガスはサブ
インジェクタの直下の基板部分へ垂直に当ってから、そ
の流れの方向を横向きに転じて基板表面に沿って端部へ
と流れてゆくため、その横向きの流れの上流側から下流
側へ向ってガスが加熱されて、それに応じて基板上のガ
ス温度に分布が生じてしまう。従ってこの技術は、成長
ガスを基板上へ均一な濃度で供給するのには有効であっ
たが、V族元素間の析出速度比を一定に保つことができ
るほどガス流の温度分布を均一にするのにはなお不十分
であった。
発明の開示 本発明は、基板の全面上に膜厚及び組成の均一な化合
物半導体結晶を成長させることのできるMOVPE方法及び
装置を提供することを目的とする。
本発明の化合物半導体結晶の成長方法は、2種以上の
原料ガスを含有した成長ガスを反応室へ供給し、これら
の原料ガスを熱分解させて、化合物半導体結晶を当該反
応室内に配置された基板上に成長させる方法であって、
反応室へ供給する成長ガスの流れを複数の流れに分割
し、これらの分割流の流量を個々に調節し、そして流量
調節した各分割流を結晶成長させるべき基板の全面を覆
うように配列した噴出口を介して当該基板の全面に対し
て垂直に供給することを特徴とする。
このように、本発明によれば、成長ガスは分割した複
数の流れとして且つ各流れの流量を個別に調節して基板
の全面へ垂直に供給されるため、基板面に対して平行な
理想的な等濃度線及び等温度線を実現することができ
る。
こうして、成長ガスの等濃度線及び等温度線が全基板
面に対して平行になることから、成長ガスが直接垂直に
供給されるのが基板面の一部であるに過ぎない従来の技
術において慣用的に採用されていた基板の回転は、本発
明においては原理的に不要である。実際には、基板を回
転させて、装置的な要因、例えばガスの個々の分割流を
供給するための個々の噴出口間のばらつき、分割流の流
量を制御するための個々の流量計間のばらつき等に起因
する等濃度線、等温度線の歪を補償することができる。
この場合、基板の回転は従来の場合よりもゆっくりで差
支えない。
本発明の化合物半導体結晶の成長方法は、(a)化合
物半導体の結晶を生成するための2種以上の原料ガスを
含有した成長ガスを反応室へ供給するガス供給系、
(b)当該反応室の範囲を定め、その内部で当該化合物
半導体の結晶を成長させるための反応容器と、この反応
容器内に設けられた、当該化合物半導体の結晶を成長さ
せるべき基板を搭載するサセプタと、このサセプタに対
向して当該反応容器の上部に設けられた、当該成長ガス
を当該サセプタ上の基板へ垂直に供給するためのガスイ
ンジェクタと、当該基板を加熱する手段とからなる反応
系、並びに、(c)当該反応室内での原料ガスの熱分解
反応の副生物を含む使用済み成長ガスを当該反応容器外
へ排出するためのガス排出系を含んでなる化合物半導体
結晶の成長装置であって、上記ガス供給系が当該成長ガ
スのための複数に分割された流路と、これらの分割流路
のおのおのに設けられた成長ガス流量を個々に調節する
ための制御手段とを有し、上記反応系のガスインジェク
タが、上記サセプタ上に載置される基板の全面を覆うよ
うに密集された複数のサブインジェクタからなり、そし
てこれら複数のサブインジェクタの一つ一つに、上記の
個々に流量制御された成長ガスの流路の一つ一つが接続
していることを特徴とする装置でもって実施することが
できる。
本発明の好ましい態様においては、ガスインジェクタ
は、中央に設けられたサブインジェクタと、この中央の
サブインジェクタの周囲に設けられたサブインジェクタ
群により構成される。
サブインジェクタは、ガスが均一に吹き出されること
を条件として、適当な大きさの管でよく、その断面形状
が円形、正方形、正六角形等のものを都合よく使用する
ことができる。正方形や正六角形の管のように隙間なく
密に束ねることができる管を用いれば、ガスの流動面積
を増加させて、ガスの滞留部を少なくすることができ
る。この場合に、各サブインジェクタの裾を斜めに広げ
れば、ガスの滞留部をなくすのに一層効果的である。
サブインジェクタは、例えば、金属(ステンレス鋼
等)あるいは石英等で製作することができる。上記のよ
うにインジェクタの裾を斜めに広げるためには、例え
ば、材料が金属である場合には機械加工を、石英である
場合にはエッチングを利用することができる。
基板面に対して実質的に平行な等濃度・等温度線を実
現するためには、ガスインジェクタを構成するサブイン
ジェクタは軸対称に配列することが有利である。更に、
結晶を成長させるべき基板の大きさにもよるが、ガスイ
ンジェクタは、基板の全面を中央の領域とこれに隣接し
た外側の領域の少なくとも二つに分けて覆うように配列
されたサブインジェクタ群から構成されるのが好まし
く、また、基板の全面を中央の領域と外側の端部領域と
これら両者の中間領域の少なくとも三つに分けて覆うよ
うに配列されたサブインジェクタ群から構成されるのが
より好ましい。
従って、サブインジェクタの大きさと必要な数は、基
板の大きさとガスインジェクタの構成とによって決めら
れる。例えば、2インチ基板に対して円形断面の管を使
用する場合について言えば、中央領域と外側の端部領域
とこれらの間の中間領域の三つに分けて基板全面を覆う
ためには、中央に1本のサブインジェクタを配置し、そ
の周りに6本のサブインジェクタを配置し、そして更に
その周囲に12本のサブインジェクタを配列することがで
き、また個々のサブインジェクタの外径は10mm程度でよ
い。正六角形のサブインジェクタを使って上記の例と同
じ19本のサブインジェクタを三重に配列する場合につい
て言えば、例えば、2インチ基板に対しては六角形の一
辺が約7mm、3インチ基板に対してはそれが約10mmのサ
ブインジェクタを使用することができる。
一般には、個々のサブインジェクタの大きさが大き過
ぎると上述の等濃度・等温度線の実現がより困難にな
り、それに対してより小さくなると分割流の流量制御手
段の数が増加し、装置が複雑化するばかりである。円形
断面のサブインジェクタに関しては、その直径が10〜20
mmのものを用いるのが一般的であり、好ましくは直径10
〜16mmのものを用いる。また正六角形のサブインジェク
タについては、一辺の長さが5〜15mm程度のものを用い
るのが一般的である。
ガス供給系の流量調節手段は各分割流路の成長ガス流
量を独立に制御するけれども、上述の中央、端部及びこ
れらの中間の三つの領域ごとに各サブインジェクタから
の供給流量が一定となるように各流量調節手段で成長ガ
ス流量を調節するのが好ましい。三つの領域の各サブイ
ンジェクタの成長ガス流量については、発明者らの実験
ではいずれも同じ流量で成長膜厚及び組成の両方とも従
来よりも均一性の向上した結晶が得られてはいるが、端
部領域のサブインジェクタの成長ガス流量は内側の領域
のそれらよりわずかに多目にした方が端部における均一
性の向上のために有益であろう。このように、各分割流
路に配分すべき流量比は、使用する装置や成長ガス、成
長条件等に応じて、基板上に膜厚及び組成の均一な所望
の結晶が得られるように決定すべきである。
ガス供給系の分割流路は、流量調節手段の下流側で更
に分割して、これらの更に分割された流路をそれぞれ別
個のサブインジェクタへ一つずつ接続してもよい。この
場合、同一の分割流路から更に分割された流路は、上述
の成長ガス供給領域が同じであるサブインジェクタへ接
続すべきである。
ガス供給系には、原料ガスとキャリアガスとを混合し
て成長ガスを調製するためのマニホールドを設けること
ができ、そしてこのマニホールドから供給される成長ガ
スの流路を分割して、これらの分割流路のおのおのに設
けられたマスフローコントローラで各流路のガス流量を
独立に制御することができる。
本発明の方法及び装置に従えば、結晶を成長させるべ
き基板上にその表面に対して平行な等濃度線ばかりでな
く、やはりそれに対して平行な等温度線をも実現できる
ことから、本発明の方法及び装置は、組成比が基板上の
成長ガスの温度分布に特に影響を受けやすい2種以上の
V族元素を含むInGaAsPのような化合物半導体の結晶を
成長させるのに特に適している。
本発明の方法及び装置で化合物半導体結晶を成長させ
るべき基板は1枚である必要はなく、2枚以上の複数で
あっても差支えないことは言うまでもない。
本発明のこのほかの目的及び利点は、添付の図面を参
照して行う以下の説明から自ずと明らかになろう。
図面の簡単な説明 第1図は従来の典型的な横型CVD炉を説明する図、 第2図は従来のバレル型炉を説明する図、 第3図は従来のプラネタリー型炉を説明する図、 第4図は横型炉における等ガス濃度、等温度線の例を
示す図、 第5図は横型炉における膜厚分布の例を示すグラフ、 第6図は横型炉における組成分布を示すグラフ、 第7図は従来の典型的な縦型CVD炉を説明する図、 第8図は従来の縦型炉における等ガス濃度、等温度線
の例を示す図、 第9図は従来の縦型炉における膜厚分布の例を示すグ
ラフ、 第10図は従来の縦型炉における組成分布の例を示すグ
ラフ、 第11図は本発明の装置のガス供給系を説明する図、 第12図は本発明の装置の反応系を説明する図、 第13図は第12図におけるA−A′断面図、 第14図は本発明における基板上の等濃度、等温度線を
示す図、 第15図は本発明の一実施例における成長装置の概略
図、 第16図は本発明の一実施例におけるガスインジェクタ
の断面図、 第17図は第16図におけるA−A′断面図、 第18図は本発明において2インチInP基板上に成長し
たInGaAsP層の膜厚分布を示すグラフ、 第19図は本発明において3インチInP基板上に成長し
たInGaAsP層の膜厚分布を示すグラフ、 第20図は本発明において2インチInP基板上に成長し
たInGaAsP等の組成分布を示すグラフ、 第21図は2インチInP基板上に本発明に従って成長し
たInGaAsP層のPL波長の標準偏差を従来技術により成長
したものと比較して示すグラフ、 第22図は正六角形のサブインジェクタで構成したガス
インジェクタを説明する図、 第23図は第22図におけるB−B′断面図、 第24図は先端部分の管壁を斜めに削り取ったサブイン
ジェクタを示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態 第11図及び第12図は、本発明の方法を実施するための
装置のそれぞれガス供給系及び反応系を概略的に示す図
である。第12図において、第1図におけるのと同じもの
は同一の符号に表している。
第11図のガス供給系には、四元の化合物半導体InGaAs
Pの結晶を成長させるための原料であるトリメチルイン
ジウム(TMI,In(CH3)、トリエチルガリウム(TE
G,Ga(C2H5)、ホスフィン(PH3)及びアルシン(A
sH3)のガス源だけが例示されているが、例えばヘテロ
接合を形成する場合に必要な他のガス源は省略されてい
ることを理解すべきである。この図において、有機金属
原料ガスのTMI及びTEGは、それぞれのバブラ101及び102
へマスフローコントローラMFC11及びMFC12でそれぞれ流
量制御して供給されたキャリアガスの水素に同伴されて
マニホールド105へ送られる。アルシンとホスフィン
は、それぞれのボンベ103及び104からマスフローコント
ローラ13及び14でそれぞれ流量制御され、そしてやはり
MFC15及びMFC16で流量制御された水素ガスとそれぞれ一
緒にされて、マニホールド105へ移送される。マニホー
ルド105へは、MFC17及びMFC18で流量制御された希釈ガ
スの水素も供給される。
マニホールド105で混合された成長ガスは、流量106か
ら10本の分割流路111〜120に分割されて、各流路ごとに
それぞれのマスフローコントローラMFC1〜10で流量制御
される。この図では、MFC2〜10の下流側の流路は、それ
ぞれ二つの流路に更に分割されている。こうして流量制
御され、分割された19本の流路を経て、成長ガスは反応
系のガスインジェクタを構成する各サブインジェクタへ
供給される。この図の19本の分割流路の右側に示された
a,b,cの符号は、後に第13図でもって説明するサブイン
ジェクタの符号a,b,cに対応している。
第12図に示した本発明の装置の反応系は、反応容器2
と、その上部に設けられたガスインジェクタ1と、結晶
を成長させるべき基板3が載置されるサセプタ4と、ガ
ス排気口5とから構成される。
この図には示していないが、反応系には基板3を加熱
するための手段が設けられる。この加熱手段は、通常の
装置におけるように、サセプタ4に設けたヒータ、ある
いは反応容器3の外部に設けた高周波加熱コイルでよ
い。
ガスインジェクタ1は、複数のサブインジェクタ11を
密集して、例えば、第12図のA−A′断面を模式的に示
す第13図より明らかなように、中央のサブインジェクタ
aと、これを取囲むサブインジェクタbの群と、更にそ
の外側にあってb群のサブインジェクタを取囲むサブイ
ンジェクタcの群とにより、サセプタ4上の基板3の全
面を覆い、そしてこの基板の全面に対し、これらのサブ
インジェクタから成長ガスを垂直に供給するように構成
される。
このように構成した複数のサブインジェクタ11より、
ガス供給系で分割及び流量制御された各流路の成長ガス
を基板3の全面へ垂直に供給することによって、サセプ
タ4の上に搭載された基板3上に、第14図に模式的に示
すような基板面に対して平行な等濃度・等温度線を実現
することができる。この現象、すなわち加熱された平面
基板上に供給する混合ガス流を構成する各流線の流速を
適当に制御することによって、その基板上にその表面に
平行な等濃度・等温度線を実現することができるという
ことは、Hermann Schlichting,“Boundary−Layer Theo
ry"McGraw−Hill Publishing Company,New Yoyk(196
8)において数学的に論証されている。第14図におい
て、等ガス濃度線は基板に近づくほど低濃度になり、等
温度線は基板に近づくほど高温になる。
基板面に対して平行な等濃度・等温度線を得るため各
サブインジェクタに導入すべきガス流量は、反応容器の
形状や寸法、結晶の成長条件等に応じて最適化すべきで
ある。そしてガス流量を制御する際には、例えば第13図
におけるaのサブインジェクタ、b群のサブインジェク
タ及びc群のサブインジェクタごとに行う方法が最も現
実的である。
第15図は本発明の一実施例における成長装置の反応系
及びガス排気系の概略図であり、また第16図は実施例に
おけるガスインジェクタの拡大断面図、第17図は第16図
におけるA−A′断面図である。
第15図において、1は石英製のガスインジェクタであ
り、ガス供給系の分割流路のおのおのに接続する複数の
サブインジェクタ11からなっている。2は同じく石英製
の反応管、3は結晶を成長させる基板、4は基板3を支
持するためのカーボン製サセプタ、5はガス排気口、8
はサセプタ4を加熱することによりサセプタ上の基板3
を間接的に加熱するための高周波加熱コイル、9は反応
管2内を減圧するためのロータリーポンプである。
本実施例におけるガスインジェクタ1の垂直断面は、
例えば第16図の如き構成をとる。そしてガス供給系につ
ながる入口から反応管2内につながる出口までは例えば
約150mm、入口付近における各サブインジェクタ11間の
間隔は約30mm、出口付近では約2mmである。
第16図におけるA−A′断面は、例えば第17図の如き
形状をとる。本実施例においては、円形断面を有する19
本のサブインジェクタ11を基板3全面を覆うように設け
ている。その構成は同図の如く、中心のサブインジェク
タa、それを取り囲むサブインジェクタb群、更にそれ
を取り囲むサブインジェクタc群からなる。そして最外
郭のサブインジェクタc群は、例えばサブインジェクタ
aを中心として中心角30゜ごとに配置され、個々のサブ
インジェクタ11の内径は例えば13mm、外径は14mmであ
る。
尚、サブインジェクタ11の内径は、成長基板3の大き
さに対応して変更してもよい。また複数枚の基板3上へ
の成長を行う際には、該複数の基板3を搭載するサセプ
タ4の面積に応じてサブインジェクタ11の数を増やし、
ガスインジェクタ1を大きくすればよい。
この実施例におけるガス供給系は、第11図に示したと
おりである。原料のトリメチルインジウム、トリエチル
ガリウム、アルシン及びホスフィンのガスは、キャリア
ガスの水素と共にマニホールド105へ送られ、そしてこ
こでキャリアガスの水素と混合されて成長ガスを構成す
る。この成長ガスは流路106を経て10本の流路111〜120
に分割され、各分割流路のマスフローコントローラMFC1
〜10で独立に流量調節される。
上記の原料から生成されるのは、四元のIII−V族化
合物半導体のInGaAsPの結晶であるが、これら四つの原
料のうちのアルシンを例えば有機アルミニウム化合物の
トリメチルアルミニウム(Al(CH3)と替えれば、
別の四元のIII−V族化合物半導体のAlGaInPの結晶を得
ることができる。
この図から明らかなように、本実施例においては、MF
C2〜10のおのおのは二つのサブインジェクタ11へ供給す
るガス流を制御している。勿論全てのサブインジェクタ
11を別々のマスフローコントローラで制御してもよい
が、その場合19本のサブインジェクタ11に対応して19個
のマスフローコントローラが必要となるのに対し、本実
施例では10個のマスフローコントローラだけで実施する
ことができる。しかしこの際にも、サブインジェクタa
群、b群、c群は独立して制御することが望ましい。
本実施例においては、基板3上の結晶成長は以下の如
く行われる。
すなわち先ず、原料ガスとキャリアガスとをマニホー
ルド105で混合して成長ガスを調製する。そしてこの成
長ガスは分流されて、10個のMFC1〜10へ供給される。各
マスフローコントローラにて所定の流量に制御されたガ
ス流は、19本のサブインジェクタ11へと供給される。こ
の際例えばMFC1の下流の流路はサブインジェクタaに、
MFC2〜4の下流の流路はそれぞれ二つに分割されてサブ
インジェクタb群に、MFC5〜10の下流の流路は同じく二
つに分割されてサブインジェクタc群につながれる。そ
して各サブインジェクタ11に供給されたガス流は、サセ
プタ4上に搭載された基板3表面に垂直に供給される。
この結果基板3上全面に対して、均一な濃度、均一な温
度の成長ガスを供給することができる。
以下に本実施例において得られた結果を示す。その際
の成長条件は、次の通りであった。
成長基板 InP 成長層 InGaAsP 成長温度 570℃ 圧力 50torr ガス全流量 8リットル/min ガス流速 約2m/s 成長速度 1μm/h 成長原料 トリメチルインジウム(TMI) トリメチルガリウム(TEG) アルシン(AsH3) ホスフィン(PH3) キャリアガス 水素(H2) 第18図は、本発明に従って2インチInP基板上に成長
させたInGaAsP層の膜厚分布を示すグラフである。横軸
は基板の中心からの距離であり、縦軸は成長膜厚であ
る。また同図における4本の線は、第17図の各群a,b,c
のそれぞれのサブインジェクタ11に供給する成長ガスの
流量比〔a,b,c〕を示し、それぞれ上から順に〔1:0.8:
0.7〕、〔1:0.9:0.9〕、〔1:1:1〕、〔1:1.1:1.4〕であ
る。
同図に示す如く、流量比を〔1:1:1〕とすることで半
径方向の流量をほぼ均一とした時に、膜厚の最も良好な
均一性を得ることができた。
また第19図は、本発明に従って3インチInP基板上に
成長させたInGaAsP層の膜厚分布を示すグラフであり、
縦軸、横軸は第18図と同一である。この場合は、サブイ
ンジェクタに供給する成長ガスの流量比〔a,b,c〕を
〔1:1:1〕とした。
この条件においては同図の如く、最大1.15μm、最小
1.11μm、平均1.13μmの成長膜を得ることができた。
このときの標準偏差は±2.0%である。単一のガスイン
ジェクタを用いた従来の縦型炉ではこの値は±10〜15%
であったことを考えれば、膜厚の均一性が大幅に改善さ
れていることが判る。ちなみに、我々が先に開示した特
開平1−140712号公報記載の流量制御技術を用いた縦型
炉では、成長膜厚の標準偏差は±3%程度であった。
次に第20図は、本発明に従って2インチInP基板上に
成長させたInGaAsP層の組成分布を示すグラフである。
同図において横軸は基板の中心からの距離であり、縦軸
は成長させたInGaAsP結晶のPL波長である。
第21図は、2インチInP基板上に本発明に従って流量
比〔a,b,c〕を〔1:1:1〕及び〔1:0.8:0.7〕として成長
させたInGaAsP結晶のPL波長の標準偏差の分布を、単一
のガスインジェクタを用いた従来の縦型炉で成長させた
InGaAsP結晶及び特開平1−140712号公報所載の流量制
御技術を用いて一列に並べたサブインジェクタから成長
ガスを供給して成長させたInGaAsP結晶のそれと比較し
て示すグラフである。本発明に従って流量比〔a,b,c〕
を〔1:1:1〕とした場合のPL波長の標準偏差が±3.0nm
(基板端部を除く)であったのに対し、単一のガスイン
ジェクタを用いた従来の縦型炉の場合にも、一列に並べ
たサブインジェクタから流量制御したガス流を供給した
場合にも、PL波長の標準偏差は、基板端部を除いても、
共に±10nm程度であった。
以上の結果から、本発明に従って成長させた四元化合
物半導体結晶にあっては、従来の縦型炉で成長させたも
のに比べて膜厚も組成比も共に均一性が大幅に向上して
おり、特に組成比は、一列に並べただけで基板全面を覆
うことのないサブインジェクタから流量制御した成長ガ
ス流を供給した場合と比べても、均一性が大幅に改善さ
れていることが判る。
このように、本発明の方法及び装置は、InGaAsPやAlG
aInPのような四元化合物半導体結晶の成長に対して特に
有効であるとは言え、二元又は三元の化合物半導体結晶
の成長に対しても有利に応用できることは言うまでもな
い。
次に、本発明におけるガスインジェクタのもう一つの
態様を説明する。第22図に示したガスインジェクタ1′
は、19本の正六角形のサブインジェクタ11′を空間的に
隙間ができないように峰の巣状に配置して構成したもの
である。これらのサブインジェクタ11′も、第13図に例
示した円形のサブインジェクタ11と同様に、aで示され
る中心のサブインジェクタと、bで示される中間のサブ
インジェクタ群と、cで示される端部のサブインジェク
タ群を構成している。
これらのサブインジェクタ11′の正六角形の一辺の長
さは、2インチ基板の場合に約7mm、3インチ基板の場
合に約10mm程度でよく、全部で19本のサブインジェクタ
を図のように配置すれば、ガスインジェクタ1′全体の
外径は前者の場合約60mm、後者の場合約90mmとなる。ガ
スインジェクタ1′の入口から出口に至るまでの長さ
は、例えば約150mm程度でよい。
正六角形のサブインジェクタ19本を第22図のように配
置して構成したガスインジェクタでは、基板へ供給する
成長ガスの垂直流動領域内におけるガスの滞留部(非流
動部)の面積は、サブインジェクタの肉厚を例えば1mm
として考えると、当該垂直流動領域の全面積の約10%程
度に抑えられる。これに対して、外径14mmの円形サブイ
ンジェクタ19本を第13図のように配列して構成したガス
インジェクタにあっては、垂直流動領域内におけるガス
滞留部の面積は、サブインジェクタの肉厚をやはり1mm
として考えて、垂直流動領域の総面積の約46%程度とな
る。滞留部のガスは流れないので、この滞留部の占める
割合が大きくなればなるほど、ヘテロ接合を形成する場
合のように原料ガスを急峻に切換えるのに不利になる。
従ってこのような場合において特に、空間的に隙間が生
じないようにサブインジェクタを配列して構成した第22
図に示すようなガスインジェクタが有利となる。
第23図は、第22図のガスインジェクタのB−B′断面
の反応室側の部分を示す図である。正六角形のサブイン
ジェクタを峰の巣状に束ねた場合にも、最低でもサブイ
ンジェクタ11′の肉厚に相当する分だけのガス滞留部分
ができてしまう。これを解消するためには、第24図に示
すように、サブインジェクタ11′の先端部分の管壁を斜
めに削り取って口を広げるのが有利である。こうするこ
とによって、基板に対向するガスインジェクタの底面に
おける壁の厚さを可能な限り薄くして、滞留部を最小限
にすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2種以上の原料ガスを混合した成長ガスを
    反応室へ供給し、これらの原料ガスを熱分解させて、化
    合物半導体結晶を当該反応室内に配置された基板上に成
    長させる方法であって、反応室へ供給する成長ガスの流
    れを複数の流れに分割し、これらの分割流の流量を個々
    に調節し、そして流量調節した各分割流を結晶成長させ
    るべき基板の全面を二次元的に覆うように配列した噴出
    口を介して当該基板の全面に対して垂直に供給すること
    を特徴とする化合物半導体結晶の成長方法。
  2. 【請求項2】前記分割流の一つ一つを前記噴出口のおの
    おのへ供給することを特徴とする、請求の範囲第1項記
    載の方法。
  3. 【請求項3】前記流量調節した分割流のうちの少なくと
    も一部を更に分割して、これらの更に分割されたガス流
    の一つ一つを前記噴出口おのおのへ供給することを特徴
    とする、請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記分割流の流量を、前記基板の中央と外
    側の端部とこれらの中間の少なくとも三つの領域に対応
    する噴出口の群ごとに各噴出口から当該基板への供給流
    量が一定となるように調節することを特徴とする、請求
    の範囲第2項記載の方法。
  5. 【請求項5】前記基板上に成長させるべき結晶がIII−
    V族化合物半導体の結晶であることを特徴とする、請求
    の範囲第1項記載の方法。
  6. 【請求項6】前記III−V族化合物半導体がInGaAsPであ
    ることを特徴とする、請求の範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記化合物半導体のInGaAsPの4種の元素
    の原料がトリメチルインジウム、トリエチルガリウム、
    アルシン及びホスフィンであることを特徴とする、請求
    の範囲第6項記載の方法。
  8. 【請求項8】前記III−V族化合物半導体がAlGaInPであ
    ることを特徴とする、請求の範囲第5項記載の方法。
  9. 【請求項9】前記化合物半導体のAlGaInPの4種の元素
    の原料がトリメチルアルミニウム、トリエチルガリウ
    ム、トリメチルインジウム及びホスフィンであることを
    特徴とする、請求の範囲第8項記載の方法。
  10. 【請求項10】(a)化合物半導体の結晶を生成するた
    めの2種以上の原料ガスを含有した成長ガスを反応室へ
    供給するガス供給系、(b)当該反応室の範囲を定め、
    その内部で当該化合物半導体の結晶を成長させるための
    反応容器と、この反応容器内に設けられた、当該化合物
    半導体の結晶を成長させるべき基板を搭載するサセプタ
    と、このサセプタに対向して当該反応容器の上部に設け
    られた、当該成長ガスを当該サセプタ上の基板へ垂直に
    供給するためのガスインジェクタと、当該基板を加熱す
    る手段とからなる反応系、並びに、(c)当該反応室内
    での原料ガスの熱分解反応の副生物を含む使用済み成長
    ガスを当該反応容器外へ排出するためのガス排出系を含
    んでなる化合物半導体結晶の成長装置であって、上記ガ
    ス供給系が当該成長ガスのための複数に分割された流路
    と、これらの分割流路のおのおのに設けられた成長ガス
    流量を個々に調節するための制御手段とを有し、上記反
    応系のガスインジェクタが、上記サセプタ上に載置され
    る基板の全面を覆うように密集された複数のサブインジ
    ェクタからなり、そしてこれら複数のサブインジェクタ
    の一つ一つに、上記の個々に流量制御された成長ガスの
    流路のうちの一つ一つが接続していることを特徴とする
    化合物半導体結晶の成長装置。
  11. 【請求項11】前記ガス供給系が当該原料ガスをキャリ
    アガスと混合して前記成長ガスを調製するためのマニホ
    ールドを有し、このマニホールドから供給される成長ガ
    スの流路が分割されて、これらの分割流路のおのおのに
    設けられたマスフローコントローラで各流路のガス流量
    が独立に制御されることを特徴とする、請求の範囲第10
    項記載の装置。
  12. 【請求項12】前記流量制御手段の下流側で当該分割流
    路を更に分割して、これらの更に分割された流路をそれ
    ぞれ別個のサブインジェクタへ一つずつ接続することを
    特徴とする、請求の範囲第11項記載の装置。
  13. 【請求項13】前記ガスインジェクタが、中央に設けら
    れたサブインジェクタと、この中央のサブインジェクタ
    の周囲に設けられたサブインジェクタ群により構成され
    ることを特徴とする、請求の範囲第10項記載の装置。
  14. 【請求項14】前記ガスインジェクタが、基板の全面を
    中央の領域と外側の端部領域とこれらの両者の中間の領
    域の少なくとも三つに分けて覆うように配列された、中
    央のサブインジェクタと、この中央のサブインジェクタ
    を取囲むサブインジェクタ群と、そして更にその周囲の
    サブインジェクタ群から構成されることを特徴とする、
    請求の範囲第13項記載の装置。
  15. 【請求項15】前記サブインジェクタの断面形状が円形
    又は正六角形であることを特徴とする、請求の範囲第10
    項記載の装置。
  16. 【請求項16】前記サブインジェクタの前記反応室へ接
    続する側の先端部分の管壁を斜めに削り取って口を広げ
    たことを特徴とする、請求の範囲第15項記載の装置。
  17. 【請求項17】1枚又は2枚以上の基板上に化合物半導
    体結晶を成長させるために使用される、請求の範囲第10
    項記載の装置。
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